リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)感染症によるリスク
感染症の世界的拡大により経済活動が抑制され、急速に世界景気が減速し、当社グループの受注に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、各国行政当局の活動制限措置や当社グループの従業員の感染などによる生産への影響、物流も含めたサプライチェーンの停滞などの影響を受ける可能性があります。当社グループはBCP(事業継続計画)に基づき、従業員や取引先など関係者の皆さまの健康と安全の確保を最優先しつつ、供給責任を果たすための各種対応策を実施しております。
(2)取引先と業界の商慣行
当社グループは、世界の主要な電子機器メーカーをはじめとして、多くの電子機器メーカーと直接取引があります。電子機器の市場は厳しい競争下にあり技術の変化が早く、機器のモデル毎にヒット商品と売れない商品が明確に分かれ、なおかつ商品ライフサイクルは、従来に比べ極めて短くなってきております。そのため顧客の在庫と生産計画は大きく変動し、当社グループの受注はそれによって大きく影響を受ける可能性があります。
(3)電子部品の価格低下
電子機器の市場競争は激しく、電子部品市場でもセットメーカーからの値下げ要請と部品メーカー間の企業競争から電子部品価格は下落傾向にあります。原価低減と生産プロセスの改善に取り組んでおりますが、部品市場の需給動向によっては、それを上回る価格低下が起こる可能性があります。
(4)海外事業に伴うリスク
当社グループは、グローバルな分業体制を敷いており、海外販売会社をエリア毎の顧客セールス拠点、海外生産会社を最適化された量産拠点と位置付けております。当社グループの事業の遂行のための拠点は、世界各地に所在しており、中には政治的あるいは経済的に不安定な地域があります。これらの地域におけるテロ、戦争、疫病等社会的混乱の発生、ストライキ、社会インフラの未整備による停電等の予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの事業活動に障害を与える可能性があります。また、それらの事象が当社グループの取引先において発生した場合、当社グループの事業活動にも影響が生じる可能性があります。
なお、当社グループは、経済発展が著しい中国で生産と販売の拠点展開をしております。当社グループの取引先の多くも中国に生産拠点を展開しており、その事業運営は中国の経済成長の影響を受ける可能性があります。中国経済の急速な発展と中国政府が推進している多くの経済改革は、法令等の改正、経済成長の減速、為替相場、電力供給等の予測できない事象により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)顧客の信用リスク
当社グループは、世界各国の電子機器メーカーを中心に取引をしておりますが、電子機器市場は事業環境の変化が激しく、顧客の業績が悪化した場合、売上債権の回収に影響を及ぼす可能性があります。売上債権及び顧客財務状況の定期的な確認、また新規取引時には顧客の信用リスクに応じた取引条件の設定等を行い、売上債権の回収リスクの低減に努めてまいります。
(6)資材調達によるリスク
当社グループでは、原材料の調達において複数購買化を促進し、安定調達及び原価低減に努めておりますが、一部の原材料については特定のサプライヤーからの調達に依存しており、これらの調達が困難となった場合、供給が困難になる可能性があります。特定のサプライヤーへの集中度が高い原材料については、サプライヤーとの長期供給契約により安定供給が図れる体制を構築してまいります。
しかし、各国の情勢悪化や輸出入規制による供給不足、需要拡大による原材料価格の高騰が発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)品質に関する影響
当社グループは、優れた最先端技術を積極的に開発し、新製品に応用して早期に市場投入すると同時に、ISO9001の認証取得を含む品質保証体制の確立及びレベルの高いサービス体制の確立にも努め、その結果、当社グループの製品を多くの顧客に採用していただいております。しかしながら、当社グループの製品が最先端技術製品である等の原因によって、未知の分野の開発技術も多く存在し、予期せぬ不具合が発生すること等により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)研究開発
当社グループは、素材技術を根幹としたセラミック技術、積層技術、回路設計技術、ソフトウェア技術、生産システム技術及び評価・シミュレーション技術等の最先端技術について積極的な研究開発投資及び研究開発活動を継続的に実施しております。研究開発によって最先端の要素技術を創造するとともに、当該技術を用いた新製品を早期市場投入することによって上位の市場シェアと高い利益率を達成してきております。しかしながら、新製品投入のタイミングによっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)資金調達によるリスク
当社グループは、金融市場の状況を踏まえて様々な調達手段を検討しておりますが、現時点では主に金融機関からの借入により事業資金を調達しております。金融市場の不安定化による金利上昇、及び当社信用格付けの格下げ等が発生した場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
不測の事態に備え、手元流動性の確保や複数の金融機関との間での総額300億円のコミットメントライン契約締結等の対応を行っております。
(10)為替リスク等
