人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数43,980名(単体) 162,029名(連結)
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平均年齢44.7歳(単体)
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平均勤続年数23.1年(単体)
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平均年収8,390,992円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年3月31日現在
(注)従業員数は就業人員(連結会社への出向者を除き、連結会社からの出向者を含む)であり、臨時雇用者数(期間従業員、人材派遣会社からの派遣社員、パートタイマー、契約社員等を含む)は、年間の平均人数を括弧内に外数で記載しています。
(2) 提出会社の状況
2024年3月31日現在
(注1)従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む)であり、臨時雇用者数(期間従業員、人材派遣会社からの派遣社員、パートタイマー等を含む)は、年間の平均人数を括弧内に外数で記載しています。
(注2)平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。
(注3)当社は、「日本」の単一セグメントであるため、セグメント別の従業員の状況の記載を省略しています。
(3) 労働組合の状況
連結会社においては、当社及び主たる国内関係会社の労働組合は全トヨタ労働組合連合会に加盟し、全トヨタ労働組合連合会を通じて全日本自動車産業労働組合総連合会に加盟しています。
なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
(注1)「管理職に占める女性労働者の割合」及び「労働者の男女の賃金の差異」は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
(注2)「男性労働者の育児休業取得率」は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等及び育児目的休暇の取得割合を算出したものです。前連結会計年度に配偶者が出産した労働者が、当連結会計年度に育児休業等及び育児目的休暇を取得することがあるため、取得率が100%を超えることがあります。
(注3)パート・有期労働者には、期間従業員、定年後再雇用者、アルバイト等を含みます。
(注4)「-」は集計対象となる従業員がいないことを示しています。
当社は、イノベーションの源泉は、異なる意見・アイデアを自由闊達に交わせる共創環境であると考えています。その環境を生み出すには、ダイバーシティ&インクルージョンが重要であり、多様な人財が活躍できる環境・組織風土の実現に向けて取り組みを進めています。現在、管理職に占める女性労働者の割合は2.0%(153人)です。2025年度には女性管理職数を200人(2015年度比 約4倍)とする目標を掲げ、メンター施策や研修等の育成施策の展開や、総合職・一般職のコースの統合等、意識啓発や課題解決支援を行っています。また、将来のリーダー層の拡充に向け、新卒採用強化にも取り組んでいます。賃金においては、給与規程や賃金項目において性差はなく、同等の資格レベルであれば、人事制度上、男女で賃金格差が生じることはありません。現時点では、女性の管理職となる年齢層が少ないことが、実績に影響を与えていますが、約10年前から女性採用を強化し、上位資格や管理職昇格も含めたキャリア形成支援や各種研修等による育成等、成長を支援する取り組みを進めています。今後も柔軟な働き方や両立支援制度の拡充、男性の育児参画促進、ダイバーシティ&インクルージョンの風土醸成などを通じて、女性活躍を進めてまいります。
