2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、重要項目ごとに以下のようなものがあります。ただし、全てのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。当社グループではこのような経営及び事業リスクを最小化するための様々な対応及び仕組み作りを行っております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

リスク項目

関連するリスク

主要な取組み

気候変動に係るリスク

・当社グループが事業展開する各国において、気候変動に起因する環境規制、新たな環境税等の賦課や、得意先からの環境に関する要求に対応できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性

・温室効果ガスによる地球温暖化が引き起こす気候の変動ないし極端現象、あるいは不規則周期に訪れる天候不順が当社にとって重要な天然原料の供給に影響を及ぼし、原料価格の高騰を招く可能性

・当社グループは、Vision 2040「人にやさしく、環境にやさしく」を掲げ、気候変動をサステナビリティ経営上の最重要課題の一つと認識。TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への賛同を表明し、提言に沿った行動計画を策定し公表

・外部機関との連携、情報収集を推進。温室効果ガスに関しては、Science Based Targets initiative (SBTi)基準に則った目標を設定し、達成に向け排出量削減の取組みを推進

・再生可能原料を活用したグリーンケミストリーを中心に、環境に適応した生産プロセス及び製品の開発を推進

・各事業所において、省エネ活動や再生可能エネルギー導入等を推進

 

 

リスク項目

関連するリスク

主要な取組み

原料調達に係るリスク

・世界景気、需給バランス、異常気象、為替変動、インフレーション等の影響により、天然原料をはじめとする原料価格が高騰した場合、計画した利益を得られない可能性

・地政学的リスクや購入先の事故等によりサプライチェーンが分断され供給責任を果たせず経営成績に影響を及ぼす可能性

・サプライヤーのコンプライアンス違反等サプライヤーリスクが顕在化した場合、当社グループの財務状況が悪影響を被る可能性

・グループ内のネットワークを活用し、原材料の互換性を高めると共に、複社購買等調達手段の多様化を推進

・サプライヤーとの契約内容の見直しや協働によるリスクの低減

・「高砂香料責任ある調達ポリシー」を制定し、ポリシーに基づいた調達活動を推進。さらに、持続可能で倫理的な調達を推進する外部イニシアチブに参加

・サプライチェーンにおける人権デューディリジェンスを実施し、人権、労働、環境、腐敗防止の分野における調達活動のリスクと潜在的な影響を調査。悪影響を及ぼす可能性が確認された場合は改善計画を立て、サプライヤー等のステークホルダーと連携することにより是正

グローバル事業展開に係るリスク

・当社グループが事業展開する各国において、法律・規制・税制の大きな変化、テロ・戦争等の政治的・経済的混乱、感染症の蔓延等の社会的混乱などによる、現地の生産活動や販売活動へ影響を及ぼす可能性

・当社グループの業務に関連する各国の政治・経済情勢や法規制の動向等に関する継続的な情報収集

経済情勢・為替レートの変動に係るリスク

・日本や海外の主要市場における景気の後退又は減速等の経済不振が当社グループの製品に対する購買力や消費者需要に悪影響を及ぼす可能性

・経済状況が低迷する場合、消費者が嗜好品等の買い控えを行う可能性

・外貨建てで運営を行う海外連結子会社の比重が高くなることにより、為替レートの変動による円換算後の連結財務諸表が影響を受ける可能性

・国や地域、事業ポートフォリオの拡充によるリスク分散

・主要ビジネスの基盤を強化し、経済不振等に対する耐性を強化

・為替変動を織り込んだ収益計画

 

 

リスク項目

関連するリスク

主要な取組み

新製品の研究開発に係るリスク

・新製品の開発が著しく遅延、あるいは研究テーマが実用化されない場合、競争力が低下し、当社グループの経営成績ならびに財政状態に悪影響を被る可能性

・技術及び知的財産の陳腐化に伴う競合他社の参入により、既存製品の市場におけるシェアが縮小するリスク

・外部研究機関、学術機関とのオープンイノベーション、AIの活用等を通じて多面的な研究開発を推進

・先端科学による競争力のある新たな技術の創成及び実用化

・海外研究開発拠点と国内の基礎研究部門の協働による効率的かつスピーディな研究開発の推進

・新規技術の特許対応など知的財産戦略の実行

・SDGsの課題解決に向け、グリーンケミストリーを念頭に置いた製品の開発、医薬品中間体の供給等持続可能な社会への貢献を通した企業価値の向上

販売に係るリスク

・競合他社の買収等による業界再編の影響により当社の相対的な優位性が低下する可能性

・グローバル展開する得意先からのコアサプライヤー認定獲得競争により、業績に影響を及ぼす可能性

・競合他社の参入により既存製品の市場シェアが低下する可能性

・独自性を活かした製品開発による付加価値の提供及び競合他社比優位となるような商品・差別化されたサービスの提供

・高い技術力を生かしたスペシャリティの開発による競争優位性の維持

製品品質に係るリスク

・重大な品質クレームやトラブル、製品に対する安全性や環境問題への懸念が生じた場合、リコールによる金銭的損失の他、得意先等ステークホルダーからの信用低下につながる可能性

