人的資本
OpenWork(社員クチコミ)-
社員数501名(単体) 66,358名(連結)
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平均年齢46.2歳(単体)
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平均勤続年数18.4年(単体)
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平均年収9,732,210円(単体)
従業員の状況
5 【従業員の状況】
(1) 連結会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 1 特定のセグメントに区分できない基礎的試験研究活動等に係る従業員については、「全社(共通)」に含めて表示しております。
2 臨時従業員数は[ ]内に年間の平均人員を外数で記載しており、派遣社員は除いております。
3 ヘルスケアセグメントにおいて、前連結会計年度末に比べ従業員数が786名減少しておりますが、主として、メディカゴ社(カナダ)の事業撤退によるものです。
4 ベーシックマテリアルズセグメントにおいて、前連結会計年度末に比べ従業員数が980名増加しておりますが、主として、当社グループ内の業務管理体制の変更によるものです。
5 全社(共通)において、前連結会計年度末に比べ従業員数が129名減少しておりますが、主として、当社グループ内の業務管理体制の変更によるものです。
6 その他セグメントにおいて、前連結会計年度末に比べ従業員数が2,352名減少しておりますが、主として、クオリカプス㈱等を連結の範囲から除外したことによるものです。
(2) 提出会社の状況
2024年3月31日現在
(注) 1 すべて「全社(共通)」に属しております。
2 従業員は主に当社子会社からの出向者であり、平均勤続年数は当該会社での勤続年数を通算しております。また、従業員数には執行役員3名が含まれております。
3 臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため、臨時従業員数の記載を省略しております。
4 前事業年度末に比べ従業員が71名増加しておりますが、主として、当社グループ内の業務管理体制の変更によるものです。
5 平均年間給与(税込)は、基準外賃金及び賞与を含んでおります。
(3) 労働組合の状況
当社には労働組合はありませんが、2024年3月31日時点において、当社の直接出資子会社である三菱ケミカル㈱及び田辺三菱製薬㈱並びに日本酸素ホールディングス㈱の子会社である大陽日酸㈱等には、各社籍従業員にて、労働組合が組織されております。
その他労働組合との関係について特記すべき事項はありません。
(4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異
① 提出会社
(注) 1 連結子会社等からの出向者で構成されており、パート・有期労働者以外の自社籍の従業員を有していないため、該当ありません。
2 再雇用者や嘱託社員、アルバイト従業員など、職務内容や雇用形態の異なる複数の職群を含んでおりますが、給与水準が比較的に高い職群において男性比率が相対的に高いことが男女間賃金格差の要因となります。
② 連結子会社(日本国内に所在する常用労働者301名以上)
イ 連結子会社におけるデータ合計(加重平均)(%)
ロ 管理職に占める女性労働者の割合(個社)(%)(注1)
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 親会社や連結子会社等からの出向者で構成されており、パート・有期労働者以外の自社籍の従業員を有していないため、該当ありません。
ハ 育児休業取得率(個社)(%)(注1)
(注) 1 育児休業取得率は、「育児休業開始者 ÷ 出産者(配偶者出産者) × 100」の算式で計算しております(育児休業開始者は休業開始日、出産者(配偶者出産者)は出産日を基準として人数を計上しているため、育児休業取得率が100%を上回ることがあります。)。
なお、男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
2 連結子会社等からの出向者で構成されており、パート・有期労働者以外の自社籍の従業員を有していないため、該当ありません。
