2023年10月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 1,176 100.0 177 100.0 15.1

事業内容

 

3 【事業の内容】

(1) ミッション

当社は「Delight customers with innovation イノベーションで顧客を感動させる」をミッションに掲げ、宿泊施設向けのITサービスとして、「tripla Book」を中心に、「tripla Bot」、「tripla Connect」、「tripla Pay」等を提供しております。これらのサービスの提供を通じて、宿泊業界のDX(注1)を進めて参ります。

なお、当社の事業は、ホスピタリティソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(注)1.DX:デジタルトランスフォーメーションの略称。進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへ変革すること。

 

(2) サービス概要

当社は、宿泊施設向けに、「tripla Book」を中心に、「tripla Bot」、「tripla Connect」、「tripla Pay」等を提供しております。それぞれのサービスの概要は下記のとおりです。

① 「tripla Book」

「tripla Book」は、2019年7月のサービス提供の当初から宿泊施設向けのクラウド型の公式サイト予約システムとして、宿泊施設の公式サイトに、当社で用意したJava Scriptを埋め込むことにより、宿泊施設の公式サイト上で予約が可能となるウィンドウが表示され、自社予約(注1)を実装できるサービスを提供しております。「tripla Book」の特徴は下記のとおりです。

 

a. ユーザーが短時間に予約可能なUX/UI(注2)

「tripla Book」は、簡単に、予約に掛ける時間を可能な限り短くするよう機能的なデザインを考慮しております。ユーザー(宿泊客)が宿泊施設の公式サイトを訪問した場合でも、宿泊予約が完了するまでの時間が長く掛かる、直感的な画面操作ができない等となれば、ユーザー(宿泊客)が離脱しやすくなり、結果として、宿泊予約は減少します。そのため、離脱を防止し、自社予約を増加させるため、操作の簡単さ、予約完了に至るまでの時間を短くするような仕様としております。

 


 

 

b. 手数料率を抑えた料金体系

料金体系としては、部屋数に応じた月額の基本料金と従量料金があり、従量料金は「tripla Book」を通じて宿泊した部屋数が閾値を超えた場合に発生いたします。閾値の設定は、原則として、宿泊施設が「tripla Book」を契約する前に利用していた他社予約エンジンによる過去1年間の月ごとの宿泊実績(部屋数)といたします。

 

 


c. ソーシャルログイン対応の会員機能

ユーザー(宿泊客)が会員登録した場合、LINEやFacebookといったSNSを利用し、簡単にログインすることが可能です。

 

d. 外部ポイントへも交換可能なポイント機能

宿泊施設は自らが提供する独自のポイントプログラムを設けている場合があります。例えば、宿泊者が次回、同じ宿泊施設もしくは同じブランドの施設で宿泊する場合に、ポイントを利用することで値引を受けることができるような場合があります。当社は「tripla Book」を株式会社DIGITALIOが提供するデジタルギフト(注3)のサービス「デジコ」とAPI(注4)連携し、宿泊施設の独自のポイントプログラムによって、ユーザー(宿泊客)が宿泊施設を通して獲得したポイントを、利用した宿泊施設のみでなく、外部のAmazon、App Store & iTunes、Google Play等で使用できるような機能を提供しております。なお、ポイントプログラム自体は各宿泊施設独自のものであり、当社が負担するポイントプログラムではありません。

 

e. ベストレート機能

宿泊施設の公式サイトに掲載する宿泊料金を、宿泊予約をする際に、OTA(注5)が提示する価格と比較し、自動的に値引する機能を備えております。自社予約を最も安い料金とすることで、ユーザー(宿泊客)が宿泊施設の公式サイトから予約しようとするインセンティブとなります。

 

f. 蓄積したデータをマーケティング活動に利用可能

後述する「tripla Connect」との連携によって可能となります。

 

g. 大手チャネルマネージャー(注6)との連携

宿泊施設のプラン情報、部屋在庫の情報はPMS(注7)によって管理されていることが多く、PMSとOTA、予約エンジンを連携するため、多くの宿泊施設においては、チャネルマネージャーを導入しています。予約エンジンを拡販する上で、チャネルマネージャーとの連携は必須であり、当社は2018年5月に「手間いらず」との連携を行い、その後、「TLリンカーン」、「ねっぱん」、「らく通with」との連携が2020年1月に完了したことにより、国内大手4社との連携が完了いたしました。なお、日本国内においては、チャネルマネージャーではなく、サイトコントローラーと言う名称が一般的です。

