2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    5,474名(単体) 49,281名(連結)
  • 平均年齢
    43.3歳(単体)
  • 平均勤続年数
    14.6年(単体)
  • 平均年収
    10,813,000円(単体)

従業員の状況

 

5 【従業員の状況】

(1) 連結会社の状況

2024年3月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

医薬品事業

49,281

合計

49,281

 

 

(注) 1 従業員数は臨時従業員を除く正社員の就業人員数であります。なお、当社は工数換算ベース(※)で従業員数を把握しております。

  (※)正社員のうちパートタイム労働者がいる場合、フルタイム労働者に換算して人数を算出しております。

 

(2) 提出会社の状況

2024年3月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

5,474

43.3

14.6

10,813

 

 

セグメントの名称

従業員数(人)

医薬品事業

5,474

合計

5,474

 

 

(注) 1 従業員数は臨時従業員を除く正社員の就業人員数であります。なお、当社は工数換算ベース(※)で従業員数を把握しております。

  (※)正社員のうちパートタイム労働者がいる場合、フルタイム労働者に換算して人数を算出しております。

2 平均年間給与は、賞与および基準外賃金を含んでおります。

 

(3) 労働組合の状況

1948年に武田薬工労働組合連合会(1946年各事業場別に組織された単位組合の連合体)が組織されました。1968年7月に連合会組織を単一化し、武田薬品労働組合と改組いたしました。2024年3月31日現在総数4,028人の組合員で組織されております。

当社グループの労働組合組織としては、友誼団体として1948年に当社と資本関係・取引関係のある6組合で武田労働組合全国協議会が結成されました。その後、1969年に武田関連労働組合全国協議会(武全協)に改称、2006年に連合団体として武田友好関係労働組合全国連合会(武全連)を結成、2009年の武全協と武全連の統合(存続組織は武全連)を経て、2024年3月31日現在は当社および連結子会社である日本製薬株式会社を含む14の企業内組合(連合会含む)が加盟しております。

上部団体としては、武全連を通じて、連合傘下のUAゼンセンに加盟しております。

なお、労使関係について特記事項はありません。

 

 

(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

 ① 提出会社

当年度

管理職に占める
女性労働者の割合
(%)(注1)

男性労働者の育児
休業取得率(%)

(注2)

労働者の男女の賃金の差異

男性の賃金に対する女性の賃金の割合(%)(注1)(注3)

全労働者

正規雇用労働者

パート・

有期労働者

20

78

76.9

79.4

66.1

 

(注) 1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

3.2023年4月1日から2024年3月31日を期間とした平均年間給与(基本給、各種手当、超過労働に対する報酬、賞与等を含み、退職手当と通勤手当を除く)および平均従業員数に基づき算出しております。当社は同等の役割に対して公平に給与を支払うことを目指しており、一貫した等級構造、信頼できる調査会社による外部調査データ、および年次給与レビュープロセスを通じてこれを実行しております。女性労働者の平均賃金が男性労働者より低い理由は、主として上級職における女性労働者数が少ないことによるものです。当社では管理職やその他の上級職の女性の割合を増やすための取り組みと行動計画を策定しており、これにより長期的には賃金の差異が縮小することを見込んでおります。

 

 ② 連結会社

当年度

管理職に占める
女性労働者の割合(%)(注1)

43

 

(注) 1.当社グループ従業員の直属の上司である従業員を管理職に含めております。契約社員のみを管理する従業員は管理職に含めておりません。
上記指標の定義や計算方法は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)とは異なっております。

 

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

ガバナンス

当社の取締役会は、ビジネスリスクおよび財務開示に関連するものを含め、当社の業務運営を監督する責任を有しています。取締役会は、一定の意思決定権を当社の経営幹部に委譲しています。社長兼チーフ エグゼクティブ オフィサー(社長CEO)および当社グループ各機能を統括する責任者から構成されるタケダ・エグゼクティブ・チーム(TET)のメンバーは、ビジネス&サステナビリティ・コミッティー(BSC)およびリスク・エシックス&コンプライアンス・コミッティー(RECC)を含む特定の経営幹部レベルの委員会において、当社における重要事項について意思決定を行います。BSCは、サステナビリティを含む当社の事業戦略および関連する目標、コミットメントを監督する責任を有しています。RECCは、重要なリスクに対する緩和策を含む当社のエンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)プログラムおよびグローバル・モニタリング・プログラムに関連する監視および決定事項にかかる責任を有しています。取締役会は、社長CEO、その他のTETメンバーおよび各経営会議体から定期的に最新情報を入手しています。

