人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数5,817名(単体) 18,726名(連結)
-
平均年齢45.5歳(単体)
-
平均勤続年数20.3年(単体)
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平均年収11,134,849円(単体)
従業員の状況
5【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
|
2024年3月31日現在 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
医薬事業 |
18,726 |
合計 |
18,726 |
(注)従業員数は就業人員数であり、当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含めております。
(2) 提出会社の状況
|
|
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2024年3月31日現在 |
従業員数(人) |
平均年齢(歳) |
平均勤続年数(年) |
平均年間給与(円) |
5,817 |
45.5 |
20.3 |
11,134,849 |
セグメントの名称 |
従業員数(人) |
医薬事業 |
5,817 |
合計 |
5,817 |
(注)1.従業員数は就業人員数であり、当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含めております。
2.平均年間給与は、基準外賃金及び賞与を含めております。
(3) 労働組合の状況
当社グループには第一三共労働組合等が組織されており、2024年3月31日現在の労働組合の組合員数合計は7,887名であります。
労使関係について特に記載すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性従業員の割合、男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異
① 提出会社の状況
当連結会計年度 |
||||
管理職に占める 女性従業員の割合(%) (注)1 |
男性従業員の 育児休業取得率(%) (注)2 |
従業員の男女の賃金の差異(%) (注)3、4 |
||
全従業員 |
うち正規雇用従業員 |
うち非正規雇用 従業員 |
||
11.7 |
101.7 |
79.1 |
77.7 |
86.2 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。なお、管理職とは、管轄組織の責任者として業績や人材の管理を行うマネジメント職を指しております。また、出向者は出向先の従業員として集計しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行細則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出しております。また、出向者は出向先の従業員として集計しております。
3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。男性の平均賃金(基本給・賞与・諸手当含む)に対する女性の平均賃金の割合を示し、出向者は出向元の従業員として集計しております。
4.男女平均年間賃金の差異は、人事制度上の問題ではなく従業員の年齢構成や世帯状況などによる背景が影響しております。具体的には、次のとおりであります。
・男女の年齢構成の違い:高年齢層ほど男性従業員比率が高く、その結果上位等級に占める男性比率が高くなる傾向にあること。
・男女の諸手当受給状況の違い:女性従業員の各種諸手当(住宅手当・こども手当など)の受給割合が概ね低い(世帯主・家族扶養などの条件に適合しない)こと。
今後の人事諸施策において、更なる是正に向け取り組んで参ります。
② 連結子会社の状況
当連結会計年度 |
|||||
名称 |
管理職に占める女性従業員の 割合(%) (注)1 |
男性従業員の 育児休業 取得率(%) (注)2 |
従業員の男女の賃金の差異(%) (注)3、4 |
||
全従業員 |
うち正規雇用 従業員 |
うち非正規雇用従業員 |
|||
第一三共エスファ㈱ |
2.1 |
100.0 |
76.5 |
68.1 |
91.1 |
第一三共ヘルスケア㈱ |
10.5 |
80.0 |
68.5 |
71.1 |
84.0 |
第一三共プロファーマ㈱ |
8.3 |
128.6 |
74.3 |
73.8 |
80.1 |
第一三共ケミカルファーマ㈱ |
2.0 |
111.1 |
70.7 |
69.5 |
85.2 |
第一三共バイオテック㈱ |
19.2 |
150.0 |
78.1 |
