リスク
3【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している事項には、以下のようなものがあります。ただし、以下の事項は当社グループのリスクのうち主要なものを記載しており、当社グループに係る全てのリスクを網羅的に記載したものではなく、記載された事項以外にも予測し難いリスクが存在する可能性があるものと考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経済状況の動向
当社グループは各国に進出してグローバルな事業展開を積極的に推進しております。このため、世界の経済状況の動向や金融不安が当社グループの製品の需要に大きく影響を与えます。また、当社グループの製品を使用するスマートフォンやタブレットPC等の完成品の市場は、経済環境の変化及び景気変動の影響を受けます。中国その他の新興国を含む重要な経済圏における経済の減速、サプライチェーンの混乱、原油など資源価格の高騰やその他の物価の上昇による経済の混乱、欧州や米国等における金融又は銀行部門における継続的な不安定性、日本及び先進国における政府による景気刺激策や金融政策の失敗、ウクライナや台湾などの地域を含む世界各国の不安定な政治情勢、感染症の世界的な拡大による影響などにより、広範囲かつ長期間に亘る世界経済の低迷が生じる可能性があります。当社グループは急激な需要変化に的確に対応できる生産及び販売管理体制への取り組みを進めておりますが、当社グループの製品に対する需要が減少した場合に、速やかに固定費用を切り下げるなどの調整を行うことが難しく、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(2)競争の激化
当社グループが製品を展開している市場では厳しい競争が続いております。当社グループの競合他社は、研究開発、生産能力、資金や人的資源等において、当社グループよりも強い競争力を有する場合があります。また、当社グループはダイバーシティの推進、働き方改革に取り組むことでより働きやすい労働環境の整備を進め、新卒採用や経験者の通年採用など優秀な人材の獲得を積極的に行っておりますが、優秀な研究者やエンジニア等の人材を確保できない場合、重要な人材が当社グループの競合他社に転職する場合、またデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みの遅れなどにより事業の効率性向上が十分に進まない場合等には、競合他社対比で当社グループの競争力が相対的に低下する可能性があります。さらにディスプレイメーカー・セットメーカーを始めとする当社グループの製品の顧客は、その市場において激しい競争に直面していることから、品質やコストの改善を図るために、又は当該顧客における再編や戦略の変更等により、仕入先を当社グループから競合他社に切り替える可能性や当社グループへの注文を減少させる可能性があります。当社グループは差異化技術を用いた高付加価値製品の開発など事業の強化を進めておりますが、当社グループが競合他社との競争において優位に立てない場合には、当社グループの市場におけるシェアが減少し、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(3)事業ポートフォリオの変革の遅れ
当社グループは、高機能材料メーカーとして光学材料及び電子材料の事業領域で製品を展開しており、売上高に含まれるディスプレイ関連製品は高い競争力を有する反面、ディスプレイメーカーの事業戦略や販売戦略の変更等が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。加えて、規模の大きいスマートフォン・タブレットPCのセットメーカーの数は限定されており、これらのセットメーカーによる事業戦略や販売戦略の変更、完成品のモデルチェンジの時期及び販売量は、当社グループの顧客であるディスプレイメーカー等から当社グループの製品に対する需要に影響を与えます。当社グループは、事業ポートフォリオ変革の一環として、ディスプレイ以外の分野・製品においても、当社グループ製品の採用拡大に努めておりますが、ディスプレイ以外の分野・製品における新規の需要を創出する取り組みが成功する保証はありません。事業ポートフォリオ転換が遅れ、ディスプレイ製品への依存度の低下が進まない状態において、ディスプレイ業界全体の需要低下や当社グループの製品を使用しているディスプレイ製品に対する需要の減少等の事態が生じた場合は、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(4)業績の季節的変動等
