リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
当社グループでは、戦略・事業遂行上におけるリスク及びその対応策につき「リスク管理・コンプライアンス委員会」にて把握・検討し、取締役会及び経営会議での議論、検討を踏まえたうえで、当社グループの主要なリスクとして整理しています。
以下では、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスク及びその対応策につき記載しており、すべてのリスクを網羅している訳ではありません。当社グループの事業は、現在は未知のリスク、あるいは現時点では特筆すべき、又は重要とみなされていない他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 市場リスク
①主要な市場における景気の悪化
当社グループは、様々な市場で事業を展開しておりますが、主要な市場は衣料品、自動車、半導体、住宅、不動産の各業界であり、経済情勢の変化等により当該市場における景気が悪化した場合には、受注減により売上が減少する等当該事業の経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、主要な市場における市況の変化を注意深く見守りつつ、中期経営計画「Progress'24」の重点施策であるR&D活動の強化により、各事業分野において新規事業、新規市場の開拓を図っております。
②競争優位性の低下
当社グループが関連する各事業分野においては、競合他社に対する品質面、価格面での競争が激化しており、優位性が低下した場合には、売上や利益が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、各事業分野において、独自技術を生かした持続可能な社会の実現に貢献できる新製品・サービスを開発、提供していくことで競争優位性、顧客満足の向上を目指してまいります。
(2) 事業運営、戦略リスク
①特定の取引先の業績悪化等
当社グループは、各種製品・サービスを国内外で販売・提供しておりますが、各事業分野においては収益への影響度が大きい特定の取引先が存在しており、当該取引先の業績悪化による受注減、大規模な在庫調整や生産調整等が生じた場合には、当社グループの売上が減少する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、各事業分野において高品質かつ安定的な製品・サービスの提供による当該取引先との更なる関係強化を図るとともに、リスク分散のため、当該取引先以外の取引先への販売強化、新規顧客の開拓にも注力しております。
②原材料等の調達困難
当社グループが提供する製品で使用している一部の部品、原材料については、市場の需給状況や物流の混乱により、安定的な調達を確保できないリスクがあります。原材料等の供給不足により当社グループ製品の生産能力を十分に確保できない場合、販売機会喪失による売上高の減少、顧客への納入遅延が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、原材料等の備蓄、代替原材料又は代替の調達先の確保等を行い、原材料等の安定調達、製品の安定供給に努めてまいります。
(3) 経済リスク
①原材料価格、エネルギー価格の高騰
当社グループが使用している綿花、石化原料などの原材料や燃料は、市場の需給状況、国際商品市況やその他の環境要因(為替レート等)により購入価格が高騰することがあり、価格上昇分を製品価格に十分転嫁できない場合等には、利益の減少等当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。なお、近時の原油価格高騰の影響等により、当社グループが使用している石化原料が高騰しております。
当社グループでは、原材料やエネルギーの価格動向等に注意を払うとともに、価格高騰等の影響を最小限に抑えるべく国内外の複数の供給元の確保、当該供給元からの購買等の対応を行っております。また、販売価格への転嫁にも取り組んでおります。
②為替、株価等の相場変動
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、為替レートの大幅な変動が生じた場合は、売上高やコストに影響が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。為替レートの変動の影響を最小限度に抑えるべく、為替予約等のヘッジ取引を行っております。
また、当社グループは、市場性のある株式を保有しており、株価が著しく下落した場合は、評価損が発生する等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。株式の時価評価を定期的に実施し、適切な会計処理を行うとともに、政策保有株式については、保有の意義が必ずしも十分でないと判断したものについては、縮減を図ることとしております。
③海外での事業活動
当社グループの繊維事業、化成品事業及び環境メカトロニクス事業並びにこれらに属する連結子会社は、世界各国での事業展開を行うとともに、ブラジル、タイ、インドネシア、中国等に事業拠点を有しております。これら海外での事業活動においては、予期しない法律又は規制の改廃、政治体制又は経済状況の変化、テロ・戦争・紛争等の社会的混乱、インフラの未整備等のリスクが内在しております。
当社グループでは、情報収集、海外関係子会社と連携を図りながら、状況に応じた対応を行ってまいります。また、海外での紛争等の有事の発生に関しては、安全確保・損失回避に向けた体制整備等の対応に努めております。
(4) 自然災害、事故リスク
