2023年9月期有価証券報告書より

リスク

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。また、当社としては必ずしも事業上のリスクとは考えていない事項についても、投資判断上で、あるいは当社の事業活動を理解する上で重要と考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。また、以下の記載は、当社の事業または本株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではなく、将来に関する部分の記載は、当事業年度末(2023年9月30日)現在において、当社が判断したものであります。

(1)経済状況の変動について

 当社が手がける人材サービス事業は、景気変動の影響を受けやすいビジネスモデルとなっており、当社の想定を超えた大規模な自然災害や新型コロナウイルス感染症のような感染症の流行等によって、景気が停滞し、転職市場や経済の低迷が長期化した場合、当社の経営成績に影響が及ぶとともに、大きな損失が発生する可能性があると考えております。

 

(2)競合について

 求人情報提供サービスは、求人広告(Web・情報誌等)事業、人材紹介事業、人材派遣事業等などに分類されますが、当社はこれら全ての分野のサービスを提供しており、中途採用における総合的なソリューションサービスの提供が可能であります。一方で、当社の求人情報提供サービスに関する事業それぞれに競合会社が存在しております。特にWeb媒体系求人広告事業は、比較的容易に参入が可能であるため、他社との差別化が必要な事業であると考えております。
 また当社は、単なる転職ではなく、キャリアアップ転職を目指すビジネスパーソン向けの求人情報を提供する企業として、自社ブランド力の更なる強化に努める所存であります。しかしながら、当社が考える差別化策は必ずしも十分であるとは限らず、競争力のある新規参入企業により当社の優位性が薄れた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。


(3)法的規制について

①求人広告事業

 求人広告事業における法的規制としては、求人広告に関して職業安定法において、職業紹介並びに労働者の募集方法、労働条件の明示及び虚偽の求人広告等に関する規制が定められております。また、職業安定法の他、労働基準法による「男女同一賃金の原則」等、法的規制の他、業界団体による自主的規制があります。これらの規制は直接的には求人企業である広告主が規制対象でありますが、当社も求人広告制作者として間接的に規制を受けているため、当社事業活動に制約を受ける可能性があります。

 当社では、このような規制の趣旨に沿って、ユーザーからの問い合わせやクレームに即座に対応できるよう「ユーザー相談窓口」を設けてユーザー保護に努めるとともに、「審査室」を設け「広告倫理綱領」及び「求人広告掲載基準」を定めることにより、事前に不適切な求人広告を排除するよう努めております。併せて、社内で判断できない場合に備え、公益社団法人広告審査協会に加入しております。また、必要に応じて労働環境問題専門の弁護士の協力を得ております。

 

②人材紹介事業

 当社が行う人材紹介(中途・新卒)事業は、職業安定法の適用を受けており、当社は手数料を徴収して職業紹介を行うことができる有料職業紹介事業の許可を厚生労働大臣より取得しております(厚生労働大臣許可13‐ユ‐040429)。職業安定法には、職業紹介事業の適正な運営を確保するために、職業紹介を行う者(職業紹介事業者)が、職業紹介事業者としての欠格事由(当社の役員が禁固以上の刑に処せられ、あるいは傷害、脅迫、背任等の罪により罰金の刑に処せられたとき、職業安定法の規定等に違反したとき等)に該当、あるいは当該許可の取消事由に該当した場合には、厚生労働大臣により事業許可の取り消しが行われ、事業の停止が命じられる旨が定められております。なお、現在当社において、欠格事由または取消事由に該当する事項はありません。

 

③人材派遣事業

 当社が行うIT派遣事業は、労働者派遣法に基づき、主として一般労働者派遣事業として厚生労働大臣の許可を取得して行っている事業であります(厚生労働大臣許可 派13-315344)。労働者派遣法には、労働者派遣事業の適正な運営を確保するために、派遣事業を行う者(派遣元事業主)が、派遣元事業主としての欠格事由に該当、あるいは当該許可の取消事由に該当した場合には、厚生労働大臣により事業許可の取り消しが行われ、事業の停止が命じられる旨が定められております。

 なお、現在当社において、欠格事由または取消事由に該当する事項はないものと認識しておりますが、労働者派遣法及び関係諸法令については、労働市場を取り巻く状況の変化等に応じて今後も適宜改正が予想され、その変更内容によっては、当社の業績が影響を受ける可能性があります。

 

(4)個人情報について

 当社は、個人情報の保護を企業活動の最優先事項のひとつとして捉え、個人情報の適切な取り扱い、並びに安全管理に取り組むことが重要な社会的責任であると認識しております。当社では個人情報保護方針を定め、個人情報の取り扱いに関する管理体制を整備し、個人情報保護のため以下のとおりの取り組みを行っております。

 

①個人情報の取組みについて

 ・Webサイト『type』、『女の転職type』等について

 利用者(求職者)は、当社Webサイトを利用するにあたり、個人情報の利用目的に同意した上で、当社Webサイト上の登録フォームに個人情報を入力し、会員登録を行います。利用者がサイトに会員登録すると、会員個人の専用ページが作成され、検索条件の保存、希望条件の保存、希望の条件での求人情報メールの配信、作成した応募情報データの保存等、求職活動を行うにあたって便利なサービスが利用できます。当社は、会員登録された個人情報を当社指定サーバーにて厳重かつ適正に管理し、本人の同意なく第三者に提供することや、予め本人の同意を得た利用目的の範囲外において取り扱うことはありません。

