リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、当社のリスク管理体制につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、自然現象や社会情勢、事業の状況により重要度・発生頻度は変化いたします。
リスクにおける重要度は5つのレベル(致命的・危機的・要対応・要考慮・要認識)に分け、発生頻度については以下のとおり(高頻度、中頻度、低頻度、超低頻度)で定義しております。
(1)事業活動におけるリスク
①外的環境
a.市場の変化 <重要度:要考慮 発生頻度:超低頻度>
これまで日本の出生率は総じて徐々に低下する傾向にあり、現在は世界で最低の水準にあります。その結果、死亡数が出生数を上回り、日本の総人口は自然減が続いております。国立社会保障・人口問題研究所によれば、15歳から64歳の人口は、2020年の約7,509万人から2070年には約4,535万人に減少し、この減少傾向は今後も継続すると予想されています(「国立社会保障・人口問題研究所 日本の将来推計人口(令和5年推計)」より)。このような環境下におきまして、当社グループは、国内事業においてはM&A及び事業承継の推進及び既存顧客向けのアップセル・クロスセルの活性化、サイバーリスク等をはじめとした新しいリスクに対応する新商品の販売促進に取り組んでおります。また、海外事業のさらなる拡大に向け事業に取り組んでおります。しかしながら、市場の環境変化に伴い、当社グループのマーケットが縮小する場合には、営業収益の減少等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b.保険会社との関係<重要度:要対応 発生頻度:低頻度>
(a)保険代理店委託契約を締結している保険会社について<重要度:要対応 発生頻度:低頻度>
保険代理店事業では、当社と保険代理店委託契約を締結する保険会社の保険商品に係る契約の取次及びアフターフォロー(保全業務)を当社が提供する対価として保険会社より代理店手数料を収受しております。本書提出日現在において、当社は損害保険会社10社、生命保険会社28社、少額短期保険会社1社と保険代理店委託契約を締結しております。当社においては、保険会社との定期的な情報交換や勉強会の共催等を通じて良好な関係の構築に努めると共に、特定の保険会社の商品のみではなく万遍なく保険商品を取り扱うこと、併せてM&A及び事業承継の紹介元となる保険会社の分散に注力することで、各保険会社との関係構築に努めております。
しかしながら、当社と代理店委託契約を締結する保険会社の財政状態が悪化し、当該保険会社の事業縮小や破綻等が生じた場合、当該保険会社に係る当社の保有保険契約が失効・解約されること等により、営業収益の減少等、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また一方で、何らかの事由によって保険会社との代理店委託契約が解消されるような事態が生じた場合、保有保険契約の減少により、営業収益の減少等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(b)特定の保険会社への依存について<重要度:要考慮 発生頻度:低頻度>
東京海上日動火災保険株式会社及び東京海上日動あんしん生命保険株式会社の代理店としてスタートした当社グループは、両社より、両社の保険商品を取り扱う代理店のM&A及び事業承継案件を多数受けていることもあり、両社の保険商品を取り扱う比率が高く、第23期連結会計年度において、東京海上日動火災保険株式会社から収受する代理店手数料は、当社グループの営業収益の50.0%を占めており、東京海上日動あんしん生命保険株式会社から収受する代理店手数料は、当社グループの営業収益の10.1%を占めております。このため、両社及びその保険商品に対する風評等により、当社の新規保険契約件数、保有保険契約の継続率等が影響を受ける可能性があります。同様に、両社の営業政策の変更等によって両社の保険商品販売が想定どおりに進捗しない場合、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社がM&A及び事業承継をした年換算保険料(ANP)実績においても、東京海上日動火災保険株式会社からの紹介実績が、第20期67.7%、第21期85.3%、第22期72.3%、第23期85.1%を占めています。当社では、M&A及び事業承継の紹介元保険会社の分散に注力しておりますが、東京海上日動火災保険株式会社の代理店再編に対する考え方、取り組みが変更された場合、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(c)保険会社の規定・制度・方針について<重要度:要対応 発生頻度:低頻度>
当社グループの保険代理店事業における代理店手数料は、保険会社の規定・制度・方針等に基づき決定されているため、それらの変更により手数料率及び手数料が変動します。保険会社各社ごとに定められた基準・評価に応じた代理店ランクや手数料率によって各保険商品の手数料率が決定されるため、基準の未達成等により代理店ランク、手数料率が下がった場合、代理店手数料(営業収益)が減少する可能性があります。当社グループでは、保険会社各社との綿密なコミュニケーションを図りつつ、保険会社が求める基準を充足するなど適宜対応しておりますが、このような保険会社の規定・制度・方針の変更等により、代理店手数料が減少した場合、営業収益の減少等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(d)その他の関係会社等との関係<重要度:要考慮 発生頻度:超低頻度>
