2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 6,881 100.0 272 100.0 4.0

事業内容

3【事業の内容】

当連結会計年度において、当社は、2022年11月1日に単独株式移転により、株式会社テリロジーの完全親会社として設立されました。

当社は、持株会社としてグループ会社の経営管理及びこれに附帯する業務を行っております。また、当社グループの事業の内容は以下の通りであります。

当社グループは、当社、子会社7社、関連会社2社からなります。当社グループは、製品・サービス別の営業部門を設置し、各営業部門は、取り扱う製品、サービスについて包括的な戦略を立案・実行することで、事業活動を展開しております。

したがって、当社グループは、営業部を基礎とした製品・サービス別の事業から構成されており、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」、「モニタリング部門」、「ソリューションサービス部門」の4部門に区分しておりました。

しかしながら、「モニタリング部門」につきましては、昨今の市場環境の変化に伴い、従来のネットワークの可視化から脅威検出やセキュリティ監視、セキュリティ分析など多岐に渡ることから「ネットワーク部門」及び「セキュリティ部門」に振り分けることとし、当連結会計年度より、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」、「ソリューションサービス部門」の3区分に変更することにいたしました。

なお、当社は特定上場会社であります。特定上場企業等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事項の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

事業部門

主要製品分野

ネットワーク部門

・ネットワーク機器(スイッチ、ルータ、無線LAN、DNS/DHCP等)

・企業内情報通信システムやインフラの設計・構築

・当社グループ開発製品(THX)、ネットワーク運用、管理、監視機器及び自社クラウド性能監視サービス(CloudTriage)

・海外販売パートナー経由による当社グループ開発製品(THX)の販売

・広範囲なネットワーク関連製品の販売及びプロフェッショナルサービスの提供

・当該部門販売のネットワーク及び付帯機器、ソフトウェア製品の保守業務

セキュリティ部門

・CTI(サイバー脅威情報)インテリジェントセキュリティサービスの提供

・ネットワークセキュリティ製品(ファイアウォール、侵入検知・防御、情報漏えい対策等)

・セキュリティ認証基盤

・ワンタイムパスワード製品

・ログ管理・分析クラウドサービスの販売・構築

・当社グループ開発製品(THX)、ネットワーク運用、管理、監視機器

・海外販売パートナー経由による当社グループ開発製品(THX)の販売

・当該部門販売のセキュリティ機器及びソフトウェア製品の保守業

ソリューションサービス部門

・当社グループ開発ソフトウェアRPAツール(EzAvater)

・リアルタイム多言語映像通訳サービス(みえる通訳)

・クラウド管理型マネージドVPNサービス(MORA VPN Zero-Con)

・ウェブ会議サービス(Zoom、MORA Video Conference)

・法人向けインターネット接続サービス(MORA光)

・高速モバイルデータ通信サービス(MORAモバイル)

・自社(IGLOOO)運営の訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業

・情報システム開発・運用サービス提供事業(Cre-Fit / テクノロジー・アウトソーシング・サービス)

 

● ネットワーク部門

当部門は、顧客のニーズに最も適したネットワーク製品(ルータ、スイッチ、無線LAN、DNS/DHCP)等の販売をはじめ、企業内情報通信システムやインフラの設計・構築及び広範囲な製品の販売とプロフェッショナルサービスの提供を行っています。

また、当社グループ開発製品(THX)によるネットワーク運用・管理・監視機器監視機器及び当社グループ独自のサービスであるアプリケーション等の性能を監視するクラウドサービス(CloudTriage)の提供を行うと共に、当部門が納入した広範囲な製品およびソフトウェア製品の保守業務を、24時間365日の対応が可能な体制を整備しております。

● セキュリティ部門

当部門は、日々巧妙化するサイバー攻撃や不正アクセスによる情報漏えいなどの脅威に向けた対策として、CTI(サイバー脅威情報)インテリジェントセキュリティサービスによる脅威情報の提供をはじめ、ネットワークセキュリティ製品(ファイアウォール、侵入検知・防御(IPS)、情報漏えい対策等)、セキュリティ認証基盤(ネットワーク上のサービス利用者を識別すること)等の製品の販売のほか、不正取引対策(ワンタイムパスワード製品)等のセキュリティシステムの販売・構築を行っています。

