2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    530名(単体) 1,488名(連結)
  • 平均年齢
    40.8歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.4年(単体)
  • 平均年収
    6,049,263円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(名)

鋼索鋼線関連

729

(125)

スチールコード関連

215

(74)

開発製品関連

309

(101)

産業機械関連

198

(20)

エネルギー不動産関連

37

(23)

合計

1,488

(343)

 

(注) 1  従業員数は、就業人員であります。

2  従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の当連結会計年度の平均雇用人員であります。

3  臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

4  本社等の「管理部門」の従業員数は各セグメントに配分して記載しております。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(名)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

530

40.8

15.4

6,049,263

(94)

 

 

セグメントの名称

従業員数(名)

鋼索鋼線関連

418

(65)

スチールコード関連

10

(2)

開発製品関連

101

(27)

産業機械関連

(―)

エネルギー不動産関連

1

(―)

合計

530

(94)

 

(注) 1  従業員数は、就業人員数であります。

2  従業員数欄の(外書)は、臨時従業員の当事業年度の平均雇用人員であります。

3  臨時従業員には、季節工、パートタイマー及び嘱託契約の従業員を含み、派遣社員を除いております。

4  平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

5  本社等の「管理部門」の従業員数は各セグメントに配分して記載しております。

 

(3) 労働組合の状況

当社グループのうち、当社、東綱スチールコード㈱、東京製綱繊維ロープ㈱及び東京製綱インターナショナル㈱には東京製綱労働組合が組織されており、JAMに属しております。

2024年3月31日現在の組合員数は736名であり、会社とは正常な労使関係を維持しております。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当事業年度

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

男性労働者の

育児休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1、3)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

3.3

30.0

72.8

76.2

58.8

 

(注) 1  「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3 賃金につきましては、性別・年齢・国籍等に関係なく同一の職能においては同一の処遇となる制度を採用しております。男女間での賃金格差は、職能別、職能内の等級・資格別の人員構成の差によるものであります。

 

 ② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に占める

女性労働者の割合(%)

(注1)

労働者の男女の

賃金の差異(%)(注1、2)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

東綱スチールコード㈱

77.9

75.1

49.5

 

(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2 賃金につきましては、性別・年齢・国籍等に関係なく同一の職能においては同一の処遇となる制度を採用しております。男女間での賃金格差は、職能別、職能内の等級・資格別の人員構成の差によるものであります。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループは創業以来、事業活動を通じて安全で安心な社会インフラの整備や環境にやさしい社会の持続的発展に広く貢献してまいりました。グループ各社、及び各工場においてSDGsに資する製品・サービスの開発や、脱炭素社会実現に向けた取組みを進めてまいりましたが、より一層、事業活動を通じた環境・社会課題の解決及び企業価値向上を目指すべく、2023年4月にサステナビリティ委員会及びサステナビリティ推進室を設置し、2023年5月にサステナビリティに関する基本方針の策定及びマテリアリティ(重要課題)の特定を実施いたしました。その際決議されたサステナビリティ課題全般、及び重要と判断するテーマ「気候変動」と「人的資本」における「ガバナンス」、「戦略」、「リスク管理」、「指標と目標」は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ課題全般

① ガバナンス

当社グループは以下のとおり、サステナビリティを巡る課題のリスクと機会に対応するための適切なガバナンス体制を構築しております。社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会が、年2回以上の頻度で当社グループのサステナビリティ活動全般の審議を行い、対応方針や戦略を策定の上、各業務執行部門や子会社へ指示を行います。当事業年度においては6回開催し、マテリアリティ(重要課題)のKPI指標や健康経営の推進に関する審議を行いました。審議内容は経営会議及び取締役会へ付議・報告され、経営会議及び取締役会は監督及び必要に応じて指示を行います。特に重要な個別課題については、サステナビリティ委員会の傘下に分科会を設置の上、PDCA管理を行っております。


 

② 戦略

当社グループは、5つのマテリアリティ(重要課題)に沿ってサステナビリティ経営を遂行しております。マテリアリティ(重要課題)は、企業理念、経営の基本方針、中長期的ビジョンを起点に、SDGs、ISO26000、GRIスタンダード、SASBセクターガイドライン等の各種ガイドラインからサステナビリティを巡る課題を抽出し、ステークホルダーの皆様及び当社グループ双方にとっての重要性を分析の上、以下のとおり特定しております。持続可能な環境・社会の実現と企業価値向上を目指して、マテリアリティ(重要課題)毎に方針・戦略を策定しながら具体的な取組みを進めてまいります。

マテリアリティ(重要課題)

