2023年12月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

当社グループの事業展開、経営成績などに関する事項のうち、投資者の判断に影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のようなものがあります。また、当社グループとしては必ずしも事業上のリスクと考えていない事項についても、投資家の投資判断、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資家への積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に最大限の努力を行なう所存であります。

当該リスクが顕在化する可能性の程度につきましては、以下に記載した対応を行うことにより、合理的に予見している限りにおいて、低いものと考えられることから、顕在化の時期等も含めて具体的な言及は行っておりません。

なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

 A.総合エンターテインメント事業について

 (ライブ・エンターテインメント部門)

ア 興行場法などの規制に関する影響について

当社グループの運営する劇場等の施設運営は「興行場法」及び関連法令による規制を受けております。その内容は、興行場の営業者は、施設を各都道府県などの条例で定める構造設備基準及び衛生管理基準に適合させることが義務付けられており、施設の構造・換気、照明、防湿及び清潔その他入場者の衛生に必要な措置を講ずる必要があるほか、同法に基づく所轄保健所長などの許可が必要となっております。当社グループは、同法及び関連法令の規制を遵守しつつ運営を行っておりますが、新たな法令の制定、同法及び関連法令の規制内容の変更などがなされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

イ 出店政策について

当社グループは、現在、運営施設として新宿アルタ店で「KeyStudio」、名古屋市の栄で「SKE48劇場」と「ZEST MUSIC SCHOOL」、同スクールの福岡校の4施設を運営しております。規模の拡大を急がず、運営力を高めて収益力・マーケットシェアの確保を重視する方針でありますが、ライブやイベントなどの業界では、同業他社のみならず他の余暇産業業種との競合もあり、来店客数の低下、売上単価の低下などにより当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当該施設は賃借しております。個々の契約は原則として賃貸借期間の定めがあり、その期間は賃貸人との合意により更新可能でありますが、賃貸人の方針変更により、業績が好調であっても閉店を余儀なくされることがあります。さらに、賃貸人の倒産などの事由によっては、出店時に預託した敷金・保証金のうち全部又は一部が回収できなくなるリスクがあります。

 

ウ ライブ・イベントの企画、制作業務に関する業界の慣行について

ライブやイベントの制作は、企画、制作、運営及び管理など各工程によって構成されております。企画を立案し関係者との打合せを経て、制作から本番となる運営工程に進みますが、制作及び運営工程(開催期間中含む)において、ライブ・イベントの主催者からの追加発注や仕様変更の要請があるなど、直前に実施内容の変更などが行われることがあります。このように当初の基本計画からの内容変更などにより、予算金額からの変動が生じる場合があります。

また、イベント主催者側の広告費の削減や広告代理店の変更などにより、ライブ・イベント自体の受注がなくなることもあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (タレント・アイドル等)

 ア アーティスト及びタレントについて

当社グループは、コンテンツホルダーとして保有するアーティストやタレントなどの権利を様々な事業へ活用しているほか、他社が保有するアーティストやタレントなどをクライアントへ紹介、仲介するキャスティング業務を行っておりますが、当社グループ所属のアーティストやタレントは勿論のこと、他の芸能事務所に所属するアーティストやタレントに関しても、当社グループがマネージメント業務を行う場合は基本的に「専属契約」を締結しております。

当社グループでは、長期的なマネージメントを行うことを前提としておりますが、アーティストやタレントとの専属契約が更新に至らなかった場合や取引先との契約違反等によるトラブルが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 イ アーティスト及びタレントビジネスについて

