リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経済情勢の変動によるリスクについて
当社事業が属する不動産・住宅業界におきましては、景気動向・経済情勢、金利動向、税制等の影響を受けやすい特性があります。
① 不動産市況等による業績の変動について
分譲住宅事業における各プロジェクトの原価は、事業用不動産の仕入価格や建築費に大きく依存します。当社は、中期経営計画及び年度予算に基づいて、事業用不動産の仕入及び施工並びに販売を行っておりますが、経済情勢や不動産市況等による事業用不動産の仕入価格や建築費等の変動及び在庫過多等により、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、原価管理の強化を行っております。具体的には、原材料費や外注費の上昇について、設計・施工・技術基準の見直しやスケール・メリットを活かしたコスト低減及び標準工期の遵守並びに完成在庫期間の短縮化を図ることにより、品質を維持しながら収益の確保向上に努めております。
② 消費税率の引き上げについて
不動産・住宅業界は、消費税率の動向によって需要が大きく左右される性格を有しており、消費税率が引き上げられた場合、家計の実質所得の目減りから個人消費を抑制する要因となります。駆け込み需要の反動が個人消費の振幅を大きくした場合、消費税率引き上げ直後は個人消費が大幅に落ち込む懸念があり、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、神奈川県横浜市及び川崎市並びに東京城南地区を中心に主軸である新築戸建住宅の分譲住宅事業と注文住宅事業を展開しております。当該リスクに対しては、需要が高い地域に注力していることで、需要変動リスクの低減を図っております。また、一次取得者層の実需をターゲットとしているため、需要は安定的に見込まれております。
(2) 物件の販売時期による業績の変動について
分譲住宅事業の売上高及び利益は、各プロジェクトの規模や利益率に大きく影響を受けると共に、当該事業の売上及び売上原価は顧客への引渡時に計上されることから、各プロジェクトの進捗状況、販売計画の変更、販売動向の変化及び建築工事等の遅延による引渡時期の変更により、当社の経営成績が変動する可能性があります。当該リスクに対しては、市場調査等による適正な価格設定や定期的な価格の見直しにより、完成在庫期間の短縮化を図ることでリスクを低減しております。
(3) 競合リスクについて
当社の主力事業である分譲住宅事業は、東京神奈川圏の限定された地域に展開しており、参入障壁も低いため、競合各社との競争は大変厳しいものがあります。また、規制緩和や異業種参入等のビジネス環境の変化によっては、当社の競争力を維持できなくなる可能性があります。今後においても当該競合状況による事業用不動産仕入の計画変更、当該用地仕入価格及び係る販売価格の大幅な変動等により、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、20年以上の業歴で培った狭小物件に対する設計、施工のノウハウが蓄積されており差別化が図れております。また、以下の対策により、リスクの低減を図っております。
1.既存店舗の規模拡充により営業基盤を固め、周辺地域へ延伸を図っております。
2.大手不動産仲介会社や地場の不動産会社を通じた仕入を行っておりますが、一層の関係強化と仕入ルートの多元化を図っております。
3.主力事業である分譲住宅事業の他、注文住宅事業を東京神奈川圏で展開しておりますが、更なる収益基盤の多様化を図るため、京都地区において既存マンションのリノベーション及び戸建住宅事業にも取り組んでおります。
(4) 建築工事について
当社は、分譲戸建住宅及び注文住宅の建築工事については、一定の技術水準を満たす建築工事業者を選定して発注しております。また、建築工事の実施に際しては、当社と当該建築工事業者との間で厳格なコスト、品質及び工期の管理を行っております。しかしながら、今後において取扱い物件の増加や営業地域を拡大した場合、または、建築工事業者の減少又は従事者の不足等によっては、当社の要求水準を満たす建築工事業者を確保できなかった場合や、適切なコントロールができず建築工事についてトラブル等が生じた場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、品質の維持は、不動産・住宅事業者としては最優先事項であり、その維持ができないときは取扱物件数を抑制的にすると同時に、営業地域も拡大しない方針であります。
(5) 販売用不動産の評価に関する会計処理の適用について
経済情勢の悪化や不動産市況悪化等により、販売用不動産としての価値が大きく減少した場合には、棚卸資産の簿価切下げに伴う損失が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社が保有する販売用不動産については、2015年3月期より「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 平成20年9月26日)を適用しております。期末に保有している販売用不動産(分譲戸建)については、取得価額と正味売却価額を比較し、正味売却価額が、帳簿価額を下回っている場合には、販売用不動産評価損を計上することとしております。今後、経済情勢や不動産市況の悪化等により、当初計画どおりに販売が進まない場合、販売用不動産が、在庫として滞留する可能性があり、滞留期間が長期化した場合等は、期末における正味売却価額が、帳簿価額を下回り、販売用不動産評価損を計上することも予測され、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、下記の対策により、リスクの低減を図っております。
