2023年12月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下の事項は、当社グループに係る全ての事業等のリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測し難い事業等のリスクが存在するものと考えます。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資判断、あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な開示の観点から記載しております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業環境の変化に関するリスク

①原材料の供給及び価格について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

当社グループ製品の製造に使用する原材料及び部品類の仕入先における事業継続不能な不測の事態の発生、原料不足や経済環境の激変等何らかの理由により、必要な原材料等の適正な価格での適正な量の確保が困難になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

  また、当社グループの製品の大半に特定の取引先(以下この項目において「取引先」という)から調達する原材料を使用しております。取引先とは取引基本契約を締結しており、現時点においても当該契約の継続に支障となる要因は発生しておりませんが、将来において何らかの予期せぬ要因により、契約の変更や取引の縮小等が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 当社グループでは、当該取引先との良好な関係を維持できるよう努めると同時に、複数購買による購買ルートの検討、確保等を進めることにより、安定した原材料及び商品の調達に努めております。

また、取引先との取引については、何らかの要因により、取引先からの供給が困難になった場合であっても、取引先において常時3か月間の在庫を継続運用するといったBCP対策も確認しており、また取引先との取引継続が困難になった場合であっても、契約上、供給停止に至るまでの猶予期間を設けております。これらの猶予期間内で、取引先による製造体制の復旧、また当社の他の製品に使用している原材料への置き換え、もしくは他社から代替品の調達は可能であります。このように、当社の生産が停止するような重大な影響を及ぼす事態にならないよう努めております。

 

 

 

 

 

 

②市場環境について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

当社グループは、デシカント除湿機、VOC濃縮装置、全熱交換器等の製造販売及び据付・保守管理を主要事業として展開しており、当社グループの売上高は、基本的には顧客の設備投資動向に影響を受けやすい傾向にあります。

  経済情勢の変化等の影響を受け、顧客の投資計画の中止・延期、内容の変更等により、想定を上回る需要の減退が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

スウェーデン、ポーランド、アメリカ、中国、韓国等の各子会社との緊密な連携のもと、現地で製造を行い、ヨーロッパ、アメリカ、アジアをはじめ、約50か国にその販売網を広げており、特定地域の需要動向に影響を受けにくいビジネスモデルを構築しております。また、国内においては客先納入後のメンテナンスサービスまで自社サービスとして提供しており、当該収益は需要動向影響を受けにくく、事業の下支えとなっております。今後、海外でもサービス提供を拡充してまいります。

 

 

 

 

 

 

 

③競合について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

当社グループは、事業を展開する市場において、価格、機能や納期を含む様々な要素での競争にさらされております。競合他社による画期的なコスト低減策や強力な価格政策等により当社グループの製品が価格競争力を失う場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

対応策

顧客のニーズを満たす製品開発・改良、サービス体制の強化、積極的なソリューション提案を重ね、価格競争が激化する市場において、高付加価値を提供する当社グループのポジショニングを維持できるよう努めてまいります。更に、グローバル市場で勝ち残るため、引き続き世界主要拠点での生産体制を維持し、同時にコスト削減の追求等にも取り組んでまいります。

 

 

 

 

 

 

④海外事業について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 当社グループはグローバルに事業展開をしており、当社グループの業績は国内の景気動向とともに、海外諸国の経済動向、社会情勢及び地政学的リスク等に影響されます。今後の内外経済環境の先行きについては引き続き不透明な状況にあり、社会情勢の混乱及び地政学的リスク等が現実化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

  米中貿易摩擦、新興国の成長鈍化、中東及び北朝鮮での地政学的リスクの増大等により世界経済が低迷する場合、当社グループの主要な販売地域にも悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 当社グループを取り巻くマクロ経済環境について注視しながら事業展開を進めていく方針です。

 

 

 

 

 

 

(2)当社グループの事業活動に関わるリスク

①安全性について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

 国内外の当社グループ及び顧客やパートナー企業において、地震、台風等の自然災害や、人的・物的事故により、施設や機能の全て又は一部が停止する事象が発生した場合、サービスを提供できないことで、損失が出るおそれがあります。

  重大な事故・労働災害等が発生した場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 当社グループでは、製造及びサービスメンテナンスに携わる社員及び協力会社等への安全教育を徹底することにより事故防止に努めております。

 

 

 

 

 

 

 

