2024年3月期有価証券報告書より

リスク

 

3 【事業等のリスク】

(1) 当社のリスクマネジメント体制

当社は、当社グループの事業活動に関する様々なリスクの管理を所轄するリスク管理委員会を設置し、原則、毎月開催しております。委員会では、リスクの抽出とその対応策を策定するとともに、リスクマネジメントシステムが有効に機能しているかどうかの検証・評価を行っております。当連結会計年度は、特に新型コロナウイルス感染症への対応や、ロシア・ウクライナ情勢の影響やカントリーリスクを踏まえた事業継続のための具体策について検討し対応を進めております。また、サステナビリティに関しましては「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティ ③ リスク管理」をご参照ください。

 

 (2) 事業等のリスク

経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。以下は、すべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見出来ない又は重要と見なされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、当該事項の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 ① 原材料や資材の調達「⑭ ロシア・ウクライナ情勢の影響」も併せてご参照ください。

(経営の影響度:大、発生の可能性:高、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ

 チェーンの強化を進めます)

当社は、食品の原材料・資材として、いかなどの水産品、チーズなどの酪農品、牛肉などの畜産品、ナッツ類・梅などの農産品、あるいは包装材料など、幅広く使用しており、その調達先も多岐にわたっています。

これらの調達にあたっては、気候変動による自然環境や世界的な食糧需給構造の変化、生産・調達先である企業の経営状況、輸入関税の変動、環境や人権に配慮した原材料の調達等により、調達量及びコストが変動することが予想されます。原材料価格の値上がり影響を自助努力だけでは取り戻せない場合は、お得意先のご理解をいただきながら製品の規格変更や売価上げを実施いたします。また、安定的に調達するため、持続可能な原材料の調達への切り替えに取り組むと共に、特定の原材料、生産品、仕入先に多く依存することを避け、在庫管理などの対応を行っておりますが、総資産に占める原材料及び貯蔵品の比率や、製造原価に占める原材料価格の比率が高いため、原材料価格が高騰した場合や予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ② 原材料の安全性

(経営の影響度:大、発生の可能性:低、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ

 チェーンの強化を進めます)

当社グループは、食品の安全性を経営上の最重要課題の1つと認識しており、トレーサビリティーの推進、仕入先への指導・多様化、的確な業務処理を徹底しております。しかし、鳥インフルエンザや豚熱など家畜疫病の発生、有害物質や異物の混入等、食品の安全に関する事態が発生した場合、生産・調達先の変更等に伴うコスト増加が予想されます。想定を超える事態あるいは会社としての対応を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ③ 商品の安全・安心

(経営の影響度:大、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(2)品質向上と新製品開発に

 よってお客様の満足度をさらに高めます)

当社グループは、食品の製造・販売を主たる事業としており、全従業員が食品会社に従事していることを認識し、お客様の立場に立って、原材料の仕入れから販売までを安全・安心に行うことを徹底しております。万が一、品質や安全性が疑われる問題が発生した場合、当社商品の回収や販売停止など、品質の信頼性を維持するための売上減少と費用増加が予想されます。商品の安全・安心を担保するために、食品安全マネジメントシステムに関する国際規格FSSC22000を導入しており、部門横断の品質管理委員会を原則、毎月開催し、商品クレームや事故の未然防止のため、工場職場との緊密な連携によってリスクを予見し摘み取る活動や、商品表示の適正化に取り組んでおります。また、いわゆる「フード・ディフェンス」の考え方を取り入れ、意図的な異物混入を防御すると共に異常が無いことを証明できる体制を整備し、常にお客様に信頼される安全・安心な商品を提供するために原料仕入から生産現場、店頭に並ぶまでの衛生管理や履歴管理を徹底しております。これらの取り組みを今後も深化させてまいりますが、想定を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ④ 為替相場変動

(経営の影響度:大、発生の可能性:高、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ

 チェーンの強化を進めます)

当社原材料のうち、海外に依存しているものは全体の約6割あります。特に為替変動の影響を受けるものは全体の約4割です。各原材料の複数通貨建の購買体制の構築や、一部原料の調達先の国内回帰、海外への輸出拡大など為替リスクを極小化するよう努めておりますが、そのリスクは当社に帰属いたします。また、中国国内における生産販売を行っている合弁企業にも投資を行っております。為替相場が急激に変動した場合、あるいは投資先の状況により、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑤ 法的規制

(経営の影響度:大、発生の可能性:低、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(2)品質向上と新製品開発に

