事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
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(単一セグメント) | 14,518 | 100.0 | 2,031 | 100.0 | 14.0 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社の企業集団は、当社、当社の親会社、関連会社1社により構成されています。
当社は、主に金融業界向け事業と情報セキュリティ事業があります。金融業界向け事業は、クレジットカード会社や銀行、証券といった金融業界の顧客を対象に、自社製品やサービスを中心にシステム開発や保守を提供しています。情報セキュリティ事業では、特定の業界、業種の顧客に限らず、企業組織の内部情報漏えいを防ぐ自社製品と、サイバーセキュリティ対策のための他社製品の開発・販売を行っています。また近年は、これらで培った技術やノウハウを活かし、放送分野等の新領域のビジネスへの展開を進めています。
(1) 金融業界向け事業
キャッシュレス決済領域では、主にクレジットカード会社のFEP(Front End Processing)システムや不正検知システムの開発・保守を行っています。
FEPシステムは、顧客(クレジットカード会社等)のシステムの一部を構成し、カード決済の発生する都度、ネットワークを通じてシステムに届けられるカード情報や取引情報を、社内外の他のシステムやネットワークとの間で確実に受渡しを行うとともに、カードの使用認証等の機能を提供しています。当社が開発するFEPシステムは、主にクレジットカード会社で利用されており、24時間365日途切れることなく発生する高速大容量のクレジットカード取引を、リアルタイムで確実に処理しています。また、クレジットカード以外の用途として、銀行のATMネットワーク接続等、確実なオンライン取引処理が求められる場面でも活用されています。不正検知システムは、カードの盗難や偽造、ID、パスワードの盗難等による不正なクレジットカードの利用を検知する機能を提供しています。
当社のシステム開発業務は、自社開発のパッケージソフトウェアを中心に顧客の業務システムを開発することが特長です。FEPシステムの開発では、自社製品「NET+1(ネットプラスワン)」がシステムの中核を構成し、不正検知システムでは、自社製品「ACEPlus(エースプラス)」がシステムの中核を構成し、いずれも顧客の機能要件に合わせてカスタマイズして提供しています。両製品とも、多くのクレジットカード会社への納入実績があります。
またこれらの決済システムを、クラウドサービスとしても提供し、顧客の多様なニーズに対応しています。地方銀行やクレジットカード会社のほか、クレジットカード業務を新規に開始する事業会社に対して、クレジットカードの加盟店契約(アクワイアリング)システムや不正検知システム、国内外の各種決済ネットワークの24時間365日接続システムを提供しています。個別にシステムを開発して顧客に納入する従来の形態に代わって、当社が構築したシステムを顧客が共同利用する形態であるこのサービスは、顧客にとっては初期投資を抑制して業務に取組むことができるため、当社にとって新規顧客の獲得と事業規模拡大において重要な事業に成長しています。
証券取引の分野では、大量データ処理に関する豊富な技術と経験を活かし、情報配信基盤システム「will-Trade(ウィルトレード)」を自社で開発し、証券取引所から配信される市況情報(マーケットデータ)の安全で確実な受け渡しと処理を実現しています。銀行、大手証券会社、大手オンライン証券会社ほか、国内取引所や情報ベンダーなど幅広い接続実績とシステム納入実績があります。
このように、高速大容量のオンラインデータ処理に係る豊富な技術、経験と、自社製品を中心にしたシステム開発により、主に金融業界において様々な業務システムを提供しています。
(2) 情報セキュリティ対策事業
あらゆる業界や業種の顧客に向けて、組織内部からの情報漏えい対策及び、組織外部からのサイバー攻撃対策のためのソリューションやサービスを提供しています。自社製品の企業内部情報漏えい対策ソリューション「CWAT(シーワット)」のほか、海外の優れたサイバーセキュリティ対策製品を販売。企業のクラウド化やテレワークの推進など、社会変化に伴う新たな脅威に備え、ゼロトラストセキュリティの考え方に基づく製品やサービスも取り扱っています。
(事業系統図)
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりです。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
2024年6月期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、2024年6月期末現在において当社が判断したものです。
① 経営成績の状況
当事業年度の国内経済は、緩やかに回復しました。個人消費は持ち直しに足踏みもみられましたが、設備投資は持ち直しの動きがあり、ソフトウェア投資は増加しました。企業業績についても、総じて改善しました。当社の主要な事業領域であるクレジットカード業界においては、クレジットカード会社の取扱高は前年の実績を引き続き上回り推移しています。経済産業省はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げていますが、2023年の算出結果は、キャッシュレス決済比率39.3%、キャッシュレス決済金額126.7兆円となり、堅調に上昇しています。クレジットカード業界においては、不正利用被害額の増加により不正検知のニーズが急速に高まっており、システム基盤はモダナイゼーションや費用対効果向上のためにクラウド導入の動きが加速化、また業界を問わずセキュリティに対するIT投資意欲も高まっています。
こうした事業環境の中、当社は事業構造の変革や事業領域の拡大による事業基盤の強化、拡大を進めるとともに、自らの持続的成長に向けて、人財基盤と共創基盤の確立に取り組んでいます。