詳細については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 ⑶ 人的資本」をご参照ください。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
(1) 全体像
当社は創業以来、社会のため、お客様のために、事業を通じて社会課題解決に貢献するというサステナビリティ経営を進めてきました。サステナビリティ経営の考え方は、当社の社是にも同様の精神が記され、脈々と受け継がれた当社経営の根幹であり、成長の原動力と考えています。サステナビリティ経営の着実な実践に向け、サステナビリティ方針を策定するとともに、社会課題を当社の長期ビジョン、優先取組課題(マテリアリティ)に落とし込み、事業活動を通じてその解決に取り組んでいます。当社のサステナビリティ経営の推進に向けた基本的なマネジメント体制は以下のとおりです。
サステナビリティ経営全体像
① ガバナンス
経営戦略本部を担当する役員(取締役副社長)を統括責任者として、経営戦略部が全社のサステナビリティ経営推進機能を担っており、方針や活動計画の立案、各部門の活動支援・フォローアップ、社内外コミュニケーション等を行っています。サステナビリティ経営の方向付けや全社活動状況のフォローアップ等は、取締役会監督のもと、会社の公式会議体(経営審議会等)で審議・報告を行っています。また、個別のサステナビリティテーマについては、主管部門が各専門委員会で審議を受け、関係部門と連携して活動を推進しています。なお、職場におけるサステナビリティ浸透の牽引役として、当社では各部門1名、国内グループ会社は各社1名、海外グループは各地域統括会社1名のサステナビリティリーダーを選任し、サステナビリティの浸透・定着・情報発信を図っています。
② リスク管理
当社では、多様化するリスクを最小化すべく、自社にとってのリスクを常に把握し、被害の最小化と事業継続の両面からリスクマネジメントを行っています。
具体的には、リスクマネジメント統括責任者「チーフ・リスク・オフィサー(CRO)」を議長とする「リスクマネジメント会議」を設置し、グループ全体のリスクマネジメント体制・仕組みの改善状況の確認、社内外の環境・動向を踏まえた重点活動の審議・方向付け等を推進しています。事業部、地域統括会社、国内外グループ会社においては、それぞれにリスクマネジメント責任者である「リスクオフィサー」、「リスクマネージャー」を任命し、平時における経営被害の未然防止と有事における被害最小化に向けた対応力強化を推進しています。また、クライシス発生時(有事)に迅速かつ的確に対応できるよう「緊急事態初動対応マニュアル」を制定し、事態の重要レベル判断、報告基準、報告ルート、社内外対応の基本等を明確にしています。さらに、事態の大きさや緊急度によって専門の「対策組織」を編成し、責任機能部が対策リーダーとなり、被害の最小化に向けて機動的に対応できるようにしています。
生命・環境・信用・財産・事業活動に関し、取り巻く事業環境を踏まえて予測されるリスクを抽出し、発生頻度と影響度の観点から主要なリスク項目を選定します。選定した各リスクについてはそれぞれに責任部署を定め、各リスク発生の要因・事前予防策・初動/復旧対応を明確にし、リスク耐性の強化に取り組んでいます。その中で、特にリソースを投入し対策を推進するリスクを「重点リスク」に選定し、リスクマネジメントのさらなる強化に向けた活動計画・目標の設定とリスクマネジメント会議への実績報告を行うとともに、重点リスクそれぞれに会社目標として定量的な業績評価指標(KPI)を設定し、取締役会においても活動の進捗状況を確認しています。さらに、これらのリスクマネジメントプロセスは、内部監査・外部機関による監査対象として、点検を実施しています。サステナビリティに関しては、気候変動リスク(自然災害)のほか、品質問題、火災・爆発事故、情報セキュリティ事故、遭遇事変(疫病・戦争・テロ)等を、重点リスクとして選定しています。なお、主要なリスク項目及び重点リスク項目は、社会で問題になっているテーマや当社グループでのリスク発生の頻度・影響度等を考慮し、適宜見直しを実施しています。
