人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数987名(単体) 3,938名(連結)
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平均年齢40.3歳(単体)
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平均勤続年数15.9年(単体)
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平均年収7,557,980円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
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2024年3月31日現在 |
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セグメントの名称 |
従業員数(名) |
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国内鉄鋼事業 |
1,030 |
(168) |
海外鉄鋼事業 |
2,270 |
(76) |
環境リサイクル事業 |
113 |
(30) |
その他 |
448 |
(67) |
全社(共通) |
77 |
(10) |
合計 |
3,938 |
(351) |
(注)1 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しています。
2 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
(2) 提出会社の状況
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2024年3月31日現在 |
従業員数(名) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
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987 |
(76) |
40.3 |
15.9 |
7,557,980 |
セグメントの名称 |
従業員数(名) |
|
国内鉄鋼事業 |
857 |
(52) |
環境リサイクル事業 |
53 |
(14) |
全社(共通) |
77 |
(10) |
合計 |
987 |
(76) |
(注)1 従業員数は就業人員であり、臨時雇用者数は、年間の平均人員を( )内に外数で記載しています。
なお、従業員数等の数値については、2024年3月31日に統合した関東スチール株式会社を合算した数値を記載しています。
2 平均年間給与については、賞与および基準外賃金を含んでいます。
3 全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門に所属しているものです。
(3) 労働組合の状況
当社および一部の連結子会社において労働組合が組織されています。
当社では、共英製鋼労働組合が組織されており、2024年3月31日現在における共英製鋼労働組合員数は297名です。
なお、労使関係については円滑な関係であり、特記すべき事項はありません。
また、一部の連結子会社の労働組合に関しても労使関係は良好であり特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率および労働者の男女の賃金の差異
①提出会社
当事業年度 |
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管理職に占める女性労働者の割合(%) (注)1. |
男性労働者の育児休業取得率(%) (注)2. |
労働者の男女の賃金の差異(%) (注)1. |
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全労働者 |
正規雇用労働者 |
パート・有期労働者 |
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3.0 |
17.2 |
69.0 |
68.5 |
74.8 |
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3 労働者の男女の賃金の差異についての補足説明
正社員においては、それぞれの社員に求められる役割とそれに伴う配置のあり方に応じて、社員区分を管理・専門職、総合職、一般職、生産技術職の4つに分けており、区分別の給与制度を設定しています。各区分の給与制度および評価・運用は、男女の別なく全社員同一としています。男女の賃金差異は、同一社員区分の中での平均勤続年数が異なることや、男女それぞれの社員数に占める各社員区分の構成比が異なること、勤務形態(三交替勤務者の比率)が異なることが主な要因です。