当社グループで行うプロダクション事業は、基本的に人気の上昇や低迷のほか、ヒット商品の有無により、その影響を受け易いビジネスモデルです。消費者の趣味、嗜好、流行などのニーズの多様化が進む中で、市場環境の変化も相まって、必ずしもヒットコンテンツが生み出される訳ではないため、消費者ニーズの変化などにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、継続的にコンテンツを創出するべく様々な企画・提案を行うなど、新人アーティストやタレントの発掘、育成、マネージメントの体制を構築しておりますが、長期あるいは多額の投資をしても、当該本人の怪我や不祥事等による引退・活動休止等が発生する可能性や、当社及びコンテンツホルダーの事業戦略上の都合により、出演や活動を抑制した場合のほか、取引先との間で既に締結した契約を解除される可能性もあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ウ 著作権等の知的財産について

当社グループで行うプロダクション事業は、アーティストの楽曲などに紐づく著作権や当該本人等の肖像権のほか、契約等によって取り決めのある各種知的財産権の権利物を扱っております。こうした権利物を扱う場合には、権利関係の事前調査や顧問弁護士等への相談を徹底し、第三者の知的財産権等の権利侵害が発生しないように努めておりますが、第三者の権利を侵害してしまう可能性や、第三者から意図せずに著作権を侵害される可能性があります。

このような場合、損害賠償等に係る訴訟に発展する可能性もあり、当社グループの業績及び社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。

 

 エ コンサートなどのイベント及び出演作品による業績について

当社グループで行うプロダクション事業の主な収入源は、所属アーティストによるライブ・コンサートや各種イベントの実施によるチケット収入、楽曲CD及びDVDや公式グッズの販売による収入のほか、テレビ番組、ドラマ、映画、ラジオ、CMなどへの出演料によって構成されております。

コンサート等の実施は、会場の空き状況や実施時期、規模や出演者などによって観客動員数が変動するほか、行政機関や地方自治体からの要請に基づく入場規制等があった場合には、チケット収入等についてもその影響を受け易くなります。また、販売されたCDやDVD、グッズなどは、発売直後の短期間には収入が集中する傾向にありますが、引き続き同様の売上が続くとは限りません。そのほか、各種メディアへの出演に関しても、当社グループの意思に反して、各種メディアの都合によって出演契約の取り止めがあった場合や放送などの延期、中止などがあった場合など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 オ ソーシャルメディアポリシーについて

当社グループは、「X(旧Twitter)」「Facebook」「Instagram」等の、所謂ソーシャルネットワーキングサービス(以下「SNS」という。)を通じて、当社グループと関わり合うあらゆるステークホルダーと適切に情報共有を行い、マーケティングコミュニケーションを促進し、事業活動の活性化を目的として、SNSを活用しております。また、所属するアーティストやタレントについても、SNSのほか、「YouTube」や「TikTok」などの所謂動画共有プラットフォームを活用して、その活動及び各個人の私的活動においても、ファンとの交流やコミュニケーション等の一環として、SNSの利用を推進しております。

このような中、当社グループでは、ファンやお客さまを始めとする社会からの信頼を、その事業基盤としていることを踏まえ、職務上はもちろん、会社を離れた私的活動においても、この信頼を傷つけないよう、SNSに情報発信をすることによる、当社グループならびに個々人の責任と影響を十分に認識したうえで、情報発信や対応を行うために、SNSの取り扱いに関するガイドラインを作成し、所属するアーティストやタレント、従業員への社内啓蒙を行っております。

しかしながらSNS上では、発信した情報や当社の情報等が、本来の趣旨とは異なる形や受け取り方次第でネガティブな情報として拡散する可能性があり、その場合当社グループの業績及び社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (デジタルコンテンツ)

 ア インターネット・モバイルコンテンツ関連市場の動向

当社グループでは、多種多様な分野でのインターネットサービスが日々生み出されている中、スマートフォンやモバイル端末等の高性能端末の定着に伴って、今後も関連市場においては持続的な成長を続けていくものと予想しております。しかしながらこれらに伴って、当社グループが提供するサービスに関連した市場に大手企業などによる新規参入が相次いだ場合、シェアの急変や新たなビジネスモデルの登場等による市場の構造変化が起こることで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 イ インターネット関連の技術革新について