3 出産者(配偶者出産者)が0名につき、「-」と表記しております。
ニ 労働者の男女の賃金の差異(個社)(%) (注1)(注2)
(注) 1 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 職位者や管理職、深夜業を伴う職種において男性比率が相対的に高い要員構成となっていることが男女間賃金格差の主な要因であり、女性の登用を促進することで格差の是正を進めてまいります。非正規従業員については、再雇用者や嘱託社員、アルバイト従業員など、職務内容や雇用形態の異なる複数の職群を含んでおりますが、給与水準が比較的に高い職群において男性比率が相対的に高いことから、男女間賃金格差が正規従業員に比べて大きい傾向があります。
3 連結子会社等からの出向者で構成されており、パート・有期労働者以外の自社籍の従業員を有しておらず、また、パート・有期労働者も全員が男性であり、該当ありません。
③ 上記以外で「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)に基づき開示を行う連結子会社(個社)(注1)(注2)(注3)(注4)
(注) 1 女性管理職比率と男女の賃金差異は、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。
2 育児休業取得率は、「育児休業開始者 ÷ 出産者(配偶者出産者) × 100」の算式で計算しております(育児休業開始者は休業開始日、出産者(配偶者出産者)は出産日を基準として人数を計上しているため、育児休業取得率が100%を上回ることがあります。)。
なお、男性労働者の育児休業取得率は、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3 職位者や管理職、深夜業を伴う職種において男性比率が相対的に高い要員構成となっていることが男女間賃金格差の主な要因であり、女性の登用を促進することで格差の是正を進めてまいります。非正規従業員については、再雇用者や嘱託社員、アルバイト従業員など、職務内容や雇用形態の異なる複数の職群を含んでおりますが、給与水準が比較的に高い職群において男性比率が相対的に高いことから、男女間賃金格差が正規従業員に比べて大きい傾向があります。
4 ( )内は、前事業年度を記載しております。
5 出産者(配偶者出産者)が0名、または非正規労働者が0名につき、「-」と表記しております。
6 当事業年度から新たに開示をしております。
サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)
2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】
文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものです。
当社グループは、「私たちは、革新的なソリューションで、人、社会、そして地球の心地よさが続いていくKAITEKIの実現をリードしていきます。」というPurposeを掲げ、サステナビリティを経営の中核の1つに据えた企業活動を行っています。
カーボンニュートラルの実現や、働く環境の整備と人材の育成・開発などの人的資本の拡充を含めた事業基盤の強化を通じて、サステナビリティの向上に努め、持続的成長をめざしてまいります。
(1)サステナビリティ全般
① ガバナンス
当社グループは、機能商品、素材及びヘルスケアの3つの分野で多岐にわたる事業活動を展開していることから、当社グループを取り巻く環境・社会課題は多様であり、また、その解決に貢献するソリューションを提供することが、当社グループの持続的成長につながる事業機会でもあります。そのため、様々な環境・社会課題を踏まえ、当社グループが取り組む重要課題(マテリアリティ)を特定しています。
特定したマテリアリティの詳細については、「②戦略」をご参照ください。
マテリアリティには、目標及び、その進捗を測る指標を設定し、当社執行役社長をはじめとした経営陣のリーダーシップのもと、定期的に進捗をモニタリングすることを通じ、関連施策を着実に推進してまいります。
指標等の詳細については、「④指標と目標」をご参照ください。
当社は、サステナビリティの諸活動のモニタリング、統括に加え、当社グループのサステナビリティに関する方針や関連事項の審議を行う機関として、当社執行役社長を委員長とし、当社の執行役等から構成するサステナビリティ委員会を設置しております。
