2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。

 

(1)ガラスびん関連事業の計画について

ガラスびん関連事業の計画について、国内ガラスびん業界の年間出荷量は前期比94.7%と減少し、引き続き少子高齢化による人口減少や他素材容器への転換等による需要減が見込まれています。当社グループ(当社および連結子会社)では、この傾向が続くものと想定して事業計画を組んでおりますが、想定を上回って進行した場合、販売量が変動する可能性があります。

 

(2)プラスチック容器関連事業の計画について

プラスチックキャップについては、天候、気温により販売量が大きく変動する可能性があります。

また、新規開発製品の販売や新たな顧客への販売には、ライン適性テスト等の顧客評価に合格することが条件となっており、その評価の進捗状況によっては、販売開始時期や販売量が変動する可能性があります。昨今は世界的に海洋プラスチック問題が取り上げられており、今後の状況によっては販売量が変動する可能性があります。

 

(3)物流関連事業の計画について

物流関連事業は、構内作業、配送の業務請負を行っておりますが、売上高の約7割が少数の大口顧客との取引によるものであり、大口顧客との契約を喪失した場合、売上高に大きく影響する可能性があります。さらには、人手不足による人材確保のための採用経費等、労務費の高騰が利益圧迫の要因になる可能性があります。

 

(4)ニューガラス関連事業の計画について

ニューガラス関連事業の主要な顧客であるエレクトロニクス、エネルギー、自動車および光通信業界はグローバルなビジネスを展開しており、その技術革新のスピードは非常に速く、しかも常に低価格化対応を要求されております。当社グループでは顧客のニーズを満たす製品の迅速な開発と安定的な供給に努めておりますが、市場や顧客の製品出荷動向や低価格化により、販売量が大きく変動する可能性があります。

また、今後さらなる技術革新により一層の伸長が期待できる業界であるため、競合他社に加え新規事業者の参入意欲も旺盛であり、将来顧客が当社グループから調達先を他社に切替える可能性があります。

 

(5)海外での事業展開について

海外事業におきましては、東南アジア、中国、欧米諸国などの海外市場での事業を展開してまいります。これらの投資損益や持分の投資評価額、海外企業との商取引については、為替変動による影響を受ける状況にあります。このため一部取引では為替予約などのリスクヘッジを行っておりますが、為替リスクを完全に回避することは困難です。よって為替相場が急激に変動すると、当社グループの経営成績および財政状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。

また、海外諸地域、特に投資先諸国および取引先諸国の政治情勢や各種規制の動向、新たな法令の制定等は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)原油価格について

天然ガスや重油などのガラス溶融の燃料や、プラスチックキャップの主原料は、原油価格の動向と為替変動の影響により、仕入価格が大きく変動する可能性があります。また、原油価格の動向により物流関連事業において車両の燃料費が大きく変動する可能性があります。

事業計画においては、各種情報に基づき推測しうる範囲の価格設定をしておりますが、想定を超える価格変動が生じた場合、業績見込みが大きく変動する可能性があります。

 

(7)情報セキュリティについて

当社では、ITシステムを活用することで円滑な業務を行い、更なる業務の効率化を進めております。しかし、万が一、災害および日々巧妙化するサイバー攻撃等によりITシステムが長期間にわたり安定稼働できない場合、当社業務が著しく停滞することにより業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、外部に個人情報や法人の秘密情報等の情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信用に影響を与え、さらには損害賠償を請求される等により、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

これらのリスクに対応すべく、情報セキュリティ基本方針や個人情報保護方針を定め、情報セキュリティ委員会の設置、情報セキュリティ教育の実施等の各種対策を講じております。その情報セキュリティ基本方針に基づき、ITインフラの保守、更新、災害対策など管理を徹底しています。外部からの攻撃に対しては、最新の情報を収集し防御態勢を検証しアップデートしています。

 

(8)災害等について

当社グループの製造拠点、販売拠点は顧客との関係、サプライヤーとの関係、経営資源の有効活用等の観点から立地しております。それらの地域に大規模な地震、風水災害等不測の災害や事故が発生した場合に備え、早期に復旧できるよう体制の整備に努めております。しかし想定を超えた災害が発生した場合には、直接的な損害に加え、サプライチェーンの混乱等により、生産活動が停止し多額の損失が発生する可能性があります。

