2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

(1)当社グループのリスクマネジメント体制

当社グループは、リスクマネジメント基本方針に基づき、リスクマネジメントの効果的かつ円滑な運営及び適切な指導を行うために、代表取締役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会を設置しております。リスクマネジメント委員会はリスクマネジメント基本規程に基づき定期的に開催され、重要リスクの特定・分析・評価・見直し、年間の活動計画(対応策)の策定及び活動状況の確認・評価、新規に発生したリスクのモニタリング等を行っております。

 

[リスクマネジメント基本方針]

当社グループは、次に示す方針のもと、リスクマネジメントに取り組み、企業価値の向上と持続可能な社会の発展に貢献する。

1.社会的責任を果たすために、可能な限り危機の未然防止を図り、リスクの組織的な監視体制を構築する。

2.リスクマネジメント委員会を中心に、リスクの識別・評価・低減等の活動を推進し、リスク対応力の強化を図
   る。

3.危機発生時には、ステークホルダーの安全確保を第一とし、経営資源の保全及び被害・損失の極小化を図る。
   また、早期復旧と継続操業に向け組織的に対応する。

4.教育、訓練、研修及びリスク情報の共有化により、リスクに対する認識を高め、対応能力の向上を図る。

5.定期的にリスクマネジメント体制の見直しを行い、リスクマネジメントが有効に機能するよう継続的な改善を
   行う。

 

[リスクマネジメント体制]


※リスクマネジメント委員会は、当社より各本部長、副本部長、内部監査室長、各事業所長及び総務課長、国内子
  会社(2社)より子会社社長及び総務課長、在外子会社(4社)より子会社社長のメンバーで構成されておりま
  す。なお、事務局は当社の総務部が担当しております。

 

 

(2)リスクマネジメントプロセス

①リスクマネジメントプロセスの概要

当社グループにおける重要リスクの選定は年1回実施しており、そのプロセスの概要は次のとおりであります。

・リスクマネジメント委員会で当社グループの重要リスクになり得るリスクを「リスク候補」として選定。これら
  のリスク候補ごとに所管部署を決定し、リスク候補に対する年間の活動計画(対応策)を策定。

・定期的に開催されるリスクマネジメント委員会にて、活動計画(対応策)に対する活動状況の確認・評価、新規
  に発生したリスクのモニタリング等を実施。

・リスクマネジメント委員会の年間の活動等を踏まえ、事務局がリスク候補ごとに影響度及び発生可能性の面から
  分析・評価を実施し、当社グループのリスクマップを作成。

・リスクマネジメント委員会の事務局が実施した分析・評価結果及び当社グループのリスクマップをリスクマネジ
  メント委員会で審議。リスク値の高いリスクを当社グループの「重要リスク」として選定。

・リスクマネジメント委員会で選定した当社グループの重要リスクは取締役会へ報告し、承認を得る。


・影響度及び発生可能性は以下の目安をもとに評価を行っております。

影響度の目安

 

発生可能性の目安

1

小さい

 

1

低い

2

やや小さい

 

2

やや低い

3

 

3

4

やや大きい

 

4

やや高い

5

大きい

 

5

高い

 

 

 

②当連結会計年度の当社グループのリスク候補及び重要リスク

リスク候補

評価

大分類

中分類

小分類

No.

影響度

発生可能性

※重要

リスク

外部環境

自然災害

 

1

大きい

高い

環境問題

環境規制

2

やや小さい

やや高い

 

気候変動

3

やや大きい

やや高い

経済環境

景気変動(国内・海外)

4

やや大きい

為替変動

5

 

制度変更(会計・税務等)

6

やや小さい

やや高い

 

市場の変化

市場の縮小

7

やや大きい

やや高い

新素材・新製品の出現

8

小さい

やや低い

 

既存製品の陳腐化

9

小さい

やや低い

 

パンデミック

感染症・伝染病

10

小さい

やや低い

 

地政学リスク

 

11

やや大きい

やや高い

内部環境

戦略リスク

新規事業への投資(M&A含む)

12

大きい

プライム市場上場維持基準

13

 

原材料調達

 

14

大きい

やや高い

協力会社

 

15

やや高い

人財の育成及び確保

16

大きい

高い

財務リスク

棚卸資産の価値下落

17

高い

投資有価証券の時価下落

18

やや低い

 