・当社グループのビジネスへの信頼の原点となる品質管理に対しては、従業員への研修を継続、製造現場での作業ルールを徹底

・製品関連法規を遵守した製品設計及び製造

・悪意ある異物混入、物流上の破損、誤出荷、ヒューマンエラーによる工程内不適合など多様な事象を想定し対策を策定、管理体制強化に注力

災害・事故に係るリスク

・パンデミック、自然災害や火災・爆発等の災害・事故により事業活動に支障が生じる可能性

・当社グループだけでなく、原料サプライヤーにて発生した事故等により生産が減少し、原料価格の高騰を招く可能性

・災害や事故等への従業員の意識を向上させ、災害予防のための施策を実施。感染症等予防の施策及びリスク分散の徹底

・危機管理体制の整備及び適切な運営により事業の継続や早期復旧のためのグループ全体としての取組みを推進

・原料調達における複社購買の推進や各種施策の実施によるリスクの軽減

 

 

リスク項目

関連するリスク

主要な取組み

情報セキュリティ等システム運営に係るリスク

・不正アクセスやコンピュータウイルスへの感染等によるデータ改ざん・消失、高度化するサイバー攻撃によりシステムの利用妨害や一時的障害が発生した場合、業務の停滞により業績及び財務状況に影響を与える可能性

・当社グループの保有する企業情報及び個人情報の流出により問題が発生した場合は、社会的信頼の低下等により業績に影響を与える可能性

・新システム導入時にシステム上の特有の問題や習熟度不足により、生産・販売等に遅延が生じる可能性

・当社グループの情報システムに対する外部からの侵入を検知するシステムの導入など最先端技術によるITセキュリティの強化

・標的型メールに対する訓練、定期的な情報セキュリティ研修の実施等継続的に社員教育を実施

・新システム導入に際するトレーニングや習熟等の事前準備

法令の遵守に係るリスク

・現行法令の変更や新たな法令などが追加された場合、事業活動に制限、対応のための投資など、業績に影響を及ぼす可能性

・将来的に製品の品質、労働安全、環境保全、化学物質等事業活動に係る法的規制が強化され、新たな対策コストが発生する可能性

・当社グループが事業展開する各国において、環境、化学物質、会計基準や税法、労務、商取引など様々な関連法令に従った業務の実行

・国内外の法執行機関の運用状況に関する情報収集による法令遵守

・法令等の改編の分析を踏まえた機動的対応

・企業憲章及び行動規範の周知、及びコンプライアンスに関する定期的な社内研修の実施、各種ガイドライン・マニュアルの制定

人材に係るリスク

・グローバルに事業を展開する上で、様々な人種・国籍や文化を持つ従業員の多様性を尊重したダイバーシティ経営を行っているが、その人材の有機的な活用ができないリスク

・またそれぞれの地域の事業に必要な資質、能力をもった人材を確保できないリスク

・各国拠点間での人材の異動を積極的に推進することによるグローバル人材の育成

・グローバルレベルでの人事異動による適材適所の推進

・日本発、アジア発の唯一のグローバル香料会社という特徴を生かしたグローバル市場での人材確保

 

 

(ウクライナ及び中東情勢の影響)

ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格の更なる上昇や中東情勢の影響による輸送コストの増加など各国経済への影響等が懸念されます。当社グループは日常から調達先より情報収集に努め、原材料の安定確保やリスク回避に努めておりますが、サプライチェーンの分断等により当社取引先の事業環境に変化があった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は株主重視の経営を旨として、より高水準の利益を確保できる経営体質を目指し、安定配当の継続、並びに業績水準を勘案した配当を実施することを基本方針としております。

また、毎事業年度における配当の回数については、中間配当及び期末配当の年2回、剰余金の配当を行うとしております。これらの配当の決定機関は、中間配当については取締役会、また期末配当については株主総会の決議によっております。

当事業年度の配当については、配当の基本的な方針を踏まえ、中間配当は1株当たり35円、期末配当は1株当たり35円を実施し、年間70円の配当としております。これにより配当性向は29.2%となりました。

内部留保資金の使途については、コア事業の拡大を目指した生産設備、研究開発、情報関連等の投資に充当するとともに、財務体質の強化に活用してまいります。

また、当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当をすることができる旨を定款に定めております。

 

なお、第98期の剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年11月9日

取締役会決議

681

35

2024年6月26日

定時株主総会決議

681

35