2023年8月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクには該当しない事項についても、投資判断上あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

 なお、将来に関する部分の記載は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①製品検収時期の変動による業績への影響について

 当社の生産体制は受注生産によっており、顧客からの高精度・高能率の要求を満たすため、顧客工場及び自社工場での検収前の調整試運転等に時間を要することや、仕様変更を要求されることがあります。これらの要因により、当該製品には受注から顧客の検収までの期間が長期間となるものもあり、予定した検収時期に変動が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、受注前にお客様の要求を仕様書に取りまとめ、要求の難易度を考慮し実現可能な納期を設定するようにしております。また、仕様変更等により進捗に遅れが生じる可能性が発生した場合は、生産計画を見直して計画に遅れが生じないようにしております。

 

②キャンセルの発生による業績変動について

 当社の生産体制は受注生産によっており、顧客の仕様内容に基づき製造を行いますが、予期せず顧客からのキャンセルが発生した場合、製品や製造工程のキャンセルができず、製造原価の一部費用負担が発生するなど、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、キャンセルが発生した場合、即時に他への転用を試み、併せて、当該売買契約書記載のキャンセル条項に従い、当該発生費用の請求を行い負担の軽減を図ります。

 

③特定の取引先等への依存について

 (a) 仕入先への依存について

 当社は、鋳物・スピンドル等原材料や部品の一部を特定の仕入先に依存していることから、仕入先の受注状況や経営戦略の状況により、供給量の減少や供給が滞った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、新規仕入先の開拓や既存仕入先の協力を得て原材料の取り扱いの種類を増やしてもらうなど、複数の仕入先から原材料の供給を受けられる体制の構築を進めております。また、特定の仕入先に依存している部品については、新規仕入先の開拓のほか、自社の部品加工工場であるみはらし工場で、コスト低減、納期短縮も含めた内製化に取り組んでおります。

 (b) 販売先への依存について

 当社の製品は自動車部品メーカへの依存度が高く、また、販売先との数量、価格等に関する長期納入契約は締結しておりません。そのため、同部品メーカの設備投資の動向、又は受注動向や経営戦略の状況によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、既存のお客様と良好な関係を維持しつつ、新興国市場、自動車の電動化、医療機器製造業界をターゲットに研削盤のニーズ調査を行い、これまで培ってきた技術を基に新しい研削盤や研削工程を提案することで、新たな業種や販売先の開拓を進めております。

 

④心なし研削盤への依存について

 当社グループでは、創業以来の主力製品である心なし研削盤に対する販売依存度が高く、心なし研削盤の需要が激減した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、2000年に内面研削盤を製品ラインナップに加え、今日では安定した売上を上げており、引き続き販売強化に努めてまいります。また、内製品である高周波スピンドルの外販や研削盤の前後工程の取込み、医療機器の開発販売など、心なし研削盤への依存からの脱却を目指した研究・開発・拡販に取り組んでおります。なお、詳細は後述の「研究開発活動」に記載のとおりであります。

 

⑤原材料価格等の推移について

 当社は仕入先に対し、当社製品の仕様にあった部品を発注し、原材料等として仕入れております。素材市況の変動、加工費用相場の変動により、原材料等仕入価格が変動する可能性がありますが、その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、需給環境が変化しても必要な原材料等が安定的に確保できるよう、部品・原材料の在庫量を適正な水準に保つことに加え、仕入先との関係を強化しつつ、新規仕入先の開拓によりサプライチェーンを強化し、最適な価格の維持に努めております。

 

⑥輸出規制について

 当社の製品は、高精度・高能率の研削が可能なことから、当社グループが販売する製品及び部品の一部が、「外国為替及び外国貿易法」の規制の対象となります。そのため、特定の地域を仕向先とする場合、経済産業大臣の許可又は承認を受ける必要がありますが、同法の改正若しくは関連する新法の成立等により規制が改正された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は輸出貿易管理室を設置し、同法の改正や安全保障貿易管理の運用等に疑義がある場合は、経済産業省への問い合わせ、安全保障貿易情報センター等から情報を収集するなどして、同法を遵守した安全保障貿易管理を行っております。

 また、海外子会社に対しては、所属国の法令遵守を基本とし、当社の基本方針及び日本国の法令に対しても遵守が必要であることを、教育や監査を通して伝えることで、グループ全体として安全保障貿易管理の重要性の浸透を図っております。

 

