事業内容
セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります
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セグメント別売上構成
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セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
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セグメント別利益率
最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています
セグメント名 | セグメント別 売上高 (百万円) |
売上構成比率 (%) |
セグメント別 利益 (百万円) |
利益構成比率 (%) |
利益率 (%) |
---|---|---|---|---|---|
(単一セグメント) | 4,263,762 | 100.0 | 214,075 | 100.0 | 5.0 |
事業内容
3 【事業の内容】
当社グループは連結財務諸表提出会社(以下、「当社」)と連結子会社(パートナーシップを含む)169社、持分法適用関連会社16社を合わせた186社により構成されております。当社グループの主要な事業は、医薬品の研究、開発、製造および販売であり、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(がん)、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の主要ビジネスエリア(注)にフォーカスしております。研究開発については、「消化器系・炎症性疾患」、「ニューロサイエンス」、「オンコロジー」を重点疾患領域とした「革新的なバイオ医薬品」に、「血漿分画製剤」および「ワクチン」を加えた3つの分野に当社グループの研究開発分野を絞り込んでいます。また、当社グループは希少疾患に対してコミットしており、当社グループが探求している患者さんの人生を根本的に変えうるような医薬品の多くは、当社グループの重点疾患領域および血漿分画製剤領域における希少疾患を治療するものとなります。当社グループでは新たな研究開発能力、さらには次世代プラットフォームに対して社内および外部との提携によるネットワークを通じて投資し、データとデジタル技術を活用し、イノベーションの質を向上させ、実行を加速させています。
当年度末における、当社グループを構成している主要な会社の当該事業に係る位置付けの概要は次のとおりであります。なお、当社グループは、「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。
日本においては、当社が研究開発、製造および販売を行っております。
日本を除くその他の地域においては、各国に展開している子会社・関連会社が研究開発、製造および販売機能を担っております。これらのうち米国における主要な子会社は武田ファーマシューティカルズ U.S.A., Inc.、バクスアルタUS Inc.、米州武田開発センター Inc.等であり、欧州およびカナダにおいては、武田ファーマシューティカルズ・インターナショナル AG、武田 GmbH等です。またその他の地域における主要な製造および販売会社は武田(中国)国際貿易有限公司、武田 Distribuidora Ltda.等であります。
(注) 2025年3月期より、従来の「血漿分画製剤(免疫疾患)」は、それまで「希少疾患」に含まれていたファイバやCINRYZEなどのすべての血漿由来の製品を含め「血漿分画製剤」という名称とします。
また、2025年3月期より、それまで「その他」に含まれていたワクチンは、デング熱ワクチンQDENGAの戦略的重要性を踏まえ、主要ビジネスエリアの一つとして「ワクチン」と表示します。
以上で述べた事項の概要図は次のとおりであります。
業績
4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当年度の業績および財政状態は以下のとおりとなりました。
なお、当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントのため、セグメントごとの経営成績の記載を
省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
「(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」をご参照下さい。
③ 生産、受注及び販売の状況
(a) 生産実績
当年度における生産実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 生産実績金額は、販売価格によっております。
(b) 受注状況
当社グループは、主に販売計画に基づいて生産計画をたてて生産しており、一部の受注生産における受注高および受注残高の金額に重要性はありません。
(c) 販売実績
当年度における販売実績は次のとおりであります。
(注) 1 当社グループは「医薬品事業」の単一セグメントであります。
2 販売実績は、外部顧客に対する売上収益を表示しております。
3 主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 当年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
(a) 当年度の経営成績の分析
(ⅰ) 当社グループの経営成績に影響を与える事項
事業の概況
当社は、自らの企業理念に基づき患者さんを中心に考えるというバリュー(価値観)を根幹とする、グローバルな研究開発型のバイオ医薬品企業です。当社は、幅広い医薬品のポートフォリオを有し、研究、開発、製造、およびグローバルでの販売を主要な事業としており、消化器系疾患、希少疾患、血漿分画製剤(免疫疾患)、オンコロジー(がん)、およびニューロサイエンス(神経精神疾患)の5つの主要ビジネスエリア(注1)にフォーカスしています。研究開発においては、消化器系・炎症性疾患、ニューロサイエンス、およびオンコロジーの3つの重点疾患領域に取り組むとともに、血漿分画製剤とワクチンにも注力しています。当社は、研究開発能力の強化ならびにパートナーシップを推し進め、強固かつ多様なモダリティ(創薬手法)のパイプラインを構築することにより、革新的な医薬品を開発し、人々の人生を豊かにする新たな治療選択肢をお届けします。当社は、患者さんやコミュニティに高品質の医薬品やワクチンをできる限り早くお届けするために、希少疾患および有病率がより高い疾患のいずれにおいても、未だ有効な治療法が確立されていない疾患に対する高い医療ニーズ(アンメット・メディカル・ニーズ)に集中して取り組んでいます。当社は、約80の国と地域で医薬品を販売しており、世界中に製造拠点を有するとともに、日本および米国に主要な研究拠点を有しています。
当社はこれまで、地理的拠点の拡大、消化器系疾患、オンコロジー、ならびにニューロサイエンス領域を強化するとともに、希少疾患および血漿分画製剤での主導的地位を構築し、ベスト・イン・クラスあるいはファースト・イン・クラスになり得るパイプラインの強化にも取り組んできました。販売においては、米国、欧州および成長新興国におけるプレゼンスを飛躍的に向上させました。また、当社は事業運営をより効果的かつ効率的に行うため、データ、デジタルおよびテクノロジーの活用を促進し、イノベーションの創出の増進およびステークホルダーへの価値提供に取り組んでいます。
当社グループの事業は単一セグメントであり、資源配分、業績評価、および将来業績の予測においてマネジメントの財務情報に対する視点と整合しております。2024年3月期における売上収益および営業利益はそれぞれ4兆2,638億円および2,141億円であります。
(注1)2025年3月期より、従来の「血漿分画製剤(免疫疾患)」は、それまで「希少疾患」に含まれていたファイバやCINRYZEなどのすべての血漿由来の製品を含め「血漿分画製剤」という名称とします。また、2025年3月期より、それまで「その他」に含まれていたワクチンは、デング熱ワクチンQDENGAの戦略的重要性を踏まえ、主要ビジネスエリアの一つとして「ワクチン」と表示します。
当社グループの経営成績に影響を与える事項
当社グループの経営成績は、グローバルな業界トレンドや事業環境における以下の事項に影響を受けます。
特許保護と後発品との競争
医薬品は特に、特許保護や規制上の独占権によって市場競争が規制されることにより、当社グループの業績に貢献する場合があります。代替治療の利用が容易でない新製品は当社グループの売上の増加に貢献します。ただし、保護されている製品についても、効能、副作用や価格面で他社との競争が存在します。一方で、特許保護もしくは規制上の独占権の喪失や満了により、後発品が市場に参入するため、当社グループの業績に大きな悪影響を及ぼすことがあります。当社グループの主要製品の一部は、特許やその他の知的財産権保護の満了により、厳しい競争に晒されており、あるいは晒されると予想しております。以下は、過去2年間において、後発品またはバイオシミラーが発売された当社の一部の主要製品の業績を示しております。(「CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベース」の増減は、IFRSに準拠した指標ではありません。詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。)
(単位:億円、%以外)
2022年にベルケイドに含まれる有効成分であるボルテゾミブの特許権満了に伴う後発品の参入により、ベルケイドの売上収益が2023年3月期には278億円、2024年3月期には55億円までに減少しました。2023年8月には米国においてVYVANSEの特許権が満了しました。また、2023年2月にアジルバの後発品が日本の医薬品医療機器総合機構(PMDA)により承認されたことを受け(競合品の薬価収載は2023年6月に承認)、関連する国・地域において、両製品の売上収益が減少しました。VYVANSEの売上収益は2023年3月期の4,593億円から2024年3月期には4,232億円に減少し、アジルバの売上収益は2023年3月期の729億円から2024年3月期には336億円に減少しました。2025年3月期においても、両製品ともに減少傾向が続くと見込んでおります。
後発品を販売する他社が特許権の有効性に対する申し立てに成功する場合、もしくは想定される特許侵害訴訟に係る費用以上のベネフィットを前提として参入することを決定する場合があります。また、当社グループの特許権の有効性、あるいは製品保護に対する申し立てが提起された場合には、関連する無形資産の減損損失を認識する可能性があります。
新製品の開発・商業化および既存製品の拡大
当社は特に売上収益を伸長し、独占権喪失の影響を相殺することを目指しており、当社の事業において、新規のバイオ医薬品の開発・商業化のほか、既存製品の適応拡大および(または)地理的市場拡大による既存製品の拡大は重要な取組みです。これらの目標達成までのプロセスは長期にわたり多額の費用を伴い、多額の研究開発費が発生します。これらは当社の連結損益計算書上営業費用として計上しています。当社の研究開発の取組みに関する詳細については、本報告書の「6.研究開発活動」、製品に関連する研究開発費(償却および減損を含む)および無形資産の会計方針については、本報告書の「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針」をご参照ください。
