2023年8月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)事業戦略上のリスク

 ① ファッショントレンドや消費者ニーズの変化に伴うリスク

当社が扱うカジュアルファッションは、流行の変化により商品のライフサイクルが短い傾向にあります。消費者ニーズを満たすよう様々なブランドを並行展開することによって、当該リスクを低減しておりますが、急激な景気悪化や顧客嗜好の変化に伴って、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② 競合リスク

当社は、路面店、ファッションビル、ショッピングモール等において商品を展開しており、近隣において競合企業が数多く出店しています。大都市近郊や集客力が高いショッピングモールへの出店方針に加えて、同業他社とは異なる店舗コンセプトに基づいて運営しておりますが、当社出店エリアにおいて有力な競合他社が出店した場合、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

また、インターネット販売事業においては、商品の提供に特化するのみならず、消費者ニーズへの機動的な対応等に基づいて、競合企業との差別化を図っております。しかし、近年においては、インターネット通信販売市場の拡大に伴うさらなる競争激化が予想され、新規参入事業者による新たな高付加価値サービスの提供等が行われた場合、当社における競争力が低下する可能性があります。この場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ③ 店舗展開リスク

当社は、ショッピングモールを中心にテナントとして店舗展開しております。そのため、ショッピングモールにおける集客力の変化により影響を受ける可能性があります。また、当社における新規出店形態は、①新設されたショッピングモールへの出店、②既存のショッピングモールにおけるテナント入れ替えの2つに大別されます。両者において、ショッピングモール運営会社が店舗展開方針を変更するなどの事情により、計画に沿って新規出店を行うことができない場合があり、その結果、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 ④ イオングループが運営するショッピングモールへの出店集中リスク

2023年8月31日現在、当社が展開している35店舗中、イオングループが開発運営するショッピングモール等において22店舗出店しております。そのため、イオングループにおけるショッピングモールへの出店が集中している状況です。

現時点において、同グループのショッピングモール等は高い集客力を保持していますが、今後における同グループを取り巻く事業環境の変化や業界再編等により、影響を受ける可能性があります。また、同グループにおける経営方針、出店政策等により、新規出店計画など当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 ⑤ 物流業務の外注委託リスク

当社における主な物流業務に関して、日本通運株式会社に外注委託しており、具体的には、一部の事業セグメントにおける商品保管業務、入出庫業務を委託しております。同社とは、各業務に関連するデータの授受について、システム及び通信回線を通じて行っており、システム障害や通信障害によってデータの授受が困難となった場合、当社の物流業務に支障が生じる可能性があります。また、大規模な震災等に加えて、その他不可抗力により同社からのサービス提供が中断・停止され、物流業務が機能しない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  ⑥ 長期賃貸借契約によるリスク

当社は、全て賃貸借契約による店舗展開を行っております。

一部の賃貸借契約における契約期間は、5年を超える長期間に渡っております。また、賃貸借契約においては、一定期間の事前予告をもって解約できるものと定められており、当該撤退制約に反した場合は、中途解約に係る違約金などの支払いが必要となるため、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

 (2)市場リスク

 ① 気象状況や自然災害に伴うリスク

当社における店舗販売事業は、気象状況による影響を受けやすく、自然災害のみならず記録的な大雨・大雪や度重なる台風などの天候不順によって販売不振となり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

  ② 自然災害、事故や戦争・紛争等のリスク

当社が出店している店舗施設の周辺地域において、大地震や津波、台風、洪水等の自然災害あるいは予期せぬ事故や戦争・紛争等が発生した場合、店舗施設に物理的な障害が生じる可能性があります。また、自然災害、事故や戦争・紛争等によって当社の販売活動や物流、仕入活動において支障が発生した場合のみならず、人的被害等が生じた場合、通常の事業活動が困難となり、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 ③ カントリーリスク

当社は、中国を中心とした海外から商品を仕入・生産しております。そのため、地域性に基づく市場リスク、信用リスク、地政学的リスクによって当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④ 為替リスク