78.0 |
74.1 |
第一三共RDノバーレ㈱ |
19.4 |
100.0 |
76.1 |
78.7 |
90.5 |
第一三共ビジネスアソシエ㈱ |
8.3 |
100.0 |
79.3 |
75.7 |
81.5 |
(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。なお、管理職とは、管轄組織の責任者として業績や人材の管理を行うマネジメント職を指しております。また、出向者は出向先の従業員として集計しております。
2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行細則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出しております。また、出向者は出向先の従業員として集計しております。
3.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき算出しております。男性の平均賃金(基本給・賞与・諸手当含む)に対する女性の平均賃金の割合を示し、出向者は出向元の従業員として集計しております。
4.男女平均年間賃金の差異は、人事制度上の問題ではなく従業員の年齢構成や世帯状況などによる背景が影響しております。具体的には、次のとおりであります。
・男女の年齢構成の違い:高年齢層ほど男性従業員比率が高く、その結果上位等級に占める男性比率が高くなる傾向にあること。
・男女の諸手当受給状況の違い:女性従業員の各種諸手当(住宅手当・こども手当など)の受給割合が概ね低い(世帯主・家族扶養などの条件に適合しない)こと。
今後の人事諸施策において、更なる是正に向け取り組んで参ります。
③ 連結会社の状況
海外グループ会社も含めたグローバル全体における管理職に占める女性従業員の割合は34.9%であります。なお、グローバル全体における男性従業員の育児休業取得率及び従業員の男女の賃金の差異については、集計を実施していないため、記載を省略しております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2【サステナビリティに関する考え方及び取組】
当社グループ(当社及び連結会社)は、企業行動憲章に基づき、事業と一体となってサステナビリティ課題へ取り組むとともに、持続的な成長に向けた重要課題(マテリアリティ)を特定し、ESG経営を推進しています。当社グループを取り巻く環境変化や社会要請・期待を踏まえ、毎年、マテリアリティの改善を図るとともに、環境・安全衛生やコンプライアンス等の課題に特化した各委員会を通じてグループ全体での取り組みを推進しています。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティに関する考え方
① 企業行動憲章を基軸としたサステナビリティ方針とESG経営の推進
当社グループは、企業理念実践のために、すべての企業活動において遵守すべき行動原則を定め、事業を通じてサステナビリティ課題に取り組んでいます。各原則に基づき、法令及びルールなどを遵守し、生命関連企業としてふさわしい高い倫理観と社会的良識をもって行動し、多様な社会からの要請・期待に積極的に応えることで、持続可能な社会への貢献とともに、持続的な企業価値の向上を図ります。
また、当社グループのESG経営「ESGの要素を経営戦略に反映させることで、財務的価値と非財務的価値の双方を高める、長期目線に立った経営」を推進して参ります。
参照箇所:第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1) 第一三共の価値創造プロセスとESG経営
② マテリアリティ
(ⅰ) マテリアリティの特定とKPI目標設定
当社グループでは、当社グループの中長期的な企業価値に影響を及ぼす重要度と、当社グループのさまざまなステークホルダーを含む社会からの期待の両面から、中長期的取り組み課題を抽出し、取締役会メンバーによる複数回の議論を経て、2020年3月、持続的な成長に向けて取り組むべきマテリアリティを特定しました。そして、第5期中期経営計画と連動したマテリアリティ毎の長期目標、取り組み指標「KPI」を設定し、2021年4月に公表しています。
「事業マテリアリティ」として、当社グループの価値創造の根幹である「革新的な医薬品の創出」のほか、「高品質な医薬品の安定供給」、「高品質な医療情報の提供」、「医療アクセスの拡大」を定めています。また、「事業基盤マテリアリティ」として、「環境経営の推進」、「コンプライアンス経営の推進」、「企業理念の実現に向けたコーポレートガバナンス」、「競争力と優位性を生み出す多様な人材の活躍推進と育成」を定めています。
(ⅱ) マネジメントサイクル
毎年、KPI目標への取り組みの情報開示を通じ、ステークホルダーとの建設的な対話・ESG評価結果等から、新課題を抽出し、取締役会・経営会議での議論・承認を経て、マテリアリティの特定・進化・KPI設定を行っています。
