2024年3月期有価証券報告書より
  • 社員数
    3,680名(単体) 26,004名(連結)
  • 平均年齢
    41.9歳(単体)
  • 平均勤続年数
    20.1年(単体)
  • 平均年収
    8,865,000円(単体)

従業員の状況

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 当連結会計年度末における従業員数をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

(2024年3月31日現在)

セグメントの名称

従業員数(人)

生活環境基盤材料事業

1,862

電子材料事業

12,451

機能材料事業

4,334

加工・商事・技術サービス事業

7,357

合計

26,004

(注)1.従業員数は就業人員です。

2.臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しています。

(2)提出会社の状況

 

 

 

(2024年3月31日現在)

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(円)

3,680

41.9

20.1

8,865,000

 

セグメントの名称

従業員数(人)

生活環境基盤材料事業

214

電子材料事業

1,549

機能材料事業

1,802

加工・商事・技術サービス事業

115

合計

3,680

(注)1.従業員数は就業人員です。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでいます。

3.臨時従業員の総数が従業員数の100分の10未満であるため、記載を省略しています。

(3)労働組合の状況

 当社及び一部グループ会社には、信越化学労働組合が組織(組合員数4,368人)されており、全国化学労働組合総連合に属しています。

 なお、労使関係について特に記載すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

①提出会社

当事業年度

補足説明

管理職に占める女性労働者の割合(%)

 (注)1.

男性労働者の育児休業取得率(%)

 (注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

2.0

87.5

68.9

69.8

45.4

・賃金:退職手当、通勤手当を除く。

・正規雇用労働者:社外への出向者を含む。

・管理職に占める男性労働者の割合が高いことと交代勤務に対する手当の対象となる男性労働者の全労働者に占める割合が高いことが格差に影響している。

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

 

②連結子会社

当事業年度

補足説明

名称

管理職に占める女性労働者の割合

 (%)

(注)1.

男性労働者の育児休業取得率

 (%)

(注)2.

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1.

全労働者

正規雇用労働者

パート・有期労働者

信越ポリマー株式会社

4.5

100.0

69.5

71.8

47.0

・賃金:退職手当、通勤手当を除く。

・正規雇用労働者:同社から社外への出向者を除き、他社からの出向者を含む。

直江津電子工業株式会社

70.9

73.0

44.6

・賃金:退職手当、通勤手当を除く。

長野電子工業株式会社

82.2

81.6

68.1

・賃金:退職手当、通勤手当を除く。

・パート:現時点で男性の定年後再雇用者の割合が高いことが影響している。

信越半導体株式会社

・出向元会社に含む(注)3.

信越エンジニアリング株式会社

・出向元会社に含む(注)3.

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものです。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものです。

3.常時雇用労働者(出向者を含む)は301人以上ですが、全従業員が当社からの出向者であり、当社の計算に含んでいます。

サステナビリティに関する取り組み(人的資本に関する取組みを含む)

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

  当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次の通りです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが合理的な一定の前提に基づいて判断したものであり、その実現を約束する趣旨のものではありません。実際の結果は不確実性により変更される可能性があります。

 

(1)サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

①ガバナンス

 当社グループは、1990年より持続的な成長により企業価値を高めることに取り組んでいます。安全を常に最優先すること、環境への配慮と適切な施策、社会への貢献、そして企業統治を適切に行うことを当社の経営と事業活動の根幹としています。これらをグループ内で共有し実行していくために、サステナビリティの基本方針と各種社内規程を定めています。

 具体的には、当社の社長を委員長とし、取締役、執行役員、部門長、グループ会社のサステナビリティ担当者により構成される約60名からなるサステナビリティ委員会が、部門を横断する活動に取り組んでいます。サステナビリティ委員会は、当社グループのコーポレートガバナンスにおける「重要な経営課題ごとの委員会」の一つです。なお、コーポレートガバナンスの状況については本報告書の第一部「第4.提出会社の状況 4.コーポレートガバナンスの状況等」に記載の通りです。

 

図:サステナビリティの取り組みの体制図

 

 