⑦製造物責任について

 製品について予期し得ない欠陥が生じ、製造物責任が問われる可能性があります。また、当社グループでは、予め販売先より指示された仕向先に合わせた仕様にて販売をしておりますが、当該仕向先に関する当社グループの理解が不十分なために不適切な販売が行われることや、当初の仕向先を経て別の仕向先に転用される際に必要な仕様変更を行わないことにより、当社グループに対する損害賠償請求が行われる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、製造物責任賠償に関する保険に加入しており、業務の結果に起因して賠償責任を負担した場合の損害を、保険でカバーできるようにしております。また、お客様の製品に対する要求事項をISO等国際的な品質管理基準に則った当社品質管理システムに従い仕様書に取りまとめ、生産開始前にお客様の承認を得ることとしております。更に技術部、設計部、輸出貿易管理室など関連する部署が情報を共有することで専門的な見地から要求事項と製品に齟齬がないか確認を行っております。

 

⑧外国貿易による影響について

 (a)国際情勢全般に関するリスクについて

 当社グループにおいては、直接及び間接輸出を含めると、2023年8月期の製品及び部品の57.2%は国外に納入されております。そのため、仕向先国において、以下のようなリスクが内在します。

  (ⅰ)予期しない法律又は規制の制定・変更(安全保障その他の理由による輸出入の規制等)

  (ⅱ)不利な政治又は経済要因

  (ⅲ)テロ、戦争その他の要因による社会混乱

  これらが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、仕向地の社会情勢や政治動向などについて、外務省の海外安全ホームページや海外子会社などから常に情報を収集し、都度対策を行っております。有事の際には、人的被害の回避を優先しつつ、必要があればリスク管理規程に基づき社長を長とする対策本部を設置し、リスクの回避や最小化に向け解決を図ることとしております。

 (b)為替相場の変動について

 2023年8月期の当社グループの売上高の38.0%は外貨建取引であります。また、当社グループの費用支払いを外貨建で行うこともあることから、継続して外貨建資産を保有しておりますが、為替相場の変動により、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、外貨建資産の管理に関して、為替相場、金利動向等を総合的に勘案する方針であり、保有する外貨建資産あるいは外貨建取引に関して必要に応じて為替予約等によるリスクヘッジを行う方針であります。

 

⑨人材の確保・育成・活用について

 当社製品は、高精度・高能率の研削性能を確保するため、製造工程に特定の熟練技能者の関与が不可欠な部分があります。複数人の退職者、特に熟練技能者が退職した場合、人材確保、後継者育成が追いつかないことが懸念され、当社製品の納期遅延、さらに当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、65歳以上の熟練技能者の就業の場としてミクロンテクニカルサービス株式会社を設立し、技能伝承の機会を確保し、若手社員に対して高度技能の伝承を目的とした教育訓練を実施しております。併せて、中長期的な視点に立って採用を行うとともに、福利厚生制度の充実や働きやすい労働環境の整備を行い、社員の定着率向上を図っております。

 

⑩知的財産について

 当社グループが現在販売している製品、あるいは今後販売する製品が第三者の知的財産権に抵触する可能性を的確・適切に判断できない可能性があります。また、当社グループが認識していない特許権等が成立することにより、当該第三者より損害賠償等の訴えを起こされる可能性があります。そのような場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、知的財産の保護と事業戦略及び技術戦略を一体とした知財戦略を実施する目的で知的財産戦略室を設置しており、他社と差別化できる技術とノウハウを蓄積し自社が保有する技術等について特許権を取得する等により保護を図っております。また、他社の知的財産権に対する侵害がないよう、専門部署による確認の強化と、弁理士や顧問弁護士等と連携を図りながらリスク管理に取組んでおります。

 

⑪業績の季節変動

 当社グループでは、お客様の設備投資需要や製造に係る工期との兼ね合い等から期末月に製品売上高の計上が集中する傾向にあります。

 当社は、先行手配等により生産計画の前倒しや新たな業種・販売先の開拓を進めること等の対策により、製品売上高の計上時期の平準化に努めてまいります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、業績、配当性向等を総合的に勘案のうえ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。

 当社は、期末配当の年1回、剰余金の配当を行うこととしており、「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 2023年8月期の配当につきましては、上記方針に基づき、普通株式1株につき7円50銭を実施することといたしました。

 内部留保資金につきましては、更なる技術開発力の強化、世界各国に対するグローバルな販売戦略に向け、有効投資をしてまいりたいと考えております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月24日

45,917

7.50

定時株主総会決議