当社は、当社のポートフォリオのうち、一部の製品を当社の成長製品・新製品として特定しております。特にライフサイクルの初期段階にある製品の多くは連結売上収益への貢献は限定的でありますが、当社の経営者はこれらの製品を将来の主要な成長ドライバーとしてモニターしており、これらの製品に関する情報は、当社が今後成長を見込んでいる領域を投資家に理解していただくにあたり有用であると考えています。当グループを構成する製品は随時変更され、臨床試験の結果や規制当局の認可取得等により、製品を追加または除外する場合があります。
2024年3月期において、当社は次の製品を成長製品・新製品として特定しました:ENTYVIO、アロフィセル、EOHILIA、タクザイロ、LIVTENCITY、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN・FLEXBUMINを含む)、アルンブリグ、EXKIVITY、FRUZAQLAおよびQDENGA
2024年3月期において、これらの成長製品・新製品は、当社の連結売上収益の43%を占める1兆8,330億円でありました。2024年3月期の内訳としては、ENTYVIOは8,009億円(当社の連結売上収益の19%)、当社の3つの免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトル)は6,446億円(当社の連結売上収益の15%)、アルブミン製剤は1,340億円(当社の連結売上収益の3%)、タクザイロは1,787億円(当社の連結売上収益の4%)となりました。また、2024年3月期にアロフィセルおよびEXKIVITYの治験が失敗し、これらの製品の商業的予測が変更されたため、2025年3月期の成長製品・新製品(注)から除外しております。一方、新製品FRUZAQLAおよびQDENGAは今後成長し、長期的に収益成長に大きく貢献すると見込まれるため、これらの製品を追加しております。変更後の成長製品・新製品は、2024年3月期における連結売上収益の43%を占める1兆8,260億円となります。
(注)本年次報告書日現在において、2025年3月期の成長製品・新製品は、以下のとおりです。
ENTYVIO、EOHILIA、タクザイロ、LIVTENCITY、アジンマ、免疫グロブリン製剤(GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む)、アルブミン製剤(HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含む)、アルンブリグ、FRUZAQLAおよびQDENGA
買収
当社グループは、研究開発能力を拡大し(新たな手法に展開することを含みます。)、新しい製品(開発パイプラインや上市済み製品)やその他の戦略的領域を獲得するために、新たな事業または資産を買収する可能性があります。同様に、当社グループの主な成長ドライバーに注力するため、また当社グループのポートフォリオを維持するために、事業や製品ラインを売却しております。
2023年2月、当社グループは、高度に選択的な経口アロステリックチロシンキナーゼ2(TYK2)阻害薬TAK‑279に関連する知的財産権およびその他の関連する資産を所有または支配する、Nimbus Therapeutics, LLC(以下、「Nimbus社」)の完全子会社であったNimbus Lakshmi, Inc.の全株式を取得しました。契約条件にもとづき、当社グループは一時金として40億米ドルを本取引完了後に支払い(注)、また、「TAK‑279」(Nimbus社における旧「NDI‑034858」)のプログラムから開発された製品の年間の売上高が40億米ドルと50億米ドルとなった場合には、それぞれにつき10億米ドルのマイルストンを同社に支払います。さらに、本取引に関連して、当社グループは、Nimbus社とBristol‑Myers Squibbおよびその子会社である Celgene Corporationとの間の2022年1月の和解契約におけるNimbus社の義務である「TAK‑279」のプログラムから開発された製品の開発、薬事規制上の承認、および売上に関するマイルストン支払い義務を引き受けることに合意しました。
これらの買収は企業結合または資産の取得として会計処理されております。企業結合の場合、取得した資産および引き受けた負債は公正価値で計上されております。当社グループの業績は、通常、棚卸資産の公正価値の増加や、取得した有形固定資産および無形資産の償却費により影響を受けます。また、資産の取得の場合、取得した資産は取引価格で計上されております。企業結合または資産の取得の対価が追加的な借入金で賄われている場合、支払利息の増加も当社グループの業績に影響を与えます。
買収および上記の影響により、当社グループの業績は期間比較ができない可能性があります。
(注)当社グループは、一時金40億米ドルのうち、2023年2月に30億米ドル、2023年4月に9億米ドル、2023年8月に1億米ドルをそれぞれ支払っております。
事業売却
買収に加え、当社グループは、主要な成長ドライバーに注力し、また長期借入金を速やかに返済するための追加キャッシュ・フローを創出するため、事業や製品ラインを売却しております。2023年3月期から2024年3月期および本報告書提出日時点において、重要な事業売却はありません。
原材料の調達による影響
重要な原材料を社内外から調達することができない場合に、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば、ヒト血漿は当社グループの血漿分画製剤において重要な原材料であります。血漿をより多く収集するため、調達および外部との契約を強化し、原料血漿の収集や血漿分画に関連する施設への委託、および規制当局から承認を受けることに成功するための取り組みを行っております。
外国為替変動
2023年3月期および2024年3月期において、当社グループでは日本以外の売上がそれぞれ87.3%、89.4%を占めております。当社グループの収益および費用は、特に当社の表示通貨である日本円に対する米ドルおよびユーロの外国為替レートの変動に影響を受けます。円安は日本円以外の通貨による収益の増加要因となり当社グループの業績に好影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の増加により相殺される可能性があります。とりわけ、2023年3月期および2024年3月期において、他の通貨に対する円安により、当社の売上収益はプラスの影響を受けました。反対に、円高は日本円以外の通貨による収益減少要因となり当社グループの業績に悪影響を及ぼしますが、日本円以外の通貨による費用の減少により相殺される可能性があります。前年度からの為替レートの変動が当社グループの業績に与える影響を投資家がより良く理解できるよう、当社グループは、補足的にCER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減を「CER」の表記で示しています。IFRSに準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減は「AER」の表記で示しています。CERベースの増減率に基づく対前年度の業績比較分析については、下記の「(ⅲ) 当年度における業績の概要」及び「(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要」をご参照ください。
また、「CERベースの増減」は、国際会計基準(IFRS)に準拠した指標ではありません。詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
なお、為替変動リスクを低減するため、当社グループは重要な一部の外貨建取引について、特定のヘッジ手段を利用しております。これには、主に個別に重要な外貨建取引に対する先物為替予約、通貨スワップおよび通貨オプションが含まれます。
季節的要因
当社グループの売上収益は、2023年3月期および2024年3月期において第4四半期に減少しています。これは、卸売業者は年末年始休暇に向けてあらゆる国・地域における在庫数を増やす傾向にあること、年間にわたって価格が上昇していること、暦年の年初の米国における保険の年間免責額の改定等によるものです。
(ⅱ) 重要な会計方針
当社グループの連結財務諸表はIFRSに準拠して作成されております。当連結財務諸表の作成にあたり、経営者は資産および負債の金額、決算日現在の偶発資産および偶発負債の開示、ならびに報告期間における収益および費用の金額に影響を及ぼす見積りおよび仮定の設定を行うことが求められております。見積りおよび仮定は、継続的に見直されます。経営者は、過去の経験、ならびに見積りおよび仮定が設定された時点において合理的であると判断されたその他の様々な要因に基づき当該見積りおよび仮定を設定しております。実際の結果はこれらの見積りおよび仮定とは異なる場合があります。
経営者の見積りおよび仮定に影響を受ける重要な会計方針は以下の通りであります。なお、見積りおよび仮定の変更が連結財務諸表に重大な影響を及ぼす可能性があります。
収益認識
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3 重要性がある会計方針 (5) 収益」をご参照ください。
のれんおよび無形資産の減損
当社グループは、のれんおよび無形資産について、資産の帳簿価額が回収不能であるかもしれないことを示す事象または状況の変化がある場合には、減損テストを行っております。のれんおよび償却開始前の無形資産については、年次および減損の兆候を捕捉した時点で減損テストを実施しております。2024年3月31日時点において、当社グループはのれんおよび無形資産をそれぞれ5兆4,101億円および4兆2,747億円計上しており、これは総資産の64.1%を占めております。
上市後製品に係る無形資産は特許が存続する見込期間または見込まれる経済的便益に応じた他の指標に基づき、3年から20年の耐用年数を用いて定額法で償却しております。仕掛研究開発品に係る無形資産は、特定の市場における商用化が規制当局により承認されるまで償却をしておりません。商用化が承認された時点で、当該資産の見積耐用年数を確定し、償却を開始しております。
のれんおよび無形資産は、通常、連結財政状態計算書上の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には減損していると判断されます。無形資産にかかる回収可能価額は個別資産、またはその資産が他の資産と共同で資金を生成する場合はより大きな資金生成単位ごとに見積られます。資金生成単位は独立したキャッシュ・インフローを形成する最小の識別可能な資産グループであります。のれんの減損テストは単一の事業セグメント単位(単一の資金生成単位)で実施しており、これはのれんを内部管理目的で監視している単位を表しています。回収可能価額の見積りには以下を含む複数の仮定の設定が必要となります。
·将来キャッシュ・フローの金額および時期
·競合他社の動向(競合製品の販売開始、マーケティングイニシアチブ等)
·規制当局からの承認の取得可能性
·将来の税率
·永続成長率
·割引率
将来キャッシュ・フローの金額および時期を見積るための重要な仮定には、研究開発プロジェクトの成功見込みおよび製品に係る売上予測があります。特にのれんにかかる回収可能価額の見積りにおいては、特定の製品に係る売上予測が重要な仮定となります。これらの仮定に影響を与える事象としては、開発の中止、大幅な上市の遅延、規制当局の承認が得られないことによる研究開発プロジェクトの失敗、もしくは一般的には新たな競合製品の販売開始や供給不足による、一部の上市後製品にかかる売上予測の低下があげられます。これらの事象が発生した場合、プロジェクト獲得以降に実施した当初もしくは事後の研究開発投資額が回収できない、もしくは見積った将来キャッシュ・フローが回収できない可能性があります。
これらの仮定に変更が生じた場合は、当該連結会計年度において減損損失およびのれんを除き減損損失の戻入れを認識しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 11 のれんおよび12 無形資産」をご参照ください。