事業基盤の強化、拡大においては、当社が強みをもつ決済業務に係るシステム開発を基礎として、クラウドサービスの成長によるストックビジネスの拡大と、決済データの利活用や顧客のIT戦略支援による決済領域の拡大、セキュリティ事業の構造改革、及び、決済・金融以外の産業の DX に貢献する IT 基盤の提供による事業領域の拡大を進めています。人財基盤については、人的資本経営推進室を新設し、事業戦略に合致した人財戦略を進め、共創基盤については、事業改革を進めるビジネスリライアビリティプロジェクトや共創プロジェクト等の社内プロジェクトを立ち上げ、組織横断型、社員全員参加型の取組み、対話を深めています。
当事業年度の業績は、売上高14,518百万円(前期比8.5%増)、営業利益2,030百万円(同30.5%増)、営業利益率14.0%となりました。当社は、2021年8月に中期事業計画「15ALL」を公表し、2024年6月期に売上高150億円、営業利益率15.0%の達成を目指し取り組んできました。目標数値にはあと一歩のところで届きませんでしたが、この3年間の売上高の年平均成長率(CAGR)は9.1%となり、事業規模を大幅に拡大し、当事業年度は売上、利益ともに過去最高を達成しました。特に決済領域のシステム開発では、新規領域として大手カード会社のアクワイアリングシステム開発を受注したことが売上成長をけん引し、そのほか既存顧客のカード会社においても主力のFEPシステム※、及び不正検知システム以外の領域拡大を進め、売上が増加しました。今中期事業計画で拡大を目指したクラウドサービスについては、この3年間の売上高の年平均成長率(CAGR)は38.5%となりました。新規にカード事業や決済事業を起ち上げる事業会社にとって当社のクラウドサービスが有力な選択肢の一つとなったほか、カード不正検知の分野では、中小カード会社を中心に共同利用型不正検知サービスの導入が増加しました。
当事業年度の売上高の内訳については、大手カード会社のアクワイアリングシステム開発や主力のFEP、及び不正検知システム以外のシステム開発、クラウドサービスのユーザー数増加により大幅増収となりました。セキュリティについても、取扱製品の絞り込みに加え、当事業年度は暗号鍵管理システム(HSM)、ID管理ソリューションなどの販売が貢献し、売上高が増加しました。
売上総利益は、システム開発やクラウドサービスの売上増加や、システム開発の堅調な粗利率推移により増加しました。販売管理費はコストの最適化を進めたことで前期並みとなりました。その結果、営業利益2,030百万円(前期比30.5%増)、経常利益2,072百万円(同29.3%増)、当期純利益1,420百万円(同21.9%増)となりました。受注については、受注高20,128百万円(同36.1%増)、受注残高16,584百万円(同51.1%増)となりました。クラウドサービスやセキュリティを中心に複数年契約の受注もあり、受注高、受注残高ともに大幅に増加しました。
なお、クラウドサービスについては、売上高2,504百万円(前期比34.1%増)、売上総利益350百万円(同1.5倍)となりました。またクラウドサービスは主に複数年契約の受注となっており、6月末時点で受注残高は9,426百万円となりました。
当社は、決済領域では主にクレジットカード会社のFEPシステムや不正検知システムの開発を行っています。システムの中核は「NET+1(ネットプラスワン)」「ACEPlus(エースプラス)」等の自社製品で構成しており、例えば、FEPシステムの開発では、自社製品販売と、顧客の機能要件に合わせてカスタマイズするシステム開発、開発したソフトウェアを搭載するハードウェア販売の売上がそれぞれ計上されます。
また、セキュリティ領域では、企業組織の内部情報漏えいを防ぐ自社製品と、サイバーセキュリティ対策のための他社製品の開発・販売を行っています。
※ FEP(Front End Processing)システム:クレジットカード決済処理に必要なネットワーク接続やカード使用認証等の機能をもつハードウェア、及びソフトウェア
② 財政状態の状況
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ3,163百万円増加し、16,847百万円となりました。うち流動資産は、前事業年度末に比べ1,416百万円増加し、9,279百万円となりました。これは主に、前渡金561百万円及び受取手形、売掛金及び契約資産470百万円の増加があったためです。固定資産は、前事業年度末に比べ1,747百万円増加し、7,567百万円となりました。これは主に、無形固定資産1,257百万円及び有形固定資産のうち工具、器具及び備品347百万円の増加があったためです。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ2,740百万円増加し、7,624百万円となりました。これは主に、前受金2,192百万円の増加があったためです。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ423百万円増加し、9,222百万円となりました。これは主に、株式給付信託(BBT)導入により自己株式99百万円を取得したものの、利益剰余金500百万円の増加があったためです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、4,813百万円となり、前事業年度末に比べて、119百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、3,815百万円の収入(前事業年度比22.2%増)となりました。これは主に、税引前当期純利益が2,072百万円あったこと、非資金項目として減価償却費1,142百万円を計上したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは2,681百万円の支出(前事業年度は1,913百万円の支出)となりました。これは主に、販売目的及び自社利用のソフトウェアの構築を主とする無形固定資産の取得による支出2,031百万円があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、1,018百万円の支出(前事業年度は448百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額917百万円があったためです。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産
