2024年2月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

 1.当社グループにおけるリスクマネジメントの概要

当社グループにおいては、サプライチェーンや事業のグローバル化、情報化及び企業の社会的責任に対する意識の高まりなど、経営環境の変化に伴い日々多様化、増大するリスクに対応し、より健全性の高い、持続可能な経営を実践するため、ERM(Enterprise Risk Management:全社的リスク管理)を推進しております。

当社グループにおけるERM及びコンプライアンス全般を管理する機関として、代表取締役社長の諮問機関として位置づけられるリスク・コンプライアンス委員会を設置するとともに、同委員会の事務局を当社コーポレート本部法務・コンプライアンス部に置いています。

ERMの具体的な活動としては、当社グループ最大の事業子会社である㈱TSIを中心とした各部門において、それぞれ事業リスクの特定を行い、各リスクに対して影響度と発生確率の二軸で評価したうえで、特に当社グループの経営上重大な影響を与える可能性が高いリスクを選定することとしております。また、選定されたかかる重要リスクに対しては、モニタリングを行うとともに、リスク低減のための具体的な活動に取り組んでまいります。

 

 2.個別リスクについて

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、記載内容のうち将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日(2024年5月24日)現在において当社グループが判断したものです。

(1) ファッション・アパレル商品の特性について

当社グループの主力商品であるファッション・アパレル商品は、その性格上、流行に左右されやすい傾向があります。消費者ニーズに柔軟に対応すべくマーケット情報の収集に努め、商品企画力の向上・差別化に努めていますが、急激な流行の変化によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2) 経済状況や気象状況について

ファッション・アパレル商品の売れ行きは、景気の変動、特に個人可処分所得の変動等による個人の購買意欲の低下等に左右される傾向があり、経済状況の変化によっては、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。長梅雨、冷夏、暖冬、台風等の予測不能な気象状況の変化は、売上の低迷や在庫の処分等を通じて、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、気象の激甚化に伴い、集中豪雨・台風による店舗・各拠点の浸水被害・休業などの可能性があります。

(3) 品質管理について

当社グループは、商品の品質管理には万全の体制を敷いていますが、予測しえない品質上のトラブルや製造物責任に起因する事故が生じた場合は、企業イメージが損なわれ、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 出店政策について

当社グループでは、出店候補地周辺の商圏環境や立地条件、店舗損益予測等の分析を行いながら店舗の出店を進めていますが、計画通りに出店が行えなかった場合や、ブランド閉鎖、不採算店舗整理等により多数の退店が発生する場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 知的財産権の使用について

当社グループは、現在海外提携先と契約し、提携先所有の知的財産権を使用した商品を販売しています。これら海外提携先とは現時点では概ね友好な取引関係を維持していますが、今後、事由の如何にかかわらず契約の終了、解除または条件変更された場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
 また、新たに企画開発する商品について、万一第三者から損害賠償および使用差止め請求等が申立てられ、金銭の支払いが発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 個人情報管理について

当社グループは、店頭販売、WEB販売等での顧客管理上、多くの個人情報を保有しており、その管理には万全を期していますが、今後、万一お客様の情報が外部に漏洩する事態となった場合には、信用の低下等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(7) クレジットリスクについて

保有債券の発行体、あるいは取引先の財務破綻に起因するデフォルトリスクについては、その回避・軽減のため管理体制を強化していますが、今後、万一そのリスクが現実化した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 自然災害・人的災害について

当社グループは、国内外の取引先から商品の供給を受けており、また、国内外の物流網を通じて各店舗やお客様に商品を供給しております。従いまして、国内外において自然災害や戦争等の人的災害(近時の中東やウクライナとロシアにおける紛争およびこれに伴う為替変動を含む。)が発生した場合、当社グループのサプライチェーンが影響を受け、事業や商品供給を停滞させる可能性があります。

(9) パンデミックに関するリスクについて

新型コロナウイルスや、それとは異なる新型ウイルス感染が再度拡大し、政府や自治体による外出自粛や営業制限、休業要請が実施される場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外諸国における上記感染症の感染拡大動向により、当社グループのサプライチェーンが影響を受け、事業や商品供給を停滞させる可能性があります。当社は当該リスクに対応するため、お客様が自宅で商品を購入できるECの強化や生産計画と在庫管理の見直しにより商品在庫の圧縮を図っております。

 (10) 気候変動リスク

当社グループは、気候変動をはじめとする地球環境の変化が、人々の日常生活や経済活動に対して大きな変化を強いることにより、当社の事業運営、経営戦略や財務計画についても重大な影響を及ぼす可能性があるものと認識しております。かかるリスクに対応するためにも、当社は取締役社長の諮問機関としてサステナビリティ委員会を設置して気候変動対策を含むサステナビリティ全般の取り組みを進める一方で、2022年10月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に対する賛同を表明しました。気候変動に伴う事業へのリスクと機会につきましては、4度上昇の場合と1.5度上昇の場合の2パターンでシナリオ分析を行うとともに、温室効果ガスの排出量についての削減目標を設定しており、これらを開示しております。

(詳細はhttps://www.tsi-holdings.com/pdf/221012_TCFD.pdfをご参照下さい。

(11) その他

以上のほか、公的規制適用、各種事故、訴訟等、様々なリスク要因が考えられます。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

利益配分に関する基本方針

当社は企業価値の長期的な向上を図りつつ安定的な配当水準を維持することを重要な基本方針としており、当該基本方針を前提に還元水準として、配当性向30%以上を指標とし、経営環境、業績、財務の健全性等を総合的に勘案したうえで、株主の皆様への利益還元を図ってまいります。

また、PBRやROE向上の観点から、中期経営計画の期間中(2025年2月期から2027年2月期まで)は100億円の自己株式取得と、同期間最終年度までにDOE4%以上を目指します。

また、内部留保については、新規出店等の設備投資並びに新規ブランド及び新事業の開発等、資本効率の向上に資する投資に充当し、もって企業価値の向上を図ることを基本方針としています。自己株式の取得、処分及びその活用につきましては、当社グループの成長発展に資する資本政策並びに株主還元策の一環として検討し、時宜に適った決定をしてまいります。

なお、当社は、会社法第459条の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当を行う旨を定款に定めています。

当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としております。

 

 

当事業年度の期末配当金については、当社定款第39条の規定に基づき、2024年4月12日開催の当社取締役会で、上記の方針及び当期の業績、経営環境や今後の事業展開を考慮し、次のとおり決議しました。

(1)株主に対する配当財産の割当てに関する事項及びその総額

  当社普通株式1株につき金15円 総額1,143百万円

(2)剰余金の配当が効力を生じる日

  2024年5月7日

以上の結果、当事業年度の年間配当金は、当社普通株式1株につき15円となります。