当社グループは、国内外の各地で生産活動等の事業活動や、それに伴う原材料などの調達を行っておりますが、大規模な地震、台風、火災等の災害が生じた場合には、生産活動の停止、工場等の設備の損壊に加え、原材料などの調達や顧客への製品供給に支障が生じる等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、従業員の生命・安全を最優先として、気象予報などの情報収集により、想定される自然災害への事前の対応を綿密に行うことで災害発生を未然に防ぎ、また定期的な設備点検や防災訓練、マニュアルの整備、顧客やサプライチェーンとの情報共有等の連携などにより、事故のリスクや想定困難な自然災害発生時の生産活動等の事業活動への影響を最小限に留めるように日々努めております。また、万一被害が生じた場合に備えて、データセンターの活用や損害保険の付保などのリスクヘッジを行っております。
なお、2022年6月、当社の化成品事業部が防熱工事を実施した物流施設において火災事故が発生しました。この火災事故に関し、2023年9月6日付けでSBSフレック株式会社より当社を含む本件火災に関係する会社3社に対して約44億円の損害賠償請求訴訟(以下、「本件訴訟」といいます。)が提起されました。本件火災の影響等につきましては、連結財務諸表「注記事項(連結貸借対照表関係)8.偶発債務」に記載のとおりです。
当社といたしましては、本件訴訟の請求内容を精査し、代理人弁護士を通じて適切に対応してまいります。
(5) 人事リスク
当社グループは企業価値の持続的向上のため、異なる個性を持つ多様な人材の育成や確保に努めておりますが、それらが計画通りに進まなかった場合、中長期的に見て、当社グループの事業展開、業績及び成長の見通しに重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、社員が充実感やポジティブな感情を持ち組織に主体的に貢献する、エンゲージメントの高い組織の構築を目指し、社員の能力を引き出すエンパワーメントやお互いの個性を認め合うダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進、フレックスタイム制度・テレワーク制度の活用による柔軟な働き方の実現、教育プログラムの充実、採用力の強化などに努めてまいります。
(6) 情報セキュリティリスク
当社グループは、事業活動を通じて機密情報、顧客情報、個人情報等を保有しており、また販売や生産等の事業活動において情報システムを利用しております。コンピュータウイルス・マルウェア等外部からの不正な手段によるコンピュータシステム内への侵入等の犯罪行為や使用人もしくは委託業者の過誤等により、これらの情報が流出又は改ざんされ、もしくは情報システムの長期間の停止が発生した場合は、販売活動や生産活動等の停止、損害賠償の発生や社会的信用の低下等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、情報セキュリティポリシーを制定し、適切な情報管理体制を構築するとともに、適切なセキュリティソフトの導入・更新、重要なデータのバックアップ、定期的な教育の実施などの対策を行っております。
(7) 気候変動リスク
当社グループは、サステナビリティに関連するリスクのうち、気候変動に関するリスクが重要なリスクの一つであると認識しております。当社グループの気候変動に関するリスクに関する取組みについては、上記「2.サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載のとおりです。
(8) 人権リスク
当社グループは、世界各国のサプライチェーンを通じて原材料の調達や製品の生産加工等をしておりますが、これらのサプライチェーンにおいて、労働環境・安全衛生の悪化や人権侵害行為、特に、強制労働や児童労働、ハラスメント、差別的行為等が発生し、これらの人権問題に適切に対応できない場合は、調達や生産への影響に加え、顧客及び取引先からの信用低下を招く等、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える可能性があります。
当社グループでは、2023年度に、当社グループの事業に関わる全てのステークホルダーの人権尊重のため、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた「クラボウグループ人権方針」を策定し、人権尊重の取組みを実践しております。また、2024年度からは、サプライチェーンに対するCSRデュー・ディリジェンスを実施し、より一層の人権に配慮した事業運営に努めてまいります。
配当政策
3【配当政策】
当社では、株主の皆様に対する配当を企業の最重要課題の一つであるとの認識に立ち、継続的・安定的な利益還元を基本としております。配当決定に際しましては、収益状況、企業体質、配当性向等を総合的に勘案し、中・長期的な観点から決定していく方針であります。
当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行うことを基本方針としております。
これらの剰余金の配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。
当事業年度の配当につきましては、業績等を勘案した結果、1株当たり100円(中間配当40円、期末配当60円)と決定しました。
内部留保資金につきましては、経営体質の強化と今後の事業展開等に有効活用する方針であります。
中間配当の制度につきましては、「取締役会の決議により、毎年9月30日を基準日として、中間配当を行うことができる。」旨を当社の定款に定めております。
なお、当事業年度に係る剰余金の配当は次のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(百万円) |
1株当たり配当額(円) |
2023年11月9日 |
756 |
40 |
取締役会決議 |
||
2024年6月25日 |
1,086 |
60 |
定時株主総会決議 |