2024年4月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 以下においては、当社グループの事業展開等に関して、リスク要因となる可能性があると考えられる、主な事項を記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家の皆様に対する、積極的な情報開示の観点から記載しております。以下の記載は、本株式の投資に関連するリスクの全てを網羅するものではありませんのでご留意ください。

 なお、本項中の記載内容については、特に断りが無い限り、本書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 当社グループでは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、本株式に関する投資判断は、本項及び本書中の本項目以外の記載内容も併せて慎重にご検討ください。

 

(1) 事業内容に係るリスクについて

①社会情勢とそれに伴うリスクについて

 一般的に企業が支出する広告費は、景気の影響を受けやすい傾向にあります。当社グループが主として属するプロモーション業界は、不況下にあっても比較的削減されにくく変動の少ない販売促進費が原資となる領域ではありますが、国内市場における景気後退及びそれに伴う需要の縮小は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、このリスクに対し、受注クライアントの属性を大手広告会社、外資・その他広告会社、直接クライアント取引と3属性に分類し、受注バランスを管理しつつ特定の受注クライアント属性に過度に依存することの無いよう取り組んでおり、安定的な受注が確保できる状況の維持に努めておりますが、不測の事態により安定的な受注が確保できない状況が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②プロモーションの実施に関する業界の慣行について

 プロモーションの実施は、企画・制作・運営及び管理等、各段階によって構成されております。その受注形態に関わらず、制作作業に入る前に企画段階があり、企画を立案し関係者との打合せを経て、制作段階・本番の運営段階に進みます。その制作段階や本番の運営段階(開催期間中)に主催者からの追加発生、仕様変更の要請が行われる場合や屋外プロモーションにおける天候変化によって、直前の実施内容の変更等が行われる場合があります。また、主催者側の広告費削減や広告会社変更等により、当社グループ受注分が無くなることもあります。

 前述のとおり、プロモーションは制作や運営段階で当初の内容や金額が変動するケースがあります。

 当社グループは、このリスクに対し、制作受注管理システムを構築し、受注前の案件についても、状況をデータ管理し、そのデータを集計した結果を、隔週開催される営業報告会議において提出し、全部門長が確認することで、部門ごとの受注額、利益額、受注見込額、利益見込額の把握に努めております。また、営業報告会議において、予算に対し大幅な乖離が見られた場合は、経営会議にて営業支援策を決定するなど、業界慣行から生じる不確実性の排除に努めておりますが、不測の事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③プロモーション実施期間及び売上計上時期の変動について

 当社グループの手掛けるプロモーションには、主催者である企業の新製品の発表、販売促進を目的としたものも多く、その新製品が製造販売に許認可を要する場合、その許認可の下りるタイミングが遅れることにより、発売開始の時期が予定より遅延することもあります。また、主催者の商品開発の遅延や生産体制構築の遅延等が原因で発売開始時期が予定より先送りになる、更に発売自体が中止となる可能性もあります。これにより、当社が予定しているプロモーションが遅延する、あるいは中止となる可能性があります。

 当社グループは、顧客からの業務完了確認書の受領をもって売上を計上しておりますが、セールスプロモーションは上記の理由により、売上計上の元となるプロモーションの実施時期が、当社グループの予定に対し大幅に遅延、または実施自体が中止となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④個人情報漏洩に関するリスクについて

 当社グループは、キャンペーンの応募はがき等で消費者の住所、氏名等の個人情報を取り扱っております。また、ブロードバンド加入申込書において、顧客の氏名、住所等を記入した申込書を獲得する等、個人情報を記載した書類を大量に取り扱っております。当社は、2006年8月にPマーク(プライバシーマーク)の認証を取得したほか、定期的に情報セキュリティ委員会を開催し、同委員会による定期的なチェックや継続的な部門ごとの自己チェック等、個人情報の保護には細心の注意を払っております。しかしながら、当社が保有する個人情報等につき、漏洩、改ざん、不正使用等が生じる可能性は、完全に排除されているとはいえません。

 従いまして、これらの事態が起こった場合、適切な対応を行うための相当なコストの負担、当社への損害賠償請求、当社の信用の低下等によって、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤競合について

 当社グループは、総合的なプロモーション活動をする企業の中では、30年超の社歴及びそれに基づく経験・知識を基にした業務遂行能力について、優位性を持っていると認識しております。しかしながら、今後において、資本力、マーケティング力、高い知名度や専門性を有する企業等の参入及び事業拡大が生じる可能性があります。

 当社グループとしては、競争激化の環境においても十分な収益を獲得すべく、今後の広告において必要不可欠となるインタラクティブ(インターネットを中心とした双方向のコミュニケーションを獲得するための総合的なプロモーション)領域を得意とする協力会社との提携やクリエイティブな領域に特化した専門部署の設置など、制作力、企画力の充実に努めており、競合他社に対して十分な比較優位性を保っております。しかしながら、プロモーション業界のさらなる構造の変化やインタラクティブ領域等における高い専門性を有した企業の参入等により、当社グループの優位性が相対的に低下した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥不良品の発生及び製造物責任について