4 「管理職に占める女性労働者の割合」は2024年4月1日現在、「男性労働者の育児休業取得率」および「労働者の男女の賃金の差異」は2024年3月31日現在の割合を記載しています。
5 当社と関東スチール株式会社(2024年3月31日付で当社と合併)を合算した数値を記載しています。
②連結子会社
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管理職に占める女性労働者の割合(%) |
国内連結子会社 |
5.0 |
(うち、㈱吉年) |
14.3 |
海外連結子会社 |
20.8 |
計 |
15.6 |
(注)1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 ㈱吉年は一般事業主行動計画において、「管理職に占める女性労働者の割合」を開示しているため、個別に記載しています。
3 海外連結子会社については、海外拠点の連結子会社のうち主要な事業会社(ビナ・キョウエイ・スチール社、キョウエイ・スチール・ベトナム社、ベトナム・イタリー・スチール社、チー・バイ・インターナショナル・ポート社、ビナ・ジャパン・エンジニアリング社、ビントン・スチール社、アルタ・スチール社)の管理職に占める女性の割合を記載しています。
4 2024年4月1日現在の割合を記載しています。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月26日)現在において判断したものです。
(1)サステナビリティ課題への対応
当社グループの中核事業である電炉業は、社会で役割を終えた鉄を原材料として鉄鋼製品を製造し、社会に再び供給する資源循環型事業です。また、原材料の鉄スクラップを溶融する過程で数千度の熱を発する電気炉の特性を活かして、医療廃棄物をはじめとする産業廃棄物の無害化溶融処理事業も35年以上にわたり行っています。当社グループは、こうした自らの事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目指し、次の「サステナビリティ基本方針」を定めています。
~未来への挑戦~ グループ経営理念のもと、持続可能な社会の実現に向けて 資源循環型事業を通じ、挑戦を続けながら社会の発展と地球環境との調和に貢献する 『エッセンシャル・カンパニー』を目指します。 |
このサステナビリティ基本方針に基づき、マテリアリティ(経営の重要課題)を特定しています。マテリアリティの特定に当たっては、ステークホルダーの視点で課題を抽出し、当社グループの事業性に照らして評価と分析を重ね、当社グループにとっての重要課題を絞り込みました。
マテリアリティ(経営の重要課題) |
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快適で安全な社会のために |
人々の暮らしの中で役割を終えた様々な資源のリサイクルを通じて、地球環境保全に貢献し世界のインフラを支えます。 |
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美しい地球環境に向けて |
当社グループが発生させる地球温暖化効果ガスや副産物を削減するだけでなく、社会で発生する様々な廃棄物をリサイクルすることで、環境負荷の少ない社会の実現に貢献します。 |
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価値創造をともにする皆様の期待に応えるために |
お客様や取引先からの様々な期待と要請に応える製品・サービスを提供することや、環境負荷の低い原材料・資材を調達することで、バリューチェーンを通じた社会への貢献を目指します。 |
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より安全で働きやすい職場に向けて |
労働災害の撲滅や職場環境の整備、多様な人材の登用、柔軟な働き方の採用を通じて、安全で働きやすい魅力的な職場を実現します。 |
|
地域社会の一員として貢献するために |
様々な地域活動や防災活動など地域への貢献を通じて、当社グループが地域になくてはならない存在となることを目指します。 |
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より公正で誠実な企業活動に向けて |
経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制と透明性の高い経営システムを構築し、公正で誠実な企業活動を実践することで社会から信頼される存在を目指します。 |