訴訟に係る偶発事象
当社グループは、通常の営業活動において主に製造物責任訴訟および賠償責任訴訟に関与しております。詳細については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
偶発負債は、その特性から不確実なものであり複雑な判断や可能性に基づいております。訴訟およびその他の偶発事象に係る引当金を算定する際には、該当する訴訟の根拠や管轄、その他の類似した現在および過去の訴訟案件の顛末および発生数、製品の性質、訴訟に関する科学的な事項の評価、和解の可能性ならびに現時点における和解にむけた進行状況等を勘案しております。さらに、未だ提訴されていない製造物責任訴訟については、主に過去の訴訟の経験や製品の使用に係るデータに基づき、費用を合理的に見積ることができる範囲で引当金を計上しております。当社グループが関与する重要な訴訟のうち、それらの最終的な結果により財務上の影響が見込まれる場合であっても、その額について信頼性のある見積りが不可能な訴訟等については、引当金の計上は行っておりません。また、保険の補償範囲期間内である場合は保険による補償についても考慮しております。補償範囲の検討の際に、当社グループは、保険契約の制限や除外、保険会社による補償の拒否の可能性、保険業者の財政状態、ならびに回収可能性および回収期間を考慮しております。引当金および関連する保険補償額の見積りは、連結財政状態計算書上において負債および資産として総額で計上しております。2024年3月31日現在において、係争中の訴訟案件およびその他の案件について223億円の引当金を計上しております。
法人所得税
当社グループは、税法および税規制の解釈指針に基づき税務申告を行っており、これらの判断および解釈に基づいた見積額を計上しております。通常の営業活動において、当社グループの税務申告は様々な税務当局による税務調査の対象であり、これらの調査の結果、追加税額、利息、または罰金の支払いが課される場合があります。法律および様々な管轄地域の租税裁判所の判決に伴う法改正により、不確実な税務ポジションに関する負債の見積りの多くは固有の不確実性を伴います。税務当局が当社グループの税務ポジションを認める可能性が高くないと結論を下した場合に、当社グループは、税務上の不確実性を解消するために必要となる費用の最善の見積り額を認識します。また、未認識の税務上の便益は事実および状況の変化に伴い調整されます。これらの税務ポジションは、例えば、現行の税法の大幅改正、税務当局による税制または解釈指針の発行、税務調査の際に入手した新たな情報、または税務調査の解決により調整が行われる可能性があります。当社グループは、不確実な税務ポジションに係る当社グループの見積りは、現時点において判明している事実および状況に基づき適切かつ十分であると判断しております。
また、各報告期間の末日において繰延税金資産の回収可能性を評価しております。繰延税金資産の回収可能性の評価においては、予想される将来加算一時差異の解消スケジュール、予想される将来課税所得およびタックスプランニングを考慮しております。収益力に基づく将来課税所得は、主に当社グループの事業計画を基礎として見積られており、当該事業計画に含まれる特定の製品に係る売上収益の予測が変動した場合、認識される繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。過去の課税所得の水準および繰延税金資産が認識できる期間における将来の課税所得の見積りに基づき、実現する可能性が高いと予想される税務上の便益の額を算定しております。2024年3月31日現在における繰延税金資産を認識していない未使用の繰越欠損金、将来減算一時差異、および未使用の繰越税額控除はそれぞれ1兆1,861億円、2,631億円、および237億円であります。将来における見積りおよび仮定の変更は法人所得税費用に重要な影響を与える可能性があります。
事業構造再編費用
当社グループでは、費用削減に関連した取り組みに関連して事業構造再編費用が発生します。退職金が事業構造再編費用の主な内訳であり、事業構造再編に係る引当金は、事業構造再編に係る詳細な公式計画を策定し、かつ計画の実施や影響を受ける関係者への主要な特徴の公表を通じて、影響を受ける関係者に当該事業構造再編が実行されるであろうという妥当な期待を惹起した時点で認識しております。事業構造再編に係る引当金の認識には、支払時期や、事業再編により影響を受ける従業員数等の見積りが必要となります。最終的なコストは当初の見積りから異なる可能性があります。
2024年3月31日現在において、当社グループは、事業構造再編に係る引当金を121億円計上しております。事業構造再編に係る引当金の詳細および推移は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 23 引当金」をご参照ください。また、2024年5月9日に当社は、組織の機動性の向上・簡素化、調達モデルの改善、デジタル、自動化、人工知能(AI)技術の活用による生産性・効率性の向上の取り組みなど、効率化と収益性の向上を目指す複数年にわたる全社的なプログラムを実施することについて、公表しました。主に、2024年5月に公表した当該取り組みにより、2025年3月期に1,400億円の事業構造再編費用を計上することを見込んでおり、それ以降の年度においても減少はするものの、費用が発生する可能性があります。
(ⅲ) 当年度における業績の概要
前年度および当年度の連結業績は、以下のとおりとなりました。
本項において、前年度に対する、国際会計基準(IFRS)に準拠した実勢レート(Actual Exchange Rate)ベースの増減額および増減率は「AER」の表記で示し、国際会計基準(IFRS)に準拠しない恒常為替レート(Constant Exchange Rate)ベースの増減率は「CER」の表記で示しています。「CERベースの増減率」の定義については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
〔売上収益〕
売上収益は、4兆2,638億円(+2,363億円および+5.9% AER、+1.5% CER)となりました。これは主に、為替相場が円安に推移したこと、血漿分画製剤(免疫疾患)、消化器系疾患、希少疾患およびオンコロジー(がん)において事業が好調に推移したことによるものです。これらビジネスエリアでの増収は、ニューロサイエンス(神経精神疾患)の減収により相殺されました。当社の主要なビジネスエリア以外における減収は、主に日本において高血圧症治療剤アジルバの売上収益が減収となったこと、および日本における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)ワクチンによる売上貢献が減少したことによるものです。アジルバの売上は、336億円(△393億円および△53.9% AER、△53.9% CER)となり、日本において後発品の参入による影響を受け、減収となりました。
地域別売上収益
各地域の売上収益は以下のとおりです。
(単位:億円、%以外)
(注1) その他の地域は中東、オセアニアおよびアフリカを含みます。
当社グループの売上収益の大部分は、主要な医療用医薬品により占められております。当年度の各ビジネスエリアにおける主要製品の売上は以下のとおりです。
(注1)国内製品名:エンタイビオ
(注2)配合剤、パック製剤を含む。
(注3)一般名:pantoprazole
(注4)国内製品名:ビバンセ
(注5)翌年度より、従来の「血漿分画製剤(免疫疾患)」は、それまで「希少疾患」に含まれていたファイバやCINRYZEなどのすべての血漿由来の製品を含め「血漿分画製剤」という名称とします。また、「その他」に含まれていたワクチンは、デング熱ワクチンQDENGAの戦略的重要性を踏まえ、主要ビジネスエリアの一つとして「ワクチン」と表示します。この新区分を適用した場合、「希少疾患」の売上収益は当年度6,884億円、前年度6,398億円、「血漿分画製剤」の売上収益は当年度9,037億円、前年度7,654億円、「ワクチン」の売上収益は当年度504億円、前年度787億円、「その他」の売上収益は当年度3,157億円、前年度3,727億円となります。
各ビジネスエリアにおける売上収益の前年度からの増減は、主に以下の製品によるものです。
- 消化器系疾患
消化器系疾患領域の売上収益は、1兆2,162億円(+1,217億円および+11.1% AER、+4.7% CER)となりました。
当社のトップ製品である潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤ENTYVIO(国内製品名:エンタイビオ)の売上は、8,009億円(+982億円および+14.0% AER、+6.6% CER)となりました。米国における売上は、5,461億円(+542億円および+11.0% AER)となりました。この増収は、円安による増収影響、および炎症性腸疾患の主に潰瘍性大腸炎に対する生物学的製剤の新規投与の需要によるものです。欧州およびカナダにおける売上は、1,958億円(+334億円および+20.5% AER)となりました。この増収は、円安による増収影響、および皮下注射の使用拡大に伴い新規患者が増加したことによるものです。
短腸症候群治療剤GATTEX/レベスティブの売上は、1,193億円(+262億円および+28.1% AER、+22.7% CER)となりました。この増収は、主に米国、欧州および日本において需要が増加したこと、処方拡大(乳児までを対象とする適応拡大および地理的拡大)、および円安による増収影響によるものです。
酸関連疾患治療剤タケキャブ/VOCINTIの売上は、1,185億円(+98億円および+9.0% AER、+8.2% CER)となりました。この増収は、主に日本やブラジルおよび中国を含む成長新興国において本剤の売上が増加したことによるものです。
逆流性食道炎治療剤DEXILANTの売上は、453億円(△241億円および△34.7% AER、△39.6% CER)となりました。この減収は、米国における独占販売期間満了による影響、およびオーソライズド・ジェネリックのプログラム終了による影響によるものです。
- 希少疾患
希少疾患領域の売上収益は、7,707億円(+473億円および+6.5% AER、+4.1% CER)となりました。
希少血液疾患領域の売上収益は、3,053億円(+6億円および+0.2% AER、△2.9% CER)となりました。
血友病A治療剤アドベイトの売上は1,229億円(+47億円および+4.0% AER、+1.1% CER)となりました。この増収は、円安による増収影響、加えてブラジルおよび中国を含む成長新興国において本剤の売上が増加したことによるものです。
フォン・ヴィレブランド病治療剤ボンベンディの売上は、162億円(+40億円および+32.5% AER、+23.1% CER)となりました。この増収は、主に米国において需要が増加したことによるものです。
血友病Aおよび血友病B治療剤ファイバの売上は、405億円(△7億円および△1.8% AER、△5.3% CER)となりました。この減収は、主にブラジルにおける競合品の影響を受けたことによるものです。
血友病A治療剤RECOMBINATEの売上は、121億円(△7億円および△5.6% AER、△11.8% CER)となりました。この減収は、主に米国において次世代治療薬が市場浸透し本剤の需要が減少したことによるものです。
上記製品による増収は、その他の希少血液疾患の製品の減収影響により相殺されました。
希少遺伝子疾患およびその他の疾患領域の売上収益は、4,654億円(+467億円および+11.1% AER、+9.2% CER)となりました。
