2023年12月期有価証券報告書より
  • 社員数
    4,903名(単体) 7,604名(連結)
  • 平均年齢
    42.0歳(単体)
  • 平均勤続年数
    15.0年(単体)
  • 平均年収
    11,980,884円(単体)

従業員の状況

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

2023年12月31日現在

従業員数(人)

7,604

 

(注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。

2.当社グループは、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、グループ全体での従業員数を記載しております。

 

(2)提出会社の状況

2023年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢

平均勤続年数

平均年間給与(円)

4,903

42才8カ月

15年10カ月

11,980,884

 

(注)1.従業員数は就業人員数を記載しております。

2.当社は、医薬品事業のみの単一セグメント・単一事業部門であるため、当社全体での従業員数を記載しております。

3.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

 

(3)労働組合の状況

当社グループには、当社及び国内関係会社(株式会社中外医科学研究所、株式会社中外臨床研究センター、中外製薬工業株式会社、中外製薬ビジネスソリューション株式会社)を対象とした中外製薬労働組合が組織されており、2023年12月末現在の組合員数は4,559名であります。労使は、相互信頼をベースとした協力的な関係を維持しております。

 

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

 

当事業年度

補足説明

管理職に
占める
女性労働者
の割合(%)
(注)1

マネジャー
に占める
女性労働者
の割合(%)(注)2

男性労働者
の育児休業
取得率(%)
(注)3

男性労働者
の育児休業
日数(日)
(注)4

労働者の男女の
賃金の差異(%)(注)5

全労働者

うち正規雇用
労働者

うち
その他の
雇用労働者

19.0

17.2

87.6

21.4

78.7

78.6

70.6

管理職

一般職

93.8

84.0

 

 

<男女の賃金差異について>

・当社は、「年齢・属性に捉われず誰もが活躍できる」、「役割・成果に応じたメリハリのある評価・処遇を実現する」ことを目指した人事制度を導入・運用しており、男女の賃金については、基本的に処遇は男女同一であり、現在生じている賃金差異は職務、等級、年齢構成の違いによるものです。差異の解消に向けて、女性マネジャーの積極的な登用やキャリア形成支援等、女性活躍推進の取り組みに注力しています。女性活躍推進の目標及び取り組みについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しています。

・管理職においては、職務等級制度導入により、ポジションに基づき賃金が決まることから、93.8%と平均年間賃金の差異は小さく、部長職以上では100%水準となっています。

・一般職においては、84.0%と平均年間賃金の差異がありますが、主な要因は、ライフイベントによる男女の育児休業・育児短時間勤務取得状況の差や、時間外勤務手当等の差異によるものです。当社では、男性の育児休職の長期取得に向けた目標を設定すると共に、意識啓発や環境整備に取り組んでおり、こうした取り組みを通じて、差異の解消を図っていきます。

 

(注)1.管理職に占める女性労働者の割合(%)は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)」の規定に基づいて算出しています。但し、管理職の定義については、課長級(部下の有無に関わらない)の社員も含めており、当社基準で算出しています。

2.マネジャーに占める女性労働者の割合(%)は、部下のいる管理職(マネジャー)、プロジェクトリーダー、高度専門職等のポジションを担う者であり、当社基準で算出しています。また、中外製薬株式会社及び連結子会社を含めた人数です。

3.男性労働者の育児休業取得率(%)は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。

4.男性労働者の育児休業取得日数(日)は、「公表前事業年度に復職した労働者の平均育児休業取得日数」を算出しています。

分子:公表前事業年度に育児休職を終了し、復職した労働者の合計育児休業取得日数(日)

分母:当該育児休業取得人数(人)

5.労働者の男女賃金格差は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。

・育児休暇取得者、短時間勤務者による時間補正は行っていません。

・その他雇用労働者:契約社員(シニア社員を含む)及びパートタイマー

なお、パートタイム労働者については、フルタイム労働者の所定労働時間をもとに人員数の換算を行っています。

・2023年12月末付の労働者数に基づき算出しています。

 

 

② 連結子会社

 

当事業年度

補足説明

名称

管理職に
占める
女性労働者
の割合(%)(注)6

男性労働者
の育児休業
取得率(%)
(注)7

労働者の男女の
賃金の差異(%)(注)8

全労働者

うち正規雇用
労働者

うち
その他の
雇用労働者

中外製薬工業
株式会社

8.7

84.1

70.4

74.6

40.4

中外製薬ビジネス
ソリューション
株式会社

24.1

常時雇用する労働者数:300人以下101人以上
男性の育児休業取得率:2023年に子が生まれた男性社員は0名

株式会社
中外医科学研究所

27.3

200.0

常時雇用する労働者数:300人以下101人以上
男性の育児休業取得率:2023年度に育児休職を開始した男性社員2名のうち、2022年度に子が生まれた男性社員1名を含む