① ガバナンス
サステナビリティ課題への対応を全社的に検討・推進するガバナンス体制・枠組みは、以下の図のとおりです。各委員会、各部会、業務担当部門(各事業所・グループ会社)での議論を通じて個別課題への対応を進め、取締役会は、定期的にまたは随時その報告を受け、サステナビリティ課題への取り組みを監督しています。
サステナビリティ課題への対応に係るガバナンス体制
② リスク管理
当社グループは、サステナビリティ課題の解決に向けて、以下の図のようなマネジメント体制を構築しています。グループ全体のリスクを経営的観点からスクリーニングするとともに、重要リスクを特定・評価のうえ、マテリアリティの実現に向けて対応策を協議し、その進捗状況のモニタリングやレビューを行っています。
③ 戦略
当社グループは、マテリアリティの実現に向けた取り組みを進めることが、当社グループの中長期的な成長や、資源循環型社会の実現への貢献につながると考えています。
マテリアリティの実現に向け、当社グループは、中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」において、マテリアリティに沿った目標・KPIと具体的取り組みを織り込んでいます。これらの取り組みを推進していくことで、経済価値(経済的リターンの獲得)と社会価値(自然との共生や地球環境との調和)を一体的に創出し、持続的な成長と企業価値の中期的な向上を図っていきます。
④ 指標と目標
中期経営計画において、マテリアリティに沿った目標・KPIを定め、取り組みを推進していくことによりマテリアリティの実現を目指しています。
詳細については、当社ウェブサイトのマテリアリティに関する記載(https://www.kyoeisteel.co.jp/ja/csr/task/roadmap.html)をご参照ください。
(2)個別のマテリアリティへの取り組み
上述のマテリアリティのうち、特に重要な課題として識別された項目に係る当社グループの考え方および取り組みは、次のとおりです。
■美しい地球環境に向けて:気候変動問題への対応(TCFD提言に沿った取り組み)
当社グループでは、気候変動問題への対応を重要な経営課題の一つと位置付け、様々な取り組みを行ってきました。今後も、“レジリエンス”(1.5℃および2℃未満シナリオと4℃シナリオに適応する力)の強化のため、2030年、2050年に向けた気候変動に係るリスクと機会への対応を進めていきます。
※TCFD:気候関連財務情報開示タスクフォース
① ガバナンス
リスクマネジメント委員会傘下の気候変動部会において、定期的に気候変動リスクのアセスメントと評価について議論していく体制を整備しています。特定したリスクと機会について、業務担当部門である各事業所・グループ会社と共有し、対応策の立案と取り組みの加速を図っています。また、取締役会は、リスクマネジメント委員会から定期的にまたは随時報告を受け、取り組みを監督しています。
② リスク管理
当社グループでは、気候変動に伴うリスクや機会は、事業戦略に大きな影響を及ぼすものと認識しています。気候関連リスクマネジメントを正常に実装・サポート・維持するために以下のプロセスを組織に構築しています。
1) 経営企画部ESG推進室を事務局とする気候変動部会は、グループ全社の気候変動関連リスクと機会の洗い出し、評価を行う。
2) 気候変動部会は、当社グループの気候変動関連リスクマネジメントに係る方針、対応計画の策定を行う。
3) 業務担当部門は、計画に沿いリスクの回避・低減・移転など適切な対応を取る。
4) 気候変動部会は、定期的にリスクマネジメント委員会にリスクマネジメントの効果や成果を報告する。
③ 戦略
当社グループは、1.5℃および2℃未満と4℃のシナリオにおける、2050年の当社グループを取り巻く社会の変化を定義し、それぞれのシナリオにおけるリスクと機会を、経営への影響度および顕在化する可能性と併せて分析・特定しました。さらに、特定した1.5℃および2℃未満シナリオ15項目、4℃シナリオ10項目のリスクと機会を、「カーボンコスト」、「エネルギーコスト」、「原料高騰」、「製品市場」、「自然災害コスト」、「労働環境」の6項目に整理しました。
これらの課題に対し、下表の取り組みを進めています。
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重要なリスク・機会 |
項目 |
中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」での対応策 |
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1.5℃および2℃ 未満 |