また、ネットワーク上を流れるすべてのトラフィックデータ収集・分析・可視化を行う当社グループ開発製品(THX)のほか、既存のシステムやセキュリティ対策ツール、SaaS、PaaSなどのログ情報から脅威をいち早く捉えるログ管理・分析クラウドサービスの販売・構築を行うと共に、当部門が納入したセキュリティ機器及びソフトウェア製品の保守業務を、24時間365日の対応が可能な体制を整備しております。

● ソリューションサービス部門

当部門は、顧客が抱える問題を改善するために必要なソフトウェアやサービスの提供をおこなっています。

・訪日外国人旅行客が増加するなか、外国人観光客と円滑にコミュニケーションを取るための対策として言葉の壁を解決するリアルタイム多言語映像通訳サービスの提供

・働き方改革や業務効率化の実現に向けて注目されている当社グループ開発ソフトウェアRPAツール(EzAvater)の販売

・中堅・中小企業に向けたクラウド管理型マネージドVPNサービス、ウェブ会議サービスなどのネットワーク・ソリューション・サービスをはじめ、テクノロジー・アウトソーシング・サービスや情報システム開発・運用サービスの提供

・欧米豪・中東市場に特化した自社運営の訪日インバウンドメディア「VOYAPON(ヴォやポン)」を活用したプロモーション事業

・中堅・中小企業に向けたシステム開発、インフラ環境構築、運用支援のほか、IT及びネットワークに係る様々なソリューションを提供し、お客様のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援

 

[事業系統図]

 

(注)2024年6月1日付で、「株式会社テリロジーワークス」は「株式会社コンステラセキュリティジャパン」に社名変更しております。また、2024年4月1日付で「株式会社エフェステップ」は「クレシード株式会社」に吸収合併され消滅しております。

 

用語解説

 

ルータ(router)

ある場所からある場所にインターネットを介してデータを送受信するときに、その電送経路を制御する装置をいいます。

DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)

コンピュータを起動したとき、そのコンピュータに対して、IPアドレスなどのネットワーク情報を自動的に割り振るためのプロトコル(ネットワークでコンピュータ同士が情報を交換するための通信手順、通信規約)です。

DNS(Domain Name Service)

インターネット上でのコンピュータの名前にあたるドメイン(ホスト)名を、住所にあたるIPアドレスと呼ばれる4つの数字の列に変換する名前解決メカニズムの総称です。

IP(Internet Protocol)

米国防総省のネットワークプロジェクトで開発された通信手順で、ネットワークに参加している機器の住所付け(アドレッシング)や、相互に接続された複数のネットワーク内での通信経路の選定(ルーティング)をするための方法を定義しています。

IPTV(Internet Protocol TeleVision)

IPTVとは、IP(Internet Protocol)を利用してデジタルテレビ放送を配信するサービスのこと、またはその放送技術の総称をいいます。QoSを活用することにより、音声や動画の生中継や、テレビ会議など、リアルタイム性が要求される通信において、優先的に帯域を割り当てるなどの制御を行い、通信の停滞を防止します。

PPPoE(Point to Point Plotocol over Ethernet)

PPPは電話回線とモデムを使って2点間でコンピュータ接続するダイアルアップサービスで使用する通信手順です。PPPoEはADSL、ケーブルテレビ、光ファイバーサービスなどの常時接続において使用される通信手順です。

QoE(Quality of Experience)

QoEとは、主に通信事業者が提供する各種通信サービスに対して「ユーザから見たサービス品質(ユーザの体感品質)」を意味します。具体的には、映像配信やIP電話などのリアルタイム性が求められる通信サービスの品質について、ユーザの目線で評価する品質の尺度です。

QoS(Quality of Service)

QoSとは、主にネットワークにおける回線の「通信サービスの品質」を意味し、通信の品質を制御する技術を指します。具体的には、ネットワーク上で通信のための帯域をあらかじめ予約し、特定の通信の通信速度・品質を保証する技術のことをいいます。