株式会社
中外臨床研究
センター

52.6

100.0

常時雇用する労働者数:300人以下101人以上

 

 

<男女の賃金差異について>

・中外製薬工業株式会社における男女の賃金差異に関する理由・背景については、上記の提出会社と同様です。

 

(注)6.管理職に占める女性労働者の割合(%)は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。但し、管理職の定義については、課長級(部下の有無に関わらない)の社員も含めており、当社基準で算出しています。

7.男性労働者の育児休業取得率(%)は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号)」の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出しています。

8.労働者の男女賃金格差は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づいて算出しています。

・育児休暇取得者、短時間勤務者による時間補正は行っていません。

・その他雇用労働者:契約社員(シニア社員を含む)及びパートタイマー

なお、パートタイム労働者については、フルタイム労働者の所定労働時間をもとに人員数の換算を行っています。

・2023年12月末付の労働者数に基づき算出しています。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。詳細につきましては当社ホームページをご参照下さい。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。

 

中外製薬ウェブサイト「サステナビリティサイト」

https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/index.html

 

(1)サステナビリティ課題全般

① ガバナンス・リスク管理

当社のサステナビリティ全体の責任者は、取締役会ならびに経営会議の議長である代表取締役 CEO が担当しており、全社の経営戦略及び業務執行上の重要な意思決定は経営会議で行っています。また、執行面の責任については経営会議メンバー全員が関与・コミットする体制となっています。具体的かつ専門的な事案については、経営会議の諮問機関として四つの委員会が推進する体制となっています。地球環境保全をはじめとするサステナビリティ全体に関する事項の俯瞰的・統合的な方針や戦略の策定ならびに実行についてはサステナビリティ委員会、法令順守や各種コンプライアンスに関連することはコンプライアンス委員会、リスクマネジメントについてはリスク管理委員会、サステナビリティに関するコミュニケーションについては広報IR委員会で議論する体制となっています。各委員会の委員長は、いずれも経営会議のメンバーで構成されています。

 


 

② 戦略

当社は、社会と当社がともに発展する「共有価値の創造」を経営の基本方針としており、「患者中心の高度で持続可能な医療の実現」を目指しています。この基本方針に基づき、革新的な医薬品の創製を柱とするイノベーションに集中し、一人ひとりの患者さんにとって最適な医療の提供による社会課題の解決を目指すとともに、持続的な企業価値拡大を図ります。

 

この経営の基本方針に基づき、当社が事業活動において、重点的に取り組むべき事項を重要課題(マテリアリティ)として策定しています。重要課題の策定にあたっては、将来にわたる事業環境の展望・分析に加え、サステナビリティに関するグローバルなイニシアチブであるSDGs、GRI(Global Reporting Initiative)、SASB(Sustainability Accounting Standards Board)などを活用したギャップ分析を実施し、外部有識者の意見や見識を取り入れながら、「患者中心の高度で持続可能な医療の実現」の実現に向けて、高度で持続可能な医療の実現、ならびに環境・社会・ガバナンスの各領域で重点的に取り組むべき8項目26個の重要課題をマテリアリティとして特定しました。これら重要課題を踏まえて、当社が中長期で目指す姿として、2030年のトップイノベーター像を策定し、その実現に向けた成長戦略として「TOP I 2030」を設定しています。成長戦略についての詳細は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しています。

 

 


 

③ リスク

当社が考えるサステナビリティに関する主要なリスクについては、全社リスクマネジメントプロセスの中で可視化して、特定しています。当社ではリスクを、経営戦略に関連する潜在リスク(戦略リスク)と事業遂行におけるリスク(オペレーショナルリスク)に分類しています。その中でも、サステナビリティに関するリスクとしては、制度・規制・政策に関連するリスク、ITセキュリティ・情報管理に関するリスク、大規模災害、サプライチェーン、地球環境問題、パンデミックなどの外部環境の動向に左右される事項、ならびに人権や地球環境問題などの企業市民としての社会的責任が大きい事項について、注視して取り組んでいます。

 

当社の考えるリスクの詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しています。

 


 

④ 指標及び目標

当社では重要課題について、外部環境の変化や、戦略の進捗、社会からの要請を踏まえて定期的に見直しを行い、それらを加味した単年度計画を立案し、進捗を管理することで、機動的な戦略遂行・計画の修正を行っています。

