リスク
3【事業等のリスク】
当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開しています。当社グループを取り巻く経営環境において、現在予見可能な範囲で考えられる主な事業等のリスクは次のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。
<戦略リスク>
(1) 製品・ソリューション戦略
当社グループは、「ものづくりと技術の革新で新たな価値を創り、人、社会、地球が共に栄える未来を切り拓く」ことを存在意義として定義しており、将来の市場や社会のニーズを踏まえて新たな製品・ソリューションの創出、市場導入を進めています。しかしながら、顧客のニーズに合致した製品・ソリューションを市場が要求する時期までに開発できない場合や、当社グループが開発・提供した製品・ソリューションが顧客の評価を得られない場合には、市場での競争力を失う可能性があります。
また、当社グループの事業、製品は、多くの国のますます厳しくなる環境規制に対応する必要があり、世界では気候変動の要因とされる温室効果ガスの削減への取り組みが進められています。そのため、当社グループは各国においての環境規制及び関連法規等を順守するため、また気候変動への対応のため、研究開発費をはじめ多くの経営資源を投入しています。しかしながら、将来において環境規制の変更や気候変動の影響により、当社グループにとって更に多くの費用や設備投資が必要になった場合、あるいは製品の開発、生産、販売・サービス活動等に支障をきたした場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(2) 事業環境
当社グループのおかれる事業環境や製品の需要は、地域により異なる経済・市場環境、政治・社会情勢及び競争条件等により、大きく変動する可能性があります。
当社グループの事業は、先進国市場においては総じて景気循環的な産業であり、住宅着工、工業生産水準、インフラへの公共投資、民間設備投資等の、当社グループにとってコントロール不能な要因が当社グループ製品の需要に影響を与える可能性があります。新興国市場においては、需要動向について常に注意を払っていますが、資源需要や資源価格の変動、通貨価値の急激な変動等、不安定な要因を多分にもっており、この変化が当社グループの経営成績に不利益な影響を与える可能性があります。また、当社の予期せぬ方向に世界的規模で同時に経済・市場環境が急激に悪化した場合は、更に受注の減少、顧客によるキャンセルの増加、債権回収の遅延等が発生する可能性があります。
これらの事業環境の悪化が、売上高の減少、在庫水準・生産能力の不適正化を生じさせ、収益性の低下や追加費用の発生を通じて、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(3) 事業投資
当社グループは、国際的な競争力を強化するために、様々なビジネスパートナーとの提携・協力や企業買収等を行っており、それらを通じて製品の開発、生産、販売・サービス体制の整備・拡充、ソリューションビジネスの展開を図っていますが、その期待する効果が得られない場合、あるいは提携・協力関係が解消された場合には、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(4) 社会課題への対応
当社グループは、世界各国において事業を展開しており、気候変動、水資源の枯渇、人権の問題等の様々な社会課題を認識しています。これらの社会課題に誠実に対応し、グローバル企業として社会・環境に対する責任を果たしつつ、事業活動を通じて社会に貢献していくことを目指していますが、社会からその対応が不十分とみなされる可能性があり、その結果、ブランドイメージや社会的信用の低下により、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
<オペレーショナルリスク>
(1) 製品の安全・品質
当社グループの提供する製品は、社内で確立した厳しい基準の下、品質と信頼性の維持向上に努めています。万が一、予期せぬ製品の設計・製造に起因する不具合で事故等が発生した場合には、リコール等の改善措置を行っていますが、損害に対する賠償等の発生や、当社グループの評判・信用失墜により当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(2) サプライチェーン
当社グループの部品・資材の調達は、素材市況やエネルギー価格の変動に影響を受けます。鋼材等の素材価格や原油・電力等のエネルギー価格の高騰は、当社グループ製品の製造原価の増加をもたらします。また、部品・資材の品薄、調達先の倒産あるいは生産打ち切り、多国間での輸出入規制、国際輸送の混乱等により、適時の調達・生産が困難になり、生産効率の低下や販売機会を逸する可能性があります。材料費の増加等による製造原価の上昇については、原価低減や販売価格の見直し等によって対応し、適時の調達・生産の問題については、調達先の複数化と生産体制の相互供給化、安全在庫の保有、関係各部門の連携による生産管理の強化等により影響を最小限にする考えですが、グローバルサプライチェーンの混乱、予期せぬ素材やエネルギー価格の高騰、これら供給の逼迫の長期化は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(3) 人材獲得・育成
当社グループでは、人材は新しい価値を生み出す重要な経営資源の一つと捉えており、こうした考えの下で継続的に人材への投資を行っており、社内外の環境変化や経営方針との連動を意識しながら、会社・従業員双方の持続的な成長・発展を目指しています。しかしながら、労働人口の減少等による人材確保競争が激化することにより当社グループが必要とする人材の確保・育成が計画的に進まない場合、当社グループの経営計画の実行及び持続的な成長に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 情報セキュリティ
