2024年6月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。

なお、当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以降の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありませんので、この点ご留意ください。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。

 

(1) 不動産業に関する各種関係諸法令の変更について

当社グループは不動産業に属し、監督官庁(国土交通大臣等)から宅地建物取引業免許を取得しており、「宅地建物取引業法」及び関連する各種関係法令によって規制を受けて事業活動しております。現時点におきましては、当該免許等の取消し等重大な行政処分の対象となる事由は発生しておりませんが、将来何らかの理由によって当該免許等の取消しを含む行政処分がなされ、またはこれらの更新が認められない場合には、当社グループの事業活動に支障を来すとともに、業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。また、これらの法令等が改廃または新たな法的規制が生じた場合にも、当社グループの業績及び事業活動に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクを低減するため、基本的な宅建業の知識を習得・理解するよう、当社社員全員が宅地建物取引士の資格を取得することを必須とし、資格取得に向けて積極的な教育活動を行っております。なお、法的規制について、その有効期間やその他の期限が法令、契約等により定められているものは下表のとおりであります。

 

(許認可等の状況)

会社名

許認可等の名称

許認可登録番号

有効期間、登録日等

関係法令

許認可等の取消または

更新拒否の事由等

株式会社アンビション DX ホールディングス

宅地建物取引業免許

国土交通大臣免許

(3)第8023号

2020年7月24日~

2025年7月23日

宅地建物取引業法

第5条及び第66条

不動産特定共同事業者許可

東京都知事

第127号

2019年11月25日

許可

不動産特定共同事業法

第36条

賃貸住宅管理業者登録

国土交通大臣

(2)第2613号

2021年11月17日~

2026年11月16日

賃貸住宅管理業法

第23条

株式会社アンビション・バロー

(注)1

宅地建物取引業免許

国土交通大臣免許

(1)第9662号

2019年12月28日~

2024年12月27日

宅地建物取引業法

第5条及び第66条

賃貸住宅管理業者登録

国土交通大臣免許

(2)第2761号

2021年11月23日~

2026年11月22日

賃貸住宅管理業法

第23条

株式会社ヴェリタス・インベストメント

宅地建物取引業免許

東京都知事免許

(4)第89191号

2023年5月10日~

2028年5月9日

宅地建物取引業法

第5条及び第66条

マンション管理業

国土交通大臣免許(4)第033520号

2024年3月24日~

2029年3月23日

マンション管理適正化法

第47条及び第83条

一級建築士事務所登録

東京都知事登録

第55840号

2019年10月5日~

2024年10月4日

建築士法

第26条

賃貸住宅管理業者登録

国土交通大臣

(1)第2630号

2021年11月17日~

2026年11月16日

賃貸住宅管理業法

第23条

株式会社アンビション・エージェンシー

宅地建物取引業免許

国土交通大臣免許

(1)第9692号

2020年2月29日~

2025年2月28日

宅地建物取引業法

第5条及び第66条

株式会社アンビション・レント

宅地建物取引業免許

東京都知事免許

(1)第104114号

2019年11月2日~

2024年11月1日

宅地建物取引業法

第5条及び第66条

株式会社DRAFT

有料職業紹介事業

13-ユ-316440

2024年3月1日

許可

職業安定法

第31条、第32条及び第32条の9

 

(注)1. 2023年7月1日付をもって、株式会社VALORは、株式会社アンビション・バローに商号変更しております。

 

(2) 不動産の表示に関する公正競争規約について

不動産業界は公正取引委員会の認定をうけ、「不動産の表示に関する公正競争規約」及び「不動産業における景品類の提供の制限に関する公正競争規約」を設定しております。当社グループはこれらの規約を遵守し業務を遂行するように努めておりますが、万一、不測の事態によって規約に違反する行為が行われた場合、当社グループにおけるお客様からの信頼性の低下、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 保険代理業について

