2024年3月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業子会社における事業等のリスクを包括的に抱えることのリスク

 当社は、当社の完全子会社である事業子会社における事業等のリスクを完全親会社として包括的に抱えることになりますので、各事業子会社での事業等のリスクは、グループの持株会社である当社のリスクでもあるものと判断します。具体的には、以下のようなものがあります。

①新業態の開発・事業化について

 当社グループは、多業態飲食チェーンとして、「ベーカリーレストラン・サンマルク」及び「ベーカリーレストラン・バケット」の西洋風レストランの他、コーヒーショップ「サンマルクカフェ」、回転ずし店「すし処函館市場」、スパゲティ専門店「生麺専門鎌倉パスタ」、ドリア専門店「神戸元町ドリア」及びフルサービス喫茶「倉式珈琲店」の計7本の本格展開業態を有し、このうち、各業態別に業容の拡大を図っておりますが、これらに続く新業態の開発については重要な経営課題として位置づけております。業態開発についての機能は、基本的に持株会社である当社が保有しておりますが、各事業子会社で既に保有している実験業態のブラッシュアップや本格展開業態の派生業態の開発などにより、グループ一体となって顧客ニーズの把握、店舗運営パッケージの構築、立地面の検証等に注力していく予定であります。

  当社グループは、今後も複数の新業態実験を継続的に実施していくこととし、運営ノウハウの蓄積に努めるとともにこれらの中から事業の柱となる業態を着実に育て、本格的な事業化につなげていく方針であります。そのため、これら新業態の開発・事業化の進展如何によって、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

展開業態・実験業態店舗数

 

業  態  名

2024年3月31日現在

展開業態

ベーカリーレストラン・サンマルク

45

ベーカリーレストラン・バケット 他

68

生麺専門鎌倉パスタ 他

200

すし処函館市場 他

9

神戸元町ドリア 他

66

サンマルクカフェ

294

倉式珈琲店

52

実験業態

奥出雲玄米食堂井上/ザ・シーズン/天清 他

8

 

②特定の取引先への依存度について

 株式会社タカキベーカリーとの取引関係

 当社グループは、株式会社タカキベーカリーから当社グループチェーン店舗で使用するパン生地を仕入れており、当社グループの当連結会計年度における同社との取引は、当社連結仕入高に対し10.0%(15億62百万円)となっております。

 株式会社タカキベーカリーは、株式会社アンデルセン・パン生活文化研究所をホールディングカンパニーとするパン生地等業務用製品の卸売事業等を担う同社グループ企業であります。当社グループは、1991年5月、同社グループとの取引を開始して以来、パン製造技術の指導を受けており、またパン商品の共同開発を行うなど、同社グループとの良好な関係を保っております。

 今後、当社グループチェーンの拡大に伴い、同社からの仕入取引金額が増加する可能性があります。

 上記株式会社タカキベーカリーと当社グループとの取引は契約に基づいており、今後とも安定的に継続するものと思われますが、仮に何らかの理由で現在の取引関係に変化が生じた場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③主要食材の調達について

 当社グループチェーンでは、レストラン等で使用する主要食材の牛肉について、世界的な異常気象による飼料価格の上昇などの影響から価格上昇が継続、アメリカ産牛肉は飼育頭数、生産量ともに減少傾向が続いている状況から、当社グループでは、食材全般の調達リスクを低減させるためオーストラリア産など複数地域からの調達を随時進めております。

 同様に主要食材の鶏肉について、ブラジル産、タイ産等の主要な調達先で鳥インフルエンザの発生が確認され、輸入停止措置等により調達に支障を来すこととなった場合、一部、メニュー変更等を余儀なくされるケースも想定でき、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

④差し入れ敷金・保証金及び建設協力金について

 当社グループの直営店出店のための賃貸借物件に係る差し入れ敷金・保証金等の残高は、連結ベースで2024年3月31日現在、敷金・保証金総額76億87百万円(781件)、建設協力金総額1億40百万円(14件)がありますが、賃貸人に対し賃貸借物件の需給関係、力関係から同業他社と同様にこれら差し入れ敷金・保証金等の返還請求権に対する抵当権設定等保全は完全なものではありません。

 このような状況を踏まえ、今後当社グループにおいて直営店の出店増に伴う差し入れ敷金・保証金等残高が増大することが予想され、個別物件を含む相手先の信用情報等に基づく社内審査を強化しております。今後、万一差し入れ敷金・保証金等の相手先の倒産等により、一部回収不能の状況が発生した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑤顧客情報の管理について

