リスク
3 【事業等のリスク】
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断において重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。また、当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、顕在化を極力回避するとともに、顕在化した場合には影響を極力最小限とするよう適切な対応に努める方針ではありますが、当社株式に関する投資判断は、本項および本項以外の記載内容もあわせて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境について
①競争激化に関するリスク
当社グループの事業分野に対して新規参入が相次いだ場合、マーケットシェアの低下に伴う売上減少が見込まれます。また、価格競争が激化することにより、収益が低下することが予想されます。当社グループでは、AIを駆使した常に最先端のテクノロジーに基づく最適なソリューションを展開することで、優位性を確立していると考えておりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
②技術開発の遅れに関するリスク
当社グループが主として事業を展開しているAI・IoT分野は、技術革新のスピードが非常に速く、万一新技術への対応に遅れが生じ、提供しているソリューション・サービスが陳腐化する場合や、採用した新技術が浸透しなかった場合には、競合他社に対する競争力の低下が予想されます。当社グループでは、顧客やパートナー企業、および外部機関などから常に最新の情報・テクノロジーを収集し、市場動向の変化を分析しつつ、新規製品・サービスの開発や市場の開拓に取組んでおりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
③世界情勢に関するリスク
当社グループが属する業界は技術的に中国・韓国・台湾などが世界の先進地域であり、カメラを中心としたデバイス関連は主に韓国から仕入を行っておりますが、米中の貿易摩擦や日韓の政治・外交問題、北朝鮮の動向などにより、我が国とこれらの技術先進国との間の関係悪化により、取引機会の縮小による影響が予想されます。また、世界的な半導体不足によりこれらの国の製造メーカーにおいて安定した部品調達が困難となり、当社の仕入に支障が発生することも予想されます。当社グループでは、中国・韓国・台湾など以外において、先進的な技術を有する製造メーカーなどを開拓し、ソリューションの幅を拡大するよう取組みを行っておりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
④為替相場の変動に関するリスク
当社グループが取扱う製品は海外からの輸入が多く、米ドル建てにより資金決済を行っておりますが、特に円安基調に推移した場合には仕入コストが増加する可能性があります。当社グループでは、仕入先の現地通貨ではなく米ドル建てでの取引とすることや、為替予約の実施によりリスクヘッジに取組んでおりますが、急激な為替変動があった場合には、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。
⑤法的規制に関するリスク
当社グループは、会社法および金融商品取引法のほか、建設業法・電気用品安全法・電波法・個人情報保護法など各種法的規制のもとで業務運営を行っておりますが、今後、これらの法的規制の改廃や、当社グループの業務運営上不利となるような新たな法的規制が設けられた場合には、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。
(2)事業体制について
①人材確保に関するリスク
当社グループが提供するセキュリティソリューション事業は、高度な知識と技術力を必要としており、有能な人材を確保できない場合には、当社グループが求める高い水準のテクノロジーやソリューションの提供が、継続困難となることが予想されます。当社グループでは、新卒も含めて積極的かつ継続的な人材採用に努める一方、「安全」「安心」を提供することを通じて広く社会に貢献する意識を醸成するとともに、人材育成の高度化や労働環境の改善などによる退職率の低減など、様々な人事政策に取組んでおりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
②事業拡大に伴う管理運営に関するリスク
当社グループは、これまでに急速に事業を拡大してきた経緯があり、今後もさらなる事業拡大に向けた各種施策を展開していく方針でありますが、それに伴い、事業運営上の各種マネジメントの拡充が必要となります。当社グループでは、各事業部門の重要ポストについての後継者育成(サクセッションプラン)を常に意識し、コーポレート・ガバナンスの拡充や経営層・マネジメント層の人材育成、経営企画・管理部門の機能強化や外部専門機関との連携強化などを行っておりますが、事業拡大に比してマネジメントの拡充が追従できない事態が顕在化することにより、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。
③特定の仕入先への依存に関するリスク