移行リスク |
政策・法 |
脱炭素政策の躍進 |
①カーボンプライシングの導入、再エネ賦課金の増加、温対法の強化による事業コストの増加 |
カーボン コスト |
・省エネルギーの推進 ・重油・灯油から都市ガス・LNGへの転換推進 |
②石油燃料の使用制限によるCO2低排出燃料への移行によるLNGの争奪、価格高騰 |
エネルギーコスト |
|||||
技術 |
脱炭素・省エネ技術の要請 |
③脱炭素・省エネルギーへの対応技術がニーズに追従できないことによる操業の困難化 |
カーボン コスト |
・脱炭素・省エネルギー技術の開発推進 ・重油・灯油から都市ガス・LNGへの転換技術開発 ・リサイクルに適した鉄スクラップを収集・選別し、ロスなく鉄鋼製品にする技術の向上 |
||
④高炉から電炉への生産移行による鉄スクラップ・電極の争奪、価格高騰 |
原料高騰 |
|||||
市場 |
社会における脱炭素意識の高まり |
⑤脱物質主義、人口減少による市場の縮小、製品・サービスの需要減少 ⑥高炉から電炉への移行による競争の激化 ⑦デベロッパーの価値観変化に伴うコンクリートから木材への切替による需要減少 |
製品市場 |
・高強度鉄筋やPC工法など新たな建築工法に対する新製品の開発 ・顧客ニーズを踏まえた加工品事業などの新事業への積極的な取り組み |
||
⑧バリューチェーンでの脱炭素の要求に追従できず販売機会の喪失 |
カーボン コスト |
|||||
エネルギー コストの高騰 |
⑨発電の電源構成における再エネ拡大による電力コストの増加 |
エネルギーコスト |
・製品価格転嫁と省エネルギーの推進 ・太陽光発電・自家消費の推進 |
|||
物理的リスク |
急性 |
自然災害の 増加 |
⑩台風や洪水などの自然災害による事業所や各拠点の操業停止 ⑪自然災害の発生による原材料調達の困難化 |
自然災害 コスト |
・物理的な影響に備えた事業継続マネジメント(BCM)体制の構築と第三者へのリスク移転 ・原材料安定調達のためのサプライチェーンの拡充 |
|
|
機会 |
製品・ サービス |
製品市場の 拡大 |
⑫「資源循環型事業」に対するさらなる貢献への評判による新たな製品市場の形成 ⑬CO2排出量の低い製品としての需要増加、販売機会の増加(電炉による鋼材製造、グリーン鋼材やカーボンフットプリントのラベリング製品) ⑭自然災害に対する「国土強靭化」製品としての需要増加、販売機会の増加 ⑮平均気温上昇により現場施工の省人化につながるネジ節鉄筋やPC工法などユニット製品の需要の高まり |
製品市場 |
・ESG情報の積極的な開示によるESGレーティングなどの外部評価向上 ・高強度鉄筋やPC工法など新たな建築工法に対する新製品の開発 ・顧客ニーズを踏まえた加工品事業などの新規事業への積極的な取り組み |
|
重要なリスク・機会 |
項目 |
中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」での対応策 |
|||
4℃ |
移行リスク |
政策・法 |
国土強靭化の推進 |
①「国土強靭化」製品への要求の高まりに対する建築・土木基準の改定対応の遅れによる販売機会の喪失 |
製品市場 |
・顧客ニーズを踏まえた加工品事業などの新規事業への積極的な取り組み |
技術 |
国土強靭化の要請 |
②災害対策の観点からより高強度の鋼材が求められるが、技術開発の遅れによる販売機会の喪失 |
・高強度鉄筋やPC工法など新たな建築工法に対する新製品の開発 |
|||
市場 |
石油燃料の 枯渇 |
③石油燃料枯渇によるエネルギー、原材料コストの増加 |
エネルギーコスト |
・製品価格転嫁と省エネルギーの推進 |
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物理的リスク |
急性 |
平均気温の 上昇 |
④平均気温上昇による労働環境の悪化(人的安全確保の困難化) |
労働環境 |
・操業のロボット化・自動化のための設備投資の充実 |
|
自然災害の 激甚化 |
⑤台風や洪水などの自然災害による事業所や各拠点の操業停止 ⑥自然災害発生による原材料調達の困難化 |
自然災害 コスト |
・物理的な影響に備えた事業継続マネジメント(BCM)体制の構築と第三者へのリスク移転 ・原材料安定調達のためのサプライチェーンの拡充 |
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機会 |
製品・ サービス |
製品市場の 拡大 |
⑦自然災害に対する「国土強靭化」製品としての需要増加、販売機会の増加 ⑧平均気温上昇により現場施工の省人化につながるネジ節鉄筋やPC工法などユニット製品の需要の高まり ⑨生活環境悪化による医療の進展から、医療系廃棄物が増加し、また災害廃棄物の増加からリサイクル事業のニーズ拡大 ⑩経済発展と国際的需要増加により、グローバルで販売機会の増加 |