遺伝性血管性浮腫治療剤タクザイロの売上は、1,787億円(+269億円および+17.7% AER、+11.6% CER)となりました。上市以降の好調な売上推移の維持、小児適用など新たな患者層への拡大、診断率の上昇、予防投与向け市場の拡大、および円安による増収影響が継続的な成長に貢献しました。
移植後のサイトメガロウイルス(CMV)感染/感染症治療剤LIVTENCITYの売上は、191億円(+86億円および+81.7% AER、+68.7% CER)となりました。この増収は、主に米国において上市後、順調に市場浸透していることに加え、欧州において、引き続き販売エリアが拡大したことおよびマーケットアクセス(保険償還手続き)が迅速に進んだことによるものです。
ファブリー病治療剤リプレガルの売上は、736億円(+68億円および+10.2% AER、+15.1% CER)となりました。この増収は、主に成長新興国において堅調な需要が増加したことによるものです。
酵素補充療法のハンター症候群治療剤エラプレースの売上は、916億円(+62億円および+7.3% AER、+7.3% CER)となりました。この増収は、主に成長新興国において堅調な需要が増加したことによるものです。
- 血漿分画製剤(免疫疾患)
血漿分画製剤(免疫疾患)領域の売上収益は、8,186億円(+1,401億円および+20.7% AER、+14.4% CER)となりました。
免疫グロブリン製剤の売上合計は、6,446億円(+1,224億円および+23.4% AER、+16.8% CER)となりました。原発性免疫不全症(PID)と多巣性運動ニューロパチー(MMN)の治療に用いられる静注製剤GAMMAGARD LIQUID/KIOVIGおよび皮下注製剤であるキュービトルとHYQVIAの3つのグローバル製品の売上は、引き続きグローバルに需要が堅調に推移し供給量が増加したこと、皮下注製剤は静脈注射に比べ投薬の利便性が高いこと、また円安による増収影響により、前年度から2桁台の売上収益増収率となりました。
主に血液量減少症と低アルブミン血症の治療に用いられるHUMAN ALBUMINとFLEXBUMINを含むアルブミン製剤の売上合計は、1,340億円(+125億円および+10.3% AER、+5.9% CER)となりました。この増収は、主に中国における需要が増加したことによるものです。
- オンコロジー
オンコロジー領域の売上収益は、4,624億円(+236億円および+5.4% AER、+2.5% CER)となりました。
悪性リンパ腫治療剤アドセトリスの売上は、1,094億円(+255億円および+30.4% AER、+31.3% CER)となりました。この増収は、成長新興国および欧州における好調な伸長が牽引したことによるものです。
大腸がん治療剤FRUZAQLAの売上は、101億円となりました。FRUZAQLAは、2023年11月に米国において上市しました。
非小細胞肺がん治療剤アルンブリグの売上は、285億円(+80億円および+38.8% AER、+35.3% CER)となりました。この増収は、すべての地域において需要が堅調に推移したことによるものです。
白血病治療剤アイクルシグの売上は、547億円(+75億円および+15.9% AER、+7.5% CER)となりました。この増収は、円安による増収影響および米国における堅調な伸長によるものです。
多発性骨髄腫治療剤ベルケイドの売上は、55億円(△222億円および△80.0% AER、△81.3% CER)となりました。この減収は、米国において後発品が市場浸透したことによるものです。
多発性骨髄腫治療剤ニンラーロの売上は、874億円(△53億円および△5.7% AER、△9.2% CER)となりました。この減収は、円安による増収影響が一部相殺したものの、主に米国における競争激化の影響や需要減少の影響があったことによるものです。
- ニューロサイエンス(神経精神疾患)
ニューロサイエンス領域の売上収益は、6,270億円(△107億円および△1.7% AER、△7.8% CER)となりました。
注意欠陥/多動性障害(ADHD)治療剤VYVANSE/ELVANSE(国内製品名:ビバンセ)の売上は、4,232億円(△361億円および△7.9% AER、△14.1% CER)となりました。この減収は、米国において2023年8月から複数の後発品が参入したことによるものです。この減収影響は、欧州における成人向け市場の拡大や円安による増収影響により一部相殺されております。
ADHD治療剤ADDERALL XRの売上は、418億円(+132億円および+46.0% AER、+36.6% CER)となりました。この増収は、主に米国における後発品である競合他社の即放性製剤の供給不足による本剤に対する増収影響、および円安による増収影響によるものです。
ADHD治療剤インチュニブの売上は、336億円(+172億円および+105.2% AER、+100.8% CER)となりました。この増収は、主に2023年4月に日本における本剤に係る権利を買い戻したことによるものです。
〔売上原価〕
売上原価は、1兆4,267億円(+1,826億円および+14.7% AER、+9.8% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上および円安による為替影響によるものです。なお、この増加は、Shire社買収に伴い計上された棚卸資産の公正価値調整等にかかる非資金性の費用が減少したことにより一部相殺されております。
〔販売費及び一般管理費〕
販売費及び一般管理費は、1兆538億円(+565億円および+5.7% AER、+0.9% CER)となりました。この増加は、円安による為替影響およびデータ、デジタルおよびテクノロジーへの投資の増加によるものですが、様々な費用効率化の取り組みにより一部相殺されております。
〔研究開発費〕
研究開発費は、7,299億円(+966億円および+15.3% AER、+8.4% CER)となりました。この増加要因は主に、パイプラインへの研究開発投資および円安による為替影響によるものです。
〔製品に係る無形資産償却費及び減損損失〕
製品に係る無形資産償却費及び減損損失は、6,521億円(+1,097億円および+20.2% AER、+12.2% CER)となりました。この増加は主に、仕掛研究開発品および上市後製品に係る減損損失の増加、円安による為替影響に伴う無形資産償却費の増加によるものです。当期計上した1,306億円の減損損失には、主にクローン病に伴う複雑痔瘻治療剤アロフィセルの臨床第3相 ADMIRE-CD Ⅱ試験のトップライン結果を踏まえて計上した740億円の減損損失、非小細胞肺がん治療剤EXKIVITYの販売や開発活動を全世界で自主的に中止する決定を行ったことに伴い計上した285億円の減損損失、およびオンコロジーにおけるTAK-007やmodakafusp alfa(TAK-573)などの仕掛研究開発品の開発中止の決定により計上した減損損失が含まれておりますが、2024年2月に好酸球性食道炎治療剤EOHILIAが米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことによる357億円の減損損失の戻し入れを計上したことにより一部相殺されております。
〔その他の営業収益〕
その他の営業収益は、194億円(△60億円および△23.8% AER、△26.3% CER)となりました。
〔その他の営業費用〕
その他の営業費用は、2,065億円(+613億円および+42.2% AER、+34.5% CER)となりました。この増加は主に、事業構造再編費用、AbbVie, Inc.(以下、「AbbVie社」)との供給契約に関する訴訟について当期に計上した費用の増加、および主としてXIIDRA、EOHILIAに係る条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動による評価損によるものです。
〔営業利益〕
営業利益は、上記の要因を反映し、2,141億円(△2,764億円および△56.4% AER、△50.3% CER)となりました。
〔金融損益〕
金融収益と金融費用をあわせた金融損益は1,678億円の損失(+610億円および+57.1% AER、+78.3% CER)となりました。前年度からの損失の増加は主に、従来持分法を適用していた会社の買収に伴う投資の再測定に係る利益および当社が株式を保有する企業のワラントにかかるデリバティブの再測定によるプラス影響を前年同期に計上したこと、ならびにAbbVie社との供給契約に関する訴訟費用にかかる利息の計上や超インフレ会計による費用といった金融費用が増加したことによるものです。
〔持分法による投資損益〕
当年度の持分法による投資損益は、65億円の利益(+151億円、前年度は86億円の損失)となりました。
〔法人所得税費用〕
法人所得税費用は、△914億円(△1,495億円、前年度は581億円)となりました。この減少は主に、税引前当期利益の減少、および2014年にShire社がAbbVie社から受領した買収違約金の取り扱いに係る税務評価について、アイルランド歳入庁と和解したこと(以下、「AbbVie社からの違約金に関する和解」)に伴い和解金を超える部分の未払法人所得税を振り戻したことによる税金費用の減額635億円によるものです。これらの減少は、組織再編にかかる税金費用および繰延税金資産の回収可能性の評価の見直しと一部相殺されております。
〔当期利益〕
当期利益は、上記の要因を反映し、1,442億円(△1,728億円および△54.5% AER、△57.0% CER)となりました。
(ⅳ) 当年度におけるCore業績の概要
補足的分析:Core財務指標に基づく業績(IFRSに準拠しない指標)
IFRSに準拠して作成された業績に加え、当社グループは、補足的に、Core財務指標に基づく業績も表示しております。投資家におかれましては、 Core財務指標の定義、有用性の限界、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標への調整を含む、より詳細な情報については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。当社グループは、また、Core財務指標のCERベースの増減率についても表示しております。詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。
Core業績
〔Core売上収益〕
当年度のCore売上収益は、4兆2,638億円(+2,363億円および+5.9% AER、+1.5% CER)となりました。この増加は主に、為替相場が円安に推移したこと、および当社の事業を好調に牽引したタケダの成長製品・新製品(注)の売上収益、1兆8,330億円(+2,972億円および+19.3% AER、+12.8% CER)によるものです。
(注)当年度のタケダの成長製品・新製品
消化器系疾患:ENTYVIO、アロフィセル、EOHILIA
希少疾患:タクザイロ、LIVTENCITY、アジンマ
血漿分画製剤(免疫疾患):GAMMAGARD LIQUID/KIOVIG、HYQVIA、キュービトルを含む免疫グロブリン製剤、
HUMAN ALBUMIN、FLEXBUMINを含むアルブミン製剤
オンコロジー:アルンブリグ、EXKIVITY(グローバルに自主的な販売中止を決定)、FRUZAQLA
その他:QDENGA
〔Core営業利益〕
当年度のCore営業利益は、1兆549億円(△1,335億円および△11.2% AER、△13.3% CER)となりました。Core営業利益の内訳は以下の通りです。
報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。
〔Core売上原価〕
Core売上原価は、1兆4,263億円(+2,179億円および+18.0% AER、+13.0% CER)となりました。この増加は主に、製品構成の変動を含む主要なビジネスエリアの好調な売上および円安による為替影響によるものです。
〔Core販売費及び一般管理費〕