住友生命保険相互会社は、当社のその他の関係会社に該当し、本書提出日現在、当社発行済株式総数の37.95%を所有しております。住友生命保険相互会社の企業グループの中で、保険募集業を取り扱う主な企業には、当社のほか、いずみライフデザイナーズ株式会社、株式会社保険デザイン、マイコミュニケーション株式会社及び株式会社スミセイ・サポート&コンサルティングの4社が存在しますが、これら各社は当社と異なる営業チャネルにおいて保険募集を行っているものと認識しており、これら各社との競争関係が当社の業績に影響を与える程度は低いものと考えております。なお、同社との契約上重要事項の報告は求められておりますが、同社の承認を必要とする事項は存在しておらず、経営方針の決定や業務執行にあたっても影響を強く受ける体制になっておりません。また、同社及び同社グループのメディケア生命保険株式会社の取引において、保険代理店委託契約、代理店手数料・業務品質手数料に関する規定に基づいた代理店手数料の支払いを受けておりますが、通常の取引条件と異なる条件での取引は行われておりません。なお、住友生命保険相互会社との定期的なコミュニケーションを今後も継続していくことで、同社との良好な関係構築に努めてまいります。
しかしながら、同社の方針に変更が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
c.法的規制<重要度:要考慮 発生頻度:中頻度>
当社及び国内子会社は、損害保険募集人及び生命保険募集人として「保険業法」に基づく登録を行っております。生命保険募集人としての登録の有効期限は特に定められておりませんが、損害保険募集人としては、損害保険募集人資格認定日から5年6ヶ月後の応答日の属する末日が有効期限と定められております。保険業法では、保険業法第300条に定める虚偽説明及び不告知教唆並びに告知妨害等の保険募集に関する禁止行為に違反した場合等、内閣総理大臣は代理店登録の取消し、業務の全部又は一部の停止、業務改善命令の発令等の行政処分を行うことができると定めています。仮に当社が当該行政処分を受けた場合には保険代理店事業における営業が困難となり、営業収益の減少等、当社の事業及び経営成績等に重要な影響を及ぼす可能性がありますが、本書提出日現在において行政処分の対象となる事象は認識しておりません。
上記のように、当社グループは保険業法及びその関連法令並びにそれに基づく関係当局の監督等による規制、さらには、一般社団法人生命保険協会及び一般社団法人日本損害保険協会による自主規制の対象となる保険会社の指導等を受けて事業を運営しております。また、保険募集に際しては、保険業法の他、金融サービスの提供に関する法律、消費者契約法、不当景品類及び不当表示防止法、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)等の関係法令を遵守する必要があります。近年、保険業法等の関係法令及び監督指針の改正等によって、意向把握義務や情報提供義務が必須となる等、求められる保険募集管理体制の水準が高まっております。当社グループでは、社員教育の徹底や内部監査体制の強化等コンプライアンス体制の充実を図り適切な保険募集を行うとともに、法律の改正等に対応したシステム開発を進める等しておりますが、今後、これらの法令や規制、制度等が変更された場合、関係当局による法令解釈が変更された場合には、管理コストの増大やコンプライアンス違反リスクの高まり等、当社グループの事業及び経営成績等に影響が出る可能性があります。
d.訴訟リスク<重要度:要認識 発生頻度:超低頻度>
当社グループは保険業法を始めとした各種法規制を遵守して事業活動を展開しておりますが、クレーム等の事案が発生した場合には、保険会社や顧問弁護士と相談しながら対応を進めております。募集実態については、内部監査部による監査や部支店ごとの月例点検等を通じて把握しています。その結果、募集上の問題があり、改善が必要な事案や十分な理解の浸透が必要と判断された事項については、毎月発刊している「コンプライアンス通信」や研修、E-Learning等を通じて、情報共有、注意喚起を行っております。お客様から寄せられる当社へのご不満やご意見、ご要望等につきましても、毎月「お客様の声通信」を発刊し、社内周知、再発防止の徹底を図っております。
しかしながら、M&A及び事業承継によって保険募集人が大幅に増加する中で、当社へ合流前の募集行為を含めて、クレームや法令違反等が発生、判明することで訴訟を受ける可能性があります。お客様から寄せられたクレームや損害賠償等の訴訟を受けた場合、それに起因して、各保険会社や提携先等から何らかの処分(代理店手数料カット、提携解消等)が下された場合、営業収益の減少等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
e.競合<重要度:要考慮 発生頻度:超低頻度>
当社グループでは、知識の豊富な従業員による、ライフプランニング、ファイナンシャルプランニング、相続対策相談等の提供を通して、お客様に対して潜在的なリスクも含めた包括的なリスク対策の1つとして、損害保険、生命保険をご案内しています。そのため、当社グループと共通の保険商品を取り扱う保険代理店や金融機関の窓口は直接的に競合するものと認識しております。