 当社グループチェーンは、来店顧客のアンケート情報や入会会員情報をデータベース化し、レストランの特別メニューをご案内するなどダイレクトメールによる販売促進に活用しております。

 当該顧客情報につきましては、個人情報取扱に関して公的認定基準を満たした信頼性の高い外部委託先を指定して管理することとしており、社内においても個人情報保護法遵守の観点から、顧客情報については特に留意した取扱いを徹底するなど万全を期しておりますが、万一、不正等の発生により、何らかの理由で顧客情報が漏洩した場合は、損害賠償問題の発生や信用の低下等により、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑥法的規制等について

 当社グループチェーンの店舗は、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上並びに増進に寄与することを目的とした食品衛生法の規制を受けております。当社グループチェーンは、定期的に第三者の衛生検査機関による細菌検査を実施するなど衛生面には万全を期しておりますが、万一、食中毒事故を引き起こしたり、重大な衛生問題が発生した場合は、食品等の廃棄処分、営業許可の取消し、営業の禁止、一定期間の営業停止等を命じられることがあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑦人材の確保等について

 当社グループチェーンは、多店舗展開により多数のパート・アルバイト社員を雇用しており、また、毎期継続的な新規出店を行っていることから、必要な人材の確保・育成が計画通りに進まない場合や今後の人口態様の変化により適正な労働力を確保できない場合には、事業の遂行や展開に支障をきたす恐れがあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、各種労働法令の改正や社会保険等従業員の処遇に関連した法改正が行われた場合、対応コストや人件費等が増加する可能性があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

⑧自然災害等に関するリスク

 当社グループチェーンは日本国内において多くの店舗を展開しており、地震、台風、洪水等の不可避な自然災害の発生により、店舗においてお客様、従業員が被災する可能性及び店舗設備が損壊する可能性があります。この場合、被害にあったお客様、従業員の医療費等が多額に発生した場合または損害を被った店舗設備等の修繕が多額に発生した場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、物流網が寸断される場合、仕入先が被災し原材料の調達に影響を及ぼす場合、停電等により営業時間の制約を受ける場合などにおいては、当社グループの仕入及び販売が遅延、混乱、停止する可能性があります。このように当社グループの店舗が直接被災しない場合においても間接的な影響を受けることで、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)持株会社としてのリスク

 当社グループは、2006年3月1日付、会社分割により業態別に分社化するとともに、全事業に共通するインフラ的機能を持株会社である当社に集約いたしました。当社は、カフェ事業、パスタ事業等の業態別子会社を有し、経営統括管理を行う持株会社であるとともに、2022年7月1日付及び2024年4月1日付にて実施した吸収合併により、レストラン事業及び喫茶事業の運営を行っております。

 当社は、当該グループ経営を軌道に乗せて円滑な運営に万全を期する予定でありますが、不測の内的または外的要因等によって、グループ内の体制が完全に整わなかったり、各業態別子会社の立ち上げが順調に進まなかったりした場合には、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

配当政策

3【配当政策】

 当社は、当社グループの経営成績の動向及び配当性向等を総合的に勘案した上で、株主に対し利益成長に応じた安定的な配当を継続しつつ、今後のグループ内における事業拡充による将来の利益貢献を図るため内部留保の充実に努めることを基本方針としております。また当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としており、これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。これをベースに今後の当社グループの利益成長等を勘案し、中期的な連結ベースの配当性向の水準として35%を目標としつつ、DOE(純資産配当率)等の要素も加味しながら決定することとしております。当期の配当につきましては、1株につき25円の中間配当金を実施し、期末配当金は1株につき25円を予定し、年間50円の配当を行いました。次期の配当につきましては、実績状況を勘案した配当を実施していく方針であり、現時点では52円を予想しております。

 内部留保資金につきましては、持続的成長に向けたグループ内直営方式による新規出店・改装等に係る事業投資やM&A等の戦略投資を中心に活用してまいる所存でございます。

 当社は、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度における剰余金の配当は以下のとおりであります。

決議年月日

配当金の総額(千円)

1株当たりの配当額(円)

2023年11月13日

509,512

25.00

取締役会決議

2024年6月26日

510,779

25.00

定時株主総会決議