繰延税金資産の計上

19

やや大きい

やや低い

 

固定資産の価値下落

20

やや大きい

やや高い

生産拠点の集約

 

21

小さい

低い

 

オペレー
ショナル
リスク

システム

システム障害

22

小さい

高い

 

情報セキュリティ

23

やや大きい

やや高い

事故

製品事故

24

やや低い

 

火災・爆発事故

25

やや低い

 

電気的・機械的事故

26

やや高い

労災・交通事故

27

高い

コンプラ
イアンス

人権問題

28

やや高い

知的財産権

29

 

法令違反

30

やや高い

不正行為

31

やや大きい

やや低い

 

社内規程違反

32

やや小さい

高い

 

 

(注)当連結会計年度において当社グループが重要リスクと選定したリスクについては、(3)事業等のリスクに詳細を記載しております。

 

 

(3)事業等のリスク

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。但し、これらのリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、予見できないリスクや重要性が低いと考えられるリスクも存在し、将来的にそれらのリスクが、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況等に影響を与える可能性もあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

①災害に関するリスク

影響度:大きい

発生可能性:高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループでは、自然災害への対応として各種対策を講じております。しかしながら、全ての被害や影響を回避できるとは限らず、予想を超える規模の被災により建物や設備の倒壊・破損、ライフライン・輸送ルート・情報インフラの寸断等による操業の停止、といった不測の事態が発生した場合、顧客への製品供給に支障をきたすこと等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、地震、台風等の自然災害により操業停止をせざるを得ないような事態の発生に備え、自然災害を想定した防災訓練、社員の安否確認訓練を定期的に行うとともに、防災設備の設置、火災保険への加入、必要物資の備蓄、BCP(事業継続計画)の策定等の対策を講じております。災害の発生に対しては、緊急連絡体制を通じて、国内外の拠点や関係会社と連携する仕組みを構築しており、代表取締役社長を本部長とする対策本部を速やかに設置し、BCP(事業継続計画)が実行できる体制を整えております。

 

 

②気候変動に関するリスク

影響度:やや大きい

発生可能性:やや高い

 気候変動に関するリスクについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動に関する取組について」に記載しております。

 

 

③景気変動に関するリスク

影響度:やや大きい

発生可能性:中

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループは、日本及びアジアを中心にグローバルに事業を展開しており、幅広い業種との安定かつ多くの顧客との取引実績(取引社数約3,000社)がございますが、当社グループ及び当社グループの顧客が事業を展開する国・地域において、景気後退や経済危機が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、定期的に開催する子会社業績報告会等において、進出する国の政治・経済情勢等の動向を当社グループ全体でモニタリングしております。また、日本国内の状況に関しては、与信管理の徹底に加え、当社グループに影響があると思われる事象・事案が発生した場合には、影響度調査、顧客の生産動向等の状況確認を迅速に行い、リスクマネジメント委員会へ報告する体制としております。これらの活動により、国内外の景気動向を注視するとともに、当社グループ全体で課題を認識・共有し、迅速に対応できる体制を構築しております。

 

 

④市場動向の変化に関するリスク

影響度:やや大きい

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループの販売品目の多くは生産財であり、設備投資需要等に大きく影響を受けます。

 当社グループ及び当社グループの顧客が事業を展開する国・地域の景気が減速・後退する場合は、設備投資需要の低下等をもたらし、その結果、当社グループが提供する製品又はサービスの受注・売上が減少するなど、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、日本機械工具工業会から配信される情報等をもとに国内の市場動向を把握するとともに、営業活動から得られた顧客情報、各種課題、競合する他社の情報等を明確化し全社的に共有・分析することで、市場動向の変化に迅速に対応できる体制を整備しております。また、当連結会計年度においては、海外事業の強化を実現することを目的とし、当社に海外事業本部を新設いたしました。海外事業本部では、国内営業と情報を共有化するとともに、海外の市場動向の変化等にも迅速に対応できる体制の構築に注力しております。

[機会]

 

 

 当社グループでは、自然環境に配慮した市場ニーズに応えるため、粉末冶金技術及び超精密加工技術を活かした、新材料・高付加価値製品の開発が、持続可能な事業運営の実現につながるものと考えております。特に、低炭素技術関連では、EV(電気自動車)の普及により、EV関連製品の需要拡大が見込まれ、次世代技術関連では、3Dプリンタ技術の活用による金型製作時の省資源化を実現することで、持続的な事業成長の機会が得られるものと考えております。