マテリアリティの構成要素

リスク

機会

自然環境と共存する

-持続可能な環境の実現-

気候変動対策の推進

環境リスクマネジメントの徹底

 

循環型社会/リサイクルの実現

お客様・お取引先・地域の皆様と

共に栄える

-社会ニーズに対する高度な製品・ソリューションの提供-

製品・サービスの品質保証と安定供給

顧客・市場ニーズへの対応

 

インフラ老朽化や自然災害等の社会・地域課題の解決

 

デジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進

 

ステークホルダーとの協働

 

従業員と共に栄える

-従業員の健康確保と働きがいのある職場環境づくり-

人材の採用・育成

 

ダイバーシティ&インクルージョンの尊重

 

健康経営の推進、安全衛生の確保

すべての人と共存する -人権の尊重-

人権の尊重・不当な差別の排除

共に栄えるために義(規律・規範・責任)に従う

-ガバナンス・リスク管理の徹底-

コーポレートガバナンスの強化・企業倫理の徹底

 

リスクマネジメント体制の強化

 

責任ある調達の推進

 

 

 

③ リスク管理

サステナビリティ課題のリスクについては、関係各部署と連携しながらサステナビリティ推進室において特定・評価しております。特定・評価された各種リスクについては、社長執行役員を委員長とするサステナビリティ委員会にて、年2回以上の頻度で管理・モニタリングされます。管理・モニタリング結果については経営会議及び取締役会へ報告され、適切な監督・指示を受けております。

 

④ 指標及び目標

当社グループは、当事業年度期間中に取締役会及びサステナビリティ委員会で複数回議論を重ね、5つのマテリアリティ(重要課題)に対応するKPI指標を新たに設定しました。マテリアリティ構成要素ごとに26のKPI指標を設定し、目標及び実績を管理しております。「気候変動」と「人的資本」に関連するKPI指標については「(2)気候変動 ④ 指標と目標」と「(3)人的資本 ② 指標と目標」をご参照ください。その他のKPI指標詳細は、以下の当社ウェブサイトをご参照ください。

(参考)東京製綱 マテリアリティKPI目標と実績

 URL :https://www.tokyorope.co.jp/sustainability/materialitykpi.pdf

 

(2) 気候変動

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ課題全般のガバナンスに組み込まれております。詳細は「(1)サステナビリティ課題全般 ① ガバナンス」をご参照ください。

 

② 戦略

当社グループは、将来の気候変動が事業活動に与えるリスクと機会を特定し、財務影響を評価し、適切な対応策及び戦略を講じていく目的で、シナリオ分析を実施いたしました。

気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)や国際エネルギー機関(International Energy Agency)が発行する文献等を参照しつつ、温暖化抑制のために各国が気候政策を導入し脱炭素経済への移行リスク(機会)が顕在化する「1.5℃シナリオ」と、温暖化を抑制することなく現状通り経済活動を行い物理的リスク(機会)が顕在化する「4℃シナリオ」の2つのシナリオにおいて、当社グループの事業活動における主要な気候関連のリスクと機会を下表のとおり特定いたしました。

シナリオ分析の特定結果を要約しますと、「1.5℃シナリオ」においては、炭素税や線材価格の高騰の財務リスクが大きいと想定されるものの、適時適切に販売価格に反映し影響を抑えつつ、機会である洋上風力発電関連製品の開発や環境配慮製品の拡充に注力し、新たな成長機会の獲得を目指してまいります。

「4℃シナリオ」においては、突発的な気象災害や慢性的な気温上昇によるリスクに対しBCP等の対策を講じて財務影響の極小化を図りつつ、国土強靭化に向けたインフラ需要の取り込みを図ってまいります。

いずれのシナリオにおいてもレジリエント(強靭)に当社グループが企業価値を向上していけるよう、今後も継続的にシナリオ分析を実施の上、対応策・戦略の実践を進めてまいります。







要因・
ドライバー

時間軸

(注2)

1.5℃シナリオ財務影響

(注3)

4℃

シナリオ財務影響

(注3)

当社への影響

対応策・戦略










炭素税・カーボンプライシングの導入

中~長期

・1.5℃シナリオにおいて、GHG排出量に対する炭素税課税により操業コストが増加する恐れがある。また、GHG排出量が基準を超過し排出権購入が必要となる場合においても、追加コストが発生する恐れがある。