当社グループでは、インターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発及びそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われており、非常に変化の激しい業界となっております。そのため、当社グループではエンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備のほか、特にスマートフォンなどのモバイルコンテンツに関する技術・知見・ノウハウの取得に注力しておりますが、エンジニアの人材確保ができない、または人材育成が図れない等により新技術に対する当社グループの対応が遅れた場合には、当社グループの競争力が低下する可能性があります。また、新技術に対応するためのシステム開発費、人件費などの多大な支出が必要となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ウ 他社との競合について

当社グループでは、IPコンテンツを利用したモバイルコンテンツゲームアプリを展開し、特色あるサービスの提供や最適なユーザビリティを追求したサービスの構築のほか、カスタマーサポートの充実等に取り組み、競争力の向上を図っております。しかしながら、当社グループと類似のサービスを提供している企業や新規参入による競争が激化することにより、ユーザーの嗜好の移り変わりが激しく、何らかの要因によりユーザーニーズの的確な把握ができない場合や、ニーズに対応するコンテンツの提供ができない場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 エ システムに関するリスクについて

当社グループの事業は、スマートフォン等のモバイル端末やPC等のコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークに全面的に依存しており、自然災害や事故(社内外の人的要因によるものを含む)等によって通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業及び業績に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

また、トラフィックの急激な過負担等によって当社グループ又は通信ネットワークのコンピュータシステムが動作不能な状態に陥った場合、あるいは、ハードウエアやプログラム、ソフトウエア等に不良箇所があった場合、正常にコンテンツ提供が行われない可能性があります。

さらに、当社グループのコンピュータシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、コンピュータウイルスの感染やハッカーの侵入等によるシステム障害、不正アクセス等による情報漏洩等が生じた場合、当社グループの業績及び社会的信頼に影響を及ぼす可能性があります。

 

 オ モバイル端末のOS提供者及びプラットフォーム提供者に関して

当社グループは、AndroidやiOSといったOS(オペレーティングシステム)を搭載したスマートフォン等のモバイル端末向けのデジタルコンテンツを、Apple Inc.及びGoogle Inc.が提供しているプラットフォームを用いて展開しております。当該OS及びプラットフォームに関する事故等によってサービスが提供できなくなった場合、当該OS及びプラットフォーム上でサービスを提供する際に提供事業者より課される条件・ルール等の大幅な変更により従来どおりのサービスが提供できなくなった場合又は当該条件・ルール等の変更に対応するために多大な支出が必要となった場合には、当社グループの事業運営及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

 B.映像制作事業について

 (映像制作)

ア テレビ広告収入への依存による影響について

当社グループが運営する映像制作事業の収入源は、主に地上波放送事業及びBS放送事業を展開する在京キー局の番組制作費から支出されるもので構成されております。在京キー局の売上高の大半は、広告収入で構成されておりますが、広告の出稿金額及びサイクルは、広告主である企業の業績やその背景となる国内景気の影響を受け易く、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 イ メディアの多様化による影響について

テレビ放送事業においては近年、情報技術革新とデジタル化の波を受け、多くの家庭で高速通信回線の普及が進み、ケーブルテレビやインターネットを通じた映像視聴環境が整ってきたほか、スマートフォン及びタブレットといった新たな携帯型高機能端末が定着し、通信機能を通じた動画配信など、映像コンテンツへの接触機会は、ますます拡大しております。こうしたメディアの多様化により、若年層を中心にテレビ放送の視聴時間が減少傾向にあるなど、テレビ放送の媒体価値が低下することにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、この点、当社グループにおいては、昨今若年層を中心に拡大が顕著であるインターネットを通じたメディアプラットフォームへの映像コンテンツの供給を確立すべく、事業体制の構築を図っておりますが、当該プラットフォームを提供している企業の約半数は外資系企業が担っていることから、当該国の政治・経済状況の変化又は法律の改正などの様々な国内外の情勢の変化によって、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ウ 放送法などの規制に関する影響について

