2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    22,210名(単体) 105,276名(連結)
  • 平均年齢
    43.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    17.5年(単体)
  • 平均年収
    8,804,235円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

 

(1) 連結会社の状況

 

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ITサービス事業

60,124

社会インフラ事業

25,264

その他

19,888

合計

105,276

(注)1 従業員数には、臨時従業員の数を含んでいません。

2 従業員数が前期に比べ13,251名減少しておりますが、当社が保有する日本航空電子工業㈱の株式の一部を売却したことにより、同社および同社の子会社が当社の連結子会社でなくなったことが主な理由です。

 

(2) 提出会社の状況

 

 

 

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年令(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

22,210

43.3

17.5

8,804,235

 

セグメントの名称

従業員数(人)

ITサービス事業

12,591

社会インフラ事業

4,464

その他

5,155

合計

22,210

  (注)1 従業員数には、臨時従業員の数を含んでいません。

 2 平均年間給与は、税込額であり、時間外給与および賞与を含んでいます。

(3) 労働組合の状況

 当社の労働組合は、日本電気労働組合と称し、NECグループの一部の会社の労働組合により結成されているNECグループ労働組合連合会(組合員数約44,000人 2024年3月31日現在)に加盟しています。また、NECグループ労働組合連合会は、上部団体の全日本電機・電子・情報関連産業労働組合連合会に加盟しています。

 なお、労使関係は安定しており、特に記載すべき事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

 

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(*1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(*2)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(*1)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

9.2

40.6

75.3

74.6

80.7

*1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。

*2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。したがって、配偶者出産休暇は含めておりません。

 

② 連結子会社

 

名称

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(*1)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(*2)

労働者の男女の賃金の差異(%)(*1)

全労働者

うち正規雇用労働者

うちパート・有期労働者

NECプラットフォームズ㈱

3.9

50.0

75.2

73.6

81.0

NECフィールディング㈱

3.5

28.9

67.5

66.9

63.7

 NECフィールディングサポートクルー㈱

50.0

(*4)

76.5

89.0

66.9

 NECフィールディングシステムテクノロジー㈱

12.5

100.0

71.9

73.4

162.3

NECソリューションイノベータ㈱

9.4

45.9

80.9

79.8

88.5

アビームコンサルティング㈱

15.8

52.6

81.0

81.7

72.3

 アビームシステムズ㈱

11.4

55.0

84.4

86.2

71.5

NECネッツエスアイ㈱

7.0

58.8

75.7

74.5

61.2

 キューアンドエー㈱

20.4

66.7

65.5

78.8

79.3

  ディー・キュービック㈱

31.3

0.0

57.0

98.1

72.3

 NECマグナスコミュニケーションズ㈱

2.7

40.0

76.1

71.9

(*6)

 NECネッツエスアイ・サービス㈱

1.9

33.3

77.7

77.2

101.2

NECネットワーク・センサ㈱

0.5

40.0

77.1

75.1

60.6

㈱オーシーシー

1.5

50.0

80.9

82.1

77.6

日本電気通信システム㈱

5.3

60.9

69.5

69.5

(*5)

NECネクサソリューションズ㈱

6.5

37.5

78.3

74.9

94.0

NECファシリティーズ㈱

1.8

41.4

77.1

78.3

72.1

 NECプラントエンジニアリング㈱

0.0

16.7

74.7

73.4

(*6)

NECビジネスインテリジェンス㈱(*3)

11.7

20.0

68.9

66.3

74.6

 NEC VALWAY㈱

28.9

44.4

77.1

77.5

88.7

㈱NECライベックス

11.6

66.7

59.7

66.3

70.2

日本電気航空宇宙システム㈱

6.9

92.9

79.2

79.2

(*5)

㈱サンネット

5.3

11.1

79.0

78.3

76.9

㈱KIS

7.0

50.0

74.7

74.7

(*5)

㈱ワイイーシーソリューションズ

1.6

25.0

68.0

72.5

72.7

 

*1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。

*2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。したがって、配偶者出産休暇は含めておりません。

*3 NECビジネスインテリジェンス㈱は、2024年4月1日付で、商号をNECマネジメントパートナー㈱から変更しました。

*4 配偶者が出産した男性労働者は0名です。

*5 パート・有期労働者は在籍していないため、公表できる数値はありません。

*6 女性のパート・有期労働者は在籍していないため、公表できる数値はありません。

 