「③ カントリーリスク」に記載のとおり、当社は輸入商品を取り扱っており、海外からの直接買付けを含めて為替相場の影響を受けております。そのため、為替相場の大幅な変動に基づいて、仕入価格・仕入数量に影響を及ぼす可能性があり、その結果、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ⑤ 原価上昇リスク

当社が取り扱う商品の多くは、中国を始めとする海外において生産されており、仕入原価は直接又は間接的に、当該仕入国における経済情勢による影響を受けております。そのため、現地における原材料費や人件費が大幅に上昇した場合、生産コスト・商品供給に影響を及ぼし、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ⑥ 少子化リスク

当社が主に取り扱う商品は、①10代後半~20代までの客層をターゲットとしたレディスカジュアル、②3歳~中学生までをターゲットとしたキッズ・ジュニアに大別されます。少子化が急激に進行し、キッズ・ジュニア市場が著しく縮小した場合、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

 ⑦ 感染症拡大による影響について

新型コロナウイルス等の感染拡大にあっては、渡航制限、外出規制、店舗等の営業制限などにより、業績に影響を与える可能性があります。

 

 (3)コンプライアンスに関するリスク

 ① 個人情報漏洩リスク

当社は、個人情報を含む多くの顧客情報及び機密情報を取得し管理しております。当社では、個人情報の取扱い及びその管理に細心の注意を払い、情報管理の重要性を周知させるよう全従業員に対して研修等を行い、社内でのルール化やその手続の明確化を徹底しております。また、一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)の発行するプライバシーマーク(認定番号21000259)を取得し、個人情報の管理について留意しております。

また、情報セキュリティについては外部からの不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入防止について、システム対策を講じております。

しかしながら、外部からの不正アクセス、システム運用における人的過失、従業員による故意的な顧客情報の漏洩、消失、改竄又は不正利用等が生じる可能性があります。また、当該事態に適切に対応することができず、信用の失墜又は損害賠償請求によって損失が発生した場合、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② 法的規制リスク

当社における各事業は、「知的財産法」「製造物責任法」「家庭用品品質表示法」「不当景品類及び不当表示防止法」「公正競争規約」「特定商取引に関する法律」等による法的規制を受けております。

社内管理体制の充実によってこれら法令を遵守する体制を整備しており、また個人を含む取引先に対しては契約内容に基づいて当該法令の遵守を徹底しております。しかし、これら法令に違反する行為が行われた場合、若しくは法令の改正又は新たな法令の制定が行われた場合、当社の事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 

 (4)財務上のリスク

 ① 差入れた敷金及び保証金や預け入れた売上代金等の貸倒リスク

当社が運営する店舗は全て賃貸物件であり、出店に際して敷金及び保証金を差入れております。また、ファッションビル及びショッピングモール運営会社との賃貸借契約により、入店している店舗の一部売上金を一定期間預け入れることとなっております。

2023年8月31日現在において、ファッションビル及びショッピングモールに対する敷金及び保証金の残高は191,717千円(総資産に対する比率は11.5%)であり、売掛金の残高は114,992千円(同6.9%)であります。

したがって、当社が賃貸借契約を締結しているファッションビル及びショッピングモール運営会社の業績等によって、上記債権の全部又は一部が貸倒れる可能性があります。

 

 ② 新株予約権による希薄化効果リスク等

2023年11月30日の提出日現在、潜在株式数は383,800株となり、発行済株式総数5,474,800株の7.01%となります。また、将来の運転資金確保や事業提携を目的とした経営施策の実現のための原資として、新たに新株予約権を活用した資金調達の検討もしております。

従って、現在の潜在株式に加えて新たに発行した新株予約権を発行した場合、権利行使についての条件が満たされ、当該新株予約権の行使により、株式価値の希薄化や株式売買需給への影響が発生し、株価形成に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (5)当社の組織、管理上のリスク