取締役会は、当社のサステナビリティに関する状況の報告を受け、当社の諸活動が適切に行われるよう監督をしております。
また、経営の透明性の向上という基本方針のもと、サステナビリティに関する情報や指標、データを、統合報告書「KAITEKIレポート」等で積極的に開示することを通じ、ステークホルダーへの説明責任を果たしてまいります。KAITEKIレポート等に記載する環境パフォーマンス指標及び社会パフォーマンス指標に対して、独立した第三者保証を取得し、信頼性の高い情報の開示に努めております。
当社は、これらの諸活動の客観的な状況を把握するため、当社が重要と考えるESG評価をベンチマークとしています。その結果、ESG投資の世界的な指数であるDow Jones Sustainability Indicesの構成銘柄に7年連続で選定されるなど、相対的に競争力のある評価を得ております。今後も、評価結果から得られた視点や課題を検討し、関連する諸活動の一層の強化につなげてまいります。
当社は、執行役の報酬を構成する業績連動報酬を、年度ごとの目標値の達成状況の結果に応じて決定し、支払っています。評価は、経済効率性やイノベーションに加え、サステナビリティの向上に係る指標を用いるKAITEKI価値評価及び個人評価にて決定しています。2023年度の業績連動報酬の評価指標のうちサステナビリティに関するものは、温室効果ガスの排出量削減や従業員エンゲージメント向上等、KAITEKI価値評価のなかで執行役が特に注力すべきものを選定しました。詳細については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (4)役員の報酬等」をご参照ください。
② 戦略
当社グループは、グループ理念のもと、成長を実現し、企業価値を向上させることにより、顧客や株主の皆様をはじめとするすべてのステークホルダーへ貢献していくことをめざしております。
このめざす姿の実現に向けた指針として、当社グループを取り巻く経営環境を踏まえ、ステークホルダーの視点を取り入れながら、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しています。
マテリアリティは、当社グループが重要と考える視点に基づき分類、整理した以下の5つのカテゴリーから構成されています。
イ 事業ポートフォリオ戦略として重要な課題
当社グループは、低炭素社会、さらには、その先のカーボンニュートラルが実現した社会における成長性と収益性の最大化を図るべく、市場の成長、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオの運営を推進しています。その考え方に基づき、経営方針「Forging the future 未来を拓く」では、EV/モビリティ、デジタル、食品、メディカルといった領域を注力市場と位置付けています。いずれの注力市場とも世界的な主要トレンドに沿っていることに加え、エネルギー効率化や電気自動車などによるGHG低減や、水資源の保全と食品ロス削減による持続可能な食糧・水供給といったサステナビリティの観点でも捉えることができます。
(出典:「三菱ケミカルグループインベスターデイ 2023」説明資料から引用)
ロ 事業基盤として重要な課題
当社グループは、経営方針「Forging the future 未来を拓く」で示す成長を実現するには、従業員のエンパワーメントや健康・安全が不可欠という強い思いから、「人材の育成・開発」や、「ダイバーシティとインクルージョン」といったマテリアリティのもと、企業文化の変革を進めております。
詳細については、「(3)人的資本」をご参照ください。
ハ 環境や社会への影響として重要な課題
当社グループは、企業活動を通じてステークホルダーに様々な価値を提供する一方、事業特性上、環境や社会に対するインパクトが大きい事業を展開しています。そのため、地球環境への負荷削減という観点からは、環境インパクトの削減やサーキュラーエコノミーといったマテリアリティに対して、ライフサイクル全体を通じて、資源を有効利用する取組みを推進し、最適化された循環型社会の実現をめざしております。また、持続的な成長を達成しつつ、2050年度までにカーボンニュートラルを実現するため、製造プロセスの合理化や、自家発電用設備の燃料転換といった施策を着実に講じてまいります。
ニ リスク管理上の重要な課題及び存立に関わる重要課題