 

h. ダイナミックパッケージ機能

公式サイトにて、宿泊予約のみでなく、国内大手航空会社及びLCCの提供する航空券付き宿泊プランの販売が可能となります。ダイナミックパッケージ専用のプランを作成することなく、既存プランを航空券付きとすることができるため、宿泊施設側の工数が大きく増えることはありません。

 

オンラインによる宿泊予約の方法としては従来より、OTAによる予約、宿泊施設による自らの公式サイト上での自社予約が存在しております。このうち、OTAは、OTAのウェブサイト上に各施設の情報を掲載することができるため、施設にとってはマーケティングに資するという反面、手数料率が高く、OTAによっては、氏名と電話番号以外のユーザー(宿泊客)の情報がOTAにのみ蓄積され施設に蓄積されないという課題があります。これに対し、「tripla Book」は、基本料金はあるものの手数料率はOTAより抑えるとともに、ユーザー(宿泊客)のデータを自社で取得し、活用することができます。なお、データの活用については、「tripla Connect」との連携により可能です。また、宿泊施設が自らの公式サイト上に自社予約の仕組みを開発するためには、開発に関する人材、ノウハウ、ユーザー(宿泊客)にとって使いやすいUX/UIとするための機能的なデザインをする等、多額の開発費用が必要となり、当社の「tripla Book」であれば、Java Scriptの埋め込み等により実装することができ、多額の開発や多くの工数を必要としません。
 
 

 

(注) 1.自社予約:ユーザーが各宿泊施設のHPから宿泊予約をすることを言います。

2.UX/UI:UXはUser Experienceの略称です。サービスを通してユーザーが得られる体験を指します。UIはUser Interfaceの略称です。WebサイトでいうところのUIは、サイトの見た目や、使いやすさのことを指します。単にWebサイトの見た目ではなく、レイアウトや使用されている画像はもちろん、文字のフォント、メニューやボタンの操作性などユーザーが目にするもの・操作するものすべてが含まれています。

3.デジタルギフト:オンライン上でやり取りするギフトのことを言います。現物を届けるのではなく、SNSやメール等を通して、URLやコードの形でギフトを送り、送られた相手は店舗やネットショップ等で、ギフトが入手できます。

4.API:Application Programming Interfaceの略称です。ソフトウェア、プログラム、Webサービス等の間をつなぐインターフェースのことを言います。

5.OTA:Online Travel Agentの略称です。実店舗を持たずインターネット上のみで旅行商品の取引を行う旅行会社のことを言います。ポータルサイトを運営し、宿泊施設の情報をポータルサイトに掲載し、宿泊予約が可能となります。

6.チャネルマネージャー:OTAや予約システム等の複数の宿泊予約情報とPMSを連携することで、在庫、プラン、価格等をまとめて管理するシステムのことを言います。

7.PMS:Property Management Systemの略称です。宿泊施設が、部屋在庫、予約情報、請求情報等の情報を管理し、売上情報を連携する基幹システムのことを言います。

 

「tripla Book」の収益、各指標の推移は下記のとおりです。

年度別の各指標の推移(2021年10月期~2023年10月期)

 

2021年10月

2022年10月

2023年10月

営業収益(千円) 注1

212,493

445,767

744,706

固定収益(千円) 注2

130,141

212,236

281,220

従量収益(千円) 注3

82,352

233,530

463,485

導入施設数(施設) 注4

1,091

1,620

2,485

固定収益単価(千円) 注5

178

156

137

取扱高・GMV(百万円)

注6

10,623

32,925

64,369

 

 

四半期別の各指標の推移(2021年10月期~2023年10月期)

 

2021年10月期

第1四半期

2021年10月期

第2四半期

2021年10月期

第3四半期

2021年10月期

第4四半期

固定収益(千円)

19,051

29,752

38,154

43,182

従量収益(千円)

10,227

13,404

20,267

38,453

導入施設数(施設)

496

770

868

1,091

固定収益単価(千円)

44

47

46

44

取扱高・GMV(百万円)