Core販売費及び一般管理費は、1兆530億円(+556億円および+5.6% AER、+0.8% CER)となりました。この増加は、円安による為替影響およびデータ、デジタルおよびテクノロジーへの投資の増加によるものですが、様々な費用効率化の取り組みにより一部相殺されております。
〔Core研究開発費〕
Core研究開発費は、7,296億円(+963億円および+15.2% AER、+8.3% CER)となりました。この増加要因は主に、パイプラインへの研究開発投資および円安による為替影響によるものです。
〔Core当期利益〕
Core当期利益は、7,569億円(△1,095億円および△12.6% AER、△15.0% CER)となりました。Core当期利益は、Core営業利益に基づき、以下の通り算出されます。
報告期間における上記項目の増減は以下の通りです。
〔Core金融損益〕
Core金融収益とCore金融費用をあわせた金融損益は、1,420億円の損失(+154億円および+12.2% AER、+13.9% CER)となりました。
〔Core持分法による投資損益〕
Core持分法による投資損益は、59億円(+57億円)となりました。
〔Core税引前当期利益〕
Core税引前当期利益は、9,188億円(△1,432億円および△13.5% AER、△16.0% CER)となりました。
〔Core法人所得税費用〕
AbbVie社からの違約金に関する和解の影響額635億円を除いたCore法人所得税費用は、1,619億円(△337億円および△17.2% AER、△20.2% CER)となりました。この減少は主に、税引前当期利益の減少によるものです。
〔Core EPS〕
当年度のCore EPSは、484円(△75円および△13.4% AER、△15.7% CER)となりました。
(b)当年度の財政状態の分析
〔資産〕
当年度末における資産合計は、15兆1,088億円(+1兆1,510億円)となりました。この増加は、のれん、有形固定資産および棚卸資産(+6,193億円、+2,985億円および+2,234億円)が、主に為替換算の影響によりそれぞれ増加したことによるものです。これらの増加は、現金及び現金同等物の減少(△757億円)と一部相殺されております。
〔負債〕
当年度末における負債合計は、7兆8,348億円(+2,317億円)となりました。当年度末における社債及び借入金合計は、4兆8,438億円(注)(+4,614億円)となり、この増加は、主に為替換算の影響およびコマーシャル・ペーパーが純額で増加したことによるものです。その他の金融負債合計の増加(+1,114億円)は、主に米国におけるリース期間延長および為替換算の影響によるものです。これらの増加は、繰延税金負債、未払法人所得税、および仕入債務及びその他の債務の減少により一部相殺されております。繰延税金負債の減少(△1,568億円)は、主に米国における無形資産の償却並びに研究開発費が税務上資産化および償却の対象とされた影響によるものです。未払法人所得税合計の減少(△1,426億円)は、法人所得税の計上によって一部相殺されているものの、主に法人所得税の支払いおよびAbbVie社からの違約金に関する和解を含む税務関連の和解に伴う取崩によるものです。仕入債務及びその他の債務の減少(△1,017億円)は、主に前年度にNimbus Therapeutics, LLC(以下、「Nimbus社」)から取得したTAK-279に関連する一時金の残額、および同じく前年度にHUTCHMED(China)Limited(以下、「HUTCHMED社」)と締結した独占的ライセンス契約に関連する未払金の支払いによるものです。
(注)当年度末における社債及び借入金の帳簿価額はそれぞれ4兆929億円および7,509億円です。なお、社債及び借入金の内訳は以下の通りです。
社債:
借入金:
当社は、2023年4月26日に、シンジケートローン1,000億円の満期返済を実行するとともに、同日付けで、2030年4月26日を返済期日とする新たなシンジケートローン1,000億円の借入を実行しました。また、2023年9月23日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高1,000百万米ドルについて満期償還を実行しました。さらに、2023年11月26日には、2018年11月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高500百万米ドルについて満期償還を実行しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は3,170億円となりました。
〔資本〕
当年度末における資本合計は、7兆2,740億円(+9,193億円)となりました。この増加は、主に円安の影響による為替換算調整勘定の変動によりその他の資本の構成要素が増加(+1兆12億円)したことによるものです。この増加は、当期利益の計上があったものの、主に配当金の支払いに伴う2,878億円の減少による利益剰余金の減少(△1,499億円)と一部相殺されております。
(c)流動性および資金調達源
資金の調達および使途
当社グループにおいて流動性は、主に営業活動に必要な現金、資本支出、契約上の義務、債務の返済、利息や配当の支払いに関連して必要となります。営業活動においては、研究開発費、マイルストン支払い、販売およびマーケティングに係る費用、人件費およびその他の一般管理費、原材料費等の支払いにあたり現金が必要となります。また、法人所得税の支払いや運転資金にも多額の現金が必要となります。
当社グループは、生産設備の能力増強・合理化、減価償却を終えた資産の入れ替え、業務管理の効率化等のために設備投資を行っています。無形資産に係る資本的支出は、主に第三者のパートナーから導入したライセンス製品に対するマイルストン支払い、およびソフトウェア開発費です。連結財政状態計算書に計上されている有形固定資産および無形資産に係る資本支出は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ8,987億円および4,967億円であります。また、2024年3月31日現在において、有形固定資産の取得に関する契約上のコミットメントは311億円であります。加えて、2024年3月31日現在において、無形資産の取得に関して契約上の取決めを有しております。無形資産に係るマイルストン支払いの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記32 コミットメントおよび偶発債務」をご参照ください。また、資本管理の一環として、当社グループは、資金需要、市場等の環境、またはその他の関連する要因に照らして、定期的に資本的支出の評価を行っております。
当社の配当金の支払額は、2023年3月期および2024年3月期において、それぞれ2,808億円および2,885億円であります。2024年3月期については、1株当たり年間配当金額を188円(中間配当金および期末配当金それぞれ94円)としましたが、2025年3月期については、中間配当金および期末配当金をそれぞれ98円ずつとし、年間196円とすることを目指しています。当社の配当政策については「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
当社グループは、有利子負債に対し元本と利息を支払う必要があります。2024年3月31日現在において、1年内に必要となる利息の支払額および負債の返済額は、それぞれ1,130億円、8,672億円であります。詳細は、「有利子負債および金融債務」をご参照ください。
当社グループの資金の主な調達源は、主に現金及び現金同等物、短期コマーシャル・ペーパー、コミットメントラインによる借入、グローバル資本市場における社債発行を含む長期債務による資金調達であります。さらに、当社グループは、コンティンジェンシーの調達源として、2023年3月31日および2024年3月31日現在において、金融機関から極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しております。
当社グループは、キャッシュ・フロー予測に基づき保有外貨を監視し、調整しております。当社グループの事業の大部分は日本国外で行っており、多額の現金を日本国外に保有しております。日本国内で必要なキャッシュ・フローを創出するために外貨を使用することは国内規制による影響を受ける可能性があり、また比較的影響は小さいものの、日本へ現金を移転することから生じる所得税による影響も受けます。
当社グループは、引き続き、資金調達の状況について注視しており、短期的には、一般的な市況による資金調達不足または流動性不足は現在見込んではおりません。なお、必要に応じた市場およびその他の供給源からの追加の資金調達力に加えて、当社グループの資本支出計画を必要かつ適切な範囲で見直すことによって、資金調達および流動性の需要を管理する場合があります。
2024年3月31日現在において、当社グループは、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた制限付き預り金1,078億円を含む、4,578億円の現金及び現金同等物と、7,000億円の未使用のバンク・コミットメントライン契約を保有しており、現在の事業活動に必要となる資金は十分に確保できていると考えております。また、当社グループは、事業活動を支えるため、持続的に高い流動性を保ち、資本市場へのアクセス拡大を追求していきます。
連結キャッシュ・フロー
連結キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
(単位:億円)
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
営業活動によるキャッシュ・フローは、7,163億円(△2,608億円)となりました。この減少は、主に引当金の変動により資産及び負債の増減額が減少、ならびに非資金項目およびその他の調整項目を調整した後の当期利益が減少したことによるものです。これらの減少は、その他(純額)の増加により一部相殺されております。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
投資活動によるキャッシュ・フローは、△4,639億円(+1,432億円)となりました。この増加は、主に無形資産の取得による支出が減少(+1,877億円)(注)したことによるものです。
(注)前年度のTAK-279取得に伴うNimbus社への支払いは30億米ドルであった一方、当年度のTAK-279取得に伴うNimbus社への支払いは10億米ドルおよびHUTCHMED社と締結したFRUZAQLAの独占的ライセンス契約に関連する支払いは4億米ドルとなりました。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
財務活動によるキャッシュ・フローは、△3,544億円(+3,547億円)となりました。この増加は、主に、当年度にコマーシャル・ペーパーにおける増加影響(+2,370億円)や、社債の償還による支出が純額で減少(+609億円)したこと、および社債に係る金利通貨スワップの決済が行われたことによるものです。
補足的分析:フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー(IFRSに準拠しない財務指標)
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)指標であります。詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
(単位:億円)
調整後フリー・キャッシュ・フローは、2,834億円(△1,628億円)となりました。この減少は、主に、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金の変動調整後の営業活動によるキャッシュ・フローの影響によるものです。この減少は、無形資産の取得による支出が減少したことにより一部相殺されております。