SLA(Service Level Agreement)

元々は米国でのアナログ電話回線サービスの品質保証から生まれた用語で、これが広義的に普及し、今では、インターネット通信サービス事業者が利用者に対して回線通信速度、通信不能時間といった特別なサービス品質を保証するサービス契約をいいます。もし、締結ユーザに対してインターネット通信サービス事業者が保証できなかった場合、サービス事業者は契約ユーザにペナルティを支払わなければなりません。

SLM(Service Level Management)

これは前述のSLAがきちんと守られているかどうかを実際の数値として監視する仕組みをいいます。

DDoS(Distributed Denial of Service)

DDoSとは、インターネットを通じた攻撃手法の1つで、複数のコンピュータから大量のデータを一斉に送信することで、標的となる企業や組織のコンピュータに大量の処理負荷を与え、サービスを機能停止状態へ追い込む手法です。

ストレージ(Storage)

ストレージとは、コンピュータなどのデータを長期的に保存しておくことを目的とした記憶装置です。

ダークネット

ダークネットとは、Tor(The Onion Router:TCP/IPにおける接続経路の匿名化を実現するための規格またはソフトウェアの名称)などのツールを利用することで誰でもアクセスできる利便性があり、また、暗号化された通信技術などを利用することで高いレベルの匿名性が確保されているネットワークです。しかしながら、匿名性が確保されることで利用者の特定が困難であるため、様々な犯罪の温床になっています。

RPA(Robotic Process Automation)

RPAとは、これまで人間が手作業で行っていた定型的な事務作業を、ルールエンジン、機械学習、人工知能などの認知技術を取り入れたソフトウェアロボットが代行することで、オフィス業務の効率化や自動化を実現する取り組みです。

 

OT(Operational Technology)

電気、ガス、上下水道をはじめ、道路、鉄道、送電網、通信網といった社会インフラのほか、工場やプラント、ビルなどの制御機器を制御し運用するシステムやその技術の総称です。

 

IoT(Internet of Things)

IoTとは、従来インターネットに接続されていなかった家電製品や車、建物など、さまざまなモノがインターネットにつながる技術の総称で、モノのインターネットという意味で使われています。

 

APT(Advanced Persistent Threat)

APTとは、サイバー攻撃の一種であり、標的型攻撃のうち、特定の組織や個人を目的にして複数の攻撃手法を使って継続的に行う攻撃のことです。

 

サイバースレットインテリジェンスサービス(Cyber Threat Intelligence)

サイバースレットインテリジェンスとは、サイバー脅威インテリジェンスとも呼ばれ、サイバーリスクにつながる脅威について収集、分析して得られる情報の総称です。

 

クラウドコンピューティング(Cloud Computing)

クラウドコンピューティングとは、インターネットなどのネットワーク上でサービスとして提供されているハードウェアやソフトウェアを用いた利用形態の総称で、略してクラウド(Cloud)と呼ばれることもあり、英語で「雲」を意味します。

 

BPO(Business Process Outsourcing)

BPOとは、Business Process Outsourcing(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の略で、企業を運営するうえでの業務やビジネスプロセスを専門企業に外部委託する形態の1つです。

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行後、インバウンド需要や個人消費が回復し、社会経済活動の正常化が進んだことで、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。

一方で、ロシアのウクライナ侵攻の長期化や中東情勢の緊迫化、原材料価格の高騰と円安による物価の上昇など、依然として景気の先行きは不透明な状況にあります。

このような状況のもとで、当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は、わが国が21世紀においても世界をリードしていく国であり続けるために、今後益々複雑化、高度化するデジタル社会において、当社グループが提供する独自の最先端技術による組み合わせの妙味を通じて、豊かで快適で安全な未来づくりに貢献するデジタル・テクノロジーのソリューション&サービス提供事業者を目指すべく、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいりました。

 

当連結会計年度における部門別の概要は、次のとおりであります。

 