当社グループは、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、グループ全体に影響のある重大なリスクとして、事故・災害、法規制・コンプライアンスを認識し、事業活動の最優先事項として、そのリスク低減のための対策をとっております。これに加え、情報セキュリティや人権といった重大リスクに対し、加速度的に変化する事業環境や社会ニーズを踏まえ、適切な対応を図ってまいります。
③ リスク管理
当社グループは、全社的かつ総合的なリスク管理体制を整備、運用することで、先を見越したリスク管理と適切なリスクテイクを伴う経営を推進しており、サステナビリティに関連するリスクも、一体的な管理を志向してまいります。
④ 指標と目標
当社グループは、特定したマテリアリティに対する目標と、その進捗を測る指標として、「MOS(Management of Sustainability)指標」を設定し、運用しています。各指標について毎年の進捗をモニタリングすることで、マテリアリティへの取組みを着実に推進してまいります。
2023年度実績は、2024年9月以降に当社ホームページ上で公表する統合報告書「KAITEKIレポート」をご参照ください。
https://www.mcgc.com/ir/library/kaiteki_report.html
(注) 2022年度実績は、前連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)の数値です。
上表の指標に加え、従業員エンゲージメント、経営層のダイバーシティ、ウェルネス意識の3つの指標については、「(3)人的資本」をご参照ください。
(2)気候関連
①ガバナンス及びリスク管理
当社グループは、重要課題(マテリアリティ)に、「GHG低減」「環境インパクト削減」「サーキュラーエコノミー」といった気候変動に関連する課題を定め、取締役会の監督の下、当社の執行役等から構成するサステナビリティ委員会が定期的にモニタリングし、関連施策を着実に推進しています。
詳細については、「(1)サステナビリティ全般 ①ガバナンス」をご参照ください。
また、リスク管理については、「(1)サステナビリティ全般 ③ リスク管理」をご参照ください。
②戦略及び指標と目標
イ 気候関連のリスクと対応
当社グループは、2030年にかけて直面する気候変動による影響のインパクトをシナリオ分析の考え方に基づき評価した結果、炭素税負担の増加や株式市場での気候変動対応の高まりなどにより、操業コストや時価総額へ影響が生じる可能性があることを認識しています。そのため、GHG排出量を2030年度に29%削減(2019年度比)、2050年に実質ゼロとするカーボンニュートラル達成をめざすという目標を掲げ、エネルギー転換や製造プロセスの合理化といったGHG排出量の削減策をロードマップに沿って着実に実行していきます。
ロードマップやその進捗については、当社ホームページ上をご参照ください。
https://www.mcgc.com/sustainability/environment/carbonneutral.html
また、自然災害の増加に伴い、沿岸地域の工場が災害によって操業停止するリスクに備え、被害の最小化と事業継続性の確保を推進しております。
加えて、これらの取組みには、ステークホルダーの理解と協力が不可欠であるため、気候関連などサステナビリティ情報の開示やエンゲージメントの充実化に努めてまいります。その一環として、インパクトの評価結果を含め、気候関連の情報を、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に沿った形で開示しております。詳細については、当社ホームページのTCFD提言に基づく報告をご参照ください。
https://www.mcgc.com/ir/library/tcfd.html
ロ 気候関連の事業機会と対応
当社グループは、カーボンニュートラルに移行する社会でも競争力のある企業をめざし、市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしたポートフォリオへの変革を通じて、カーボンニュートラル実現に貢献する事業へ注力していきます。具体的には、モビリティ軽量化材料、車載用電池材料、バイオプラスチック、炭素繊維複合材料などの注力事業について、事業規模の拡大、収益力を強化していきます。
