2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)においては、これらのリスクの発生を防止、分散、あるいはヘッジすることによりリスクの軽減を図っています。しかし、予想を超える事態が生じた場合には、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 なお、記載した事項は、当連結会計年度末(2024年3月31日)現在において当社グループが判断したものですが、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。

① 経済動向および製品市況による影響

 当社グループ製品の主要な市場がある国および地域の経済環境の動向は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、主要製品の中には、世界的な需給環境により大きな価格変動が起きるものもあります。当社グループは事業の多角化・グローバル化等によってそのリスクをヘッジしていますが、製品の需要が減少あるいは価格競争が激化した場合、業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

② 為替相場の変動による影響

 2024年3月期の当社グループ連結売上高の海外売上高比率は78%となっており、今後も高い水準で推移するものと思われます。在外連結子会社等の財務諸表項目の円換算額は、為替相場に左右され、大幅な変動が生じた場合、当社グループ全体の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、外国通貨建て取引についても、為替予約等によりリスクを軽減させる措置を講じていますが、これにより当該リスクを完全に回避できる保証はなく、同様な可能性があります。

③ 自然災害・事故災害、感染症等の影響

 当社グループは、生産活動の中断により生じる損害を最小限に抑えるため、製造設備に対し定期的な防災点検及び設備保守、また、安全のための設備投資等を行うとともに、生産拠点の複数化に努めています。しかしながら、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故等の影響で、製造設備等が損害を被ったり、サプライチェーンの分断が発生した場合は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループの事業拠点では安全衛生対策を徹底しています。しかしながら、今後発生しうる感染症等の蔓延や、それを受けた各国における経済活動抑制の方針が当社製品に対する需要の大幅な減少や当社事業拠点を含むサプライチェーンに損害を生じさせた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

④ 公的規制

 当社グループが事業活動を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、労働、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。これらの法令の改変は、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 資材等の調達

 当社グループの生産活動には、種々の原材料を使用しており、原材料ソースの多様化により安定的な調達に努めていますが、これらについて供給の逼迫や遅延、供給国の通商政策の変更、また、それらに伴う価格上昇等が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 急速な技術革新

 当社グループの主要販売先の一つであるエレクトロニクス業界は、技術的な進歩が急速で、当社では常に技術革新に対応できる最先端の材料開発に努めています。しかしながら、当社グループが業界と市場の変化に的確に対応できなかった場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、上記以外の業界向け製品についても、競争力の高い代替製品の出現により、同様の影響を及ぼす可能性があります。

⑦ 環境問題について

 各種の化学物質を取り扱う当社グループは、環境に関する各種法律、規制を遵守するとともに、効率を極めることにより、地球温暖化防止に向けた省エネルギーや環境影響物質の排出抑制に積極的に取り組んでいます。しかしながら、環境に関する規制が予測を超えて厳しくなり、技術的に対応が難しくなったり、大きな新たな設備投資等の必要が生じた場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

⑧ 製造物責任

 当社グループでは、製品の特性に応じた最適な品質の確保に全力を挙げて取り組んでいますが、予期せぬ事情により品質問題が発生した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

当社は、事業収益の拡大と堅固な財務基盤の維持に注力し、長期的な観点に立って経営努力の成果を株主の皆様に適正かつ安定的に還元させていただくことを基本方針としています。内部留保金は、競争力の強化とともに、今後の事業展開と更なる成長に積極的かつ適時に活用し、企業価値を高めるよう努めています。加えて、頻度と振幅の増す経済変動に立ち向かうために、支えとなる財務基盤を保持します。この方針の下で、当社は自己資本利益率や資本コストに注意を払い、資本政策に取り組んでいます。株主還元はその中核であり、35%前後の配当性向を中長期的な目安に安定的な配当に努めてきました。過去10年を通算すると配当性向は31%でした。今後これまで通り諸事情を勘案しつつ、中長期的に40%の配当性向を目指して水準を上げるべく取り組んでいきます。自己株式の買い取りについては、適宜実施の必要性を判断していきます。

2024年3月期の期末配当金は、先に行いました中間配当金50円と同額の1株につき50円を予定しています。これにより、当期の年間配当金は、前期と同額の1株当たり100円(株式分割実施前の500円に相当)となります。

当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会です。

当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めています。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりです。

 

決議年月日

配当金の総額(百万円)

1株当たり配当額(円)

2023年10月27日

100,276

50.00

取締役会決議

2024年6月27日

99,802

50.00

定時株主総会決議(予定)