なお、当社グループでは、当社グループ内での事業戦略で定める製品及びサービスの事業実態と名称の整合性を図ることを目的に、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」、「モニタリング部門」、「ソリューションサービス部門」の4つの事業区分としておりました。

しかしながら、「モニタリング部門」につきましては、昨今の市場環境の変化に伴い、従来のネットワークの可視化から脅威検出やセキュリティ監視、セキュリティ分析など多岐に渡ることから「ネットワーク部門」及び「セキュリティ部門」に振り分けることとし、当第1四半期連結累計期間より、「ネットワーク部門」、「セキュリティ部門」、「ソリューションサービス部門」の3区分に変更することといたしました。

これに伴い、前連結会計年度の数値は、変更後の部門区分に組み替えた数値で比較しております。

 

(ネットワーク部門)

当部門では、テレワークや在宅勤務の増加を背景に、安心・安全なネットワーク環境の構築をはじめ、Webサイトやサーバを狙ったDDoS攻撃などへのセキュリティ対策が課題となりました。

当社グループが得意とするIPアドレス管理サーバ製品は、新モデルへのリプレース需要が一巡したことから、テレワークや在宅勤務によるセキュリティ対策としてのDNSセキュリティソリューションの提案活動に加えて、システムのクラウドシフト、クラウドリフトの加速に伴うIPアドレス管理の課題から、IPAM(IPアドレスマネジメント)の提案活動にも注力しました。

また、世界中でサイバー攻撃が増加する中、ロシア・ウクライナ戦争でのウクライナ支援国に対するサイバー攻撃が激化し、国内でもDDoS攻撃が急増したことから、Radware社のDDoS対策ソリューションが注目されたほか、販売終了モデルのリプレースに伴うロードバランサー製品は、提案活動が順調に推移し、受注につなげています。

なお、テレワークや在宅勤務の増加を背景に、安心・安全なネットワーク環境の構築に向けたクラウド型無線LANシステム案件は堅調に推移しており、長期利用後の新機種へのリプレース案件の受注、これに紐づく有線LANネットワーク構築案件も増加しました。

この結果、売上高は1,560百万円(前期1,556百万円、前期比0.3%増)となりました。

 

(セキュリティ部門)

当部門では、インターネットが社会生活や経済活動を支え、社会インフラとして必要不可欠な存在になるにつれて、インターネットなどのネットワークを介した社会インフラへのサイバー攻撃や不正アクセスなどの脅威が増大しました。

当社グループ独自のセキュリティサービスでは、主にネット上で発信・拡散される偽情報による世論操作などのリスクが、看過できない大きな脅威として認識されたことに伴い、当社グループのこの分野における受注は堅調に推移しました。

特にSNSにおける情報作戦の検知において当社グループのサービスが高く評価されたことで、ツールの販売とコンサルティングサービスが伸長し、今後の成長の大きな推進力となりました。

なお、サイバー関連の事業も安定的に推移し、特に官公庁からの大型案件の受注により収益に貢献しています。

また、電力系などの重要インフラや工場及びビル管理などの産業制御システム向けセキュリティ対策では、経済産業省が策定の工場システムにおけるサイバー・フィジカル・セキュリティ対策ガイドラインをはじめ、自動車業界におけるサイバーセキュリティガイドラインなどによるOTシステムへのサイバー攻撃対策のほか、製造業におけるDX化が進み、つながる工場によるネットワーク管理の必要性から、制御システム・セキュリティリスク分析が注目されたことで、各業界からの引き合いは堅調に推移し、国内電力会社をはじめ国内大手製造業からの受注は増加しました。

その他、大手金融機関からは、インターネットバンキングの不正利用対策として、ワンタイムパスワードを採用した認証基盤システムの追加受注をはじめ、昨今のクラウドサービスの利用が加速する中、既存のシステムやセキュリティ対策ツール、SaaS、PaaSなどのログ情報から、外部・内部の脅威をいち早く正確に捉えることができるログ管理・分析クラウドサービスのほか、特定の組織、企業などを標的にしたサイバー攻撃への対策として、ネットワーク不正侵入防御セキュリティ製品の引き合いが増加したことで、当部門の売上高は前期に比べて増加しました。