(2) 気候変動
気候変動の危機が迫るなか、当社では、持続可能なモビリティ社会のあり方を模索し、2030年長期方針で掲げた「環境」の提供価値を最大化する目標に向けてサステナビリティ経営を加速させています。2019年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」への賛同を表明し、気候変動が事業に与える影響とそれによるリスクと機会をシナリオに基づいて分析、事業戦略へ反映していくよう検討を進めています。
① ガバナンス
当社は、全社安全衛生環境委員会において、気候変動に関わる重要事項を審議・決定しています。同委員会は年2回開催され、環境経営方針「エコビジョン2025(注)」の実現に向けた短・中・長期の目標や、シナリオ分析結果を含む環境全般に関する課題と活動の進捗状況の共有、省エネルギーに関わる投資等の環境経営推進上の重要事項について協議・決定を行います。事業に重要な影響を及ぼすと判断された案件(中期経営戦略、大型投資等)については、経営審議会あるいは取締役会で審議しています。特に「カーボンニュートラル」の取り組みに関しては、取締役会が会社のカーボンニュートラル目標を決定します。そして取締役会で決定した会社目標に基づき、戦略審議会・役員検討会で中長期の方針・戦略を、年度計画全社審議会で短期の方針・目標・計画を、それぞれ審議します。目標の達成状況のモニタリングについては、全役員が参加する経営審議会及び取締役会が行います。
(注)「エコビジョン2025」:すべての企業行動を通じて、環境問題やエネルギー問題の解決と自然との共生を図り、2050年の持続可能な地域・社会の実現に向けた、その中間時点となる2025年までのアクションプラン
② 戦略
気候変動が事業に及ぼす影響の把握と気候関連の機会とリスクを具体化するために、国際エネルギー機関(IEA)や気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の外部シナリオをベンチマークとして参照しました。また、自動車産業のシナリオ分析を確認しつつ、自社の中長期戦略における事業環境認識と照合し、総合的にシナリオを想定の上、シナリオと自社中長期戦略との差異分析により気候関連の機会とリスクを抽出しました。
なお、上記シナリオの想定移行リスクはIEA「World Energy Outlook」の「B2DS」「SDS」シナリオをそれぞれ推進的・野心的シナリオと定義し、範囲は2040年までのCO2排出量、炭素税、原油価格、再エネ率、新車電動車率を定量化し、自社戦略との差より機会とリスクを分析しました。また物理的リスクでは、IPCC第5次報告書の「RCP8.5」「RCP6.0」をそれぞれ鈍化、推進シナリオと定義し、気象災害、海面上昇、生態システム悪化、水食糧不足等を定性化し、自社戦略との差より機会とリスクを分析しました。
主なリスクと機会、重要項目への対応策は以下のとおりです。
主なリスク
主な機会
(注1)SOEC:Solid Oxide Electrolysis Cell
(注2)SOFC:Solid Oxide Fuel Cell
(注3)2024年6月20日時点における暫定値です。確定値は2024年9月末発行予定の「統合報告書2024」において記載予定です。
③ リスク管理
当社では、急速に変化する事業環境の中で、多様化するリスクを常に把握し、被害の最小化と事業継続の両面からリスク管理を行っています。気候変動関連のリスクについては、全社安全衛生環境委員会で報告した上、重要項目の把握と対応を明確化しています。なお、気候変動関連のリスク(物理的リスク)は、リスクマネジメント会議が特にリソーセスを投入して対策を推進する重点リスクの一つとして選定されており、全社リスク管理の観点からもグループ全体でリスク対応を強化しています。
④ 指標及び目標