2023年度は、取締役会・経営会議において、マテリアリティの進捗や進化を2回報告・議論し、2024年度も現行のマテリアリティ及びKPIを継続することを決定しております。
(ⅲ) 指標及び目標
各マテリアリティの長期目標、実現に向けた課題、KPI指標、2025年度の目標値、2023年度実績はコーポレートウェブサイトに示しています。
《コーポレートウェブサイト 関連ページ》
株主・投資家の皆さま- IRライブラリ- 第一三共株式会社 (daiichisankyo.co.jp)
(2024年7月上旬公表予定)
③ サステナビリティにおけるガバナンス体制
当社グループにおけるマテリアリティマネジメントでは、業績評価・目標管理制度や各委員会等を通じて各KPI目標値の進捗を確認するとともに、経営会議・取締役会にて全KPI目標値についての進捗報告や、KPI項目・目標値の追加や改善に関する審議を実施し、社内外役員間で活発な意見交換が行われています。また、コンプライアンス経営、EHS経営、社会貢献活動に関わる事項については、各委員会(企業倫理委員会、EHS経営委員会、社会貢献委員会)にて活動方針を決定し全社推進を図るとともに、サステナビリティに関する重要事項については、経営会議や取締役会に報告しています。
・企業倫理委員会(事務局:コンプライアンス・リスク管理部)
国内外の法令及び企業倫理を遵守し、企業の社会的責任を果たすべく経営を推進し、役員及び従業員によるコンプライアンスの実践を確保するために設置
委員長:コンプライアンスオフィサー(コンプライアンス・リスク管理部長)
委員 :委員長が指名した社内委員10名のほかに、委員会運営の透明性、信頼性を確保するために社外弁護士1名を加え11名で構成
・EHS経営委員会(事務局:サステナビリティ部、人事部)
当社グループの企業活動全般において、環境の保全と健康と安全の確保に努め、持続可能な社会に貢献すると同時に、リスクが発生する可能性の高い環境(Environment)、健康(Health)、安全(Safety) マネジメントを一体的に運営、推進するために設置
委員長:EHS経営最高責任者(ヘッド オブ グローバル コーポレートストラテジー)
委員 :委員長が指名した14名で構成
・社会貢献委員会(事務局:サステナビリティ部)
良き企業市民として、企業の社会的責任の観点より社会貢献活動を推進するために設置
委員長:ヘッド オブ グローバル コーポレートストラテジー
委員 :委員長が指名した6名で構成
(2)人的資本への取組
当社グループは、「人」を最重要な「資産」であると位置づけています。パーパスの実現に向け、最重要資本である人的資本の拡充を推進し、持続的な価値創造の原動力としています。
① ガバナンス
経営と一体となった人財マネジメントを運営・推進するため、CHRO(Chief Human Resource Officer)をトップとするグローバルでの人事組織体制を構築・運用しています。定例の経営会議にCHROが参画し、経営・ビジネス上の進捗や課題を直接的に把握することで、グローバル視点での的確な戦略・施策立案を行っています。また、四半期ごとにGHRLTM(Global Human Resource Leadership Team Meeting)を実施し、戦略・施策の遂行状況をモニタリングしています。
② 戦略・施策
経営戦略と連動した人財戦略の実行に向け、強化すべき人的資本を「Power of individual:成長し続ける個人の強み」「Power in numbers:強化領域への継続的人財供給」「Power of synergy:人や組織のシナジーを創出する環境・仕組み」の3つの要素として捉え、各要素をモニタリングしながら、施策の効果検証や人的資本拡充のさらなる高度化に取り組んでいます。また、各施策を的確かつ具体的に設計・推進するために、グローバル共通の上位概念・指針として「ピープルフィロソフィー」を制定しています。
* S&T:サイエンス&テクノロジー, DX:デジタルトランスフォーメーション,
I&D:インクルージョン&ダイバーシティー
Power of individual
競争優位の源泉であるサイエンス&テクノロジー(S&T)のさらなる強化に向け、採用チャネルを多角化しながら、S&T人財の獲得を強化・推進しています(2022年度はグローバル全体で395名獲得)。国内では、中長期的視野での持続的成長を目的に、バイオ、グローバルビジネス並びにDXを当社の強化領域とし、独自の育成プログラムと組み合わせて当該領域への人員再配置を実行しました。また、自律的なキャリア形成を目的に、英語力向上意識醸成プログラム並びに各種DXスキル育成プログラムを企画実行し、それぞれ500名並びに1,873名の社員が受講を完了しました。並行して、より実践的な英語でのコミュニケーションリテラシー向上を目的に、グローバルスキル研修を企画実行し、353名の社員が受講を完了しました。
