事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 30,166 | 100.0 | 5,536 | 100.0 | 18.4 |
事業内容
3 【事業の内容】
(1) 企業ミッション
当社は「つくろう。世界が愛するカルチャーを。」を企業ミッションとしております。日本発のエンターテインメント・カルチャーを作り出し世界中のユーザーに広めていくことにより、日本のユニークな強みであるアニメ、ゲームといった文化に関わるクリエイターの活動の場を増やしていくことを目指しております。
日本の誇るアニメ、ゲーム関連産業は海外市場が牽引する形で成長を続けており、その規模はアニメ関連市場で約2.9兆円(注1)、ゲームコンテンツ市場で約26.8兆円(注2)まで拡大しております。当社は、AR(注3)やライブストリーミング(注4)といった最新技術を使って日本発のエンターテインメント・カルチャーを世界に広めていくことにより、クリエイターの活躍や日本文化のさらなる発展を後押しすることを目指しております。
(注) 1.2022年のアニメ関連市場規模(出所:一般社団法人日本動画協会「アニメ産業レポート2023」)
2.2022年のゲームコンテンツ市場規模(出所:株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書2023」)
3.ARとはAugmented Realityの略称であり、ありのままに知覚される情報に、デジタル合成などによって作られた情報を付加し、人間の現実認識を強化する技術のことであります。例えば、当社の提供するARアプリケーション「ホロリー」では、VTuberの3D映像を現実空間に投影して写真や動画を撮影できます。
4.ライブストリーミングとは、インターネット上で音声や動画をリアルタイムで配信することであります。
(2) サービス概要
当社はモーション・キャプチャー技術(注5)とアニメルック・アバター(注6)を用いて活動するバーチャル・エンターテイナー「VTuber」のキャラクターIP開発、及びVTuberプロダクション「hololive production(以下、「ホロライブプロダクション」という)」の運営を行っております。
当社のVTuberは当社が提供する配信技術とアニメルック・アバターを用いて、動画・楽曲配信プラットフォームでのコンテンツ配信や会場で観客を伴ってのライブコンサート・パフォーマンス等の活動を行います。
キャラクターIPの開発は国内及び海外の主要なクリエイターとの協働により行っており、クオリティの高いキャラクター・アバターモデルが多くのファンからの支持を得ております。VTuberによるアバターを用いた臨場感のあるライブパフォーマンスや視聴者との双方向性コミュニケーションは、視聴者にクリエイターの創作に対する強い親近感を与え、これまでのアニメ等では見られなかった新しいエンターテインメント体験をもたらします。
所属VTuberのキャラクターIP権利は当社に帰属しており、IPに基づいたマーチャンダイジングやライセンスビジネス等の多様なコマース展開を可能としております。VTuber IPの影響力の拡大に伴って、コマース展開の規模も拡大しており、2024年3月期時点では在籍VTuberあたりの収益は年間約3.5億円(注7)まで成長しております。また、売上高全体に占めるIPコマース展開からの収益(注8)の構成比は、2021年3月期には39.8%だったところから2024年3月期では56.1%まで増加しており、当社のビジネスモデルはIPビジネスとしての性質が一層強くなりつつあります。
2024年3月末時点でホロライブプロダクションのVTuber在籍数(注9)は85名(言語地域別で日本が52名、インドネシアが9名、英語圏が24名)となっており、そのうち38名はYouTubeのチャンネル登録数が100万登録を超える等幅広く支持を得ていると認識しております。また、ホロライブプロダクションの所属VTuberのYouTubeチャンネル登録総数は8,800万登録(注10)を超えており、日本、北米、東南アジア地域における登録数トップのVTuberをはじめ、登録数ランキング上位のVTuberが多く所属しております(注11)。
ホロライブプロダクションの所属VTuberによるライブ配信コンテンツは、月間で1,500以上もの本数がYouTubeをはじめとする動画配信プラットフォームに提供されており、それらのアーカイブ(Archive:保存記録による配信)を含む動画コンテンツの累計投稿件数は2024年3月末時点で9万本に上ります。視聴者はライブ配信内でVTuberに向けたコメント等を通して双方向性と没入感のあるライブエンターテインメントを楽しむことができます。
VTuber IPは立上げに長い期間と多額のコストが必要なTVアニメやゲーム等のコンテンツのキャラクターIPと比較して、相対的に低コストで継続的に視聴者との接点を持つことができる優位性を持っていると考えられます。
また、VTuberとのコミュニケーションの一環で、日常的に数多くのファンアートや多言語翻訳コンテンツが視聴者によって作成されており、そうしたUser Generated Contents(UGC)(注12)コミュニティの存在がVTuberコンテンツに深みをもたせております。当社コンテンツの視聴者による切り抜きコンテンツ(注13)のYouTube上での再生回数は84億回を超えており(注14)、新規の視聴者の拡大にも寄与していると考えられます。
こうした高頻度かつ双方向のコミュニケーションを背景とした当社のVTuber IPコンテンツのファンエンゲージメント(注15)の高さは従来のアニメコンテンツ等と比較した際の当社コンテンツの独自性となっております。