以前は対面販売を主流としていた保険業界ですが、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、Webを活用したオンライン上での募集が可能となっております。そのような中で、当社はWebツールを導入してオンライン商談等の新しい募集形態を積極的に取り入れております。
他社との競合が続き、DXの取り組みが大きく進展するなど募集環境が大きく変化する中、当社は保険会社と協力して進めるM&A及び事業承継戦略、米国で展開する海外戦略、新システム開発とDX戦略の推進により差別化を図っております。しかしながら、将来にわたり、現在の競争力を当社グループが維持強化できず、競合他社と比してライフプランニング・ファイナンシャルプランニング等の競争力の低下に伴う販売力が減少した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
f.M&A及び事業承継(他の保険代理店の合流)に関するリスク<重要度:要対応 発生頻度:中頻度>
当社グループは事業戦略の1つとして、他の保険代理店のM&A及び事業承継を行っております。M&A及び事業承継の費用対効果は十分検証した上で実施しておりますが、承継する保険契約の存続は、当社のみならず保険契約者の意向に基づくものであるため、事前の収支見通しに反して承継した保険契約から期待どおりの収益が得られない可能性を完全に排除することは困難であります。そのため、事前に想定できなかった事態が発生することで、合流いただいた保険代理店への報酬割合を引き上げる等の追加的な費用の発生や、取得した顧客関連資産の減損等の事態が発生した場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また大型の法人代理店の買収については、事前に各保険会社とのすり合わせや当該大型法人代理店に関するデューデリジェンス、関係者との綿密なコミュニケーションを通じて慎重に進めておりますが、交渉が想定以上に長期化した場合や交渉の結果破談となった場合は、個別に要したデューデリジェンス費用や買収を想定して新規出店準備に費やしたコストなどが回収できないことから、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、拠点がない地域で一定規模のM&A及び事業承継が進んだ場合、新たに拠点を開設することがあります。この際、事前に保険会社との綿密な打ち合わせのもと、適切なマーケット評価・想定される新規顧客数等を慎重に見積もるなどの対策は取っておりますが、万が一新規店の業績が当初の計画どおりに進捗せず、投資資金の回収に長期間を要する場合や、賃貸人等の事情による契約の終了により業績が好調な支店又は店舗であっても閉鎖を余儀なくされ、減損損失や事業所閉鎖損失が発生する場合、当社グループの事業、業績又は財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
g.買収について<重要度:要考慮 発生頻度:中頻度>
当社グループは、経営戦略の一環として、一定程度の規模のM&Aを実施する可能性があります。M&Aに際しては、対象企業について、財務内容及び法務等について詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減を図る方針であります。しかしながら、これらの調査段階で想定されなかった事象が、M&A実行後に発生する場合や、事業展開が計画どおりに進まない可能性があります。その場合は、当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
h.自然災害・感染症<重要度:危機的 発生頻度:超低頻度>
当社は、東京都新宿区に本社を置き、北海道東北エリア、首都圏エリア、中部エリア、関西エリア、九州四国エリアに拠点を設け、営業地域の分散を図っております。しかしながら、大規模な地震等の自然災害により営業拠点が直接被害を被った場合、あるいは広範囲で社会インフラに障害が発生した場合、当社の事業活動に支障をきたす可能性があります。これらの対策として、当社はBCPの策定並びに定期的なBCP訓練を実施しております。また、ネットワークの二重化(各部支店へのモバイルルータの配備)及び部支店長へのスマートフォン貸与(テザリングによるモバイルネットワーク通信の確保)を行っております。万が一大規模な地震等の自然災害が発生した場合には、被害を受けた営業拠点の復旧に一時的に多額の費用が必要になり、かつ一定の期間も要することが想定され、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
i.知的財産権に関するリスク<重要度:要考慮 発生頻度:超低頻度>
当社が保有する知的財産権は「商標権」のみであり、その内容は、当社の社名及び当社が展開するブランドロゴ、当社が開発する保険診断アプリ「ほけチョイス」のサービス名称であります。取得済み及び出願中の特許権や実用新案権など他の知的財産権は有しておりません。当社では、顧問弁護士や弁理士と連携を図り、当社が保有する知的財産権の保全に取り組むとともに、他社の知的財産権を侵害することのないよう努めております。
しかしながら、当社の知的財産権が第三者に侵害された場合には、解決までに多くの時間及び費用がかかるなど、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の事業領域における知的財産権の現状を全て把握することは難しく、意図せず他社に帰属する知的財産権を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、損害賠償等の法的責任を追及される、当社の信用やブランドが毀損されるなど、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