この結果、売上高は3,005百万円(前期2,155百万円、前期比39.5%増)となりました。

 

(ソリューションサービス部門)

当部門は、お客様の課題を解決するために、あらゆる技術とアイデアを融合したソフトウェアやサービスの提供を行ってきました。

当部門の多言語リアルタイム映像通訳サービス「みえる通訳」は、インバウンド需要の順調な回復により、公共交通機関、小売店に加え、人手不足が深刻な宿泊施設を中心とする引き合いが増加しているほか、在留外国人の増加に伴う官公庁及び自治体の契約件数も堅調に推移しました。

なお、多言語コンタクトセンターを自社運営する強みから、会議通訳、電話通訳、翻訳などに加え、BPO案件の営業活動も積極的に推進した結果、大口案件の受注につながっています。

また、クラウドマネージドVPNサービスでは、簡便性と導入しやすい価格帯から、クラウドPBX事業者、小売流通や中堅企業などのネットワークサービスとして引き合いが増加したほか、昨今の中小企業におけるセキュリティリスクの高まりを見据え、新たに同市場をメインターゲットにしたSASEソリューションのリリースを予定しております。

当社グループ独自開発のRPAツールでは、誰でも簡単に使える特徴と認知度の高まりから、業界、業種、規模を問わず利用が拡大したほか、新たにリリースした同時接続フローティングロボットが導入台数増加に貢献するなど堅調に推移しました。

その他、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業を行うIGLOOO(イグルー)社は、官公庁及び自治体からの受注が堅調に推移したほか、インバウンドの増加に伴い、民間企業への積極的な営業活動の結果、大口案件の受注につながっています。

情報システム業務支援及びシステム開発のクレシード社では、カスタマサポート事業としてのサポート対応案件の増加や基幹サーバリプレース案件の受注が堅調に推移しておりユーザエクスペリエンスを向上させるシステム開発案件も増加しました。

この結果、売上高は2,314百万円(前期1,965百万円、前期比17.8%増)となりました。

 

以上の結果、当連結会計年度における受注高は7,469百万円(前期5,638百万円、前期比32.5%増)、売上高は6,881百万円(前期5,676百万円、前期比21.2%増)、受注残高は2,439百万円(前期1,851百万円、前期比31.8%増)となりました。

 

利益面では、地政学リスクによる資材高騰及び円安の影響による輸入商品の仕入価格の上昇や、中長期的な経営戦略の実現に向けた人的資本への投資に伴う費用が増加したものの、売上高の増加や、全般的なコスト増の抑制並びに一部製品の価格改定により、営業利益272百万円(前期は115百万円の利益)となりました。

また主に、当社グループでは為替(円安)対策を講じて、輸入取引契約における為替変動リスクに備えた為替予約を使って決済をした際に発生した、為替相場の変動に伴う為替差益83百万円及びデリバティブ評価益29百万円を営業外収益に計上したことで、経常利益396百万円(前期は127百万円の利益)となりました。

その他、「その他有価証券」に区分される保有有価証券のうち、時価が著しく下落したものについて、投資有価証券評価損44百万円を特別損失に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益188百万円(前期は46百万円の利益)となりました。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末における総資産は、6,898百万円となり、前連結会計年度末に比べ754百万円増加いたしました。

当連結会計年度末における負債合計は、4,334百万円となり、前連結会計年度末に比べ635百万円増加いたしました。

当連結会計年度末における純資産合計は、2,564百万円となり、前連結会計年度末に比べ119百万円増加いたしました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ382百万円減少し、1,916百万円となりました。当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は324百万円(前年同期は287百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益352百万円を計上し前受金の増加額140百万円、売上債権の増加額303百万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は578百万円(前年同期は34百万円の獲得)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出268百万円、子会社株式取得による支出212百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は134百万円(前年同期は112百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出101百万円等によるものであります。

 

④仕入、受注及び販売の実績

当社グループは単一事業であるため、仕入、受注及び販売の実績については事業部門ごとに記載しております。

 

a . 仕入実績

当連結会計年度の仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門別

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

ネットワーク部門(千円)