 

 

⑤地政学リスク

影響度:やや大きい

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループは、日本及びアジアを中心にグローバルに事業を展開しております。これらの国・地域において政治・経済情勢等の変化や社会的混乱により、生産の停止、物流の停滞等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、地政学リスクは当社グループの原材料調達にも大きく関連するリスクであると認識しております。詳細については「⑦原材料の調達に関するリスク」に記載しております。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、定期的に開催する子会社業績報告会等において、進出する国の政治・経済情勢等の動向を当社グループ全体でモニタリングしております。また、当連結会計年度においては、海外事業の強化を実現することを目的とし、当社に海外事業本部を新設いたしました。今後は海外事業本部を中心に、当社グループ全体で地政学リスクの影響を低減するための施策等を検討してまいります。

 

 

⑥新規事業への投資(M&Aを含む)に関するリスク

影響度:大きい

発生可能性:中

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループは、中長期の成長基盤の構築として新成長エンジンの創出を目指し、新規事業を開始する可能性があります。新規事業への投資を行う際は、これらのリスクへの対応として各種対策を講じる予定ですが、不確定要素も多く成功する保証はありません。当初期待した効果が得られず目的が達成できなかった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 新規事業については、ゼロからのスタートではなく、その領域において実績のある企業とのM&Aや業務提携を主な手段とする等でリスクを低減してまいります。また、選択肢の一つであるM&Aを行う場合には、対象企業の財務内容や契約関係等について、弁護士・税理士・公認会計士等の外部専門家の助言を含めたデューデリジェンスを実施すること等により、十分にリスクを検討した上で決定する方針であります。

 

 

⑦原材料の調達に関するリスク

影響度:大きい

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループの主力製品である超硬工具は、産出地や生産量が限定されるタングステンカーバイド、コバルト等といった稀少な金属を原材料としております。

 当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。

 ・原料相場が大きく高騰した場合のリスク

 ・為替が大きく変動した場合のリスク

 ・戦争、暴動、テロ、伝染病、自然災害による社会的混乱

 タングステンカーバイド、コバルトの需給が世界的に逼迫して原料相場が高騰した場合、あるいは為替が円安になった場合、原材料費が上昇し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、タングステンカーバイドの調達はそのほとんどを中国からの輸入に、コバルトは粗原料をアフリカでの産出、中間原料の製錬を中国での生産に依存しております。中国やアフリカの政治・経済情勢等の変化、社会的混乱が発生し、生産の停止、物流の停滞等によりタングステンカーバイド及びコバルトが調達できなくなった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、原材料の調達に関するリスクへの対応として、一定量の原材料在庫を社内に保有すると共に、原材料調達連絡会を定期的に開催し、関連部署間による各種課題の情報共有や具体的な対応策の検討等を行っております。また、原料相場の高騰や為替の変動、調達リスクへの対策及び環境への配慮等も踏まえ、リサイクル原料の購入も計画的に実施しております。さらに、原材料の調達先を対象にCSR調査を実施し、紛争鉱物への対応や環境への配慮等の社会的責任の観点も踏まえ、調達先との連携を強化するとともに、継続的な新規調達先の検討等、原材料の安定調達に向けた活動を行っております。

[機会]

 

 

 当社グループの製品に使用される鉱物資源が、コンフリクト・フリーであることを常にモニタリングし、安全性の高い製品を提供することで、当社グループの競争力向上につながる可能性があると考えております。また、脱タングステン合金など新規材料の開発を実現した場合、資源価格高騰に対するレジリエンス性を発揮することができるものと考えております。

 

 

 

⑧協力会社に関するリスク

影響度:中

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループは製品の製造において協力会社にその加工の全てもしくは一部を委託しており、総製造費用に対する外注費の割合は約1割を占めております。現時点では優良な協力会社が多数あるものの、事業環境の悪化による外注費の値上がり、景気低迷による協力会社の経営破綻、協力会社の後継者不足による事業の廃止などのリスクがあります。これらのリスクに当社グループが対処できない場合には、外注費の増加、外注していた工程の内製化による設備投資の増加や製造原価の高騰により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、協力会社に関するリスクへの対応として、今までどおり協力会社との良好な関係を維持しつつ、特に重要度の高い協力会社とは、協働して安定的かつ継続的な生産体制を構築しております。なお、当連結会計年度においては、事前に廃業の連絡を受けていた協力会社と連携し、一部の委託品の内製化を実現しております。

