2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況経理の状況等に関する事項のうち経営者が連結会社の財政状態経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりでありますただし以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく記載したリスク以外のリスクも潜在的に存在するものと判断しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(景気及び市場の動向に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:中

 当社の耐火物事業はセメント市場向けが主力のため、国内建設業界の動向や政府の公共事業政策によってセメント需要が変動することにより大きな影響を受ける可能性があります。また、プラント事業も設備投資の動向次第で、また建材及び舗装用材事業も公共事業の動向次第で、大きな影響を受ける可能性があります。

 

(原料、燃料価格の高騰に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:中

 当社グループは、耐火物原料及び重油等の燃料を調達しておりますが、これらの原料及び燃料はリスク管理の観点からも調達先を分散して国内外の複数の取引先から購入・調達を行っております。国外からの購入については、為替動向を考慮しながら為替予約等により、価格変動リスクの軽減を図っておりますが、為替レートの変動による影響を受ける場合があります。また、特に原料及び燃料の調達価格が大きく変動する場合に当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(特定の業界への依存に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中

 当社グループは、国内建設業界が最終需要者であるセメント製造設備用れんがやエンジニアリングの売上が当社グループ全体の売上の約3割を占めております。当社グループは、海外販路の拡充やプラント事業の強化等を通して国内建設業界の動向に左右されない事業構造への転換を目指しておりますが、国内建設業界におけるセメント需要が変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に一定の影響を及ぼす可能性があります。

 

(自然災害、感染症による影響に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:大

 当社グループの生産拠点は、岐阜県瑞浪市、愛知県半田市、三重県四日市市等にあり、各工場で製品品種毎の分業体制を採っております。各工場とも火災・風水害等の影響を最小限とするため定期点検を実施し、設備や施設の劣化、不具合、潜在的な危険箇所の早期発見に努めております。また、耐震診断を実施し、建物や設備の脆弱性を把握し、具体的な補強対策を講じるなどの災害防止対策を講じております。しかしながら、南海トラフ巨大地震のような大規模地震が発生した場合、かなりの震度が予想される地域にあるだけに、当社グループの生産体制、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症に代表される感染症蔓延リスクが景気の先行き及び今後の当社グループに与える影響は不透明でありますが、感染症の蔓延により国内建設業界の事業縮小、取引先における設備投資の抑制が長期化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(労働災害に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:小

 当社グループでは、多くの生産設備や製造装置を用いて業務を行っており、従業員の安全管理が不可欠であると認識しております。労働災害の防止や労働者の安全と健康管理のため、労働安全衛生法等に則り安全衛生体制の整備、強化を行っておりますが、万が一重大な事故や労働災害が発生し、一時的な操業停止や復旧費用、さらには補償金等の負担等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

(製品の品質に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:中

 当社グループは、ISO9001の品質保証規格の認証を受けており、製品に欠陥が生じないよう品質管理基準を定め生産を行っております。また、欠陥による損害賠償等が発生した場合に備え、製造物責任保険に加入し業績への影響を最小限に抑える手段を講じております。しかし、製品の欠陥によるクレームに対処すべく製品保証、補修工事などによる多額の追加費用が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(固定資産の減損に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準等を適用しております。経営環境の著しい悪化による収益性の低下等により、保有する固定資産に減損損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(保有投資有価証券の価格変動に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:小

 当社グループでは、保有している投資有価証券について、定期的に取締役会等でモニタリング及び投資有価証券の保有可否の検討を実施しておりますが、投資先の業績不振、証券市場における市況の悪化等で投資有価証券の価値が変動した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(他社との競合に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:小

 当社グループは、継続的なイノベーション、コスト管理、差別化戦略、及び市場調査の強化などの対策を講じることで、競争環境に適応し、企業の競争力を維持・向上させておりますが、当社製品を上回る性能の新製品が競合企業により開発・上市されたり、競合により販売価格の低下や利益率の低下が生じた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(法的規制の強化に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:小

 当社グループは建設業法、消防法、下請代金支払遅延等防止法、大気汚染防止法、騒音規制法、振動規制法、毒物及び劇物取締法、労働安全衛生法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律といった関連法令や条例、各種ガイドライン等の遵守を徹底し事業運営を行っております。万一これらの法令等に違反するような事態が発生した場合や、今後新たな法令等の制定、既存法令等の解釈変更がなされ事業が制約を受けることになった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(生産設備に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中

 当社グループが所有する主要生産設備の中には、導入後の経過年数が長いものも少なくなく、定期的な補修等の実施により正常稼働に努めておりますが、設備故障を含む操業トラブルや想定を超える異常停止等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(特定の仕入先・外注先への依存に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中

 当社グループは、耐火物事業の原料の仕入や耐火物関連工事の外注に関し特定の取引先との取引額の割合が高い状況にあります。現状では、仕入先及び外注先と安定的な取引関係を維持しておりますが、仕入先及び外注先における経営戦略の変更、収益性の悪化、品質問題等が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(人材の獲得及び育成に係るリスク) 発生可能性:中 影響度:小

 当社グループは、魅力的な雇用条件の提供、継続的な研修・育成、社内コミュニケーションの強化、人材採用の多様化、パートナーシップの活用などの対策を講じることで、人材の獲得及び育成を行っておりますが、人材の確保や育成が計画通りに進まなかった場合、あるいは重要な人材が社外へ流出した場合には、競争力の低下や事業拡大の制約要因が生じ、当社グループの生産体制、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(情報の漏洩に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:中

 当社グループの保有する個人情報や当社グループの技術・営業等の事業に関する機密情報等については、ウイルス検知ソフトの導入、社内規程の整備やその徹底を通じて万全を期しておりますが、コンピューターウイルスの感染や不正アクセスその他不測の事態により社外に漏洩した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(知的財産権に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:小

 当社グループは、事業活動に有用な知的財産権の取得に努める一方で、事前調査や管理体制を強化することで第三者の知的財産権を侵害しないように努めておりますが、かかる知的財産権の侵害が発生してしまう可能性を完全に排除することは困難であり、万一知的財産権を侵害してしまった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(内部統制に係るリスク) 発生可能性:小 影響度:小

 当社グループは、企業価値を最大化すべく、コーポレート・ガバナンスの充実を経営の重要課題と位置付けております。また、業務の適正性及び財務報告の信頼性を確保するため、これらに係る内部統制が有効に機能する体制を構築、整備、運用しております。しかしながら、事業の急速な拡大などにより、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主への利益還元の充実を経営上の重要課題と位置付け、将来的展望に立ち安定配当を維持していくことを目指しております。財務体質の強化を図りつつ将来にわたる株主利益の確保に努めてまいります。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、中間配当、期末配当ともに取締役会であります。

 当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり28円の配当(うち中間配当10円)を実施することを決定しました。この結果、当事業年度の連結配当性向は27.2%となりました。

 内部留保資金については、将来の事業基盤の強化拡充のため、設備投資や研究開発及び人材投資などに充当してまいります。

 当社は、「会社法第454条第5項の規定に基づき、取締役会の決議をもって、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる」旨、及び「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年11月14日

106,361

10.00

取締役会決議

2024年5月15日

191,450

18.00

取締役会決議

  (注) 配当金の総額には、「役員株式給付信託(BBT)」制度及び「従業員株式給付信託(J-ESOP)」制度の信託財産として、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が保有する当社株式に対する配当金10,717千円(2023年11月14日取締役会決議による配当3,838千円、2024年5月15日取締役会決議による配当6,879千円)が含まれております。