リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、各リスクが顕在化する時期を合理的に予測することは困難であります。
(1)経済環境に関するリスク
当社グループは、国内、海外(アジア、北米、ヨーロッパ)の各拠点を中心とし、また、幅広い業界向けに事業を展開しております。グローバル経済や各地域経済の状況、各業界動向によっては、経営成績や財政状態に大きな影響が及ぶ可能性があります。また、米中関係をはじめとする国際関係の変化に伴う政策や法規制の変更は事業活動にも大きく影響します。
当社グループは、外部環境や各地域の状況の変化、業界動向の把握に努め、スピード感をもって変化に対応していく体制と基盤強化のための体制づくりに取り組んでまいります。具体的には、部門横断による機動的改革活動の推進、新しい付加価値製品・サービスを創出し、グローバルで競争力あるものづくりを創造する体質づくりに取り組んでまいります。
(2)地政学リスク
地政学リスクとして、米中をはじめとする二国間関係やロシア・ウクライナ情勢、イスラエル・パレスチナ情勢を巡る多国間関係など、国際関係は変化が増しています。
そのような中、各国の経済安全保障政策や様々な法規制が実施され、輸出入取引への影響や部品材料の調達難、価格高騰等により、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、サプライチェーンの見直し等を図り、製品の安定供給に努めるとともに、継続的なコスト削減や付加価値のある新製品の市場投入等により、収益確保・収益性向上に努めております。
(3)災害リスク
当社グループは、国内や海外拠点の所在地における大規模な自然災害等の発生により、事業活動が長期間停止する可能性があります。また、当社グループが製造販売する製品を構成する部品材料の多くはグローバルに調達をしており、近年の気候変動に伴う大規模な自然災害や巨大地震、取引先の大規模火災など予期できない災害等や需要の急増による部品供給の逼迫等は、当社グループの生産稼働の減少により経営成績や財務状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、災害や感染症による事業への影響を最小限にし「製品供給責任」を果たすため、事業継続計画(BCP体制)の充実を図り、初動対応に活かしております。また、調達面においては短期的には、重要度に応じた適正在庫を確保するようにしており、長期的には、複数購買化や部品の共通化を進めてまいります。
(4)感染症の拡大リスク
当社グループは、日本国内のほか、海外各国、地域において事業活動を展開しており、当該各地域での感染症拡大が経済活動に影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染症による影響は次第に低下している状況にありますが、未だ感染再拡大の可能性は存在しております。
その対応として、当社グループは、従業員等の健康と安全の確保、感染防止、事業継続を最優先課題として、今後も社内外での感染・拡散防止の基本行動の徹底に努め、従業員等の健康・安全確保、顧客への供給責任を果たすための取り組みを継続してまいります。
(5)製品の品質に関するリスク
当社グループは主たる工場及びグループ各社で品質管理及び品質保証のための国際規格(ISO9001) で認定された品質システムを構築し、設計段階から品質の作り込みを行い、より高い製品品質、サービスの提供をしております。しかしながら、全ての製品、サービスについて不良欠陥が発生しないという保証はなく、顧客において当社グループの製品・サービスにおける品質に起因する事故、市場回収、生産停止等が生じた場合、顧客の損失に対する賠償責任を問われる可能性があります。大きな市場クレーム、リコールなどが発生した場合には、多額の回収コストや賠償費用の発生又は販売の減少等により、当社グループの経営成績や財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、独自に保有する品質管理技術や情報等を活用し、設計審査、内部品質監査、購入先監査等を通じて製品・サービスの信頼性、安全性を確保出来るよう品質保証体制の継続的改善・改革を図っております。
(6)価格競争に関するリスク
当社グループが属する電源市場におきましては、技術進歩、調達部品の低価格化等、価格による差別化が競争優位を確保する主たる要因の一つであります。さらに、最近では大手ユーザーが集中購買に伴う値下げ要請を行うことが多いため、競合電源メーカーとの価格競争が激化し、恒常的に低下する傾向にあります。こうした価格動向が当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、こうした販売価格の低下に対して、継続的なコスト削減や付加価値のある新製品の市場投入等により、収益確保・収益性向上に努めております。
(7)棚卸資産に関するリスク
当社グループが所有する棚卸資産のうち、原材料の在庫におきましては、製品の生産・販売実績や将来の需要予測等を基に調達しておりますが、一部の原材料の入手難対応や部品メーカーの生産中止品の在庫確保により、原材料在庫残高が高水準になっております。その結果、保管場所は社外委託倉庫等を含め複数拠点にわたっております。
原材料の貸借対照表価額は、収益性の低下に基づいて算定しておりますが、将来の使用見込みに関しては、会社の見積りが含まれており、顧客や市場動向等の将来の経済状況の変動によって影響を受ける可能性があります。
その対応として、当社グループは、原材料の現物及び在庫水準の日常的な管理のもと、部品調達課題の改善状況に応じた発注管理と生産体制の増強、増産に努め、原材料における収益性の低下リスクを軽減してまいります。