 よってお客様の満足度をさらに高めます)

当社及びグループ企業の一部は食品製造販売会社であり、食品表示法、食品衛生法、製造物責任法、容器包装リサイクル法、農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法、工場設備に関係する諸法律などの制約を受けます。万が一、これらの法律あるいは新たに当社グループの事業に関係する法律が改訂あるいは制定される等の理由により、対応できず法令違反や規制に反した行動等が発生した場合、法令による処罰、社会的制裁を受けることもありえます。各主管部門と法務部門が連携し、関連諸法規の遵守に万全の体制で臨んでおりますが、期限までに対処できない事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑥ 天災や感染症の流行、大規模イベント等、不測の事態「⑬ 新型コロナウイルス感染症拡大の影響」も併せてご参照ください。

(経営の影響度:大、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ

 チェーンの強化を進めます)

震災や台風等の天災に伴う当社事業所の損壊や、物流網の遅滞、原材料の調達不足、電力の使用制限による工場の生産能力及び生産性の低下、風評被害の発生、サプライチェーンの寸断、交通網の麻痺による従業員の通勤不能、大規模イベントに伴う物流網の制約・混乱等により、当社の仕入、生産、販売において予期しえない事態が起こることもありえます。日頃より仕入先の分散を実施するなど、リスクを極小化するよう努めておりますが、会社としての対応を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

また、世界規模の感染症の蔓延による社会的混乱が発生した場合においては、当社グループは顧客、取引先及び従業員の安全を第一に考えて感染防止策を徹底すると同時に、事業活動の継続、商品の供給責任をできる限り果たせるよう努めてまいりますが、予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑦ 商品開発の成否などによる既存商品・ブランドの劣化

(経営の影響度:中、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(1)クリエイティブな発想と

 チャレンジ精神で新素材・新技術を活用し幅広いお客様を開拓します)

お客様の嗜好の多様性や健康志向の高まり、国内の少子高齢化、購買パターンの変化、売場のボーダレス化等、市場の変化にいかに迅速に対応し、お客様のニーズにマッチした商品を開発できるかが、当社グループが事業成長を続けていくために重要な課題となっております。おつまみ業界におきましては、競争が一層激しくなっており既存品のみではシェア・売上低下は避けられない状況にあります。このような状況に対処すべく、新商品開発の強化と既存品のリニューアルなどでシェアを維持・拡大しながら売上の伸張を図っておりますが、お客様のニーズに応えられる商品を提供できなかった場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑧ カントリーリスク「⑭ ロシア・ウクライナ情勢の影響」も併せてご参照ください。

(経営の影響度:大、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ

 チェーンの強化を進めます)

当社は、世界の各地から原材料を輸入しているほか、海外の協力工場での加工、商品の輸出を行っています。各国の法令・規制の変化、テロ・戦争やその他の要因による政治・経済・社会的混乱、文化や慣習の違いに起因するトラブル発生、疫病の発生・蔓延等が予想されます。海外の協力工場で加工したものを日本国内に輸入できない場合に備えた生産の国内回帰や、第三国での加工について準備を進めるなど、各担当部門が情報収集を行い、個々に対策を打ってまいりますが、各地において政治・経済・社会的混乱など予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑨ 保有資産の価値変動

(経営の影響度:小、発生の可能性:低、中期経営計画の重点戦略との関連性:1.(3)商品供給を支えるサプライ

 チェーンの強化を進めます)

当社グループは、事業の用に供する工場や生産設備、不動産、有価証券等の様々な資産を保有しております。これら資産は、時価の下落や生産品目の動静などにより、将来のキャッシュ・イン・フローが悪化し、減損会計の適用を受ける可能性があります。予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑩ 環境問題への取り組み

(経営の影響度:大、発生の可能性:中、中期経営計画の重点戦略との関連性: 3.SDGsへの取り組みとガバナン

 スの強化を目指します)

当社グループは、持続的成長と企業価値向上のために、おつまみ事業の拡大と共に、気候変動の影響に関わる継続的な情報収集・分析・把握と事業活動を通じた環境問題への取り組みが欠かせないものと認識しております。当社は、今後も世界共通の社会課題として掲げられた持続可能な開発目標(SDGs)に紐づく活動に努めてまいります。具体的には、食品ロスの低減に向けた賞味期間の延長、賞味期限の年月表示化、原料廃棄の回避や、二酸化炭素排出量の削減に向けた太陽光発電設備の導入拡大、工場を中心とした省エネ活動、環境配慮型素材(包材)の活用等に取り組み、環境問題に関連する各種法律、規制を遵守しています。しかしながら、関係法令等の改正によって、新規設備の投資等による大幅なコスト増加など、予想を超える事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑪ 情報セキュリティ