また、経営の基本方針である「共有価値の創造」のプロセス全体を表現した価値創造モデルを策定しております。価値創造における重要指標についてモニタリングを加えた上で、戦略の進捗ならびに外部環境変化の評価に基づき、機動的な資源配分の見直しや経営計画の修正を行い、目指す姿の実現に向けてアジャイルな対応を図っています。

 

 


 

この価値創造モデルにおいては、価値創造の源泉となる経営資源(資本)を整理しています。具体的には、①人財(人的資本)、②技術・知的財産(知的資本)、③ロシュや外部との協働(社会関係資本)、④製薬・設備(製造資本)、⑤環境・エネルギー(自然資本)、⑥財務・経営関連(財務資本)の6つを重要な源泉としており、それぞれに現状を定量・定性の両面から捉え、それを踏まえた重点テーマと課題を特定、認識して、対策を進めています。その中で、とりわけ重視しているのが、イノベーションを起こし、当社の価値創造の原動力となる人的資本と、事業を支える重要な基盤となる自然資本です。

 


 

 

(2)人的資本への取り組み

① 人財マネジメント方針

当社では、「TOP I 2030」の達成、ひいては患者中心の高度で持続可能な医療の実現を目指す上でカギとなるのは「人財」だと考えています。イノベーションを起こすのは人財であり、社員一人ひとりが価値創造の原動力だからです。会社の目標に向けて自律的に行動している人財を「活躍社員」と定義し、活躍社員が増えイノベーションが生まれるよう、人財マネジメント方針に基づき様々な人事施策を講じています。「個」の成長・挑戦に焦点を当て、3つの個(描く・磨く・輝く)の実現を通じて、個が変わり(活躍社員の増加)、会社が変わり、ひいては中外グループ全体の成長に繋がることを目指しています。

 

② 人的資本の向上に向けた戦略

人財の価値を最大限に引き出すために、当社では人財マネジメント方針に基づき以下戦略を実行しています。

 

・個を描く

「社員一人ひとりがキャリアを描き、未来の自己実現と「TOP I 2030」とをシンクロさせる」ことを意味します。戦略的提携先であるロシュ社との関係を維持・発展していくことのできる次世代経営人財の確保を最重要課題のひとつとして捉え、重要キーポジションの候補人財の計画的な発掘・育成を行っています。また、サイエンス人財、デジタル人財など戦略遂行上の要となる高度専門人財の獲得・育成や、年齢や経歴に拘わらないアサインなど、「TOP I 2030」実現に向けて、ポジションに最適な人財の獲得・登用を推進しています。

 

・個を磨く

「社員の自主性を尊重し、社員が挑戦し、自律的な学びや専門性を強化する」ことを意味します。イノベーションを生み出すためには、個々のスキルアップと挑戦・成長を後押しする仕組みが不可欠です。そのために中外製薬では、上司・部下にとどまらず社員間の対話を促進するとともに、個々のキャリア開発や研修プログラムへの投資を行っています。さらには、戦略的提携先であるロシュとの人財交流は、社員にとってグローバルな知見や経験を習得するよい機会となっています。

 

・個が輝く

「社員が自身の力を最大限に発揮し、挑戦によって成長が実現できる環境を整える」ことを意味します。イノベーションを生み出すためには、一人ひとりが自分らしさを発揮し、活躍できる環境を作っていくことが何よりも重要と考えています。そのために、多様性を最大限に活かすインクルーシブな組織文化や、「挑戦・成長」を推奨する組織文化を醸成するとともに、「働きがい改革」の推進、健康経営の推進、D&Iの定着に向けて取り組んでいます。

 


 

このように、社員一人ひとりが自身の力を最大限に発揮し、イノベーション創出が促進されるための環境づくりを目指し、以下に取り組んでいます。

 

 

・「挑戦・成長」を推奨する組織文化の醸成

「TOP I 2030」の実現に向けて、部門や職種、職位の違いに拘わらず自由闊達に議論する文化への変革を目指しています。その一環として、社員の自発的な手上げによる社内公募制の拡充や挑戦した人への称賛の声を届けるリコグニションシステム「ChuLiP」の導入など、社員の挑戦を後押しする仕組みづくりを行っています。

 

・働きがい改革の推進

2022年から「働きがい改革」を進めており、社員一人ひとりの「働きがい」を高めるべく、キャリア自律や成長支援による「社員エンゲージメント向上」と柔軟性の高い働き方や1on1の対話の機会(Check in)等による「多様な社員が活きる環境づくり」を両輪で推進し「TOP I 2030」実現に向けて活躍社員の更なる増加を図り、グローバル好業績企業と同水準を目指します。