②リスク管理

 リスクマネジメント委員会が気候変動によるリスクも含め事業を取り巻くさまざまなリスクに備え、リスクを排除、低減することや発生しうる損害を最小化することに取り組んでいます。 同委員会は常務執行役員が委員長を務め、信越化学の取締役や執行役員、部門長など、約20名で構成されています。当社グループは事業活動に伴い想定されるリスクを洗い出し、それらに適切に対処するためのリスク管理規程を定めています。同規程では、具体的なリスク、リスク管理の体制、発生したリスクへの対応等を明記しています。リスク管理で重要な事項については、リスクマネジメント委員会が取締役会、常務委員会、監査役会、関係者に適時報告し、適切に対処をすべく取り組んでいます。近年重要性の高まってきた気候変動に関するリスクについては、同委員会とサステナビリティ委員会内に設置した気候変動関連分科会が連携し、シナリオ分析を通じてリスクの把握を行っています。また、当社グループは、同委員会の人権デューデリジェンス分科会と、人権啓発推進委員会が中心となり、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいて、人権デューデリジェンス全般を進めています。同分科会では人権方針の策定や当社グループの人権リスク調査の実施、人権リスクの優先課題の特定、人権に関する相談や通報への対応の仕組みの構築、整備などを関係部署と協力して行っています。

 一方、サステナビリティに係る機会については、サステナビリティ委員会が当社各部門、主要グループ会社と連携し、認識、評価、管理を行います。そして、重要な事項については取締役会や常務委員会に報告し、適切なモニタリングを受けます。例えば、気候変動に関する機会については、上記の気候変動関連分科会が、シナリオ分析を通じて機会を把握し、グループ内の事業部門と連携し、評価、管理を行いました。

 

(2)投資者の投資判断上重要なサステナビリティ項目

(1)に記載の、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける、投資者の投資判断上重要なサステナビリティ項目は以下の通りです。

 

①気候変動への取り組み

イ.戦略

 当社グループは2050年カーボンニュートラルに向け、温室効果ガス排出量(スコープ1、スコープ2)を実質ゼロとするための計画を策定しました。2050年カーボンニュートラル実現に向けた計画の推進を、重要な経営課題と位置づけています。2019年5月にTCFDの提言への支持を表明し情報開示を進めると同時に、気候変動に関するシナリオ分析を行い、この分析を通じ事業に影響をおよぼす重要なリスクと機会を特定し、経営に反映させています。

<シナリオ分析>

気候変動による事業機会:1.5℃シナリオ

用途

詳細

収益への

影響度

樹脂窓

塩化ビニル樹脂は断熱性に優れているため樹脂窓に使用されている。省エネ住宅の普及とともに樹脂窓の需要増加が見込まれる。

電気自動車、

ハイブリッド車、

燃料電池車

半導体シリコンは、モーターの回転数を制御するインバーターなどのパワー半導体デバイス、自動運転、AI向けロジック半導体デバイス等に使用される。

高性能で小型のレア・アースマグネットは、車両全体の重量を軽くし、燃費性能を上げられることから、電気自動車やハイブリッド車、燃料電池車の駆動モーターや車両のさまざまなモーターへの利用が広がる。シリコーンの放熱材料は、リチウムイオン電池や各種電子制御装置などの熱対策に使用されている。熱による動作不良や故障の防止に役立ち、需要の拡大が見込まれる。

風力発電機

レア・アースマグネットは、洋上風力発電機の高効率化および発電機のメンテナンスコストの削減に寄与するため、需要の拡大が見込まれる。

送電網の整備、拡充により、電線被覆に使用される塩ビの需要拡大も見込まれる。

エアコン

半導体シリコンはコンプレッサーモーターのインバーター制御デバイスに使用され、モーターを適切な回転数に調節することで省電力に貢献することから、需要が拡大している。

レア・アースマグネットは、エアコンのコンプレッサーモーターのエネルギー効率を高め消費電力量を削減するため、需要の拡大が見込まれる。

航空機

レア・アースマグネットは小型航空機の電動化やハイブリッド化、大型航空機の油圧駆動部の電動化に不可欠である。小型で強力なレア・アースマグネットは機体の重量を軽減し、燃費の向上に寄与するため、需要の拡大が見込まれる。

産業用モーター

レア・アースマグネットは、産業用モーターの効率を上げ、消費電力量を削減するため、需要の拡大が見込まれる。

サービスロボット

半導体シリコンは、製造、物流、農業用などの省エネ対応ロボット制御モーター用半導体への使用や、医療用、災害対策用ロボットへの採用が広がっている。

植物由来の代替肉の結着剤

植物性食品を中心にした食生活は、CO2排出量を年間1.6ギガトンも削減することができる可能性がある。(※)セルロース誘導体の製品のひとつである「メトローズMCE-100TS」は、植物由来の代替肉の結着剤として使用されている。代替肉の世界市場は年率2ケタの成長が見込まれており、今後もさらなる市場の拡大が期待される。

