リスク
3 【事業等のリスク】
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断上重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下のとおり記載しています。当社グループはこれらのリスクの可能性を十分認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針です。
なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)当社のリスクマネジメント体制
当社は、リスクの顕在化防止のため、また発生した場合の適切な対応による損失の最小化を図るため、代表取締役社長を委員長とし、取締役を中心に構成するリスク管理委員会を設置しております。
(2)当社のリスクマネジメント体制の運用状況
リスク管理委員会は、四半期に1回定期的に開催し、リスクの調査、その重要度に応じた各種リスクへの対応策の検討及び決定、対策の実施状況のモニタリング等を行っております。
(3)事業等のリスク
① 不動産市場の動向について
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向及び地価の変動等の不動産市場の動向に影響され、当社グループにおいてもこれらの経済情勢の変化により、各事業の業績に影響を受けます。将来不動産価格が下落した場合には、棚卸資産の評価損が発生する可能性があります。また、不動産の価格が高騰し、これに伴い購入金額が上昇した場合には、物件の仕入が困難となる可能性があり、また、販売の際にはその収益性が低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。もっとも、当社の運営する不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」の活用により、当社は銀行借入に依存することなく個人からダイレクトに資金を調達することができるため、金融機関の貸出姿勢の変化にかかわらず安定して不動産への投資が可能となっております。
② 新型コロナウイルス等の感染症の拡大について
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
新型コロナウイルス等の感染症の拡大は、生活防衛のための資産運用の重要性について認識される契機となり、在宅ワークを通じた個人投資家の時間的融通もあり、当社グループの展開するサービスへの追い風となる側面があります。一方で、その影響が長期化し経済不況が生じるような場合には、資産運用に対するニーズの動向が不透明になる可能性があり、また経済不況が不動産市況に影響がある場合には、不動産価格の下落や各種不動産の稼働率低下等を通じて、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。そのため、当社グループでは各種不動産に対して適切なアセットアロケーションを図るとともに、運営状況を慎重に把握することとしています。
③ 劣後出資を通じて案件売却時に損失が発生する可能性について
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社の運営する不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」では、投資家保護の観点から、出資持分を優先部分と劣後部分に分け、優先部分を保有する投資家は劣後部分を保有する投資家より優先的に配当等を受け取る仕組みを構築しております。想定どおりに収益が生じなかった場合のリスクを、劣後部分を有する投資家(当社)が劣後出資額を上限として負担することにより、優先部分への配当等の確実性を高めております。結果的には優先部分は劣後部分に比べてリターンは低くなるものの安定性が高く、劣後部分はハイリスク・ハイリターンとなります。なお、2020年12月以後の案件においては劣後出資割合を5%程度と設定しております。
当社は投資案件毎に案件総額の5%〜20%を劣後出資部分として投資(劣後出資)しています。つまり、投資案件売却時に損失が発生する場合には、劣後出資額を上限として当社が優先して損失を負担することから、不動産市況次第では売却時に損失が出る可能性があります。なお、当該劣後出資については当社のみ出資を可能としております。
売却時期においては原則として事前に案内をしている想定運用期間内で売却を目指しますが、例外として想定運用期間内に対象不動産の売却が完了しない場合には満了日の1ヶ月前までに投資家へ通知することにより、満了日から60ヶ月を超えない範囲で期間を延長する場合がございます。すなわち、不動産市況が下降局面で売却損失が発生する可能性が高い場合は、投資家との契約上、投資期間を長期に延長し、不動産市況が回復することを待つことのできる合意を予めとりつけております。かかる対応策を講じているにもかかわらず、売却損失が多く発生する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。なお、サービス開始から当連結会計年度末現在に至るまで売却損失が発生した案件はございません。
④ クラウドファンディング市場の成長性について
(顕在化可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
不動産投資クラウドファンディングのマーケットはグローバルで約142億ドル(2022年)から、今後は約7,934億ドル(2032年)まで成長するという予測がなされております。日本においても約10億ドル(2022年)から今後は約583億ドル(2032年)へと成長するという予測もされております(注1)。今後も当社としては投資リターンを目的とした商品の市場成長を期待していますが、クラウドファンディング市場の成長速度によっては会員獲得のスピード、ひいては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(注)1.Polaris Market Research & Consulting LLP, Real Estate Crowdfunding Market Report (Forecast to 2032)より。
⑤ 不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」案件募集時に成立下限額を調達できない場合について
(顕在化可能性:低/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
「CREAL」にて大型案件を募集する際には、案件成立にあたっての下限調達額を設定することがあります。投資家からの応募金額が下限調達額を下回る場合には案件自体が成立せず、応募金額を投資家に返還することになりますが、案件の不成立が続く場合には投資家からの応募が減少していく可能性があり、ひいては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また成立下限額を調達できない場合、募集の前提となる不動産の売買契約の条件によっては、売主へ違約金を支払う場合があり、当該違約金の支払いが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 案件仕入について