 「管理職に占める女性労働者の割合」については、当社は2025年度末(2025年度内に2026年4月1日付で異動が決定された場合を含みます。)までに20%を達成することを目標に掲げ、女性従業員に向けてキャリア形成を考える機会の創出に取り組むなど様々な施策を推進しています。既存の育成プログラムに加え、2021年度から女性の次世代経営リーダーを育成するためのプログラムとして、対象の主任女性従業員に「Women's Leadership Program」(延べ6ヵ月間にわたり、自身が役員に就任したと想定して事業プランを描くプログラム)を提供しています。また、2022年10月から部長職以上のハイポテンシャルな女性従業員に対して、役員によるスポンサーシッププログラムを開始し、メンタリングやジョブシャドウイングなどの個別の育成を実施しました。その結果、スポンサーシッププログラム参加者の76%が1つ上のポジションへ昇格しました。加えて、プログラム終了後もスポンシー同士での勉強会などの自主活動を継続しています。

 なお、2024年度は課長職以下の女性従業員を対象とした統括部長によるスポンサーシッププログラムの実施を予定しています。

 

 当社の「男性労働者の育児休業取得率」は、2022年度の24.8%から2023年度は40.6%と向上しています。各社とも男性従業員の育児関与の促進・強化に取り組んでおり、特に日本電気通信システム㈱および日本電気航空宇宙システム㈱では60%以上の高取得率となっています。

 

 「労働者の男女の賃金の差異」は、当社をはじめ多くの連結子会社が70%台となっています。賃金の額が比較的高くなる管理職における男女の人数差が、男女の賃金の差異に影響していると考えています。なお、当社の役職別における男女の賃金の差異はおおよそ90%台半ばとなっており、格差は小さいものとなっています。

 

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

NECグループは、サステナビリティを巡る課題が、NECグループの持続可能な発展や企業価値向上に対するリスクとなるだけでなく、事業機会の創出にもつながる重要な要素だと考えていることから、「NEC Way」に基づき、①事業をとおした社会課題解決への貢献、②リスク管理・コンプライアンスの徹底、③ステークホルダー・コミュニケーションの推進を基本方針として掲げサステナビリティ経営を推進しています。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在においてNECグループが判断したものです。

 

(1)ガバナンスおよびリスク管理

 

① ガバナンス

 当社は、サステナビリティ推進担当役員であるCFO(チーフフィナンシャルオフィサー)の主導のもと、サステナビリティ経営推進のための重要事項について、具体的な議題の内容に応じ、その推進に携わる役員(以下「サステナビリティ推進関係役員」という。)と協働して、経営会議、事業戦略会議またはリスク・コンプライアンス委員会で随時議論のうえ、決定することとしています。加えて、CFOおよびサステナビリティ推進関係役員が社外有識者に諮問するサステナビリティ・アドバイザリ・コミッティ(以下「SAコミッティ」という。)を設置し、当社のサステナビリティに関する取り組みについて、最新動向に照らして客観的・専門的に議論を行うことで、不確実性が高く変化が急速に進む時代における自社の方向性を確認し、取り組みの改善につなげています。

 取締役会は、CFOおよびサステナビリティ推進関係役員から、これらの会議体やSAコミッティで討議または承認された事項の報告を受け、リスクへの対応状況を監督するとともに、サステナビリティを巡る課題への対応について、事業機会創出の観点を含め、討議しています。

 

 

 上記のサステナビリティ経営推進体制と併せて、NECグループでは環境経営のための体制を整備しており、地球温暖化がもたらす気候変動問題に対して、温室効果ガスの排出を削減する緩和策だけでなく、気候変動リスクに備えてその被害を未然に防止し、または最小限に抑えるための適応策の両面から、一貫した環境経営を推進しています。

 環境経営の実践における各組織の役割、責任および権限を特定するための環境管理規程のもと、各ビジネスユニットに設置された環境経営委員会やテーマ別専門部会で討議された事項を、重要性に応じて、各ビジネスユニットの環境推進責任者が一堂に会する環境経営推進会議でも討議しています。また、各ビジネスユニットは、各部門や国内外の関係会社における具体的な取り組みにつながる体制を整えており、事業戦略会議や経営会議、取締役会で策定された環境戦略をもとに具体的な活動計画を立案および実践しています。

