リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 人材確保について
当社グループは、警備員、マンション管理人または人材派遣スタッフなどがサービスを提供する労働集約型セクターのひとつであり、人的リソースに大きく依存しております。また、臨時契約は、日々変動する需要に応じた人的リソースを確保・配置しなければならないため、稼働管理を行う必要があります。そのため、労働基準法など法規制の遵守を前提に、必要な人員を戦略的に採用することにより対処しております。
しかしながら、2024年4月30日に厚生労働省が発表した2024年3月の保安職業従事者の有効求人倍率は6.33倍という厳しい採用環境のなか、採用の計画未達、求人媒体等の料金変動又は取引条件の変更、また多数の人的リソースが意図せず喪失又は流出してしまった場合には、当社グループの業績に悪影響を与える可能性があります。
人材確保に対する取り組みは、「2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(2) 価格競争について
国内の警備業者は1万社超あり、多くの企業と競争しております。これらの競合他社は、当社グループより高度な経営資源を有する可能性があり、当社グループは、競合他社に効率的に対抗する必要があります。
当社グループは、料金・品質を含む様々な要素で競争しております。競合他社との価格競争によって料金が下落した場合、比例して費用が下落しない場合には利益率の低下につながります。なお、費用の多くは労務費で構成されており、費用の下落は現実的ではありません。また、足元では、物価高等を背景に賃金増加傾向にあり、賃上げにともなう料金改定がなされない場合には利益率の低下につながります。当社グループは、これらの状況に対処するために、規模による動員力を高め、また社員の資格取得によってサービス付加価値を高め、受注力を強化する必要がありますが、一層激化する競合他社との価格競争にともなう価格低下圧力の高まりに直面しております。
当社グループが、価格下落又は事業に影響を及ぼすコスト圧力について効果的に予測し対応できない場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
価格競争に対する取り組みは、「2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
(3) 法規制の適用について
当社グループの事業は、警備業法や労働基準法の法規制や監督の対象となっております。これらの法規制を遵守することは事業活動における負担をともない、また、遵守にともない費用が発生する可能性があります。また、将来における法規制などの改正・変更は、当該法規制の遵守に対応するための費用の増加や事業活動に対する制約にもつながる可能性があります。例えば、資格者たる警備員の配置基準が強化された場合、資格取得費用の増加、又は既存及び将来的なサービスの顧客への提供の制限又は中止につながり、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループ、ならびに当社グループの従業員が法規制に違反すると、当社グループが罰金、刑罰、法的制裁の対象となり、また、当社グループの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。
(4) 買収、第三者との合弁について
当社は、市場シェアを拡大するため、買収、第三者との合弁を実施しております。例えば、2024年3月期においては東神産業㈱(神奈川県横浜市)、㈱セキュリティ(埼玉県所沢市)、㈲セキュリティ・ライセンス・KOB(埼玉県所沢市)、東邦警備保障㈱(千葉県千葉市)の全株式を取得し、完全子会社化いたしました。当社が買収を行う場合、多額の買収コスト又は統合費用の発生、シナジーが実現できないこと、期待された収益の創出とコスト改善の失敗、主要人員の喪失や債務の引き受けによって、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
当社が第三者と合弁会社を設立したり戦略的パートナーシップを構築する場合、当社グループの財政状態及び業績は、パートナーとの戦略の相違又は文化的相違、利害の対立、シナジーが実現できないこと、合弁会社及びパートナーシップ維持のために必要となる追加出資や債務保証、合弁パートナーからの持分買取、当社が保有する合弁持分の売却、もしくはパートナーシップの解消、不十分な経営管理、減損損失又は事業活動から受ける風評被害により、悪影響を受ける可能性があります。
(5) のれんについて
当社グループは、のれんを保有しております。のれんについては、業績の悪化や時価総額の減少、経済情勢の変化、減損の判定に用いられる高度な判断を必要とする見積り・前提の変更により、減損損失を計上する可能性があります。減損の可能性を示す事象又は状況の変化には、設定された事業計画の下方修正や実績見込みの大幅な変更、あるいは外的な市場の変動などが含まれます。なお、当社グループがさらされている競争環境の激化により、減損の判定に用いられる見積り、前提及び判断が変動し、減損損失の計上の可能性が増加することがあります。このような減損損失の計上は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 特定人物への依存について