*1所属VTuberのYouTubeチャンネル登録数の総和として算出
*2VTuberあたり四半期収益は各四半期収益を四半期末時点の所属VTuber数で除して算出
*3チャンネルを共有している所属VTuberについては併せて1名とみなし集計
(注) 5.モーション・キャプチャー技術とは、カメラ等を使って人やモノの動きをデジタル化する技術のことであります。
6. アニメルック・アバターとは、デフォルメされた色調の2Dアニメのような3Dモデル制作技法等を使って作られたアニメのような外見のキャラクターモデルのことであります。
7.VTuberあたり収益は当該期間の売上高を当該期末の在籍VTuber数で除して算出。
8. マーチャンダイジング分野とライセンス/タイアップ分野の収益の和。
9. チャンネルを複数名で共有している場合も1chに対し1名とみなし集計。
10. YouTubeチャンネル登録数の総数は所属VTuberのYouTubeチャンネル登録数の総和として算出。2024年3月31日時点。
11. 出所:ユーザーローカル。2024年4月30日時点、VTuberランキング(ファン数ランキング)、現在活動休止中のVTuberを除く順位。
12.User Generated Contents(UGC)とは、主にソーシャルメディア等のオンライン・プラットフォーム上でユーザーによって投稿されるコンテンツのことであります。
13. 切り抜きコンテンツとは、公式コンテンツとして配信された動画の一部をファンが切り抜き、字幕等の一部編集を加えたうえで配信する非公式コンテンツのこと。当社では二次創作ガイドラインを公開し、一定の制限の下、こうした活動を認めております。
14. 出所:ユーザーローカル。2024年3月31日時点。YouTube上に存在する当社コンテンツの切り抜きを扱うチャンネルのうち、総再生回数が上位の200チャンネルについて実績を集計しております。
15. ファンエンゲージメントとは、ブランドやコンテンツとファンが積極的に関与し合うことで構築される愛着等の結びつきのことであります。
(3) 当社の事業分野別の内容
当社の事業は、VTuber事業並びにその付帯業務の単一セグメントで構成されております。
事業分野別では、①配信/コンテンツサービスと②ライブ/イベントサービスを通じて、ホロライブ等のグループ及び所属VTuberそれぞれの認知度の向上、ファンの獲得及びコミュニティの熱量上昇を図っており、その結果として醸成されたグループや個々のVTuber IPのブランドを基盤として、③マーチャンダイジングサービスと④ライセンス/タイアップサービスを展開しております。
事業分野別の詳細は以下のとおりであります。
① 配信/コンテンツ
YouTubeを中心とした動画配信プラットフォームや各種SNS等を通じて、VTuberのライブ配信、楽曲MV、又はアニメーション等の動画コンテンツを提供している他、音楽ストリーミングサービスでの楽曲コンテンツの提供も行っております。
主な収益項目は視聴者からのメンバーシップ加入、Super Chat、動画配信プラットフォーム上での広告収益、及び音楽ストリーミングサービス上での楽曲コンテンツの販売収益等となっており、主なコスト項目はプラットフォーム手数料、コンテンツ制作費及びVTuberとしてアバターを用いて活動するコンテンツ・クリエイター(演者)(注16)への収益分配等となっております。
VTuberのキャラクターIPは当社によって企画・制作されており、それぞれのVTuberの活動は当社からコンテンツ・クリエイターに対して貸与されるモーション・キャプチャーハードウェア/ソフトウェア、キャラクターアバター、及びYouTubeやX等の配信プラットフォーム/SNSアカウントを用いて提供されております。
当社はホロライブプロダクションのブランドとコミュニティを拡大させながら、オーディションにより選抜された演者、影響力の大きい外部クリエイター等との共創を通して、付加価値の高いIPを継続的に生み出す仕組みを構築しており、その結果として新規のVTuberでもデビュー時から大規模な集客を行うことが可能となっております。
当社のVTuber IPは海外でも浸透が進んでおり、2024年3月末時点の当社の海外地域向けVTuberのYouTubeチャンネル登録数は、全体の35%を占めます(注17)。字幕等を通したVTuberコンテンツのローカライズやSNSを通したコミュニティ運営等により、グローバルにUGCコミュニティの拡大を推進しつつローカル言語でのVTuberをデビューさせることにより、着実な海外展開を実施しております。
また、当社では多様かつ安定的なサービスの提供とコミュニティの健全な拡大のために、各種ガイドラインの整備、外部エンターテインメント企業とのアライアンスの拡充、及び関連する業界団体への参画等を行っております。
(注)16.コンテンツ・クリエイターとはアニメルック・アバターを用いてVTuberとしてライブ配信活動やコンテンツ制作を行う演者のことであります。
17.2024年3月末時点の所属VTuberのYouTubeチャンネル登録数の総和を元に算出。
② ライブ/イベント
所属VTuberのライブコンサート及びファンミーティング並びに当社IPの国内外出展等のイベントをオフライン又はオンラインで提供しております。
主な収益項目はオフライン、オンラインでのチケット販売収益、イベントに際した物販収益及びイベントの様子を収録した映像ソフトウエアの販売収益等となっており、主なコスト項目はイベント制作費及び演者出演費等となっております。
