2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。ただし投資家の判断に影響を及ぼす可能性のあるリスクは、これらに限定されるものではありません。

当社グループでは、持続的な成長を実現するため、事業目的の達成を阻害する恐れのある様々なリスクを早期に発見し、適切に対応するとともにリスクが顕在化した際の迅速な対応を図るとともに、機会とリスクの双方の観点からの検討を必要とするリスクに対応するためリスク管理体制の整備・充実に努めております。リスク管理体制の詳細は、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ ②リスク管理」に記載しております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済の動向に関するリスク

 当社グループの事業活動は、マクロ経済や市場の動向、国内外の景気変動等の影響を受けるおそれがあります。景気が減速・後退する場合、個人消費や設備投資の低下等をもたらし、当社グループが提供する製品・サービスに対する需要が減少するなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(2)競合との競争に関するリスク

 当社グループの事業領域は、類似した製品・サービスを供給する競合の影響を受ける可能性があります。当社グループが市場ニーズに対応した製品・サービスの導入ができなかった場合や、競合の価格と対等な価格を設定できない場合、また、競合の価格と対等な価格を設定することで、その製品・サービスの販売が損失をもたらす場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、事業ポートフォリオ分析を通じ、市場ニーズに対応した新製品・サービスの早期導入、独自技術を活かした事業領域拡大、競争力強化に向けた設備増強やコスト低減等に取り組む一方、成長性・将来性の乏しい事業からは撤退を図り、当社グループの事業競争力の保持に努めております。

 

(3)大口顧客への依存に関するリスク

  当社グループには、継続的な販売先となっている大口顧客があります。これらの顧客との取引条件の変更、契約解除、顧客の製品の需要減退、あるいは顧客の経営状況の悪化が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このようなリスクを低減する為に、新規顧客開拓等、特定顧客の動向に左右されない事業基盤の確立に取り組んでおります。

 

(4)原材料の購入価格、調達に関するリスク

 当社グループでは、主な原材料として動植物系油脂を使用しています。急激な価格変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。対応可能な購入価格の上昇に対しては、コスト低減や販売価格への転嫁等により業績への影響を最小限に留めるよう努めております。また、調達に関しても、購入先での事故や自然災害の発生、テロ、戦争、感染症のまん延等の社会的混乱や、需要急増等の要因で、原材料供給不足や物流の停滞が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。購入先と緊密な関係を築き、複数の購買先から調達するなど安定調達に努め、リスクの低減に取り組んでおります。

 

(5)製品の生産・販売に関するリスク

 当社グループで販売している製品は、外部への生産委託を含め、厳格な品質基準に基づき生産を行っていますが、万一、製品の品質に起因する事故やクレームが発生した場合、製品回収等で多額のコストが発生するだけでなく、信頼が損なわれ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、製品の生産・販売において、自然災害の発生、テロ、戦争、感染症のまん延等の社会的混乱により物流の停滞が生じた場合、販売機会損失等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、各種法令を遵守した製造プロセスを構築するとともに品質管理、品質保証体制の整備・強化に努め、また、製品の安定供給に向けて、適切な製品在庫量を確保するとともに、外部のバックアップ生産・購入を含めたBCP(事業継続計画)の定期的な見直しを行い、リスクの低減に取り組んでおります。

 

(6)人材確保に関するリスク

 当社グループの将来的な成長には事業遂行に必要な人材を採用し、確保し続ける必要があります。今後、日本国内における労働力人口の減少、働き方ニーズの多様化等、雇用環境の変化により人材確保が計画通りに進まなかった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、多様な人材が活躍できる風土作り、人事制度の導入や働く環境の整備等と合わせ、中長期視点での新卒採用や即戦力となるキャリア採用を実施するなど人材の確保に努め、リスクの低減に取り組んでおります。

 

(7)為替相場の変動に関するリスク

 当社グループの取引には外貨による輸出・輸入が含まれております。為替相場の変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループの海外子会社の財務諸表は、外貨建てで作成され連結財務諸表作成時に円換算されるため、現地通貨ベースでの業績に大きな変動がない場合でも、為替相場の変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。全てのリスクをヘッジすることはできませんが、当社グループでは、為替予約等により為替相場の変動リスクを最小限に留めるよう努めております。

 

(8)海外事業展開に関するリスク

 当社グループは、日本国内だけでなく、海外においても生産及び販売活動を行っており、今後も成長が期待される海外市場での事業拡大を戦略の一つとしております。海外における事業展開では、以下に示すようなリスクがあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

 法規制、租税制度の変更

 為替相場の変動

 労働環境の変化

 契約条項等、日本との商慣習の相違

 テロ、戦争、感染症のまん延等による社会的混乱

 その他の政治的及び社会的要因、経済の動向

 

