リスク
3 【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、代表執行役社長を委員長とするリスクマネジメント委員会で、事業を取り巻く様々なリスクに対して適切な管理を行い、リスクの未然防止を図っております。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 中期経営計画
当社グループは、2024年5月に「新中期経営計画」を策定し、その計画に掲げた具体的諸施策を推進しております。これらの計画は、策定当時において適切と考えられる情報や分析等に基づき策定されておりますが、こうした情報や分析等には不確定要素が含まれております。今後、事業環境の変化その他の要因により、期待される成果の実現に至らない可能性があります。
(2) エネルギー価格の変動
当社グループは、主力製品であるグラスファイバー・グラスウールなどの製造においてLNGガス、電気を使用しているため、エネルギー価格の変動やリスクを負っております。安価なエネルギーへの転換や省エネルギー対策などリスクの軽減を図っておりますが、紛争・災害等の地政学的要因やエネルギー政策の変更等により電気料金、原油価格が急激に変動した場合、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(3) 為替レートの変動
当社グループは日本、台湾、中国、米国で生産活動を行い、その製品をグローバルに販売しております。したがって、為替レートが円高になった場合には海外輸出品の競争力が弱まり、為替レートが円安になった場合には、輸入原材料価格が上昇します。為替予約等によるリスクの軽減を図っておりますが、大幅に為替レートが変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4) 原材料の調達
主要な原材料はリスク管理の観点からも可能な限り複数の取引先から購入を行っております。しかし、取引先の状況や経済環境の変化、紛争・災害等の地政学的要因、世界的なサプライチェーンの混乱等により原材料の価格が変動する可能性や、入手が困難になる可能性があります。そのような場合には、生産活動に影響が出る等、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(5) 他社製品との競争、新製品の開発及び技術革新
当社は自社の技術力を持続的成長の源泉と考えており、なかでもグラスファイバー事業においては、世界的なリーディングカンパニーとして競争優位を保ち、より一層研究開発に注力することにより競争優位を維持していくことを目指しております。しかしながら、国内外の競合企業との競争激化やグラスファイバーの代替材料の開発により当社の競争優位性が低下したり、当社の新技術・新商品の開発が長期化した場合には、当社グループの成長性や収益性を低下させ、業績及び財務状況に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(6) 需要の変動
当社グループはグローバルに事業展開をしており、日本国内向けの売上であっても顧客の製品に組み込まれて海外に輸出される製品も多く含まれています。したがって、世界経済の景気動向や各国の貿易・関税政策、地政学的要因等の様々な影響を受け、当社製品を組み込んだ顧客の製品の需要が減速した場合は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
特に、当社グループのグラスファイバー事業部門は、市況の変動幅の大きいIT関連のプリント配線基板用や半導体のパッケージ基板用ヤーン及びクロス、また自動車・電子機器用等の複合材を取り扱っており、需要が大きく変動することがあります。
(7) 設備投資
成長分野の需要捕捉に向けた設備投資や定期的な大規模修繕は、需要予測に大きな変化が生じた場合、生産性等所期の設備能力が得られなかった場合、あるいは主要設備部材の価格が市況により急激に変動した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 製品の欠陥
当社のグラスファイバー事業はサプライチェーンの川上に位置し、当社の製品に欠陥があった場合の影響は広範に及ぶ可能性があるため、品質保証体制を確立し、欠陥品を発生させないように取り組んでおります。また、ライフサイエンス事業で取り扱う体外診断用医薬品は、生物由来の原料を使用するため安定した品質の維持が課題となりますが、在アメリカの子会社で原料となる抗血清を製造し日本国内で最終製品を製造しているため、グループ内で一貫した品質管理を行っております。しかしながら、予測できない原因により品質問題が発生し、出荷量が低下する可能性や、製品の欠陥による損害賠償の発生や社会的評価の毀損等により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9) 災害の発生
当社グループは、災害・事故等に備えたリスク管理を実施しております。従業員の安全・健康を事業経営の基盤ととらえ、諸法令を遵守し、安全で働きやすい職場環境を整えるべく、拠点ごとに委員会活動を行うとともに、定期的にBCP訓練や地震・火災に備えた訓練を実施しております。しかし、大地震等の自然災害や突発的な事故により、生産設備等に多大な損害を受けた場合や電力、燃料、水の供給に問題が発生した場合には、生産活動等に支障が生じるなど当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10) 訴訟等