1.神奈川県横浜市及び川崎市並びに東京城南地区を中心に事業を展開しております。この地域は住宅取得希望者の人気が高い地域であり、値崩れを起こしにくいエリアになっております。
2.社内の設計、施工のサプライチェーンの強化により、品質維持による収益性の確保、向上を図っております。
(6) 減損会計の適用について
当社は「固定資産の減損に係る会計基準」等に従い、固定資産から生ずる損益又はキャッシュ・フローが継続してマイナスとなっているか、または、継続してマイナスとなる見込みである場合等に関して、決算期ごとに固定資産の将来キャッシュ・フロー等を算定し減損損失の認識・測定を行っております。
(7) 偶然不測の事故・自然災害等について
大規模な地震や台風等の自然災害が発生した場合、当社が保有する物件について滅失、劣化又は毀損し、その価値が影響を受ける可能性があります。また、偶然不測の事故・自然災害により不動産に対する投資マインドが冷え込んだ結果、不動産需要が減り、当社の事業が影響を受ける可能性があります。こうした場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 法的規制等について
当社は、「宅地建物取引業法」、「建築士法」、「建築基準法」、「建設業法」、「国土利用計画法」、「都市計画法」、「不当景品類及び不当表示防止法」、「不動産の表示に関する公正競争規約」等各種法令の他、各自治体が制定した条例等による規制を受けると共に、事業を営むうえで各種関連法令等に定める免許・登録等を取得しております。当社では、現在を含め過去においても、免許・登録等の取消しや更新拒否の事由となる事実は発生しておりません。しかし、将来において不本意ながら、これら法令に違反する事実が発生し、免許・登録等の取消しや行政処分が発せられた場合には、当社の事業活動や経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、関連法令の改正や制定に伴い当社の事業活動が制約を受ける場合や当社が十分に対応できない場合には、当社の事業活動や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、コンプライアンス委員会の主導のもとでコンプライアンス教育活動を継続し、法規制及び社会規範の順守に関する研修や規程・業務マニュアルの整備と運用の徹底を図るとともに、法的規制等遵守のために必要な体制の構築と維持に取り組んでおります。
なお、許認可、免許及び登録等の状況は、次のとおりであります。
取得年月 |
2016年9月 |
2014年10月 2016年3月 2016年9月 2022年5月 |
2016年10月 |
許認可等の名称 |
宅地建物取引業者免許 |
一級建築士事務所登録 |
特定建設業許可 |
所管官庁等 |
国土交通大臣 |
都道府県知事 |
国土交通大臣 |
許認可等の内容 |
国土交通大臣免許 (2)第9048号 |
神奈川県知事登録第15352号 神奈川県知事登録第17059号 東京都知事登録第61105号 京都府知事登録(04A)第03401号 |
国土交通大臣許可 (特-3)第26379号 |
有効期限 |
2026年9月9日 |
2024年10月29日 2026年3月3日 2026年9月14日 2027年5月1日 |
2026年10月3日 |
法令違反の要件及び 主な許認可取消事由 |
取消事由 |
取消事由 |
取消事由 |
破産手続開始の決定がされたとき、暴力団員等に該当するとき、不正の手段により免許を受けたとき、業務停止処分に違反し業務を行った場合等。 |
本人からの免許取り消し要請、死亡の届出、虚偽又は不正の事実に基づいて免許を受けたことが判明したとき、建築士法若しくは建築物の建築に関する他の法令又はこれらに基づく命令若しくは条例の規定に違反したとき等。 |
建設業法第7条に定める経営業務の管理責任者、専任技術者、財産的基礎、誠実性を満たさなくなったとき及び建設業法第8条に定める欠格要件に該当したとき。 |
(9) 契約不適合責任について
当社は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により、住宅供給者は新築住宅の構造上主要な部分及び雨水の浸入を防止する部分について10年間、中古不動産については引渡し後2年間の瑕疵担保責任を負っております。また、2009年10月1日以降に「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」に基づき、住宅の品質確保措置を確保するために国土交通大臣の指定する保険法人と当社は保険契約を交わしており、保険金の支払又は保険金の還付によって瑕疵の補修工事等に必要な資力を確保しており、建築工事の工程管理及び品質の管理においても万全を期しております。しかしながら、万が一当社の販売した不動産もしくは請負物件に隠れた瑕疵又は契約不適合があった場合には、その修復のための費用増加や当社の信用が毀損する等により、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 個人情報の管理について