・人材紹介事業、新卒メディア事業、新卒紹介事業、IT派遣事業について

 利用者(求職者)は当社サービスを利用するにあたり、個人情報の利用目的に同意した上で、必要とされる個人情報を当社に提供します。これらの情報は、当該サービスを提供する各事業部にて厳重かつ適正に管理されます。提供された個人情報にアクセスできるのは各事業部の従業員に限られており、これらの情報を、本人の同意なく第三者に提供することや、予め本人の同意を得た利用目的の範囲外において取り扱うことはありません。

 

②セキュリティについて

 当社のWebサイトでは、求人企業及び求職者がデータの送受信を行う際、安心して利用できるように、セキュリティモードとして、サーバー間通信を保護するSSLを採用しております。このSSLは、サーバーと求人企業及び求職者間で通信される内容を暗号化しているため、第三者の盗聴、改竄、成りすましから個人情報を保護することが可能となります。

 

 以上のような対策を講じても、当社において個人情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、法的責任を問われる危険性があります。また、そのような事態になれば、社会的信頼を失い、ブランドイメージは悪化し、当社の事業運営、業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。なお、当社は今後、個人情報の厳格な管理をより一層徹底すべく、2005年5月にプライバシーマークを取得し、以降2年毎に更新をし続けております。

 

 

(5)人材の確保及び育成について

 当社のビジネスを今後更に発展させるためには、各事業部における優秀な人材の確保及び育成が必要不可欠であると考えております。

 現在当社は、厳選した新卒採用活動及び中途採用活動を行っておりますが、当社の求める人材が十分に確保できない場合、現在在籍している人材が流出した場合、もしくは当社が採用した人材の成長が予想を下回った場合、当社のその後の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)知的財産権について

 当社は当社ロゴマーク、社名、商品名称についてブランド戦略上重要性が高いと認識しており、よってこれらに関して商標権を取得しております。

 当社のサービスを表す商標を競合他社が取得した場合、当社がそれらの商標を使用できなくなること、当社への訴訟の提起等により、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社サービスにおいて、特にWeb上での情報提供サービスにおいて、競合他社が技術面での特許を取得し、その権利を主張した場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 当社は、それらの具体的事例を現時点では認識しておりませんが、本邦内外に限らず、当社の営む業務の全部もしくは一部についての特許等を第三者が既に取得しており、当社がそれに抵触していた場合、当社の事業遂行に影響を与える可能性があります。

 

(7)システムについて

 当社の事業の一部は、Web上での求人情報提供サイトの運営であることから、サイトのシステムそのものとコンピュータシステムを結ぶ通信ネットワークによる依存度が事業遂行上高いものと考えております。当社は現在、システム開発及びシステム管理・運用の一部を社外に委託しております。従って、これらの委託先との間にトラブルが発生した場合等には当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。

 自然災害、コンピュータウィルスによる感染、電力供給の停止、通信障害、その他現段階では予測不可能な原因等によりコンピュータシステムがダウンした場合には、当社は事業の一部の遂行が困難になります。また、一時的な過負荷による当社またはインターネット接続業者のサーバーの作動不能、外部からの不正な手段によるサーバーへの侵入等の犯罪、従業員の過誤によるネットワーク障害等の可能性があります。予測可能な原因に対しては、未然に防げるよう万全の備えをしておりますが、万一これらの障害が発生した場合、当社に直接的な損害が生じるほか、当社に対する訴訟や損害賠償等により、当社信用は失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)広告宣伝について

 当社の事業の拡大及び収益の向上には、当社の商品・サービス(Webサイト『type』『女の転職type』等、適職フェア等、人材紹介事業『type転職エージェント』、新卒メディア事業『type就活』、新卒紹介事業『type就職エージェント』、人材派遣事業『typeIT派遣』)を多くの方々に認知して頂くことが必要不可欠であります。そのためには、当社既存媒体を含めた広告宣伝活動を戦略的かつ効果的に展開することが必要であると考えております。

 しかしながら、その効果について正確に予測することは不可能であり、同業他社との競合等から広告宣伝費が過大となった場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

配当政策

3【配当政策】

 配当金につきましては、株主の皆様に対する利益還元を重要な経営課題と認識しつつ、内部留保充実の必要性と財政状態等を総合的に勘案した上で、経営成績にあわせた利益配分を基本方針としております。

 当社は、期末配当として年1回の剰余金の配当を行うことを基本方針とし、経営成績に応じて中間配当を行うものとしております。これらの剰余金配当の決定機関は、期末配当については株主総会、中間配当については取締役会であります。

 当期の期末配当につきましては、当事業年度の利益が期初計画を大幅に上回る結果となったことを受け、1株当たりの普通配当を10円増配し50円といたします。また、当期の業績や財政状態等を総合的に勘案し、1株当たり5円の特別配当を実施いたします。加えて、当社は2023年7月8日をもちまして創立30周年を迎え、株主の皆様の日頃の温かいご支援に感謝の意を表するため1株当たり15円の記念配当を実施いたします。この結果、2023年9月期の期末配当金は普通配当に特別配当、記念配当を加えた1株当たり70円となります。

 次期につきましては、現時点での業績予想の通り、今後も一定の収益を継続して確保できる見通しであることから、1株当たりの普通配当を80円とする予定であります。

 今後も、株主の皆様に対する配当等利益還元策については、急激な経営環境の変化に耐え得る経営基盤の強化のための内部留保とのバランスを考慮しつつ、検討していく所存でございます。

 当社は、「取締役会の決議によって、毎年3月31日の最終の株主名簿に記載された株主もしくは登録株式質権者に対し、会社法第454条第5項に定める剰余金の配当を行うことができる。」旨を定款に定めております。

 なお、当事業年度に係る剰余金の配当は以下のとおりであります。

 

決議年月日

配当金の総額

(千円)

1株当たり配当額

(円)

2023年12月15日

388,821

70

定時株主総会決議