「エコビジョン2025」に基づく活動計画の進捗状況や社会からの要請・期待等を踏まえ、2021年度より一層高い目標として「カーボンニュートラル」を掲げ、活動を開始しました。目標については、「2025年中期方針」にて明確化するとともに、優先取組課題(マテリアリティ)に関する「サステナビリティ目標」の一つとして会社経営目標にも落とし込み、前述の全社安全衛生環境委員会だけでなく、経営審議会及び取締役会で進捗状況を共有・フォローアップしています。具体的な会社経営目標は以下のとおりです。
ⅰ) Scope1・2 モノづくりにおけるカーボンニュートラル
<目指す姿>モノづくりにおける完全なカーボンニュートラルを達成
製造工程のさらなる効率化によりエネルギー使用量を減らしてCO2排出量を減少させていくことや、太陽光等の再生可能エネルギーの利用、及び生産の過程で発生するCO2を回収してエネルギーとして再利用する技術を開発・実用化させることで、モノづくりにおけるカーボンニュートラルを目指します。
2025年度には電力を100%再生可能エネルギーへ、ガスはクレジットを活用することでカーボンニュートラル化、2035年度にはクレジットを活用しない、完全なカーボンニュートラルを目指します。
ⅱ) Scope3(上流) サプライチェーンにおけるCO2排出量削減
<目指す姿>デンソーとサプライヤーとの協働によりカーボンニュートラルを実現
サプライヤーの取り組みの進捗は千差万別であるため、サプライヤーとの積極的な対話を通じて状況を把握し、省エネルギーに関するノウハウの提供、再生可能エネルギーの調達、低CO2材への変更等、サプライヤーの課題に適した支援を行っていきます。
ⅲ) Scope3(下流) モビリティ製品におけるカーボンニュートラル
<目指す姿>クルマの電動化に貢献しCO2を可能な限り削減
HEV・BEV・FCEV等の電動車の普及を支える製品・システムの開発を通じて、クルマ使用時のCO2排出量削減に貢献します。また、自動車業界で培った電動化技術を空のモビリティにも応用し、全方位でCO2排出量を大きく減少させます。
ⅳ) エネルギー利用におけるCO2排出量削減
<目指す姿>再生可能エネルギーを有効活用する技術を開発・普及し、エネルギー循環社会を実現
場所や時間の制約なく、エネルギーを高効率に「ためる」・「もどす」技術を確立し、世の中に広く普及させることで、エネルギー循環社会の実現に貢献します。
(注1)CO2排出量(グローバル/Scope1+2)について、「温室効果ガス総排出量算定方法ガイドライン」に準じて算出しています。
(注2)2020年度より、SGSジャパン株式会社による独立した第三者検証を取得しています。
(注3)2023年度のCO2排出量について、2024年5月末時点の社内算出値は95万tです。実排出量値については、2025年1月に第三者検証を取得予定です。
(補足情報)国際的な削減目標認定
2030年度までの温室効果ガス排出量の削減目標を策定し、これらの目標が、パリ協定が求める「世界の気温上昇を産業革命前より1.5℃に抑えることを目指す」ための科学的な根拠に基づくものであるとして、国際的イニシアティブ「SBTi(Science Based Targets Initiative)(注)」によるSBT認定を取得しました。
(注)SBTi:WWF、CDP、世界資源研究所(WRI)、国連グローバル・コンパクトにより設立された共同イニシアティブ。企業が具体的にどれだけの量の温室効果ガスの排出をいつまでに削減しなければならないのか、科学的知見に基づいて目標を立てられるようなガイダンスを作成。科学的知見と整合した目標(SBT:Science Based Targets)に適合していると認められる企業に対して、SBT認定を付与。
(3) 人的資本
① 人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する取組
ⅰ) 戦略
資本強化の背景