1,231

1,766

2,822

4,802

 

 

 

2022年10月

第1四半期

2022年10月

第2四半期

2022年10月

第3四半期

2022年10月

第4四半期

固定収益(千円)

48,122

51,540

54,988

57,585

従量収益(千円)

46,058

31,389

66,531

89,551

導入施設数(施設)

1,161

1,301

1,487

1,620

固定収益単価(千円)

42

41

39

37

取扱高・GMV(百万円)

6,538

5,691

8,660

12,034

 

 

 

2023年10月

第1四半期

2023年10月

第2四半期

2023年10月

第3四半期

2023年10月

第4四半期

固定収益(千円)

63,397

67,939

71,857

78,026

従量収益(千円)

96,843

103,856

113,196

149,589

導入施設数(施設)

1,774

1,909

2,019

2,485

固定収益単価(千円)

37

36

36

34

取扱高・GMV(百万円)

12,670

13,627

15,940

22,131

 

 

(注) 1.営業収益:損益計算書上に表示される営業収益の合計です。

2.固定収益:tripla Bookの基本料収入による月次定額の収益です。表内の数値は各期間における合計数値となります。

3.従量収益:tripla Bookの宿泊代金、決済代金によって生じる従量料金による収益です。表内の数値は各期間における合計数値となります。

4.導入施設数:tripla Bookを利用している施設数です。表内の数値は各期末の数値となります。

5.固定収益単価:固定収益を平均施設数で除した額です。平均施設数は前期末と当期末の平均値により算出しています。

6.取扱高・GMV:Gross Merchandise Valueの略称です。tripla Book経由での契約施設全体のチェックアウトベースでの宿泊代金総額です。表内の数値は各期間における合計数値となります。

 

② 「tripla Bot」

「tripla Bot」は、宿泊施設等の公式サイト上にチャットボットを表示させ、ユーザー(宿泊客等)からの質問に対し、当社で開発したAIが自動的に回答するサービスです。宿泊施設等は、自ら開発を行うことなく、当社で用意したJava scriptを自社の公式サイトに埋め込むことにより実装することが可能です。従来、電話で受け付けていた質問をチャットボットで代用できるため、問い合わせ対応に掛けていた人的リソースを減少させ、より付加価値の高い業務にリソースを割くことができます。

「tripla Bot」の特徴は下記のとおりです。

 

a. 自社開発AIによる高い回答精度

自社開発のAI自然言語処理は、これまでに蓄積されたデータにより、95%以上のAI回答率(注1)となっております。また、顧客である宿泊施設からヒアリングし、FAQを登録することで回答精度を高めます。さらに、「tripla Bot」を導入後に、ユーザー(宿泊客)から問い合わせが来た場合にそれをAIに学習させることで継続的に回答精度が上がります。

 

b. AI回答不可時のオペレーター対応

AIが回答できないユーザー(宿泊客)からの問い合わせをチャットが受け付けた場合には、当社の人力オペレーターが回答するハイブリッド方式を採用しております。但し、人力オペレーターが回答するかどうかは、顧客が契約しているプランによって異なります。プランの概要については、後述しております。

 

c. 「tripla Bot」から宿泊予約が可能

「tripla Bot」上で、ユーザー(宿泊客)が予約に必要な情報を入力することにより、宿泊予約をすることもできる等、宿泊施設に特化した機能があります。

 

d. 外部連携を容易にするWebhook(注2)

tripla Bot上でやり取りするのみでなく、Facebook、LINE、slackといったSNS等の他サービスとWebhookで連携することにより、これらのSNS上でのチャットによるやり取りが可能です。また、「tripla Bot」で収集した情報をslackやメールに送信する、Google sheetsへ転記する等に利用できます。

 

e. 多言語対応

日本語のみならず、英語、中国語簡体字、中国語繁体字、韓国語の5言語に対応しております。訪日外国人旅行客のみならず、日本には、322万人(2023年6月末時点 出入国在留管理庁より抜粋)の在留外国人がいるため、在留外国人からのニーズに対応可能です。