また、新型コロナウイルス感染症に対して、当社では2023年5月7日まで、社長執行役員を対策本部長とする新型コロナウイルス感染症対策本部を設置し、各種感染拡大防止策を講じました。同様の感染症は今後も発生する可能性があり、想定を超えて世界的に流行し、サプライチェーンや当社グループの従業員に影響が生じた場合は、生産活動の停止等、事業活動の継続に支障をきたし、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)環境問題について

当社は地域および環境との調和を重要な経営課題と認識し、すべての事業活動において継続して地球環境負荷の低減に貢献するためにISO14001の認証を全社統合で取得した環境マネジメントシステムを運用しています。また、事業活動において大量に化石燃料を消費する当社は、温室効果ガス削減の野心的な目標を掲げSBT(Science Based Targets)イニシアティブより認定を取得いたしました。しかしながら、気候変動対策をはじめとした環境問題への社会や顧客からの要望はますます高まっており、必要なコスト(再生可能エネルギー調達、設備導入、技術開発など)の増加や、要望への対応が不十分な場合には社会的評価の低下により業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)資金調達について

当社グループは、運転資金・投資資金等を金融機関からの借入等により調達しております。当社グループの経営環境が悪化する等の状況によっては資金調達が制約される可能性や調達コストが増加する可能性があります。また、今後の金利動向によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの一部借入には財務制限条項が付されております。財務制限条項の詳細は、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)※7.財務制限条項」に記載のとおりです。連結決算および単体決算それぞれにおいて、財務制限条項のいずれかに抵触することとなった場合には、期限の利益を喪失する可能性があります。

 

(11)人権について

当社グループは「企業活動に関する基本指針」において、基本的人権を尊重し差別的取り扱いを行わないこと、また、強制労働や児童労働を認めず人権侵害に加担しないことを謳い、当社グループ内に周知徹底を図っております。

さらに「山村グループ人権方針」を制定し、当該方針に基づき、国際的な人権規範を考慮しながらその取り組みを進めております。しかし、予期せぬ事態により当社グループで人権問題が発生した場合、またサプライチェーン上に存在する人権問題に適切に対応できない場合、当社グループの信用を失墜させ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)保有資産の価値下落等について

当社グループが保有する棚卸資産、固定資産および有価証券等について、時価の著しい下落や収益性の低下等が生じた場合、減損損失や評価損等の計上により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)繰延税金資産の回収可能性について

当社および連結子会社では、繰延税金資産について、将来の課税所得の見積りに基づいて回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得見積り額の変更や税制改正による税率変更等が実施された場合には、繰延税金資産が減額され、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社の繰延税金資産の回収可能性については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

(14)信用リスクについて

当社および連結子会社では、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。実際の損失発生額が引当金計上時点の見込額と乖離した場合や、引当金の積み増しを必要とする場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

当社は、利益の配分につきましては、業績に応じた配当を継続的に行うことを基本に、海外への事業展開や成長事業への投資計画、財政状態等を総合的に勘案しながら、積極的に株主の皆様への利益還元に努めていきたいと考えております。

当社の剰余金の配当は、中間配当と期末配当の年2回行うことを基本としております。配当の決定機関は、中間配当については取締役会、期末配当については株主総会です。なお、当社は、中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。

2024年6月26日開催の第95期定時株主総会において、期末配当は創業110周年の記念配当20円を加え、1株につき50円(中間配当は無配)となりました。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。

決議年月日

配当金の総額

1株当たり配当額

2024年6月26日

510百万円

50円00銭

定時株主総会決議

 

 

 次期以降の配当につきましては、内部留保資金や財務安全性、必要投資とのバランスを考慮の上、資本効率を意識した株主還元を実施してまいります。基本方針としては、1株につき50円を下限とし、連結配当性向30%を目安に利益増加に応じた継続的な配当額の増加を目指します。