当社グループは事業の特性上、スマートフォン・タブレットPC、ノートPC等の最終製品で使用される中小型ディスプレイや電子部品関連業界の動向の影響を受けやすくなっています。よって、当社グループの業績は、短期的には上記の最終製品の新モデル投入時期及びその販売数量、並びにそれらの関連製品に係る主要顧客からの受注の影響を受けやすくなっています。また、クリスマス等の年末休暇や中国の春節等の商戦期に向けて当該最終製品の生産が本格化する第2四半期及び第3四半期に業績が偏重する傾向があります。当社グループは季節的変動が少ない自動車及びフォトニクスを主とした成長領域の売上の拡大に取り組んでいますが、電子部品関連業界の動向の影響を受けやすい製品が当社グループの売上高に占める割合は依然として高く、上記のような最終製品で使用される中小型ディスプレイや電子部品関連業界の動向、及び最終製品の動向が当社グループの製品に対する需要に与える影響により、当社グループの売上は四半期毎又は連結会計年度毎に変動する可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(5)製品の販売価格の下落
当社グループは、常に付加価値の創出及び製品の高品質化に努め、価格水準の維持及び向上を目指し、工程改善、材料歩留りの改善等によるコスト低減に取り組み、製品の販売価格の下落リスクに備えておりますが、顧客からの恒常的な価格圧力、光学材料及び電子材料市場での生産過剰、需要の減少、低価格帯の製品を提供するメーカーによる高性能製品市場への進出、顧客との交渉の結果等により、当社グループでのコスト低減幅以上に当社グループ製品の価格が下落した場合又は利益率の低い製品の販売比率が拡大する場合には、当社グループが十分な利益を確保することが困難となる可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(6)海外での事業展開
当社グループは、日本、中国及び米国に製造拠点を有し、世界各国に進出してグローバルな事業展開を積極的に推進しており、当社グループの売上げの相当程度の部分は、海外顧客向けの製品の販売によるものとなっております。海外事業の展開にあたっては、不安定な政治情勢、不確実な経済環境、当社グループの製品の製造、輸出入や使用等に関する環境や安全等に係る規制を含む法令、労務管理上の問題及び人件費の上昇、高額な関税及び厳格な貿易規制、予期しない法令・税制・政策の新設又は変更や解釈の相違、電力、輸送、通信等の基幹となるサービスの停止・遅延等を起こしうる不安定なインフラ、為替レートの変動、法令、規制、商慣習及び実務上の取扱いの違い、テロ、戦争、経済制裁、貿易摩擦、感染症の世界的な拡大、ボイコットの発生等のリスクが内在しております。当社グループでは政治的・経済的な社会情勢の変化を適時に当社グループ内で共有し、適宜対応に努めておりますが、全ての変化を把握することは困難であり、これらのリスクが顕在化した場合、売上げの減少、費用の増加、業務の混乱等を生じさせ、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(7)買収(M&A)、事業提携及びその他の戦略的投資
当社グループは、買収(M&A)、事業提携、パートナー企業との協業及びその他の戦略的投資を成長のための経営戦略の1つとして位置付けており、新規市場への参入や新規領域事業の展開等のために買収、事業提携、パートナー企業との協業及びその他の戦略的投資を行い、今後も実施する可能性があります。また、当社グループは2029年3月期を最終年度とする中期経営計画において、自動車及びフォトニクスを中心とした成長領域における事業の拡大を基本方針の1つとして掲げておりますが、成長領域事業の展開は、市場環境の変化等の様々な要素に左右されるため、新規領域事業の展開が計画どおりに進まない可能性があります。買収、事業提携、パートナー企業との協業及びその他の戦略的投資を行う際には、対象企業や新規領域事業等の投資先について詳細な調査を行い、十分にリスクを検討することとしておりますが、事前に把握できなかった問題が判明する可能性や、投資先の企業の業績変動により投資先企業の価値評価が大幅に下落し損失を計上または追加的な支出が発生する可能性があります。また当社グループは、買収、事業提携、パートナー企業との協業及びその他の戦略的投資並びに各事業に係る固定資産の取得及び保有に際しては投資経済性評価を実施し、投資回収とリスクの検討を行っておりますが、市場動向や価格下落などの理由によって事業収益性が低下し、対象となる資産が十分なキャッシュ・フローを創出できないと判断される場合は、減損の認識が必要となる可能性があります。これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(8)技術開発等
