リスク
3【事業等のリスク】
当社グループの事業その他に関するリスクとしては以下のようなものがあります。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、その影響をコントロール可能な範囲にとどめるよう、2006年度に設置した当社リスク管理委員会を中心に、適切なリスク対応に努めております。なお、この中には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 受注、システム開発上のプロジェクトリスク
システムの受託開発業務においては、受注時に想定した以上に工数が嵩む場合や、検収遅れ、成果物に瑕疵があることによる追加原価が発生する場合があり、予定原価との差異が発生することにより、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、検収後においても、当社の責任に帰する重大なシステム障害が発生した場合には、当社グループの信用が損なわれ、その後の事業展開、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、技術的問題や期間・工数の問題等を事前に検証する商談検討会を受注前に開催し、プロジェクト開始後にはPA会(プロジェクト審査会)を適宜・適切に開催して、問題が顕在化する前の事前対処に努めております。
(2) 一部顧客への依存
当社グループの売上高は、メーカー系ベンダー等で40%強程度が占められております。これら顧客は、外部環境等を考慮して営業政策を決定しており、これらの環境が大きく変動した場合、その営業政策を変更する場合があります。営業政策の変更により、当社グループの受注が大幅に減少した場合や受注条件が大幅に悪化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、特定顧客に過度に依存しないようリスクの分散に努めております。
(3) 外部環境の変化
当社グループの受注は、顧客企業の予算削減、顧客の業種特有の環境変化、情報サービス業界における価格競争の激化および新技術や新サービスの激しい変化などの外部環境要因により影響を受けております。従って、これらの要因が大きく変化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、特定の業種に過度に集中しないように、リスク分散や各事業に関わる技術の動向分析並びに研究開発等、新しいソリューションの開発に努めております。
(4) 要員および外注先の確保
中長期的に新卒者人口は減少傾向にあるため、業界一般の傾向として優秀な人材の確保が困難になる場合があり、当社グループにおいても必要なシステムエンジニア等の要員が十分確保出来ず、当社グループの業務に支障をきたす場合があります。また、システムの受託開発業務においては、協力会社の活用も不可欠であります。ICT投資が活況となり、システム開発案件の需要が増大した場合には、協力会社の確保が困難となり、開発リソース確保のための発注単価が上昇することで、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、新卒および中途採用活動への注力、従業員への待遇向上による他社への流出防止、専門組織を社内に設置し協力会社の確保に努める等、リスクの軽減に努めております。
(5) 情報漏洩リスク
当社グループが属する情報サービス業界においては、業務特性上、顧客情報を取り扱うことがあります。情報漏洩事故等が発生した場合、当社グループの信用が損なわれ、その後の事業展開、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、最悪の事態に備え、情報漏洩賠償責任保険に加入しておりますが、リスクを完全に回避できる保証はありません。
当該リスクに対して、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得し、情報セキュリティ基本方針を定め、ソルクシーズグループ全社で遵守、徹底を図る等により情報漏洩のリスクの軽減に努めております。
(6) 海外事業リスク
当社グループは、ベトナムで現地法人による間接的な事業活動等を行っておりますが、今後は更に積極的に海外各国のマーケットを睨んだ事業活動を行ってまいります。海外進出には、①予期できない法律または規制の変更、②事業活動に不利な政治または経済要因の発生、③未整備な社会インフラによる影響、④税制等の変更、⑤戦争、テロ、伝染病、その他の要因による社会的混乱などのリスクが内在しております。
当該リスクに対して、法律事務所等と契約を締結し、適時適切な対応が採れる体制を整え事前にリスクの軽減に努めております。
(7) 投資有価証券の減損リスク
当社グループでは、業務上の関係構築、余資運用等を目的に取引先等の投資有価証券を保有しております。投資有価証券の評価は発行会社の財政状態や経営成績等の個別の事情または株式市場や外国為替等の動向に依存しております。
当該リスクに対して、投資先の経営状態を把握できる様に資料の収集を行い、適宜分析のうえ早期対応が取れる体制を整え、事前にリスクの軽減に努めております。しかしながら、完全に回避できるものではなく、当社グループが保有する投資有価証券について、今後時価の下落や実質価額の低下により減損処理を行うこととなった場合、投資有価証券評価損等の計上により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) M&A・業務提携
当社グループは事業基盤の強化・拡充のためにM&Aや業務提携は非常に重要であると認識しており、積極的に対応していく方針です。それらを実施する場合には、対象企業の財務内容等についてデューディリジェンスを行うことにより、事前にリスクの軽減に努めておりますが、その後の市場環境の変化や不測の事態により、当初予定していた効果を得ることができず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、事後においても定期的に定量面・定性面をウォッチし、変化の予兆を掴み早期対処をすることでリスクの軽減に努めております。
(9) 特有の法的規制・取引慣行
当社グループの属する情報サービス業界においては、請負契約による受発注が多くを占め、元請け、下請けといった請負関係の多重構造や顧客先常駐による業務形態が一般的であります。その為、これらの対応が不十分であるとして、監督官庁から是正指導を受けた場合には、当社グループの信用が失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。当該リスクに対して、当社グループでは請負業務の適正化のためガイドラインを制定し、社員に対してその遵守の徹底を図るとともに、外注先、顧客に対しても協力を要請し、事前にリスクの軽減に努めております。
(10) 大規模災害や重大な感染症等に関するリスク
地震等の大規模な自然災害の発生やテロにより社会インフラや当社グループの事業所等が壊滅的な損害を被った場合、ならびに新型コロナウイルス感染症のような大規模な感染症等の発生によって、従業員等の感染や、感染拡大防止のために行動が制限される等の場合には、システムやサービスの提供が困難になり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対して、不測の事態の発生に備え、災害対策マニュアルの構築および災害対策本部の整備、危機対策訓練の実施の他、当社グループ社員のリモートワーク推進およびインフラ環境整備等の施策を講じております。
配当政策
3【配当政策】
当社グループは株主に対する利益還元を経営の最重要課題の一つと認識しますが、安定的な経営基盤の構築にも努め、両者のバランスがとれた経営を目指します。
配当につきましては配当性向を考慮し、業績に応じた配当を心掛けつつ、出来るだけ安定的な配当を継続することを基本方針としております。
当社は、剰余金の配当の決定は株主総会の決議によっておりますが、機動的な配当の実施を可能にするために「会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を行うことができる」旨を定款に定めております。
内部留保資金につきましては、今後予想される急速な技術革新に対応し、積極的な設備投資、研究開発投資を行ない、新ビジネスの創出、新技術の取得等会社の競争力をより強化するために有効に投資してまいります。
なお、基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
|
2024年3月28日 |
株主総会決議 |
293,675 |
12.0 |
(注)2024年3月28日株主総会決議による配当金の総額には、株式給付信託(J-ESOP)制度の信託財産として、株式会社日本カストディ銀行(信託E口)が保有する当社株式に対する配当金1,815千円が含まれております。
2024年12月期の年間配当につきましては、この先数年のIT投資に対する需要動向と、ストックビジネスなどの事業基盤強化のための投資とのバランスを考慮し、中間期については内部留保を充実させることにし、配当は期末のみとして12.0円と予想しております。