②為替レートの変動について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

 当社グループは、国内外で事業を行っているため、為替レートの変動の影響を受けます。為替レートの変動は、常に当社の事業活動の成果や海外資産の価値及び生産コストに影響を与えるため、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローへ影響を及ぼす可能性があるとともに、事業活動の結果について期間ごとに比較することを困難にする場合があります。また、為替レートの変動は、当社グループと海外の競合企業が同一市場で販売する製品の価格競争や、当社の事業活動に必要な輸入品の仕入価格にも悪影響を及ぼす場合があります。

対応策

 為替レートの変動について、主に短期の為替予約を行うことにより、この影響の軽減に努めております。

 

 

 

 

 

 

③取引先の情報管理について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 当社グループでは事業の過程で取引先の機密情報や顧客の個人情報を受け取ることがあります。また、当社独自の営業秘密や従業員の個人情報も取り扱っており、意図的な行為や過失等により外部に流出する可能性があります。これら情報の流出により賠償責任が生じる可能性があり、対策のための多大な支出が発生する可能性があります。また、当社グループの事業やイメージが悪影響を受ける可能性があります。

これらの結果、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 「情報セキュリティ管理規程」を制定し、これらの重要な情報を適切に扱うよう全従業員に周知徹底をしております。

 

 

 

 

 

 

④新製品及び新技術開発について

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

 市場ニーズに対してタイムリーに新製品を提供できなかった場合や新製品が市場ニーズに適合しなかった場合、異業種メーカーの参入によるサプライチェーンの再編や予期せぬ新技術の台頭があった場合等は、収益性や成長性が低下する等当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

CO2の濃縮等の次世代技術開発をはじめとして、模倣困難性の高い新製品及び新技術の開発を行っております。

 

 

 

 

 

 

⑤製品の品質について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 製品の品質や安全性において重大な欠陥が発生した場合、その欠陥に起因した損害賠償の発生や製品品質への信頼の低下等を招き、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループは、国際標準化機構(ISO)の品質マネジメントシステムに基づき、万全の品質管理体制を整え、製品の設計・製造を行い欠陥の発生を抑えるように努めております。また、新製品の開発を担う当社では、設計審査(デザインレビュー)をとおしてリスクアセスメントを実施しております。

 

 

 

 

 

 

⑥倫理的な業務遂行について

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 当社グループでは、国内外の法令、慣習その他全ての社会規範を遵守して事業活動を行っておりますが、それらに反する事象が発生した場合、法的制裁や社会的信用の失墜に伴う受注機会の減少により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社グループでは、決して法令違反を起こさないことを基本方針とし、リスク・コンプライアンス委員会の下、グループ全ての役員及び従業員に対して「Seibu Giken Group Policies and Procedures Guideline」(以下「グループガイドライン」という)及びグループのCore Valuesの周知徹底を図っております。「グループガイドライン」は、子会社が所在する各国の法規制や商慣習の違いにかかわらず、当社グループとして遵守すべき倫理的な事項をコンプライアンスの観点からまとめており、職場環境方針、法令・規制遵守、職務権限、文書管理等全14項目の重要項目を網羅しております。なお、当社との協議・承認が必要な事項及び報告事項を明確にするための「職務権限表」もこの中に定めております。

当社においては、内部通報制度の設置等、違法行為や不適切行為の防止及び早期解決を図る枠組を整備しており、階層別・職種別等の各種コンプライアンス研修においては、独禁法、下請法、建設業法、個人情報保護法等の法令や、贈収賄の防止等、幅広くコンプライアンス・倫理に対する意識・知識の向上を図っております。

  更に製造部門においては品質検査データの不正を防止するため、各部門の自主点検と品質保証部による監査の実施と啓発活動により、不正発生の芽を摘み取る活動を実施しております。

 

 

 

 

 

 

⑦人材の確保及び育成について

発生可能性:大

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

 当社グループは、技術、販売、管理面において優れた人材を確保する必要があると認識しております。更に、世界中で事業展開をしているため、グローバルに活躍できる人材を獲得すると共に、そのような人材を育成する必要もあると認識しております。近年、優秀な人材の獲得競争はますます激しさを増してきております。本格的な人口減少社会を迎え、一層の経済規模の縮小が懸念される中、新たな人材を確保し、既存の人員を含めた人材を育成することは企業の維持と成長に必須であると考えております。人材の確保及び育成が円滑に進まず、あるいは当社グループの優秀な人材が社外に流出する状況になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 ダイバーシティや健康経営の推進等、良き社風(企業文化)を醸成し、従業員エンゲージメント調査を定期的に実施し、その結果に基づきより働きやすい労働環境の整備を進めることで人材確保・定着に努めております。

