リスク
3【事業等のリスク】
当社グループでは、「第4 提出会社の状況」の「4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に示す体制を以て、当社グループの事業等のリスクの把握及び管理を行っています。特定された各リスクに対しては、発生頻度や影響度合いによる分析及び評価を行い、それらリスクの回避、低減等に向けた対応方法を策定しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、発生頻度については、リスクの顕在化すると思われる時期で評価しており、「高」が2~25年に一度、「中」が26年~50年に一度を目途としております。影響度については、損益影響の可能性が想定される範囲で評価しており、「小」は1億円超、3億円以下を目途としております。
また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループの事業等に関するリスクをすべて網羅しているとは限りません。
(1)土地所有者との賃貸借契約が解約になるリスク [発生頻度:高、影響度:小]
当社グループの主力事業であるコインパーキング事業については、土地・駐車場施設の所有者との賃貸借契約に基づく「直営駐車場」と、駐車場管理のみを受託する「管理受託駐車場」から主に成り立っております。
地価の動向等の要因により不動産市場が活性化した場合、土地所有者にとっての土地活用の選択肢が増加することにより、駐車場用地の賃貸借契約の解約が増加する可能性があり、それに伴い当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
近年、全国的な地価の上昇が見られますが、提出日現在、当社グループにおいて顕著な解約数の増加は発生しておらず、当面の事業継続ならびに業績への影響は限定的であるものと想定しております。
本リスクへの対応策として、定期的に土地所有者との意思疎通を行い、土地所有者の要望等を認識し適宜対応することで本リスクの低減を図っております。
(2)自然災害等のリスク [発生頻度:高、影響度:小]
地震、風水害、降雪による雪害その他の天災地変、事故、火災、戦争、暴動、テロその他の人災等が発生した場合、コインパーキング事業では、交通インフラの麻痺等により駐車場の利用者が減少し、当社グループにおける直営駐車場の稼働減少が生じる可能性があります。また、プロパティマネジメント事業では、そうした場合に加えて環境問題が発生した場合、賃貸不動産の毀損や補償義務の履行に伴い、当社グループの保有資産の価値低下につながる可能性があり、これらにより当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。
本リスクへの対応策として、北海道から九州にかけて全国的な事業展開を図ること及び賃貸不動産を複数所有することで本リスクの分散を図っております。
(3)経済環境の変化に伴うリスク [発生頻度:高、影響度:小]
原油価格の高騰等により自動車の道路交通量が著しく減少した場合には、駐車場の利用者が減少し、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。市場におけるガソリン価格は、2023年に急激に高まり、その後はそれ以前よりも高い水準で安定している状態にありますが、提出日現在における当社グループへの影響は限定的であります。しかしながら、今後ガソリン価格が更に高い水準となった場合には、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが所有するオフィスビルへの需要は景気の動向に左右されることから、国内の景気が悪化した場合には、賃料収入の減少と所有資産の価値低下につながり、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
本リスクへの対応策として、コインパーキング事業では、当社グループ自身で運営する直営駐車場事業と他の駐車場運営事業者への駐車場機器販売と保守業務を受託する駐車場事業の2つのビジネスを行うことで本リスクの分散を図っております。
(4)地価上昇のリスク [発生頻度:高、影響度:小]
地価の高騰は、当社グループが賃借している駐車場用地の賃借料の上昇や駐車場の新規開発段階における土地の賃借料の上昇に繋がる可能性があり、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
全国の地価は、景気が緩やかに回復している中、全国平均で全用途平均・住宅地・商業地のいずれも3年連続の上昇が見られました。当社グループにおいては、一部で土地所有者からの賃借料値上げ要請等が生じておりますが、提出日現在における事業継続ならびに業績への影響は限定的であります。
本リスクへの対応策は、上記(3)と同様であります。
(5)個人情報管理に伴うリスク [発生頻度:高、影響度:小]
当社グループは、当社グループが運営している駐車場用地の所有者及びスマートフォンアプリ「SmooPA」の利用者等の個人情報を取り扱っているため、不測の事態により個人情報が外部に漏洩した場合、当社グループの信用失墜により事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。
本リスクへの対応策として、個人情報取扱規程等を定め、社員に周知徹底することで本リスクの低減を図っております。
(6)特定の規制の変更及び新たな規制のリスク [発生頻度:中、影響度:小]
当社グループの事業は、駐車場法、建築基準法、屋外広告物法等の規制の下で駐車場ビジネスを展開しております。これらの法律の変更及び新たな法令の制定によりコスト負担が増加し、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。
本リスクへの対応策として、関係法令の改正情報等を早期に入手し、その影響を検討して対策をとるとともに、関係法令の遵守を徹底致します。
(7)ITシステムリスク [発生頻度:中、影響度:小]
当社グループは、駐車場利用者及び駐車場システムの保守委託者である駐車場運営事業者へのサービスの提供、それらに付随する業務等、システム依存度が高い事業を展開しております。自然災害、事故、コンピューターウイルス、不正アクセス、電力供給の制約や大規模停電、故障や不具合等により、システムあるいは通信ネットワークに重大な障害が発生した場合、駐車場利用者等へのサービスの提供及び事業運営の維持が困難になるとともに、信用失墜により当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。
本リスクへの対応策として、情報セキュリティガイドラインを定め、本リスクの低減を図っております。
(8)現金盗難等のリスク [発生頻度:高、影響度:小]
当社グループは、2024年6月末現在、全国で1,257件の直営駐車場・駐輪場の運営を行っております。これらのコインパーキングにおける利用料の約85%が現金決済であることから、売上金の盗難や紛失が発生した場合、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予測される情報を認識しておりません。