当社グループは、当社の創業者であり代表取締役社長の我妻文男を中心とする経営陣の下で経営を行っております。当社グループは、我妻氏に過度に依存しない経営体制の構築を目指し、取締役及び監査役9名のうち5名を社外役員とするなどガバナンスの強化を図っております。しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループにおいて職務を執行することが困難となった場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響が及ぶ可能性があります。
(7) 大規模な災害や新型コロナウイルスを含む感染症などについて
大規模な地震や風水害などの自然災害、テロ行為、大規模火災、新型コロナウイルスを含む感染症のパンデミックなどの予期できない大惨事により、当社グループのサービスの提供が一時的に停止したり、混乱に陥ったりする可能性があります。当社グループは、これら大規模な災害の発生による事業活動の停止に備え、警備員は日々の訓練に取り組むほか、24時間体制のコントロールセンターが事業継続計画の指揮命令系統を担います。コントロールセンターは、北海道に所在しており、東京都にバックアップ機能を備えております。しかしながら、当社グループが、重大な損害を受けた場合、事業活動の停止、オフィスや設備の修繕・置換えにかかる多額の費用計上などが生じる可能性があります。例えば、新型コロナウイルス感染再拡大によって経済活動が再び停滞した場合、施設の閉鎖や休業、イベントの中止・延期又は規模縮小により、受託役務の見直しやキャンセルなどの悪影響を受ける可能性があります。また、契約先が新型コロナウイルスの悪影響を受けた場合、警備体制の見直しにより収益が減少する可能性があります。警備員に集団感染が発生した場合は、警備体制を縮小または停止せざるを得ない事態が発生する可能性があります。営業活動及び採用活動では、リモートによる商談・面接が可能な体制を整備いたしましたが、対面での活動に対する制約による悪影響を受ける可能性があります。
(8) 特定の契約先への依存について
当社グループの主要取引先との関係は安定的に推移しております。当社グループは、これらの取引先と良好で安定した取引関係の維持及び発展に努めておりますが、取引先の動向により価格下落または契約解除が発生した場合は、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 新たな技術について
警備業で使用される技術、例えば、AIやロボット、IoT機器等の技術は進化を続けております。このような技術の進歩は、当社グループが事業とする人的警備に置き換わる可能性があり、当社グループの業績に悪影響が及ぶ可能性があります。
(10) 顧客情報の管理について
当社グループは、サービスの提供にあたり、契約先の機密情報及び個人情報を取り扱っております。これらの情報は、悪意を持った第三者、犯罪組織、当社グループの従業員の故意又は過失により侵害を受ける可能性があります。当社グループは、ISO27001(ISMS)及びプライバシーマークを認証取得しており、機密情報及び個人情報に対する侵害の防止に取り組んでおります。しかしながら、こうした情報に対する事象によって、売上の喪失、第三者との関係の悪化、機密情報及び個人情報の不正漏洩あるいは悪用、ならびに顧客の維持や勧誘の失敗などが生じ、その結果、当社グループの事業や活動が重大な打撃を受ける可能性があります。また、当社グループは、訴訟や、規制当局による調査や法的措置を含む法的手続きの対象となる可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。
(11) 信用リスクについて
当社グループは、営業活動や投融資活動などにおいて、主に国内の取引先に対し発生するさまざまな信用リスクにさらされております。当社グループは、その状況を定期的に見直し、必要な引当金等の検討を行っておりますが、今後、取引先の財務状態が悪化した場合は、貸倒引当金等を計上する可能性もあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題として位置づけており、業績、配当性向、内部留保の充実と財務体質の強化等を総合的に勘案して、安定的かつ継続的に利益配分を行うことを基本方針としております。内部留保資金の使途につきましては、成長力の維持及び競争力強化など、企業価値向上に資する様々な投資に活用していく方針であります。
なお、配当金額については、連結業績の動向、財務状況ならびに今後の事業展開等を総合的に勘案し、決定してまいります。
当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としておりますが、会社法第454条第5項に基づき、取締役会の決議により中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。これらの配当の決定機関は、期末配当は株主総会、中間配当は取締役会であります。
当事業年度の剰余金の配当につきましては、期末配当金を1株当たり90円といたしました。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。