当社グループが運営する映像制作事業は、在京キー局複数社と取引を行っておりますが、取引先である在京キー局においては、放送事業を行うにあたって放送法・電波法などの法令による規制を受けております。また、在京キー局は認定放送持株会社制を採用されておりますが、認定放送持株会社は、総務大臣の認定を受けることが必要であります。当該認定を受けるためには、認定放送持株会社の資産に関する基準など、放送法で定める要件に適合する必要があり、これらの要件を満たさない場合、総務大臣から免許や認定の取り消しを受けるリスクがあり、また、新たな法令の制定、同法及び関連法令の規制内容の変更などがなされた場合、在京キー局の業績や動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (人材派遣)

ア 労働者派遣法

当社グループで展開している人材派遣事業は、国内においては「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(以下「労働者派遣法」という。)に基づき、労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を受けて行っている事業であります。労働者派遣法は、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う者が、派遣元事業主としての欠格事由に該当し法令に違反した場合には、事業許可の取り消し又は事業停止等を命ぜられる可能性があります

当社グループでは、法令はもとより、社内諸規程の制定やガバナンス体制の構築、内部統制やグループ監査による体制を整備し、徹底した社内啓蒙に努めることで、法令違反等の防止に努めております。しかしながら、今後何らかの理由により当社グループ及び役職員による法令違反が発覚した場合等、事業許可の取り消し又は事業停止等の処分により、当該事業活動ができなくなる可能性があり、その場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 イ 取引先との関係

人材派遣事業は取引先の要望に応じて、最適な人材を派遣する必要がありますが、当社グループでは主に、民放各局で放送されている番組やドラマ、映画の製作等、所謂映像制作スタッフ(アシスタントディレクター、ディレクター、プロデューサー、監督等)の人材を有しており、取引先との労働者派遣契約に基づいて人材派遣を行っております。現時点におきましては、各取引先とは良好な関係を構築し、継続的な取引関係を有しておりますが、放送局(派遣先)や番組制作会社(派遣先)においては、映像制作のクライアントからの追加発注や仕様変更の要請があるなど、直前に実施内容の変更などが行われることがあります。このように、当初の制作計画からの内容変更などにより、予算金額の変動が生じる場合や、クライアント側の広告費の削減や制作会社の変更などにより、派遣自体が不要になるなどの影響を受ける可能性があり、労働者派遣契約の内容の見直しや派遣の停止等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

この点、当社グループでは映像制作会社自体を有する企業グループとして、リソースの有効活用ができる体制を整備しており、且つ、映像制作スタッフの教育・育成を行うなど競合他社との差別化を図っており、取引先や放送局の情勢に左右されない組織体制により、収益体質の最適化を図っております。

 

 

 C.広告代理店事業について

 ア 景気動向・市場環境の変動によるリスクについて

当社グループが運営する広告代理店事業の収入源は、主に広告主である国内企業からの支出によるもので構成されております。国内企業の広告費の支出は、広告主である企業の業績やその背景となる国内景気の影響を受け易く、広告支出を増減させる広告主があった場合などには、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 イ 広告媒体の構造変化によるリスクについて

当社グループは、様々なメディアを活用した広告事業を展開しており、いわゆるマス4媒体広告と言われる新聞・雑誌・ラジオ・テレビのほか、近年ではインターネット広告が、このマス4媒体を超える規模になってきておりますが、インターネットを活用した広告媒体は、新たな広告手法として、様々な媒体との親和性、相乗効果が高まるものと考えられ、当社グループとして、YouTube等のSNSを媒体としたインターネットを活用した広告事業を展開しております。しかしながら、当社グループを取り巻く環境は常に変化しており、急速な技術革新による様々な構造変化が起きております。このような状況のもと、当社グループで適切な対応ができない場合や新技術に対応するための新たな支出などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ウ 広告主との取引慣行について