 

f. プランと料金体系

AIのみが回答する「AI限定」プランと、「フルサービス」プランの2つのプランがあります。フルサービスについては、実際のリクエスト数(注3)に応じて金額が毎月変動いたします。基本料金が月額25,000円であり、リクエスト数が100件増加するごとに追加25,000円課金されます。なお、フルサービスプランのリクエスト数は、2022年10月期は98.8万リクエスト、2023年10月期は113.7万リクエストです。AI限定プランについては、あらかじめリクエスト数を見積もり、利用実態を加味した上で料金を決定いたします。AIの回答精度の高まり、人件費の抑制等を考慮し、新規獲得については原則AI限定プランにより契約獲得しております。また、既存のフルサービスプランについても、AI限定プランへの移行を進めております。なお、プラン移行については実績リクエスト数を用いるとともに、新規獲得についても想定リクエスト数を用いて料金体系を決定するため、AI限定プランを推し進めることによる営業収益の重要な変動はないと想定しております。

 

g. ChatGPTとの連携

OpenAI社の対話型AI「ChatGPT」との連携をしています。当社が独自に蓄積してきた宿泊施設に対する過去の問い合わせデータ、会話データ等を認識した上で、必要な情報をチャットボット上で提供するにあたり、より人間的で自然な会話が可能となるとともに、回答精度と速度の向上に寄与いたします。

 

(注) 1.AI回答率:当社のフルサービスプラン(人力オペレーターによる回答が可能なプラン)のうち、AIが回答を行ったリクエスト数を全リクエスト数で割った比率です。なお、回答率の数値は、2022年10月期のフルサービスの全体のリクエスト数に対し、AIによる回答を行ったリクエスト数の割合を示しています。AI回答率の計算において、フルサービスプランのみを集計している理由は、AI限定プランの場合はオペレーターにつながらず、すべてAIが回答するためです。

2.Webhook:Webアプリケーションによりイベントが実行された際、外部サービスにHTTP通信でデータを送信する仕組みです。

3.リクエスト数:契約施設全体のリクエスト数です。リクエスト数は、チャットにより問い合わせを受けた数の内、同一日における同一ユーザーによるものを除いた数値を言います。文中の2022年10月期のリクエスト数は2021年11月から2022年10月におけるリクエスト数の合計数値、2023年10月期のリクエスト数は2022年11月から2023年10月におけるリクエスト数の合計数値となります。

 

 

tripla Botの収益、各指標の推移は下記のとおりです。

年度別の各指標の推移(2021年10月期~2023年10月期)

 

2021年10月

2022年10月

2023年10月

営業収益(千円)

253,037

349,689

403,175

固定収益(千円) 注1

138,419

203,403

228,963

変動収益(千円) 注2

114,617

146,286

174,212

導入施設数(施設) 注3

892

1,088

1,666

固定収益単価(千円)  注4

164

200

163

 

 

四半期別の各指標の推移(2021年10月期~2023年10月期)

 

2021年10月期

第1四半期

2021年10月期

第2四半期

2021年10月期

第3四半期

2021年10月期

第4四半期

固定収益(千円)

27,738

31,734

35,990

42,956

導入施設数(施設)

782

887

836

892

固定収益単価(千円)

35

36

40

48

 

 

 

 

2022年10月

第1四半期

2022年10月

第2四半期

2022年10月

第3四半期

2022年10月

第4四半期

固定収益(千円)

46,685

50,214

50,778

55,723

導入施設数(施設)

935

947

969

1,088

固定収益単価(千円)

49

52

51

53

 

 

 

2023年10月

第1四半期

2023年10月

第2四半期

2023年10月

第3四半期

2023年10月

第4四半期

固定収益(千円)

56,038

54,820

57,311

60,793

導入施設数(施設)

1,156

1,239

1,299

1,666

固定収益単価(千円)

49

45

44

40

 

 

(注) 1.固定収益:tripla Botの基本料収入による月次定額の収益です。表内の数値は各期間における合計数値となります。

2.変動収益:tripla Botのフルサービスプラン契約の場合のリクエスト数によって生じる従量料金による収益です。表内の数値は各期間における合計数値となります。

3.導入施設数:tripla Botを利用している施設数です。表内の数値は各期末の数値となります。

4.固定収益単価:固定収益を平均施設数で除した額。平均施設数は前期末と当期末の平均値により算出しています。

 