BSCは、当社の3つのサステナビリティに係る約束である「Patient」(すべての患者さんのために)、「People」(ともに働く仲間のために)、「Planet」(いのちを育む地球のために)に基づき、特定のTETメンバーにサステナビリティ課題に対する一部の監督責任を委譲しています。「Patient」についてはグローバル ポートフォリオ ディビジョン プレジデントが、「People」についてはチーフ HR オフィサーが、「Planet」についてはグローバル マニュファクチャリング&サプライ オフィサーが、それぞれ責任を有しています。

当社のガバナンス体制のさらなる詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 3. 業務執行に係る事項」をご参照ください。

 

事業戦略

当社は、私たちの企業理念に基づいて、持続的な経営および成長を実現します。バイオ医薬品企業としての強みと能力を活かして、患者さん、株主の皆様、および社会のための長期的な価値を創造すると同時に、従業員、地域社会、および環境に良い影響をもたらし続けることで、当社の存在意義を果たしていきます。

当社は、「存在意義(パーパス)」を「目指す未来(ビジョン)」および「価値観(バリュー)」と融合させることで、不変の価値観に基づく持続的成長を目指しています。当社は、パーパスとビジョンを達成するためにどこに注力をするべきか(事業戦略)を「私たちの約束」および「優先事項」で定めています。私たちの約束は、「Patient すべての患者さんのために」、「People ともに働く仲間のために」、および「Planet いのちを育む地球のために」の大きく3つの柱に分けられており、データやデジタル、テクノロジーを活用しながら実行されています。これには、当社およびステークホルダーにとって戦略的重要性が高い非財務関連課題の評価(マテリアリティ・アセスメント)の結果が反映されています。

Patient すべての患者さんのために

当社は、科学的根拠に基づき、治療の選択肢が限られている患者さんをはじめ、すべての人々の暮らしを豊かにする医薬品の創出に取り組んでいます。これは、当社の存在意義(パーパス)の根幹となるものです。当社の研究開発(R&D)は、主要な疾患領域に焦点を当て、高度に差別化されています。私たちは、研究所の専門的な研究開発能力、社外とのパートナーシップ、患者団体との連携、健康の公平性への取り組み、およびデータ、デジタル、テクノロジーの活用などを通じて、当社製品を患者さんに提供しています。

私たちは、患者さんに高品質な医薬品を途絶えることなく供給する責任があることを理解しています。この責任を果たすために、堅ろうなグローバルサプライチェーンシステムを構築しています。戦略上、重要な製品および原薬については複数の調達先から購入し、調達方針についても地政学的リスクを考慮した戦略を有しています。

治療を最も必要とする患者さんに我々の医薬品を十分にお届けできなければ、科学的なイノベーションは大きな意味を成しません。高度な技術と意欲を持つ医療従事者やインフラの整備に加え、健全な医療財政、保険医療制度、そして科学的根拠に基づく政策によって支えられた最新の医薬品と医療技術の提供がなされなければ、患者さんに医薬品をお届けすることはできません。そのため、当社では次のことを実施しております。

・患者さんの医薬品アクセスを促進するために包括的な戦略を実施し、医療の価値(バリューベース・ヘルスケア)を促進するグローバルな政策やプログラムを支援しています。私たちは、最先端の治療がもたらす医学的・経済的な価値が十分に反映されながらも、患者さんがそれらの革新的な治療を公平かつ持続的にうけることができるエコシステムの構築に賛同しています。

・革新的な新製品を患者さんにお届けできるように、グローバルな製品(成長製品・新製品)を上市するにあたっては、国の経済レベルや医療制度の成熟度に応じて、国ごとに異なる価格帯を設定しています(ティアード・プライシング)。また、治療費を支払うことができない患者さんにも必要な医療を提供するために、医薬品アクセスプログラムを含む患者支援プログラムを提供しています。