j.有利子負債・金利動向<重要度:要対応 発生頻度:低頻度>
当社グループの2023年12月期末の有利子負債残高は、341,001千円、総資産に対する割合は15.9%となっております。
当社グループでは、事業拡大に向けてM&A及び事業承継による新規拠点開設を戦略的に推進していく方針であるため、今後も有利子負債を増加させる可能性があります。
したがって、今後の金利動向に著しい変化が生じた場合には支払利息の増加等により当社の業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社としましては、事業拡大に向けたM&A及び事業承継については、必要に応じて自己資金を積極的に活用するなどしてリスクを低減させておりますが、当社グループの業績や財政状態に悪化等が生じた場合、当社グループにとって好ましい条件での金融機関からの資金調達を維持できる保証はなく、当社グループの事業が計画どおりに進捗せず、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②内的環境
a.個人情報漏洩<重要度:要対応 発生頻度:低頻度>
当社グループは、保険契約者等から各種個人情報等を取得し、営業活動等に利用しているため、「個人情報保護法」が定める個人情報取扱事業者としての規制を受けております。
よって、当社グループは、個人情報を含む重要な情報の外部漏洩、改竄等の防止のため、重要情報の厳正な管理を事業運営上の重要課題と位置付け、個人情報保護規程、安全管理規程など、個人情報の保護に関する規程等をはじめ情報管理に関する規程を整備、運用しております。加えて、職務権限に基づく個人情報・機密情報を格納する社内ファイルサーバーへのアクセス権限の付与など、重要な情報資産の管理について組織的かつ技術的な安全管理措置を講じております。なお、当社は2021年9月にプライバシーマーク(Pマーク)を取得し、認証継続に注力しております。
しかしながら、このような安全管理措置をもってしても個人情報等を含むすべての重要な情報資産にかかる社外漏洩を防止できないことも想定されます。当該情報漏洩に起因して、第三者に何らかの損害が発生した場合、当社グループの情報管理体制にかかる風評が発生する場合には、当社グループが損害賠償請求の対象となること、対応に多額の費用がかかるなどの可能性があります。結果として、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b.システム障害<重要度:要対応 発生頻度:超低頻度>
当社グループは、お客様及び保有契約の管理や営業活動において、各種情報システムを活用しており、当社グループの事業活動は自社及び保険会社等の取引先の情報システムに大きく依存しております。
当社グループでは、情報システムの円滑な活用を進めるため、個人情報保護規程、安全管理規程、情報システム運用マニュアルを制定しております。システムサーバーが不測の事態によって停止し、又はそれらのサーバー上に蓄積されたデータが失われることにより、当社グループの業務遂行に支障をきたさぬよう、一定のセキュリティレベルを実現し、データの日次バックアップ、バックアップデータの分散格納など、考えられる範囲において起こり得るトラブルを想定し、その回避策を講じております。
しかしながら、自然災害や事故、トラフィックの急増やソフトウエアの不具合、ネットワーク経由の不正アクセス、サイバー攻撃やコンピュータウイルスの感染等の外的要因、コンピュータシステム上に生じた不具合、人為的なミス等の内部要因によって、通信ネットワークの寸断、コンピュータシステムの動作停止等の不測の事態が、当社グループ又は取引先において発生した場合、正常な営業活動が阻害されることにより、営業収益の減少等、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
c.経営成績の季節的な変動<重要度:要考慮 発生頻度:低頻度>
各保険会社から支払われる手数料はお客様からの保険料の入金に応じて支払われることから、M&A及び事業承継により、合流する保険募集人が取り扱う保険契約の移管が進むと、期末にかけて保有契約が増え、その保有契約に対する手数料実績が累積してまいります。そのため、当社の営業収益(手数料)は、新規のM&A及び事業承継の実績が累積される下期、特に第4四半期に偏重する傾向があります。
そのような偏重があるため、当社としましては、新規M&A及び事業承継については予め保守的に計画するとともに、定期的な進捗確認を通じた業績管理を実施しておりますが、新規のM&A及び事業承継が計画どおりに進捗するか否かによって、経営成績が大きく変動する可能性があり、計画に対して実績に遅れ等が生じた場合には、営業収益の減少等、通期の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2)事業体制におけるリスク
①代表者への依存<重要度:致命的 発生頻度:超低頻度>
当社の創業者であり代表取締役社長である一戸敏は、当社グループの経営方針や戦略の決定をはじめ、取引先との交流等に重要な役割を果たしております。当社グループは、業容の拡大に伴い外部から高い能力の人財を確保し、同氏から権限の委譲を行う等、人的資源を強化するとともに、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めております。しかしながら、このような経営体制が構築される前に、何らかの要因により同氏が業務を執行できない事態が生じた場合には、当社グループの成長戦略が実行できず、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②人財確保・育成に係るリスク<重要度:要考慮 発生頻度:低頻度>
