2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは以下の通りであります。これらのリスクは、全てのリスクを網羅したものではなく、予測し難い事業等のリスクが存在するものと考えております。当社では、様々なリスクに対応するために、定期的にリスクマネジメント委員会を開催する等、リスクの把握とその軽減策を講じるよう努めております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  海外事業について

当社グループは、売上高全体に占める海外向けの比率が高く、アジア地域に複数の生産拠点を配置することによりサプライチェーンを構築しております。それに伴い、対象国の経済動向、社会情勢及び政治状況の変化や自然災害等に伴うリスクが存在します。こうしたリスクの顕在化により当社グループ子会社が営む事業の遅延、中断及び中止等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループにおいては、当該リスクを軽減するために、各事業の特性を踏まえた複数拠点での生産対応、また非常時に備えた製品及び主要材料等の在庫保有や自家発電設備の設置等、各拠点の事情に応じた対策を進めており、安定供給と事業保全の両立を図っております。

 

(2)  為替相場の変動について

当社グループは、売上高全体に占める海外向けの比率が高く、外貨取引及び保有に伴う為替変動リスクを抱えております。急激な為替相場の変動が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、外貨建の債権債務のポジションを掌握し、受取外貨による外貨支払を基本線としつつ、必要に応じて外貨の円転及び外貨の購入等を機動的に実施しております。

 

(3)  原材料等の価格変動・安定調達について

当社グループは、アルミ線をはじめとした原材料等を仕入れており、材料価格の変動の影響を受ける可能性があります。この影響を受けやすいリード端子事業につきましては、材料価格の変動を販売価格に反映させることにより価格変動リスクの低減に努めております。また、様々な事故や自然災害の発生に伴うサプライチェーンの混乱や倒産等による調達先からの原材料等の安定調達に支障が出た場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、調達先に対して定期的に監査等の調査を行うと共に、調達ルートの複数化を進める等、安定調達に努めております。

 

(4) 価格競争について

当社グループは、グローバルニッチ市場において競争力の高い製品の提供に努めておりますが、一定の競合他社が存在しております。競合他社の価格政策等によって価格競争が激化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、高付加価値製品の開発を進めると共に高い市場シェアを維持しており、非価格競争を以て経営成績等への影響を最小限にすべく対応しております。

 

(5)  天候・自然災害等について

当社グループは、多くの生産設備を有しており、地震や風水害等の予期せぬ自然災害等、また不測の事態や火災等の事故が発生した場合には、生産能力の著しい低下等が生じる可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、各生産拠点において、生産設備の定期的な災害防止検査・点検の実施、止水、耐震対策等を順次進めることにより生産設備の保全に努めております。

 

 

(6)  研究開発について

当社グループは、既存製品及び新製品の研究開発等により技術力の向上を図っておりますが、競合他社との開発競争の激化等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、当社が競争優位性を持つ分野に研究開発リソースを絞り込む「ニッチトップ戦略」により、市場における技術優位性の維持に努めております。

 

(7)  製品の品質について

当社グループは、IATF16949やISO9001等の各種品質標準の認証取得に加えて、当社グループが定めた品質方針に基づき、業界をリードする高い品質の実現に注力しております。しかしながら、何らかの原因により当社製品に欠陥が生じた場合や、製造物責任による高額な賠償金の支払い義務、品質不良に起因する高額な間接的損害が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、継続して品質管理体制の強化に努めるとともに、付保状況の見直しや、国内外PL(製造物賠償責任)保険への加入を鋭意進めております。

 

(8)  人材確保について

当社グループが企業の価値を永続的に高めていくためには、研究開発や製造、マネジメントをはじめ、各部署に必要な人材の確保が不可欠であります。企業間の採用動向や労働人口の変化が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、新人・中途採用を問わず計画的・継続的な人材採用や育成、福利厚生の充実等の対策を行っております。

 

(9)  他社との提携の成否について

当社グループは、持続的な事業の成長を果たすため、必要に応じて社外から新たな技術の獲得や、業務提携、またM&Aの可能性があると考えております。M&Aの実現や業務提携等には、多額の投資を必要とすることに加えて、知的財産権や人的な問題等が発生する場合があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、M&Aや業務提携にあたりましては技術面だけでなく、財務・法務等に係る総合的なデューデリジェンスを実施し、対象会社のリスクを適切に把握のうえ実行してまいります。