当社グループが事業展開する分野は、技術革新とコスト競争力について厳しい要求があり、さらに、競合他社の新技術や新製品開発、当社グループ製品を使用している完成品における新技術や新製品開発、業界における標準や顧客のニーズの変化により、当社グループの製品が予期せぬ陳腐化を起こす可能性があります。また、当社グループの売上げ及び営業利益の相当部分は特定の主力製品の販売によるものとなっており、これらの主力製品に代替する技術が競合他社により開発された場合や競合他社がこれらの主力製品より優れた製品を導入した場合には、当社グループの製品への需要が減少する可能性があります。当社グループは中期の開発戦略のもとに新技術や新製品の開発、新用途・新市場の開拓や生産プロセス改革に必要な研究開発投資や設備投資をしておりますが、市場の変化が激しい業界において変化を予測することは容易ではなく、開発した製品について想定した売上げ等の効果が得られない可能性があります。また、当社グループは顧客が要求する仕様に応じて当社グループ製品を顧客毎にカスタマイズしておりますが、当社グループが常にこの様な顧客の要請に応えられる保証はなく、さらに、顧客が当社グループに求める価格、時期、数量で当社グループ製品を供給できる保証はなく、また、顧客が当社グループに求める高度なアフターサービスを提供できない場合もあります。これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(9)原材料の調達
当社グループは、原材料が適時、適量に調達できることを前提とした生産体制を構築しておりますが、原材料の一部の供給を特定の購入先に依存しております。当社グループは、購入先を複数にするなど主要原材料が確保できなくなるリスクを低減するよう努めておりますが、原材料によっては特定の購入先に依存せざるを得ないものがあり、原材料の購入先が、原材料の供給遅延、供給不足その他の理由により当社グループとの購入契約上の義務を果たせなくなり、また、購入先による原材料の値上げや主要な購入契約が終了した場合には、当社グループは原材料を市場又は他の購入先から調達しなければならず、有利な価格で原材料を調達できる保証はなく、また、これにより当社製品の出荷を予定通り行うことができなくなる可能性があります。また、原材料の価格や燃料価格が上昇する可能性があり、上昇したコストを製品価格に転嫁できない場合や、購入先の自然災害での被災、事故、倒産等により供給が中断し、必要な主要原材料を確保できなくなる場合、および法規制の導入や改正により原材料の使用が制限される場合には、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産
当社グループは国内外で多くの知的財産権を保有し、維持・管理しております。しかし、当社グループの知的財産権が無効とされる可能性、当社グループの知的財産が特定の国・地域では十分な保護が得られない可能性や模倣される可能性等があり、当社グループの保有する知的財産権の保護が損なわれる可能性があります。また、当社グループは、主要な競合他社を含む第三者から使用許諾を受けて第三者の知的財産権を使用する場合がありますが、今後、必要な使用許諾等を第三者から受けられなくなる可能性や、当社グループにとって不利な条件での使用許諾しか受けられなくなる可能性、競合他社が当社グループより有利な条件で第三者から使用許諾等を受ける可能性があります。さらに、第三者の知的財産権を侵害したことにより、当社グループが当該第三者に対して損害賠償責任を負う可能性や、当社グループの一定の製品の開発・製造をする権利を失う可能性等もあります。加えて、当社が他社との業務提携等を行ったことにより、他社が第三者との間で締結しているライセンス契約上の制約が、当社グループに課せられる可能性もあります。当社グループは他社の知的財産権の調査を行い、これらの問題が発生することの無いように努めておりますが、全ての問題発生の可能性を排除できる保証はなく、これらの状況が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(11)製品の欠陥
当社グループの事業は、部材の企業間取引が基本となっておりますが、当社グループの製品に欠陥があった場合には、修理や回収等に相当程度の費用が生じ、また、顧客の完成品に生じた欠陥について補償を求められる可能性があります。また、当社グループの製品に欠陥があった場合には、当社グループの顧客との関係や当社グループの信用及び評判に悪影響を与える可能性があり、当社グループの製品の売上げやシェアが低下する可能性があります。さらに、当社グループの顧客又は完成品の消費者に対して製造物賠償責任保険の適用を超える賠償などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの製品の欠陥に関して当社グループに訴訟が提起された場合、製造物賠償責任保険の保険料が増額される可能性や製造物賠償責任保険を継続できない可能性があります。特に、車載や医療等の新規分野については、大規模なリコールが発生する可能性や、製造物責任賠償請求がなされることにより当社グループに大きなレピュテーション上のリスクが発生する可能性があります。当社グループは国際的な品質管理システムに従って製品を製造し、品質管理を行っておりますが、これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(12)環境問題