 

 

⑨人財の育成及び確保に関するリスク

影響度:大きい

発生可能性:高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループは人を中心とした経営を実践しており、中長期的な成長は優秀かつ多様な人財を確保・育成し、適材適所の配置を実現することに大きく依拠しております。当社グループでは事業運営上必要な人財を採用し、その雇用の継続に努めていますが、

 ・適切な時期に優秀な人財を必要な事業領域において計画通り採用することができない

 ・事業活動を進める上で必要となる知識・スキル・能力を有した人財を適切な時期及び規模で育成できない

 ・優秀な人財が社外に流出してしまう

等により、中長期的な視点から当社グループの事業目的の達成が困難となり、その結果、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、中期経営計画(2025年3月期-2027年3月期)の基本コンセプトとして「変化に対応できる企業体質への転換」を掲げていますが、これらを実現するためには自立型人財の育成が不可欠であると考えております。そのため、階層別教育研修プログラムを導入し、各階層のスキルマップに沿った研修の充実を図り、体系的かつ継続的な人財育成に取り組んでおります。

 また、多様なライフスタイルに応じたワークライフバランスの実現に向け、継続的に各種労働環境の整備等を進めており、多様な人財を確保するための活動を推進しております。

 なお、人的資本に関する取組については、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(3)人的資本に関する取組」に記載しております。

 

 

⑩財務リスク-(1)棚卸資産の価値下落

影響度:中

発生可能性:高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループが保有している棚卸資産については、主として、個別法に基づく原価法(収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)により評価しております。従って、原料相場の高騰や稼働率の低下により製品原価が売価を上回る可能性があり、この場合、収益性の低下による評価損が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

⑪財務リスク-(2)固定資産の価値下落

影響度:やや大きい

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループでは、生産能力や生産性の向上等のため製造設備などの設備投資を継続的に行っており、その結果、当連結会計年度末の連結貸借対照表において、有形固定資産を10,246百万円計上しております。当該有形固定資産については固定資産の減損に係る会計基準等に従い、資産の簿価が回収できない兆候が認められた場合は減損テストを行い、当該資産が十分な将来キャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を認識しております。多額の減損損失を認識した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

⑫情報セキュリティに関するリスク

影響度:やや大きい

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループは、情報セキュリティ対策として各種対策を講じておりますが、予期せぬ事態により、情報流出や破壊もしくは改ざん又は情報システムの停止等が引き起こされる可能性は皆無ではありません。このような事態が生じた場合には、社会的信用の失墜、損害賠償等の費用の発生、業務の停止等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、事業遂行に関連して多くの顧客情報や機密情報を有しております。これらの情報については、外部流出や破壊、改ざん等が発生しないよう厳格な管理体制を構築し、情報システムのハード面・ソフト面を含めた適切なセキュリティ対策、情報の取扱い等に関する規程類の整備や従業員等への周知・徹底を図るなど、情報セキュリティを強化しております。また、当連結会計年度においては、上記の各種対策に加え、更なる情報セキュリティを強化すべく、ITリテラシー教育の導入やインシデント対応への体制構築に向けた検討を開始し、活動を推進しております。

 

 

⑬電気的又は機械的事故に関するリスク

影響度:中

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループの主たる事業である超硬合金を用いた耐摩耗工具及びその素材である超硬合金のチップの生産活動は、重要設備に依存しております。これらの重要設備において、電気的又は機械的事故等が発生した場合、生産活動に支障をきたし、また操業の停止により顧客への製品供給が停止する等といった事態も想定されます。それらに加え、破損・故障設備の復旧に伴う費用等も発生することから、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、電気的又は機械的事故に関するリスクへの対応として、生産設備の定期点検に加え、特に重要な設備については第三者立会のもとで実施する点検も導入し、生産設備の管理体制を強化しております。また、重要設備の一つである焼結炉の管理についてはメンテナンスチームを立ち上げ定期的に会議を開催し、設備の更新計画や消耗品の更新計画の策定、各事業所間で課題を共有する等、電気的又は機械的事故の未然防止に努めております。

 

 