当社グループは、国内企業における広告主との間で、広告主からの要望にブランディングから、広告制作、メディアプランニング(バイイング)、マーケティング、イベントなどの各専門分野において様々な価値を見出すことで、継続的な取引関係を有しております。しかしながら、広告主の業績や市場動向などによって、広告計画の変更やそれに伴う広告費の削減に加え、取引関係の合理化など、取引関係による合意内容にかかわらず、広告主の都合によって変更が生じる可能性があります。当然、広告主との契約においては、最大限のリスク回避のための措置を講じておりますが、その水準が今後も保証されているものではなく、また、不測の事態が発生した場合など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 エ 広告会社との競合について

当社グループが運営している広告代理店事業においては、様々なメディアに対するノウハウを有する広告会社が様々な手法によって広告展開を行っております。大手広告代理店を中心とした競争に加え、海外広告代理店の日本市場への参入など、市場環境は常に変化しております。

当社グループでは、当社グループ独自のノウハウや各取引先の協力によって、専門的な広告手法を得意としており、市場内における他社との差別化を図っておりますが、同様の広告手法を行う新規参入企業の台頭や、市場のさらなる競争の激化などに晒された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 オ インターネット広告について

  当社グループでは、「イ」で触れたとおり、マス4媒体への広告展開のほか、インターネット広告といわれる「リスティング広告」「ディスプレイ広告」「アフィリエイト広告」「動画広告」「SNS広告」などを駆使したインターネット広告事業及びインターネットメディア事業を展開しております。マス広告と異なり、表示回数やクリック数でカウントされる成果報酬型の広告出稿が多く、広告効果を最適化することで、リーチ率が高いことがインターネット広告の魅力とされています。

しかしながら、近年、広告の表示回数やクリック数を不正に水増しする「アドフラウド(広告詐欺)」をはじめとして、違法サイト等に広告が掲載、配信されてしまうことで、違法な業者へ広告費が流出する事例や、広告主のブランド価値が毀損されたりすることで発生する「ブランドセーフティ」に関する懸念、また、配信された広告が、「ユーザーが見られる状態にあるかどうか」を示す「ビューアビリティ」といった課題意識が注目を集めております。当社グループでは、このような問題、課題に対して、特に上記のような懸念のあるサイト等への広告が掲載されることのないように、広告主、広告関連事業者と課題意識を持って取り組んでおりますが、急速な技術革新による様々な構造変化等によって、当社グループで適切な対応ができない場合や新技術に対応するための新たな支出などが発生した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 カ 広告メディア(媒体)との関係について

当社グループの広告代理店事業は、マスメディア各社が運営するメディア(新聞・雑誌・ラジオ・テレビ及びインターネット)や各種SNS媒体、インターネット広告掲載事業者等の広告協力によって、支えられております。当社グループが利用するメディア各社とは強い協力関係を構築しておりますが、メディア各社の広告ニーズなどの変化や業績及び市場動向によっては、継続的な取引が保証されているものではないため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 D.新規事業について

 ア 特定の取引先・協力先との関係

当社グループの新規事業においては、その事業安定の早期化や確実性の向上、協業によるシナジー創出による独自性の確立のため、特定の取引先とのリレーションを軸にして、その事業を推進するものがあります。こうした関係においては、単純な収益メリットのみならず、双方の事業メリットを図るWin-Winとなることを前提としたスキームを構築するよう努めるほか、相手方の経営方針の変更などのリスクを保全した契約を締結するよう努めております。

 

 

 E.その他のリスク

ア のれんの減損リスクについて

当社グループは、連結財務諸表について国際財務報告基準(以下「IFRS」という。)を適用しております。IFRSについては、日本において一般に公正妥当と認められる会計基準とは異なり、のれんの定額償却は不要となりますが、一方、のれんの対象会社における経営成績悪化等により減損の兆候が生じ、回収可能価額がのれんの帳簿価額を下回る場合には、のれんの減損処理が必要となる可能性があります。また、日本基準ではのれんの償却が規則的に行われるため、時の経過に伴いのれんの残高は減少し減損リスクも小さくなりますが、IFRSではのれんの償却が行われないため、減損リスクは将来にわたり残り続けることになることから、減損処理を行った際の損益に与える影響は大きなものとなる可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