製品市場 |
・高強度鉄筋やPC工法など新たな建築工法に対する新製品の開発 ・顧客ニーズを踏まえた加工品事業などの新規事業への積極的な取り組み ・北米事業強化のための設備投資 |
<参考レポート>
●IEA / World Energy Outlook (2020)
●IEA / Energy Technology Perspectives (2020)
●IEA / Iron and Steel Technology Roadmap
●IMF / World Economic Outlook Database (2021)
●ILO / Working on a warmer planet
●IEA / World Energy Outlook (2023) 等
④ 指標と目標
当社グループは、1.5℃および2℃未満シナリオにおける当社グループの移行リスク対応と4℃シナリオにおける社会の物理的リスク緩和を配慮し、当社グループとしていかにCO2排出量を削減するかが重要と考えます。
従って、CO2排出量を指標とし、目標は、政府が掲げる2050年の温室効果ガス排出量を実質ゼロとする目標に沿って、「2030年度のCO2排出量50%削減(対2013年度:国内生産拠点)」としました。
上記の目標のほかに、CO2排出量削減に向けて「エネルギー原単位△1.0%/年」をKPIとして設定しています。
当社グループの2024年3月期のCO2排出量(Scope 1およびScope 2)やエネルギー原単位の実績については、当社ウェブサイトのサステナビリティに関する記載(https://www.kyoeisteel.co.jp/ja/csr/esg/environment/CO2.html#CO2)をご参照ください。なお、当該実績値は、有価証券報告書提出日現在においては速報値であり、2024年7月末に確定値に更新する予定です。
■より安全で働きやすい職場に向けて:人的資本に係る取り組み
当社は、人的資本が企業価値創造の重要な源泉であるとの考えのもと、人的資本への投資を重要な経営課題の一つと位置づけています。「資源循環型事業を通じて社会に貢献する」という経営理念を社員一人ひとりが常に認識し、得意分野を活かして活躍できるステージを整備すべく、各種施策を実施しています。社員同士が切磋琢磨して個々の能力を高めつつ、社内外との連携や協働によって知見やノウハウを得ながら、次の世代に引き継いでいくことで「100年企業」の実現に資する人材の育成・獲得を目指します。
こうした考えに基づき、前中期経営計画「NeXuS 2023」では「グループ内をつなぐ力」、「外部とつなぐ力」、「次代につなぐ力」の「3つのつなぐ力」を強化することを重要なテーマとして掲げ、様々な施策を実施してきました。その成果と課題を踏まえ、2024年4月に公表した新中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」においても、引き続き「3つのつなぐ力」の強化に取り組む方針です。「NeXuSⅡ 2026」では、中期経営計画プロジェクトの進捗を管理していくために複数のワーキンググループ(WG)を設けており、その一つである人的資本WGが中心となって施策を推進しています。
① ガバナンス
安全に関する課題は中央安全衛生委員会が、人的資本に関する課題や取り組みについては、本社人事総務部および本社人事総務部のメンバーを含む人的資本WGが中心となり、上記方針に基づいて、業務担当部門である本社各部、各事業所およびグループ会社が具体的な対応にあたっています。取締役会は、これらの取り組みについて、中央安全衛生委員会と本社人事総務部・人的資本WGから定期的にまたは随時報告を受け、監督しています。
② リスク管理
業務担当部門は、中央安全衛生委員会または本社人事総務部・人的資本WGの立案する施策に基づき、自主的なリスク管理・推進計画を策定し、実行しています。中央安全衛生委員会または本社人事総務部・人的資本WGは、業務担当部門との日常的なコミュニケーションの他、定期監査や意識調査の実施等により、各業務担当部門のリスク管理活動をフォローしています。
③ 戦略
当社の人的資本経営戦略は、「資源循環型社会のエッセンシャル・カンパニー」になるという当社の長期シナリオの達成に貢献できる人材を獲得・育成することを主眼としています。その実現のためには、社員が活き活きと働き、能力を発揮する環境を整え、「3つのつなぐ力」を強化する各種施策の実施により、生産性の向上やエンゲージメントの向上を図ることが重要であると考えます。2026年度を最終年度とする「NeXuSⅡ 2026」の策定に当たっては、「企業は人なり」という企業経営の原点に立ち返り、4つのテーマ「物質的メリット」、「自己実現」、「連帯感・チームワーク」、「企業理念への共感」への施策を通じて、エンゲージメント向上に取り組むこととしています。なお、「NeXuSⅡ 2026」においては、人的資本に対して3年間で約50億円の投資を計画しています。