 さらに、気候変動を含めた環境に関わる重要事項が事業執行に与える影響や戦略に関しては、事業戦略会議で討議し、NECグループの事業に対して特に著しい影響を及ぼす議題については、経営会議や取締役会へ付議しています。

 

② リスク管理

 NECグループでは、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、CRO(チーフリスクオフィサー)主導のもと、NECグループの事業に関連する社内外のリスクを的確に把握し対応するための全社横断的なリスク管理体制を整備しています。CROは、NECグループとして認識しておくべきリスクを網羅的にとりまとめたリスク一覧をもとに、各リスクを所管するチーフオフィサーとの対話やリスクアセスメントを実施し、外部・内部環境変化や各リスク対策の状況を踏まえて影響度・切迫性などの共通基準でリスクの優先順位を可視化したリスクマップを作成しています。

 サステナビリティ経営におけるESG視点の経営優先テーマである「マテリアリティ」(「(2)戦略並びに指標及び目標のうち重要なもの ①当社のマテリアリティ並びに指標及び実績」参照)のうち、「基盤マテリアリティ」に関連する「部品などの調達」、「人材の確保」、「内部統制」、「環境規制」、「情報管理」、「人権の尊重」、「自然災害、人災などの外的要因」などのリスクについては、サステナビリティ経営推進体制による管理を通じて影響評価を行い、潜在的および顕在的リスクに対する対応の進捗、成果や課題の把握および今後の計画などを検討することにより、リスクの低減や未然防止活動を行っています。

 一方、「2025中期経営計画」の成長事業が創出を目指す5つの社会・環境テーマを、成長・機会の創出と成長率向上のための「成長マテリアリティ」として整理し、これらの実践を通じて社会・環境価値および経済価値の大きな事業を推進するとともに、その進捗を図っています。

 また、環境領域においては、「(2) 戦略並びに指標及び目標のうち重要なもの ②NECグループの気候変動に関する戦略並びに指標及び目標」に記載のとおり、当社ではマテリアリティとして「お客さま・社会のカーボンニュートラルを実現」および「気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応」を特定しており、事業におけるリスクの低減と事業を通じた社会貢献という両面から様々な活動に取り組んでいます。このうち、気候変動への対応に関するリスクは、環境経営推進体制による管理を通じてリスク評価を行い、潜在的および顕在的リスクに対する対応の進捗、成果や課題の把握および今後の計画などを検討することにより、リスクの低減や未然防止活動を行っています。

 

(2)戦略並びに指標及び目標のうち重要なもの

① 当社のマテリアリティ並びに指標及び実績

 当社では、サステナビリティ経営におけるESG視点の経営優先テーマである「マテリアリティ」特定にあたり、グローバルなガイドラインを参考に、リスク低減と成長・機会創出の両面で、自社と社会の双方への影響を評価しています。その特定の過程においては、SAコミッティなどで社外有識者の意見を取り入れるほか、内容に応じて経営会議、事業戦略会議、リスク・コンプライアンス委員会で審議し、取締役会に報告しています。また、マテリアリティは、外部環境変化や財務・非財務指標間の相関・因果分析などを踏まえ、事業戦略の修正に応じて適宜見直しを行うことで、実効性のある取り組み目標としています。

 「2025中期経営計画」においては、「人権尊重を最優先にしたAI提供と利活用(AIと人権)」、「多様な人材の育成とカルチャーの変革」、「ICTの可能性を最大限に広げるセキュリティ」など、リスク低減および成長率向上を目的とする7つのテーマを「基盤マテリアリティ」と位置付け、「2025中期経営計画」の成長事業が創出を目指す5つの社会・環境テーマを、成長・機会の創出と成長率向上を目的とした「成長マテリアリティ」として整理したうえで、マテリアリティの進捗を図るための指標である2025年度KPIを設定しました。2023年度の取組み実績は次のとおりです。

   *1 2023年度に目標を変更したもの

   *2 2024年度に目標を引き上げたもの

   *3 2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含む。

   *4 2026年3月末日時点の当社の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP(執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP については2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含む。)

   *5 2024年3月末日時点。2024年4月1日の女性管理職比率は10.2%

   *6 2024年3月末日時点の当社の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP。2024年4月1日の役員に占める女性または外国人の割合は15.8%

   *7 他の2025年度KPIと同様に「2025中期経営計画」公表時点で設定していたが、内容の性質上、機関設計変更についての情報が公開されるまで公表を差し控えていたもの

   *8 調達金額ベースでの比率

 