当社ではイベントの企画、制作を行っており、各イベントは外部制作会社、イベント会場運営会社、オンライン配信プラットフォーム等との協働によって提供されております。ライブコンサートやファンミーティングといったイベントの実施にあたっては、大規模なモーション・キャプチャー及び配信が可能なスタジオ設備、並びにAR技術等を用いることにより、ファンが当社VTuberをより身近に感じることができるユニークな体験の提供を実現しております。
ライブコンサートイベントの多くは、映像設備を導入したコンサート会場に観客を動員して実施するオフラインでの実施と、インターネット上で配信プラットフォームを通してコンサートの様子をライブ配信するオンラインでの実施を同時に行っており、現地を訪れることのできない遠方のファンもオンライン配信を通してイベントに参加することが可能となっております。イベントを通じたファン同士の交流は、ファンにとってもコミュニティ規模の成長を実感できる大きな機会となっております。
また、イベントは国内だけでなく、海外でも多数実施しており、2022年より「hololive Meet」と題して、北米、ヨーロッパ、オーストラリア、アジア等、世界各地での出展やファンミーティングイベントを開催しているほか、2023年7月には、アメリカ・ロサンゼルスにて、グループ初となる海外大規模コンサート「hololive English 1st Concert -Connect the World-」を開催するなど、積極的なグローバル展開を図っております。
③ マーチャンダイジング
当社VTuber IPをベースにしたキャラクターグッズ及びデジタルコンテンツの販売を行っております。
主な収益項目はEC(Electronic Commerce:電子商取引)又は小売店を通じた商品販売収益となっており、主なコスト項目は材料費等の製造費用、演者収益分配及び販売・決済手数料等となっております。
従来の芸能人等と比較した際のVTuberの独自性の一つとして、アニメのキャラクターのようにIPとしての多様なコマース展開を行いやすいことが挙げられます。これにより、当社EC上でも1つのキャラクターIPについて多種多様なグッズやデジタルコンテンツの企画販売が可能となっております。
当社では商品の企画・デザイン、販売、プロモーション等を行っております。商品販売は自社EC「hololive production OFFICIAL SHOP」からの受注又は在庫販売が主となっており、当該ECから国内及び海外の顧客に向けた販売を行っております。加えて、自社ECからの発送や現地独自決済手段の導入が未対応の一部海外地域への販売等を目的とした外部ECサイトからの販売も行っております。また、2024年3月期以降では、国内及び海外の小売店を通じた商品販売も拡大してきており、ECでの購買を行わない消費者層に対してのマーケティングとしての役割も担っております。
マーチャンダイジングの売上構成は現状、VTuberのアニバーサリー等に際した特別受注生産・販売前提の商品の構成が大きくなっておりますが、プロダクションとしてのブランド力やIP商品の企画・販売体制の拡充に伴い、より幅広い消費者層に向けて常時販売可能な収益性の高い商品の開発も進んでおります。
④ ライセンス/タイアップ
外部商品又はコンテンツのメーカー等に対する当社保有IPの使用権利の提供(以下、「ライセンスアウト」という)又はタイアップ広告を通じた当社所属VTuberによる他社企業のプロモーションやメディア出演を提供しております。
主な収益項目はライセンスアウトの対価としてのロイヤリティ収益及び広告出稿企業やメディアからのプロモーション料・出演料収益となっており、主なコスト項目は個別の案件実施に係る一部制作費負担や演者への出演料分配となっております。
当社では具体的なライセンスアウト案件に係る制作監修、又はVTuberによる出演・プロモーション協力等を提供しております。
VTuberはライブ配信等で活動するインフルエンサーであることに加えてキャラクターIPとしての性質を有しているため、当社IPが他社のゲーム等のコンテンツ内でキャラクターとして活用されるような事例もあり、そうした事例は規模の大きさから案件あたりの収益性も高くなっております。
また、タイアップ広告でもVTuberの直接の稼働無しに商品パッケージやポスター等で活用される事例があり、そうした事例は直接の演者稼働を伴う一般的なインフルエンサー広告の事例よりも効率性の観点から収益性が高くなるケースが多くなっております。
前述のようにVTuberのライセンス/タイアップビジネスは演者の稼働制約に縛られずに案件数を増加させられる事例もあるため、プロダクションや各VTuberの影響力と集客力の高まりに伴って本ライセンス/タイアップの収益規模も堅調に成長してきております。
[事業系統図]
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末より6,826百万円増加し、22,713百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加873百万円、マーチャンダイジング分野が好調に推移し商品仕入高が増加したことに伴う商品の増加662百万円、自社ECの利用が増加したこと等による未収入金の増加733百万円、新スタジオ建設及び本社移転を中心とした有形固定資産の増加2,162百万円及びメタバースサービス「ホロアース」開発に伴うソフトウエア仮勘定を中心とした無形固定資産の増加1,384百万円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末より2,688百万円増加し、11,569百万円となりました。これは主に、自社ECの受注販売数が増加したこと等による前受金の増加1,017百万円及び新スタジオの稼働開始、新本社オフィスへの移転等に伴い資産除去債務が918百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末より4,137百万円増加し、11,143百万円となりました。これは主に、利益剰余金が4,137百万円増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度における国内外の経済環境は、防疫対策の緩和を受けて消費者のライフスタイルに変化が見られた一方で、物価、為替の変動等を背景とした先行き不透明感が継続しました。