Power in numbers
社員のさらなる成長を目的としたグローバル共通でのパフォーマンスマネジメント(新評価制度)導入に伴い、約650名のマネジメント職を対象にコーチング&フィードバック研修を実施しました。また、グローバル共通のラーニングプラットフォームとしてLinkedInラーニングツールを導入し、当社グループのパーパス・ミッションや、グローバルで協働するために必要な行動・スキルに関するコンテンツを展開しています。さらに、グローバルでの人財交流促進や、次世代のグローバルリーダー育成を目的として、海外グループ会社への出向プログラムも実施し、2023年度時点で、国内から米国へ111名、欧州へ32名、アジア中南米へ22名の社員が出向しています。海外グループ会社から国内にも11名の社員が出向しており、双方向での交流・育成に努めています。
当社グループの持続的成長に極めて重要となるグローバル視点での経営マネジメント・リーダーシップの育成を目的に、2024年度からDS Academyを開始しました。
Power of synergy
・One DS Cultureの浸透
パーパス実現に向けて、グローバル全体で当社の課題を克服しながら強みを活かすために必要となる文化「One DS Culture」並びにCulture醸成に必要となる3つの行動様式「Core Behaviors」を2020年度に策定しました。毎年度、グローバル各社からカルチャーアンバサダーを任命し、Core Behaviorsの実践推進を通じたCulture浸透を加速しています。この浸透度合いを確認・検証する目的で、グローバル全体でエンゲージメントサーベイ(One DS Voice)を実施し、当社グループの強みや課題を特定のうえ、改善策を実行しています。なお、2023年度におけるエンゲージメントサーベイ回答率は90%、スコア全24項目で昨年比上昇(総合値は78、対ベンチマーク+4)となりました。
・インクルージョン&ダイバーシティー
当社グループは、国籍・人種・性別・年齢などの属性面に加え、考え方・価値観・ライフスタイルなども含んだ多様な社員が共存し、そのすべての社員が受け容れられ、最大限に実力を発揮することが、グローバルな事業展開やイノベーション創出に繋がると考えています。Core Behaviorsの1つに「Be Inclusive & Embrace Diversity」を定めるとともに、2022年3月の国際女性デーには「Global I&D Statement」を策定し、社内外に当社のI&Dに対する姿勢や考え方を明示しました。
国内においても、イノベーション創出という経営戦略と連動した形で女性活躍推進に取り組んでおります。「2025年度までに女性管理職15%以上」という数値目標を設定し、その達成に向け、各組織長との対話会や全社アンケートの実施・分析などを通じて、各種施策を実行しています。また、2017年1月より、女性マネジメント職によるネットワーキング活動(Shining Women’s Advancement Network; SWAN)を開始し、経営陣がオーナーとなって、経営陣とSWANメンバーとの交流や、女性マネジメント同士の経験や悩みの共有機会などを作ることで、次世代女性リーダー育成支援にもつなげています。さらに、海外グループ会社が加盟しているHealthcare Businesswomen‘s Association(HBA)に当社としても加盟し、より広い視点でのグローバルでのI&D連携を加速するとともに、グローバル全体で活躍した女性社員を表彰するプロセスとしてもこのHBAを活用しています。
LGBTQ+当事者や周囲の社員にとっても働きがいのある職場環境の醸成を目的に、国内では支援制度の導入や外部相談窓口の設置などを行っています。また、LGBTQ+当事者のための匿名コミュニティとして「レインボーチャット」を開設し、価値観が近い社員同士が気兼ねなく悩みを相談し合える環境を構築しています。さらに、海外グループ会社では、グローバルリーダーからのビデオメッセージ発信や、各種セミナーの実施などを通じて、社員の帰属意識(Belonging)向上につなげています。
(ご参考) インクルージョン&ダイバーシティーに関する当社ホームページ
https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/our_workplace/inclusion-diversity/
・健康経営・ワークライフバランス推進
(i)社員の健康と安全
「健康宣言・安全宣言」を社内外に発信するとともに、必要な投資を積極的に行い、社員の健康・安全の保持・増進に取り組んでいます。
<健康宣言・安全宣言> 「当社グループの企業理念及びビジョンの実現に向けて会社と従業員が共に成長を遂げるためには、従業員の心と体の健康・安全が不可欠であり、当社グループは、全ての従業員が安全に就業し、健康を保持・増進するための環境づくりに積極的に取り組むことをここに宣言します。」
