リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性のある主な事項について記載しております。また、必ずしも重要なリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要と判断した事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。当社グループはこれらのリスクの可能性を考慮した上で、リスクの発生の回避や分散、または問題が発生した場合の対応について最大限努めて参ります。
なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載のない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1) 事業環境に関するリスク
① インターネット広告市場について
インターネット広告費市場は、利用者の増加、インターネット閲覧可能な端末の普及、企業等の活動におけるインターネットの利用増加により成長を続けて参りました。2023年度のインターネット広告媒体費は2.79兆円を超える見込み(※1)であります。このような傾向は、今後も継続していくと考えております。
(※1)出所:電通グループ5社 2023年3月発表「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」
しかしながら、広告市場は景気の変動等による業況感の悪化や広告主の広告戦略の変化などによる影響を受け易い状況にあるため、インターネット広告を含む広告出稿全般が低減した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 技術革新への対応について
当社グループが提供する事業領域の商材は、広告効果を向上させるために表示方法や販売手法などに関し様々な取り組みが常日頃から行われ、加えてAI(人工知能)など新しい技術も頻繁に導入されております。またスマートフォン関連サービスにおいては、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が早く、ブロックチェーンやIoT技術など新しいテクノロジーを採用した新サービスが常に生み出されております。当社グループにおいてもこれらの変化に素早く対応していく必要があります。
このため当社グループではエンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備に加え、AIを含めた新しい技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。
しかしながら、新しい広告手法や新技術の変化への対応が遅れた場合、または当社グループのサービスもしくは使用している技術等が陳腐化した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 競合に関して
インターネット広告業界においては複数の競合会社が存在し、市場の拡大とともにプレイヤーが増加しております。更なるプレイヤーの増加や競争の激化、その対策のためのコスト負担等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
不動産テック事業においても競合会社の参入により競争の激化、その対策のためのコスト負担等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 法規制について
現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はございませんが、インターネット関連分野においては「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」(2002年5月施行)や、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(2000年2月施行)、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」(2008年6月成立)等の法的規制が存在しているほか、個人情報の取扱いなどについては、「個人情報の保護に関する法律」(2003年5月成立)等が存在しております。また、インターネット上のプライバシー保護の観点からクッキー(ウェブサイト閲覧者のコンピューターにインストールされ、ユーザーのウェブ閲覧履歴を監視するテキストファイル)に対する規制など、インターネット利用の普及に伴って法的規制の在り方等については検討が引き続き行われている状況にあります。このため、今後、インターネット関連分野において新たな法令等の制定や、既存法令等の改正等による規制強化等がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業に関するリスク
① プラットフォームビジネスについて
当社グループは、PC・モバイル(スマートフォン)のプラットフォームにおける集客支援事業を運営しております。
アフィリエイト事業のスマートフォン向け広告配信「GMO SmaAD」については、Apple Inc.の運営するAppStore及びGoogle Inc.の運営するGoogle Playといったアプリストアにおける集客支援を実施しております。合わせて、SEOコンサルティングサービスは、Google・Yahoo!の検索プラットフォームへの集客支援対策を実施しております。
当社グループの事業モデルは、Apple Inc.及びGoogle Inc.の2社のプラットフォーム及びGoogle・Yahoo!の検索プラットフォームへの依存が大きいと言えます。これらプラットフォーム運営事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 集客支援事業における有力な広告媒体の獲得について
当社グループは有力な広告媒体の確保に向けて、WEB全般及びアプリストア(AppStore/Google Play)へのマーケティングを徹底し、有力媒体との関係性を密にすることで有力媒体の確保に努めております。今後も引き続き新規媒体の獲得や既存媒体の関係強化に向けて注力して参ります。また、媒体の獲得については、国内の媒体のみではなく、海外の媒体の獲得にも努めております。