・グローバルCSRプログラムを通じて、グローバル団体やNGO、NPOと連携して、低・中所得国の保健システム強化を支援しています。

私たちの医薬品はグローバルに上市されていますが、各エリアや国ごとに、状況に応じた最適な戦略を検討しています。私たちの価値観(バリュー)はグローバルで行う事業活動全体で浸透しているため、一刻を争う場合であっても、各地域の従業員は、患者さんに最も近いところで価値観(バリュー)に沿った意思決定を行い、私たちの医薬品をタイムリーに提供することができています。

当社の患者さんに対する取り組みの詳細は、2024年7月に当社ウェブサイトに掲載を予定している2024年統合報告書「PATINET すべての患者さんのために」をご参照ください。

 

People ともに働く仲間のために

当社は、科学技術がどれほど進歩しても、重要な変化は常に「人」によってもたらされることを認識しています。私たちの従業員はイノベーションの源泉であり、患者さん、株主、社会のために長期的な価値を創造することを可能にしています。当社は、すべての人々の暮らしを豊かにする医薬品を患者さんにお届けするため、多様性、公平性、包括性(DE&I)を受容する組織作り、従業員の学びや能力およびキャリアの成長を促す企業文化の醸成、また従業員の心身の健康と安心の向上に取り組むとともに、従業員のエンゲージメントを高める活動に注力しています。

人材の多様性、公平性、包括性(DE&I)

当社には、80を超える国と地域でさまざまな経歴や経験を持つ人々が集まっています。当社では、多様性を受け入れるとともに、患者さんや従業員がそれぞれの可能性を最大限に発揮できる機会に公平にアクセスできるように努めています。私たちのDE&Iに関する取り組みは、「患者さんを支える」、「インクルーシブな職場環境をつくる」、「人材の多様性を尊重する」、「社外へのインパクトを生み出す」を4つの柱として、価値観に基づくアプローチを取っています。当社は、DE&Iへの投資を拡大しており、その一例として、グローバルDE&Iカウンシルを、戦略的な方向性の策定、関係構築、またグローバル規模での健康格差や不平等さを認識し、それに対処するための取り組み支援に重点をおいたものへと発展させています。

グローバルレベルではジェンダーダイバーシティに取り組んでおり、2024年3月31日時点で、グローバル全体における管理職に占める女性の割合は43%となっています。また、2024年4月1日時点で、当社のTETメンバー17名のうち、女性が9名(53%)を占めています。当社の各事業部門や拠点では、グローバルDE&Iの目標やロードマップに沿ってそれぞれ独自のDE&I目標や戦略、プログラムを設定して事業運営に反映させています。当社は、今後も、性別、国籍、年齢および経歴の観点から人材の多様性の促進に努めてまいります。

人材の育成と企業文化の醸成

生涯学習およびキャリア成長への取り組みは、従業員の職務経験、モチベーションおよび専門性を高め、新しい発想につながり、結果的に患者さんへの価値創造につながります。当社では、従業員に対して、学習ツールや最新のテクノロジー、コンテンツ、サポートを提供することで、必要な知識や学びたい知識を、必要な時に最適な形で習得できるよう、学びをカスタマイズできるようにしています。従業員の学びをサポートする形態の一つは、実際の体験を通じて学びを得るよう支援することであり、例えば、職場での研修プログラムにおいて、シニアメンバーが主導するプロジェクトに参加、貢献していく過程で貴重なスキルを身につけられるよう支援しています。当社では、従業員自らがキャリア成長を定義し、主体的に行動することを促しており、その過程でリーダー、同僚、メンターの支援を受けられるようにしています。2024年1月には、全従業員がタケダの中で自身の成長機会を見出し、キャリアを伸ばすことができるよう、AIを活用したプラットフォーム 「Career Navigator」 を導入しました。「Career Navigator」は、従業員が入力した自身のキャリア目標や関心のある分野に基づいて、社内でのキャリア機会を提案したり、足りないスキルを得るための学習機会を特定したり、また成長を促すためにメンターを紹介します。

当社では、現在の製薬業界に影響をもたらしている急速な技術発展を活用するため、そして未来のヘルスケアに対応できる組織にするため、従業員のデジタルスキルの強化に努めており、自動化プログラムや、コンテンツの作成および収集、生成AIなど従業員がデジタル技術のスキルを向上することができるよう、事業部門や機能全体でスキル向上の機会を提供しています。さらに、当社では、デジタルに精通した人材を育成するため、複数のイノベーション能力センターを立ち上げています。これらは、データとデジタルに関する能力を有した人材を社内で調達できるようにするためであり、タケダの事業全体を対象に、デジタルソリューションの構築および管理を行っています。これにより、社外への依存度を減らしつつ、医療従事者や患者さんとのコミュニケーション方法を改善するとともに、医療従事者や患者さんがタケダの製品やサービスをより簡単に利用できるようにしています。

