2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)製品開発への取組状況について

① 製品開発の方向のズレに関して

顧客や市場の要求特性及び要求項目は常に変化しているため、製品開発の的を絞れず大幅な開発の遅れを引き起こしたり、具体的な製品の製造や販売前の研究開発段階で開発テーマが頓挫するリスクがあります。そのような場合には、当社の製品開発活動に係る費用が回収できず、当社の業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術の商業化に関して

完成した技術について、価格、他社技術との差別化、タイミング、技術動向及び要求の変化のため、新製品が市場で受け入れられないリスクがあります。また、新製品が市場で受け入れられたとしても、当社の生産能力を上回る受注については対応できないことも想定されるため、機会損失が生じる可能性があります。

 

③ 技術の陳腐化について

当社の保有する技術あるいは開発中の技術以外のまったく新しい技術により、当社技術の相対的な優位性、重要性が損なわれた場合は、当社製品の価値が損なわれ当社事業の収益に重大な影響を及ぼすリスクがあります。

 

④ 技術的難易度に関して

当社が現在推進しているテーマや開発案件について、時間的制約、他社の特許、未知の技術ゆえの難易度などのために、技術的な壁を打ち破ることができず開発を断念せざるを得ないリスクがあります。

 

(2)将来に関する事項

① 新規顧客の開拓について

当社は、主力商品であるデジタルカメラ向けの機能性部品で培った強み・特徴を活かし、他市場・他部品への水平展開を積極的に推進しております。具体的には産業機器、監視用カメラ、センサ、工業用プリンター、レジャー関連等の分野で展開を強化し、売上拡大を図っております。しかしながら、上記の製品開発の取組状況や市場動向の変化により、将来の事業展開へ大きな影響を及ぼす恐れがあります。

 

② ナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業の将来

当社は、パルスインジェクター®関連製品や機能性精密成形品を提供するナノ/マイクロ・テクノロジー関連事業を引き続き展開していく考えであり、そのなかでも高耐熱性・高熱伝導性・低温硬化などの固形封止材の「エポクラスター®クーリエ」の関連事業を将来の中核事業候補として展開してまいりました。しかし、国内の半導体デバイスメーカーへのサンプル供給後の採用にはいまだ至らず、同業界への参入は極めて厳しいと認識しております。今後は当社製品の特徴を活かした他分野での用途に絞り、マーケティング活動を推進いたします。

 

③ 競合他社の参入

多業種、異業種の大手企業のナノ/マイクロ・テクノロジー業界への参入が当社事業へ影響を及ぼすリスクがあります。また、マクロ・テクノロジー関連事業でも、台湾、韓国、中国の低価格品がさらに日本市場へ流入した場合、当社の樹脂成形碍子事業に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

 

④ 当社製品に不具合が生じた場合

当社製品に何らかの不具合が発生した場合、当社製品及び当社のブランド・ネームに対する信頼感が著しく下落又は喪失する可能性があります。また、場合によっては、エンドユーザーから当社に対する製造物責任の追及がなされる可能性もあります。

 

⑤ 人材の確保に関して

当社の研究開発は、高分子化学、無機化学、充填材技術、精密成形技術、金型技術などの多彩な能力を持った技術者を必要としております。そのため必要とする人材(質と量)を確保できない場合、あるいは有能な人材が何らかの理由により社外に流出した場合、当社の事業に悪影響を及ぼす恐れがあります。

 

 

⑥ 小規模組織による人員規模と管理体制について

当社は、2024年3月末現在、役員6名並びに従業員72名と人員規模が小さく、内部管理体制もその規模に応じたものになっております。今後は事業規模の拡大に応じて、管理体制の充実を図っていく考えですが、人員規模の拡大等が順調に進まなかった場合、業務に支障をきたす可能性があります。

 

⑦ 知的財産権について

当社が保有している特許については権利の範囲が狭く限定されて解釈される可能性もあります。また、類似の技術や製品等が登場し、その商品化を当社が特許権等の行使によって効果的に阻止できない場合は、類似の技術や製品等による競合の激化により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

さらに、当社が実装している技術について他社が特許権等を取得するような事態が生じた場合には、他社が当社に対して特許権に基づく各種の権利を行使する可能性があります。その場合は、ロイヤリティ支払の要求、技術の使用差止及び損害賠償請求等によって、当社の事業が大きな影響を受けることになります。

 

⑧ 安全規制の変化

当社の事業の強みの一つは、自社開発の複合材料を持っていることです。しかし、化学原料の安全規制が見直され、安全面の点から現在添加している素材が使用できなくなった場合には、当社の製品の製造に大きな影響を及ぼすリスクがあります。

 

⑨ 大規模な自然災害・感染症について

当社は、有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、また、感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合においては、その直接的、間接的影響により、関係先の生産設備の休止、閉鎖、出荷規制などで関連部品の不足や外出規制による新規開拓営業の中止により、当社の経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

⑩ 石油、鉱物資源の価格変動について

当社は、石油や鉄、銅などの鉱物資源の急激な価格変動があった場合、当社製品の原材料や部品、電気料金などの製造原価の上昇により、製品の利益率が大幅に変動する可能性があります。

配当政策

3 【配当政策】

当社は、株主総会決議もしくは取締役会決議により中間配当及び期末配当の年2回の配当を行うことを基本方針としております。

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営における最重要課題の一つと位置づけており、将来的には、当社の各期における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローを考慮し、継続性をも勘案したうえで、株主の皆様に対する利益還元策を実施していく方針ではありますが、現時点においては、配当実施の可能性や、その時期について具体的に発表可能な事項はありません。

当社は、売上高に占める販管費等の固定費比率が高く、売上高拡大(事業拡大)が、利益水準の更なる向上には不可欠なものであると考えております。

当面の間は、売上高の拡大や設備の更新・個別原価低減等による収益力向上、開発投資、人的資本への投資に注力することが当社の企業価値を高める最善の方策であると考えております。

以上の状況を勘案し、当期における剰余金の配当は行わないものとさせていただきたく存じます。

なお、当社は取締役会の決議によって9月30日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。