・4℃シナリオでは、本リスクが顕在化する可能性は低い。

・省エネ推進や再エネ利用、エネルギー転換によるGHG排出量削減

・主要製造拠点における太陽光発電の活用

脱炭素政策推進に向けたエネルギー・電力規制強化

短~中期

・1.5℃シナリオにおいて、化石燃料由来のエネルギー・原材料の調達コストの低減が見込まれる一方で、再エネ推進等で電力コストの増加が見込まれる。

・4℃シナリオでは、化石燃料由来のエネルギー・原材料の調達コストは増加し、電力コストは低減が見込まれる。


低炭素技術への移行のための先行コスト

短~中期

・各シナリオにおいて、省エネに向けた製造プロセス効率の改善のため、設備投資額が増加する。

・適時適切な設備更新・効率化(電気機器、LED照明、空調機、ボイラー等)による投資コストの最適化


原材料コストの上昇

中~長期

・1.5℃シナリオにおいて、グリーンスチールが普及した場合に当社製品の主要原材料である線材の価格が上昇し、製造コストの増加が見込まれる。

・線材価格上昇による製造コスト増加については、適切な時期に製品価格に転嫁する事により、適正スプレッドの確保を図る

・超高強度スチールに加え、高機能繊維、炭素繊維など多くの先端素材によるケーブル製造のラインナップを最大限に活かす事により、線材価格上昇による製造コスト増加影響額の極小化を図る


顧客選好の変化

中期

・1.5℃シナリオにおいて、顧客の脱炭素経営が進捗し低排出製品・サービスを選好する一方で、当社が対応出来なかった場合に、評判悪化及び売上やシェア減少に繋がる恐れがある。

・Scope1~3の算定及び製品毎のカーボンフットプリント算定

・低排出製品・サービスの開発に向けた研究開発強化

・TCFD提言への賛同及び同提言に沿った情報開示

 

 







要因・
ドライバー

時間軸

(注2)

1.5℃シナリオ財務影響

(注3)

4℃

シナリオ財務影響

(注3)

当社への影響

対応策・戦略







サイクロン、洪水などの異常気象の激甚化

長期

・各シナリオにおいて、洪水・高潮によって工場その他の事業拠点が被災した場合、生産設備の損傷等による直接的な損害の発生、及び生産活動の停止等による間接的な売上減少や復旧コストの支出に繋がる恐れがある。

・老朽建物の更新、補強

・設備配置の最適化(電気設備の高所化、浸水防止対策等)

・止水板や土嚢の整備、BCP体制の高度化

・従業員教育の徹底

・火災保険の補償拡充


平均気温の上昇

中~長期

・各シナリオにおいて、気温上昇に伴い工場における従業員の労働環境が悪化し生産性低下や売上減少に繋がる恐れがある。

・工場建屋天井への遮熱塗装、大型ファン、スポットクーラーの設置

・DX活用による生産プロセスの省人化


エネルギー源

低炭素エネルギー源の利用拡大

中~長期

・1.5℃シナリオにおいて、再生エネルギー、特に洋上風力発電の普及が進んだ場合に、関連製品・サービスの売上の拡大が見込まれる。

・洋上風力発電に必要な係留ロープの研究開発及び量産に向けた投資強化

製品及びサービス

気候変動の緩和に向けた低排出商品・サービスの拡大

中~長期

・1.5℃シナリオにおいて、環境に配慮したGHG低排出製品・サービスの需要が高まる場合に、該当製品・サービスの売上増加や収益率の向上が見込まれる。

・お客さまとの協創によるカーボンフリーソリューションやサービスの普及

・省エネ製品(高強度、高耐久性、軽量化)、ライフサイクルコスト低減製品(CFCC(*))等

(*)Carbon Fiber Composite Cableの略であり、炭素繊維と熱硬化性樹脂を複合化し、より合わせて成形した構造用ケーブル

気候変動への適応ニーズ増加

中~長期

・4℃シナリオにおいて、国土強靭化に向けたインフラ整備の需要が高まる場合に、特に開発製品関連事業において売上増加や収益率の向上が見込まれる。

・インフラの保全(劣化診断技術)や防災・減災(落石・土砂崩壊・雪崩防護、予防等)、早期復旧に資する技術・体制の整備

 

(注) 1 シナリオ分析の対象は、鋼索鋼線関連事業、スチールコード関連事業、開発製品関連事業の三部門であります。

2 時間軸は、短期:1年以内、中期:~2030年まで、長期:~2050年までの三区分で評価しております。

3 財務影響度は、引用シナリオのパラメータに基づきPL・BS影響を算出の上、大・中・小の三区分で評価しております。

なお、当連結会計年度末現在の評価であり、今後、前提条件の変化や分析の高度化等により変更となる可能性がございます。

 

③ リスク管理

従前より、ISO14001等の環境マネジメントシステムに準拠しながら、現在時点の気候関連リスクを含む環境リスクについて、各製造拠点において特定、評価し、適切な対応を行ってまいりました。各製造拠点が特定・評価した各リスクについては、環境安全防災室へ報告が行われ、一元管理されております。