当社グループは、今後の事業拡大に向けて、優秀な人財の確保・育成が不可欠であると認識しております。そのため、当社グループでは公平な人事評価制度や賃金制度、人財育成のための研修制度等を導入しており、今後も福利厚生制度や教育研修制度等の充実に努めて人財の確保・育成を図っております。しかしながら、いずれの施策も継続的な人財の確保を保証するものではなく、当社グループの従業員の流出等により、十分な人財が確保できなくなった場合や、当社グループの採用活動や人財育成が計画どおり進展しなかった場合、当社グループの事業活動に支障をきたし、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他のリスク
①繰延税金資産の回収可能性に係るリスク<重要度:要対応 発生頻度:超低頻度>
2023年12月期末の繰延税金資産は32,025千円となっており、総資産2,148,270千円の1.5%に相当します。
当社グループは、将来の課税所得にかかる予測及び仮定に基づき繰延税金資産の回収可能性の判断を行っておりますが、将来における課税所得の予測及び仮定が変更され、繰延税金資産の一部又は全部が回収できないと判断された場合には、繰延税金資産が減額される可能性があり、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
②無形固定資産の減損<重要度:要対応 発生頻度:超低頻度>
2023年12月期末の無形固定資産は408,195千円となっており、総資産2,148,270千円の19.0%に相当します。
当社グループが保有する無形固定資産に減損の兆候が発生した場合は、将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失を計上する可能性があります。特に、M&A及び事業承継によって取得した顧客関連資産については、その契約群の継続率が、当初想定したものよりも著しく低下し、想定した将来キャッシュ・フローが見込めない場合、減損損失を計上する可能性があり、その場合には当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③配当政策<重要度:要対応 発生頻度:超低頻度>
当社は、設立以来配当を実施した実績はありませんが、株主に対する利益還元は重要な経営課題であると認識しております。しかしながら、当面は事業基盤の整備、拡充を優先することが株主価値の最大化につながるものと考えており、事業基盤の整備状況、業績や財政状態などを総合的に勘案のうえ、将来においては配当を実施していく所存です。
④資金使途<重要度:要対応 発生頻度:超低頻度>
当社では、公募増資によって得た資金を採用費並びに人件費の一部、広告宣伝費、支店開設並びに支店開設に係る活動費等に充当する計画であります。しかしながら、変化する経営環境に柔軟に対応するため、計画どおりの投資が実行されない可能性があります。また、これらの投資を計画どおりに実施した場合においても、投資に見合う業績の拡大を達成できない可能性があり、その場合には当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤風評リスク<重要度:要対応 発生頻度:低頻度>
風評リスクとは、当社グループに対する否定的な評判や風評がその事実の有無に関係なく広まり、当社グループの事業環境、経営状態その他に影響を及ぼし、当社グループが損失を被るリスクと認識しております。当社グループないし業界に関して、報道機関が否定的な報道をした場合や、インターネット等を通じて悪評等が広く社会に流布した場合、その情報内容の真偽にかかわらず当社グループの社会的信用が損なわれ、当社グループの事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、株主に対する利益還元策を重要な経営課題の一つであると認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、適正な利益配分を実施することを基本方針としております。
将来的には、財政状態及び経営成績等を勘案して、各期の株主に対する利益還元策を決定していく予定でありますが、当事業年度においては内部留保の充実をはかり財務体質の強化と事業拡大のための投資等を実施し一層の事業拡大や競争力の維持・強化を目指すことが、株主に対する最大の利益還元策となると考え、配当を実施いたしませんでした。当社は今後もグループ全体の業績を向上させることにより、配当実施を含めた検討を行い、株主還元・利益配分を将来にわたり着実に増加させる努力を継続し、株主価値向上を目指します。
内部留保資金につきましては、今後の事業拡大や事業効率化のための投資、優秀な人財の確保や育成投資等の中長期的投資に充当し、企業価値の増大に努める方針です。
なお、当社は、期末配当の年1回の剰余金の配当を行うことを基本的な方針としております。
また、当社は、「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として、中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。