・「気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応」の実績値は、本有価証券報告書提出日現在集計中のため、サステナビリティ情報を掲載した当社のウェブサイトや今後発行予定の「ESGデータブック2024」において報告予定です(「ESGデータブック2024」は、2024年度上期中に当社ウェブサイトで公表予定。)。

・「サプライチェーンサステナビリティ」については、2023年度末時点で86%となり、昨年度に引き続き2025年度KPIである75%を達成しました。本比率は調達金額ベースであるため変動しますが、2025年度末時点においても達成できるよう取り組みを継続します。

 

② NECグループの気候変動に関する戦略並びに指標及び目標

 当社ではマテリアリティの一つとして「気候変動(脱炭素)を核とした環境課題への対応」を特定しており、事業におけるリスクの低減と事業を通じた社会貢献という両面から様々な活動に取り組んでいます。また、NECグループは、2017年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同を表明し、気候変動に関する戦略として、不確実な未来への対応力を高めるため、複数のシナリオで将来起こりうる社会を予想し、対応策を検討しています。気候変動に関する政府間パネルなどの公開情報やICTの動向および社会情勢をもとに、サプライチェーン全体における中長期的なシナリオ分析を行い、次のとおり事業のリスクと機会を認識しています。

 

<認識したリスク>

リスク

シナリオ(+1.5℃

or 4.0℃)

(*1)

内容

時間軸

(*2)

財務影響/年

対策

移行
(*3)

 

+1.5℃

カーボンプライシングによるコスト増

中期

44億円

 

CO2排出量実質ゼロ(2040年)達成に向けた効率化の徹底と再生可能エネルギーの活用拡大

レピュテーションリスクによる売上減

短期

35億円

SBTイニシアティブ(*5)認定および再生可能エネルギーの活用拡大とグリーン電力の購入

物理

(*4)

+4.0℃

データセンターの気象災害(洪水、土砂崩れ、水不足など)の影響による事業停止に伴う売上減

短期

33億円

非常用電源設備などの発電設備の強化(5日間稼働分の燃料の備蓄など)

   *1 +1.5℃:脱炭素社会が実現し、2100年に気温が1.5℃上昇するシナリオ

     +4.0℃:脱炭素社会が実現せず、2100年に気温が4℃上昇するシナリオ

   *2 時間軸:短期=0~3年、中期=4~10年、長期=11~20年

   *3 移行リスク:脱炭素社会への移行に伴って、政策・法務・技術革新・市場嗜好の変化などにより発生するリスク

   *4 物理リスク:異常気象から引き起こされる事象による急性リスク(洪水や土砂災害など)と長期間での気候パターンの変化による慢性リスク(海面上昇や熱波、耕作適地の変化など)

   *5 SBTイニシアティブ:企業に対し、科学的根拠に基づく二酸化炭素排出量削減目標を立てることを求めるため、カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)、国際連合グローバル・コンパクト(UNGC)、世界資源研究所(WRI)および世界自然保護基金(WWF)の4団体により設立されたイニシアティブ

 

  <認識した機会>

機会

シナリオ

(+1.5℃

or 4.0℃)

内容

時間軸

財務影響/年

機会創出と拡大

適応

(*6)

+4.0℃

農業生産適地の変化への備えが進むことによる売上増

中期

-(*8)

AIを用いて農作物栽培を支援するサービス「CropScope(クロップスコープ)」の提供

適応

緩和

(*7)

+4.0℃

災害に強い、GHG効率の高いデータセンターへのニーズ拡大による売上増

中期

57億円

データセンターのエネルギー効率の改善(データセンターのグリーン化)

緩和

+1.5℃

再生可能エネルギーの活用拡大に伴うエネルギーソリューションの売上増

短期

120億円

仮想発電所(VPP)、電力需給管理、RA事業化(需給調整市場への参画)、xEMS(エネルギーマネジメントシステム)、再生可能エネルギーを活用したデータセンターサービス提供など

   *6 適応:すでに生じている、あるいは将来予測される気候変動の影響による被害を回避・軽減させるために備えること

 *7 緩和:気候変動の原因となる温室効果ガスの排出量を減らすこと

   *8 「農業生産適地の変化への備えが進むことによる売上増」の財務影響については、本有価証券報告書提出日現在算定中です。

 