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社グループの資産運用プラットフォーム事業では、個人向け及び法人向けに数多くの投資対象から良質と思われる案件の仕入れを行っていますが、それらは仲介会社、施設運会社者(ホテル・介護施設・病院・保育園等の運営者)、一般事業法人、個人不動産オーナー等多岐に分散しています。案件仕入は特定の会社に集中せずに常に広いネットワークの中から行っていますが、当社グループが良質と判断できる案件の仕入れを計画どおりに行うことができない場合、売上や各種フィー収入の減少を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 運営事業者の運営能力及び与信状況について
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
ホテルや老人ホームといった、運営管理にあたり特別な専門性が求められるオペレーショナルアセットは、運営事業者の運営能力や与信状況次第で、その物件から生み出される収益、ひいては、その物件価値自体が大きく変動する可能性があります。当社が保有するオペレーショナルアセットに関して、その運営事業者の運営体制に問題が生じた場合や、事業者自体の与信不安が生じた際には、未回収の債権が生じる可能性があることに加え、物件自体の価値の下落を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 引き渡し時期による業績の変動について
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社グループでは、不動産の売却にあたっては引渡基準を採用しています。当社グループでは、引き渡し時期による業績の変動がないように案件管理・期日管理を徹底しておりますが、案件によっては1件あたりの売上高や損益が財務数値に大きな影響を与えることがあり、そのような案件の引渡し時期が計画に対して前後することにより、当社グループの四半期や年度損益に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ KPIの動向について
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 経営戦略及び目標とする経営指標」に記載のとおり、各種KPIを設定して経営状況の管理を行っています。これらKPIの達成やその指標の改善に常に努めておりますが、各種KPIの実績が大幅に悪化することを通じて、売上高や収益率に大きな悪影響を及ぼし、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩ 競合について
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
クラウドファンディング市場は急速な勢いで成長しているため、既存企業や新規参入企業との競合はあるものの、現在は市場成長の恩恵が上回っているものと考えています。しかしながら、今後市場の成長が鈍化した場合、あるいは参入企業が多く増える場合には、新規投資家獲得速度の減速や投資家離脱、あるいは投資家あたりの投資金額減少を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪ 人材の確保について
(顕在化可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社グループでは、今後の事業拡大のためには、優秀な人材を確保することが最重要課題だと考えています。このため、今後も優秀な人材の採用及び教育研修実施の機会・内容の充実により、当社グループの企業理念及び経営方針を理解した、当社の成長を支える社員の育成を行うとともに、優秀な人材の確保を継続して行ってまいりますが、計画どおりに人材が確保できない場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ 小規模組織であることについて
(顕在化可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
本書提出日現在における当社グループの組織は小規模であり、会社の規模に応じた内部管理体制や業務執行体制を構築しております。このため、業容拡大に応じた人員を確保できず、役職員による業務遂行に支障が生じる場合、あるいは役職員が予期せず退任又は退職した場合、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
⑬ 訴訟などの可能性について
(顕在化可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社グループでは、コンプライアンス経営の重要性を認識しており、コーポレート・ガバナンスの強化に努めています。当社グループの事業に関連して、過去第三者との間で重要な訴訟やクレームといった問題が発生したという事実はありませんが、当社グループが販売した物件の契約不適合やクレーム等に起因する訴訟等が発生する可能性は存在します。訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭ 契約不適合責任について
(顕在化可能性:低/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社グループが販売した物件に対して民法及び宅地建物取引業法のもと、契約不適合責任を負っています。万が一、当社グループが販売した物件に契約の内容に適合しないものがあるとされた場合には、当社グループは契約不適合責任に基づく、補修工事費用の負担等を追うことがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑮ 個人情報の管理について
(顕在化可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)
当社グループの事業活動において、顧客・取引先・クラウドファンディングの会員の機密情報や個人情報を取得・保有しています。当社グループでは、これらの情報流出を防止するために、情報管理規程を定め、個人情報の保護に関する法律、関係諸法令及び監督当局のガイドライン等を遵守し、社内規程の制定及び管理体制の確立を図るとともに、個人情報管理責任者を選任して、上記関係規範を従業員に周知・徹底しています。個人情報の取り扱いについては、今後も、細心の注意を払ってまいりますが、不測の事態によって当社グループが保有する個人情報が外部流出した場合、賠償責任を課せられるリスクや当社グループに対する信用が毀損するリスク等があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑯ 災害の発生及び地域偏在について