 

 

 

 

 

 

  (3)法的規制・訴訟等に関するリスク

①法的規制について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 当社グループは、国内外において事業を展開しており、各国の法的規制の適用を受けております。予想外の規制の変更、法令適用や政府の政策運用の変更等により、当社グループの事業、経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

全ての役員及び従業員が、行動規範の基本原則である「法令遵守」に努め、また公正で透明な企業風土の構築に努めております。また、「グループガイドライン」を定め、運用体制を整備し、当社グループ全体での厳格な運用に努めております。

 

 

 

 

 

 

②環境関連の法規制

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 当社グループは、排水、排気、騒音、廃棄等における環境汚染に関する様々な環境法及び規制の適用を受けており、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や損害賠償が発生する可能性があり、当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

  また、将来、環境に関する規制がより一層厳しくなった場合には、設備の改修、入替、増設等のために多額の支出が生じ、これにより当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 環境法及び規制への遵守のために必要な経営資源を投入しております。

 

 

 

 

 

 

③訴訟について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:小

リスク認識

 当社グループは、製造、工事施工等の事業活動を行っており、それらが訴訟や紛争等の対象となる可能性があります。対象となった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、当社の中国子会社が売上債権の回収を目的とした訴訟を提起している案件はありますが、全係争金額が当社グループ売上に占める割合は僅少であり、現時点において業績に重大な影響を及ぼす訴訟を提起されている事実はありません。 

対応策

 訴訟を回避すべく、取引先とトラブルが発生しないよう日頃から適正な業務運営に努めております。また月1回開催しているリスク・コンプライアンス委員会におきましても、訴訟につながるおそれのある大きなリスクの管理強化、低減策実行を図っております。

 

 

 

 

 

 

 

④知的財産権について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 当社グループは、特許権は研究成果を事業化し、市場を獲得する上で極めて重要であると考えております。コア技術を活かすシステムフロー等、応用技術分野での特許権取得に注力しております。また、商標権も、当社製品をブランド化し他社製品との差別化を明確にする上で有効なものであると考えており、日本だけでなく海外での取得も積極的に行う必要があると考えております。このような特許権をはじめとする知的財産権等が取得できずに当社グループが使用する技術等を保護できない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 一方で、特許出願時に技術情報の公開が求められるため、特許出願自体が、当社の重要性及び秘匿性の高い技術等の流出のリスクに繋がります。そのような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループが現在販売している製品、あるいは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があり、また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。そのような場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

当社が知的財産権等を取得できずに当社グループの事業に影響を及ぼす可能性のある技術等については「知的財産管理規程」の方針に則り、積極的に取得しております。一方、当社事業の根幹となるハニカムロータの製造技術等については特許出願による技術情報の公開を回避するため、戦略的に出願しない方針をとっております。また、他社の知的財産権に対する侵害のないようリスク管理に取り組んでおります。

 

 

 

 

 

 

   (4)自然災害等に関するリスク

自然災害等に関わるリスク

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 地震・火災・洪水・感染症等の自然災害への対策には十分注意を払っておりますが、開発・生産拠点及び取引先等の事業活動が停止した場合、また、それらの災害に起因して電力・通信・交通等の社会的インフラに問題が生じたことで事業活動が中断した場合、生産や出荷に遅延が生じるおそれがあり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 国内生産体制は5拠点(第一工場・第二工場・第三工場・宗像工場・湘南工場)、海外生産体制も中国、スウェーデン、ポーランド、アメリカの7つの製造拠点での生産とリスク分散に努めております。

 

 

 

 

 

(5)財務状況に関わるリスク

①債権回収遅延等について

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

 当社グループでは、過去に海外子会社にて多額の債権の未回収が発生しておりましたが、取引先ごとに売上債権の回収状況、滞留状況のチェックを強化し、滞留債権の発生の低減に努めております。今後も更に当社グループ全体で債権管理を強化し、滞留債権の発生防止に努めてまいりますが、取引先の業績悪化等による売上債権の回収遅延や貸倒れが発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 取引先の情報収集を行い、与信枠を設定し、与信管理を実施しております。また、海外や新規取引先とは原則前受金での取引を実施する等、取引条件を厳格化し、さらに、営業社員の回収意識を高める目的で、与信管理に関する教育を実施するとともに、回収に対するインセンティブ制度を導入する等の債権保全リスクを最小化するための施策や回収が進まない場合には法的措置による回収に取り組んでおります。