※ポール・ホーケン編著「DRAWDOWN–The Most Comprehensive Plan Ever Proposed to Reverse Global Warming」より

 

 

気候変動による事業リスクと対応策:1.5℃シナリオ(移行リスク)

事象

当社へのリスク

収益への

影響度

対応策

世界各国での炭素税の導入、炭素排出枠の設定

・炭素税の支払い

・炭素排出枠の達成のための排出権の購入費用の発生

・温室効果ガスの排出削減のための対策費用の増加

・スコープ1排出量の削減

 ・生産工程の効率化や高効率な機器の導入などの

 さらなる推進

 ・水素やアンモニアなどの二酸化炭素を排出しない

 エネルギーの使用

 ・CCUSの活用

 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天然

 ガス)の熱源としての利用

・温室効果ガスの絶対量での削減目標の達成

・各国の炭素税等の環境規制に関する情報を収集し、対策を施す

温室効果ガス排出の規制強化による再生可能エネルギー由来の電力の普及と電力価格の上昇

・電力コストの増大

・スコープ2排出量の削減

 ・電力の使用量が少ない生産工程や高効率な機器の

 導入などのさらなる推進

 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天然

 ガス)を使用したコージェネレーションシステムの

 導入

 

 

気候変動による事業リスクと対応策:4℃シナリオ(物理的リスク)

事象

当社へのリスク

収益への

影響度

対応策

異常気象の発生頻度の上昇

・生産拠点の浸水

・サプライチェーンの寸断

・生産拠点の嵩上げや重要な設備の周辺への防水壁の設置、冠水リスクが低い場所への計器室の設置、港湾に近い生産拠点での防潮堤の設置

・生産拠点の複数化

・原材料の調達先の多様化

・製品在庫の確保

・損害保険への加入

降水パターンの変化などによる洪水の発生頻度の上昇

一部の国での炭素税の導入や炭素排出枠の設定

・当該国の生産拠点から排出される温室効果ガスに課税される炭素税の支払い

・当該国の炭素排出目標を達成できない場合、排出権の購入費用や課徴金の支払いの発生

・スコープ1排出量の削減

 ・生産工程の効率化や高効率な機器の導入などの

 さらなる推進

 ・水素やアンモニアなどの二酸化炭素を排出しな

 いエネルギーの使用

 ・CCUSの活用

 ・カーボンニュートラル天然ガス(排出権付き天

 然ガス)の熱源としての利用

・温室効果ガスの絶対量での削減目標の達成

・各国の炭素税等の環境規制に関する情報を収集し、対策を施す

電力価格

・IEAのシナリオ分析(現行施策シナリオ)によると、電力価格は上昇しない。このため、当社へのリスクはない

 

ロ. 指標と目標

 当社グループは、2050年に温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の実質ゼロを目指します。

 さらに、引き続き、生産量原単位での温室効果ガス排出量の削減も推進します。2016年度に掲げた新たな中期目標「2025年度に1990年度比で温室効果ガス排出の生産量原単位を45%にする」の達成に向けて、取り組んでいきます。

 

<2050年カーボンニュートラル達成策>

 当社グループはこれまで生産量原単位での温室効果ガス排出量の削減を進めてきました。これまで取り組んできた生産量原単位での削減に加えて、絶対量での温室効果ガス排出量の削減により、カーボンニュートラルを達成するための計画を策定しました。

 

1) 現在取り組んでいる削減策

 当社グループは資源、エネルギーの利用の効率を極めることに加え、現在、以下の削減策に取り組んでいます。また、新たな削減策の検討にも注力していきます。

 

削減策

詳細

①電力における排出量の低減

・CO2排出係数の低減

・再生可能エネルギーの購入

・太陽光発電設備の設置

②製法、製造の改善と革新など

・熱回収能力の向上

・エネルギー効率の高い設備の導入

・ボイラーからヒートポンプへの切換え

・木炭還元剤の増産のための増設

③カーボンニュートラル天然ガス、水素などの活用

・コージェネレーションシステムでの混焼

④リサイクルの推進

・すでに実施している塩ビ製品やレアアース・マグネットのリサイクルをさらに推進

 