652,102

△7.9

セキュリティ部門(千円)

1,802,296

38.5

ソリューションサービス部門(千円)

680,125

15.9

合計(千円)

3,134,524

20.7

 

b . 受注実績

当連結会計年度の受注実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門別

受注高

前年同期比

(%)

受注残高

前年同期比

(%)

ネットワーク部門(千円)

1,769,408

8.5

646,252

47.7

セキュリティ部門(千円)

3,344,316

61.8

1,652,989

25.8

ソリューションサービス部門(千円)

2,355,421

21.4

140,464

40.7

合計(千円)

7,469,146

32.5

2,439,705

31.8

 

c . 販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。

事業部門別

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

ネットワーク部門(千円)

1,560,643

0.3

セキュリティ部門(千円)

3,005,604

39.5

ソリューションサービス部門(千円)

2,314,796

17.8

合計(千円)

6,881,042

21.2

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社みずほ銀行

78,895

1.4

506,742

7.4

伊藤忠テクノソリューションズ(株)

335,158

5.9

389,649

5.7

 

(2)経営者の視点による経営者成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容等

a.経営成績等

(売上高)

当社グループの当連結会計年度の売上高は、前期に比べ1,204百万円増加した6,881百万円となりました。

これは主に、社会生活や経済活動におけるインターネットサービスへの依存度の高まりからサイバー攻撃等が増加し、社会インフラや工場、ビル管理システム等の産業制御システム分野のセキュリティ対策として、当社グループが得意とする制御システム・OTセキュリティリスクアセスメントサービスが注目され、国内電力会社をはじめ国内大手製造業等に採用されたほか、官公庁、国内企業向けのネットワークセキュリティ構築案件が堅調に推移したことによるものです。

また、当社グループ独自のセキュリティサービスでは、主にネット上で発信・拡散される偽情報による世論操作などのリスクが、看過できない大きな脅威として認識されたことに伴い、当社グループのこの分野における受注活動は堅調に推移したほか、サイバー関連の事業も安定的に推移し、特に官公庁からの大型案件の受注により収益に貢献しています。

なお、インバウンド需要の再開による訪日外国人の増加に伴い、ソリューションサービス部門の多言語リアルタイム映像通訳サービスでは、公共交通機関、小売店に加え、人手不足が深刻な宿泊施設を中心に利用が増加したほか、訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション事業を行うIGLOOO(イグルー)社は、官公庁及び自治体からの受注が堅調に推移し、民間企業への積極的な営業活動の結果、大口案件の受注につながりました。

(売上総利益)

売上総利益は、前連結会計年度に比べ298百万円増加し、2,292百万円となりました。

これは主に、地政学リスクによる資材高騰及び円安の影響による輸入商品の仕入価格の上昇したことによるものであります。

(営業利益)

販売管理費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ141百万円増加し、2,020百万円となりました。これは主に、中長期的な経営戦略の実現に向けた人的資本への投資に伴う費用が増加したことによるものであります。

これらの結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ157百万円増加し、272百万円となりました。

(経常利益)

経常利益は、前連結会計年度に比べ269百万円増加し、396百万円となりました。これは主に、為替(円安)対策を講じて、輸入取引契約における為替変動リスクに備えた為替予約を使って決済をした際に発生した、為替相場の変動に伴う為替差益83百万円及びデリバティブ評価益29百万円等を計上したためであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損益は、「その他有価証券」に区分される保有有価証券のうち、時価が著しく下落したものについて、投資有価証券評価損44百万円が計上されております。

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ142百万円増加し、188百万円となりました。

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

c.財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は5,323百万円となり、前連結会計年度末に比べ255百万円増加いたしました。これは主に受取手形、売掛金及び契約資産が364百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,574百万円となり、前連結会計年度末に比べ499百万円増加いたしました。これは主に無形固定資産が243百万円増加、投資その他の資産が201百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は6,898百万円となり、前連結会計年度末に比べ754百万円増加いたしました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は3,993百万円となり、前連結会計年度末に比べ668百万円増加いたしました。これは主に前受金が272百万円増加、買掛金が144百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は340百万円となり、前連結会計年度末に比べ32百万円減少しました。これは主に長期借入金が49百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は4,334百万円となり、前連結会計年度末に比べ635百万円増加いたしました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は2,564百万円となり、前連結会計年度末に比べ119百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益188百万円を計上したこと等によるものであります。