社員の健康と安全については、EHS(Environment, Health and Safety)経営委員会を設置し、海外・国内グループ会社での方針・目標・施策を定めて推進しています。国内グループ会社においては最高健康経営責任者である社長をトップとした健康経営推進体制にて、会社と労働組合で合意した安全衛生管理の中期方針に基づいた安全衛生施策を推進しています。具体的には、経営課題に対応した施策と期待成果を「健康・労働安全戦略マップ」として策定し、「社員一人ひとりの生産性向上」と「安全で快適な職場形成」の2つを解決すべき経営課題と定めて、国内での重点領域を生活習慣病・がん・メンタルヘルス・運動機能の4領域として、安全衛生施策を推進しています。各施策の効果については、高ストレス者率や喫煙率などの評価指標を設定し、評価に基づきさらなる改善を図っています。
また当社は、これまでの積極的かつ継続的な活動が評価され、経済産業省が実施する「健康経営度調査」において、2018年から7年連続で「健康経営優良法人~ホワイト500~」の認定を受けており(当社国内グループとしては4年連続)、 2024年には「健康経営銘柄2024」に選出されました。
(ご参考)第一三共グループの「健康経営推進体制」、「健康・労働安全戦略マップ」、「評価指数」等については、以下を参照
https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/our_workplace/employee_health/
(ご参考)「健康経営銘柄2024」に認定
https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/performance-reports/news/detail/index_7062.html
(ⅱ)ワークライフバランスの推進
当社国内グループでは、仕事と生活の好循環を生み出すための「ワークライフサイクル(WLC)」というコンセプトを提唱しています。このWLCの実現に向け、時間や場所に縛られない柔軟な働き方の推進(多様な労働時間制度・テレワーク制度など)や仕事とライフ(育児・介護・治療など)の両立支援、キャリア形成支援(キャリア支援休職・副業など)に加え、各種セミナーや対話会の実施などに取り組んでおります。また、当社グループのグローバル化の進展に伴い、国・地域を跨いだコミュニケーションや会議の機会が増えていることを踏まえ、グローバルでの働き方に関する課題解決を図る「Global Work Style」プロジェクトを2021年度より開始しました。Global Work Style の基本コンセプト「Global Meeting Guideline」や国・地域を跨る共通施策「Global Meeting Measures」を、それぞれCEOメッセージとともにグローバル展開しています。組織独自で設定・運用している「No meeting day」や「De-stressor week」の推進支援も行っています。
(ご参考)ワークライフバランスに関する当社ホームページ
https://www.daiichisankyo.co.jp/sustainability/our_workplace/worklife-cycle/
・グローバル共通の人事基盤構築
当社グループのビジョンと持続的な成長の達成に向けてグローバル連携を促進すべく、グローバル共通の人事制度並びに人事情報システムの構築・導入を進めています。
③ リスク管理
当社グループが事業活動を推進し事業目標を達成する上では、各職務に必要な高度な専門性と高い業務遂行能力を持った人財を育成・採用・確保する必要がありますが、採用市場の競争激化などにより、これらの人財を十分に確保できない場合には、経営成績、財政状態等に悪影響を及ぼす可能性があります。
その対応策として、事業目標を達成する上で必要となる人財の要件を明確に定義し、計画的な採用活動を強化するとともに、社内教育プログラムを始めとする多様なアプローチを活用して人財の育成・確保を図っています。また、先述の通り、グローバル連携を促進するため、グローバル共通の人事制度並びに人事情報システムの構築・導入を進めています。さらに、「One DS Culture」の醸成やInclusion & Diversity (I&D)を推進しながら、グローバル共通のエンゲージメントサーベイによる分析・改善施策を実施しています。
④ 指標及び目標
先述の「事業基盤マテリアリティ」の「競争力の優位性を生み出す多様な人材の活躍推進」として、以下のKPIを設定し、経営会議や取締役会にてモニタリングしています。
女性上級幹部社員※比率 ※部所長或いはそれと同等以上の役職にある女性社員 |
2025年度目標:30% |