当社グループの仲介関連業務である保険募集代理店業務の運営は、保険業法及びその関連法令並びにそれに基づく関係当局の監督等による規制、元受保険会社の指導等を受けております。万が一保険業法及びその関連法令に抵触するような事態が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 少額短期保険の引受について

当社グループの少額短期保険事業においては、台風等の自然災害に関わるリスクなど様々なリスクを引き受けております。保険料設定時に想定している経済情勢や保険事故発生率等が、その想定に反して変動した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。このような場合に備えて、保険業法の定めにより異常危険準備金等を積み立てておりますが、この準備金等が実際の保険金支払に対して十分でない可能性もあります。このような予測を超える頻度や規模で自然災害が発生した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響が生じる可能性があります。

 

(5) 外部環境について

当社グループの事業は、景気動向、金利動向、地価動向、新規供給物件動向、不動産販売価格動向、住宅税制等の影響を受けやすいため、景気見通しの悪化、税制の変更、大幅な金利の上昇、建築工事費の上昇、あるいは急激な地価の下落の発生、未曽有の天災の発生等、諸情勢に変化があった場合には、プロパティマネジメント事業及び賃貸仲介事業においては、賃貸住宅の家主等の事業意欲の減退及び借主の借換え需要の低下等によって賃貸住宅市況に影響を発生させる可能性があり、インベスト事業においては購買者の不動産購入意欲を減退させる可能性があり、その場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 賃貸住宅の需給関係について

わが国の人口は今後減少が見込まれております。世帯数についても、現時点では単身者世帯の増加により世帯数は増加しているものの、今後は減少していく見込みです。その結果、入居者獲得競争が激化し、家賃相場が全体的に下落した場合、当社グループが受け取る「受取家賃」及び「仲介手数料」が減少する可能性があり、その結果、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 競合他社の動向について

大手仲介管理会社による多店舗展開及び賃貸物件の自社への取り込みが、より先鋭化している状況においては、当社グループが取扱う賃貸物件の確保が困難になる可能性があります。当社グループは、当社グループが保有する人的ネットワークを通じて、賃貸物件の確保に注力いたしますが、当社グループが適時に十分な賃貸物件の確保ができなかった場合、並びに今後の不動産賃貸仲介市場の動向によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 店舗展開について

当社グループは店舗展開による成長を目指しておりますが、下記の要因により、出店計画に支障を生じ、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

① 出店予定地での物件の制約について

当社グループが出店を希望する物件は駅前の立地物件であり、当該物件は同業他社のみならず、他業態者も出店等を希望する物件でもあるため、適切な物件が見つからず、出店できないまたは別条件の物件に出店する等、当初の出店計画に支障が生ずる可能性があります。

② 競合他社の店舗展開等の動向に伴う影響について

当社グループは、今後も首都圏を中心に事業展開を計画しておりますが、当該地域は競合関係にある事業者も事業展開を進めている地域でもあります。そのため、同業他社の店舗展開の進捗状況によっては当社グループの出店計画に支障が生ずる可能性があります。

 

(9) 自然災害・事故災害について

当社グループは、首都圏を営業エリアとしており、当該エリアで自然災害やテロ等、不測の事態が発生した場合は、当社グループの実績に影響を及ぼす可能性があります。

① 自然災害等によるリスク

当社グループは、自然災害・テロ等に対する被害・損害を最小限にするための防災、減災、さらには危機管理体制を重要なものと位置付けて取り組んでおりますが、自然災害等の不測の事態が発生した場合は、その発生規模の程度によって人的・物的な被害を受ける可能性があります。

② 感染症によるリスク

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、生活様式や働き方等の顧客ニーズおよび経済環境の変化をもたらし、当社グループの事業に影響が生じました。

 今後、新型コロナウイルス感染症とは異なる新たな感染症が発生し流行する可能性もあり、当該新たな感染症の性質や感染症の発生・拡大に起因した国内外の事業環境の変化等によっては、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は新型コロナウイルス感染症と同等またはそれ以上の悪影響を受ける可能性があります。