当社は、革新的な医薬品を創出し患者さんにお届けするという価値観に基づき、デジタルスキルを含め、生涯学習およびキャリア成長を促進する企業文化を醸成することに取り組んでいます。

社内環境整備方針

「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」という当社の存在意義(パーパス)は従業員が心身ともに健康であることを前提に実現されるものです。当社は、精神面、身体面、経済面、社会面の4つの分野から従業員の心身の健康に焦点を当てています。これらの分野をサポートする中で、従業員からのフィードバックを取り入れ、当社では長期的かつグローバルなウェルビーイングの戦略的取り組みとして、「ライフ・ワーク・アライメントの更なる推進」、「グローバルに展開しているプログラムおよび福利厚生への公平なアクセス」を設定しました。ライフ・ワーク・アライメントは従業員が新しいよりフレキシブルな勤務形態に適応する上で最も考慮すべき点であり、顔を合わせて行う協働と在宅勤務を両方取り入れるなど、従業員の能力を最大限に引き出すために多様な働き方を尊重しています。具体的な勤務形態はチームによって異なりますが、オフィスの空間デザインにも工夫を凝らし、従業員のウェルビーイング(心身の健康)とパフォーマンスを向上させ、柔軟性があり、対面でのコミュニケーションの価値を実感できるような環境づくりを行うなど、働き方改革を加速させています。また、レジリエンス(回復力)のスキルを強化するための学習プログラムを活用し、メンタルヘルスについて話すためのツールをマネージャーに提供しています。

当社の人材、DE&I、人材育成と企業文化の醸成、および社内環境整備にかかる方針のさらなる詳細は、2024年7月に当社ウェブサイトに掲載を予定している2024年統合報告書「PEOPLE ともに働く仲間のために」をご参照ください。

 

Planet いのちを育む地球のために

当社は、気候変動や生物多様性の喪失が患者さんや人々の健康に影響を及ぼすことを理解し、環境の分野において積極的に取り組んでいます。当社は、事業活動およびバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量の最小化、自然および生物多様性の保全、ならびに持続可能性に配慮した製品設計および生産に重点を置いて、環境サステナビリティ活動に取り組んでいます。「Planet」に係る取り組みは、現在、EHS(環境、健康・衛生、安全)のチームが管理する、環境サステナビリティの様々な側面に専念した3つのプログラムで構成されています。

•気候変動対策プログラム

2035年までに自社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量(スコープ1および2)を、2040年までにバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(スコープ3)をネットゼロにします。

 

•環境配慮設計プログラム

製品の設計やパッケージのデザイン、開発において、ライフサイクルのあらゆる側面で持続可能性に配慮した意思決定を取り入れることによって、バリューチェーン全体で環境負荷を最小限に抑えることを目指します。

・天然資源保全プログラム

水の保全、責任ある廃棄物処理、生物多様性保全活動などを通じて、事業の環境負荷の低減を目指します。

 

当社は、気候変動に関連したリスクに対するレジリエンスの強化および機会の特定に積極的に取り組んでいます。気候変動による物理的リスクおよび移行リスクの評価と管理は、EHSチームが主導し、組織全体のリスク管理フレームワークに組み込んでいます。事業場に固有の気候変動による業務運営リスクは、事業所や施設レベルのリスク評価からボトムアップのアプローチにより特定しています。また、サプライチェーンにおけるリスクは、第三者リスク管理プログラム(TPRM)を利用したサプライヤーのスクリーニングを通じて特定しています。深刻な物理的リスクの上昇を軽減する取り組みとして、エネルギーの保全、また、可能な場合には再生可能エネルギーに移行することを通じて、温室効果ガスによる環境負荷を抑える活動を推進しています。また、サプライチェーンにおける物理的リスクに対しては、サプライチェーンにおける許容できないリスクの発生を防ぐために、主要サプライヤーの気候変動関連リスクを評価しています。