有利子負債および金融債務
2023年3月31日および2024年3月31日現在において社債および借入金はそれぞれ4兆3,823億円、4兆8,438億円であります。これらの有利子負債は、当社が発行した無担保社債、普通社債、バイラテラルローン、およびシンジケートローン、また、Shire社買収に必要な資金の一部を調達するための借入金、およびShire社買収により引き受けた負債、借り換えた負債を含み、連結財政状態計算書に計上されております。当社の借入金は主に買収関連で発生したものであり、季節性によるものではありません。
当社グループは、2023年4月26日に、シンジケートローン1,000億円の満期返済を実行するとともに、同日付けで、2030年4月26日を返済期日とする新たなシンジケートローン1,000億円の借入を実行しました。また、2023年9月23日には、2016年9月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高1,000百万米ドルについて満期償還を実行しました。さらに、2023年11月26日には、2018年11月に発行した米ドル建無担保普通社債の残高500百万米ドルについて満期償還を実行しました。なお、当年度末におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は3,170億円となりました。
2024年3月31日時点において、当社グループは一定の財務制限条項の含まれる長期融資契約を保有しております。当該財務制限条項の重要な条項は、毎年3月末および9月末において連結財政状態計算書における調整後純負債の過去12か月間の調整後EBITDA(調整後EBITDAは契約書にて定義されたもの)に対する比率が一定水準を上回らないことを求める財務制限条項が含まれています。2024年3月31日時点においては、2023年3月31日時点と同様に、当社グループは全ての制限条項を遵守しております。また、2019年に設定された7,000億円の未使用のコミットメントラインからの借入を制限する事象はありません。当コミットメントラインは、現在の期限は2026年9月であります。
当社グループは、短期の流動性の管理のため、日本の無担保コマーシャル・ペーパープログラムを保有しております。2023年3月31日現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は400億円、2024年3月31日現在におけるコマーシャル・ペーパーの発行残高は3,170億円となりました。当社グループは、さらに2023年3月31日および2024年3月31日現在において、極度額1,500億円および750百万米ドルの短期アンコミットメントライン契約を締結しておりますが、借入はしておりません。
社債及び借入金の詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
信用格付け
当社グループの信用格付けは、当社グループの財務の健全性、業績、債務の返済能力等に関する各格付機関の意見が反映されております。本報告書時点における当社グループの信用格付けは以下のとおりです。
この格付けは、社債の購入、売却、保有を推奨するものではありません。この格付けは指定された格付機関によって適宜改訂あるいは撤回される可能性があります。それぞれの財務の健全性レーティングは、独立評価されたものであります。
契約上の負債
2024年3月31日現在における契約上の負債は以下のとおりです。
(単位:億円)
(注1) 2024年3月31日現在における日本円以外の通貨建債務は、期末為替レートで日本円に換算しており、為替レートの変動により金額が異なる可能性があります。
(注2) 当社グループが関連する金融商品の財務制限条項違反を行った場合、返済義務が早まる可能性があります。
(注3) 利息支払義務を含みます。
(注4) 社債の契約額のうち、「1年以内」の金額には、劣後特約付きハイブリッド社債(以下、「ハイブリッド債」)元本全額を2024年10月6日の早期償還日において早期償還することが見込まれるため、当ハイブリッド債の元本5,000億円が含まれています。ハイブリッド債の元本および利息の詳細については、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 20 社債及び借入金」をご参照ください。
(注5) 2025年4月以降の年金および退職後給付制度への拠出額については、拠出の時期が不確実であり、利率、運用収益、法律およびその他の変動要因に依存するため、確定することはできません。
(注6) 確定給付債務、訴訟引当金および長期未払法人税等、時期を見積もることができない契約上の負債、また、金額が公正価値の変動により変化するデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債は含まれておりません。なお、2024年3月31日現在のデリバティブ負債および条件付対価契約に関する金融負債の帳簿価額は、それぞれ251億円および78億円であります。また、特定の将来の事象の発生に左右されるマイルストン支払いも含んでおりません。
(注7) 通常の事業活動における購買に関する発注は含んでおりません。
オフバランス取引
マイルストン支払
新製品の開発に係る第三者との提携契約に基づき、当社グループは、パイプライン品目の開発、新製品の上市および上市後の販売等にかかる一定のマイルストン達成に応じた支払義務が生じる場合があります。2024年3月31日現在における潜在的なマイルストン支払の契約金額は1兆3,314億円であります。これらは、潜在的なコマーシャルマイルストン支払を除いた金額であります。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 13 共同研究開発契約およびライセンス契約 および 32 コミットメントおよび偶発負債」をご参照ください。
補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)
特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしております。調整後純有利子負債、調整後EBITDAおよび調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率はすべて、IFRSに準拠しない財務指標です。社債および借入金から調整後純有利子負債への調整、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整等、最も良く対応するIFRS財務指標への調整を含む詳細については、「当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標」をご参照ください。各報告日現在における当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
当社グループが定義および表示するIFRSに準拠しない補足的財務指標
IFRSに準拠して表示される業績に加えて、当社グループは、IFRSに準拠しない(以下、「Non-IFRS」)補足的財務指標を表示しております。これらの財務指標には、CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減、Core財務指標、純有利子負債、調整後純有利子負債、EBITDA、調整後EBITDA、フリー・キャッシュ・フロー、調整後フリー・キャッシュ・フローが含まれます。
当社グループの経営陣は業績および財政状態の評価並びに経営及び投資判断を、IFRSに準拠した指標及び本セクションに記載のNon-IFRS財務指標に基づいて行っています。当社グループは、当社グループの経営成績および財政状態の分析における追加情報として、また、当社の経営陣が経営成績および財政状態をどのように評価しているかを投資家に理解いただくにあたり、両指標を表示しております。当社グループのNon-IFRS財務指標においては、最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標では含まれることとなる一定の利益、コスト、キャッシュ・フローまたは財政状態計算書上の項目を除外または調整しております。これらの財務指標は、IFRSに準拠するものではなく、補足的なものであり、また、IFRSに準拠した財務指標に代替するものではありません(IFRSに準拠した財務指標を「財務ベース」指標として参照している場合があります)。投資家におかれましては、当社グループの過去の財務諸表全体を確認し、IFRSに準拠して表示されている指標を当社グループの業績評価の主要な指標として使用することを強く推奨します。また、Non-IFRS財務指標の定義と、これらに最も良く対応するIFRSに準拠した財務指標との調整表を併せてご参照ください。さらに、これらのNon-IFRS財務指標に関する記載、特にこれらの財務指標の有用性の限界について把握し、製薬業界における他社が表示している、類似の名称を付した財務指標との相違についてご理解ください。
Core財務指標
当社グループのCore売上収益、Core営業利益、Core当期利益、Core EPSをはじめとするCore財務指標は、売却に伴う収益、獲得した資産に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非定常的な事象に基づく影響、企業買収に係る会計処理の影響や買収関連費用など、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除しています。Core売上収益は、財務ベースの売上収益から、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない重要性のある売上収益に係る影響を控除して算出します。Core営業利益は、財務ベースの営業利益から、その他の営業収益及びその他の営業費用、獲得した資産に係る無形資産償却費及び減損損失、その他、非資金項目または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。Core EPSは、財務ベースの当期利益から、Core営業利益の算出において控除された項目、および特別もしくは非定常的な事象に基づく影響、または当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除して算出します。これらには、条件付対価に係る公正価値変動(時間的価値の変動を含む)影響などが含まれます。さらに、これらの調整項目に係る税金影響を控除した後、報告期間の自己株式控除後の平均発行済株式総数で除して算出します。
当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が、当社グループの中核事業の本質的な業績に関連しない事象による影響を控除するものであり、当社グループ事業の本質的な業績を理解していただくにあたり有用であると考えているためです。控除される項目には、(i) 前年度から著しく変動する項目、もしくは毎年度発生するものではない項目、または(ii)当社グループの中核事業の本質的な業績の変動とはほぼ相関関係がないと認められる項目が含まれます。同様の指標は、同業他社においても頻繁に使用されていると認識しており、本指標を表示することは、投資家が当社グループの業績を過年度の業績と比較される際だけではなく、同業他社と類似の基準に基づき比較される際にも有用になると考えています。また、当社グループがCore財務指標を表示する理由は、これらの指標が予算の策定や報酬の設定(CEOおよびCFOのインセンティブ報酬を含む、当社グループの短期インセンティブ並びに長期インセンティブ報酬プログラムに係る一定の目標はCore財務指標の結果に関連して設定。「(4)役員の報酬等」をご参照ください)に用いられているためです。