この結果、自己資本比率は36.7%(前連結会計年度末は39.1%)となりました。

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、社会生活や経済活動におけるインターネットサービスへの依存度の高まりから、サイバー攻撃等から社会インフラを守り、安定した運用を実現するためのサイバーセキュリティ対策、制御システム・OTセキュリティリスクアセスメントサービスの他、インバウンド需要の再開による訪日外国人の増加に伴い、公共交通機関、小売店に加え、人手不足が深刻な宿泊施設等での多言語リアルタイム映像通訳サービス利用が増加し、訪日外国人を誘客するための訪日インバウンドメディアを活用したプロモーション需要が増加したことで、2023年度については、売上高6,881百万円/営業利益272百万円/経常利益396百万円/親会社株主に帰属する当期純利益188百万円/1株当たり当期純利益11.54円となりました。

当社グループは、デジタル社会の変化に自ら対応・進化し、お客様が欲する最適・的確なソリューションとサービスを提供し続けられるテクノロジーオーガナイズ企業グループを目指し、2022年11月1日に純粋持株会社として当社を設立いたしました。

中核事業会社である㈱テリロジーは、1989年の創業以来、政府・自治体、文教分野、そして各業界のグローバル企業において欠かすことのできないインターネット技術や今日のデジタル社会を支える世界の先進・先端技術トレンドを常に追い駆け、この国にとって必要・有益とされる新たなテクノロジーの発掘・開発・導入に数多く挑戦して参りました。また、各グループ会社においては、サイバーセキュリティ、ICTサービス、ITマネージドサービス、インバンドソリューションサービス等の国内展開や、アジアグルーバル分野において、当社グループならではのユニークな事業ポートフォーリオを展開し、各社連携のもと業容の拡大に努めております。

当社グループでは、2022年11月の純粋持株会社体制への移行を経て、ポストコロナの新しい社会活動、企業活動を見据えた当社グループ事業構築の拡充、変革を行っていかなければならない時期に直面していると考えております。

デジタルの利活用が進み、旧来のビジネスモデルが変革され産業のDX化が急速に進む中、産業構造も大きく変化・進化していくことになると考えます。

当社グループは、このデジタル変革の期を大きなチャンスと捉え、「安心・安全なデジタルの活用を支えるサイバーセキュリティ技術の提供」、「簡単で負担を感じないクラウドサービスの提供」、「ログ解析・管理からデータマネージメント技術の提供」を挑戦領域の軸として、国内外の市場を問わずお客様のDX化推進に貢献してまいります。

現在進めております、お客様が抱える情報システムやセキュリティに関わる「現場課題」、我が国の国策である観光DX、環境DXに関わる「社会課題」解決に向けての事業の加速のみならず、今後の社会にとって「必要不可欠な新たな課題領域」に向けての意欲的な挑戦も続けてまいります。

当社グループでは、経営環境の変化等に柔軟に対応するため、原則として毎年改定を行うローリング方式による中期経営計画として目標数値の見直しを行い、事業成長・拡大を加速化し、次のステージに向けたコミットメントとして2025年3月期を初年度とする新たな3ヵ年のテリロジーグループ新中期経営計画「挑戦と更なる成長」を策定いたしました。

これは、当社グループの提供するソリューション&サービスが持続可能な社会の支えになることを目的として見直しを行っております。

 

当社グループは、今後益々進展するDX社会の基盤づくりにおいて、独自の先見力に富む合理的な最新技術動向の分析に基づき、新たなテクノロジー導入に果敢に挑戦し、独自の工夫によって市場から認知され、社会・お客様から信頼されるソリューションとサービスを絶えず創出、提供し続ける存在であり続けるため、「デジタル経営人材・事業を創出・育成する会社」として、以下の経営理念の基、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでまいります。