このような環境のもと、当社はミッションとして「つくろう。世界が愛するカルチャーを。」を掲げ、日本発のエンターテインメント・カルチャーを作り出し世界中のユーザーに広めていくことにより、日本のユニークな強みであるアニメ、ゲームといった文化に関わるクリエイターの活動の場を増やしていくことを目指しております。
当事業年度につきましては、音楽活動を通じた多面的なメディア露出や海外及び国内におけるイベント出展等により、各地域での当社IPの認知拡大を推進し、結果として当社所属VTuberのYouTubeチャンネル登録総数(注)は2024年3月末時点で8,840万人(前期比17.0%増)まで伸長しました。新規デビューVTuberとしては、2023年7月に英語圏向け女性VTuberグループ「ホロライブEnglish」より5名、2023年9月にホロライブプロダクション傘下の新グループ「hololive DEV_IS」より5名、2023年11月に英語圏向け男性VTuberグループ「ホロスターズEnglish」より4名をそれぞれデビューさせており、所属VTuber及びそのファン層の多様化を企図しております。その結果、当事業年度の配信/コンテンツ分野の売上高は通年で7,647百万円(前期比20.6%増)となりました。
ライブ/イベント分野におきましては、2023年7月にホロライブプロダクション初の北米での主催ライブ《hololive English 1st Concert -Connect the World-》を実施した他、2024 年3 月に実施した大型イベント《hololive SUPER EXPO 2024 Supported By BANDAI 》と《hololive 5th fes. Capture the Moment Supported By Bushiroad》も盛況となりました。その結果、当事業年度のライブ/イベント分野の売上高は通年で5,601百万円(前期比63.4%増)となりました。
マーチャンダイジング分野におきましては、商品販売チャネルの拡充が進捗し、EC販売に加えて国内外の小売店への商品配荷が増加しました。提供商品の価格帯や商品種も多様化が進んでおり、以前にも増して幅広いお客様に商品を手に取っていただく機会が増加しております。その結果、当事業年度のマーチャンダイジング分野の売上高は通年で12,477百万円(前期比55.9%増)となりました。
ライセンス/タイアップ分野におきましては、IPの影響力拡大を背景として取引先企業が件数、規模ともに拡大しており、ゲーム企業のような近接業種の企業に加え、消費財企業のような非近接業種の企業との取引も増加しました。その結果、当事業年度のライセンス/タイアップ分野の売上高は通年で4,440百万円(前期比65.9%増)となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は30,166百万円(前期比47.5%増)、営業利益は5,536百万円(前期比62.0%増)、経常利益は5,623百万円(前期比66.1%増)、当期純利益は4,137百万円(前期比65.0%増)となりました。
(注)YouTubeチャンネル登録総数は、2024年3月31日時点の所属VTuber及び公式のYouTubeチャンネル登録数の総和
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ873百万円増加し、8,666百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動により獲得した資金は4,765百万円となりました。これは主に、増加要因として、税引前当期純利益5,722百万円、前受金の増加による収入1,017百万円があった一方で、減少要因として、未収入金の増加額723百万円、法人税等の支払額1,237百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動により支出した資金は3,893百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,429百万円、無形固定資産の取得による支出1,267百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動により支出した資金は0百万円となりました。これは、単元未満株式の買取に係る自己株式の取得による支出によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当事業年度の仕入実績は、次のとおりであります。
(注) 当社はVTuber事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
c.受注実績
当社は概ね受注から役務提供までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。