<4つのテーマに紐づく主な取り組み>
〇 物質的メリットの向上
物質的メリットについては、主に「社員が心身ともに安心・安全な状態で働ける環境であること」と定義しています。所得水準の引き上げ、工場などの職場環境や寮、福利厚生施設の充実を図るとともに、安全に関する取り組み、健康経営、働き方改革などを進めています。
a. 所得水準の引き上げ
社員の所得水準の継続的な引き上げを目指します。
b. 職場環境の整備
工場などの生産設備のみならず、事務所や厚生棟、寮など生産設備以外の環境も整備し、社員が快適に働けるための投資を行っています。当期においては名古屋事業所の事務所棟を更新したほか、山口事業所においても新事務所の建設を進めています。
また、労働生産性を高めるとともに、社員同士が交流する(つながる)ための時間的・心理的余裕が生まれるよう、生産拠点のスマートファクトリー化やIT化による業務効率化を推進します。
c. 安全に関する取り組み
当社グループでは、生産活動のすべてのプロセスにおいて社員の安全を最優先すべく、グループ全体を横断した中央安全衛生委員会を設置し、安全衛生に関する活動の巡視、課題の解決を行い、安全感度向上を図っています。さらに企業が競争力を維持し続けるためには、安心して活き活きと働ける職場環境を整備することが重要であると考えています。
電炉工場の作業環境は製造業の中でも厳しく、リスクを伴う作業もあることから、今後の事業継続の観点からも作業環境整備は重要な経営課題です。例えば、社員の安全を守り、安心して働ける環境づくりの一環として、製鋼工場にロボットを導入するなどこれまで手作業で行っていた炉前作業の自動化を進めています。引き続き危険作業の撲滅を目指してまいります。
また、VR(仮想現実)技術を利用し、転倒や感電、挟まれなどに繋がる危険行為をまるで現実であるかのように体感することで、安全感度の向上を図るなど、事故の防止について考える機会を設けています。
d. 健康経営の取り組み推進
当社グループは、社会の発展と地球環境との調和に貢献する「エッセンシャル・カンパニー」へと成長するためには、企業の根幹である社員一人ひとりが心身ともに健康であることが何よりも重要であると考え、2021年4月に「健康宣言」を制定し、以下の取り組みを推進しています。
◇ 社員の健康増進に関する取り組み
・社員の健康課題の把握と必要な対策の実施(35歳以上の従業員・配偶者に人間ドックの受診を奨励・費用支援)
・産業医や協会けんぽと連携した健康保持・増進策(保健指導など)の実施
・健康の保持・増進をテーマとした健康セミナーの実施
・健康管理アプリを活用した生活習慣の見直しと健康チャレンジ活動を実施
・時間外労働の削減、長時間労働の抑止、メンタルヘルスケアの取り組み
・有給休暇の取得推進
◇ ハラスメント防止への取り組み
当社グループでは、セクシュアルハラスメント、パワーハラスメント等のすべてのハラスメント行為については、これを禁じ、見逃しません。問題発生時には、迅速に調査を行うとともに、被害者の救済と再発防止に向けた処置を取ることにしています。
〈ハラスメント防止策〉
・「コンプライアンス・マニュアル」に明記し、社内ポスター・携帯カード等にて周知
・ハラスメント防止ハンドブックの配布
・コンプライアンス研修(年2回)
・相談ルートの体制整備(社内外にコンプライアンス相談窓口を設置)
・従業員意識調査の実施
◇ 人権の尊重
当社グループは、自らの事業活動において影響を受けるすべての人びとの人権が尊重されなければならないことを理解し、人権尊重の取り組みをグループ全体で推進し、その責務を果たします。その指針として「共英製鋼グループ人権ポリシー」を定め、人権尊重の取り組みを推進しています。今後も継続的にグループ内での啓発、理解推進に向けた教育・研修を実施していきます。
e. 男性社員の育児参加促進を目的とした育児休暇や育児目的休暇制度の導入
育児休業制度については、女性の取得率が100%であるのに対し、男性の取得率が低迷していた(2021年度では4.3%)ことから、2022年度に男性社員の育児参加促進を図るため、育児制度の大幅改定を行いました。男性が積極的に育児参加することで、職場全体が育児への理解を深めるとともに、育児を応援する職場環境の醸成に繋げたいと考え、時間単位や半日単位での取得が可能な有給の育児目的休暇制度を新設するなど環境整備に努めています。こうした取り組みにより、2023年度の男性の育児目的休業取得率は17.2%となりました。今後は、男性の育児休業取得率のさらなる向上とともに育児目的休暇の取得も推進してまいります。