・現状に満足しない、成長し続ける会社にする。

・自分の仕事に誇りを持てる会社にすること。

・常に仕事の現場を大切にする現場第一主義の会社にすること。

 

また、当社グループの経営理念の実現を果たす経営戦略の基本的な方向性は以下の通りであります。

①事業戦略の基本

・経営資源の最適化・活用の最大化

・IT事業の多様性をもつ事業モデル

・シナジー効果とリスク分散

・ビジネス機会が多いことによる社員のモチベーションのアップ

(挑戦意欲をかきたてる)

②財務戦略

・グループファイナンスによる効率的な資金運用

・収益向上による自己株式取得=株主還元策

・資金調達の多様化(クレジットライン/企業与信)

③人事戦略

・社員のスキル アップ・育成への積極投資

・グループ人事交流の活発化(キャリア拡大)

・新卒採用からの組織構造の適正化

・経営層の強化(経営経験のシェア)

④投資戦略

・既存事業の成長強化策としての事業投資

・事業アライアンスを狙った戦略的互恵関係目的の投資

・将来期待できる新市場・新事業獲得目的の投資活動

⑤グローバル戦略

・ボーダーレス取引・事業機会の増大/対応力強化

・市場弾力度とリスクの検証に基づく海外進出

・海外取引先との交流強化、信頼関係の強化

 

なお、当社グループの成長を支える事業経営力の強化として「知恵を絞って、創って、育てて、強くする」を仕組みの整備を図ってまいります。

①資本の効率化(コスト改善)

・資金効率の改善

・コスト、業務の削減・改善

・キャッシュフローの増大

②グループ統治改革

・意思決定スピード化

・グループ経営効率の向上

・Hub & Spokeのグッド・バランス

③人的資本への投資

・多様なタレントの教育・育成

・社員の挑戦を促す・人事交流(多様なキャリアパスの実践)

 

なお、当社グループでは、新中期経営計画の初年度である2024年度は、売上高8,455百万円/営業利益376百万円/経常利益376百万円/親会社株主に帰属する当期純利益262百万円/1株当たり当期純利益15.98円を連結業績目標としております。

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

b.資本の財源及び資産の流動性

当社グループの事業活動における短期の運転資金については、基本的には自己資金および金融機関からの短期借入金を主な財源としており、設備投資や長期の運転資金に関しては、金融機関からの長期借入金によっております。

また、グループ内の資金効率向上のため、当社は子会社と当座貸越契約を契約し、資金の集中管理をおこなっております。

当社グループの資金の流動性については、上記方策により十分な現金及び現金同等物を確保しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表を作成するに当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりでありますが、特に下記の会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。

a.投資有価証券の減損

当社グループの連結財務諸表に計上されている投資有価証券については、従来より減損処理に関する基準を設けており、これに基づいて処理を実施しております。市場価格のある投資有価証券については、期末日における被投資会社の株価が取得価額に比べ50%以上下落している場合は原則として減損処理を行っております。市場価格のない投資有価証券については、被投資会社の純資産額を基にした1株当たりの実質価額を見積り、株価の代わりに用いて検討することで市場価格のある投資有価証券と同等の減損処理を行っております。

被投資会社の株価もしくは業績の著しい低迷があった場合には、投資有価証券の評価損を計上する可能性があります。

b.繰延税金資産

 当社グループの連結財務諸表に計上されている資産及び負債の金額と課税所得計算上の資産及び負債の金額との間に生じる一時差異に係る税効果については、当該差異の解消時に適用される法定実効税率を使用して、繰延税金資産を計上しております。将来の税金の回収可能予想額は、当社グループの将来の課税所得の見込額に基づき算出しておりますが、将来の課税見込額の変動により、繰延税金資産が変動する可能性があります。

c.のれんの減損

のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

当社グループは、情報通信機器販売並びにソフトウエア開発およびネットワーク構築から、納入したネットワークおよび付帯機器の保守サービスに至るITソリューション・サービス事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。