リスク
3【事業等のリスク】
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
(1)プロジェクト管理について
<リスク認識>
当社グループでは、受注時に顧客との間で諸要件を確認し、作業工数及び外注金額等を検討した後、当社グループから各プロジェクトに係る見積金額及び納期等を顧客に提示し契約締結に至ります。また、各プロジェクトの進捗状況や実際の原価の発生額、あるいは顧客からの仕様変更指示に応じて、プロジェクト原価総額の見積りの見直しを行っております。
プロジェクト単位ごとに適正利益の確保に努めておりますが、プロジェクト予算における原価総額の見積りは、人件費及び外注費の作業工数といったプロジェクト固有の状況に応じて変動しやすい重要な仮定を含むものであり、各プロジェクトに対する専門的な知識と経験を有するプロジェクトマネージャーによる判断に影響を受け不確実性を伴うものであります。そのため、プロジェクト原価総額の見積りに重要な変更が生じた場合には、業績に影響を与えることがあります。
<プロジェクトへのリスクマネジメント対策>
当社グループでは、プロジェクトのリスク管理に際して早期のリスク認識を最優先に、プロジェクト予算の承認及び日常的モニタリングに加え、月次のモニタリングプロジェクト審査会を含む定例会議を通じてリスク情報の迅速な把握に努めております。さらに、見積精度や作業範囲の明確化など、着手前にプロジェクト計画の精度向上を図るとともに、開発スキルや協力会社の選択等を含めた開発体制の適正化を図り、プロジェクト管理体制の強化に努めております。
(2)外注生産の活用について
<リスク認識>
IT人材の慢性的な不足が進む中、当社グループでは、一部の開発について、外注管理基準等に従い業務遂行上必要に応じて協力会社に外注生産する場合があります。そのため、協力会社において質・量(技術力及び技術者数)が確保できない場合、経営成績へ影響を及ぼす可能性があります。
<外注生産の活用へのリスクマネジメント対策>
当社グループでは、協力会社への品質管理・情報管理の徹底を図り、有力な協力会社との長期的かつ安定的な取引関係の維持に努めるとともに、これまで培ってきた特化技術に対応することができる技術者の育成を行っております。
(3)情報セキュリティについて
<リスク認識>
当社グループでは、お客様及び当社グループの情報資産を保護し、セキュリティを保障したサービスを提供するよう努めておりますが、当社グループにおいて機密情報の漏洩、破壊、不正使用があった場合、それに伴う損害賠償責任により、当社グループの業績や財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
<情報セキュリティへのリスクマネジメント対策>
当社グループでは、「企業行動憲章」「企業行動基準」「情報セキュリティ基本方針」に則り、個人情報をはじめとするお客様の機密情報を適切に保護することに努めております。また、具体的な対策として情報セキュリティ委員会を設置し、全社的な基本方針・マニュアルの周知徹底、情報セキュリティ維持のための監視活動及び諸施策を検討、実施しております。
(4)気候変動について
<リスク認識>
当社グループでは、気候変動によるリスクとして、以下を認識しております。
・社内開発環境維持コストの増加
・情報開示不足による企業価値毀損
・原材料の高騰、調達リスクの増加
・再生可能エネルギーの導入による設備投資コストの増加
・脱炭素への取り組み遅れによる炭素税の負担増加等によるコスト増加
・自然災害等による自社ファシリティの倒壊、従業員の死傷等
<気候変動へのリスクマネジメント対策>
当社グループでは、気候変動に関するサステナビリティ施策については、総務部門が数値情報の管理を行っており、経営企画部門と連携し、各種施策の企画・立案及び経過報告を実施しており、月例の業務執行会議を通じて関係部署及びグループ会社に対応を指示します。施策の取り組み状況は、必要に応じて取締役会へ報告します。
(5)人的資本について
<リスク認識>
当社グループでは、社員一人ひとりの多様な価値観を重視する経営姿勢を取っており、専門的な情報技術や業務知識を有する優秀な人材を確保することが重要と捉えております。この考えのもと、中長期ビジョンに基づく人材の定期採用やキャリア採用を拡大するとともに、社会課題を可視化し高付加価値を創出する「SX人材」の育成プログラムを設け教育・研修を実施することにより、優秀な人材の確保に取り組んでまいりました。
昨今ではこうした人材が当社の事業活動の中核を担う人材となっておりますが、ソリューションビジネスを指向するほど高度なスキルが必要となるため、人材が不足することが見込まれます。そのため、事業規模の拡大路線と併せながら、技術の体得と継承ができる場づくりを進め、新卒採用での優秀な人材の確保のほか、多様で幅広い人材の確保と育成に取り組んでいく考えです。
<人的資本へのリスクマネジメント対策>
当社グループでは、人的資本に関するサステナビリティ施策については、人事部門が戦略方針と数値目標を策定し、経営企画部門と連携し、施策の取り組み状況と進捗の管理を行っており、月例の業務執行会議を通じて関係部署及びグループ会社に対応を指示します。施策の取り組み状況は、必要に応じて取締役会へ報告します。
配当政策
3【配当政策】
当社は経営の基本方針のもと、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題と位置付けております。そのために、当社は継続的な成長と株主価値の最大化を目指すことで、企業発展の源泉としての利益確保に努めるとともに、株主の皆様に対して適正かつ安定した利益配分を継続することを目指しております。
こうした考え方から、連結ROEは10%以上の確保を目指すとともに、利益の配分として、連結配当性向は30%を目途に継続的に実現し続けることを目指しております。
当社は会社法第459条第1項の規定に基づき、取締役会の決議によって剰余金の配当等を行うことができる旨定款に定めております。当社は定款に、「期末配当の基準日は、毎年3月31日とする」旨、「中間配当の基準日は、毎年9月30日とする」旨、また「前2項のほか、基準日を定めて剰余金を配当することができる」旨を定めておりますが、原則として期末配当、中間配当の年2回配当を行うことを基本方針としております。
当事業年度の剰余金配当につきましては、2023年10月30日開催の取締役会において、1株当たり5円を中間配当とし、2023年12月5日を支払開始日とすることを決議いたしました。また2024年4月26日開催の取締役会において、1株当たり45円を期末配当とし、2024年6月5日を支払開始日とすることを決議いたしました。この結果、中間配当(50周年記念配当5円)を加えた年間配当は50円、連結配当性向は31.5%となります。次期の剰余金配当につきましても、連結ベースで配当性向30%を目途に、業績予想の達成状況等を勘案して決定する考えです。
内部留保金につきましては、将来の経営基盤拡大に向けたM&A活動、新技術追求、新製品開発、戦略的な人材育成の原資とするほか、中長期的な成長戦略の原資としての有効活用及び業績向上と財務体質の強化を図り、株主の皆様のご期待に沿うよう努めていく所存であります。
(注) 基準日が当事業年度に属する剰余金の配当は、以下のとおりであります。
決議年月日 |
配当金の総額(千円) |
1株当たり配当額(円) |
|
2023年10月30日 |
取締役会決議 |
71,699 |
5.00 |
2024年4月26日 |
取締役会決議 |
645,197 |
45.00 |