ハ 気候関連の指標と目標
当社グループは、マテリアリティの進捗を測る経営指標(MOS指標)の中に、GHG排出量の削減率を設定し、中期目標を掲げ、毎年進捗を評価していきます。詳細については、「(1)サステナビリティ全般 ④指標と目標」をご参照ください。また、GHG排出量は以下のとおりであります。
2023年度実績は、2024年9月以降に当社ホームページ上で公表する統合報告書「KAITEKIレポート」をご参照ください。また、エネルギー消費量等の関連する指標についても、統合報告書をご参照ください。
GHG排出量
(単位:千t-CO2e)
(注)三菱ケミカル㈱、田辺三菱製薬㈱、㈱生命科学インスティテュート及び日本酸素ホールディングス㈱とこれらの国内及び海外のグループ会社を対象としています。
(3)人的資本
当社グループにとって、人材は価値創造の源泉であり、企業としての成長やPurpose実現の原動力そのものです。従業員一人ひとりが会社のめざす姿に共感し、多様な考えやスキル、日々の経験や挑戦の機会を活かして自身の持つポテンシャルを最大限に発揮していくことが、創造性や生産性を向上させ、組織全体の発展に結びつきます。私たちは従業員を尊重し、自分らしく生き生きと働くことができる環境を作っていけるように、方針や制度の整備、文化の変革に取り組み、組織の持続的な成長に向け努力しています。
<方針>
[人材の育成]
市場におけるプレゼンスを更に高め、ビジネス機会の拡大をめざすべく、既存の思考に囚われず、課題を自律的に解決に導くことができる人材を育成する。
[組織風土の醸成と環境整備]
意欲ある人材が、多様な思考を活かして最大限に能力を発揮することができるインクルーシブな組織風土の醸成と必要な環境整備に取り組む。
[グループ共通基盤の構築]
意思決定の効率性と事業成長の促進のための適切な権限移譲が行われた組織において、グループ全体の人的資本を最大化するためのグループ共通の組織基盤を構築する。
以下に人的資本に関する「戦略」、「ガバナンス」、「リスク管理」、「指標と目標」を示します。
① 戦略
Purpose実現に向け、従業員が自らのめざす姿を自律的に捉え、そのポテンシャルを最大限に引き出せるよう、組織風土や文化、環境を整備し、成長と学習の機会提供に取り組んでいきます。
そのために、上記方針に沿って、「次世代リーダー層の育成」、「企業文化の変革と価値創造マインドの醸成促進」、「人材戦略としてのDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進」、「働きやすい環境の整備」、「全体最適実現のためのグローバル一体運営体制の構築」、「グローバルでの人事ガバナンスの強化」の6つをメイン施策として据え、これらを重点的に進めています。
イ 次世代リーダー層の育成
変化の激しい環境において、正解がない中でも一歩前へ踏み出していくためには「自律的に課題を発見し、解決に導くことができる人材」の育成が必須です。人材育成プログラムをグローバルで構築・運用し、グループ・グローバルレベルでの経営リーダー候補の育成加速に取り組んでいます。
当社の考える経営リーダーの要件定義
社内外でのカリキュラム受講やスキルアップの機会を通じて、候補者にグローバルでの活躍を見据えたリーダーとしての自覚を促していきます。
また、経営リーダーとしての共通的要件に加えて個々のポジションにおける人材要件を定め、重要ポジションについては継続的な後継者計画を運用することで、人材パイプラインを強化していきます。
ロ 企業文化の変革と価値創造マインドの醸成促進
・意欲を持った人材がより活躍し、それぞれの強みを活かしてチャレンジできる環境を創るため、従業員一人ひとりが自律的にキャリアを開発するための支援の提供と環境の整備に取り組んでいます。キャリア関連イベントやセミナーの参加者は年々増えており、主体的にキャリアを考える場であるキャリアデザインワークショップは2023年度は開催数17回に対し、計408名が参加しました。
ワークショップ参加者数
・上司と部下の間で個別に行われる1on1やキャリア面談を通じて双方向でのコミュニケーションを強化することで、キャリア意識の醸成やチャレンジする機会の創出、課題の共有などを行い、従業員のキャリア形成を支援しています。