企業風土・職場環境に関するエンゲージメントサーベイ肯定的回答率 |
2025年度目標:80%以上もしくは2021年度比10%向上 |
育成・成長機会に関するエンゲージメントサーベイを通じた肯定的回答率 |
2025年度目標:80%以上もしくは2021年度比10%向上 |
社員一人あたりの教育投資額 |
実績値の公表 |
(3) 気候変動への取組(TCFD*に基づく開示)
地球温暖化や異常気象などの気候変動について、生活や仕事に影響する重要な課題と認識し、様々な環境問題に対し責任ある企業活動を行うために、第一三共グループ企業行動憲章及び第一三共グループEHSポリシーに基づき、環境経営を推進しています。 また、2019年5月にTCFD提言への賛同を表明し、2020年にはガバナンスやシナリオ分析結果など、TCFDの開示枠組みに沿った情報開示を行いました。さらに2021年10月に改訂されたTCFD提言に対応した情報開示を進めると共に、グローバルな課題である気候変動に積極的に応えていくため、気候変動に関するガバナンスや事業戦略の更なる強化を目指します。
* Task Force on Climate-related Financial Disclosures:気候関連財務情報開示タスクフォース
① ガバナンス
企業活動全般において、環境(Environment)の保全と健康と安全(Health & Safety)の確保に努めマネジメントを一体的に運営・推進するため、EHS経営最高責任者を委員長とし、関係組織長(取締役含む)、グループ会社社長を委員として構成する「EHS経営委員会」を設置しています。年2回グローバルEHS経営に関する方針や目標設定、活動の審議・報告を実施しており、審議・報告事項については、取締役会に報告し監督される体制となっています。2023年度は、ネットゼロ移行計画策定及びScope3削減に向けたビジネスパートナーエンゲージメントの推進などについて審議・報告しました。
② 戦略
地球への環境負荷が増大する中、持続可能な社会が実現されなければ、企業活動を行っていくことはできません。特に、生命関連製品である医薬品は、気象災害の激甚化に伴うサプライチェーンの寸断や医薬品供給能力の低下は大きな事業リスクであり、社会リスクでもあります。したがって、当社事業の環境負荷低減・脱炭素化を推し進めていくと同時に、ビジネスパートナーとの協働によりサプライチェーン全体の脱炭素化も推進し、カーボンニュートラルの達成と物理的影響を緩和することが重要であると考えています。
一方で、CO2排出量は事業からの直接排出量(Scope1、Scope2)は少なく、サプライチェーンからの排出量(Scope3)が多いことが特徴です。このような認識に基づき、気候変動に伴う当社ビジネスへの影響を把握し、当社のレジリエンス(強靭性)を明確にするため、シナリオ分析を実施しました。
(ⅰ)シナリオ分析の方法
2021年度には部門横断のタスクチームを立ち上げ、関係部門に対し、シナリオ分析の概要及びIEA(国際エネルギー機関)・ IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が公表するネットゼロシナリオなどに関する勉強会を実施し、2030年以降の事業リスク及び機会について検討を行いました。IEA・ IPCCのシナリオを用い、「移行」及び「物理」双方について、バリューチェーン全体のリスク・機会を洗い出し、洗い出されたリスク・機会については、2022年度にEHS経営委員会で審議・評価を行い、承認を受けています。具体的には「調達」「直接操業」「製品・サービス需要」の観点からリスク・機会を洗い出し、6つに分類しました。IEA・IPCCの脱炭素化シナリオ(1.5℃)と、脱炭素化が達成されないシナリオ(4℃)を選択したのは、移行リスク・物理的リスクの両方において、その極端なケースを想定し、予め備えることが重要であると判断したためです。それぞれについて、「発生頻度」「事業影響・財務影響」「投資家の関心有無」の観点から2030年と2050年までを対象に総合的なリスク・機会の評価を実施し、事業への潜在的影響及びレジリエンスを整理しました。
(ⅱ)シナリオ分析の結果と第一三共のレジリエンス
1.5℃シナリオ(移行が進んだ世界)
環境の変化 |
リスク・機会 |
当社グループへの潜在的影響 |
影響度 *1 |
当社グループのレジリエンス |
事業リスク*2 |
脱炭素関連の政策・法規制強化 |
炭素税導入 |
2030年時点の炭素税が130$/t-CO2に上昇すると想定しても、年間のコスト負担は約15億円~30億円。*3 |
小 |
財務的インパクトは限定的であり、1.5℃目標に引き上げた気候変動対策を推進することで更に軽微なものにしていく。 |
低 |
再エネ導入に伴う炭素税負担回避 |
将来的な炭素税導入・上昇の対策として、再エネ調達による排出量削減が重要。 |
小 |