当社は、1949年の創業以来、「モノづくりと研究開発を支えるのは“ヒトづくり”である」という考えに基づき、“人”を最重要経営資本と位置付け、世の中の課題を解決し、新しい“できる”を生み出す力、「実現力」を絶え間なく積み重ねてきました。その結果、180を超える世界初の技術や製品を生み出してきました。また、1954年には技術と技能の両輪を強化すべく技能養成所を開設、現在はデンソー工業学園として技能者育成を継続し、技能五輪国際大会では累計70個を超えるメダルを獲得しています。自動車産業を取り巻く環境に大きな構造変化が起きる中、モビリティだけでなく、インダストリー・ソサエティ領域でも新しい“できる”を提供すべく、品質・コスト・供給を実現する“量産の実現力”と、お客様価値・コトの事業モデル・異業種パートナー連携を実現する“事業の実現力”をさらに磨き上げていきます。
人と組織のビジョン“PROGRESS”
当社は、2021年度より、「実現力のプロフェッショナル集団」を目指して進化・挑戦し続けるために、人と組織のビジョン“PROGRESS”を新たに掲げ、人事施策・制度の刷新を進めています。当社が目指す人財像は“情熱で自己新記録に挑むプロフェッショナル”、組織像は“多彩なプロが出会い・共創する舞台”です。人の力と組織の力が掛け合わされることで当社らしい実現力が発揮される、という考えにより、Professional(プロ)とProgress(進化・挑戦)の2つの意味を込めたビジョンのもと、2021年度からキャリア、学び・成長、評価・処遇、働き方・カルチャーの4つの柱で人事施策・制度を刷新し、挑戦し変わり続けようとする社員を後押ししてきました。
デンソーにおける人的資本経営の考え方(価値創造パス)
“PROGRESS”で推進する人的資本強化の活動はどのような結果を目指し、どのような提供価値につながるか、その全体像は下図の通りです。事業環境を先取りした人事施策・制度の刷新により、人の観点では、当社で働いて良かった、夢がかなったという社員が増加し、組織の観点では、環境と安心の理念・戦略に必要な人財の質・量が充足すると考えています。社員のエンゲージメント向上と、組織・会社の人財ポートフォリオ変革という2つの結果それぞれに定量KPIを設定することで、人事施策・制度の刷新を確実に実行していきます。ただし、施策・制度を刷新すればすぐに結果が出るわけではありません。当社では、それぞれの現場で社員が効果を実感して意識・行動が変わることをゴールと位置付け、施策・制度を丁寧に運用しています。この現場の運用力が、活動の効果を最大化し、狙った結果を実現するための源泉だからです。その上で、人的資本が生み出す提供価値を測るために、「人と組織の実現力」と「事業ポートフォリオ変革」を提供価値として位置付けています。人と組織の実現力とは、人的資本をどれだけ有効活用し、社会に向け価値を創造したかという指標であり、付加価値額を人的投資で割った人的投資生産性で測ります。事業ポートフォリオ変革は、成長事業と総仕上事業のポートフォリオ入れ替えを通じ、環境・安心の理念と収益性を両立する、事業面での価値を意味します。社員のエンゲージメントが高まり、必要な人財の質・量が充足することで、実現力のプロフェッショナル集団として社員が価値を創造する力が高まり、財務的・社会的価値の向上につながると考えています。
ⅱ) 指標及び目標
a) エンゲージメントを高める取組
エンゲージメント向上
当社は、全社員約45,000名/約2,500の職場を対象としたエンゲージメント調査を毎年実施しています。調査結果から、仕事へのエンゲージメントは個人の高い目標への挑戦意欲に、組織へのエンゲージメントは職場の成果創出にそれぞれ関連することが明らかになりました。“仕事のやりがい・働き方のポジティブ度”(仕事へのエンゲージメント)と、“職場への満足度・会社への愛着”(組織へのエンゲージメント)の肯定回答率は、2021年度の70%から2023年度75%と向上しており、2025年度は78%を目指しています。調査結果の分析に基づいて、各施策の改善にも取り組んでいます。仕事・組織へのエンゲージメントを高めるために重要な、社員のキャリア実現支援や風通し良く、活力あふれる職場づくり等を推進しています。
ア) 社員のキャリア実現支援