・従業員が挑戦の機会を前向きに捉え、一人ひとりの行動変容へと繋がるマインドの育成にも取り組んでいます。社内公募の頻度を四半期毎から毎月に高めたことで、募集・応募ともにタイムリーに活用できるようになりました。公募による異動数は前年度比約1.6倍に増加しており、制度の社内浸透が進んでいます。今後は会社主導での異動との組み合わせを改善することで、挑戦機会の提供は継続しつつ、より速やかな要員充足と適所適材を図っていきます。
・成長・挑戦の機会の提供に加え、異文化・多様性の受容の深化を目的に、グローバルでの若手人材の海外育成プログラムも2023年度から始動しました。初年度は15名を公募し、各ポジションに立候補した若手人材が日本、タイ、ドイツといったグループ会社へ駐在し、実務経験を積んでいます。
・事業・技術環境の変化に対応するためのリスキリングや、自主的なスキルアップへの支援も行っています。オンラインでの自主学習ツールは従業員がプラットフォームを通じて自由に受講できる環境を整備しました。
・デジタル技術やデジタルビジネスモデルを活用してより効果的・効率的な働き方を実現していくスマート人材の育成にも注力しており、研修プログラムの開設や実務者同士の交流、社内事例の公開など部署や担当を越えた取組みを行っています。また、若手社員がメンターとなってマネジメント層のデジタルリテラシー向上を図りつつ、世代や立場を越えた人材の交流による行動変容を促すリバースITメンター制度を2022年度より実施しています。
ハ 人材戦略としてのDE&I
・より高い次元での挑戦と共創を実現できる組織風土を醸成するべく、様々な考えや特性を持った人材が属性に関わらずチャレンジできる環境の整備に取り組んでいます。多様な個を尊重し、市場価値や成果に沿って報酬・処遇を決めることは、これらのチャレンジを進めるにあたっての基盤となっています。
・多様な思考の理解推進に向け、機会作りにも注力しています。外部講師による講義や障がいを持つ方、LGBTQ当事者によるパネルディスカッションや経営層の意見交換といった従業員の関心が高いテーマを揃え、よりDE&Iを身近に感じてもらうべく取り組んでいます。
・様々なバックグラウンドを持った人材をマネジメント層として登用し、全社的な多様性の推進と包摂的な文化の醸成により一層取り組んでいきます。当社グループのサステナビリティ指標であるMOS指標にも「経営層のダイバーシティ」は組み入れられており(「④ 指標と目標」を参照)、KPIとして管理しながらめざす姿の実現に向けて前進していきます。
ニ 働きやすい環境の整備
・従業員がその能力を最大限発揮していくために最適な環境を整備し、生産性高く安心して働くことができる取組みを行っています。育児や介護、治療との両立に対しては制度支援だけでなく、専門家の講演や職位者への研修などを通じて相互理解を促進しています。男女とも育児休暇の取得を促進するため、経験談の共有や取得率の開示といった積極的な情報公開を行い、相互理解を深めた働きやすい職場をめざしています。(男女の育児休暇取得率については、「5 従業員の状況 (4) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」を参照ください。)
また、高いパフォーマンスを出すには業務から離れてリフレッシュすることも重要であることから連続休暇の取得を推奨しています。職位者は部下の休暇取得率も評価の対象となっているため、全社的に計画的な取得を促す文化が醸成されてきました。2023年度の主要事業会社3社の休暇取得率は80.6%となっています。
・従業員の健康増進については、健康診断後のフォローアップ、生活習慣改善への取組み、メンタルヘルスケア、禁煙のサポートおよびエイジフレンドリー対策など、様々な角度からアプローチを続けています。こうした活動が認められ、健康経営優良法人(ホワイト500)の認定も受けています。当社のサステナビリティ指標であるMOS指標にも「ウェルネス意識」を組み入れており(「④指標と目標」を参照)、定期的に実施するエンゲージメントサーベイを利用して従業員の意識を把握し、KPIとの比較から施策のブラッシュアップに繋げています。
ホ 全体最適実現のためのグローバル一体運営体制の構築
意思決定の効率性と事業成長を加速させるフラットでスリムな組織体制により、全体最適視点でのマネジメントを可能にする体制構築に取り組んでいます。グローバルでの共通方針を定めることで、ガバナンスを高めるとともに、効率的な組織運営に繋げています。また、全社的な人材情報の可視化を進めるほか、各地域のマネジメント層が一斉に集う機会を設けたり、ビジネス・コーポレート機能ごとにグローバルミーティングを開催したりと横の繋がりを強化し、より強固な体制の実現に取り組んでいます。
