リスク
3【事業等のリスク】
(リスク管理体制)
当社グループは、「経営危機管理規程」に基づき全社的な事業活動に伴うリスク及び危機管理対策からなるリスク管理体制を適切に整備し、適宜その体制を点検することによって管理の有効性を向上させております。経営理念及び持続的な企業価値の向上を実現するうえでの事業等のリスクについては、代表取締役社長を委員長とし、取締役、管掌部門の本部長等で構成する「内部統制委員会」にて認識評価し、平時における防止策の検討や事象発生時の対応についての手順を策定しております。
(重大リスクとして認識している事項)
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、全てのリスクが網羅されているわけではありません。
(リスク顕在化の影響について)
認識している重大リスクが現時点では顕在化する可能性の程度や時期、経営成績及び財政状態等に与える影響を合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。
カテゴリー |
リスク項目 |
1.事業に関するリスク |
1.1 食品の安全性について |
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1.2 市場動向について |
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1.3 原材料の価格変動及び調達について |
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1.4 業績の季節的変動について |
2.サステナビリティに関するリスク |
2.1 気候変動、人権への対応について |
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2.2 人材の確保、育成について |
3.経営基盤に関するリスク |
3.1 災害のリスクについて |
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3.2 カントリーリスクについて |
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3.3 情報管理、システムのリスクについて |
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3.4 法的規制について |
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3.5 保有資産の減損等について |
1.事業に関するリスク
1.1 食品の安全性について
リスク概要と影響 |
近年、食品業界におきましては、消費者の安全性に対する関心が一層高まっております。具体的なリスクとして、フードテロ等の企業犯罪、異物混入、製造ラインの衛生管理不良、アレルギー表示未記載等の誤表示とそれに伴う健康被害、また製品回収等事態収拾に要するコストの発生が考えられます。 万が一これらの問題が発生した場合には、当社グループのブランド価値の毀損を招くとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、経営理念「こころ、はずむ、おいしさ。」の提供、行動指針「顧客満足を最優先」「信頼される企業行動」等を掲げ、常に安全で高品質な商品をお客様へお届けすることに努めております。 当社は食の安全を確実にするため、品質管理に関わる審議・協議機関として品質管理委員会を設置し、当社商品の品質保証及び管理業務における基本事項を規定しております。原材料調達、商品設計、外部委託工場を含む製造工程、流通等の各段階における自主基準の設定、監査、指導、品質管理に関わる重要諸問題等の審議を行い、食の安全を含めた品質管理体制を整備しております。なお、食品製造を営むグループ子会社においても品質管理組織を整備しております。また、自社3工場においては「FSSC22000」(食品安全マネジメントシステムの国際規格)を取得しており、グループ子会社及び外部委託工場においても品質管理体制を整備していることを当社が確認しております。 |
1.2 市場動向について
リスク概要と影響 |
当社グループの主力事業である食品事業におきましては、人口減少、少子高齢化、世帯人員数の減少等を背景として国内市場は縮小傾向にあり、厳しい競合環境におかれております。今後、消費者の嗜好の変化や一層の競争激化により市場占有率が著しく低下した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 また、「黄金の味」を主力とする肉まわり調味料群は、精肉価格の高騰や需要期である春先から夏場にかけての天候不順により消費が鈍り、鍋物調味料群は冬場の青果価格や気温の影響を受ける傾向があります。同様に「浅漬けの素」は降雨量や気温等に起因する青果価格の高騰により販売が鈍化する傾向があります。このように予測を大きく超える異常気象が生じた場合や、鳥インフルエンザ等の大規模な家畜の疾病が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、2033年度に向けた長期ビジョンに基づき、家庭用事業において、主力商品群の収益拡大、ポーション調味料のさらなる伸長を目指すとともに、新価値創造に向けた商品開発を行っております。また業務用事業においては、主力商品群のラインアップ拡充、中食市場への挑戦を含めた商品構成の見直しに着手する等、市場変化に応じた選択と集中、及び販路の拡大に尽力しております。海外事業も成長ドライバーとして注力しており、海外R&D体制・現地生産の基盤構築等に取り組んでおります。異常気象や家畜の疾病については、気象庁や農林水産省等の政府機関からの情報を収集し、早期に生産計画及び販売計画を見直しております。またお客様の購買意識・購買行動等を考慮し、受容性の高い食材を使用した汎用メニューの訴求に切り替える等、業績達成に向けた取り組みを進めております。 |