 当社は、2017年に策定した「2050年を見据えた気候変動対策指針」に基づき、2050年までに自社の事業活動に伴うCO2排出量(Scope1およびScope2(*9))を「実質ゼロ」とすることを目指していましたが、2021年9月に、「Business Ambition for 1.5℃(BA1.5℃)」に署名し、2050年までにScope3(*9)を含むサプライチェーン全体からのCO2排出量実質ゼロを宣言しました。また、2022年9月には、サプライチェーン全体からのCO2排出量を2040年までにゼロとすることをめざすイニシアティブ「The Climate Pledge」(TCP)に参加し、従来計画比で10年前倒しとなる2040年カーボンニュートラルを宣言しました。これらの目標を強化するため、マテリアリティの2025年度KPIを「Scope1およびScope2におけるCO2排出量を25.0%削減(2020年度比)」に見直しました(「(2) 戦略並びに指標及び目標のうち重要なもの ①当社のマテリアリティ並びに指標及び実績」参照)。

 また、当社は、2030年までに「Scope1およびScope2において55%削減(2017年度比)」、「Scope3のカテゴリ1(購入した製品・サービス)、カテゴリ3(Scope1およびScope2に含まれない燃料、エネルギー活動)およびカテゴリ11(販売した製品の使用)において33%削減(2017年度比)」という目標を掲げ、2021年5月にはSBTイニシアティブからSBT1.5℃の認定を受けていましたが、2040年カーボンニュートラルを宣言したことに伴い、2024年4月には、2030年度までに「Scope1、Scope2およびScope3のそれぞれ50%以上を削減((2020年度比)」という目標に強化したことなどに対して、SBTイニシアティブからNet-Zero目標の認定(*10)を受けました。

 加えて、NECグループは、2021年に事業で使用する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際イニシアティブである「RE100」(*11)に加盟し、再生可能エネルギーの利用拡大を進めており、既に当社本社ビルやNEC Cloud IaaSのデータセンターで使用する電力を100%再生可能エネルギー由来に置き換えています。2023年度には、RE100の目標達成年度を2050年から2040年に前倒ししています。

 

 NECグループの気候変動の取り組みの詳細は、以下の当社ウェブサイトに掲載しています。

 なお、当該ウェブサイトの更新予定日は未定ですが、内容に更新があれば遅滞なく更新します。

 https://jpn.nec.com/sustainability/ja/eco/risk.html

 

*9 Scope1:事業者が所有または管理する排出源から発生する温室効果ガスの直接排出

   Scope2:電気、蒸気、熱の使用に伴う温室効果ガスの間接排出

   Scope3:Scope1およびScope2以外の事業者の関連する他社の温室効果ガス排出

   *10 Net-Zero目標の認定 :2030年度までに2020年度比で、Scope1、Scope2およびScope3のそれぞれ50%以上を削減し、2040年度までに90%以上削減を目指す。まずはこの削減を最優先し、削減が非常に困難な残余排出量は、吸収クレジットで中和することでNet-Zeroの達成を目指す。

*11 RE100 :企業が自ら事業の使用電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアティブ

 

(3) 人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略

 当社の人的資本に関する戦略(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針を含みます。)は、以下のとおりです。

 

① HR方針

 NECグループは、最大の経営資源を「人」と位置づけ、組織と人材の力を最大限に活かすための制度改革や環境整備を「人への投資」として進めてきました。2019年には、HR(Human Resources)方針「挑戦する人の、NEC。」を策定し、社員一人ひとりへの多様な挑戦・限りない成長機会の提供、フェアな評価、挑戦する社員がベストを尽くせるような環境やカルチャーの変革を進めています。

 

 

(イ)多様な挑戦機会

 社内人材公募制度(NEC Growth Careers)の拡充に取り組んでいます。機械学習を用いたAIレコメンド機能を導入しており、ポジションマッチングを加速させることでNECグループ内の人材の流動性を促進し、個人と組織が互いに選び選ばれる対等な関係を目指しています。また、2020年度にNECライフキャリア㈱を設立して以来、社員のキャリア自律・スキル開発支援を強化しています。具体的には、年間約6,000名以上が参加するキャリアデザインワークショップや年間約3,500名が利用するキャリア面談など、社員が自律的にキャリアを形成するための支援のほか、社員のスキルアップデートおよび行動変容を加速させるリスキリングプログラムを提供しています。

 