投資家にとってのCore財務指標の有用性には、一例として、以下の限界があります。すなわち、(i) 製薬業界における他社を含む、他社において用いられている類似の名称を付した財務指標とは必ずしも同一ではありません、(ii) 無形資産の売却や償却などの非資金費用の影響を含む、当社グループの業績、価値又は将来見通しの評価において重要とみなされる可能性のある財務情報や事象が除外されております、(iii) 将来にわたって継続的に発生する可能性のある項目又は項目の種類が除外されております(ただし、当社グループの方針として、事業運営に必要な経常的に発生する営業費用の支出については調整しておりません)、(iv) 投資家が当社グループの業績を理解する上で重要とみなす可能性のあるすべての項目が含まれていない、又は、重要とみなさないであろうすべての項目が除外されていない場合があります。
下表は、各報告期間における、当社グループのCore財務指標とIFRSに準拠して作成し、表示された最も良く対応するIFRS財務指標との間の調整を示しています。これには、(i) Core売上収益とIFRSに準拠して表示された売上収益、(ii) Core営業利益とIFRSに準拠して表示された営業利益、および (iii) Core当期利益とIFRSに準拠して表示された当期利益が含まれます。
当年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次の通りです。
(単位:億円)
(注1) 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
(注2) その他の営業収益(営業費用)には、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、事業譲渡及び子会社株式売却益、寄付金、サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、売却目的で保有する資産の減損、訴訟引当金およびオプション権に係る評価損を含みます。
前年度の売上収益および営業利益からCore売上収益およびCore営業利益への調整は次の通りです。
(単位:億円)
(注1) 製品に係る無形資産には、仕掛研究開発品を含みます。
(注2) その他の営業収益(営業費用)には、条件付対価契約に関する金融資産及び金融負債の公正価値変動額、有形固定資産および投資不動産の売却損益、SHP647に関連する負債の取崩益、寄付金、サブリースに係る賃貸借料、事業構造再編費用、承認前在庫に係る評価損、売却目的で保有する資産の減損、訴訟引当金およびオプション権に係る評価損を含みます。
(注3) その他:売上原価には、COVID-19に係る費用および2019年3月期に完了したShire社の買収に関連する棚卸資産および有形固定資産の公正価値の費用化を含みます。
当年度の当期利益からCore当期利益への調整は次の通りです。
(単位:億円、%以外)
(注1) その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、並びにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益並びにその他の公正価値調整を含みます。
(注2) IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税金調整前Core利益に係る法人所得税費用(8,660億円)は2,533億円であり、Core調整に係る平均税率は29.2%でした。
前年度の当期利益からCore当期利益への調整は次の通りです。
(単位:億円、%以外)
(注1) その他:金融収益及び費用(純額)には、超インフレ経済下にあり、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の非資金項目に係る損失、並びにノン・コア取引に係る金融収益および費用を含みます。持分法による投資損益には、事業売却および清算に係る損益並びにその他の公正価値調整を含みます。
(注2) IFRS会計基準に基づく業績とCore業績との間の調整に係る税金は、当該調整が計上される管轄地域において項目に適用される法定税率を考慮しています。税金調整前Core利益に係る法人所得税費用(6,868億円)は1,376億円であり、Core調整に係る平均税率は20.0%でした。
CER(Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減
CER (Constant Exchange Rate:恒常為替レート)ベースの増減は、当期のIFRSに準拠した業績またはCore財務指標(Non-IFRS)について、前年同期に適用した為替レートを用いて換算することにより、前年同期との比較において為替影響を控除するものです。
当社グループがCERベースの増減を表示する理由は、変動する為替レートが当社グループの事業に与える影響を踏まえ、為替影響がなかった場合の経営成績の増減について投資家に理解していただくにあたり有用であると考えるためです。CERベースの増減は、当社グループの経営陣が経営成績を評価するに際して使用する主な指標になっています。また、製薬業界における各社が為替影響を調整した同様の業績指標を頻繁に用いているため、証券アナリスト、投資家その他の関係者が各社の経営成績を評価するに際しても、本指標が有用であると考えています。
ただし、CERベースの増減の有用性には、一例として次の限界があります。例えば、CERベースの増減は、前年度においてIFRSに準拠した業績を算定するために用いた為替レートと同一の為替レートを用いますが、そのことは必ずしも、当年度の取引が前年度と同一の為替レートで実施され得た、あるいは計上され得たことを示すものではありません。また、類似の名称の指標を用いている同業他社が、当社グループとは異なる方法で指標を定義し、算定している可能性があるため、そのような指標との比較可能性に欠け得るものです。従って、CERベースの増減はIFRSに準拠して作成、表示された業績と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。
以下は、対前年度の増減額を含む、IFRSに準拠して算定、表示された当社グループの経営成績であり、各項目についてCERベースの増減率を示しております。
CERベースの増減(IFRS)
(注1) 超インフレが発生し、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の業績については、前年同期の為替レートを用いるCERベースの増減計算において超インフレの影響が増大していることから、2024年度第1四半期より、CERベースの増減調整は行わないこととし、これら子会社に係るCERベースの増減は、IAS第29号に基づき報告された業績の変動と実質的に変わらないものとします。2023年度Core業績におけるCERベース増減率に当方法を適用した場合、売上収益、営業利益、および当期利益のCERベース増減率は、それぞれ△0.3%、△56.8%、および△55.7%となります。
CERベースの増減(Non-IFRS)
(注1) 超インフレが発生し、IAS第29号「超インフレ経済下における財務報告」が適用されている子会社の業績については、前年同期の為替レートを用いるCERベースの増減計算において超インフレの影響が増大していることから、2024年度第1四半期より、CERベースの増減調整は行わないこととし、これら子会社に係るCERベースの増減は、IAS第29号に基づき報告された業績の変動と実質的に変わらないものとします。2023年度Core業績におけるCERベース増減率に当方法を適用した場合、Core売上収益、Core営業利益、およびCore当期利益のCERベース増減率は、それぞれ△0.3%、△16.0%、および△17.0%となります。
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フロー
当社グループのフリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから有形固定資産の取得による支出を控除したものです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローから、有形固定資産の取得による支出、無形資産の取得による支出、投資の取得による支出及び当社が即時的または一般的な業務用に使用できないいかなるその他の現金の支出入を控除し、さらに、有形固定資産の売却による収入、投資の売却・償還及び取得による支出入、及び、事業の売却及び取得による支出入(取得及び処分した現金及び現金同等物の純額の控除後)を加味し、算出しています。
当社グループがフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローを表示する理由は、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられる流動性についての同様の指標として、これらの指標が投資家の皆様にとって有用であると考えるためです。調整後フリー・キャッシュ・フローは、流動性要件を満たす能力を測り、資本配分方針をサポートする指標として流動性及びキャッシュ・フローの評価を行うに際して、当社グループの経営陣によっても使用されています。また、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、投資家が、当社グループの戦略的な買収や事業の売却がどのようにキャッシュ・フローや流動性に貢献するかを理解される上で有用であると考えています。
フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローの有用性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の名称の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの、資本の使用又は配分を必要とする現在及び将来の契約上その他のコミットメントの影響は反映されていません、(iii) 投資の売却・償還による収入、事業の売却による収入、及び、売却による現金及び現金同等物の純額の加算分は、中核である継続的な事業からの収入を示すものではありません。フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは、IFRSに基づく指標である営業活動によるキャッシュ・フロー及びその他の流動性指標と切り離して考慮してはならず、また、 これらの代替と捉えてはならないものです。IFRSに準拠した指標の中で、フリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローは営業活動によるキャッシュ・フローが最も類似します。
下表は、2023年3月期および2024年3月期における、IFRSに準拠して表示された最も対応する指標である営業活動によるキャッシュ・フローからフリー・キャッシュ・フローおよび調整後フリー・キャッシュ・フローへの調整を示しております。
(単位:億円)
(注1) 当社が第三者に代わり一時的に保有していたキャッシュの調整は、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金の変動を指します。
(注2) 一部の重要性が低い取引を除き、無形資産の売却による収入は営業活動によるキャッシュ・フローに計上されているため、これらは別途調整されております。
EBITDAおよび調整後EBITDA