2) 2050年に向けた取組

 現時点で想定している削減策は以下の通りです。

 

削減策

詳細

①電力における排出量の削減

・電力のカーボンニュートラル化

②グリーン水素とブルー水素の活用

・コージェネレーションシステムでの専焼

・ボイラー燃料としての使用

③製法、製造の改善などの継続

・徹底した合理化、効率化を継続

④CO2の分離回収および活用

・分離回収設備の導入とCO2の資源化

⑤バイオマス燃料の活用

・バイオマスコージェネレーションシステムの導入による電力やスチームの供給など

⑥リサイクルの推進

・すでにリサイクルを実施している塩ビとマグネット以外の製品のリサイクルシステムの構築

⑦カーボンオフセット

・植林によるものも含め幅広く検討

 

 

<カーボンニュートラル社会の実現に貢献するためのその他の取組>

1)温室効果ガス排出量の削減に貢献する製品の製造販売の拡大

 当社グループの製品は住宅やインフラストラクチャー、電気自動車、DX、GXをはじめとした幅広い分野に利用され、生活や産業の基盤を支えています。これらの製品の多くは、温室効果ガスの削減にも寄与しています。日本政府が、2050年カーボンニュートラルを目指す上で不可欠な14の分野を定めました。当社グループの2023年度の連結売上高に占める当該14分野への売上比率(※1)は約7割です。今後とも、こうした製品の開発、製造、販売の拡大に注力することで、社会全体のカーボンニュートラルに貢献していきます。

 

目標

実績

 

単位

2021年度

2022年度

2023年度

2050年にカーボンニュートラルを達成

(スコープ1、2)

スコープ1

排出量 ※1※2

千CO2-t

2,077

2,246

2,242

スコープ2

排出量 ※1

千CO2-t

4,003

4,367

4,266

2025年度に1990年度比で温室効果ガス排出の生産量原単位を45%にする

1990年度比生産量

原単位指数 ※3

%

52.9

54.2

57.0

スコープ3

排出量 ※4

千CO2-t

10,315

11,139

10,866

 

※1.当社および連結子会社を対象としています。

2.2024年4月1日から施行された「地球温暖化対策の推進に関する法律施行令」(以下、温対法施行令といい

  ます)の改正に伴い、同改正が適用される2023年度の実績に関しては、当該改正により追加された排出

  項目に関する排出量を加算しています。

3.1990年度比生産量原単位指数については対象範囲に非連結会社を含めています。この指数の算定にあたり、電力のCO2排出係数は電力の削減努力が明確になるよう、2000年から2009年迄の平均値を使用しています。また、エネルギー削減や合理化などの努力が明確になるよう、温対法施行令の上記改正に伴い追加された排出項目は加算していません。

4.スコープ3排出量の算定方法については当社ホームページの「サステナビリティ」サイト(https://www.shinetsu.co.jp/jp/sustainability/)をご参照ください。2023年度の情報は2024年夏頃に同サイトに掲載予定です。

 

②人的資本、多様性への取り組み

イ. 戦略

 

 

 当社は業界の中で最も高い生産性を達成し、さらに向上することを目指しています。そのため「従業員1人当たり営業利益」を重要な指標とし、高い生産性を実現する「T字型人材」の育成に注力しています。「T字型人材」とは、ある業務や領域の専門家であるとともに、その他の分野でも活躍できる幅広い仕事力を有する人材です。

 

人材の育成

 当社ではT字型人材を育成するためにOJT(On the Job Training)を基軸としています。従業員の適正と職業人として目指す姿を尊重した人材の配置を行い、一人一人が担当する仕事で真の専門家になることを支援しています。そのため、当社では画一的な人事異動、いわゆる定期的な配置転換は実施していません。担当している業務を深耕することで、高い水準の仕事力を有する従業員の育成に注力しています。

 当社グループの取引先は世界に広がり、現在の連結売上の約8割は海外売上です。そのため、世界で活躍する人材の育成に予てから取り組んでいます。若い社員に海外勤務を経験させるとともに、日本に勤務する従業員も海外の取引先との実務を通じて、国際性を身に着けています。当社では、OJTに加えて成長の段階に応じたさまざまな研修プログラムを提供し、従業員が専門分野に加えて、知識と技能の幅を拡げることを支援しています。研修プログラムは、英語をはじめとした国際化研修、マネジメント研修、AI人材の育成研修など多岐にわたります。

