2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

これらのリスクを認識した上で、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している方法などにより、事態の発生の回避及び発生した場合の対応に努めます。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)国内アスファルトプラント関連事業に関するリスク

 <競合相手との差別化が十分にできないリスク>

 国内のアスファルトプラント市場は当社と他1社でほぼ100%の市場シェアを占める寡占市場です。当社の市場シェアは70%以上あり、トップメーカーとしての位置づけは永年にわたって変わっておりません。当社としては、圧倒的なトップメーカーの地位を将来にわたって維持するために、カーボンニュートラル・CO2削減に貢献できる新製品開発や、メンテナンス事業のビジネスモデル変革を進めること、遠隔化・自動化サポートで差別化を図っております。しかしながら、十分な製品開発ができない場合や、他社が当社と遜色のないきめ細かなメンテナンス体制を整備してきた場合、顧客に対して差別化の訴求力が弱まる可能性があります。

 

 <海外メーカーの日本市場への参入リスク>

 近年には、国内アスファルトプラント市場への海外メーカーの参入はありませんが、中国・韓国メーカーは徐々に技術力をつけてきており、日本市場参入を計画している可能性があります。十分なメンテナンス体制がない中での海外メーカーの日本市場参入は容易ではありませんが、母国市場での成長が止まった暁には日本市場参入を本格的に検討してくる可能性があります。海外メーカーが国内市場に参入してきた場合にはメーカー間での競争が激化する可能性があります。

 

 <道路舗装業界再編による市場縮小のリスク>

 大手道路舗装会社の組織再編が活発になっており、今後、道路舗装業界の再編に発展する可能性があります。業界再編により、アスファルトプラント工場の集約化が進めば市場が縮小する可能性があります。

 

 (2)環境負荷低減への取り組みに当社の技術革新が間に合わないことに関するリスク

 アスファルトプラントでは主に化石燃料をエネルギー源として使用しています。アスファルト合材製造のため、国内で年間約130万トンのCO2が排出されていると推計され、市場シェアからそのうち7割は当社製プラントからの排出と考えられます。当社としてはお客様である道路会社と緊密に連携しながら、アスファルトプラントの燃料効率向上や熱源の転換(カーボンニュートラル燃料、エレクトロヒート等)、合材の搬送方法の革新による輸送効率向上、アスファルトプラントで排出されたCO2の回収、生コンへの吸着技術など、より早い時期での社会実装を目指して取り組んでいますが、今後、世界の環境負荷低減の動きが想定を上回る速さで進んだ場合に、当社の技術革新が間に合わない可能性があります。

 

 (3)海外事業に関するリスク

 <中国のアスファルトプラント・ハイエンド市場が競争激化するリスク>

 中国のアスファルトプラント市場で当社はハイエンド機種のカテゴリーですでに一定のポジションを確保し、毎年、安定的に売上・利益を計上しております。これまでのところ、ハイエンド市場の競合相手はヨーロッパ企業2社と中国のトップ企業1、2社であり、激しい競争環境にはありません。しかしながら最近、中国企業が全般的に技術力をつけており、将来的にはハイエンド市場においても多くの中国メーカーが参入し、激しい競争が繰り広げられる可能性があります。

 

 <ASEAN市場で計画どおりの販売計画が達成できないリスク>

 当社の成長戦略として、2020年度、タイに製造現法を設立し、10億円を超える工場への投資をしておりますが、タイ及びASEAN諸国で毎年、安定的に当社のアスファルトプラントが販売できることがこの投資の前提となっております。しかしながら計画に反して当社のプラントがタイを始めとするASEAN諸国の顧客の支持を十分に得られず、販売台数が伸びない場合や工場の生産性が改善せず赤字が続く場合には工場の減損リスクが生じます。

 

 (4)公共投資予算削減に関するリスク

 過去、自民党政権から民主党政権に代わった際に「コンクリートから人へ」がスローガンになり、その当時、当社の多くの顧客は、設備投資を抑制する動きに出ました。その結果、当社の売上は大きく減少しました。将来、公共投資抑制策をかかげる政権に代わった場合、前回の民主党政権交代時と同様、顧客に投資抑制の動きが出る可能性があります。

 

 (5)現場作業従事者の人材確保に関するリスク

 当社の事業モデルでは、プラント製造から現場での据付工事、更にはメンテナンスサービス提供を自社で行っております。メンテナンスサービスにおいては、IoTの活用等によるメンテナンス業務のシステム化を通じた省人化を進めていますが、近年、メンテナンスサービス要員、工事施工要員などの現場作業従事者の採用が、人手不足の中で難しくなっております。これら現場作業従事者の採用が必要人数に満たない場合、競争優位性のある当社事業モデルを維持することが難しくなる可能性があります。

 

 (6)材料等の価格上昇に関するリスク

    依然として物価上昇、インフレ懸念は高い状況が続いており、今後もこの状況が続く場合は、当社が購入する材料等の価格も上昇し収益が悪化する可能性があります。また、物価上昇が当社顧客に与える影響により、当社顧客が設備投資計画を延期、見合わせる可能性があり、当社の売上高が減少する可能性があります。

 

 (7)地域紛争の増加、激化に関するリスク

    ロシアのウクライナ侵攻、中東紛争等地域紛争の増加、激化影響による原油等の価格上昇や世界経済の変調によって、当社顧客の設備投資計画等が影響を受ける可能性があります。

 

 (8)為替相場変動に関するリスク

    当社のモバイルプラント事業における主力商品はヨーロッパから輸入し、販売しております。輸入する場合は、事前の外貨購入や為替予約をすることにより為替変動に関するリスクをヘッジしておりますが、ヘッジができていない場合には為替相場の変動リスクを受ける可能性があり、円安が進む場合は当社販売商品の価格競争力が低下する可能性があります。

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主の皆様への利益還元を経営の重要課題のひとつと位置付け、基本的にその期間の業績に応じて配当をすべきものと考えております。そのため、株主の皆様のご期待に沿うべく、経営基盤の強化並びに企業価値の増大に努めつつも、内部留保の充実、配当の安定継続性等をも総合的に勘案して配当額を決定することを基本方針としております。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

     当事業年度の配当金は、中間配当として、1株当たり15円(普通配当)を実施しているので期末の配当金15円(普

    通配当)を実施することにより、年間1株当たり30円(普通配当)となります。

 内部留保資金につきましては、今後予想される経営環境の変化に対応すべく、今まで以上にコスト競争力を高め、市場ニーズに応える技術・製造開発体制を強化し、さらには、グローバル戦略の展開を図るために有効投資したいと考えております。

 当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当金として剰余金の配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月13日

574

15.00

取締役会決議

2024年6月21日

574

15.00

定時株主総会決議