当社は、2021年に、気候変動のリスクと機会についてシナリオ分析を実施しました。当シナリオ分析は、一定の直接的な事業活動のみを対象とし、2030年までの時間軸と2050年までの時間軸について、気候変動に対する世界の対応レベルの違いによって異なる3つの気候変動シナリオ(すなわち、「気候変動追加対策なし(No Action)」「対応中(Middle of the Road)」「積極的緩和策(Aggressive Mitigation)」)を設定しています。結果として、当社が事業を展開している様々な地域における気候変動の傾向予測や気候変動に起因する特定の災害の発生予測について知見を得ることができましたが、個別の事業場に特有の具体的な条件は一部考慮しませんでした。

このプロセスを通じて、当社に適用され得る幾つかの気候変動のリスクと機会を特定することができました。モデル化されたシナリオに基づく当社の直接的な事業活動に係る潜在的なリスクと影響は下表のとおりです。

リスクの種類

リスクの

内容

積極的緩和策ありのシナリオ下での潜在的な影響

気候変動追加対策なしのシナリオ下での潜在的な影響

物理的

リスク(急性)

極端な雨天

主に極端な雨天による事業運営費や生産性に対する影響は限定的。特定のヨーロッパ諸国は高リスクにとどまる見込み(年間10.2%以上、極端な雨天の日数が増加)。

事業活動中断のエクスポージャーの高まり(事業運営費や生産性の損失)。

ヨーロッパとアメリカは、極端な雨天の日数が年間10.2%以上増加し高リスクにあり、エクスポージャーの最も大きな割合を占める。また、ヨーロッパとブラジルは、山火事による損失も予測され、厳しい山火事発生の日数により高リスク(年間10日以上増加)。

事業活動中断や施設の損害、保険費用の増加を予想。沿岸地域にある事業場は台風やその他の極端な天候事象の影響を受ける特有のリスクの可能性。

山火事

 

 

リスクの種類

リスクの

内容

積極的緩和策ありのシナリオ下での潜在的な影響

気候変動追加対策なしのシナリオ下での潜在的な影響

物理的

リスク
(慢性)

猛暑

事業運営費や生産性に対する影響は限定的(海面上昇と水ストレスはモデル化されていない)。特定のヨーロッパ諸国、日本、アメリカ、ブラジルは中程度のリスクにあると予測(年間11日から27日の厳しい熱波日数の増加)。

主に猛暑による事業活動中断のエクスポージャーの高まり(事業運営費や生産性の損失)。特定のヨーロッパ諸国、日本、アメリカ、ブラジルは、猛暑の高リスク(年間27日以上の厳しい熱波日数の増加)。

さらに、特定のヨーロッパ諸国、日本、ブラジルは、海面が上昇(0.29メートル以上)すると予測。既存の高い水ストレス地域(アメリカ、ドイツ、ブラジル)は継続し、中国、ベルギー、アイルランドも水ストレスレベルの上昇を予測。

水ストレスは、水処理/節水のアップグレードに適応し実施するため、投資や事業運営費の増加をもたらす可能性。

海面上昇

水ストレス

移行

リスク

炭素税/規制/政策

炭素価格制度によるコスト上昇の影響を受ける可能性。炭素価格は経時的に大幅に上昇することが予測されるも脱炭素化の取り組みにより影響を軽減できる見込み。

炭素価格制度によるコスト上昇の影響は最小限に抑えられると予測し、炭素価格は全体的にほぼ横ばいの見込み。

エネルギー市場

エネルギー価格は全体的にほぼ横ばいを予測。

全体的にエネルギーコストの増加に直面し得るも、エネルギー需要削減の取り組みにより影響を軽減できる可能性。

 

 

上述のモデル化されたリスクと影響に加えて、2021年の評価の一環として、当社と第三者の情報を組み合わせた気候変動によるリスクと影響の定性的分析も実施しました。この分析により、地球温暖化による疾病の増加が、従業員や血漿のドナーへの影響を含め、当社の事業活動のリスクになり得ることが特定されました。また、特に「気候変動追加対策なし」のシナリオにおいて、当社のデング熱ワクチンであるQDENGAの市場を拡大する可能性も特定されました。さらに、当社の気候変動対策の目標達成の成否によって、従業員、健康保険事業の運営主体(保険者)およびその他のパートナーを含むステークホルダーとの関係に影響を与える可能性のある社会的信頼に係るリスクと機会も特定されました。