 

(10) 個人情報保護法について

当社グループは宅地建物取引業者として法令の定めに従い、取引情報に関し守秘義務があり、情報の秘密保持に努めて参りましたが、個人情報保護法の改正に伴い、情報セキュリティの更なる強化を行っております。しかし、仮に個人情報の漏洩が発生した場合には、信用が失墜し当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) ブランドイメージによる影響について

当社グループの営業拠点は全て「ルームピア」及び「VALOR」を統一ブランドとして事業展開しており、何らかの不祥事や、当社に対するネガティブな情報や風評が流れた場合には、ブランドイメージの低下を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12) 礼金・敷引金・更新料について

不動産業界の一般的な慣行として、入居者との賃貸借契約において、賃貸住宅への新規入居時に礼金や敷引金を、契約更新時に更新料を設定しているケースがあります。礼金とは入居時に賃借人から受領する金銭で、退去時においても返還しないものをいいます。敷引金とは入居時に賃借人から差し入れられる敷金のうち一定割合を退去時においても返還しないことを予め定めておくもので、礼金に似た性格を有しております。更新料は契約更新時に賃借人から受領するものですが、事務手数料名目で受領するものとは異なるものです。当社グループにおいても礼金・敷引金・更新料を受領している物件が存在しております。近年、これらの金銭について消費者契約法を根拠として入居者が返還を求める訴訟が複数例発生しておりますが、2011年5月及び7月の最高裁判所の判決により、一定の条件のもとで敷引金・更新料の有効性が認められることとなりました。

しかしながら、礼金・敷引金・更新料については一般消費者からの批判もあることから、当該収益は将来的に減少していく可能性があります。当社グループは収益の減少分を家賃の値上げによって補う必要がありますが、十分に家賃に転嫁できなかった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 不動産賃貸管理について

① 「保証賃料」の査定について

当社グループは、案件元のデベロッパーあるいは不動産オーナーから賃借する際に支払う賃借料(以下、「保証賃料」という。)を、以下の手順で決定しております。

まず、案件元のデベロッパーあるいは不動産オーナーから、サブリース候補物件の情報が当社グループに持ち込まれます。次に、当社グループが当該物件の管理をするための「募集賃料」を仮設定します。その際、「募集賃料」の妥当性を検証するため、近隣同種の物件情報及び候補物件の現地調査結果等を参考に、当社グループにおいて独自の調査を行います。その後、固定期間(最長5年間)における空室発生や家賃下落を勘案し、当社グループが「保証賃料」を査定します。しかしながら、当該物件の所在するエリアにおいて賃貸住宅市場の環境や競合状況が変化する等により、当社グループの設定した「保証賃料」が結果的に不適切なものとなる可能性があります。その場合、当初想定していなかった「募集賃料」の減額が発生し、十分な賃料収入が確保できない可能性があり、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

② サブリース解約リスクについて

当社グループは不動産オーナーとの間でサブリース契約(不動産オーナーの所有する賃貸用不動産を、入居者に転貸することを前提として当社グループが賃借する契約)を締結しております。当該サブリース契約は、契約期間が最長5年間という長期の契約となっておりますが、契約期間中においても事前通知(6ヶ月前)することにより、当社グループ及び不動産オーナーのいずれからでも中途解約することが可能となっております。したがって、例えば対象物件の譲渡または相続により所有者に変更があった場合や、収益性の高まった場合において、不動産オーナー側から解約することも可能であります。物件の入居率を高い水準で維持するためには当社グループの継続的な関与が必要であることを、当社グループは不動産オーナーに対して訴求していく方針でありますが、かかる当社グループの努力にもかかわらず不動産オーナーからの解約が増加した場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 入居率低下リスクについて