しかしながら、有力な媒体の確保がなされなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります
③ 不動産テック事業について
当社グループの新規参入事業である不動産テック事業においては、不動産取引においての様々な法律が関わってまいります。社会情勢の変化に応じてこれらの法制度の改正、強化、解釈の変更などが想定されます。当社グループは、諸法令に対し、遵法を旨として経営にあたっておりますが、その対応により新たな負担の発生や事業展開の変更を求められることも予測され、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
④ 当社グループ営業活動による代理店について
当社グループは、集客支援事業において、自社営業によりクライアントを獲得しておりますが、一部クライアントにおいては代理店も活用しております。現在、自社営業スタッフを新規採用し研修を実施する等、営業力のさらなる強化に努めておりますが、代理店を通じた販売が拡大する場合、代理店への手数料変更や代理店の事業戦略の転換等による利益率の低下などにより、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システム上のトラブル・サーバクラッキングについて
当社グループの事業は携帯電話やPC、コンピュータ・システムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故、アクセスの増加等の一時的な過負荷等によって通信ネットワークが切断された場合には、正常なサービス提供等に支障が生じ又はシステムが停止する可能性があります。
また当社グループのシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、データセンターへの電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因によってシステムがダウンした場合や、ウイルスやクラッカーの侵入等によりシステム障害が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 事業への投資について
当社グループは常に変化するインターネットビジネスにおいて新たな事業領域にスピード感をもって参入することにより事業成長を続けております。しかしながらこのような事業展開を実現するためには、その事業固有のリスク要因が加わることとなり、本項に記載されていないリスク要因でも当社グループのリスク要因となる可能性があります。加えて新規事業への参入のため、新たな人材の採用、システムの購入や開発、営業体制の強化など追加的な投資が必要とされ、新規事業が安定的な収益を生み出すには長期的な時間が必要とされることがあります。
また、新規に参入した事業の市場の拡大スピードや成長規模によっては、当社グループが想定していた成果を挙げることができないことがあり、事業の停止、撤退等を余儀なくされ、当該事業用資産の処分損や減損の発生等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 組織体制・人的リスクについて
① 特定人物への依存について
当社グループの事業の推進者は代表取締役社長CEOである鈴木明人であります。同氏は当社グループの創業者であり、経営方針や戦略の決定をはじめ、開発、営業、財務の各方面において重要な役割を果たしております。
当社グループは取締役会や経営会議等において役員及び社員への情報共有や事業部制による権限委譲を進めるなど組織の強化を図り同氏に過度に依存しない体制の構築を進めている段階であり、縮小傾向にあるとはいうものの、同氏の属人的な能力に依存している面があります。何らかの理由により同氏が当社グループの経営執行を継続することが困難になった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 内部管理体制の充実について
当社グループは小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社グループは、今後の事業展開に応じて、採用・人材育成により業務執行体制の強化・充実を図っていく方針ではありますが、これらの施策が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また当社グループは、今後の事業拡大に対応するためには内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しておりますが、事業規模に適した内部管理体制の構築が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 有能な人材の確保・育成について
当社グループは今後の事業展開や企業規模の拡大に伴い、幅広く優秀な人材を採用し続けると同時に、社員のスキル向上を図った教育体制を構築することが、今後の事業成長の重要な要素であると認識しております。質の高いサービスの安定稼働や競争力の向上に当たっては、開発部門を中心に極めて高度な技術力・企画力を有する人材が必要であると考えており、一定以上の水準を満たす優秀な人材を継続的に採用するとともに、成長可能性が高いと判断できる人材の採用及び既存の人材の更なる育成・維持の必要性を強く認識しております。しかしながら、当社グループの採用基準を満たす優秀な人材の確保や人材育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他のリスクについて
① 親会社グループとの関係について
ア GMOインターネットグループにおける位置付け
当社グループは、親会社であるGMOインターネットグループ株式会社を中心とした企業集団(以下、GMOインターネットグループ)に属しております。同社は当社グループの議決権の54.0%(2023年12月31日時点)を保有する筆頭株主であり、「すべての人にインターネット」というコーポレートキャッチのもと、インターネットインフラ事業、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、仮想通貨事業、インキュベーション事業を行っております。
当社グループは、GMOインターネットグループのインターネット広告・メディア事業におけるインターネット広告事業に属しております。