当社グループが取扱うセキュリティ機器については、当社グループが提供する高水準のテクノロジーやソリューションを実現するとともに、エンドユーザーにご満足いただける機器である必要性から、監視カメラメーカーとしてグローバルに展開する世界有数の企業であるIDIS Co.,Ltd.(本社所在地:韓国京畿道城南市)との間で、監視カメラについての日本国内における販売総代理店契約を締結し、同社からの仕入額が当社グループの2023年12月期仕入総額の47.8%を占めております。この契約により、当社グループは日本国内における同社ブランドの普及と同社製カメラデバイスの拡販に寄与しております。この契約には1年毎の自動更新条項が付され、これまで1年毎に円滑に契約を更新しており、現時点においても当該契約の継続に支障となる要因は発生しておりませんが、将来において何らかの予期せぬ要因により同社の事業戦略などに変更が生じ、契約の変更や取引の縮小などが生じた場合には、当社グループの事業および業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、エンドユーザーの幅広いニーズにお応えすべく、特定の仕入先に過度に依存しないよう仕入先の分散化を図っておりますが、こうした特定の仕入先からの仕入継続が困難な状況に陥った場合や、当該仕入先の製品において不良品やリコールが発生した場合には、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。
④知的財産権に関するリスク
当社グループの事業に現在利用されている技術などと類似した特許権や商標権などの知的財産権を、第三者が既に取得している可能性や、将来的に第三者に取得される可能性を完全に否定することはできず、知的財産権に関する侵害訴訟の結果として当社グループに損害賠償責任が課せられたり、事業の全部又は一部が差し止められて継続できなくなることも予想されます。当社グループでは、特許事務所と連携しながら、当社グループにおける知的財産権の管理・活用について慎重に対応しておりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
⑤商品の在庫管理に関するリスク
当社グループで取扱う商品については、販売予測に基づいて基本的に自ら仕入を行い、自社在庫として保有した上で販売を行っております。当社グループが管理する商品在庫において、販売予測に誤りが生じた場合に、在庫不足による販売機会のロスや過剰在庫による商品価値の陳腐化が発生する可能性があります。当社グループでは、適切な在庫管理と販売予測により、販売機会のロス削減と過剰在庫の防止に取組んでおりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。
⑥特定の販売先に関するリスク
当社グループのソリューションは、特定の販売パートナーを通じてエンドユーザーに提供される取引が多く、販売先の上位4社による売上シェアが売上高の58.3%(2023年12月期実績)を占めています。当社グループはこれらの販売パートナーと良好な関係を構築していると考えておりますが、パートナー企業における予期せぬ販売方針の変更や業績不振などにより、円滑な取引継続が困難な事態となった場合、あるいは感染症など疾病の蔓延その他天災などにより販売パートナーによる顧客開拓の遅延又は中止という事態が発生した場合には、当社グループの事業および業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦取引先に対する信用リスク
当社グループの販売先の中には、大口取引を継続している特定の販売パートナー企業もあり、こうした企業の信用状態に重大な変動が生じた場合には、資金繰り面に支障が生じるとともに、回収不能な不良債権が発生することが予想されます。当社グループでは、個別の販売先毎に財務状況などを勘案した与信限度額を設定するなど、適切な与信管理・債権管理を行いながら必要に応じ貸倒引当金を計上しておりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。
⑧基幹システムの稼働に関するリスク
当社グループでは、販売管理の基幹システムを採用し、効率的かつ戦略的な営業推進体制を構築しておりますが、通信回線の異常やサイバー攻撃によるウイルス感染、人為的なオペレーションミスなどにより安定稼働が維持できない状態となった場合、平常の営業活動に支障が生じる可能性があります。当社グループでは、経営企画部内に情報システム専門の人材を配置し、基幹システムの安定稼働に努めておりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
⑨情報漏洩・流出に関するリスク
当社グループでは、取引先の経営機密情報や個人情報に加え、当社グループ内の各種テクノロジーに関連する知的重要情報や独自のノウハウ、および各種インサイダー情報などの極めて重要な情報を取扱っておりますが、こうした重要情報が、外部からのサイバー攻撃や当社グループ内の人為的な不正などにより漏洩・流出した場合には、損害賠償請求や社会的信用の失墜など、事業継続に大きな支障が生じる可能性があります。当社グループでは、人事総務部が主管となり、情報管理・個人情報管理について「個人情報保護規程」「特定個人情報等取扱規程」「情報管理規程」の制定や、社内の研修体制の整備など、経営の最重要課題の一つとしてコンプライアンス体制の整備を図っておりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
⑩コンプライアンスに関するリスク