 

・D&Iの推進

D&Iの推進を通じて、異なる考え方やアイデアを尊重し合いながら、多様な人財がそれぞれ最大限の力を発揮し、インクルーシブな組織文化を醸成することで、イノベーションの促進を目指しています。この実現に向けて、多様な社員一人ひとりがそれぞれ最大限の力を発揮できる環境づくりに取り組んでいます。女性活躍推進においては、性別に関わらず、当たり前にビジネス上の重要な意思決定に参画し、活躍できる状態を目指し、2030年末に女性マネジャー比率を社員比率と同水準とすることを目標に掲げ、推進を加速していきます。また、育児や介護、健康課題等と仕事の両立、LGBTQ、障がい者雇用といった社員一人ひとりを取り巻く様々な課題に取り組むことで、多様な社員が生き生きと活躍し、成長できる環境づくりに継続して注力しています。

 

・健康経営の推進

健康経営を働きがい改革の土台として位置づけ、従業員の自律的な健康・保持増進にも注力しています。特に、従業員の健康の観点では、喫煙率、がん再検査受診率、高ストレス者面談希望率(希望者/受検者)を重要指標として設定し、進捗のモニタリングを行いながら、取り組みを加速させていきます。

 

③ 主な指標とその進捗

人的資本の向上に向けた主な施策と指標は以下のとおりです。

 


1: 新規任用に占めるチャレンジアサイン制度・社内公募制度による任用の割合

2: 2022年実施結果

 

 

(3)気候変動への取り組み

① 環境保全活動に関する考え方

環境保全活動はすべての事業活動を支える重要な基盤であり、長期的視点で環境リスクを低減するだけでなく将来コストの低減、イノベーションを生み出す施設・設備体制構築にもつながるため、企業価値向上に大きく影響するものと考えています。世界的な環境コンセンサスを踏まえた挑戦的な「中期環境目標2030」を掲げ、ロシュや外部パートナーとの連携による革新的な地球環境保全活動とエビデンスに基づく能動的な情報開示により、環境課題の解決をリードする世界のロールモデルを目指していきます。

 

② ガバナンス・リスク管理

環境保全活動に関する課題については、サステナビリティ委員会において十分な審議を行った上で、経営会議や取締役会において議論しています。環境保全活動の業務執行の責任は、経営会議メンバーであり、サステナビリティ委員会の委員長である担当執行役員が担っています。担当執行役員は、経営会議で意思決定された事項に基づいて、環境保全活動業務執行の監督を行っています。

 

環境リスクの管理については、リスク管理委員会が、環境保全活動を含む全社に影響を及ぼすリスクの特定及び対策を策定した上で経営会議や取締役会において議論しています。リスク管理委員会は、気候変動リスクを含むグローバル及び国内のリスクマップを作成し、特に経営に大きな影響を与えるものを全社リスクとして特定し、対策を検討しています。

 

気候関連リスクは、リスクマップの11の主要なリスクカテゴリのうち主に、「自然災害」「バリューチェーン」「環境と安全性」で特定され、当社のERMにおいて、それらリスクの識別・評価・管理しています。

 

環境リスク管理の責任は、経営会議メンバーであり、リスク管理委員会の委員長である担当執行役員が担っています。担当執行役員は、経営会議で意思決定された事項に基づいて、リスク管理システムの監督を行っています。

 

気候変動に関連する取り組みについては、2020年1月に気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言に賛同しており、TCDFで推奨されているフレームワークに沿って情報開示を行い、ステークホルダーとの対話にも活用しています。

 


 

③ 戦略

当社は2030年に到達を目指すトップイノベーター像とそれを実現するための新たな成長戦略「TOP I 2030」を策定しています。その実現に向けた「成長基盤改革」の重点分野の一つに「環境」を設定し、2030年を最終年とする「中期環境目標2030」を推進しています。「中期環境目標2030」では、環境課題分析に基づき、マテリアリティとして特定した気候変動対策、循環型資源利用、生物多様性保全の3つの課題を重点分野として定め、以下の活動方針の下、積極的に環境保全活動に取り組んでいます。

 

 

・気候変動対策

世界的な環境コンセンサスと比較してよりチャレンジングな目標を掲げ、温室効果ガスの排出量の削減とエネルギーの効率的使用の実現に向けて、ロシュをはじめ外部パートナーやアカデミアとの連携による新たな環境対策の創出及び推進により、2030年フロン排出量ゼロ、2050年CO2排出量ゼロに取り組みます。

 