再生可能エネルギーを積極的に活用することにより、2030年時点の年間の炭素税負担回避額は約16億円~32億円。*3 国内外事業所の電力は、2030年度までに100%再生可能エネルギー由来に転換する。 |
機会 |
|
再エネ設備導入コスト増 |
エネルギー源は電気・ガスが中心。地域によっては既に再エネ電力を調達。 既存の電力をすべて再エネにした場合、年間のコスト負担は約3~6億円。 |
小 |
再エネ・省エネ設備の追加費用は低下傾向であり、対策の推進によりコスト削減に繋げる。 |
低/機会 |
|
エネルギーコスト等増加 |
エネルギー事業会社の脱炭素対策が実施されるが、対策自体の導入・運用コストが増加すると将来的なエネルギー調達コスト増を予想。 |
小 |
化石燃料由来のエネルギーコストの上昇が予想されるが、現時点では影響は限定的。 |
低 |
|
調達コストへの価格転嫁 |
ビジネスパートナーが自らの炭素税負担を価格転嫁することで調達コストが上昇する可能性があり、供給網全体での排出量削減が重要。 |
中 |
ビジネスパートナーとの協働により、Scope3の削減を進め、炭素税負担の回避に繋げることで調達コストの上昇を抑える。 |
低/機会 |
|
企業評価に対する脱炭素への取組の影響増大 |
企業価値の増大 |
脱炭素への取組がESG投資家から評価され、株価上昇など企業価値向上。 |
大 |
脱炭素社会に向けた取り組み、TCFD提言への積極的な対応、株主・投資家の期待に応える情報開示を行うことで評価向上に繋げる。 |
機会 |
4℃シナリオ(物理的影響が大きくなる世界)
環境の変化 |
リスク・機会 |
当社グループへの潜在的影響 |
影響度 |
当社グループのレジリエンス |
事業リスク |
気象災害(大雨・洪水・台風)の発生頻度増、規模拡大 |
サプライチェーン寸断 |
安定供給に支障をきたすリスクの高まり。 生産・出荷不能により、工場停止や売上減などのリスク。 |
大 |
在庫管理を強化し、災害時でも安定供給に努める 複数社からの購買を実施、複数社から購買できていない原料については今後検討していく。 |
中 |
自社拠点の一時操業停止 |
重要な研究・製造拠点が浸水する可能性(水災リスクは総計約94億円)。 製造拠点の一部は河川に近くとも浸水の可能性は低いが、交通寸断などにより一時操業停止の可能性。 |
大 |
事業継続計画(BCP)の観点から拠点の水災リスク評価を実施し、強靭化を進めている。 緊急事態訓練における洪水対応・減災対策を強化し、水災マニュアルの整備・実証を担保してレジリエンスを高める。 |
低 |
|
異常気象(浸水)による不良在庫化 |
物流拠点などの浸水に伴い、操業停止に加えて製品在庫も被害を受ける可能性。 |
||||
気温上昇 |
気候変動に伴う疾患増加等 |
悪性黒色腫、循環器、呼吸器疾患、各種熱帯病などに対する関連医薬品の需要拡大と社会からの要請・期待の高まり。 疾病構造の変化に伴う既存製品の需要減少の可能性。 |
大 |
需要拡大に応える生産ラインの確保、在庫管理強化に努める。 疾病構造の変化やパンデミックも含め、アンメットメディカルニーズ・社会要請の高い疾患に対する研究開発を外部リソースとの連携も合わせ検討する。 |
中/機会 |
空調設備のコスト増 |
本社、研究開発、製造拠点ともに屋内作業が基本であり、気温上昇に伴い空調コスト増が予想されるが影響は限定的。 |
軽微 |
コスト増は吸収可能な範囲であり、財務影響は軽微であるが、引き続きエネルギー効率改善に努める。 |
低 |
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保険料/BCPコストの増加 |
気温上昇に伴う風水害の激甚化により、現在でも火災保険料が上昇傾向にある。ただし、将来的な保険料の上昇見通しは限定的。 |
軽微 |
日本では4℃上昇時、洪水発生頻度が4倍上昇すると予想されているが、その結果、保険料が数倍に上昇したとしても財務影響は軽微である。 |
低 |
環境の変化 |
リスク・機会 |
当社グループへの潜在的影響 |
影響度 |
当社グループのレジリエンス |
事業リスク |
水不足 |
自社拠点の一時操業停止 |
最も取水リスクの高い工場である中国とブラジルでの操業停止の可能性。 その他地域で想定を超える短期的な渇水の可能性。 |
中 |
雨水タンク設置・リサイクル水活用などの渇水対策を推進する。*4 長期に渡り渇水となった場合、薬事規制の動向をみつつ、他拠点活用・製造委託などの緊急時供給対応を検討する。 |
中
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生物多様性の喪失 |
天然化合物由来製品の生産性低下 |
生物多様性の喪失により原料が入手できず生産が止まってしまった場合、約20億円/年の損失を予想。 |
中 |
数年分の原料在庫は確保されており、リスクが顕在化する前に迅速な対応を実施する。 |
低 |