(8)知的財産に関するリスク
当社グループが保有する知的財産権は、重要な経営資源の一つであり、知的財産権の保護や知的財産権にからむ係争の回避は重要な経営課題であります。仮に、当社グループが、第三者の知的財産権を侵害しているとの主張を受けた場合、係争となる可能性があり、当社製品の生産・販売の制約や、損害賠償金等の支出が発生し、当社グループの経営成績や財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、専門委員会を設置しており研究開発及び設計にあたって、第三者の知的財産権の調査を実施しております。
(9)為替変動に関するリスク
当社グループでは、当社と海外子会社並びに海外子会社と外部顧客の取引を外貨建てで行っており、為替変動に伴う製品の海外市場における競争力低下、輸出採算等により当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、2024年5月期において海外売上高が連結売上高の37.2%を占めており、今後も積極的な海外市場への事業展開により、海外事業比率は高まると想定しています。
その対応として、当社グループは、外貨建原材料購買の増大や海外拠点で消費する資材の現地調達化を進めており、加えて中期的には海外生産拡大も進めてまいります。
(10)M&Aに関するリスク
当社グループは、ヨーロッパ市場における営業力・技術競争力を強化することを目的として、2018年6月にPowerbox International ABを子会社化し、当社グループの業績に寄与することを見込んでおります。しかしながら、2020年度においてコロナ禍の中で事業が計画通りに展開できず、結果的に“のれん”の減損処理(1,097百万円)を実施いたしました。
2021年度以降は、これまでに取り組んできた事業再編の効果が出始め、営業利益・経常利益ともに業績回復しましたが、今後更なる業績向上に向けて、営業力と技術競争力の強化により、最大限のシナジー効果を発揮できるよう取り組んでまいります。
(11)情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業における重要情報や入手した取引先等の秘密情報、個人情報等を保有しております。これらの情報に関して、盗難・紛失等による情報漏えい、不正アクセスなどのサイバー攻撃による消失や改竄、窃取等があった場合、事業活動に支障をきたし、その結果、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、情報セキュリティ基本方針、情報セキュリティ規定を制定し、情報セキュリティに関する管理体制やルールを整備、情報リテラシーを高めるための社員教育、情報の取り扱いに関するリスク評価・対策、各種法規制強化への対応等により、ITガバナンス体制の強化を図っております。
(12)環境規制に関するリスク
大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、廃棄物、製品に含有する環境化学物質等に関する種々の環境関連法令及び規制等は、年々強化されてきております。当社グループでは、これら法令及び規制等を遵守することが、企業の社会的責任の1つとして位置づけ、事業活動を行っております。
しかしながら、今後、これらの要求に対応した製品をタイムリーに市場に投入できない場合や法令及び規制等がより厳しくなることにより、対応のための多額の投資が余儀なくされるような場合には、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
その対応として、当社グループは、環境に関する国際規格(ISO14001)で認定された環境マネジメントシステムを構築し、環境関連法令及び規制を遵守するための取り組みを行っております。また、環境方針・行動指針を定め、製品企画・開発設計から部材調達、生産、流通、販売、保守サービスに至る事業活動全体において環境負荷低減に取り組んでおります。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは、利益配分につきましては、経営の重要政策と認識し、収益力の拡充を図りながら業績に連動した配当を行っており、配当性向(連結)35%を目処とした利益還元を行うこととしておりました。内部留保資金につきましては、新製品開発及び研究開発投資や生産関連設備投資、自己株式の取得、業容拡大に向けた財務体質の強化などに充当することとしておりました。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨、また「期末配当の基準日は毎年5月20日、中間配当の基準日は毎年11月20日とする。」旨を定款に定めております。
当期末の配当金につきましては、1株当たり27円とさせていただきました。これにより、1株当たりの年間配当金につきましては、中間配当金27円と合わせて54円となり、当事業年度の配当性向(連結)は34.6%、純資産配当率(連結)は3.8%となりました。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年12月20日 |
895,866 |
27 |
取締役会決議 |
||
2024年7月9日 |
895,864 |
27 |
取締役会決議 |
なお、2024年7月11日に公表いたしました「配当方針の変更及び配当予想の修正に関するお知らせ」のとおり、当社グループの利益配分についての基本方針は、2025年5月期(2024年5月21日~2025年5月20日)より、「株主資本配当率(DOE)3.5%」を目処とした継続的かつ安定的な剰余金の配当を行うことといたします。