将来発生しうる中長期的な気候変動関連リスクの特定・評価については、サステナビリティ推進室、環境安全防災室、経営企画部及び内部監査室で実施いたしました。サプライチェーンへの影響、発生可能性、発生の時間軸及び財務影響などを考慮しながら、②戦略で記載のとおり「移行リスク」と「物理的リスク」を特定・評価しております。

特定・評価された気候変動関連リスクにつきましては、「(1)サステナビリティ課題全般 ③ リスク管理」に記載のとおり、サステナビリティ委員会にて適切に管理・モニタリングされております。

 

④ 指標と目標

当社グループは、気候関連のリスクと機会を管理するための指標として、GHGの一種である二酸化炭素(CO2)の排出量(Scope1+Scope2)を定めております。指標に対する目標としては、パリ協定や日本政府が公表した「2050年カーボンニュートラル宣言」、日本鉄鋼連盟のロードマップ等との整合も勘案しながら、「CO2排出量削減目標及び削減ロードマップ」を設定しております。

当連結会計年度における当社グループ(※)のCO2排出量実績は、Scope1が18千t-CO2、Scope2が50千t-CO2、合計で68千t-CO2となり、2013年度対比で▲40.2%の削減となりました。従前より、各製造拠点で伸線加工等の製造技術を改善させるとともに、省エネ蒸気トラップや大型コンプレッサー、LED等の省エネ設備の導入を行い、燃料や電気の使用量削減に努めており、CO2排出量は年々減少傾向にあります。加えて、当事業年度は東綱スチールコードにおける利益率改善に向けた販売価格改定及びそれに伴う生産量減少を受け、CO2排出量が大幅に減少しました。

昨年設定した2030年度の目標値である▲40%に既に到達したことから、2030年度の目標を▲46%へ再設定の上、更なる省エネの取組みやPPAモデルを活用した太陽光発電設備導入(2024年6月より土浦工場で稼働開始)など、カーボンニュートラルに向けた取組みを継続して進めてまいります。


(※):算定範囲は東京製綱株式会社(除く、排出量が軽微な事業所)及び東綱スチールコード株式会社の北上工場

 

(3) 人的資本

① 戦略

当社グループにおける、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は次のとおりです。

当社グループの企業理念である『共存共栄』の実現には、企業価値の源泉である当社グループの役員・従業員が心身の健康を確保し、互いに多様な考え方や価値観を認め合い、自己実現を図れることが必要であり、同時に全ての役員・従業員が安全・安心に働くことができる職場環境の構築が重要であると考えております。

そのため、当社グループでは、役員・従業員の健康の確保、増進のための取組み、多様性の理解と確保の促進、及び役員・従業員の主体的で多様なキャリア形成と必要なスキルアップに向けた支援を重点的に行うことで、各人が自らの持つ能力を最大限に発揮し、エンゲージメントを高く維持して企業活動に参画する環境を整え、企業価値の持続的な向上に努めてまいります。

人材に関する重要な方針や施策の決定は経営会議において議論・決定しますが、各施策の進捗状況を把握し、適宜制度を改善させていくために、毎年1回ピープルサーベイを実施しており、その分析結果を経営会議並びに取締役会に報告し、施策に反映しております。また、多様性の理解と確保については、女性活躍を含む多様性の確保に向けた取組みを行うこと、次世代のリーダーを育成することを執行役員の評価項目とすることで、取組むべき課題として認識し、施策の立案・実行を促すこととしております。

 

1) 経営トップのコミットメント

「安全・安心な職場作り」「風通しの良い組織風土」を社長方針として明確に示し、製造・工事現場の安全対策はもちろんのこと、コンプライアンスを含め、安全・安心に就業できるためのルールを定め、ルールを遵守することにより方針の実現を目指しております。具体的には「ハラスメントの防止」「周囲との積極的な対話」「自ら考え主体的に行動」「社会に貢献している誇りを持って活動」等を行動原則として示し、組織風土づくりに取組んでおります。

また、役員・従業員の健康の喪失は企業価値創出にとって損失であるとの認識のもと、健康経営へ取組んでおります。

 