1.3 原材料の価格変動及び調達について
リスク概要と影響 |
当社グループにおける商品の原材料等は、国内外における気候変動や季節的変動、国際的な需給動向、為替の変動、地政学的要因、エネルギーコスト、感染症の拡大等により、その価格が変動または調達量確保が困難となるものがあります。特に農畜産物に関しては、天候による収穫量の変動と海外需要の増大等の影響を受ける傾向があること、また原油価格の変動は包装材料の価格や光熱費等の製造コスト、運送費等に影響を与えます。原材料等の価格が急激かつ想定を大幅に超えて上昇した場合、または内外の情勢の変動を受け供給不足が生じた場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、複数企業からの購買や、計画的な購買によって原材料等の安定的な調達に努めております。具体的には、サプライヤーにおける在庫の分散、サプライヤー間の連携体制による供給確保、年間契約購買による供給量確保や産地の分散等の施策を実施しリスクを低減しております。また、企業努力だけでは吸収しきれない原材料価格や製造コストの上昇等については、商品価格の改定を行い収益性の改善に努めております。 |
1.4 業績の季節的変動について
リスク概要と影響 |
当社グループは、継続的に安定した収益を確保するために、四半期毎の業績の平準化に努めておりますが、主力事業である食品事業における需要期が第1四半期から第3四半期(4月から12月)に偏重する傾向があり、相対的に第4四半期(1月から3月)の売上高が他の四半期と比較して低くなる傾向があります。 |
対応策 |
このような偏重する傾向に対し、当社グループとして事業ポートフォリオの再構築を目指すなか、通年販売型商品の拡充と、季節変動が大きい商品群(鍋物調味料等)の汎用メニュー訴求等による通年販売の促進に努めております。 |
2.サステナビリティに関するリスク
2.1 気候変動、人権への対応について
リスク概要と影響 |
地球温暖化対策等の規制が強まるなか、二酸化炭素の排出量に応じて課金をする制度「カーボンプライシング」の導入、省エネルギー政策の強化に伴う省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの使用拡大等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。また、当社グループの事業活動やサプライチェーンについて、労働環境・安全衛生の悪化といった人権に関わる問題が発覚した場合には、当社グループの社会的な信用が低下し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。 |
対応策 |
環境面においては、関係会社の代表者及び当社各部門の本部長をメンバーとした「環境部会」において環境活動を推進しています。環境法令の遵守状況の確認や、2030年度までに達成すべき環境目標(CO2排出量及び食品ロス量の削減等)を設定し、燃焼効率のよいエネルギー利用、包装容器の軽量化・薄肉化、共同輸送等による輸送効率の向上や賞味期限の延長等に取り組んでおります。また、当社グループは、人権のテーマも含めたコンプライアンスに関する全従業員参加型の教育を毎年実施することで、コンプライアンス意識の向上を図っております。加えて、人権尊重の取り組みとして2023年5月に「エバラ食品グループ人権方針」の策定を行い、グループ会社を含めた推進体制のもと人権リスクを特定・評価し、2024年度からは、継続的に人権デューディリジェンスに取り組むべく、コンプライアンス委員会にてグループ内の人権リスク管理を、また新設したサプライチェーン部会でサプライチェーン上の人権リスク管理を実施しております。 |
2.2 人材の確保、育成について
リスク概要と影響 |
当社グループが成長するためには、チャレンジ精神を持ち、自発的に価値を生み出し続ける人材が重要と考えております。日本国内においては少子高齢化による労働人口の減少が進んでおり、今後、人材獲得競争の激化やそれに伴う人材の流動化が一層進んでいくことが考えられます。適切な人材を確保できず、あるいは人材の流出が深刻化した場合、当社グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。 |
対応策 |
当社グループでは、行動指針の一つに「冒険、反論、失敗の自由」を掲げ、自由な議論とチャレンジを奨励しています。新卒及び中途採用では性別や国籍を問わない選考を推進し優秀な人材確保に努めるとともに、能力ある人材の積極的な登用、キャリアアップの機会を提供しております。また、働きがいの向上につなげるための人事制度改定、社員の成長を支援する育成制度や新規事業等の社内提案制度の導入、働き方改革の推進等、社員一人ひとりが自らを高め、成長と働きがいを実感できる環境づくりを進めています。 |
3.経営基盤に関するリスク
3.1 災害のリスクについて
リスク概要と影響 |
当社グループは、生産設備や物流設備等を保有しており、風水害や地震、噴火、火災、テロ、感染症の流行等、大規模な災害による施設への被害やサプライチェーンが寸断した場合は、生産や物流、販売等の事業活動が停滞し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは従業員への防災教育や安全確保、事業所等の耐震診断や定期的な点検、システム機器のデータセンター利用、生産拠点や物流拠点の分散化、非常時の受注体制の整備、在宅勤務制度の導入等、被害を最小限に抑える対策を行い、安定した事業継続のための体制を整備しております。 また2023年12月に事業継続計画(BCP)の見直しを行い、実効性を高めるよう努めております。 |
3.2 カントリーリスクについて
リスク概要と影響 |