本リスクへの対応策として、駐車料金の決済が可能なスマートフォンアプリ「SmooPA」の普及及び各種電子マネーに対応した決済機の設置に注力しており、キャッシュレス決済の比率を高めることで現金決済比率を低減させ、本リスクの低減を図っております。
(9)感染症リスク [発生頻度:高、影響度:小]
感染症の拡大防止を目的として政府が緊急事態宣言を発出した場合、外出や出勤等による駐車場の利用が減少し、当社グループのコインパーキング事業において、直営駐車場の稼働率の低下並びに駐車場システムの販売及び保守関連の取引が減少する可能性があります。また、社員が感染症に罹患し、社内で感染が拡大した場合には、事業所の閉鎖や事業の一部休業を行う可能性もあり、これらが当社グループの事業業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
提出日現在、当社グループは本リスクが顕在化することが予想される情報を認識しておりません。
本リスクへの対応策として、北海道から九州にかけて全国的な事業展開を図ることでリスクを分散するとともに、各拠点に勤務する社員の健康と安全を確保するため、感染症拡大状況に応じて時差出勤、在宅勤務等が柔軟にできる体制を整えております。
(10)知的財産権に関するリスク [発生頻度:高、影響度:小]
当社グループは、第三者の知的財産権を侵害しないように、また当社グループの知的財産権が第三者に侵害されないように、弁理士等の外部専門家とも連携し、知的財産権保護のための体制を整備しております。しかし、当社グループの事業に関連する第三者の知的財産権を完全に把握することは困難であり、第三者から知的財産権の侵害を理由とする訴訟が提起されたり、また、第三者から知的財産権の侵害を受けたりする可能性は否定できないため、このような事態が生じた場合には、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(11)競合リスク [発生頻度:高、影響度:小]
当社グループが行うコインパーキング運営ビジネスは、事業地の調達が大きな要素を占める事業であるため、事業地を既に所有している場合や、調達できるネットワークを有する場合、新規参入障壁は低いと言えます。そのため、業界への新規参入が増加した場合には、競争が激化することにより、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
駐車場機器の販売ビジネスは、参入障壁は必ずしも高いものではなく、新規参入も見られます。そのため、業界への新規参入が増加した場合には、競争の激化により当社グループの駐車場機器の販売が減少し、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
上記の両ビジネスに共通して、既存競合先との競争激化により、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12)固定資産の損失発生リスク [発生頻度:高、影響度:小]
当社グループがコインパーキングを新規開設する際は、その立地の諸条件・集客性・コスト等を検討のうえ、その用地を厳しく選定しております。しかしながら、新規開設後に外部環境の急激な変化等により著しく収益性が低下した場合には、当社グループの解約基準に基づき、駐車場用地の賃貸借契約を解約します。この解約に伴い固定資産の除却損が発生する可能性があります。
当社のプロパティマネジメント事業では、オフィスビル、賃貸住宅を所有しております。そのため、老朽化・陳腐化したオフィスビルの改装や用途変更等に伴う固定資産除却損や、オフィスビル等の売却による固定資産売却損が発生する可能性があります。
上記の両事業に共通して、資産グループの収益性低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失が発生する可能性があります。
上記の損失が発生した場合には、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13)有利子負債に関するリスク [発生頻度:高、影響度:小]
当社グループは、コインパーキング設備、コインパーキング用地、オフィスビル等の購入資金を、主に金融機関からの借入金等により調達しております。この結果、当連結会計年度末における負債及び純資産合計額に対する有利子負債の割合は下表のとおりであります。
当社グループは、有利子負債依存度を前連結会計年度末より約6%改善するなど財務の健全化に努めつつ、今後も積極的なコインパーキングの新規開設等を継続する方針でありますが、今後の金融情勢等が変化し金利の大幅な上昇となった場合には、利払い負担の増加により、当社グループの事業業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
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当連結会計年度末 (2024年6月30日) |
期末有利子負債残高(A) (注) |
2,622,797千円 |
期末負債及び純資産合計額(B) |
6,984,888千円 |
有利子負債依存度(A/B) |
37.5% |
(注)有利子負債残高は、1年内返済予定の長期借入金、リース債務及び長期借入金の合計額であります。
(14)人材の確保・育成リスク [発生頻度:高、影響度:小]
当社グループの事業は、「遊休不動産の有効活用」に向けたソリューションを提供するービスであるため、そのサービスを提供する優秀な人材の確保・育成は重要な経営課題となっております。当社グループでは継続的に採用活動を行い優秀な人材の確保と育成に注力しておりますが、人材の確保が計画どおり進まなかった場合や既存の優秀な人材が社外に流出した場合には、当社グループの将来の成長力や競争力に影響を与える可能性があります。
配当政策
3【配当政策】
当社は、利益配分につきましては、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、安定した配当を継続して実施していくことを基本方針としております。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会である旨を定款に定めております。
当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき当期は1株当たり64円の配当(うち中間配当24円)を実施することを決定しました。この結果、当連結会計年度の配当性向は25.0%となりました。
内部留保資金につきましては、事業規模の拡大に向けたコインパーキングの開設資金及び安定的な成長をはかるためのコインパーキング事業用地の取得に充てたいと考えております。
なお、当事業年度の剰余金の配当は、次のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (千円) |
1株当たり配当額 (円) |
2024年2月14日 |
27,443 |
24 |
取締役会 |
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2024年9月26日 |
45,739 |
40 |
定時株主総会 |