へ グローバルでの人事ガバナンスの強化
・グループ全体の人的資本を最大化するため、グループ共通の組織基盤の整備に取り組んでいます。人事業務におけるテクノロジーの活用や、グローバルでの人事施策・人事管理の共通化を進めることで、人事ガバナンスを強化するとともに人材マネジメントの高度化の実現をめざしています。人事基盤システムに関してはグループ共通のツールとして導入に取り組んできており、連結子会社(日本酸素ホールディングスグループを除く)の8割強を網羅して稼働を開始しました。これにより人材情報の統合管理が可能となるため、今後は活用領域の拡大を進め、タレントマネジメントの高度化や経営人材候補の計画的な育成を実現していきます。
・グローバル共通の懲戒マネジメントポリシーを制定することで、懲戒の公正・適正な実施にも取り組んでいます。懲戒を行う際に遵守すべき事項や取るべき手順を定めることで、懲戒対象となる従業員の権利も保護した上で、適切な処罰がなされる状態を構築し、コンプライアンス推進体制の強化に繋げています。
② ガバナンス
当社グループでは、人材戦略や人事組織の有効性を確保するために、以下の施策を行っております。
イ 経営による人材戦略のモニタリング
当社グループのサステナビリティ指標であるMOS指標において、「従業員エンゲージメント」、「経営層のダイバーシティ」、「ウェルネス意識」を人材戦略・人事施策に関する指標として設定し、執行役社長をはじめとした経営陣のリーダーシップのもとで定期的に進捗をモニタリングしています。執行役会議や取締役会における重要な施策の執行状況のモニタリングや、定期的に行われるエンゲージメントサーベイの報告を通じて戦略・施策の有効性を確認するとともに、経営戦略の策定にCHROが参画することで経営戦略と人材戦略の連動性を高めています。
ロ 全体最適実現のための整合性・一体感のある組織運営
人事ファンクションの組織運営は、HQ(Head Quarter、グローバル本社機能)が策定する全体戦略・方針に基づき、各リージョン・グループ各社が自律的に人事施策を実行する形態を採っています。これにより、施策の整合性や組織としての一体感を維持した上で、よりスピーディな組織運営を実現しています。
各施策の整合性を維持するために、人事業務におけるガバナンスポリシーを設けているほか、世界各地域の人事責任者(リージョンCHRO)との定期的な会議により戦略・方針の共有や人事施策のブラッシュアップを図り、リージョン内での対話を促進することで、戦略・方針の浸透に繋げています。
ハ 人事施策・オペレーション
グローバルや各リージョンの単位で人事施策・オペレーションの統合・共通化を進めることで、その有効性や効率性の向上を図っています。例えば、人事基盤システムの統合によるグローバルでの要員管理・タレントマネジメントの強化や、人事評価制度・プロセスの統合・共通化による評価尺度の統一と、それによる評価への納得感や従業員エンゲージメントの向上、給与計算を始めとする共通機能の集約による効率化などが挙げられます。新たな施策の導入・推進は人事ファンクション内でプロジェクト的に管理するほか、その重要度に応じて執行役会議で審議するなどして、その妥当性を確保しています。
③ リスク管理
上述の人事戦略における重要なリスク、およびそれに対する主な対応策は以下のとおりです。
④ 指標と目標
当社グループのサステナビリティ指標であるMOS指標において、「従業員エンゲージメント」、「経営層のダイバーシティ」、「ウェルネス意識」を人材戦略・人事施策に関する指標として設定しています。
「従業員エンゲージメント」、「ウェルネス意識」は、定期的に実施するエンゲージメントサーベイにおける関連設問に対する好意的回答者の割合を示しており、その平均値に基づいて目標設定するほか、個別設問の結果・回答傾向を人事施策に反映させています。
また、上記3指標のほか、DE&Iや働きやすい環境の整備に関する各種項目を指標として管理・把握することで、人材戦略の進捗状況をモニタリングしています。
●人的資本に関わる詳細な活動は、最新の統合報告書・非財務データ集をご参照ください。
統合報告書 (https://www.mcgc.com/ir/library/kaiteki_report.html)
非財務データ集(https://www.mcgc.com/sustainability/data.html)