 

 

 

 

 

 

②有利子負債について

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

当社グループの有利子負債は、2023年12月31日現在で、短期借入金50百万円、長期借入金2,045百万円、合計2,095百万円、総資産に対する割合は5.3%となっております。業務運営に有利子負債を活用しているため、新たに借入れを行うことが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 これらのリスクに対して当社グループでは、有利子負債残高を適切に管理することに加え、資金調達の多様化を進めることで流動性の確保に努めております。

 

 

 

 

 

 

③大株主について

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

当社の代表取締役社長執行役員である隈扶三郎は、当社の大株主(支配株主)であり、自身の資産管理会社である株式会社グリーンフューチャーの所有株式数を含めると当連結会計年度末日現在で発行済株式総数の35.16%を所有しております。当社と致しましても、隈扶三郎は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、大株主である隈扶三郎の持分比率が低下した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 当社の代表取締役社長執行役員である隈扶三郎は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

 

 

 

 

 

 

 

④大株主 (公益財団法人隈科学技術・文化振興会)との関係について

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:小

リスク認識

公益財団法人隈科学技術・文化振興会は科学技術に関する分野を専攻する大学院生に対する奨学金事業及び日本文芸の伝統等の活動を行う団体等に対する支援事業を行うことを目的とした公益財団法人であり、本書提出日現在、当社株式3,000,000株を保有しております。同財団は、1997年に当社の創業者である隈利實が死去した際、取引先、友人から隈利實の名前を何らかの形で残そうという機運が高まりお金が寄せられたため、故人の遺産を集めて「隈基金」が個人的に設立され、2003年4月には任意団体「隈基金」を「NPO法人 国際科学技術・文化振興会」として組織化しました。2019年にはその基盤をさらに安定させるべく、一般財団法人 隈科学技術・文化振興会を設立し、NPO法人の事業を引き継ぎ、2021年4月に公益認定をいただき、公益財団法人隈科学技術・文化振興会として活動しております。

当社代表取締役執行役員隈扶三郎は同財団の代表理事を兼務しておりますが、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条10号(注)において公益財団法人の理事及び監事の構成に関する制限がなされており、同財団における隈扶三郎及びその親族が理事会に占める割合は限定的となっております。役員構成は下表のとおりです。

代表理事

隈 扶三郎

当社 代表取締役社長執行役員 

理事

田名部 徹朗

㈱三松  代表取締役社長 

理事

清須美 匡洋

九州大学 名誉教授

評議員

下薗 誠

当社 常務取締役

評議員

矢野 彰一

㈱矢野特殊自動車 代表取締役社長 

評議員

井上 洋美

公認会計士

監事

篠原 俊

公認会計士・税理士

 

(注)各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。

 

当社としては、同財団の活動に賛同し、優秀な学生を将来当社に採用することを見込むと共に、当社のCSR活動の一環として、当財団へ毎年寄付を行っており、その実行にあたっては、当社の取締役会にて内容等を承認しております。

同財団は、安定株主として引き続き一定の議決権を保有し、当社株式の議決権行使に関しては同財団が独自で判断するものと理解しております。当社株式における議決権行使については当財団の定款に定められているとおり、理事会による3分の2以上の承認を要するため、当社の代表取締役社長執行役員である隈扶三郎個人の意向に左右されるものではありません。当社代表取締役社長執行役員は、同財団の保有する当社株式に係る議決権行使について関与をしない方針です。

当社と致しましても、同財団は安定株主であると認識しておりますが、何らかの事情により、当社株式の保有方針を変更した場合、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 公益財団法人隈科学技術・文化振興会は、安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては株主共同の利益を追求するとともに、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。

 

 

⑤一定の期間にわたる工事取引の収益認識について

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

当社グループは、一定の期間にわたり履行義務の充足が認められる工事(デシカント除湿機を使用したドライルームの施工等)について、履行義務の充足に係る進捗度に基づき収益を認識しております。進捗度の測定は、当連結会計年度末までに発生した工事原価が工事原価総額に占める割合(インプット法)に基づいて行っております。なお、当連結会計年度の売上高に占めるインプット法による売上高の割合は4.7%であります。