当社は、宅地建物取引業者として法令の定めに従い、取引情報に関し守秘義務があります。また、改正個人情報保護法に則した情報管理に努めておりますが、不測の事態により、個人情報が外部へ漏洩するような事態となった場合、当社の信用失墜による売上の減少または、損害賠償による費用発生の可能性も考えられ、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、当社は、企業の継続的発展を図るために、内部統制の行き届いた管理体制を高機能に維持していく必要があると認識しております。その一環として当社の定める内部統制基本方針の遵守及びコンプライアンス最優先の企業経営に努めております。
(11) 組織体制について
① 特定人物への依存について
当社の創業者であり代表取締役である奥本健二は、当社の設立以来、経営方針、経営戦略、事業戦略、投資判断等、事業活動の推進に当たり重要な役割を担ってまいりました。同代表取締役が当社の業務執行から離れることを現時点において想定しておりませんが、当社では今後、同代表取締役に過度に依存しないよう取締役及び幹部社員への権限委譲を進めると共に同代表取締役の経営哲学を共有し、人材の育成に努める等、同代表取締役に過度に依存しない経営体制の整備の必要性を認識しております。しかしながら、このような組織的経営体制への移行段階にあり、同代表取締役の業務執行が困難となるような不測の事態が生じた場合、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、代表取締役に過度に依存しないよう取締役や幹部社員への権限委譲を進めるとともに人材の育成に努めております。
② 小規模組織であることについて
当社は、比較的小規模な組織となっており、内部管理体制もそれに応じたものとなっております。当社は今後の事業規模の拡大に応じて人員を増強し、内部管理体制の一層の充実を図っていく方針でありますが、人員等の増強が予定どおり進まなかった場合や既存の人員が社外に流出した場合、規模に応じた充分な内部管理体制が構築できない可能性があり、場合によっては、当社の経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、不動産・住宅事業に関する知見が豊かな人材の採用を行うことにより内部統制管理の深化を図っておりますが、規模・業容に合わせて内部管理体制構築に必要な人材の確保に努めております。
③ 人材の確保について
当社の将来の成長は優秀な人材をはじめとする人的資源に大きく依存するため、不動産・住宅事業における高い専門性と豊富な知識と経験を有する人材の確保が不可欠な条件であります。しかしながら、計画どおりに当社の求める人材が確保できない場合には、当社の経営成績及び今後の事業推進に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、業容拡大を図るうえで人的リソースによる寄与度が高いことから、不動産・住宅事業に関する知見が豊かな人材の採用及び人材育成を重要な施策として取り組んでおります。
(12) サプライチェーンについて
当社は、住宅に関わる建築資材を多くの取引先から仕入れております。当社が仕入れているのは直接的には国内企業ではありますが、その企業が商品を完成させる過程においては、一部の部品は中国等海外からの輸入に依拠している場合もあります。中国等海外からの輸入が困難になった場合は、建築資材の供給を受けることが出来なくなることもあります。また、世界的なパンデミック等の危機が生じた場合は、国内企業との間においても経済活動の停滞により円滑な商品の供給を受けられなくなる可能性もあり、当社の経営成績及び今後の事業推進に影響を及ぼす可能性があります。
当該リスクに対しては、下記の取り組みを行っております。
1.建築資材の調達に関しては、安定確保のため代替品での対応を含め、必要に応じて仕入ルートの多元化を図っております。
2.分譲住宅事業においては、仕入から引渡まで8ヶ月、注文事業においては、受注から引渡まで9~10ヶ月の期間を要します。そのため、経済情勢の変化等の影響は8~10ヶ月後の売上に表れますが、この期間に工事の進行状況・販売計画の調整を図り、リスクの低減に努めております。
配当政策
3【配当政策】
当社は株主の皆様への利益還元は、継続的な企業価値の増大を通じて実施して行くことを基本としております。配当金については、業績の動向、財務状況並びに今後の事業展開等を総合的に勘案し決定してまいります。具体的には、配当性向20%を配当額の目途として安定配当に努めてまいります。
なお、内部留保金につきましては、成長力の維持及び競争力強化等企業価値向上に資する様々な投資に活用する方針です。
当社は会社法第454条第5項に規定する中間配当制度を採用しており、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当をすることができる。」旨を定款に定めております。また、剰余金の配当を行う場合は、期末配当の年1回を基本的な方針としておりましたが、2020年度からは毎年9月30日を基準日として中間配当も行う方針へ変更いたしました。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は、次のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当金(円) |
2024年6月22日 |
49,990 |
12.5 |
株主総会決議 |