2) 多様性の理解と確保の促進

当社における管理職に占める女性労働者の割合は、3.3%となっており(詳細は「従業員の状況」をご参照ください。)今後これを高めていく必要があると考えております。女性活躍に向けた取組みを執行役員の評価項目の一つとし、社内育成を強化するとともに、中途採用による女性管理職の増加を目指しております。また、管理職候補層である、いわゆる総合職に占める女性の割合は近年の女性採用増加により27%と改善しつつあるものの、今後これを一層高めるべく、新卒採用に限らず中途採用においても女性の採用を積極的に行う事や、総合職への職能変更を希望する社員への主体的で多様なキャリア形成を実現するための支援といった各種取組みに注力してまいります。性別にかかわらず活躍できる職場環境の整備、育児・家事と業務との両立及びライフステージの変化に合わせた多様な働き方を可能とする職場環境の整備を重層的に推進してまいります。

 

3) 能力開発

次世代リーダー育成のため、経営幹部たる執行役員に求められる能力を定義し、これを管理職に伝えております。一人ひとりが自らの能力開発において、当社グループの経営に求められる資質がどのようなもので、どのように高めるべきかを理解し、その実現に向け自ら研鑽に努めることは、本人はもとより、当社にとっても有益であると考えております。

当社の管理職にはMBO(Management by Objectives)制度を採用しており、会社の方向性と一人ひとりの目指したい方向をすりあわせし、時には高い目標を設定することで会社と従業員とがともに成長していく事が可能となる仕組みとしております。

また、研修に関しては、階層別研修においては特にリーダーシップとコミュニケーション能力の開発に注力するとともに、各業務に必要なスキルに関する研修は通信制も含め、すべての従業員が都度受講が可能となっているほか、経験の浅い従業員については、トレーナー制度をもうけて先輩従業員によるフォローアップを行っております。これら能力開発のもと、非正規雇用の従業員については、積極的に正規化し有為人材の確保に努めております。

 

4) 表彰

当社は従業員が目指すべき価値を体現することを表彰する制度を設けております。

具体的には「革新」「自発」「高い目標」「チームの成長」を成し遂げた従業員を模範社員として表彰し、本人の努力を称揚するとともに、これらの価値を組織全体に浸透させていく取組みを引き続き進めてまいります。

また社内イントラネットを利用し、日常の業務において従業員同士が感謝を伝え合う仕組みを整備し、従業員同士のコミュニケーションの向上と相互理解を推進しています。

 

5) 多様な働き方の実現

当社は時間と場所に縛られない働き方が、育児や家事と業務との両立やライフステージの変化に合わせた働き方の実現に寄与し、今後優秀な人材を獲得していくためにも有用と考えており、従来から実施しているフレックスタイム制度と合わせて、在宅勤務と出社勤務が組み合わされた勤務も可能な在宅勤務制度を導入しております。

これらの制度と合わせて、本社のオフィス環境についても従業員間のコミュニケーションを活性化し、より創造性を高めるためのレイアウトの導入とフリーアドレス化を実施しております。

また、当社は定年制とその後の再雇用制度を設けておりますが、定年を超えて再雇用される従業員に対しては一定の条件のもと勤務日数の縮減と副業が可能な働き方を選択でき、従業員一人ひとりが定年後のセカンドキャリアビジョンにあわせた働き方が可能となる制度を導入しております。

 

6) 健康経営、労働安全衛生

「共存共栄」の企業理念のもと、当社は従業員とその家族とともに栄えることを目指し、健康経営に取組んでいます。すべての従業員がいきいきと働いてこそ、社会に安全・安心をお届けすることができるとの考えのもと、労働組合・健康保険組合そして従業員と一体となって、健康を維持、増進できる環境づくりを積極的に推進しております。健康経営においては、適切なワークライフバランスの実現、性別にかかわらず活躍できる環境づくり、健康リスク保有者への対策強化を行っております。また、特に工場現場、工事現場を抱える当社では労働災害の撲滅を目指して、ISO45001に則った安全管理を徹底しつつ、リスクアセスメントの強化と安全パトロールの実施を重点的に行っております。

 

② 指標と目標

当社グループでは上記「① 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標については、当社においては関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組みが行われているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社では行われていないことから、連結グループにおける記載が困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

人的資本に関する指標目標及び実績は次のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当事業年度)

ハラスメント研修参加率(注1)

2031年3月までに100%

94%

女性管理職比率(注1)

2031年3月までに7%

3.3%

男性の育児休業取得率(注1)

2031年3月までに50%以上

30%

人的資本拡充・エンゲージメント向上につながる教育(注1)

2031年3月までに44百万円(注3)

31百万円(注3)

国内主要製造拠点災害強度率(注2)

2031年3月までに0.05以下(継続)(注4)

0.15(注4)

 

(注) 1 対象は、提出会社

2 対象は、連結子会社を含む国内主要製造10拠点

3 教育訓練費に該当する勘定科目への計上金額

4 延べ労働損失日数÷延べ労働時間数×1,000