当社は、これらのリスクを軽減するために取り得る追加の手段を特定するとともに、潜在的な気候変動のリスクに対する理解を深めるため、継続的に前提条件を見直し、分析を更新し、リスク評価の範囲を拡大していく方針です。

リスク管理

リスク管理は、当社で働く人材、資産、社会的評価・評判(レピュテーション)を守り、当社の成長と成功に向けた長期的な戦略を支える柱となります。これまでに特定されたサステナビリティに関連するリスクは、既存のグローバルおよび事業場レベルのリスク管理プロセスを通じて対処されています。

全社的なリスク管理プロセスは、取締役会の監督のもとチーフ・エシックス&コンプライアンス・オフィサーが統括しています。また、主要な全社的リスクおよびそれらのリスクの発生防止・低減措置の実効性は、RECCおよび取締役会によって毎年承認されています。

リスク管理は全社的な事業体制に組み込まれており、全社的リスク評価プロセスによって、サステナビリティに関連するリスクを含めたリスクを識別、評価し、またそのリスク低減施策を実施しています。このプロセスは、リスクの全体像を把握し、リスクに基づいた意思決定を行う企業風土を醸成するようデザインされています。関連する各部門は、担当領域ごとに主要なリスクとその対応への責任を担っています。

当社のリスク管理プロセスのさらなる詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要 3. 業務執行に係る事項 <内部統制システムに関する基本的な考え方とその整備状況> ③損失の危険の管理に関する規程その他の体制」をご参照ください。

 

指標および目標

当社は、企業理念に基づく行動を通して、長期的な価値の創造を目指しています。関連する部門で働く従業員が意見を出し合って「企業理念に基づく私たちの指標(corporate philosophy metrics)」を策定しました。従業員は、各評価指標の進捗状況を「企業理念ダッシュボード」でいつでも確認できるようになっています。透明性の高い情報共有は、従業員一人ひとりがタケダの持続的な成長に責任を持ち、社外ステークホルダーとの信頼関係の構築を促します。

Patient すべての患者さんのために

当社は、科学的根拠に基づき、治療選択肢の限られた患者さんや地域社会にとって、暮らしが豊かになる医薬品の創出に取り組んでいます。これは、当社の存在意義(パーパス)の根幹となるものです。当社の研究開発(R&D)パイプラインは、主要な治療領域に焦点を当て、高度に多様化されています。私たちは、研究所の専門的な研究開発能力、社外とのR&Dパートナーシップ、患者団体との連携、健康の公平性への取組み、およびデータ、デジタル、テクノロジーの活用などを通じて、当社製品を患者さんに提供しています。

当社は、革新的な医薬品へのアクセスをより多くの人々に拡大しています。

重要性

指標

2022年度

2023年度

Patient
 すべての患者さんのために

タケダでは、患者さんをすべての行動の中心に置いています。革新的かつ安全な治療薬やワクチンを創出して手の届きやすい価格でお届けし、あらゆる患者さん、地域社会、国に貢献することが、長期的な成功につながると信じています。私たちは、製品を迅速に市場に投入することで、競争優位性を生み出しています。医療従事者、顧客、規制当局、患者さんを含むステークホルダーからの信頼を築いて維持することも、持続可能な事業を運営していく上では不可欠です。そのために、償還プログラムや患者支援プログラムを通じて、タケダの製品を誰もが手の届きやすい価格で利用できるようにすることに注力しています。さらに、臨床試験結果や査察結果の開示によって透明性を確保すること、そして医薬品を持続的に安定供給することも極めて重要です。

医薬品候補マイルストーンの達成
薬事承認件数およびピボタル臨床試験開始件数

18

29

臨床試験結果の公開
公開されている登録サイトに結果概要が適切なタイミングで公開された臨床試験の割合

100%

100%

医薬品の持続的な安定供給
指定納期に基づき発注数量通りに出荷した注文書の割合

99.3%

99.1%

健全な製造工程の維持
重要な指摘事項のなかった規制当局による査察の割合

100%

100%

成長製品・新製品のアクセス向上(注2)

償還を通じて患者さんが製品にアクセスできる主要市場の数

ALUNBRIG

9

 

 