③ tripla Connect

tripla Connectは、宿泊施設向けに特化したCRM・MAツール(注1)です。宿泊施設は、複数の経路によりユーザーのデータを取得し、データをセグメントに分け分析・可視化し、セグメントごとにマーケティング施策を実施することで、自社予約の増加につなげます。主たる特徴は下記のとおりです。

 

a. ユーザーデータを広く取得することが可能

宿泊施設のPMSには、過去実際に宿泊した宿泊客の情報が保存されていますが、当該情報のみでなく、ユーザーが宿泊施設のウェブサイトに訪れたときに発行されるクッキー(注2)の情報、会員登録している場合には当該会員情報、tripla Book上での過去の予約情報等のデータも広く取り込むことが可能です。顧客の同意に基づき、取得・分析を行っております。

 

b. セグメントと分析

取得したデータを、セグメントに分類いたします。セグメントの例としては、下記が例ですが、下記以外にも、宿泊施設がカスタマイズしてセグメント分類を行うことが可能です。

 


 

c. AIを活用した最適プランのレコメンド

セグメントに分けたデータに最適な宿泊プランを当社AIがレコメンドを行い、下記のマーケティング施策をサポートいたします。

 


 

d. マーケティング施策

マーケティング施策としては、メールマガジンの配信、tripla Bot上で吹き出しを表示させる等の積極的なプロモーションが可能です。

 


 

e. 基本料と従量料金による料金体系

 1施設あたり月額15,000円に加え、メール送信数、SMS送信数に連動した料金体系となります。

 

(注) 1.CRM・MAツール:CRMはCustomer Relationship Managementの略称で、顧客管理のソフトウェアです。tripla Connectにおいては、宿泊施設によるユーザー(宿泊客)の予約情報を管理します。MAはMarketing Automationの略称で、マーケティング活動の自動化・効率化を実現するためのソフトウェアです。

2.クッキー:ユーザー(宿泊客)が特定のウェブサイトを訪れたときに、当該ウェブサイトから、ユーザー(宿泊客)のスマートフォンやパソコン内のブラウザーに保存される情報です。

 

 

 

④ tripla Pay

tripla Payは、宿泊施設向けに特化し、現地決済の仕組みを提供するサービスです。当社はPaypal社等の仕組みを活用し、決済事業者が発行するQRコードをtripla Pay上で表示させます。ユーザーは主としてチェックアウト時に、QRコードを自らが所有しているスマートフォンで読み取り、自らが所有するクレジットカード情報を入力することにより、決済を行います。tripla Bookにより宿泊予約を行う場合、決済方法は主として、2種類あります。予約時にクレジットカードで決済する方法(以下、「事前クレジットカード決済」)と、チェックアウト時に現地で決済する方法(以下、「現地決済」)です。このうち事前クレジットカード決済の利用率は、2023年10月期平均において、全体の宿泊予約の16.6%にとどまり、実際に宿泊先の施設で、チェックアウト時に、現金もしくはクレジットカード決済をするユーザーが多くを占めております。当該ユーザーに対し、当社のtripla Payの利用を促します。また、tripla Book以外の宿泊予約手段により宿泊したユーザーに対しても、チェックアウト時にフロントでtripla Payの利用を促します。tripla Payの特徴は下記のとおりです。

 

a. 導入・運用の手軽さ

宿泊施設としては、tripla Payを起動すれば、サービスの利用が可能です。

 


 

b. 初期費用と月額固定費用が無料

初期費用、月額固定費用とも無料です。但し、決済のためのQRコードをユーザー(宿泊客)に提示するための画面モニター、もしくはタブレット端末が必要であり、当該端末については、各宿泊施設の負担となります。

 

c. 決済手数料の削減が可能

宿泊施設がクレジットカード会社に対して支払う決済手数料率としては、3%台であることが多いですが(注1)、tripla Payの決済手数料率は低い手数料率となります。

 

d. 安全性

ユーザーがクレジットカード番号を提示することがないため、提示することによる不正利用のリスクはありません。また、クレジットカードでテンキーを入力する場合と異なり、ユーザーの所有する携帯端末への入力のため、新型コロナウイルス感染症等の感染症に対する抑止にもつながります。

 

(注) 1.クレジットカードの種類により、手数料率には差があります。手数料率の数値は公正取引委員会の公表する「クレジットカードの取引に関する実態調査報告書」(2022年4月)を元に記載しております。