※実績数値は共英製鋼単体で算出
このような取り組みを評価いただき、2024年3月には、3年連続で経済産業省/日本健康会議による「健康経営優良法人」に認定されました。さらに、事務所棟や厚生棟の更新や研修センターの開設、福利厚生制度の充実など、働く社員にとって快適で魅力ある職場環境整備に向けた取り組みを評価いただき、2024年3月には、福利厚生の充実・活用に取り組む法人を表彰・認証する制度「ハタラクエール」において4年連続で「福利厚生推進法人」に認証されました。
〇 自己実現(成長機会の提供)
自己実現については、あらゆる階層、職種のすべての社員に学ぶ機会を提供していきます。経営理念のもと挑戦を続けながら社会の発展に貢献し、一人ひとりがプロフェッショナルとして自律して行動する「共英人」を育成し、当社の将来を支える「次世代の人材力」を高めるために、社内外での研修機会の費用を、2023年度比1.5倍にすることを目指します。
a. 社内教育の充実
2022年4月に人事総務部内に「人財開発室」を設置するとともに、全社の教育拠点となる「研修センター」を開設しました。人財開発室では、全社的な研修体系の再構築を行うとともに、特に製造現場の技術伝承や更なる技術力向上に向け、国内に留まらず海外拠点も含めた教育研修のグローバル化を目指し取り組んでいます。
次世代経営幹部候補には、ビジネスリーダーに求められる戦略思考や行動変革につなげるため、外部の経営アカデミーに派遣し、他社人材との他流試合の機会を設けるなど、若手層から管理職層に至るまで様々な教育機会を提供することにより、将来の経営人材を計画的に育成しています。
また、「世界3極体制」の下、国内外での事業展開により成長を目指す当社グループにとって、特に海外人材の育成は重要な課題と認識しています。2023年4月には、当社の将来を担う若手社員を6か月程度海外に派遣する海外トレーニー制度を開始したほか、国内では語学教育に注力するなどグローバル人材の育成に取り組んでいます。
b. 人事評価制度
2021年4月に運用を開始した人事評価制度並びに処遇体系は、職能型と職務型のハイブリッド型とするとともに、目標設定と評価結果のフィードバック時の面談を通じて上司と社員間のコミュニケ―ションを高めることで、社員のモチベーションやエンゲージメントの向上を図り、公平で透明性が高く、変化の激しい時代においても、柔軟かつ強靭な組織構築が可能な制度としました。「NeXuSⅡ 2026」においても、評価者・被評価者研修を継続的に行い、公正公平な人事評価の徹底を図ります。
〇 連帯感・チームワークの強化
連帯感・チームワークについては、国内生産拠点で従前より実施している製造技術開発連絡会や、海外子会社も参加するJK大会(職場の小グループで課題解決に取り組む自主管理活動(JK活動)の発表会)、事業所長とグループ全社の社長が一堂に会して当社グループの現状と課題を議論するグループマネジメントカンファレンスなど業務面での交流機会に加え、コロナ禍で休止していた行事を復活・充実させるなどして相互理解を深める機会を増やし、国内外で働く同じ仲間としての連帯感、チームワークの醸成に努めています。
また、女性、キャリア人材、シニア、外国人、障がい者など多様な人材の採用に積極的に取り組み、様々な視点を取り入れることで、「つなぐ力」の強化を図っています。特に業種柄、女性社員比率が低い(10.0%)中、近年は女性総合職の積極採用を継続し、キャリアデザイン研修などを通じて女性活躍の必要性や役割意識を高めるとともに、持続的に活躍できる職場環境づくりやワーク・ライフ・バランス実現に向けた環境整備に努めています。さらに製造・技術系の女性総合職採用も積極的に進めています。
キャリア人材に関しても、当社は従前より事業の展開に応じて積極的に外部の人材を採用し、社内における経歴に関わらず活躍できる場を整えており、現在は管理・総合職のうち約4割がキャリア採用者となっています。
一方、離職率(定年退職者を除く)は約3%前後の低水準で定着しており、会社と個人との「選び選ばれる関係」の基盤が構築されています。
※実績数値は共英製鋼単体で算出
〇 企業理念への共感
当社は創業以来、「鉄づくりを通じて社会に貢献する」ことを企業理念として、各種インフラを支える建設用鋼材の供給を中心に事業を行ってきました。さらに、1988年には、感染性の高い使用済み注射針の不法投棄が社会問題になったことをきっかけに、製鋼工程における電気炉稼働時の高温を利用して医療廃棄物を無害化溶融処理する「メスキュード・システム」を開発し、山口事業所を拠点として事業を開始しました。以来、約35年にわたり、当社グループの事業の柱のひとつである「環境リサイクル事業」として、社会課題の解決に貢献しつつ当社グループの成長を支えてきましたが、このたび、鉄づくりと医療廃棄物処理や産業廃棄物処理を一体として行うことで医療・産業廃棄物を資源循環のサイクルに乗せるという当該事業の独自性をブランディングし、改めて訴求することとしました。これにより、社外のみならず、社内にも当社の事業の社会的意義を伝え、企業理念、会社の姿勢への共感を醸成することを目指します。