TAKHZYRO

9

TAKHZYRO

9

ALOFISEL

4

ALOFISEL

4

EXKIVITY

2

LIVTENCITY

6

LIVTENCITY

2

 

 

低・中所得国および医療システムが発展途上にある国における医薬品アクセスプログラムの強化

資力ベースの患者支援プログラムに新規に登録した患者さんの数

1,366

1,682

 

(注1)2023年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。その結果、同社より、2024年6月25日付ですべての重要な点において、会社の定める規準(2024年7月に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。

(注2)2023年度の初日時点で上市から5年を経過していない成長製品・新製品を対象としています。

 

 

 

People ともに働く仲間のために

私たちの成功の源は「人」にあります。どんなに先端技術が進化しようとも、基本は人が変革を推し進め、新たな未来を担います。人材を育成し、多様性をはぐくむ公平でインクルーシブな環境づくりと、従業員の身心の健康維持(ウェルビーイング)、そして生涯学習に投資することによって、従業員が一個人としても仕事においても充実感を得られるよう支援します。ともに働く仲間はイノベーションの源泉であり、患者さん、株主、そして社会のための長期的な価値創出を推し進める原動力です。

当社は、タケダで働く人々の 逆境に負けないしなやかな強さを高めることを最優先に考えています。

重要性

指標

2022年度

2023年度

People
ともに働く仲間のために

「世界中の人々の健康と、輝かしい未来に貢献する」という私たちの存在意義(パーパス)を果たすためには、優れたスキルを持ち、意欲にあふれた従業員が欠かせません。従業員一人一人のありのままの姿を尊重し、その心身の健康(ウェルビーイング)に投資する職場環境をつくることは、優秀な人材の確保と定着に役立ちます。タケダでは、従業員のデータ・デジタル&テクノロジーに関するスキルを高めることで、イノベーションを加速させ、患者さんと社会にさらに貢献しようとしています。また、多様な背景、文化、アイデンティティ、経験を持つ人々を集めることで、意思決定に幅広いステークホルダーの声を取り入れようとしています。これは、よりいっそう患者さんのニーズを満たす医薬品を開発することにもつながるのです。

従業員エンゲージメントの向上
従業員体験アンケートにおける、エンゲージメントに関する質問への回答の平均スコア(尺度:1~100) (注2)

79

77

従業員の心身の健康(ウェルビーイング)の向上
従業員体験アンケートにおける、ウェルビーイングに関する質問への回答の平均スコア(尺度:1~100) (注2)

68

67

DE&Iの推進(ジェンダー構成)
タケダ全体のジェンダーの内訳

48.0%(男性)
51.8%(女性)
0.2%(その他/ノンバイナリー)(注3)

48%(男性)
52%(女性)
0.1%(その他/ノンバイナリー)(注3)

先進的なテクノロジーに精通した人材のスキルアップ
2020年度Q1以降に先進的なデータとデジタルに関するトレーニングに1回以上参加した従業員の割合

37%

49%

 

(注1)2023年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。その結果、同社より、2024年6月25日付ですべての重要な点において、会社の定める規準(2024年7月に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。

(注2) この指標の測定方法は、従業員体験アンケートの結果をより幅広く反映させるために、「従業員体験アンケートの質問に対する好意的な回答の割合」から現在のものに変更されました。2022年度の数値は新しい測定方法に基づいて再計算しています。

(注3)ノンバイナリーとは、自身の性自認と性表現を「男性・女性」という2つの枠組みに当てはめようとしない人のことです。

 

Planet いのちを育む地球のために

当社は、気候変動に関する戦略を実施し、主要業績評価指標(KPI)や測定基準を決定、それらの進捗を管理するため「気候変動対策プログラム」を導入しています。この気候変動対策プログラムでは、直接的、間接的およびバリューチェーンにおける温室効果ガス排出量の最小化など、様々な目標に重点を置いています。