当社グループでは不動産オーナーより借上げた賃貸用不動産を入居者へ転貸し、入居者から得られる賃料収入を収入源としております。賃貸不動産に対するニーズは景気の変動に影響を受けやすく、経済情勢が悪化した場合、賃料収入に予期せぬ影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、安定的に入居者を確保しており、過去の推移からも入居率の変動は景気変動に比し小さい傾向にありますが、国内景気が冷え込み、これを受けて不動産市況が悪化し、入居率が下落した結果、賃貸収入が減少し、保証賃料を下回った場合、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

 

(14) 有利子負債への依存について

当社グループは、販売用不動産の取得資金の一部を、主として金融機関からの借入金によって調達しているため、有利子負債への依存度が当連結会計年度末で総資産の59.8%となっております。今後、利益計上により自己資本の充実に注力する方針ではありますが、金融政策や経済情勢等により金利水準に変動があった場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。リスク軽減のため、特定の金融機関に依存しないよう、社債の発行やシンジケートローンの活用など、資金調達の多様化を実施しています。

 

(15) 組織体制について

① 特定人物への依存について

当社グループの創業者であり代表取締役社長である清水剛は、当社グループの経営方針・戦略の決定及び事業の推進等の面において重要な役割を果たしております。同氏が当社グループの業務執行から離れることを現時点において想定してはおりませんが、当社グループでは今後、同氏に過度に依存しないよう組織的な経営体制の構築や人材育成を進めていきたいと考えております。しかしながら、不測の事態等により同氏の当社グループにおける業務執行が困難となった場合、当社グループの業績及び今後の事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。当社では、後継者の育成・発掘を進めるため、任意の指名委員会を設置いたしました。

② 人材の確保について

当社グループは不動産賃貸事業に関する各分野において幅広い知識と経験を必要とする業務を行っており、各分野において有能で熟練した人材が必要とされます。高水準のサービスを提供するため、人材の確保とその育成が欠かせません。しかしながら、人材の確保が思うように進まない場合や、社外流出等何らかの事由により既存の人材が業務に就くことが困難になった場合には、当社グループの事業活動に支障が生じ、業績に悪影響を与える可能性があります。

 

(16) インキュベーション事業のリスクについて

当社グループは不動産DXとシナジー効果のあるスタートアップへの出資を行っております。出資先企業の事業計画の達成状況や、将来の成長性または業績に関する見通しが悪化した場合には、投下資本の回収が出来ず、当社グループの業績展開及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) プラットフォーム依存のリスクについて

当社グループは、インターネットを介し、物件情報の取得・提供、集客、賃貸入居者との契約関連業務の遂行、お客様からのお問い合わせ受付けなど、多くの業務をインターネットに依存しております。また、スマートフォンアプリの提供では、Apple Inc.及び Google Inc.に依存するなど、様々なプラットフォームに依存しております。

インターネット回線やサーバーが予測不可能な要因によりダウンした場合、多くの業務に支障がおき、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(18) 市場金利に関するリスクについて

当社グループは、事業の運営・発展のため、金融機関等から短期および長期の有利子負債を調達しています。新規の資金調達が必要となる場合、市場金利の上昇局面においては資金調達コストが増加する可能性があります。また、市場金利の上昇は、住宅購入者の購買意欲の減退や、投資家の要求する不動産の期待利回りの上昇をもたらすことで、当社グループの分譲収益の減少や所有資産の価値の下落につながるおそれがあり、当社グループの事業、財政状態および経営成績等は悪影響を受ける可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の最重要課題のひとつと位置付けたうえで、財務体質の強化と積極的な事業展開に必要な内部留保の充実を勘案し、安定した配当政策を実施することを基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、期末配当の年1回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、期末配当については株主総会であります。

当事業年度の配当につきましては、上記方針に基づき1株当たり37.00円の配当を実施することを決定しました。

内部留保資金につきましては、経営基盤の一層の強化・充実及び今後の事業展開に有効活用し、長期的に企業価値の向上に努めてまいります。

当社は、「取締役会の決議により毎年12月31日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2024年9月26日

定時株主総会決議

257,227

37.00