(ロ)限りない成長機会

 Code of Valuesを高次元で体現するとともに、新しい発想、柔軟な視点、豊富な経験・実績を活かした変革型リーダーシップを兼ね備えたNECグループを牽引するリーダーを育成することを目的に、将来の経営リーダーを育成するプログラム「NEC Talent Acceleration Program(NTAP)」を展開しています。また、タフアサインメントやトレーニングなどの豊富な成長機会を計画的・意図的に付与し、グローバルマーケットで勝ち続ける強い経営リーダー、強い経営チームを創出する取り組みを行っています。

 

(ハ)フェアな評価および次へ繋がるリワード

 ジョブ型人材マネジメントの実現に向けて人事の仕組み全体を整備する中で、2024年4月からジョブグレード体系と報酬制度を改めています。市場価値を反映した競争力のある報酬体系へ移行し、年齢、性別などにかかわらずパフォーマンスに応じたフェアな評価とフィードバックの徹底をはかっています。これらの制度については、各種法令、労働協約および社内規程に基づいており、役割と成果に応じた適正な賃金、賞与を支給しています。

 

 

(ニ)社員がベストを尽くせる環境、文化の実現

 社員一人ひとりが働きやすさだけでなく働きがいを持って高いパフォーマンスを発揮し、自律的に自己実現を描けるような環境づくりに取り組んでいます。

 福利厚生においては、社員一人ひとりに向けた取り組みの一つとして、Growth & Well-beingをコンセプトに、社員の自律的な成長・自己実現を支援する制度の拡充を行っています。また、健康経営にも注力しており、健康診断結果データを活用し、AIが従業員の生活習慣改善を提案する「健診結果予測シミュレーション」の実施やヘルスケアサポートを展開しています。仕事と育児の両立支援にも力を入れて各種制度の拡充・活用促進に取り組んでおり、NECグループの複数の会社において、次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画に定めた目標を達成し、一定の基準を満たした企業として、厚生労働大臣の認定(通称「くるみん認定」)を受け、当社を含む複数の会社は、その中でも高い水準の取組みを行っていると評価され、「プラチナくるみん認定」を受けています。

 さらに、社員のWell-beingと成長の実現のためには組織の観点での取組みも重要であると位置づけており、チームの力を最大限に引き出すことで組織パフォーマンスを高めることにも注力しています。例えば、ワークプレイスについては、社内外のコラボレーション空間を拡充しているほか、チームの生産性を高めるために、Digital Technologyの活用や働き方ルールのアップデートをはかっています。

 

② 「2025中期経営計画」の実現

 NECグループでは、「2025中期経営計画」において企業価値の最大化に向けたPurpose・戦略・文化の一体的な取り組みを経営方針としており、文化の観点でエンゲージメントスコアを中核指標と位置付けています。その取り組みを加速するために「2025人事中計経営戦略」として重点テーマを掲げており、多様なタレント人材の活躍、働き方マインドセット改革、「適時適所適材」の実現およびタレントマネジメントという4つの柱を定めています。これらの取り組みを通じて、市場やお客さまのみならず働く人からも選ばれ続ける企業(Employer of Choice)を目指しています。

 

(イ)多様なタレント人材の活躍

 様々な視点、知見、専門性を持つ人材が活躍し、その違いを活かして変化にしなやかに対応できる・勝ち続けることができる「組織としての総合力」を高めることを目指しています。

 多様な人材が活躍し、多角的な視点やアイデアが尊重されるカルチャーを醸成することは、イノベーションの創出のために必須かつ重要な経営戦略の一環であると考えています。そのための施策として、グローバルな人材活用、キャリア採用の拡充、女性の活躍推進、障がい者の雇用促進および性的マイノリティに対する理解と支援の促進などに取り組んでいます。このようなインクルージョン&ダイバーシティへの取り組みは、「NEC Way」におけるPrinciplesで掲げる「人権の尊重」の実践に位置付けられています。

 

(ロ)働き方マインドセット改革

 従来推進してきた社員一人ひとりが自律的に働く場所、時間をデザインする働き方に加え、2024年度からは互いに直接のコミュニケーションを行う場を活用した働き方を推進していきます。具体的には、当社においてはFace to Faceの機会を原則として40%(週2日)以上設けることを基本的な考え方とし、NECグループ各社においても各社の業態に応じてチームとしてのパフォーマンスの最大化に取り組みます。これにより、より健康で、かつ生産性および創造性の高い働き方を実現していきます。

 