当社グループは、廃棄物削減、地球温暖化や大気汚染防止、有害物質の処理等に関して様々な環境規制の適用を受けております。事故や自然災害により不測の環境汚染が生じる場合、当社グループが過去又は現在所有する工場用地等において汚染物質が発見された場合や新たな環境規制が施行された場合には多額の費用が発生し、当社グループの活動が制限され、当社グループが環境規制を遵守できない可能性があります。当社グループは、環境保全活動を重要な方針の一つとして掲げ、自主的な削減計画を作成し、実行しておりますが、かかる自主的な削減計画等が当社グループの想定した通りに実行できる保証はなく、これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(13)気候変動等による影響
当社グループは、気候変動問題は持続可能な社会実現のために人類が解決すべき重要な課題であり、企業にとって気候変動の対応は事業継続の前提条件であると考えています。
当社グループは、気候変動に関連するリスク、機会及びこれらの影響の評価に取り組む姿勢を明確にするため、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言への賛同を表明し再生可能エネルギーの導入などにより2030年度に事業由来の電力消費によるCO2排出量ゼロ達成を目標に掲げるとともに、顧客の製造工程の省エネルギー化や最終製品のエネルギー効率向上に資する製品の提供を通じて、サプライチェーン全体の環境負荷低減に貢献するべく気候変動への取り組みを進めており、統合報告書や当社ウェブサイトを通じて、推奨される情報を継続的に開示しています。
当社グループは気候変動への対応をリスクとしてだけでなく機会としても捉え、事業活動を通じて気候変動に関する社会課題の解決を目指しておりますが、これらのリスクが顕在化した場合、費用の増加等を生じさせ、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(14)コンプライアンスと法規制
当社グループの事業については各国の競争、汚職防止、コーポレート・ガバナンス、労働、消費者保護、電力、租税等に係る各種法令による規制を受けており、当社グループがかかる法規制に違反する場合、また、当社グループが保有する許認可等に付された条件や制約を遵守できない場合には、規制当局からの制裁や罰金、罰則の適用、追加費用の負担や許認可等の剥奪等の可能性があります。また、法規制の強化や大幅な変更がなされた場合にも、当社グループの活動が制限され、当該法規制の遵守のために新たなコストが発生する可能性があります。当社グループは、内部統制システムを構築した上で各国の法規制の遵守に努めておりますが、かかる法規制の遵守の努力が有効である保証はなく、これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(15)訴訟
当社グループは世界各地において事業活動を展開しており、取引先等との間の訴訟を含む様々な訴訟等が提起される可能性があります。訴訟対応コストがかさむ場合、当社グループに不利益な判決、決定又は判断等がなされる場合、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(16)情報セキュリティ
当社グループは、情報システムを構築し、研究開発、製造、販売及び営業活動など業務遂行に使用しており、当社グループ及び顧客の技術、各活動に関する機密情報を当社グループの情報システム内や様々な形態で保持及び管理しております。第三者による当社グループの情報システムへの予期せぬサイバー攻撃により、業務活動への影響が生じた場合や当社グループが保持又は管理する情報が流出し、第三者がこれを不正に取得又は使用するような事態が生じ、当社グループに対して損害賠償を求める訴訟が提起される場合など当社グループの評判及び信用に悪影響を与える可能性があります。当社グループは、情報セキュリティの確保においては、外部ITベンダーと連携しサイバー攻撃に強いシステムの導入を行うとともに、全社体制の下でこれらの機密情報を保護するための管理を行っておりますが、かかる管理が将来に亘って常に有効である保証はなく、これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(17)事故・災害等による影響