企業理念への共感については、上記のブランド戦略とも連携し、当社の存在意義や方向性について、社員各層に正確に伝えます。また、各研修には必ず社長が登壇し、会社の課題や展望について直接語り掛けることで、社員のモチベーション向上やコミュニケーションの醸成に努めています。
以上のような取り組みを通じて、社員一人ひとりの意欲を高め、組織としての力につなげていくことを目指します。その効果を測るため、2018年から従業員意識調査を実施しています。当該調査では「社員エンゲージメント」と「コンプライアンス」の二軸が測定されており、よりよい組織づくりのために優先的に解決すべき課題の抽出に活用するとともに、重要な経営データとして人事戦略やリスクマネジメント戦略に活用しています。
今後も社員の声を真摯に受け止め、「働きがい」を持って取り組める職場環境整備に努めていきます。
④ 指標と目標、取組実績
当社では前中期経営計画「NeXuS 2023」に続き、現中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」においても、人的資本に関する目標を掲げ、より安全で働きやすく、女性をはじめとした多様な人材が活躍しやすい職場環境の構築に向け取り組んでいます。また、エンゲージメントに関しては、年に1回実施する従業員意識調査のスコアを定点観測することにより、取り組みの進捗を管理していきます。
なお、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みが行われていますが、連結グループに属する各社においては、それぞれ課題や取り組み状況が異なるため、連結ベースでは同一指標による管理を行っておりません。このため、次の指標に関する目標および実績は、提出会社のものを記載しております。
a. 中期経営計画「NeXuSⅡ 2026」等における指標・目標と実績
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目標 |
実績 |
|||
目標値 |
達成年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
|
女性総合職比率(%)(注)2、3 |
15.0 |
2026年度 |
10.2 |
12.0 |
12.6 |
女性管理職比率(%)(注)3 |
3.0以上 |
2026年度 |
2.8 |
3.5 |
3.0 |
有給休暇取得率(%) |
85.0 |
2026年度 |
70.4 |
74.7 |
81.5 |
1人当たり教育研修費(万円) |
15.0 |
2026年度 |
7.7 |
9.9 |
9.7 |
労働災害(度数率) (注)4、5 |
0.00 |
2026年度 |
1.19 |
1.62 |
0.40 |
(注)1 2023年度の数値には、2024年3月31日付で合併した関東スチール株式会社を含みます。
2 総合職には管理職を含みます。
3 女性総合職比率および女性管理職比率については、事業年度終了の日の翌日を基準日として算定しています。
4 当社と関東スチール株式会社(2024年3月31日付で当社と合併)を合算した数値を記載しています。
5 度数率は100万延べ労働時間当たりの労働災害による死傷者数(災害発生の頻度)です。
b. その他の人的資本に係る取り組み実績
人的資本に係るその他の取り組みを以下の比率等でモニタリングしています。
|
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
管理職に占めるキャリア採用者の比率(%)(注)1 |
49.5 |
52.6 |
49.6 |
障がい者雇用率(%)(注)2 |
2.1 |
2.6 |
2.6 |
男性労働者の育児休業取得率(%)(注)1 |
0.0 |
4.3 |
17.2 |
男性労働者の育児休業および育児目的休暇取得率(%) (注)1、3、4 |
- |
- |
31.9 |
(注)1 2023年度の数値には、2024年3月31日付で合併した関東スチール株式会社を含みます。
2 障がい者雇用率については、「障害者雇用状況報告書」(各年6月1日時点)に基づいています。
3 当該年度に未就学児を扶養する男性労働者に占める育児休業および育児目的休暇取得者の割合を記載しています。
4 育児目的休暇制度は2023年度より導入したため、2022年度以前の実績はありません。