 ① 人材リスク

当社は今後の事業拡大に伴い、継続して人材を確保する必要があると考えており、優秀な人材の育成に努めていく方針であります。しかし、採用計画が予定通りに進まなかった場合、又は在籍する人材の多くが流出する等の状況が発生した場合、競争力の低下や事業拡大計画の変更等を余儀なくされ、当社の業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② システム障害リスク

当社は、オンラインショップのサイト運営においてコンピューターシステムを利用しており、自然災害や事故等によって通信ネットワークが切断された場合、また、設備の不備、開発運用ミス、電力供給の停止など予測不能な様々な要因によってコンピューターシステムが停止した場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

また、当社のコンピューターシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて、外部からの不正アクセスを回避するよう取り組んでおりますが、コンピューターウイルスやハッカーの侵入等によってシステム障害が発生した場合、当社の業績及び事業展開に影響を与える可能性があります。

 

 ③ 減損会計の適用リスク

当社は、固定資産の減損会計を適用しております。2023年8月期連結会計年度において、当社が保有する固定資産について減損損失を計上し、当面減損会計の適用リスクは限定的と考えておりますが、今後も経営環境の変化や収益性の低下等により減損損失を計上することになる場合、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 (6)その他のリスク

  継続企業の前提に関する重要事象等

当社グループは、2020年8月期連結会計年度以降、4期連続で営業損失・経常損失・親会社株主に帰属する当期純損失を、5期連続で営業活動によるキャッシュ・フローのマイナスを計上するに至りました。この結果、当連結会計年度の純資産残高が893百万円の債務超過となっております。

この状況において、当社グループは、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象又は状況であるとの認識の下、早期に是正する施策を以下のとおり実施しております。

 

(資金繰りについて)

当社グループは、産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(以下「事業再生ADR手続」といいます。)を利用して金融機関の合意のもとで、今後の事業再生に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を目指しております。その手続の一環として、取引金融機関には借入金の残高維持を求める一時停止の要請をし、一方で手続期間中の当社の運転資金・事業資金を確保するために株式会社ネットプライスより500百万円のDIPファイナンス(第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象)に記載)を受ける取引基本約定書を締結し、当面の資金繰りを確保してまいります。

 

(自己資本の脆弱性について)

当連結会計年度の純資産残高が△893百万円となり、上場来初の債務超過となっております。このような事態を改善すべく、当社グループは増資等の資本政策を検討するとともに、並行して収益体質に改善させるために抜本的な事業構造の改革が必要であると判断し、事業再生ADR手続を利用して取引金融機関の合意のもとで、今後の事業再生に向けた強固な収益体質の確立と財務体質の抜本的な改善を図ってまいります。

 

(売上高減少や収益力の低下について)

当社グループは、年々低下している売上高と収益力を回復させることを目的として、商品企画力の向上とブランド力強化に取り組んでまいりました。それらに加えて、株式会社ネットプライスの協力のもと、海外を中心とする新たな仕入チャンネルの確立や店舗並びにインターネットにおける販売力強化を実現するために、前述の事業再生ADR手続における事業再生計画の策定及び実行にも取り組んでまいります。
 
 上記のとおり、事業再生に向けた取り組みを行っているものの、これらの対応策は実施途上であり、現時点においては、継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。
 なお、連結財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を、連結財務諸表に反映しておりません。

 

配当政策

3 【配当政策】

当社は、将来の事業展開などを総合的に勘案しつつ、株主各位に対する利益還元である配当、事業機会に即応できる体質強化を図った内部留保、そして経営活性化を目的とした役員及び従業員へのインセンティブに配慮して、適正な利益配分を実施していくことを基本方針としております。また、当社は中間配当及び期末配当の年2回の剰余金の配当を実施することができ、会社法第454条第5項の規定に基づいて取締役会の決議により、毎年2月末日を基準日として中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

上記基本方針のもと、2023年8月期の期末配当につきましては、当期純損失を計上することとなったことから、無配とすることといたしました。可能な限り早期に復配ができるよう業績の改善に尽力してまいります。