なりたい自分の姿を描くために、20~50代の各年代別にきめ細かくキャリアプランを考える研修を開催するとともに、部下・上司間でキャリア面談・対話の実施率100%を目指しています。特に、約3,200人の上司に対しては、自組織の存在意義や仕事の意味を効果的に浸透させ共感を生み出すための相互研鑽会や、部下との対話とキャリア実現支援の実践研修を年に3回実施しています。また、社員向けキャリア相談室等の支援体制も充実させています。さらに、社内公募や異業種を含む社外トレーニーの拡充、専門性・スキルに関する自学の環境整備等の支援も進めています。
イ) 風通し良く、活力あふれる職場づくり
毎年のエンゲージメント調査に基づき、風通し・仕事の成果・挑戦意欲の大小の観点から職場の状態を11種類に分類し、全職場に結果や好事例をフィードバックして主体的な改善を促しています。課題が多い職場には、組織開発手法を用いた相互理解促進支援等を行い、結果として挑戦意欲の高い職場が前年度比で160職場(全体の約6%)増加しました。
(注)「ワークエンゲージメント肯定回答率」は当社単体の数値を基に算出しています。
b) 人財ポートフォリオ変革の取組
事業ポートフォリオ変革のための人財ポートフォリオ
環境と安心の理念・戦略と収益性の両立に必要な人財の質・量の充足を目指して、経営のプロ、領域のプロ、多彩なプロの3つの切り口で人財ポートフォリオを定義し、人財の獲得・育成・配置を進めています。
ア) 経営のプロ
グローバルデンソーを牽引する、経営のプロ
経営と執行の一翼を担うグローバル経営リーダーを意図的・計画的に輩出すべく、候補者一人ひとりのパフォーマンスを最大化させる育成や配置を、全経営役員が参加するグローバル人財開発会議で協議し実践しています。専任のタレントマネージャーが候補者の志や強みをきめ細かく理解し、多様な経営リーダー候補の成長を支援します。また、Global Leadership Development Programでの相互研鑽やグローバルプロジェクトへの任命等を通じ、海外現地の人財育成も強化し、2030年度には海外拠点長の現地人財比率50%を目指します。
イ) 領域のプロ
イノベーションと価値を生み出す、領域のプロ
将来を見据えて、総仕上領域の事業から成長領域への人財シフトを全社を挙げて推進しています。特に注力している電動化・モビリティシステム領域へは、社内公募と採用強化も含め、2025年度までに約4,000人という大規模人財シフトを進めています。同時に、メカ・エレクトロニクス・ソフトウェア人財の交流・融合を図ることで、上流視点から製品と機能の最適な組み合わせを設計できるシステム領域のプロ人財育成を図ります。電動化が進む中でますます重要になるエネルギーマネジメント領域では、2025年度までに現状の約2倍に増員予定です。社員に対しては、各領域の専門性強化に向けた施策を充実させています。特に重要なソフトウェア領域では、ソフトウェアエンジニアのスキルを客観的に認定するソムリエ認定制度や、ハードからの転身チャレンジを後押しするソフトウェアリカレントプログラムを2021年度から展開し、2023年度末までに約210人が受講しています。さらに2022年度には、全社40領域で求められる専門性を535分類に再定義し、約15,000人のオフィス勤務者の専門性レベルを5段階で可視化しました。今後、本データを活用し、社員一人ひとりの専門性強化につなげていきます。全社員を対象にDXリテラシー向上施策も推進しています。全オフィス勤務者のデジタルツール活用度を4段階で可視化し、2024年度には最新デジタルツールの高度活用人財を50%に引き上げることを目標に、学び・実践の場をつくります。生産現場の社員約22,000人に対しては、2021年度より一人一台デバイスを配布し、2023年度末までに全員に配布を完了しました。オフィス・工場の垣根なく、全社員がデジタルで仕事の進め方を大きく変革します。
ウ) 多彩なプロ
多様な個性・価値観・経験が輝く、多彩なプロ
性別・性自認・性的指向、年齢、人種・国籍・宗教、障がいの有無、経験、価値観等、目に見えない違いも含め、多彩なプロが活躍できる環境・風土の実現に向けて、グローバルに取り組みを進めています。女性活躍では、採用・ライフイベントとの両立・昇格等のそれぞれにKPIを設定しています。また、事技職に加え、生産関係職の管理職数も目標を設定し、ロールモデル座談会や上司向けダイバーシティ研修を実施しています。性的マイノリティに関しては、パートナーシップ制度の導入やプライド月間での理解促進イベント等の取り組みが認められ、LGBTQ+への取り組みを評価する「PRIDE指標」にて2年連続で最高評価のゴールドを受賞しました。