当社グループにおいて、各種法令・規則や企業倫理に反する行為などが発生した場合には、その直接的被害に加えて、損害賠償請求や社会的信用の失墜など、事業継続に大きな支障が生じる可能性があります。当社グループでは、人事総務部が主管となり、コンプライアンスの基本方針に基づく「コンプライアンス規程」「コンプライアンスホットライン規程」「反社会的勢力対策規程」「インサイダー取引管理規程」などの制定や、社内の研修体制の整備など、経営の最重要課題の一つとして体制整備を図っておりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
⑪レピュテーションに関するリスク
当社グループにおいて、各種リスクの顕在化や、事故発生や訴訟問題などに伴う社会的評価の低下、提供サービスの品質の低下、社員などによるSNSへの問題投稿などに伴い、当社グループに対する各種風評が拡散し、不買運動などが発生することが予想されます。当社グループでは、こうした風評発生の要因となる事象の未然防止を図るとともに、各種レピュテーションのモニタリングや内部管理体制の強化などに取組んでおりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。
(3)その他
①自然災害等の発生に関するリスク
当社グループが事業を展開する地域において、大規模な自然災害やパンデミックなどが発生した場合、事業を継続することが困難な状況に陥ることが予想されます。当社グループでは、今後様々な危機に際しての事業継続計画(BCP)策定に向け、各種協議・検討を行っておりますが、こうしたリスクが顕在化することにより、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。
②特定の人物に対する依存に関するリスク
当社代表取締役社長である谷口辰成は、当社の設立者であるとともに大株主であり、経営方針や事業戦略の決定において重要な役割を果たしております。このため、当社グループは、谷口辰成に過度に依存しない体制を構築するために、取締役会などにおける役員相互の情報共有や経営組織の強化を図っております。しかし、現状において、何らかの理由により谷口辰成が当社グループの業務を継続することが困難になった場合には、当社グループの経営成績および財務状況に影響を与える可能性があります。
③税務上の繰越欠損金に関するリスク
当社グループは、当連結会計年度末時点において税務上の繰越欠損金が存在しており、当社グループの業績が順調に推移することにより、期限内にこれら繰越欠損金の繰越控除を受ける予定であります。しかし、当社グループの業績の下振れなどにより繰越期限の失効する繰越欠損金が発生した場合は、課税所得からの控除が受けられなくなることから、その場合、課税所得に対して通常の法人税率に基づく法人税、住民税及び事業税が課されることとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④投資有価証券の減損リスク
当社グループでは、業務上の関係構築を目的に取引先などの投資有価証券を保有しております。投資有価証券の評価は発行会社の財政状態や経営成績などに依存しており、当社グループでは投資先の経営状態を把握できる様に情報収集を行い、事前にリスクの軽減に努めておりますが、実質価額が低下した場合、投資有価証券評価損の計上により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤配当政策に関するリスク
当社は設立以来、配当を実施しておりません。当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識しており、企業体質の強化と将来の事業展開のために内部留保を確保しつつ、安定的かつ継続的に業績の成長に見合った成果を配当する方針としております。したがって、各期の財政状態および経営成績を勘案しながら将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、利益還元実施を検討する所存でありますが、現時点において配当実施の可能性およびその実施時期などについては未定であります。
⑥新株予約権の行使による株式価値の希薄化に関するリスク
当社グループは、主に当社グループの役職員に対するインセンティブを目的として、新株予約権を発行し付与しております。本書提出日の前月末現在で、新株予約権による潜在株式総数は362,500株であり、同日時点の発行済株式総数4,744,920株の7.64%に相当しております。これらの新株予約権が行使された場合、既存の株式価値に希薄化が生じる可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、企業価値を継続的に拡大し、株主に対して利益還元することを重要な経営課題と認識しておりますが、内部留保資金を財務体質の強化及びサービス提供に関するシステム整備等、事業の継続的な拡大発展を行うことに充当することこそが最優先であると考え、会社設立以来、無配を継続してまいりました。
今後の配当政策の基本方針としましては、財務体質の強化を目的とした内部留保の充実を当面の優先課題としたうえで、経営成績、財務状態及び事業展開を勘案しつつ株主への利益還元を検討していく予定であります。
なお、剰余金の配当を行う場合は、期末配当及び中間配当の実施を基本方針としており、その旨定款に定めております。また、剰余金の配当等会社法第459条第1項各号の定める事項については、法令に別段の定めがある場合を除き、取締役会の決議によって定める旨を定款に定めております。