 

[事業系統図]

当社の事業を事業系統図によって示すと以下のとおりとなります。

 


 

業績

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

1.財政状態の状況

(資産)

事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ3,924,417千円増加し、5,805,200千円となりました。流動資産は3,887,910千円増加し、5,736,898千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加3,791,509千円であり、tripla Bookにおける宿泊代金の決済の増加等による預り金3,124,531千円の増加、株式の発行による645,019千円の増加等によるものであります。固定資産は36,507千円増加し、68,302千円となりました。主な要因は、繰延税金資産の増加26,919千円によるものであります。

(負債)

事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ3,113,506千円増加し、4,769,534千円となりました。流動負債は3,144,190千円増加し、4,592,849千円となりました。主な要因は、tripla Bookにおける宿泊代金の決済の増加等による預り金の増加3,124,531千円となります。固定負債は前事業年度末に比べ30,684千円減少し、176,685千円となりました。これは借入金の返済によるものです。

(純資産)

事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ810,910千円増加し、1,035,665千円となりました。主な要因は、株式の発行による645,019千円の増加、当期純利益165,987千円の計上による増加によるものです。

 

2.経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、物価高が継続する中でも、新型コロナウイルス感染症に関する各種行動制限の緩和が進み、経済活動の正常化による個人消費やインバウンドなどの持ち直しがみられました。その一方で、円安基調の経済情勢を背景としたエネルギー価格の高騰、物価の上昇、各国の金利政策等により、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。

当社のホスピタリティソリューション事業と関連性がある宿泊業界においては、行動制限の解除、入国規制の緩和に続き、2023年3月13日から、マスクの着用は個人の判断に委ねる方針を発表、2023年5月8日に、新型コロナウイルス感染症を2類相当(新型インフルエンザ等感染症)から5類感染症へ移行する等、正常化に向けた動きが進んでいく中、宿泊者数は回復に向かいました。観光庁の統計によると、当事業年度における延べ宿泊者数(訪日外国人旅行者を含む)は、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年の同月と比較し、98%まで回復いたしました。内訳としては、日本人の宿泊者数は100%となり2019年の水準まで回復した一方、訪日外国人の宿泊者数においては86%に留まりました。ただし、訪日外国人の宿泊者数についても、2022年10月期が7%であったものの、2023年7月以降は2019年同月を上回る宿泊者数が継続しております。なお、延べ宿泊者数については、国土交通省観光庁の発表する数値に基づき集計しております。

 新型コロナウイルス感染症によって生活様式の変化を強いられていた状況から正常化へ向けて進行する中、当社ホスピタリティソリューション事業においては、顧客価値向上のため、前事業年度に引き続き、主要サービスである「tripla Book」及び「tripla Bot」、2022年10月期にローンチした宿泊業界特化型のCRM・MAツールである「tripla Connect」等の機能改善を行うとともに、新サービスの開発に注力いたしました。tripla Bookの機能改善として、株式会社ホワイト・ベアーファミリーが提供するダイナミックパッケージとの連携を開始いたしました。また、施設数を積み上げる営業活動に注力し、ルートインホテルズを始めとした多くの契約を獲得いたしました。加えて、2023年3月には韓国の宿泊施設への販売を目的とし韓国支店を設立、2023年7月には台湾で「tripla Connect」の販売を開始、2023年11月には「tripla Boost」の販売を開始いたしました。当社の成長戦略の柱である海外展開を進めて参ります。

 このような取組の結果、tripla Bookの施設数は、当事業年度において、前事業年度末より861施設増の2,485施設、tripla Botの施設数は、当事業年度において、前事業年度末より558施設増の1,666施設となりました。また、取扱高・GMV(Gross Merchandise Value)も、当事業年度において、前事業年度比95.5%増の64,369百万円となりました。

以上の結果、当事業年度の営業収益は1,176,209千円(前事業年度比43.8%増)となりました。利益面については、営業利益は177,115千円(前事業年度比111.7%増)、経常利益は166,692千円(前事業年度比121.7%増)、当期純利益は165,987千円(前事業年度比121.6%増)となりました。

なお、当社はホスピタリティソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。

 