当社グループは海外事業において現地法人による事業展開を行っており、各拠点において、予測できない政治・経済情勢の急激な変化、テロ・紛争等による社会的混乱により、事業展開及び取引に重大な支障が生じた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、各拠点の商慣行、法規制、雇用環境等の違いに十分配慮した事業運営を行っております。上記のようなリスクが発生した際には、現地における従業員の安全確保を最優先事項として取り組む体制を整備しております。また、当該子会社と協力のうえ情報収集を行う等、損害の拡大を防止するよう努めております。 |
3.3 情報管理、システムのリスクについて
リスク概要と影響 |
当社グループは、マーケティング、研究開発、生産、販売、物流、管理業務等で取り扱う情報を情報システム部門及び管轄する本部にて管理しております。また、販売促進キャンペーン等を通じて取得したお客様の個人情報を委託会社にて管理・保有しております。コンピュータウイルスの感染や不正アクセス等のサイバー攻撃、過失等により、社内システムの停止、情報漏えい、破壊、改ざん等を引き起こす可能性があります。これらの問題が発生した場合には、ステークホルダーからの信用失墜、ブランド価値の毀損を招くとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に多大な影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、コンピュータウイルスやサイバー攻撃等に備えて情報管理体制を徹底し、システム機能の維持に努めております。また、主要なシステム機器は外部のデータセンターに設置するとともに、サーバーやPCには常に最新のセキュリティパッチを適用してハード面・ソフト面のセキュリティ強化を図っております。また、個人情報を含む重要情報は、「プライバシーポリシー」等の社内規程に基づき適切な管理体制を構築しております。 |
3.4 法的規制について
リスク概要と影響 |
当社グループは食品事業を主力事業としており、食品表示法、食品衛生法、製造物責任法、環境関連法規等の各種規制や海外進出先における現地法令等の適用を受けております。また各種労働に関する法令、独占禁止法、産業財産権に関する法令、下請代金支払遅延等防止法、個人情報保護法等の法的規制を受けております。今後、これらの法令に関わる規制の強化や変更、法令違反、訴訟等により当社の企業活動が制限された場合には、当社グループのブランド価値の毀損を招くとともに、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社は、「FSSC22000」及び自社品質保証システムを厳正に運用しており、グループ子会社及び外部委託工場においても食品製造における法令遵守を含めた品質管理体制を整備しております。また倫理面において、「エバラ食品グループ役員・社員行動規範」及び「コンプライアンス規程」に基づき、階層別の研修を実施する等、行動規範の遵守を推進しております。産業財産権においては、法務部門を主管として知的財産ポリシーを制定し、グループ全体で有効な管理と活用に努めております。また、関連部門が適宜、専門家との連携を行うことにより、これらの関連法令を遵守する体制を整備しております。 |
3.5 保有資産の減損等について
リスク概要と影響 |
当社グループは、持続的な成長に向けた国内外への様々な投資を行っています。事業の用に供する機械設備、土地、投資有価証券をはじめとする様々な資産において、時価の下落、収益性の低下等により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損会計等の適用を受けることになり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。 |
対応策 |
当社グループは、取締役会や経営会議において設備投資等の事業計画策定に関する十分な審議をし、意思決定を行っております。また、取得後においても投資先の状況を定期的に検証しております。 |
配当政策
3【配当政策】
当社グループは「2033年度に向けた長期ビジョン」の策定に伴い、利益配分に関する基本方針を以下の通り見直しました。
①挑戦と成長のサイクルの実現に向けた、成長領域への積極投資
②中長期的な資本の最適化に向けた、株主の皆さまへの柔軟かつ効果的な株主還元の実行
上記基本方針のもと、さらなる事業領域の拡大に向け、土台となる研究・開発体制の強化、生産設備の拡充、人的資本の充実等に、柔軟かつ効果的に投資してまいりたいと考えております。
また、株主還元指標として、新たに総還元性向を採用いたしました。新中期経営計画「Ebara Reboot 2026」(2024~2026年度)の期間におきましては、総還元性向50%以上を目標に、足元の事業環境や業績動向に応じた配当金に加え、自己株式の取得等を適宜検討・実行してまいります。
また、当社は、中間配当と期末配当の年2回の剰余金の配当を行う方針であります。なお、当社は、会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議をもって剰余金の配当等を定める旨を定款で規定しております。
当期の配当につきましては、上記の基本方針のもと、期末配当金を1株当たり20円とし、既に実施した中間配当金20円と合わせ、1株当たり年間40円といたしました。また、次期の配当につきましては、1株当たり年間40円(うち中間配当金20円)を予定しております。
当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額 (百万円) |
1株当たり配当額 (円) |
2023年10月27日 |
196 |
20 |
取締役会決議 |
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2024年5月22日 |
196 |
20 |
取締役会決議 |