当社グループは、事業の積極的な海外展開により、海外への売上高比率が高くなっております。当社グループ間の取引は米ドル建てを基本としており、一部は為替予約を実施し、為替変動リスクの軽減に努めております。しかし、海外での事業活動では外貨建取引や多くの外貨建資産も存在し、急激な為替変動、株価、金利の変動に関わるマーケットリスクにさらされております。市場での変動が大きい場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)税務に関するリスク
当社グループは、積極的な海外展開を進めており、その結果クロスボーダー取引が増加しております。当社グループでは、税務管理部門を設置して、グループ各社の税務関連情報を収集し、外部専門家の検討を加えることによりリスクの把握と低減に努めております。また、各国の適切な利益配分をグループ間の取引によって管理しており、必要に応じて税務当局への事前確認制度も活用しております。しかし、各国の税務当局との見解の相違や税務法規の改正等により、税務リスクが顕在化した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)法的規制等
当社グループは、事業を展開する各国において、事業・投資の許可、税制及び国家安全保障等による輸出制限等の政府規制の適用を受けるとともに、通商、独占禁止、環境・リサイクル関連の法的規制を受けております。当社グループではこれらの規制を遵守し事業活動を行っておりますが、規制が急激に変化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)知的財産権
当社グループの製品は最先端技術製品であり、電子機器の市場は厳しい競争下にあることから、特許をはじめとする知的財産権の確保は競争力を左右する極めて重要なポイントと考えております。しかし、一部の国では、知的財産が完全に保護されない場合があります。このような国においては、他社が当社グループの製品を模倣し販売する可能性があり、当社グループ製品の販売機会の逸失、劣悪な品質の模倣製品が当社グループの製品に対する信頼を低下させる等の恐れがあります。また、当社グループの製品又は技術について、他社の知的財産権を侵害しているとされる可能性があります。
(14)環境規制におけるリスク
当社グループは、事業を展開する各国において、製品中の有害物質、産業廃棄物の処分、水質・大気・土壌の汚染防止について様々な環境関連法令の規制を受けております。
当社グループではこれらの規制に対応するため有害物質の使用全廃、処理設備の導入等を行っております。しかしながら、規制は年々厳しくなっており、環境対応投資の増加、事業活動の制約等につながる可能性があります。
(15)気候変動リスク
当社グループは、事業活動に伴う温室効果ガス(以下、GHG)の発生に関して、環境中期目標の実行を通し、GHG排出量の適切な把握や継続的な省エネ施策の実施等によるGHG排出削減に取り組んでいます。しかし、顧客や取引先等のステークホルダーより、対応が困難な水準の気候変動対応を要求された場合には、再生可能エネルギーの導入・調達や設備投資等に伴う想定を超える対策費用が発生する恐れがあります。また、要求水準を満たさないことによる機会損失の恐れもあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(16)人材確保に関するリスク
当社グループの業績は、研究開発、生産、販売、経営管理等において優秀な人材の貢献に大きく依存しております。優秀な人材の確保における競争は激しく、在籍している従業員の流出の防止や新たな人材の獲得ができない可能性があります。優秀な人材を確保できない場合には、非効率的な経営に陥り、製品の競争力が低下する可能性があります。
(17)情報セキュリティにおけるリスク
当社グループは、事業遂行上、様々な機密情報(取引先情報、個人情報、営業秘密情報など)を保有しています。当社グループでは、サイバー攻撃や内部過失などの脅威から、これら情報の漏えいや改ざんなどを防止するため、また事業活動の停止を回避するため、グループ全体のセキュリティ管理体制の強化、定期的な従業員教育の実施、またソフトウェアや機器によるセキュリティ対策の実施などに取り組んでいます。しかしながら、予想を超えるサイバー攻撃や予期せぬ不正行為などにより、これら情報の漏えいや重要業務の停止などの事態が発生する可能性があります。その結果、当社グループの社会的信用や業績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)自然災害、事故の発生によるリスク
当社グループは、地震、台風、洪水等の自然災害、ストライキ等の労働争議、事故の発生により操業の停止や製造設備に多大な損害を受ける可能性があります。これらの災害等による損害に備えるため保険に加入しておりますが、発生した全ての損害を補償できない可能性があります。加えて、当社グループの取引先や供給業者が災害等により損害を被った場合にも、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主への利益還元の充実を経営の最重要課題のひとつと位置付けており、安定的な配当性向30%の実現を目指すとともに、必要に応じて自己株式の取得を実施してまいります。
2024年3月期の1株当たり配当金は年間90円(中間配当金45円、期末配当金45円)とし、配当性向(連結)は134.8%となります。
なお、当社は取締役会決議による中間配当を行うことができる旨を定めており、中間配当及び期末配当の年2回配当を基本的な方針として考えております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 |
1株当たり配当額 |
2023年11月7日 |
5,608百万円 |
45円 |
取締役会 |
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2024年6月27日 |
5,608百万円 |
45円 |
定時株主総会 |