2024年3月期有価証券報告書より

事業内容

セグメント情報
セグメント情報が得られない場合は、複数セグメントであっても単一セグメントと表記される場合があります

(単一セグメント)
  • セグメント別売上構成
  • セグメント別利益構成 セグメントの売上や利益は、企業毎にその定義が異なる場合があります
  • セグメント別利益率

最新年度
単一セグメントの企業の場合は、連結(あるいは単体)の売上と営業利益を反映しています

セグメント名 セグメント別
売上高
(百万円)
売上構成比率
(%)
セグメント別
利益
(百万円)
利益構成比率
(%)
利益率
(%)
(単一セグメント) 17,175 100.0 255 100.0 1.5

事業内容

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(「株式会社パピレス」)及び子会社6社により構成されており、スマートフォン、タブレット、PC等の情報端末向けに、ネットワーク配信による電子書籍販売を主たる業務としています。

 当社グループの事業内容は、電子書籍事業の単一セグメントです。

 当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは、次のとおりです。

・「株式会社ネオアルド」は、次世代コンテンツの開発・制作を行っています。制作したコンテンツを当社及び当社の子会社並びに電子書籍事業者に提供しています。

・「巴比楽視網路科技股份有限公司」は、主に中華民国向けの電子書籍販売サイトである「中国語繁体字版Renta!」の運営を行っています。販売コンテンツについて、当社及びアルド・エージェンシー・グローバル株式会社から提供を受けています。

・「Papyless Global,Inc.」は、米国をはじめとする英語圏向けの電子書籍販売サイトである「英語版Renta!」の運営を行っています。販売コンテンツについて、当社及びアルド・エージェンシー・グローバル株式会社から提供を受けています。

・「PAPYLESS HONG KONG CO.,LTD.」は、中華人民共和国の電子書籍販売サイト向けに電子書籍の提供を行う予定です。アルド・エージェンシー・グローバル株式会社が販売コンテンツを提供する予定です。

・「アルド・エージェンシー・グローバル株式会社」は、日本の出版社等からコンテンツの提供を受け、海外の電子書籍販売サイト等に取次販売を行っています。

・「JadeComiX株式会社」は、Webtoonコンテンツ及びサービスの開発とオリジナルコンテンツの制作を行っています。制作したコンテンツを当社及び当社の子会社並びに電子書籍事業者に提供する予定です。

 

(事業系統図)

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりです。

 

 

 

業績

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復がみられます。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念等、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、また、ウクライナ情勢の長期化を背景とした資源価格の上昇や円安基調の継続等によるインフレの影響も受けています。

 電子書籍の市場規模は、「インプレス総合研究所『電子書籍ビジネス調査報告書2023』」によると、2022年度は6,026億円(うち電子コミック市場規模が5,199億円)と推計されていますが、参入企業も多く、厳しい競争が続いています。また、コンテンツ需要の増加により、出版社等のコンテンツホルダーからの仕入コストが上昇しています。

 さらに、個人情報保護法の改正に伴うターゲティング広告の規制強化によって広告効率が低下し、ユーザーの消費行動への下押し圧力が依然として高まっていることによって、販促効果も弱まり、市場規模の成長が減速しています。

 このような環境の中で、当社グループは、顧客第一主義の基本理念に基づく、サービスの向上施策及び他社との差別化を図るためのブランド戦略施策を実施しました。

 サービス向上施策は、レンタル販売方式の拡充を進めました。

 ブランド戦略施策は、中長期的な事業拡大を目的とした広告宣伝を、先行投資として、積極的に行っています。

 また、ユーザーへの還元を目的とした販売促進施策も積極的に実施しました。

 さらに、将来市場が拡大すると予測される英語圏や中国語圏を中心とした海外事業への投資強化及び、今後市場に普及していく5G端末向けの次世代コンテンツの開発並びにオリジナルコンテンツの増産を図っています。

 2023年5月には、セガサミーホールディングス株式会社と、協力してWebtoonコンテンツ及び、サービスの開発とオリジナルコンテンツの制作を行うため、合弁会社「JadeComiX株式会社」(当社の連結子会社)を設立しました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,175百万円(前年同期比7.8%減)、営業利益は255百万円(前年同期比40.1%減)、経常利益は544百万円(前年同期比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は217百万円(前年同期比66.9%減)となりました。

 当社グループの事業は、電子書籍事業のみであり、重要な事業拠点も当社のみとなっているため、報告セグメントはありません。

 以下、当連結会計年度における主な事業活動を報告します。

 

(集客施策)

 割引やポイント還元などが適用されるクーポンの配布及び、人気作品がお得に読めるRenta!限定レンタルキャンペーンなどの企画を実施した結果、「Renta!」の会員数は900万人を突破しました。

 また、草彅剛さんと神木隆之介さん共演のTVCMの放送を実施し、ゴールデンウイーク中に、TVCMに合わせて、特別企画のレンタル&無料試し読み特集「Renta!のゲキ推し!」を実施しました。