 当社の成果主義による人事制度では、従業員は期のはじめに意欲的な業務目標と改善目標を定め、その目標に挑戦することで成長を促しています。部下が目標を達成するために、上司は助言と指導を行っています。期末には目標に対する達成度を評価するとともに、能力、成長の可能性、仕事に取り組む姿勢も考慮し、従業員の意欲を高め成長につながる取り組みをしています。このように、OJTを基軸に、実績と能力を重視する人材配置、研修、登用、評価といった人事制度により「T字型人材」の育成を進めていきます。

 海外のグループ会社でもここで述べた人材育成の考え方を基軸として、各国の制度、慣習、人材と文化の多様性を尊重した取り組みが行われています。

 

人材の多様性の確保

 人種、性別、宗教、障害などにとらわれず、個々の多様な価値観を尊重することを基本理念としています。採用時の多様性の確保に努めるとともに、入社後においては、結婚、出産、育児、病気の治療、介護など人生の中で起きるさまざまな事柄に柔軟に対処できる制度を用意しています。これらの会社の取り組みは、従業員による会社への帰属意識を高め、従業員が自発的に会社の成長に貢献したいという意欲の向上につながっています。とりわけ、日本国内では、現状分析を踏まえ、女性の活躍推進に向けた目標を定め、女性管理職の育成を促進していきます。

 

健康・安全

 製造業である当社にとって安全は事業経営の大前提です。労働安全衛生と保安防災の水準を向上させ、当社グループで働く人の安全と健康、安定操業を確かなものにするために、環境保安管理規程を策定、遵守しています。当社グループは、①「規則や手順」を確実に守ること、②「職場に潜むリスク」を見つけ出し、速やかに排除すること、③「危険に対する感性」を高めること、という安全に関する三つの行動指針に従い、安全管理活動に取り組んでいます。レスポンシブル・ケアコード(※1)に従って「信越化学グループ環境保安管理計画」を毎年策定し、その中で労働安全と保安防災に関する具体的な数値目標を設定しています。この管理計画に基づいて、グループ全体で爆発や火災などの重大災害の防止や労働災害の防止などに取り組んでいます。

※1 レスポンシブル・ケアコード

レスポンシブル・ケアを実施する際の基本的な実施事項を定めたもの。環境保全、保安防災、労働安全衛生、物流安全、化学品・製品安全、社会との対話といった活動分野ごとの6つのコードと、これらをシステムとして共通に運用していくためのマネジメントシステムコードの計7つで構成されている。

 

労働慣行

 当社グループは世界人権宣言を支持するとともに、国際労働機関(ILO)による中核的労働基準にのっとり、基本的人権を尊重しています。全世界の事業所で人権を常に尊重することを礎として事業に取り組み、その方針を2019年5月に「人権方針」としてとりまとめ、当社グループ内で徹底するとともに、社外に発信しました。

 

エンゲージメント

 当社グループの成長には、働く個々人の成長が不可欠です。より働きがいを持てる人事制度と職場づくりに注力し、個々人と会社の持続的な成長の実現に取り組みます。こうした考えのもと、当社では、労働組合との協議においては、いわゆる「働き方改革」に資する諸施策をテーマにしながら常に人事諸施策の拡充と充実に取り組んできています。加えて、2022年に当社で働く社員と出向者を対象に、社員意識調査を実施し、コンプライアンス、お客様志向、経営理念の浸透、会社の将来性、人事制度、キャリア展望、業務負荷、職場環境、上司との関係などの項目について質問しました。今後も必要に応じて現状を把握、分析をしつつ、良いところをさらに伸ばし、改善すべき点は改善していきながら、より多くの社員が働きがいを持てるよう、取り組みを続けていきます。

 

ロ. 指標と目標

 当社グループは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針について、次の目標を用いています。当該指標に関する目標および実績は次の通りです。

指標の内容

目標

実績

(当連結会計年度)

対象範囲

採用時の男女比率

性別にかかわらない採用

女性32.1%、男性67.9%

当社及び連結子会社

課長級以上の管理職に占める女性比率

30%

12.7%

当社及び連結子会社

障がい者雇用率

2.30%

2.27%

当社及び国内連結子会社

重大事故件数

0

0

当社及び国内連結子会社

休業災害人数

0

3

当社及び国内連結子会社

不休以上の災害度数率

0.5以下

0.25

当社及び国内連結子会社