 

(10) 情報セキュリティについて

当社グループは、事業経営に関わる多岐にわたる重要機密情報を有しておりますが、標的型攻撃やランサムウェア等、増加・深刻化するサイバー攻撃による当該情報の漏洩や業務の停止が発生することで、当社グループにおける調達体制、生産体制、物流体制、販売体制等、事業活動の継続に影響が生じる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、「情報セキュリティ基本方針」等の情報管理に関する規程を定め、また従業員に対して情報管理に関する教育を行うと同時に、グループ各拠点のいずれにおいて情報セキュリティに関する問題が発生しても、損害を最小限にとどめて供給責任を果たしうる体制の構築及び管理ソフトウェアの導入を推進する等、情報管理体制の強化に努めております。

 

(11) 知的財産権について

当社グループは、弛まぬ研究開発を重ね、競争優位性の源泉たる技術の蓄積を図り、知的財産権としての権利化を進め、法的保護に努めておりますが、知的財産権の不正利用や他社との特許紛争等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、管理する知的財産権に関して、第三者による権利の侵害リスク調査や他社に対する特許侵害回避のための専門家との連携等、調査の充実と適切な判断を行う体制を構築しております。

 

 

(12) コンプライアンスについて

当社グループは、当社グループが事業を展開する国又は地域において、環境法令等多くの法令・公的規制による影響を受けております。そのため、法令等の重要な変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。さらに、万一、各種法令諸規則に抵触する行為が発生し、コンプライアンス上の問題に直面した場合には、監督官庁等からの処分、訴訟の提起、係争中事案の進展、社会的信用の失墜等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクを軽減するために、各種法令や諸規則が遵守されるよう全ての役員及び従業員に対してコンプライアンスの徹底を行っております。具体的には、コンプライアンス研修等の実施や、コンプライアンス管理規程の制定、コンプライアンス委員会の設置・運営等により、コンプライアンスの風土醸成と全社的推進を図っております。

 

(13) 固定資産の減損について

当社グループは、工場、機械設備等多くの固定資産を保有しており、四半期毎に各拠点において当該資産の減損兆候の判定を行っております。業績変動等を理由に減損の兆候が生じ、固定資産の減損を行う必要が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 特定人物への依存について

当社の代表取締役である石井太は、当社グループの研究開発や営業政策の他、様々な経営判断に対して高い知見を有しており事業運営において極めて重要な役割を担っております。当社グループは、取締役会や経営会議等において役員及び従業員への情報共有を行うことで経営管理体制の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により業務遂行が困難になった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 大株主について

当社の代表取締役である石井太及び同氏の資産管理会社であるアイエフマネジメント株式会社が、本書提出日現在で発行済株式総数の63.6%を所有しております。同氏は、安定株主として一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針であります。同氏は、当社の代表取締役であることから、当社といたしましても安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により同氏により当社株式が売却された場合には、当社株式の市場価格及び流通状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、持続的な事業の成長及び企業価値の増加に向けて設備投資・研究開発投資・M&A等に積極的に資金を投入するとともに、利益還元を強化し、継続性、安定性に十分留意しながら充実した配当を実施していくことで、株主様のご期待に総合的に応えていきたいと考えております。

内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える技術開発及び製造体制を強化し、更には、グローバル戦略の展開を図るために有効投資してまいりたいと考えております。

こうした状況を踏まえ、配当方針につきましては連結配当性向30%を目標とし、中長期的な業績の拡大に対応した株主還元の強化を図ってまいります。また、経済環境が変化した場合でも安定的な配当を実施できるようDOE3%以上を新たな目安として設定いたします。

なお、当社は12月31日を基準日として、年1回の期末配当を行うことを基本方針としており、決定機関は株主総会であります。また、取締役会の決議により、6月30日を基準として、中間配当ができる旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額 (百万円)

1株当たり配当額 (円)

2024年3月28日

定時株主総会決議

539

60.00