3.キャッシュ・フローの状況

事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は5,468,162千円となり、前事業年度末から3,791,509千円増加いたしました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、3,191,288千円(前事業年度は944,437千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益165,529千円による増加、預り金の増減額3,124,531千円による増加等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

事業年度において投資活動の結果使用した資金は、8,859千円(前事業年度は5,000千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,715千円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

事業年度において財務活動の結果獲得した資金は、606,834千円(前事業年度は42,052千円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入645,019千円によるものです。

 

4.生産、受注及び販売の実績
a 生産実績

当社は、インターネット上での各種サービスを主たる事業としており、生産に該当する項目がないため、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b 受注実績

当社は受注生産をしておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c 販売実績

当社は、ホスピタリティソリューション事業の単一セグメントでありますが、以下のとおりサービスごとに記載しております。

なお、第9期事業年度における販売実績は次のとおりであります。

 

金額(千円)

前期比(%)

1,176,209

+43.8

 

(注) 1.上記の金額には、tripla Bookによる収益を含めております。当該金額は、第9期事業年度については766,060千円であります。当該数値は関連するオプションの収益を除いた数値であります。

2.上記の金額には、tripla Botによる収益を含めております。当該金額は、第9期事業年度については401,948千円であります。

3.上記の金額には、System Integrationに掛かる一時的な収益を含めております。当該金額は、第9期事業年度については8,200千円であります。

4.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

  主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

なお、本文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

1 経営成績の分析

当社の当事業年度の営業収益は1,176,209千円千円(前事業年度比43.8%増%増)、営業利益は177,115千円(前事業年度比112円%増)、経常利益は166,692千円(前事業年度比122円%増)、当期純利益は165,987千円(前事業年度比122円%増)となりました。

 

(営業収益)

当事業年度の営業収益は1,176,209千円千円(前事業年度比43.8%増)となりました。これは、tripla Bookの施設数が前事業年度から861施設増加し、当事業年度末において2,485施設となったこと、tripla Botの施設数が前事業年度から558施設増加し、当事業年度末において1,666施設となったこと、取扱高・GMVが当事業年度において64,369百万円(前事業年度比95.5%増)となったことによるものであります。導入施設数については大手チェーンホテルへの導入等により堅調に推移したと考えております。一方、取扱高・GMVについては、コロナ禍の影響による宿泊需要の低迷が当期においても継続した結果、取扱高・GMVの下落圧力となりました。

 

(営業利益)

当事業年度の営業利益は177,115千円(前事業年度比111.7%増)となりました。営業力及び商品開発強化などに対応する体制強化を行う一方で、業務改善等による生産性の向上に努めた結果、営業利益が大きく増加したと考えております。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

当事業年度の営業外損益は、主に、上場関連費用等による営業外費用5,747千円を計上いたしました。この結果、経常利益は166,692千円(前事業年度比121.7%増)となりました。

 

(特別利益、特別損失、当期純利益)

当事業年度の特別損益は、主に、減損損失1,111千円を計上いたしました。この結果、法人税等△457千円計上後の当期純利益は165,987千円(前事業年度比121.6%増)となりました。

 

2 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 3.キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社は、事業運営上必要な資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金、長期運転資金の調達について、自己資金又は金融機関からの借入を基本としており、都度最適な方法を選択しております。当社は設備投資については「第3 設備の状況」に記載のとおり少額であり、必要資金は具体的には、人件費、広告宣伝費等を含む運転資金、及び長期借入金の返済となります。特に、新しいサービス・プロダクトの開発、既存サービス・プロダクトの機能拡充のためのエンジニア採用等について資金配分を進めて参ります。

なお、当事業年度末における借入金の残高は207,369千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は5,468,162千円であります。

なお、当社は、ホスピタリティソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

3 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、事業年度末日における資産及び負債、会計期間における収益及び費用について会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しては、過去の実績及び適切な仮定に基づいて合理的に計算しておりますが、実際の結果と相違する場合があります。

なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

4 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、導入施設数(tripla Book、tripla Bot、当社のサービスを複数導入している施設数)、取扱高・GMV等を重要な経営指標と位置付けております。当該指標の具体的な数値については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

5 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。これらリスク要因の発生を回避するためにも、提供するサービスの機能強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。