当社グループは操業安全と事業継続性の確保を掲げ、災害や事故の未然防止の対策、及びBCPを策定しておりますが、当社グループが事業展開を行っている又は当社グループの取引先が所在する各国における地震や津波、洪水といった大規模な自然災害や感染症の世界的な大流行があった場合、当社グループのみに限定されず、電力・ガスなどのインフラ被害や、原材料の調達・物流・顧客など、広範囲にわたるサプライチェーンへの被害により、事業の中断につながる可能性があります。特に日本では地震が発生する確率が高く、大規模地震が発生した場合、直接的な被害を受ける可能性や、製造工程において火災や化学物質により人的被害が発生する可能性もあり、特に国内事業拠点の集約が進んだ場合にはその影響が相対的に大きくなる可能性があります。さらに、このような自然災害のみならず暴動・労働争議によっても、当社グループの事業が中断する可能性があります。これらの状況が生じた場合には、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
(18)為替相場の変動
当社グループは、日本円以外の外貨建てによる取引も行っており、製品・サービス等のコストや価格、及び外貨建ての資産・負債は為替相場の変動による影響を受けます。当社グループでは、この影響を最小限に抑えるべく、適宜為替予約等によるヘッジを行っておりますが、かかるヘッジにより為替リスクを完全に回避できるわけではなく、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。なお、海外関係会社の現地通貨建の資産・負債等は、連結財務諸表作成の際には円換算されるため、当社グループの財政状態は為替相場の変動による影響を受けます。
配当政策
3【配当政策】
(1)2024年3月期実績まで適用される方針
当社は、株主のみなさまに対する利益還元を最重要な経営課題のひとつと位置づけており、成長投資による企業価値向上が株主共通の利益という認識の下、持続的な企業価値向上につながる事業投資を優先しつつ、のれん償却前の親会社株主に帰属する連結当期純利益に対する総還元性向40%程度を目処に、利益成長に応じた株主還元を基本方針としています。
実際の配当額は、健全な財務基盤を確保しつつ、成長に必要な投資額、フリー・キャッシュ・フローの見通し、自己株式の取得を含む総還元性向、安定配当の重要性などを総合的に勘案して決定しています。
当期の期末配当金につきましては、2024年5月13日開催の取締役会において、1株につき65.0円にすることといたしました。年間配当金につきましては、既に実施した中間配当金35.0円と合わせて1株当たり100.0円(前期65.0円)となります。
なお、剰余金の配当については、中間配当と期末配当の年2回を基本的な方針としています。当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる旨を定款に定めていますが、期末配当については株主総会での決議を予定しています。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年11月1日 |
2,128 |
35.00 |
取締役会決議 |
||
2024年6月25日 |
3,893 |
65.00 |
定時株主総会決議 |
(注)1.2023年11月1日取締役会決議に基づく配当金の総額には、「株式給付信託(J-ESOP及びBBT)」制度の信託財産として、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が所有する当社株式に対する配当金95百万円が含まれております。
2.2024年6月25日定時株主総会決議に基づく配当金の総額には、「株式給付信託(J-ESOP及びBBT)」制度の信託財産として、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が所有する当社株式に対する配当金177百万円が含まれております。
(2)2025年3月期実績から適用される方針
中期経営計画2028「進化の実現」のなかで策定したキャピタル・アロケーションおよび資本政策に基づき、積極的な成長投資と適正な利益配分を実施し、持続的成長と高水準の還元の両立を図ります。具体的には以下の通りです。
・中期経営計画期間(5年間累計)を通じて、総還元性向で純利益の60%を目途に実施します。
・各期の現金配当額については、連結配当性向40%を目途とし、かつ、下限としてDOE7%以上(注)とする、長期安定的な配当の実現を目指します。
・自己株式の取得については、財務状況や株価水準、キャッシュポジション等を総合的に勘案して、機動的に実施します。なお、取得した自己株式は、インセンティブ目的の取得を除き、原則消却します。
(注)前期末純資産に対する配当率です。
DOE= |
年間配当金総額 |
×100 |
前期末純資産 |