(注)「女性管理職人数」は当社単体の数値を基に算出しています。
② 社内環境整備に関する取組
ⅰ) 戦略
a) 安全衛生
デンソーグループとしての事業基盤の確立のためには、安全衛生管理の向上は必要不可欠です。
当社が制定した「安全衛生環境基本理念」(1969年)に基づき、「安全で働きやすい職場づくりこそ、人間尊重と高生産性を両立させ得る最善策」という方針のもと、デンソーグループにおける安全衛生の継続的な向上に取り組んでいます。
b) 社員とともに進める健康づくり
心身の健康は、いきいきと働くための源であり、社員とその家族の幸せに不可欠なものです。当社では、社員の健康増進を経営課題の一つと位置づけ、「健康経営(注)」を推進しています。
2016年9月に「健康宣言」を発表するとともに、健康増進に向けた社員の意識向上と職場単位の活動促進を図るため、心身両面の健康施策の充実に取り組んでいます。
また、国内外のデンソーグループ各社で健康経営を推進するため、2019年2月に「デンソーグループ健康経営基本方針」を策定しました。この基本方針をグローバルに共有し、各国・各社の実情を踏まえた健康経営を実践することで、一人ひとりの健康意識(ヘルス・リテラシー)を向上させ、より働きやすい環境づくりにグループ全体で努めていきます。
(注)「健康経営」:NPO法人健康経営研究会の登録商標
ⅱ) 指標及び目標
a) 安全衛生
安全衛生の向上のため、安全点(災害の大きさや種類に応じてリスクを点数化した指標、低いほど良好)について目標を設定し、災害発生に至った要因を未然防止の視点から、作業面・設備面・管理面について評価しています。
2023年度は「重大災害・爆発火災防止」と「機械作動部・重量物・薬液等の“1種災害”抑止」を重点に、部門トップによる安全コミュニケーション巡回、重量物/薬液作業のリスク再評価、高リスク設備の爆発火災防止点検等、全員参加で取り組みました。結果、重大災害・爆発火災は0件を継続、安全点目標も国内グループ・海外グループ含め達成できましたが、異常停止頻度が高い設備での災害が増加傾向で、災害要因を深掘りすると「生産への焦りから手順誤り・省略」等の背景が浮かび上がりました。今一度、「安全最優先で正しい仕事」を全員参加で推進するとともに、頻発停止等作業を急ぎたくなる生産環境へのアプローチを強化していきます。
安全点
(注)点数が低いほど良好。
b) 社員とともに進める健康づくり
「健康日本21(注1)」で目標値が設定されている「健康行動」と「健康データ」に該当する、一人ひとりの健診データより点数化した当社オリジナル指標「生活習慣スコア(注2)」を設定し、全社平均値を会社経営目標値としています。
職場の健康責任者(部門長)及び健康推進リーダーに職場別集計値を通知し、効果的な健康アクションプランを立案しています。
社員一人ひとりには強み・弱み・同年代の比較・今後取り組むべきアドバイスを記載した通知書を配布し、意識啓発を行っています。
2023年度は、健康的な生活習慣実施率の底上げによって、2017年度比10%アップを目指して活動を推進しました。また、自社開発した健康アプリ「デンソー健康ステーション(DKS)」は、生活習慣スコアのみならず、健康診断データ、社員食堂での喫食データ(カロリー・塩分量等)の確認、体重・歩数・血圧等も登録できる仕組みとなっており、日々の健康管理に活用されています。
(注1)「健康日本21」:厚生労働省が策定している生活習慣病の未然防止とともに健康寿命を延ばすことを目標に国民の健康増進を促進するための方針
(注2)「生活習慣スコア」の算出方法
「健康行動」が80点満点、「健康データ」が20点満点で構成される合計100点満点のスコアで、年に1回の健康診断の結果に基づき算出しています。
生活習慣スコア
(注)生活習慣スコアは当社単体ベースで算出しています。