当社グループは、国内外で事業を遂行する上で、訴訟やその他の法的手段の当事者となる可能性があり、重要な訴訟等が提起された場合又は事業遂行の制限が加えられた場合、当社グループの事業、業績及び財政状態に対して悪影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当連結会計年度末現在において、国及び当社を含むアスベスト取扱い企業数十社を被告として建設従事者とその遺族より損害賠償を求める訴訟の提起を受けており、札幌、仙台、水戸、さいたま、東京、横浜、千葉、名古屋、大阪、京都、高松、福岡の各地方裁判所、及び札幌、東京、大阪の各高等裁判所にて計27件の訴訟が係属中であります。これらの訴訟において当社に不利な判断がなされた場合には、業績等に悪影響が生じる可能性があります。
(11) 法的規制(環境に関する法規制を含む)
当社の事業遂行においては、国内外の法的規制を遵守することを最優先事項としております。専門の部署(リスクマネジメント統括部)を設置し、国内外の法的規制や環境に関する規制についての情報収集と法的規制の対応管理を行っております。また、グループ全体のコンプライアンス教育を推進し、当社グループの社会的信用や評判に与える影響を防いでおります。しかしながら、各種法的規制の変更により、法令対応費用の発生等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 気候変動対応のリスク
当社グループは、2030年度のCO2排出量削減目標を設定し、省エネ活動の推進、再生可能エネルギーの導入やTCFDに基づく情報開示に取り組んでおります。また、2050年度カーボンニュートラル達成に向けて、低炭素・脱炭素技術の活用によりCO2排出削減及び生産性向上に取り組んでおります。
しかし、気候変動対応に係る国内外の関連法規制の強化により生産活動や営業活動に影響が生じたり、社会的信用の低下による機会損失が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 海外事業
当社は、中国、台湾、米国に子会社を有しております。これらの国における海外事業は、各国における政治・経済・法令・税制・社会動向等の変化や紛争・災害・感染症の発生等の要因により、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 情報セキュリティ
当社グループは、情報セキュリティの確保については、サイバー攻撃に強いシステムの導入を行うとともに、個人情報や機密情報の保護のため全社管理体制の下で徹底を図り、定期的に監査を行っております。しかしながら、企業の社会的責任に対する社会の期待は年々増大していることもあり、情報漏洩等の問題が発生し、その対応の内容や迅速性が不十分な場合には当社グループの社会的信用や評判に波及し、業績に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 特許権等の知的財産権
当社は、将来の事業展開に有益である特許権等の知的財産権の取得に努めております。併せて、事業運営にあたっては、他社の知的財産権の調査を行い、これらに抵触して問題が発生することの無いように努めておりますが、知的財産権に係る争訟により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 退職給付債務
当社グループの退職給付費用及び退職給付債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されております。実際の結果が前提条件と異なる場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(17) 投資有価証券
当社グループが保有している株式等の投資有価証券の価値が大幅に下落した場合は、評価損の発生により当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(18) 感染症拡大
当社グループは、感染症対策として、生産活動や販売活動等に影響がでないようにリスク管理を実施しております。また、サプライチェーン分断等に対応できるよう、定期的なサプライチェーンの見直し、複線化を行っております。しかし、感染症が拡大した場合には、生産活動や営業活動に影響が出る等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は財務健全性や株主還元等のバランスを勘案した資本構成とすることを資本政策の基本方針とし、株主に対する配当政策を経営の最重要事項の1つとして位置づけております。
また、新中期経営計画においては1株当たりの年間配当金55円を下限とし、定常収益に対する連結配当性向30%を基本方針といたします。
当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当は取締役会、期末配当は株主総会であります。
当期業績は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりでありますが、この基本方針に基づき、当期の期末配当金につきましては1株当たり32円50銭(1株当たり22円50銭の中間配当金と合わせ年間配当金は1株当たり55円00銭)といたしました。
内部留保資金については、今後の事業競争力強化等に活用いたします。
なお、当社は中間配当を行うことができる旨を定款に定めております。
(注)基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。