・循環型資源利用

廃棄物全体の削減目標だけでなく、主な海洋汚染源であるプラスチック廃棄物の削減についても目標を設定し、環境に配慮したプラスチックの共同技術開発やサーキュラーエコノミーに基づく事業活動の推進を通じ、廃棄物ゼロエミッションの実現に向けて取り組みます。加えて、水は製薬にとって重要な原材料の一つであり、世界的にも重要な資源であることから、水の使用量の削減・汚染防止に取り組みます。

 

・生物多様性保全

かけがえのない地球を次世代につなぐため、自然資本の保全・回復への取り組みに加え、研究開発型の製薬企業として多くの化学物質を取り扱っているため、事業活動における環境インパクトに応じた独自の目標を設定し、排水マネジメントや製品製造プロセスの検証も含めた有害化学物質削減に取り組みます。

 

④ 気候変動に関するリスクと機会のシナリオ分析結果

CO2排出量は事業から直接排出される排出量(Scope 1、Scope 2)は少なく、大半はサプライチェーンから排出される排出量(Scope 3)が多いことが特徴です。このような認識に基づき、シナリオ分析を実施しました。

 

・シナリオ分析の前提条件

中外製薬は、気候変動対策を検討するにあたって、脱炭素社会への移行に向けたシナリオについてIEAやIPCCが示す脱炭素への取り組みが進んだシナリオ(1.5℃)と緩和対策なく現状のまま社会が進むシナリオ(4℃)のそれぞれにおいて、どのようなビジネス上の課題が顕在化しうるかについて、全社を対象にシナリオ分析を行いました。

分析を行う対象は中外製薬グループ全体とし、原料調達を含めたサプライチェーン全体を考慮しています。また、当社では、シナリオを想定する上での時間軸としてはIPCCが報告書等においてマイルストーンとして設定する2030年ならびに2050年を見据えた分析を行っています。

 

・シナリオ分析の結果を受けての方向性

シナリオ分析の結果、特定された気候変動に伴う当社のリスクと機会は以下の通りです。特定されたリスクと機会を踏まえて、当社としては気候変動対策を積極的に推し進めるとともに、戦略や目標の設定において活かしていきます。

 


 

 

⑤ 指標及び目標

当社は、中長期的な視点をもって環境保全活動を推進しており、2020年に前中期環境目標の結果分析や社会からの期待・要望の変化を踏まえ、より長期視点かつ包括的で、ロシュ・グループの環境目標とも整合性を持たせた意欲的な「中期環境目標2030」を策定しています。

 


 

また、中期環境目標2030の達成に向けて、ビジネスの成長に必要な投資枠(成長投資)とは別に、環境投資枠(環境投資)を設定し、2022年から環境投資額を試算しています。環境負荷が相対的に大きい研究本部、製薬技術/生産技術本部における環境投資額は、累計で1,095億円と試算しています。詳細は、下記ページを参照ください。

 

「環境投資」ページ

https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/environment/investment.html

 

・気候変動対策に関する2022年の実績

Scope 1及び2のCO2排出量削減については、ロードマップに基づいたサステナブル電力の積極的な導入や営業車両燃料の電力化など具体的な施策を推進したことにより、2022年は2025年目標の「40削減」を前倒しで達成しました。2030年目標の実現に向けて、設備の電力化を推進するとともに、化石燃料と再生エネルギー由来の電力使用量の最適化などによる省エネルギー対策に取り組んでいます。また、CO2排出量削減は自社だけでなくサプライチェーン全体で取り組むことが重要であることから、Scope 3のCO2排出量削減目標を設定し、CO2排出量削減目標を設定していないサプライヤーに対し、削減目標設定・推進を働きかけています。

その他の取り組みとして、エネルギー消費量削減やフロン類使用量削減を推進しています。2022年のエネルギー消費量削減は、前年比-22%を実現しましたが、今後、化石燃料の電化によるエネルギー消費量の増加が見込まれるため、新技術の応用についても検討を進めていきます。また、CO2よりも地球温暖化への影響が大きいフロン類使用料については、2022年に竣工した中外ライフサイエンスパーク横浜の稼働により一時的に増加しましたが、自然冷媒の導入などの取り組みにより2030年までにフロンゼロを実現します。

 


 

 

なお、上記2022年実績における温室効果ガス排出量(Scope 1、Scope 2)については、KPMGサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証を受けています。2022年度のデータの詳細は、当社ホームページの「サステナビリティに関する方針、データ集2022」を参照下さい。2023年度の実績は、下記ページにて2024年5月頃公開を予定しています。

 

「サステナビリティに関する方針、データ集2022」ページ

https://www.chugai-pharm.co.jp/sustainability/data/policy.html