*1 影響度は、軽微(1億円未満)、小(1億円~50億円)、中(50億円~100億円)、大(100億円~300億円)を基準に評価
*2 事業リスクは影響度と発生頻度を考慮し総合的に評価
*3 2030年時点の炭素排出量に炭素価格を乗じて算出
*4 ブラジル工場に貯水タンク設置(約450万円の費用投入)
事業活動に対する直接的な移行リスクは限定的であると認識していますが、サプライチェーンについては、今後、炭素税や移行対策などのコスト上昇がリスクとして考えられます。また、物理的リスクについては、気象災害などの激甚化による安定供給に懸念があります。このような分析結果に基づき、移行リスクについてはこれまでの省エネ対策の推進に加え、再生可能エネルギーの活用や脱炭素技術の導入、ビジネスパートナーとの協働による炭素税などの負担回避を通じたコスト低減を機会として創出していきます。また、物理的リスクについては、水害対策を含めたBCPの深化、サプライチェーンの安定性を高める予防策の実施、多様性の確保、支援策の確保、代替策の確保等の対策を実施することで、当社グループにおける毀損を回避し、持続的な企業価値向上を目指していきます。 シナリオ分析で評価・特定された重要なリスク対策については、EHS経営委員会及び取締役会でグループ全体の進捗管理を行っていきます。
③ リスク管理
気候変動や水に関するリスクなど、事業活動の変更を余儀なくされる可能性のあるリスクを把握し、当社グループのリスクマネジメントシステムの一環としてリスク対応策を実施しています。EHS経営委員会は、気候変動による影響が当社ビジネスにどのようなリスクと機会をもたらすのか、その財務的なインパクトを評価・管理し、レジリエンスを高める重要な役割を果たしており、重大リスクの懸念がある場合は取締役会に報告し、総合的リスク管理に統合されます。加えて、長期的なカーボンニュートラルへの移行を目指し、中期及び短期での目標・実施計画を審議・決定しています。
<リスク>
1.5℃シナリオ IEA SDS(WEO2021), IEA NZE 2050 |
炭素税導入、再エネ設備導入コスト増、不十分な開示によるレピュテーショナルリスク発生 |
4℃シナリオ IPCC RCP8.5 |
サプライチェーン寸断、自社拠点の一時操業停止、気温上昇に伴う空調コスト増、取水リスクによる操業困難化、天然化合物由来製品の生産性低下 |
<機会>
1.5℃シナリオ |
SBT*達成に向けた各種施策によるコスト削減や負担回避・投資家からの評価向上 |
4℃シナリオ |
気候変動に伴い増加する疾患への貢献 |
* Science Based Target:パリ協定の水準に整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標のこと
④ 指標及び目標
バリューチェーンごとに事業への潜在的影響及び気候関連のリスク・機会を評価・管理するため、第5期中期経営計画におけるKPI及び環境に関する目標を定めています。第5期中期経営計画の進捗を踏まえ、2021年度に気候変動に関わるKPIの見直しを行った結果、Scope1及びScope2については1.5℃の世界に対応した目標水準へ引き上げを行うとともに、2022年度には、Scope3についてもサプライヤーエンゲージメント目標として、サプライヤーに要請するCO2排出量削減目標の設定を「1.5℃水準」へと更新し、2023年6月に、SBTイニシアチブより「1.5℃目標」の認証を取得しました。
CO2排出量(Scope1+Scope2) |
2025年目標:2015年度比42%減、2030年目標:2015年度比63%減 |
CO2排出量(Scope3、Cat.1) |
2025年目標:2020年度比売上高原単位15%減 |
ビジネスパートナー・エンゲージメント(Scope3、Cat.1) |
2025年目標:ビジネスパートナーの70%以上が1.5℃水準の目標を設定 |
再生可能電力利用率 |
2025年目標:60%以上、2030年目標:100% |
CO2排出量 単位:t-CO2
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2021年度 |
2022年度*1 |
2023年度 |
Scope1 |
88,249 |
86,006 |
82,658 |
Scope2*2 |
103,150 |
23,729 |
24,061 |
*1 2022年度の算出値は第三者保証を受けた数値に更新
*2 2022年度から国内自社拠点における使用電力を再生可能エネルギー化し、Scope2のCO2排出量を大幅に削減
算定方法
Scope1:日本の二酸化炭素およびエネルギーの換算係数は、地球温暖化対策の推進に関する法律の数値を使用。日本以外の国々については、排出源地域の当局等の基準あるいはGHGプロトコルに基づく。
Scope2:電力購入の契約に基づく排出係数を用いて算定(マーケット基準)