 さらに、東京ビッグサイトで開催されたAnimeJapan 2024にて、人気声優が出演するRenta!のミニ番組『マンガ、鬼ほど好きなんで』のスペシャルイベントを実施しました。

 

(サイト改良施策)

 ユーザビリティの向上を目指したサイト改良を継続的に実施しています。

 また、決済方法の多様化による利便性向上を図るため、新たな決済手段の導入も推進しています。

 

(オリジナルコンテンツ施策)

 国際的に拡大が見込まれるフルカラー縦スクロールコミック市場において、オリジナル作品の創造を推進することと、グローバルダイレクトでコンテンツを展開可能な縦スクロールコミックを通じて、新たなIP創出や既存IPの活性化を実現していくことを目指すため、セガサミーホールディングス株式会社と共同で、フルカラー縦スクロールコミックレーベル「ZETooN」を立ち上げました。

 また、「Rentaコミックス」のオリジナル漫画レーベル「COMICスピア」よりリリースする作品について、「ムーンライトノベルズ」と共同で、「オトナ女子コミカライズ原作大賞」・「異世界801コミカライズ原作大賞」コンテスト、「小説家になろう」と共同で、「コミカライズ原作大賞 第3回」コンテストを実施しています。

 さらに、長年かけて開発してきたカラー縦スクロールのRenta!オリジナルコミック「タテコミ」について、大好評の作品が続々掲載中で、『聖女なのに国を追い出されたので、崩壊寸前の隣国へ来ました~力を解放したので国が平和になってきましたが元の国まで加護は届きませんよ~』が、連載わずか半年余りで販売数100万冊を突破しました。

 

(次世代コンテンツ開発施策)

 5G端末向けの縦スクロール型のコミック「タテコミ」の拡充及びマンガにモーションと音声を付加し、スマートフォンでの視聴に最適のタテ型アニメーション形式の動画コンテンツ「アニコミ」の制作体制の強化を進めています。累計閲覧冊数130万冊を突破した大人気フルカラー縦スクロールコミック『魔寄せ宮女、孤高の祓魔師に拾われました』のアニコミ化が実現し、アニコミ版の先行上映の試写会イベントを開催しました。

 また、自社オリジナルアニコミ『女体化した僕を騎士様達がねらっています』の第1期と第2期の全話TV放送も実施しています。

 

(海外展開施策)

 海外向けの直営販売サイトの「英語版Renta!」、「中国語繁体字版Renta!」の売上拡大を目指して、集客、サイト改良、コンテンツの拡充を進めると同時に、自社オリジナルコンテンツの海外展開にも積極的に取り組んでいます。中国最大級のコミックサイト・アプリ「テンセント動漫」で、オリジナルフルカラータテコミ『魔寄せ宮女、孤高の祓魔師に拾われました』の中国語簡体字版の配信を開始しました。

 また、海外取次会社AAG(アルド・エージェンシー・グローバル株式会社)を通して、英語、中国語及び韓国語のコンテンツ取次販売を行っています。直営以外の海外販売サイトにも展開し、販路拡大が進んでいます。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は13,723百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,346百万円増加しました。これは主に、現金及び預金が1,687百万円増加したことによるものです。

 固定資産は809百万円となり、前連結会計年度末に比べ209百万円減少しました。これは主に、貸倒引当金が75百万円増加、繰延税金資産が94百万円減少したことによるものです。

 この結果、資産合計は14,532百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,136百万円増加しました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は4,158百万円となり、前連結会計年度末に比べ196百万円増加しました。これは主に、買掛金が109百万円減少、前受金が118百万円、未払法人税等が269百万円増加したことによるものです。

 固定負債は0百万円となり、前連結会計年度末に比べ1百万円減少しました。

 この結果、負債合計は4,158百万円となり、前連結会計年度末に比べ194百万円増加しました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は10,373百万円となり、前連結会計年度末に比べ941百万円増加しました。これは主に、自己株式の減少1,059百万円(うち第三者割当による自己株式の処分が1,182百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益217百万円の獲得によるものです。

 この結果、自己資本比率は70.7%(前連結会計年度末は69.9%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、自己株式の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、自己株式の処分による収入852百万円、税金等調整前当期純利益544百万円(前年同期比1.2%増)を獲得したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,499百万円増加し、当連結会計年度末には10,242百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は691百万円(前年同期は613百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益544百万円、売上債権の減少額119百万円、仕入債務の減少額110百万円、法人税等の還付額251百万円等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は16百万円(前年同期は101百万円の獲得)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出1,706百万円、定期預金の払戻による収入1,666百万円等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は582百万円(前年同期は151百万円の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額93百万円、自己株式の取得による支出235百万円、自己株式の処分による収入852百万円、非支配株主からの払込みによる収入60百万円等によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.仕入実績

 当社グループでは、実際に利用された電子書籍の利用価格及び販売数に応じて、出版社又は著者等に対し、一定割合の著作権料の支払いが発生します。当該著作権料が仕入に当たります。