イ 金利変動リスク

当社グループの銀行などからの借入金につきましては、変動金利の借入金も含まれております。今後の金融情勢次第ではありますが、金利の上昇変動によって支払利息の負担が上昇した場合は、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

ウ 人材の育成及び確保について

当社グループが強みとしているエンターテインメント運営ノウハウを活かすためには、全社員が当社グループ理念を共有するだけでなく、顧客満足度の追求や効率的な運営手法に対する深い理解を身につける必要があります。そのため、新入社員及び中途採用社員への教育・研修制度の充実、従来の年功序列型賃金体系の見直しや昇給昇格などの制度の見直しを図るほか、女性に向けた勤務体系やキャリアパスなど、優秀な人材の確保・育成に尽力しております。

しかしながらサービス業界全体を通して見ても、企業間の人材獲得競争は激しさを増しており、当社グループにとって重要な人材を十分に確保できない場合、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。

 

エ 感染症等に関するリスク

季節性を含めた感染症による影響については、国民生活及び国内外経済においては市場環境の規制や制限等にあって、収束時期や感染拡大の懸念については不透明感の強い状況に陥ることがあるため、当社グループの事業活動、財政状態及び経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当社グループとしましては、このような状況下においても企業としての社会的責任を全うするべく、従業員及び顧客企業の安心・安全と健康確保及び感染拡大防止の観点を重視しながら、事業を継続させるべく様々な対策を講じることとしております。一例として、所謂テレワークを推奨するべく「在宅勤務規程」を定めて、自主勤務管理によるスーパーフレックス制度の推進を始め、オフピーク通勤やリモートによるWeb会議、Web営業の実施など、考え得る対策に取組みながら、影響を最小限に抑える活動・体制を構築しております。

しかしながら、感染症を取り巻く状況は常に変化しており、それに併せて国内外の社会経済活動への影響が世界経済を下振れさせるリスクがあり、また、金融資本市場の変動等の影響によって、当社グループの業績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

オ 社会情勢による影響について

当社グループは、一般消費者を対象とした事業運営を展開しておりますが、顧客層の広がりから国内の景況感や消費者心理と、市場の活況との間には相応の相関を有する状況にあります。消費税の増税はもとより、所得税率の引上げや社会保険料の負担増による個人消費への抑制心理が働いた場合、また、国内市場における景気後退に伴う需要の縮小は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

カ 大規模災害等の発生について

大規模な災害の発生により、当社グループの保有する店舗や施設等への物理的な損害、役職員への人的被害又は顧客への被害があった場合や、災害に起因する社会的要請等があった場合には、事業所等の一時閉鎖又は営業継続が難しい状況に陥る可能性があります。

当社グループではBCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)に基づく災害対策本部の設置や緊急連絡体制の訓練を実施するなど、社員啓蒙を含めて迅速かつ円滑に対処ができる体制を強化しておりますが、想定を大きく超える災害等が発生した場合、当社グループの業務運営に支障が生じる可能性があります。

また、直接的な被災地でなかった場合においても、想定を大幅に超える派生的な影響を地域或いは国内全体が受ける場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、長期的かつ総合的な株主価値の向上と適正な利益還元を経営の重要課題と認識し、経営環境や業績の状況を勘案しながら、利益還元の充実を図ってまいります。

  また、期末に剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 

2023年12月期につきましては、上記の方針に基づき総合的に勘案した結果、1株当たり20円の期末配当を実施致します。

 

 なお、当社は「取締役会の決議により、毎年6月30日を基準日として中間配当を行うことができる」旨を定款に定めております。

 当事業年度の剰余金の配当は以下のとおりであります。

 決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たりの配当額(円)

2024年3月26日

定時株主総会決議

369

20.00