当社グループは、スマートフォン向けアドネットワークサービス及びSEMメディア開発の技術的中核を担っており、当社独自ブランドでSEOサービスを販売する他、GMOインターネットグループで行うSEOサービスの一部についてもOEMによる当社からのサービスの提供を行っております。よって、GMOインターネットグループの当社グループに対する基本方針等に変更が生じた場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
イ GMOインターネットグループとの取引について
2023年12月期における当社グループのGMOインターネットグループとの主な取引関係は以下の通りです。なお、2023年12月期におけるGMOインターネットグループとの販売取引は全体の8.8%、仕入取引は5.3%であります。
(注) 1.取引条件及び取引条件の決定方針
(1) 当社グループと関連を有しない会社との取引と同様に、取引規模を総合的に勘案し交渉の上決定しております。
(2) 当該投資事業有限責任組合は、GMO VenturePartners㈱を無限責任組合員とする投資事業有限責任組合であり、投資事業有限責任組合契約書に基づき出資をしております。
(3) 受取利息については、貸付金にかかるものであり、市場金利を勘案して利率を合理的に決定しております。
(4) 業務受託収入については、当社がGMO ReTech㈱より事業活動にかかる管理部門業務を委託されたことに伴う収入であり、その取引価額については他社の一般取引条件及び管理業務に従事する当社従業員の給与等を勘案し、合理的に決定しております。
(5) 資金の貸付については、市場金利及び取引条件等を勘案して合理的に決定しております。
ウ GMOインターネットグループとの役員の兼務関係について
2023年12月31日現在における当社グループの役員10名のうち、GMOインターネットグループ㈱または兄弟会社の役員を兼ねる者は2名であり、その者の氏名、当社グループ及び親会社(または兄弟会社)における役職、兼任の理由は以下の通りです。
エ 親会社からの独立性の確保について
当社グループが事業活動を行う上で、「重要な決議事項」に限り親会社であるGMOインターネットグループ㈱に事前通知することとなっておりますが、当社グループは各事業における営業活動等、すべての業務を独自に意思決定し事業展開しております。またGMOインターネットグループ㈱からの役員の兼務状況は当社独自の経営判断を妨げるものではなく、経営の独立性は確保されていると認識しております。
① 訴訟リスクについて
当社グループは2023年12月31日時点で第三者からの訴訟を提起される事案はございません。しかしながら、当社グループが事業展開を図る上で、クライアント等による違法行為やトラブルに巻き込まれた場合、もしくはシステム障害等によってクライアント等に損害を与えた場合等、当社グループに対して訴訟その他の請求を提起される可能性があります。
また、インターネットビジネス自体の歴史が浅く、新たに発生した又は今まで顕在化しなかったビジネスリスクによって、現在想定されない訴訟等が提起される可能性もあります。
一方、当社グループが第三者に何らかの権利を侵害され、又は損害を被った場合に、第三者の権利侵害から当社が保護されない可能性や、訴訟等による当社グループの権利保護のために多大な費用を要する可能性もあります。係る場合には、その訴訟等の内容又は請求額によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権等に関する侵害について
当社グループは管理部・法務にて、当社グループが他社の知的財産権等を侵害していないかの確認を実施しております。当社グループが事業活動を行うプロセスにおいて使用しているソフトウエア及びシステムは第三者の知的財産権等を侵害するものではないと認識しております。しかしながら不測の事態、あるいは何らかの不備により第三者の知的財産権等を侵害してしまう可能性、ないし当社グループが使用する技術について侵害を主張され、防御又は紛争の解決のための費用又は損失が発生する可能性があります。また、将来当社グループによる特定のサービスの提供もしくは特定の技術の利用に制限が課せられ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 自然災害等について
当社グループでは、自然災害、事故等に備え、定期的バックアップ、サーバ稼働状況の常時監視等によりトラブルの防止又は回避に努めておりますが、当社グループの本店所在地である東京都における大地震や入居しているテナントビルにおいて火災等の自然事故が発生した場合、当社グループ設備の損壊や電力供給の制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生し、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 社歴が浅いことについて
当社グループは、2006年12月に設立された社歴の浅いグループであります。また、当社グループの属するIT業界を取り巻く環境はスピードが速く流動的であるため、当社グループにおける経営計画の策定には不確定事象を含まざるを得ない状況にあります。そのような中で、過年度の財政状況及び経営成績からでは、今後の業績を判断する情報としては不十分な可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、安定的な経営基盤の確立と自己資本比率の向上に努めるとともに、業績の進展状況に応じて株主に対する利益還元に努めたいと考えております。また、内部留保資金につきましては、将来の事業展開、財務体質の強化に充当する考えであります。
当社の剰余金の普通株式に対する配当は期末配当の年1回を基本方針としておりますが、株主に対する経営成果の利益還元となる配当は、極力タイムリーに実現できるよう、将来の四半期配当実施に備え、毎年3月31日、6月30日、9月30日、12月31日を基準日として、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めております。
2023年12月期の普通株式に対する配当につきましては、一株あたり184.48円とさせていただいております。
また、A種種類株式については、定款の定めにしたがって、優先配当いたします。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。