(9)環境保全・気候変動対応に関するリスク

 近年、気候変動抑制に向けて、世界的規模で再生可能エネルギーの拡大等による環境負荷低減や地球温暖化対策・エネルギー政策の見直し等に関連する法規制の整備・厳格化が進んでおり、気候変動問題への企業の取組みがステークホルダーの評価や、市場・消費者の製品・サービスを選択する判断に影響する傾向が強まっております。また、今後、温室効果ガス排出削減に向けた法規制強化・再生可能エネルギーへの転換・カーボンプライシング(炭素税、国内排出量取引等)等による低炭素化・脱炭素化に向けた政策に対する取組みにおいて、対応コストが増加する場合や、法規制への未対応により製品・サービスの需要減少や顧客を喪失する場合など、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループでは、事業活動に関わる各国の環境関連法規制の遵守は当然として、気候変動等の環境問題への対応を経営の重要課題と捉え、TCFD提言に沿った取組みや、サプライチェーン全体で環境保全と環境負荷低減に努める取組みなど、更なるリスクの低減に向けて取り組んでまいります。

 

(10) 法的規制の強化、法令変更・改正等に関するリスク

  当社グループは事業の遂行にあたり、日本のみならず各国・各地域の各種法令、行政による許認可や規制の適用を受けております。法令・規則の新設・変更・解釈において年々厳格化が進んでおり、当社グループがこれらの法規制等に違反したと当局にみなされた場合、当社グループが行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、また、当社グループの社会的評価に悪影響が生じ、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、コンプライアンスを経営の重要課題と位置付け、当社グループの経営理念、企業行動規範・企業行動基準等を倫理綱領において明確化し、役員・社員に対して配布し、教育・研修するなどコンプライアンスの徹底に努めております。

 

(11)知的財産権に関するリスク

 当社グループは、自らの知的財産権を適切に保護、活用するとともに、第三者の知的財産権を尊重し、不当に侵害しないとする行動規範のもと、知的財産権に係る情報調査、特許権等の知的財産権の取得、知的財産権に係る適切な契約の締結等に取り組んでおります。しかしながら、出願する特許に対して権利が付与されない場合もあり、知的財産権による保護が得られない可能性があります。また、知的財産権により保護されている第三者の技術を利用したい場合に、その技術が利用できない、又は、不利な条件で利用せざるを得ない場合もあります。加えて、第三者により当社グループの知的財産権が侵害されて損失を生じるおそれや、当社グループの製品が第三者の知的財産権を侵害しているとの主張にもとづき係争に発展し、当社グループに不利な判断がなされるなど、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(12)情報セキュリティー、ITシステムに関するリスク

 当社グループは、事業活動を行うにあたり、当社グループ自身の情報はもとより、取引先や顧客の企業情報や個人情報等に接する機会を有しております。近年、社会のデジタル化が進む中、サイバー攻撃の脅威が急速に高まっており、その対策が脆弱であった場合、個人情報・秘密情報の漏えいや、サーバダウン等による事業停止を引き起こす可能性があります。また、プライバシー保護の要請や各国の政策により、個人情報・データ保護規制の動きが近年強まっており、こうした法規制への違反が発生した場合、罰金や損害賠償等の費用負担が生じる可能性もあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、ITシステム及び個人情報保護に関する規程を整備し、厳格な情報管理を行うとともに基幹システム等のIT基盤の刷新、インシデント発生時に適切に対処する体制を構築することでリスクの低減に取り組んでおります。

 

(13)内部統制に関するリスク

 当社グループは、内部統制システムを整備・運用し、教育・啓蒙活動を通じて浸透を図っていますが、当社グループの内部統制システムが様々な要因により機能せず、不測の事態が生じる可能性があります。その結果、社会的信用の失墜により事業に悪影響が生じる、あるいは行政処分、刑事処分又は損害賠償訴訟の対象となり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、内部統制システムの運用状況に対するモニタリングを定期的に行い、内部統制システムが有効に機能していることを検証し、継続的に整備・運用の改善を図ることでリスクの低減に取り組んでおります。

 

(14)事故・自然災害等に関するリスク

 火災等の重大事故や大規模地震・台風等の自然災害が発生した場合、また、感染症のまん延、その他制御不能な事態が発生した場合、サプライチェーンが寸断されるなどの支障をきたし、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。当社グループは、事故・災害等による影響を最小限に留める為に、リスク発生の可能性や結果の重大性に応じた製造設備の定期点検や従業員の教育・訓練等の保安・事故発生防止活動に努めるなどリスクの低減に取り組んでおります。

 

(15)資産の減損に関するリスク

 当社グループが保有する資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 当社は、株主価値の増大を図ることを基本方針とし、株主の皆様への利益還元を重要な課題のひとつと考えております。株主還元につきましてはDOE(連結純資産配当率)3.5%を目安とし、配当水準の向上と安定化を目指します。

 当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。

 これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 当事業年度の配当につきましては、上記の方針に基づき、1株当たり70円の配当(うち中間配当35円)を実施することを決定致しました。この結果、当事業年度の配当性向は54.1%(連結配当性向47.8%)となりました。

 なお、次期の配当につきましては、1株当たり74円を予定しております。

 内部留保資金については、大規模災害や感染症の蔓延など不測の事態への備えとして確保しつつ、新製品の開発、生産能力の増強、デジタル化及びサステナビリティの推進など、さらなる成長に向けた基盤構築を推進するため有効に投資していく方針であります。これらの投資が将来、収益の向上をもたらし、株主の皆様への利益還元に繋がるものと確信しております。

 当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下の通りであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月30日

799,451

35.00

取締役会決議

2024年6月26日

787,181

35.00

定時株主総会決議