当社グループにおいて、EBITDAは、法人所得税費用、減価償却費及び償却費、並びに純支払利息控除前の連結当期利益を指します。また、調整後EBITDAは、減損損失、その他の営業収益・費用(減価償却費及び償却費を除く)、金融収益・費用(純支払利息を除く)、持分法による投資損益及び企業結合会計影響や取引関連費用などの当社グループの中核事業に関連しないその他の項目を除外するように調整されたEBITDAを指します。
当社グループがEBITDA及び調整後EBITDAを表示する理由は、これらの指標が証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行う際に頻繁に用いられるものであり、有用と考えられることにあります。 当社グループは、調整後EBITDAを主にレバレッジをモニターするために使用しております。「(c)流動性および資金調達源 補足的分析:財務レバレッジ(調整後有利子負債/調整後EBITDA倍率)(IFRSに準拠しない指標)」 および以下の「調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率」をご参照ください。また、調整後EBITDAは、継続的な事業に関連しない特定の事象(変化に富み予測が困難である一方で、経営成績に重大な影響を与える可能性があり、一定期間にわたる業績を一貫性をもって評価することが困難な事象)から生じる不透明さを排除することから、投資家にとって、事業の動向を把握するに際して有用な指標であると考えています。
EBITDA及び調整後EBITDAの有益性には、一例として次の限界があります。例えば、(i)同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです。また、(ⅱ)業績評価において重視され得る一定の財務情報、例えば、企業買収や無形資産の償却による影響を除外しています。さらに、(ⅲ)一定期間において継続して生じ得る一定の事項を除外しており、また、(ⅳ)投資家において当社の長期的な観点からの経営には無関係と捉え得る事項、例えば期中に売却した事業の影響を必ずしも除外していません。EBITDAおよび調整後EBITDAは、IFRSに準拠した指標である営業利益、当期利益、その他の業績指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。
下表は、2023年3月期および2024年3月期における、当期利益からEBITDAおよび調整後EBITDAへの調整を示しております。
(単位:億円)
(注1) その他の調整項目には、COVID‑19に係る費用、Shire社の買収で取得した棚卸資産の公正価値調整による利益への影響、調整後 EBITDAの算出にあたり除外された、売却した製品に係るEBITDAの調整を含みます。
調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率
当社グループは、純有利子負債を社債及び借入金の簿価に現金および現金同等物のみを調整した指標として定義しており、当社グループの調整後純有利子負債は、次のとおり算出しています。まず、連結財政状態計算書に記載されている社債及び借入金の流動部分と非流動部分合計を計算します。その上で、(i) 期初に残存する外貨建て負債を直近12か月の期中平均レートを用いて換算し、報告期間中に計上した新規の外貨建て負債および償還した既存の外貨建て負債については対応するスポットレートを用いて換算するものであり、当社グループの経営陣が当社グループのレバレッジをモニターするために使用する方法論を反映しています。また、(ii) S&Pグローバル・レーティング・ジャパンの格付手法に基づく株式に似た特徴を評価して、S&Pグローバル・レーティング・ジャパンが発行した当社グループの劣後特約付きハイブリッド債に対して、50%のエクイティクレジットを適用しています。この数字から、ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金を除いた現金及び現金同等物、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を控除し、調整後純有利子負債を算出しています。
当社グループが、純有利子負債および調整後純有利子負債を表示する理由は、当社グループの経営陣が、当社グループの現金及び現金同等物控除後の負債をモニター及び分析するためにこれらの指標を使用し、また当社グループのレバレッジをモニターするために本指標を調整後EBITDAと併せて使用しており、投資家の皆様にとって有用であると考えているためです(なお、調整後純有利子負債および調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は、当社グループの流動性の指標を表すものではないことにご留意ください)。また、負債についての同様の指標が、証券アナリスト、投資家その他の関係者が製薬業界における各社の評価を行うに際して頻繁に用いられるものであると考えています。 特に、Shire社買収に伴い、投資家、アナリストおよび格付機関は、当社グループの(調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率で表される)財務レバレッジを綿密にモニターしております。格付機関が本指標を特に重視していることから、これらの情報は、当社グループの財務レバレッジだけではなく、格付機関が当社グループの信用力評価にあたって財務レバレッジの水準をどのように評価しているかについて、投資家が理解していただくにあたり有用であると考えています。そのため、後述のとおり、当社グループは、調整後純有利子負債を調整して、格付機関が一部の劣後債に適用している「資本的取扱い」を反映しています(ただし、IFRS上、当該債務は資本として取り扱われません)。
調整後純有利子負債の有益性には、一例として次の限界があります。例えば、(i) 同業他社を含め、用いられている類似の指標との比較可能性に欠け得るものです、(ii) 当社グループの負債に支払われる利息の金額を反映していません、(iii) 当社グループの負債に対する当社の前払い能力又は償還能力の制限を反映していません、(iv) 当社グループが現金同等物を現金に換金する際に、ある通貨から他の通貨に換金する際に、又は当社グループ内で現金を移動する際に、当社グループが負担する可能性のある手数料、費用又はその他の費用を反映していません、(v) 調整後有利子負債には、当社グループのローン契約と整合性のある平均為替レートが適用されますが、これは当社グループがある通貨を他の通貨に換金することができる実際の為替レートを反映していません、(vi) 当社グループの劣後債はIFRS上資本として取り扱われないものの、エクイティクレジットを反映しています。当該調整は、合理的で、投資家にとって有用な調整であると考えています。調整後純有利子負債は、IFRSに基づく指標である社債、借入金及びその他の負債指標と切り離して考慮してはならず、また、これらの代替と捉えてはならないものです。
当社グループの調整後純有利子負債/調整後EBITDA倍率は以下のとおりです。
(単位:億円、倍率以外)
下表は、2023年3月31日および2024年3月31日現在の社債及び借入金から調整後純有利子負債への調整を示しております。
(単位:億円)
(注1) ワクチン運営および売上債権の売却プログラムに関係して当社が第三者に代わり一時的に保有していた現金を除いた、即時的または一般的な業務用に使用できない現金及び現金同等物、およびその他の金融資産に計上され公正価値ヒエラルキーのレベル1に区分される債券投資を控除しております。
(注2) 調整後EBITDA計算と整合させるため、期初から期中残存する外貨建て負債を期中平均レートを用いて換算しております。
(注3) 2019年6月に5,000億円のハイブリッド債を発行、格付け機関から認定された50%の資本性である2,500億円を負債から控除しております。また、負債償却と為替影響に関連した非資金性の調整を含みます。
セグメント情報
4 事業セグメントおよび売上収益
当社グループは、医薬品の研究開発、製造、販売およびライセンス供与に従事しており、単一の事業セグメントから構成されております。これは、資源配分、業績評価、および将来予測において最高経営意思決定者であるCEOの財務情報に対する視点と整合しております。
(1) 収益の分解
当社グループの顧客との契約から生じる売上収益の内訳は、以下のとおりであります。
財またはサービスの種類別の売上収益
ビジネスエリア別および製品別の売上収益
(注)1 国内製品名:エンタイビオ
2 配合剤、パック製剤を含む
3 一般名:pantoprazole
4 国内製品名:ビバンセ
5 翌年度より、従来の「血漿分画製剤(免疫疾患)」は、それまで「希少疾患」に含まれていたファイバやCINRYZEなどのすべての血漿由来の製品を含め「血漿分画製剤」という名称とします。また、「その他」に含まれていたワクチンは、デング熱ワクチンQDENGAの戦略的重要性を踏まえ、主要ビジネスエリアの一つとして「ワクチン」と表示します。 この新区分を適用した場合、「希少疾患」の売上収益は当年度および前年度において、それぞれ 688,423百万円および639,774百万円となり、「血漿分画製剤」の売上収益は当年度および前年度において、それぞれ 903,699百万円および765,359百万円となり、「ワクチン」の売上収益は当年度および前年度において、それぞれ 50,355百万円および78,664百万円となり、「その他」の売上収益は当年度および前年度において、それぞれ 315,701百万円および372,685百万円となります。
(2) 地域別情報
当社グループの顧客との契約から生じる売上収益の地域別内訳は、以下のとおりであります。
(注)「その他」には、中東・オセアニア・アフリカが含まれております。売上収益は顧客の所在地を基礎とし、国または地域に分類しております。
当社グループの非流動資産の地域別内訳は、以下のとおりであります。
(注)金融商品、繰延税金資産および退職給付に係る資産を含んでおりません。
(3) 主要な顧客に関する情報
2023年3月期において、売上収益が当社グループ全体の売上収益の10%以上の相手先は、アメリソースバーゲン・コーポレーションおよびそのグループ会社(以下、「アメリソースバーゲン社」)、マッケソン・コーポレーションおよびそのグループ会社(以下、「マッケソン社」)、カーディナルヘルス Inc.およびそのグループ会社(以下、「カーディナルヘルス社」)であります。アメリソースバーゲン社、マッケソン社およびカーディナルヘルス社に対する売上収益は、それぞれ575,294百万円、540,356百万円および424,527百万円であります。
2024年3月期において、売上収益が当社グループ全体の売上収益の10%以上の相手先は、アメリソースバーゲン社、マッケソン社、カーディナルヘルス社であります。アメリソースバーゲン社、マッケソン社およびカーディナルヘルス社に対する売上収益は、それぞれ579,065百万円、578,767百万円および436,951百万円であります。
(4) その他の収益に関する情報
当社グループの契約残高は、以下のとおりであります。
当社グループの契約資産は、対価を受領する権利に関連するものであります。契約に基づく履行義務は充足しており、対価に対する権利が無条件となった時に売上債権が認識されます。
当社グループの契約負債は主として導出契約、並びに製品調達及び供給契約に関連しており、契約の下、履行義務の充足の前に現金対価を受領することによるものであります。2023年3月期および2024年3月期に認識した収益のうち、期首の契約負債残高に含まれていた金額はそれぞれ49,319百万円および5,526百万円であります。また、2023年3月期および2024年3月期において、過去の期間に充足(または部分的に充足)した履行義務から認識した収益の金額はそれぞれ79,251百万円および80,794百万円であり、主にロイヤルティ収益であります。
当社グループの残存履行義務に配分した取引価格は、以下のとおりであります。