⑭労働災害及び事故に関するリスク

影響度:中

発生可能性:高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループは、生産活動においては多くの生産設備を用いた業務、また営業活動においては自動車を使用しての顧客訪問等が主であります。労働災害や交通事故は、従業員の健康や人命に係わる重大なリスクであり、従業員の安全管理が不可欠であると認識しております。しかしながら、万一重大な労働災害や交通事故等が発生した場合には、生産活動や営業活動に支障をきたし、また補償金等の負担等も生じることが想定されることから、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、労働災害及び事故に関するリスクへの対応として、各事業所ごとに実施しているリスクアセスメント活動や安全衛生防火委員会の活動を推進し、安全な職場環境の整備に努めております。また、産業医による職場巡視時の助言や指導があった場合には、早急に改善策を検討する等、労働災害や交通事故等の未然防止に努めております。なお、労働災害や交通事故等が発生した場合には、リスクマネジメント委員会へ報告する体制としており、当社グループ全体で課題を認識・共有し、再発防止にも努めております。

 

 

⑮人権問題に関するリスク

影響度:中

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループ及び当社グループのサプライチェーンにおいて、各種ハラスメント及び差別並びに強制労働や児童労働等の人権問題が発生した場合には、社会的信用の失墜、人財の流出、損害賠償等の費用の発生、生産活動や調達への影響等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、2022年10月に「パワーハラスメント防止宣言」を行い当社グループ全体に周知するとともに、ハラスメント教育の充実、内部通報制度や社内外の相談窓口の運用等を通じて、人権問題の未然防止及び早期把握に努めております。当連結会計年度においては、役員及び管理職従業員を対象に「ハラスメント防止&ラインケア研修」を実施いたしました。また、事業活動を通じて社会的責任を果たすため、「責任ある鉱物調達方針」を策定し、方針に沿った原材料の調達を推進しております。

 

 

 

⑯法的規制等に関するリスク

影響度:中

発生可能性:やや高い

[当該リスクが顕在化した場合の影響]

 

 

 当社グループは、日本及びアジアを中心にグローバルに事業を展開しており、様々な国の法令・規則の適用を受けております。法的規制等に関するリスクへの対応として各種対策を講じておりますが、グローバルに事業を展開するなか、これらのリスクを完全に回避することは困難であります。また、当社グループの役員及び従業員によるコンプライアンス違反等の不祥事も懸念されます。これらの法令違反や不祥事等が発生した場合には、社会的信用の失墜、損害賠償等の費用の発生、事業活動の制限による影響等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応]

 

 

 当社グループでは、コンプライアンス意識の徹底・向上を図るため、コンプライアンス教育を継続的に実施しております。また、内部通報制度や社内外の相談窓口の運用等を通じて、法令違反や不祥事等の未然防止及び早期把握にも努めております。当連結会計年度においては、海外事業の強化を実現することを目的とし、当社に海外事業本部を新設いたしましたので、国内でのコンプライアンス関連の教育に加え、在外子会社におけるコンプライアンス関連の教育にも注力いたしました。なお、法令違反や不祥事等が発生した場合には、コンプライアンス委員会へ報告する体制としており、当社グループ全体で課題を認識・共有し、再発防止にも努めております。

 

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様に対して安定した配当を継続的に行うことを重要な経営課題の一つとして考えております。配当政策につきましては、利益の状況、将来の事業展開等を総合的に判断して適切な利益配分を行うことを基本方針としており、現状剰余金の配当は年1回の期末配当を行っております。この剰余金の配当の決定機関は、株主総会であります。

当事業年度につきましては、上記方針に基づき、1株当たり32円(普通配当22円、記念配当10円)と決定いたしました。

今後の利益配分につきましては、「中期経営計画2026」の期間(2025年3月期から2027年3月期)における配当を財政状態及び経営成績を勘案したうえで、「株主資本配当率(DOE)4%」を目途とし、加えて積極的かつ機動的な自己株式取得を行うことで、利益還元を行ってまいります。

また、内部留保資金の使途につきましては、経営環境の変化に対応し得る企業体質の強化を図るとともに、持続的な成長を実現するために設備投資や海外子会社、人的資本、新事業への投資等に充当する予定であります。

なお、当社は「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。

 

(注) 基準日が第68期事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額

1株当たり配当額

(百万円)

(円)

2024年6月25日

定時株主総会決議

635

32.00