(ハ)「適時適所適材」の実現

 社会価値を創造しグローバル競争に勝つために重要となるのが、「適時適所適材」の実現です。市場の変化にしなやかかつスピーディに対応するために、戦略起点で適時にその実行に必要な組織・ポジションを設計し、社内外から最適な人材を登用していきます。

 当社は、ジョブ型人材マネジメントを目指して、2018年度の評価制度改革から開始し、段階的に制度・仕組みを導入してきました。2024年4月からは、全従業員向けにジョブ型人材マネジメントを適用しています。また、社内人材公募制度(NEC Growth Careers)の拡充やNECライフキャリア㈱によるキャリア形成支援も合わせることで、会社主導のキャリア形成から脱却し、社員自らがキャリアを選択し、行動するキャリアオーナーシップの強化をはかっています。NECグループは、社会価値を創造しグローバルで「勝ち続ける企業」となるために、会社としての「適時適所適材」および社員一人ひとりの「キャリア自律」を実現し、社員および会社が「選び・選ばれる」関係において双方が成長することで、強い個人・組織を作ることを目指しています。

 

(ニ)タレントマネジメント

 「2025中期経営計画」に掲げる「国内IT事業のトランスフォーメーション」実現のため、社会価値を創造・実装し続けるDX人材(*1)を12,000名(*2)確保する計画を掲げ、DX人材育成の強化を進めています。また、次世代リーダー人材の育成として、有望人材にタフアサインメントやトレーニングなどの豊富な成長機会を提供し、成長のスピードを加速する取り組みを行っています。

 

*1 当社が各定義および要件を定めるコンサルタント、データサイエンティスト、サイバーセキュリティ人材などを指しており、当社および次の連結子会社等を対象としています。
NECプラットフォームズ㈱、NECソリューションイノベータ㈱、日本電気通信システム㈱、NECネクサソリューションズ㈱、NECビジネスインテリジェンス㈱、NECネットワーク・センサ㈱、NECスペーステクノロジー㈱、日本電気航空宇宙システム㈱、NECライフキャリア㈱、㈱日本電気特許技術情報センター、NEC企業年金基金

*2 2024年度に目標を10,000名から引き上げました。

 

(4) 人的資本(人材の多様性を含む)に関する指標及び目標

 上記「(3)人的資本(人材の多様性を含む)に関する戦略」における「2025中期経営計画」およびそれに沿った「2025人事中期経営戦略」において、達成指標を設けています。

 

① 2025中期経営計画・文化における指標:エンゲージメントスコア50%(2025年度)

 「NEC Way」のもとに多様な人材が集い、イノベーションを追求する会社、社員に選ばれる会社を目指し、2025年度にエンゲージメントスコア(*1)50%を達成することを目標として掲げています。2023年度のエンゲージメントスコアは39%であり、毎年度継続して上昇しています。

 

② 2025人事中期経営戦略:多様なタレント人材の活躍

 女性や外国人従業員に代表される多様な人材の積極的な登用と計画的な育成により、イノベーションの源泉であるダイバーシティを加速させます。2025年度末までに達成を目指す目標および2023年度末の実績(*2)は、次のとおりです。

区分

2025年度末目標

2023年度末実績

役員(*3)に占める女性または外国人の割合(%)

20

15.3

全管理職に占める女性の割合(%)(*4)

20

9.2

 

③ 2025人事中期経営戦略:タレントマネジメント

 育成と獲得により、2025年度にDX人材を12,000名(*5)とすることを目標として掲げています。2024年3月末日現在、DX人材は10,376名在籍しています。

 

*1 One NECサーベイ(キンセントリック社によるグローバルサーベイを利用)に参画している当社および連結子会社(2023年度は45社)における調査結果に基づきます。
目標値であるエンゲージメントスコア50%は、「2025中期経営計画」を策定した2021年5月時点で、グローバル企業の上位25%タイルに相当します。

*2 本指標における取組みは、連結グループに属する全ての会社を対象として実施していないため、目標および実績は、当社の数値を記載しております。

*3 2025年度末目標における役員とは、2026年3月末日時点の取締役、執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP(執行役、Corporate SEVP、Corporate EVPおよびCorporate SVP については2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含みます。)を指します。

*4 全管理職に占める女性の割合は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出しています。また、2025年度末目標は、2025年度内に決定された2026年4月1日付異動を含みます。

*5 2024年度に目標を10,000名から引き上げました。