(顕在化可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)
地震、暴風雨、洪水等の自然災害、暴動、火災等の人災、感染症の拡大が発生した場合、当社グループが保有する不動産の価値が大きく毀損する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが保有する不動産は、売却時の需要を考慮した上で、東京を中心とする首都圏所在の比率が高い状況にあり、当該地域における地震その他の災害、地域経済の悪化等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑰ 法的規制等について
(顕在化可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)
当社グループが行う事業につきましては、以下の法令等による規制を受けています。しかしながら、今後、これらの法令等の解釈の変更及び改正が行われた場合、また、当社グループが行う事業を規制する法令等が新たに制定された場合には、事業内容の変更や新たなコスト発生等により、当社グループの業績及び今後の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが取得している以下の許認可(登録)等につき、本書提出日現在において事業主として欠格事由及びこれらの許認可(登録)の取消事由に該当する事実はないことを認識していますが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許認可(登録)取消等の事態が発生した場合には、当社グループの事業に支障を来たすと共に業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」については、不動産特定共同事業法に基づき運営していますが、クラウドファンディング市場の歴史がまだ浅く、今後、不動産特定共同事業法の改正等が生じる可能性があります。かかる改正等が生じた場合は、当社として直ちに対応していく方針ですが、法改正による規制強化等によって事業運営に与える影響が大きい場合には、事業活動、並びに財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(a) 当社グループの事業活動に関係する主な法的規制
(b) 当社グループの取得している免許・登録等
当社
クリアルパートナーズ株式会社
⑱ システムリスクについて
(顕在化可能性:低/影響度:大/発生時期:特定時期なし)
当社の不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」は、外部のサーバーや通信ネットワークシステムを利用し、事業を運営しています。従いまして、サーバーのシステムダウンや外部からの不正アクセス、サイバー攻撃等により、「CREAL」に何かしらの問題が発生した場合には、「CREAL」の運営に支障を来たし、当社グループに対する信用の毀損を通じて、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑲ 配当政策について
(顕在化可能性:事業計画の進捗状況による/影響度:小/発生時期:特定時期なし)
当社は、株主への利益還元を経営上の重要な課題として認識しており、事業基盤の整備や事業展開の状況、経営成績や財政状態等を総合的に勘案しながら、継続的かつ安定的な配当を行うことを基本方針としております。
当社は、現在では「CREAL」の事業拡大を積極的に推進しており、成長過程にあることから、内部留保の充実を図り、組織体制、システム環境の整備への投資等の財源として資金を有効活用することが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。当社は、将来において、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針ではありますが、現時点において、今後の具体的な配当方針については未定であります。
⑳ ストック・オプション行使による株式価値の希薄化について
(顕在化可能性:高/影響度:小/発生時期:権利行使期間内)
当社では、取締役、監査役、従業員等に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しています。本書提出日の前月末現在における新株予約権による潜在株式数は214,700株であり、当連結会計年度末における発行済株式総数5,857,500株の3.7%に相当します。また、今後においてもストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、現在付与している新株予約権に加え、今後付与される新株予約権について行使が行われた場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社取締役会長である徳山明成は、同氏の資産管理会社の所有株式数を含めると、当連結会計年度末時点の発行済株式総数の25.5%の議決権を所有している大株主であります。同氏は、現在当社の非常勤取締役として業務執行取締役ではないものの、相応の稼働時間をもって取引先開拓等の各種側面支援を行っており、今後も安定株主として引続き一定の議決権を保有し、その議決権行使にあたっては、株主共同の利益を追求すると共に、少数株主の利益にも配慮する方針を有しております。同氏は安定株主であると認識しておりますが、将来的に何らかの事情により、大株主である同氏の株式が減少した場合には、当社株式の市場価格及び議決権行使の状況等に影響を及ぼす可能性があります。
(顕在化可能性:中/影響度:中/発生時期:特定時期なし)
当社株式の流動性については、事業計画に沿った成長資金の公募増資による調達、ストック・オプションの行使による流通株式数の増加等により、流動性の向上を図っていく方針ではありますが、何らかの事情により上場時よりも流動性が低下する場合には、当社株式の市場における売買が停滞する可能性があり、それにより当社株式の需給関係にも悪影響を及ぼす可能性があります。
配当政策
3 【配当政策】
当社は、株主への還元を第一として、配当原資確保のための収益力を強化し、継続的かつ安定的な配当を行なうことが、経営の重要課題と認識しております。
しかしながら、当社は事業拡大の過程にあると考えており、内部留保を充実させ、財務基盤の強化を図るとともに事業成長のための投資を積極的に行い、企業価値の向上を図ることが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。今後の配当政策の基本方針としましては、事業環境、当社の経営成績や財務状況を総合的に勘案し、株主利益の最大化と内部留保のバランスを図りながら検討していく方針です。
なお、剰余金の配当を行う場合、「毎年3月31日(期末配当)及び毎年9月30日(中間配当)を基準日とし、会社法第459条第1項の定めにより、取締役会の決議によって剰余金の配当を行うことができる。」旨を定款に定めており、機動的な配当政策を実施するため、期末配当及び中間配当のいずれにつきましても取締役会決議により決定することとしております。