工事等の完成のために必要となる作業内容及び工数の見積りの見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に影響を及ぼす可能性があります。なお、主要な顧客との間で、中途解約の発生及び災害、工事遅延等による追加コストの発生並びに技術・製品トラブル等に伴うペナルティの発生等、当初見積った工事原価総額を上回るコストが発生した場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。

対応策

これらのリスクに対して、当社グループでは工事原価総額は、工事案件ごとの仕様や工期といった契約内容を精査の上、機器・資材の調達先や工事業者からの見積りや過去に積み重ねてきた実績

・経験・ノウハウに基づき、単価・数量・作業工程・作業工数等の主要な仮定を設定し、期末決算日までの進捗状況を踏まえて、最善の見積りを行うことで見積原価総額の精度向上に努めております。

 

 

 

 

 

⑥固定資産の減損に関するリスクについて

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

  当社グループは、今後、事業を成長拡大させるために、生産能力の増強及び新規事業の立ち上げ等のために投資を行う可能性があり、将来においてこれらの投資を行った場合に、事業環境の変化等により当初想定した効果が得られない場合、有形固定資産又は無形固定資産の減損処理等によって当社グループの業績、財政状態及び事業計画に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社グループでは、これらの当該投資の意思決定に際しては、詳細な調査、分析を行い、その結果を基に取締役会において十分な検討を図り意思決定を行うことでリスクを低減するように努めております。

 

 

⑦資金使途に関するリスクについて

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:中

リスク認識

  東京証券取引所への上場に伴う公募増資資金に関しましては、デシカント除湿機のロータの生産設備及び完成品の組み立て工場等、生産能力を増大させる投資に充当する予定でおります。しかしながら、経営環境の変化等の理由により、調達資金が予定どおり使用できない場合、また投資効果が期待どおりの成果を上げられない場合、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

  当社グループでは、これらの当該投資の意思決定に際しては、詳細な調査、分析を行い、その結果を基に取締役会において十分な検討を図り意思決定を行うことでリスクを低減するように努めております。

 

 

⑧配当政策に関するリスクについて

発生可能性:小

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:小

リスク認識

 当社は、株主への利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、将来の事業展開と財務体質の強化のために必要な内部留保資金を確保しつつ、業績及び将来の見通しを総合的に勘案して、連結配当性向40%程度を目標として配当を実施してまいりたいと考えております。しかしながら、当社の業績が計画どおりに進展しない場合には配当を減少若しくは実施できない可能性があります。

対応策

 当社グループは、収益力を高め、企業価値の向上を行うことで、安定的に配当できる財務基盤の構築に努めてまいります。

 

 

   (6)代表者への依存のリスク

代表者への依存のリスク

発生可能性:中

発生する可能性のある時期:特定時期なし

影響度:大

リスク認識

 当社代表取締役社長執行役員である隈扶三郎は、大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしています。何らかの理由により隈扶三郎が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策

 隈扶三郎に過度に依存しない体制を作るために、取締役会等における役員間の相互の情報共有や経営組織の強化を図っております。

 

 

 

 

 

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、配当政策を経営の最重要課題の一つとして認識しております。利益配分については、安定的な配当を実行・維持することを基本としながら、財務体質の健全化や将来に備えた内部留保とのバランスを図りつつ株主に対して報いていく所存であります。

剰余金の配当を行う場合、毎事業年度末日を基準日とした年1回の期末配当を基本方針としております。配当の決定機関としては、機動的な利益還元ができるよう、会社法第459条第1項の規定に基づき取締役会の決議で剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。また、当社は、取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

なお、配当を実施するにあたっては、連結配当性向を重要な指標とし、次期以降につきましては株主還元を強化すべく、現在30%としている目標値を40%に引き上げることと致しました。

当期の配当につきましては、2024年1月29日公表の「通期業績予想の修正および配当予想の修正に関するお知らせ」のとおり、上記の配当方針のもと、当期の業績動向及び財務状況等を勘案し、また加えて株主の皆様へ感謝の意を表するとともに、東京証券取引所スタンダード市場への上場を記念致しまして、1株当たり60円(内訳については普通配当49円75銭、上場記念配当10円25銭と発表しておりましたが、普通配当50円22銭、上場記念配当9円78銭と変更致します。)とすることに決定致しました。

次期の配当につきましては、利益配分に関する上記基本方針に基づき、1株当たり70円とする予定です。

 

(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

(百万円)

1株当たりの配当額

(円)

2024年2月21日

取締役会決議

1,230

60