 当社グループは、プレミアムグッズの制作において、主として中華人民共和国の工場に発注しております。外注工場の選定においては、過去の実績や品質管理体制を十分精査した上で決定しているほか、当社グループ社員が現地工場において随時検品を行うなど、万全の体制の下で不良品発生防止に努めております。しかしながら、万一不良品が発生した場合には、取引先からの返品・交換や損害賠償、信用失墜などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦自然災害に係るリスクについて

 当社グループは、主としてプロモーション業界に属しておりますが、2011年3月11日に発生した東日本大震災のような自然災害等が発生し、消費者の消費マインドが冷え込むことや、クライアントの生産活動が停滞すること及び広告活動の自粛ムード等が生じ、クライアント企業の広告費予算及び販売促進費予算の執行に影響を与えた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧売上の季節変動について

 当社グループが実施する案件は、大型案件が増加傾向にあることから、受注や完了の時期により四半期単位での変動が大きくなる傾向があります。

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期計

売上高

構成比

売上高

構成比

売上高

構成比

売上高

構成比

売上高

構成

(千円)

(%)

(千円)

(%)

(千円)

(%)

(千円)

(%)

(千円)

(%)

2023年4月期

4,487,714

26.32

3,840,569

22.53

4,238,966

24.87

4,480,590

26.28

17,047,839

100.00

2024年4月期

3,135,402

18.50

5,166,104

30.49

3,965,111

23.40

4,678,147

27.61

16,944,764

100.00

 

⑨特定販売先への依存

 当社グループを含むイベントの制作を行う会社は、一定部分を大手広告代理店から受注しております。

 当社グループは、幅広いイベント制作を手掛けておりますが、イベントの主催者は、イベントの実施を大手広告代理店に発注することが比較的多くなります。大手広告代理店より発注量の手控えがあれば、当社グループに影響を及ぼす可能性があります。

⑩疫病発生に係るリスクについて

 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大により、外出自粛や行動制限が強制され、イベントの自粛や流通店舗の閉鎖など当社グループの事業遂行にも大きな影響が及び、ここ2期は当社グループの経営成績も大きな影響を受けてました。現在は、新型コロナウイルス自体は落ち着いておりますが、今後新型コロナウイルスが改めて流行した場合、または未知の疫病が発生した場合には、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響が及ぶリスクがあります。

 

(2) 当社グループの組織体制に係るリスクについて

①人材の確保及び育成について

 当社グループは、今後想定される事業拡大に伴い、受注規模に応じた人材の確保が必要であると考えております。プロモーションにおける提案業務では、高い企画力を有する人材を要求されることから、適切な人材を確保するとともに、育成を行っていく必要があります。当社グループは、これまで個人の能力に依存していた制作・企画力を補完するため、マニュアルや社内データベースの整備等、組織として能力を補完する体制を整備し、一定の質を有する人材の確保と育成に努めていく方針ではありますが、必要な人員の確保及び育成が計画通りに進まなかった場合、競争力の低下や今後の事業拡大に制約が生じる可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②派遣・請負スタッフに関する業務上トラブルの発生について

 派遣・請負スタッフによる業務遂行に際して、スタッフの過誤による事故や、スタッフの不法行為により訴訟の提起又はその他の請求を受ける可能性があります。当社グループは、スタッフの作業に当たり、事故を未然に防ぐために管理体制を整えておりますが、上記トラブルによる訴訟内容及び請求金額によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③特定人物への依存について

 当社の創業者である代表取締役社長の河村康宏は、当社グループの経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において、重要な役割を果たしております。当社グループでは、取締役会及び経営会議等における役員及び幹部社員の情報共有を行い、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何かしらの理由により、同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) その他のリスクについて

①新株予約権の付与及び株式の希薄化について

 本書提出日現在において、新株予約権の目的たる株式の総数は91,300株であり、発行済株式総数に対する比率は1.9%に相当しております。将来、これら新株予約権が行使された場合には、1株当たりの株式価値が希薄化することになります。

 

②法令違反等の発生に関する影響について

 当社グループは、法令等諸規則が遵守されるよう、役職員に対するコンプライアンスの徹底等を行っておりますが、こうした対策が必ずしも有効に機能するとは限りません。法令違反等が発生した場合や新たな法令の制定・法令の改正等が行われた場合、事故や不正等を役職員が起こした場合、損失の発生、行政処分や当社グループの信頼が損なわれる等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、可能な限り安定的な配当水準を維持することを配当政策の基本としており、今後の事業展開及びキャッシュ・フローの状況を総合的に勘案し、業績への連動性を重視したうえで、期末配当として年1回利益配分を行うことを基本方針としており、この剰余金の配当の決定機関は、株主総会であります。

 当社は、取締役会の決議により、毎年10月31日を基準日として、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

 当事業年度の剰余金の配当につきましては、上記方針に基づき、業績や財務状況等を総合的に勘案いたしまして、配当性向35%を目安に、期末配当を1株当たり39.00円と致しました。

 内部留保資金については、中長期的な視点に立ち、財務体質の強化並びに新たな事業展開への投資などに活用し、企業価値の向上を図っていく所存であります。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年7月26日

173,546

39.00

定時株主総会決議