 当連結会計年度における仕入実績は、次のとおりです。

 

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

著作権料(百万円)

8,031

92.4

 

b.販売実績

 当連結会計年度の電子書籍事業の形態別販売実績は、次のとおりです。

 

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

前年同期比(%)

① 電子書籍販売(百万円)

17,053

92.3

② その他(百万円)

121

79.5

合計(百万円)

17,175

92.2

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

①経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,175百万円(前年同期比7.8%減)、売上原価は8,917百万円(前年同期比9.6%減)、売上総利益は8,257百万円(前年同期比5.7%減)、販売費及び一般管理費は8,002百万円(前年同期比3.9%減)、営業利益は255百万円(前年同期比40.1%減)、営業外収益は368百万円(前年同期比213.4%増)、営業外費用は79百万円(前年同期比1,317.6%増)、経常利益は544百万円(前年同期比1.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は217百万円(前年同期比66.9%減)となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、売上高と売上原価及び広告宣伝費があります。

 売上高は、前連結会計年度に比べて減収となっています。これは、広告施策の効果が低下していることによります。原材料価格の高騰や円安傾向の継続等による物価上昇により、ユーザーの消費行動への下押し圧力が強まること及び、個人情報保護法の改正によるターゲティング広告の規制強化等が広告効果に影響を与えています。

 売上原価は、前連結会計年度に比べて発生金額が減少しています。これは、売上高の減少に伴う著作権利用料の減少によるものです。

 広告宣伝費は、前連結会計年度に比べて発生金額が減少しています。これは、「Renta!」ブランドの認知度の向上とユーザー層の拡大を図るため、一般層に向けてTVCM等のマス広告を継続的に実施していますが、ターゲティング広告の規制強化等に関する影響を勘案し、広告施策を抑制していることによるものです。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、国内及び海外での電子書籍販売売上高を、達成状況を判断するための指標としています。

 売上高は、当連結会計年度の事業計画に比べて10.3%の不利差異となっています。

 

②財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度末における財政状態は、流動資産は13,723百万円(前連結会計年度末比10.9%増)、固定資産は809百万円(前連結会計年度末比20.6%減)、資産合計は14,532百万円(前連結会計年度末比8.5%増)、流動負債は4,158百万円(前連結会計年度末比5.0%増)、固定負債は0百万円(前連結会計年度末比80.0%減)、負債合計は4,158百万円(前連結会計年度末比4.9%増)、純資産合計は10,373百万円(前連結会計年度末比10.0%増)、自己資本比率は70.7%(前連結会計年度末は69.9%)となりました。

 

 当社グループは、運転資金及び設備資金について、内部資金を充当しています。現在の事業規模に比して十分な事業運営資金を有しています。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益の獲得、売上債権の減少、仕入債務の減少、法人税等の還付等により691百万円の獲得(前年同期は613百万円の使用)となっています。

 投資活動によるキャッシュ・フローについては、定期預金の預入による支出、定期預金の払戻による収入等により16百万円の使用(前年同期は101百万円の獲得)となっています。

 財務活動によるキャッシュ・フローについては、配当金の支払、自己株式の取得による支出、自己株式の処分による収入、非支配株主からの払込による収入等により582百万円の獲得(前年同期は151百万円の使用)となっています。

 

④資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、著作権料、コンテンツ制作費用及び広告宣伝費用です。投資を目的とした資金需要は、重要なものはありません。

 当社グループの資本の財源は、ほぼ利益剰余金となっています。

 資金の流動性については、当社グループは、重要な設備等を必要としていないため、総資産の構成は、大部分が流動資産であり、また、流動資産の大部分が現金及び預金となっています。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。

 会計方針は、当社グループの財政状態及び経営成績を正しく示すことができると判断したものを選択及び適用しています。

 会計上の見積りを行うに際して使用した重要な仮定は、時価による測定を含め、合理的であると判断しています。

 なお、当社グループが選択及び適用した会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載しています。

 

セグメント情報

(セグメント情報等)

【セグメント情報】

当社グループは、電子書籍事業の単一セグメントであるため、記載を省略しています。

 

【関連情報】

1.製品及びサービスごとの情報

 単一の製品・サービスの区分の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しています。

 

2.地域ごとの情報

(1)売上高

 本邦の外部顧客への売上高が連結損益計算書の売上高の90%を超えるため、記載を省略しています。

 

(2)有形固定資産

 本邦に所在している有形固定資産の金額が連結貸借対照表の有形固定資産の金額の90%を超えるため、記載を省略しています。

 

3.主要な顧客ごとの情報

 外部顧客への売上高のうち、特定の顧客への売上高であって連結損益計算書の売上高の10%以上を占めるものがないため、記載を省略しています。

 

【報告セグメントごとの固定資産の減損損失に関する情報】

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとののれんの償却額及び未償却残高に関する情報】

 該当事項はありません。

 

【報告セグメントごとの負ののれん発生益に関する情報】

 該当事項はありません。