2 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
3 債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としています。
4 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社の主要な資金需要は、システム開発に係る人件費や商品の仕入、販売管理費などの営業費用、新製品開発を行う研究開発、設備の新設や改修等に係る投資等です。これらの資金需要は、手許の資金と営業活動によるキャッシュ・フローを財源とすることを基本方針としています。なお、必要と判断した場合には金融機関等外部からの資金調達も検討します。また、取引金融機関4行及び生命保険会社1社と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な資金調達体制を構築し、資金の流動性を確保しています。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
(注) 生産実績は、販売価格により表示しています。
b.仕入実績
(注) 当社の仕入はソフトウェア及びサービスであり、数量表示は困難ですので、金額のみで表示しています。
c.受注実績
d.販売実績
(注)1 当社の製品は多岐にわたっており、数量表示は困難ですので、金額のみで表示しています。
2 主な相手先別の販売実績が当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、2024年6月期末現在において当社が判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
上記については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
上記については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③経営指標について
当社は、継続的な収益力の向上と事業運営の効率性を示す指標として、営業利益率とROE(株主資本利益率)を主要な経営指標としています。新たに策定した3カ年中期経営計画の最終年度である2027年6月期において、営業利益率15.0%、ROE17.0%以上の達成を計画しています。
また、当社の資本コストは、8.1%*と見積もっており、資本コストを上回るROEを追求することで、当社の株主価値の向上を目指します。
*CAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産評価モデル)による
1)経営指標の推移
(単位:百万円)
(単位:百万円)
2)ROEについて
売上高の増加に合わせて資産も増加していますが、直近3年間の総資産回転率は、0.95から1.01の範囲で推移しました。総資産のうち無形固定資産は、当社製のソフトウェア(販売用のソフトウェアやクラウドサービスに提供されるソフトウェア)が大部分を占めています。この知的資産を有効に活用し、売上高の増加を促進することで、総資産回転率は改善の余地があるものとみています。
営業利益率の向上は、システム開発業務の効率化や成果物の品質を上げることによって実現されるほか、システム開発業務の収益性を超える事業の売上高比率を増やすことによっても実現されます。当社事業の場合、営業利益率の向上は純利益率の向上に直結します。
従業員一人あたり売上高の増加は、売上高の成長の効率性を示す指標と考えられます。より長期的には、一人あたり売上高の増加に伴う効率的な売上高の増加によって、規模的な成長とともに収益性も高めることができ、営業利益率を向上させることと期待します。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しています。財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(a) 市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法
市場販売目的のソフトウェアの減価償却費については、製品ごとに未償却残高を、見込販売収益を基礎として当事業年度の実績販売収益に対して計算した金額と残存有効期間(3年)に基づく定額償却額のいずれか大きい金額で償却を行うものとしています。今後、見込販売収益が減少した場合、減価償却費が増加する可能性があります。
(b) 固定資産の減損判定
固定資産については、当事業年度末に、有形固定資産及び無形固定資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判断しています。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、サービスの提供に用いるソフトウェアや資産計上したサーバ等の当該資産から得られる割引前キャッシュフローの総額が、事業環境の悪化や開発コストの増加等により帳簿価額を下回る場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
(c) 繰延税金資産の回収可能性の判断
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上していますが、繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等や税制改正による法定実効税率等の変化があった場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する場合があります。