当社は、スコープ1および2の温室効果ガス排出量を、2025年度までに2016年度基準から40%削減する目標を2020年に設定しました。また、排出量の67%を占めるサプライヤーが2024年度までに科学的根拠に基づく目標を設定する目標も設定しました。これらの目標はSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアチブ)の認証を取得しました。2022年には、2035年までに当社の事業活動に起因する温室効果ガス排出量(スコープ1および2)を、2040年までに当社のバリューチェーン全体における温室効果ガス排出量(スコープ3の温室効果ガス排出量の見積もり(注1)を含む)をネットゼロ(注2)にする新しい目標を公表しました。これらのコミットメントは、必要とされる短期的な排出削減目標とともに、SBTi認証の申請を行っています。当社は、2022年度まで、カーボンニュートラルを維持してきましたが、2024年度からは、気候変動対策の目標としてのカーボンニュートラルからの転換を行いました。当社は、ネットゼロに焦点を当てる一環として、自主的炭素市場(Voluntary Carbon Market:VCM)を引き続き支援し、人々の健康に役立ち、SBTiの企業ネットゼロ基準に適合する自然を活用したカーボン除去のソリューションやプロジェクトに優先的に投資していきます。

(注1)実際のスコープ3の排出量は測定が困難であり不透明性が残ることからも、これらは取り組みを進めていく上で今後克服すべき重要な課題です。

(注2)当社は、SBTiの企業ネットゼロ基準に従ってネットゼロ排出量を定義しています。

 

スコープ

目標

2023年度実績
(1,000MTCO2e)*

スコープ1

2035年までに当社の事業活動における温室効果ガス排出量(スコープ1および2)のネットゼロを達成

279

スコープ2(マーケットベース)

33

スコープ3

2040年までに温室効果ガス排出量のネットゼロを達成

3,953

 

* 当社の温室効果ガス排出量を計算するための方法の詳細については、当社ウェブサイトのサステナビリティ情報開示のページに掲載している「環境・労働安全(EHS)指標の詳細情報(英語)」をご参照ください

 

重要性

指標

2022年度

2023年度

Planet
いのちを育む地球のために

グローバルなバイオ医薬品企業として、タケダは人々の健康と地球の健康が密接に結びついていることを理解しています。気候変動や生物多様性の減少といった世界規模の問題が、公衆衛生のみならず、事業活動への脅威ともなっています。私たちは気候変動と自然環境の保全に関する大きな目標のもと、私たちの価値観に沿って、常に患者さんを第一としつつ、当社の事業とバリューチェーンのあらゆる側面において環境の持続可能性を考慮しています。

スコープ1および2の温室効果ガス排出量の削減
スコープ1および2の温室効果ガス排出量の削減率(2016年比

34%

53%

スコープ3の温室効果ガス排出量削減に向けた取引先との協働
科学的根拠に基づく目標イニシアチブに整合した目標を設定している取引先によるスコープ3の温室効果ガス排出量の割合 

45%

56%

埋め立て廃棄物の削減
埋め立て以外で処理された廃棄物 

78%

78%

淡水資源の保全
淡水取水量の削減率(2019年比)

7.9%

4.9%

森林認証素材またはリサイクル素材による環境に配慮した包装の実現(注2)
タケダの二次および三次包装用の紙・板紙における、リサイクル素材または持続可能な森林認証を持つ素材の割合 

42%

53%

 

(注1)2023年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。その結果、同社より、2024年6月25日付ですべての重要な点において、会社の定める規準(2024年7月に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。

(注2) この指標の報告対象期間は2022年度です。2023年度のデータ収集プロセスは、2024年の秋に最終決定され、指標はその翌年の報告書に掲載される予定です。

 

ビジネス

重要性

指標

2022年度

2023年度

ビジネス

事業を成長させることは、患者さんや地域社会に長期的な価値を提供することにつながります。成長製品・新製品は将来の売上収益成長を牽引する存在であり、この指標はパイプラインからの製品の上市を成功させる私たちの能力を示しています。

成長製品・新製品のCore売上収益増加額
成長製品・新製品のCore売上収益増加額目標の達成率

96.1%

79.5%

 

(注1)2023年度の上表の各種指標については、KPMGあずさサステナビリティ株式会社より、国際監査・保証基準審議会(IAASB)によって発行されたISAE(国際保証業務基準)3000及びISAE3410に準拠した限定的保証業務を受けています。その結果、同社より、2024年6月25日付ですべての重要な点において、会社の定める規準(2024年7月に当社のウェブサイトに掲載予定)に従って算定され、表示されていないと認められる事項は発見されなかったとの結論を受領しております。

 

当社のサステナビリティへの取り組みのさらなる詳細は、2024年7月に当社ウェブサイトに掲載を予定している2024年統合報告書「サステナビリティにおける注力分野と指標」をご参照ください。