(経営の影響度:大、発生の可能性:中)

当社グループでは、取引業務の遂行や顧客とのデータのやり取りにおいて、取引先や個人の情報を保持しております。このため、コンピュータウイルスの感染や不正アクセスによるシステムダウン、情報の消失、データの改ざん、個人情報や会社の重要機密情報が漏洩するリスクがあります。また、地震等自然災害の発生による一時的な混乱が生じる可能性があります。これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、適切なセキュリティ管理やバックアップ体制の整備と共に、従業員教育を実施しておりますが、悪意を持った第三者の介入など予想を超えた事態が発生した場合、情報システムの崩壊に伴う事業の中断、セキュリティ対策費用の増加により、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑫ 資金調達

(経営の影響度:小、発生の可能性:低)

当社グループは、自己資金に加え、主に金融機関からの借入及びリースにより事業資金を調達しています。金融市場の不安定化・金利上昇が生じた場合等には、資金調達の制約を受け、資金調達コストが増加する可能性、あるいは全くできない状況に直面する可能性があります。最新の情報に基づく事業計画の見直し等により、資金調達先の分散や、借入期間の適正化、リスクの最小化に努めておりますが、社会環境の激変など予想を超えた事態が発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

 ⑬ 新型コロナウイルス感染症拡大の影響

2019年末より、短期間で全世界に感染拡大した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)について、当社グループでは、顧客、取引先及び従業員の安全を第一に考え、日頃から感染を予防するために考え得る様々な対応を実施しております。引き続き感染防止策を徹底した上で、事業を継続し、商品の供給責任をできる限り果たせるよう努めてまいりますが、今後、事態が大きく変化し、景気の悪化、消費のさらなる冷え込みが発生した場合、当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

 

○主な感染防止策の例

・マスクの着用、アルコール消毒、

 こまめな手洗い・うがいの実施

・体温計測による体調管理

・室内の定期的な換気の実施

・大人数での会食や従業員同士の会食の自粛

 

・疑わしい場合におけるPCR検査、自宅待機期間

 の確保

・会議室・食堂・エレベーター等の人数制限、

 仕切り設置

・昼休憩時間の分散化

・対面会議とWeb会議の効果的な使い分け

 

 

 ⑭ ロシア・ウクライナ情勢の影響

当社グループの一部商品でロシア産、ウクライナ産の水産原材料を使用しておりましたが、数量はわずかであり、他の産地からの購買によって必要とする数量は確保できる見込みであることから、現時点で業績への影響は軽微であると見込んでおります。

しかしながら、世界的なエネルギー価格の上昇に伴う動力燃料費・包材・物流コストの増加、小麦や飼料などの穀物価格の上昇に伴う原材料コストの高騰あるいはより広範囲のサプライチェーンの見直しが必要な場合、当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

配当政策

 

3 【配当政策】

当社は、株主の皆様への適切かつ安定した利益還元を行うことを重要政策のひとつとして位置づけております。また、食品メーカーとして生産性の向上、事業規模の拡大と企業体質強化に取り組み、そのための生産設備、研究開発、情報システム等の整備・拡充の設備投資を中長期的に行うための内部留保を維持しながら、業績動向及び1株当たり当期純利益の推移等を総合的に勘案し、株主の皆様への利益還元を行うことを基本方針としております。

当社の剰余金の配当は、中間配当及び期末配当の年2回を基本的な方針としております。配当の決定機関は、中間配当、期末配当ともに取締役会であります。

当事業年度の配当につきましては、適切かつ安定的な利益還元とする基本方針のもと、2023年12月5日に中間配当として1株当たり11円(前期11円)を実施しており、期末配当12円(前期11円)と合計で1株当たり23円(前期22円)の利益配当を実施することといたします。

内部留保資金の使途につきましては、事業規模の拡大と企業体質強化に向けた生産設備の増強、情報システムの強化等に有効活用していくこととしております。

なお、当社は、「取締役会の決議によって、毎年9月30日を基準日として中間配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 

 (注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額
(千円)

1株当たり配当額
(円)

2023年11月8日

取締役会決議

138,408

11.0

2024年5月10日

取締役会決議

150,990

12.0