d.販売実績
当事業年度における販売実績を主要サービスごとに示すと次のとおりであります。
(注) 1.当社はVTuber事業の単一セグメントであるため、上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
財務諸表の作成において適用する会計基準等につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項」の(重要な会計方針)、(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当事業年度の配信/コンテンツ分野は、各地域での当社IPの認知拡大を推進した結果、当社所属VTuberのYouTubeチャンネル登録者数が伸長しました。
また、ライブ/イベント分野におきましては、ホロライブプロダクション初の北米での主催ライブを実施した他、大型イベントも盛況となり好調に推移しました。
マーチャンダイジング分野におきましては、商品販売チャネルの拡充が進捗し、EC販売に加えて国内外の小売店への商品配荷が増加しました。
ライセンス/タイアップ分野におきましては、取引先企業が件数、規模ともに拡大しており、ゲーム企業のような近接業種の企業に加え、消費財企業のような非近接業種の企業との取引も増加しました。
これらの結果、当事業年度の売上高は、30,166百万円(前期比47.5%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度の売上原価は、16,177百万円(同46.3%増)となりました。
主な要因は、マーチャンダイジング分野における販売拡大に伴う仕入の増加及びライブやイベントの開催に伴う費用の増加によるものであります。
この結果、売上総利益は13,988百万円(同48.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、8,451百万円(同41.4%増)となりました。
主な要因は、グッズ販売に関する諸経費、事業規模拡大に伴う人件費、支払報酬の増加等によるものであります。
この結果、営業利益は、5,536百万円(同62.0%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当事業年度の営業外収益は、116百万円(前期は2百万円)となりました。これは主に、為替差益108百万円を計上したことによるものであります。
当事業年度の営業外費用は、30百万円(同10.7%減)となりました。これは主に、和解金25百万円を計上したことによるものであります。
この結果、経常利益は、5,623百万円(同66.1%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度においては、特別利益として受取損害賠償金160百万円、特別損失として移転損失60百万円がそれぞれ発生しました。
法人税等(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)1,584百万円を計上した結果、当期純利益は4,137百万円(同65.0%増)となりました。
なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主要なものは、所属VTuberへの報酬やグッズ制作原価等の売上原価の他、人件費や地代家賃、グッズ販売に伴う倉庫費用や決済手数料等の販売費及び一般管理費といった営業費用であります。
投資を目的とした資金需要は、配信用スタジオの設備更新や新規事業・新規サービスの開発費用等であります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、短期運転資金及び設備投資資金共に自己資金での運用を基本としておりますが、資金繰りが悪化する傾向が見受けられる場合には、金融機関による借入やエクイティファイナンスによる外部からの資金調達についても資金需要の額や用途、当該タイミングにおける金利及び資本コストを比較したうえで実施することを想定しております。
なお、第8期事業年度末(2024年3月31日)における現金及び現金同等物の残高は8,666百万円となっております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社の経営成績に影響を与えるおそれがあるリスクが存在していることを認識しております。
これらリスク要因の発生を回避するためにも、運営する事業の強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標等」に記載のとおり、主な経営指標としてYouTubeチャンネル登録数、売上高、サービス別売上高を経営上重要な指標として位置付けております。
当社ではYouTube等の動画配信プラットフォームを通じて、所属VTuberによる高頻度なライブ配信、3Dモーション・キャプチャー・スタジオを用いたバーチャルライブ・コンサート、IPアセットを用いたアニメーション・コンテンツ等の供給を行うことに加え、二次創作ガイドラインを定めたうえでファンによる二次創作活動を幅広く奨励しております。この結果、当社のVTuberは幅広いファンからの支持を得ていると認識しており、当社が保有するホロライブプロダクションのYouTubeチャンネル登録数は延べ8,840万登録を超えました。こうした大きなファンベースの存在が魅力的な演者や国内外の主要なクリエイターとの継続的な共創を可能としております。
YouTubeチャンネル登録数の推移
(単位:人)
サービス別売上の推移
(単位:百万円)