当社グループは、グローバルな事業活動において顧客情報・個人情報等を入手することがあり、また営業上・技術上の機密情報を保有しています。これらの情報の保管に加え、当社グループの様々な業務を遂行するために社内外のシステムを利用しています。当社グループは、これらの情報の機密保持及びシステムの安定稼働に細心の注意を払っており、コンピューターウィルスへの感染、サイバー攻撃等による不正アクセス、改ざん、破壊、漏洩及び滅失等を防ぐため、管理体制を構築するとともに、合理的な技術的対策を実施するなど、適切な安全措置を講じています。しかし、顧客情報・個人情報等の漏洩・滅失等の事故が起きた場合には、損害賠償責任を負ったり、当社グループの評判・信用に悪影響を与えたりするなどのリスクがあります。また、想定を超えた地震・火事などの災害や電源設備の障害等により当社グループが利用する社内外のシステムが停止するリスクもあります。サイバー攻撃やなりすまし等の不正行為の脅威はますます高まっており、当社グループ若しくは当社の主要サプライヤーにて被害が発生した場合は重要な業務の中断による生産や販売への影響を与えるリスクがあります。また、営業上・技術上の機密情報が漏洩・滅失した場合若しくは第三者に不正利用された場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。更には、サイバー攻撃が高度化すると、情報セキュリティ対策強化のためのコストが増加するリスクがあります。
(5) 知的財産
当社グループでは、当社グループ製品に関連する多数の特許権、商標権、その他の知的財産に係る権利を取得しています。しかしながら、国又は地域によっては、これらの知的財産権が完全に保護されない場合、若しくは限定的にしか保護されない場合があり、第三者が当社グループの知的財産権を使用して類似した製品を製造、販売することを防止できない場合には、売上高の減少等により当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
<財務リスク>
(1) 金融市場の変動
当社グループは、資産の効率化を進めていますが、金融機関からの借入や、社債の発行等による有利子負債があります。長期の固定金利調達を織り交ぜることにより、金利変動リスクの影響を軽減していますが、市場金利の上昇は、有利子負債の支払利息を増加させ、当社グループの利益を減少させるリスクがあります。また、当社グループの年金資産に関しては、定期的に運用状況の評価やポートフォリオの見直しを行っていますが、市場性のある証券の公正価値や金利など金融市場における変動が年金制度の積立不足金額や債務を増加させ、年金費用の増加となり、当社グループの経営成績や財政状態に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(2) 税制
グループ会社間の国際的な取引価格に関しては、適用される日本及び相手国の移転価格税制を順守するよう細心の注意を払っていますが、税務当局から取引価格が不適切であるなどの指摘を受ける可能性があります。更に政府間協議が不調となるなどの場合、結果として二重課税や追加課税を受ける可能性があります。これらの予期しない事態に直面した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(3) 為替変動
当社グループの海外売上高の主要な部分が、外国為替の変動の影響を受けます。通常は、他の通貨に対して円高になれば当社グループの経営成績にマイナスの影響を及ぼし、円安になればプラスの影響を及ぼします。また、外国為替の変動は、同一市場において当社グループと外国企業が販売する製品の相対的な価格や、製品の製造に使用する材料のコストに影響を与える可能性があります。これに対し当社グループでは、グローバルに生産拠点を配置して生産を行うなど、このリスクを軽減するよう努めています。また、当社グループは、短期の為替変動の影響を最小にするためヘッジ取引も行っています。しかし、為替レート水準の予期せぬ変動は、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
<ハザードリスク>
(1) 戦争・テロ・地政学リスク
当社グループは、開発・生産・販売等の拠点を世界各国に設け、グローバルに事業を展開しており、特定地域における社会的、政治的、軍事的な緊張の高まりは、当社の事業へ影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、多様化する地政学リスクがもたらす資源価格変動や輸出入規制、サプライチェーンへの影響等を最小限にすべく、各国の政治・経済情勢や法規制の動向を確認し、状況の分析及び対応を行っています。しかし、グローバルでの政治的分断、軍事的緊張によりサプライチェーンの混乱や金融・経済への影響が生じる可能性があります。当社グループでは、経済安全保障推進法をはじめとする経済安全保障関連・諸規制の動向について情報の収集と分析にあたっていますが、予期しない事態に直面した場合、当社グループの経営成績に不利益な影響を与えるリスクがあります。
(2) 自然災害・事故・感染症等
当社グループの拠点において、地震・津波・水害等の自然災害、感染症の流行、放射能汚染、暴動、火災・爆発等の災害事故、第三者による当社グループに対する非難・妨害が発生し、短期間で復旧不可能な甚大な損害を被る可能性があります。また、当社グループが直接の損害を受けない場合でも、物流網及び供給網の混乱、電力・ガス等の供給不足や通信障害、協力企業の生産障害等が長期にわたり継続する可能性があります。当社グループでは、これらのリスクの顕在化に備え、事業継続計画の策定及び訓練等を行っており、重大リスクが顕在化した場合は、緊急対策本部を設置し、被害を最小限にするための適切な措置を講じます。
配当政策
3【配当政策】
当社は、持続的な企業価値の増大を目指し、健全な財務体質の構築と競争力強化に努めています。配当金については、連結業績に加え、将来の投資計画やキャッシュ・フローなどを総合的に勘案し、引き続き安定的な配当の継続に努めていく方針です。具体的には、連結配当性向を40%以上とする方針です。
配当の実施については、期末配当及び中間配当の年2回とし、期末配当は定時株主総会の決議事項、中間配当は取締役会の決議事項としています。
第155期の剰余金の配当については、上記配当方針の下、当期の業績及び今後の事業展開等を勘案し、期末配当金は1株当たり95円とし、中間配当金72円と合わせ、年間配当金167円とする予定です。
内部留保金については、更なるグローバル化や技術に優位性ある新商品の開発・導入等に積極的に投資をし、グループ全体での事業の拡大・経営基盤の強化に努めていく考えです。
また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めています。
なお、第155期の剰余金の配当は以下のとおりです。
決議年月日 |
配当の金額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年10月27日 |
68,139 |
72 |
取締役会 |
||
2024年6月19日(予定) |
89,907 |
95 |
定時株主総会(注) |
(注) 2024年3月31日を基準日とする期末配当であり、2024年6月19日開催予定の定時株主総会の議案(決議事項)として提案しています。